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審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  F04C
審判 全部申し立て 2項進歩性  F04C
管理番号 1012389
異議申立番号 異議1998-75842  
総通号数 10 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-05-06 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-11-04 
確定日 2000-01-17 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2761586号「スクロール式圧縮機」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2761586号の特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第2761586号発明については、昭和62年8月21日(パリ条約による優先権主張1986年8月22日、米国)に出願した特願昭62-208061号の一部について平成8年7月17日に特願平8-207894号として新たな出願がなされ、同10年3月27日にその特許の設定登録がされ、その後、同10年11月4日に江上純忠より特許異議の申立てがされ、同11年4月6日付けで取消しの理由の通知がされ、その指定期間内である同11年11月8日に明細書の訂正の請求がされた。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
特許権者は、訂正請求書において、本件特許明細書を以下のように訂正しようとするものである。
(1)訂正事項a
特許請求の範囲第1項において、
▲1▼ 第9行と第10行(公報第1欄第13行と第14行)との間に特許請求の範囲の減縮を目的として、
「(c)上記外殻(12)内に配置され該外殻によって支持されている静止ボデー(30)であって、第1及び第2のスクロール部材のうちの一方のスクロール部材(36)に対し他方のスクロール部材(34)が旋回可能であるように該他方のスクロール部材を支持する静止ボデー(30)、
(d)上記した一方のスクロール部材(36)を上記静止ボデー(30)に対し、該一方のスクロール部材が他方のスクロール部材(34)に対し相対的に軸線方向に沿い若干量だけ移動可能であるように支架する支架手段(150,152,154,158,162,164,166;450,452,454)であって、一方のスクロール部材(36)を静止ボデー(30)に対し、該スクロール部材が軸線方向では移動可能であるが放射方向及び周方向では移動不能であるように接続する支架手段(150,152,154,158,162,164,166;450,452,454)、」の記載を加入し、
▲2▼ 第10行(公報第1欄第14行)の「(c)」を明りょうでない記載の釈明を目的として、「(e)」と訂正し、
▲3▼ 第13行(公報第2欄第3行)の「(d)」を明りょうでない記載の釈明を目的として、「(f)」と訂正し、
▲4▼ 第13行(公報第2欄第3行)の「第1及び第2のスクロール部材のうちの」を明りょうでない記載の釈明を目的として、「上記した」と訂正し、
▲5▼ 第16行(公報第2欄第7行)の「、及び」を明りょうでない記載の釈明を目的として、「、」と訂正し、
▲6▼ 第17行(公報第2欄第8行)の「(e)」を明りょうでない記載の釈明を目的として、「(g)」と訂正し、
▲7▼ 第19行(公報第2欄第12行)の「、」を明りょうでない記載の釈明を目的として、「、及び」と訂正し、
▲8▼ 第19行と第20行(公報第2欄第12行と第13行)との間に特許請求の範囲の減縮を目的として、
「(h)上記した一方のスクロール部材(36)と上記覆い部材(58)間に形成された少なくとも1つの流体室であって、該一方のスクロール部材を他方のスクロール部材(34)に向けて軸線方向で移動付勢するための、吸入圧力よりも高い圧力の流体を収容する流体室、」の記載を加入する。
(2) 訂正事項b
特許請求の範囲第2項において、
▲1▼ 第1〜2行(公報第2欄第14〜15行)の「前記した一方のスクロール部材(36)を軸線方向で若干量だけ移動可能に支持してあり、前記」を明りょうでない記載の釈明を目的として、「前記」と訂正し、
▲2▼ 第3行(公報第3欄第2行)の「該一方の」を明りょうでない記載の釈明を目的として、「前記した一方の」と訂正する。
(3) 訂正事項c
発明の詳細な説明において、
▲1▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い、特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、段落【0010】(公報第5欄第29行〜第6欄第9行)を、
「【0010】
【発明の要約】
この発明はスクロール式圧縮機に係り、同圧縮機は、
(a)軸線方向に沿うほぼ円筒形の側壁とこの側壁の両端部を封鎖する2つの端部壁とを有する密閉外殻(12)、
(b)この外殻(12)内に配置されていてそれぞれが螺旋翼(35,37)を有する第1及び第2のスクロール部材(34,36)であって、軸線方向で互いに向き合わせて配置され上記両螺旋翼を、両スクロール部材間の相対旋回運動により該両スクロール部材の中心部に向けて容積を減少して行く流体ポケットが両螺旋翼(35,37)間に形成されるように噛合わせてある第1及び第2のスクロール部材(34,36)、
(c)上記外殻(12)内に配置され該外殻によって支持されている静止ボデー(30)であって、第1及び第2のスクロール部材のうちの一方のスクロール部材(36)に対し他方のスクロール部材(34)が旋回可能であるように該他方のスクロール部材を支持する静止ボデー(30)、
(d)上記した一方のスクロール部材(36)を上記静止ボデー(30)に対し、該一方のスクロール部材が他方のスクロール部材(34)に対し相対的に軸線方向に沿い若干量だけ移動可能であるように支架する支架手段(150,152,154,158,162,164,166;450,452,454)であって、一方のスクロール部材(36)を静止ボデー(30)に対し、該スクロール部材が軸線方向では移動可能であるが放射方向及び周方向では移動不能であるように接続する支架手段(150,152,154,158,162,164,166;450,452,454)、
(e)上記外殻(12)内をこの外殻の一端部付近で横切る部分を有し外周端で外殻に対し密封的に取付けてある覆い部材(58)であって、外殻(12)内の一端部に吐出室(72)を区画形成する覆い部材(58)、
(f)上記した一方のスクロール部材(36)の中心部に設けてある吐出口(41)であって、上記覆い部材(58)中の開口(68)を介し両スクロール部材(34,36)の中心部と上記吐出室(72)間を連通させる吐出口(41)、
(g)上記外殻(12)内の吸入圧力領域と上記吐出室(72)間を密封するためのシール手段(180)であって、上記した一方のスクロール部材(36)と上記覆い部材(58)間に配設してあるシール手段(180)、及び
(h)上記した一方のスクロール部材(36)と上記覆い部材(58)間に形成された少なくとも1つの流体室であって、該一方のスクロール部材を他方のスクロール部材(34)に向けて軸線方向で移動付勢するための、吸入圧力よりも高い圧力の流体を収容する流体室、
を備えたものに、構成される。外殻(12)に対する覆い部材(58)の密封的な取付けは例えば、該覆い部材の外周端を外殻に対し連続して溶着し接合することで、得ることができる。」と訂正し、
▲2▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、段落【0011】第12行(公報第6欄第24行)の「密封を得させる。」を、
「密封を得させる。そしてこの発明は一方のスクロール部材(36)を他方のスクロール部材(34)に対し相対的に軸線方向で移動可能に支持すると共に、上記覆い部材(58)を利用し該覆い部材と一方のスクロール部材(36)間に一方のスクロール部材を他方のスクロール部材(34)に向けて軸線方向で移動付勢するための、吸入圧力よりも高い圧力の流体を収容する少なくとも1つの流体室を形成して、この流体室内の流体により一方のスクロール部材を他方のスクロール部材に向けて移動付勢することで翼先密封を得ているのであるが、上記のように一方のスクロール部材を軸線方向で可動に支持することを、他方のスクロール部材を相対旋回可能に支持する静止ボデー(30)に対し該一方のスクロール部材を支架する支架手段(150,152,154,158,162,164,1,66;450,452,454)であって一方のスクロール部材が他方のスクロール部材に対し相対的に軸線方向では移動可能であるが放射方向及び周方向では移動不能であるように、一方のスクロール部材を静止ボデーに対し接続する支架手段を、設けることによって得ている。したがって静止ボデー(30)は両スクロール部材を支持するための単一の支持部材として機能し、このように単一の支持部材により両スクロール部材を支持させる構成によって軸線方向で可動の一方のスクロール部材を、他方のスクロール部材に対し放射方向でも周方向でも精密に位置決めして支持できる。このため他方のスクロール部材との関係位置を精密としつつ一方のスクロール部材を支持するための精密仕上げの支持面ないし支承面を、大寸法の外殻(12)の内面上に設ける必要がなく、単一の支持部材である静止ボデー(30)の強度ないし剛性さえ確保しておけば外殻に局部的な変形を生じても該外殻とは無関係に両スクロール部材の相互位置関係が精密に維持され、外殻は圧縮機稼働時の内部圧力に耐える強度のものであれば足りる。」と訂正し、
▲3▼ 特許請求の範囲第2項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、段落【0012】第9〜10行(公報第6欄第35〜37行)の「一方のスクロール部材(36)を軸線方向で若干量だけ移動可能に支持した上で該スクロール部材を」を、「前記のように軸線方向で若干量だけ移動可能に支持してある一方のスクロール部材(36)を」と訂正し、
▲4▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、段落【0042】第4〜7行(公報第15欄第31〜35行)の「これらの実施例の各々は放射方向の流体圧力によって生ぜしめられるスクロール部材の転倒モーメントを釣合わすべく、第1の実施例におけるのと同様に非旋回スクロール部材をその中間点で支持するように機能する。これらの実施例」を、「このうち図31及び図32にそれぞれ図示の支架方式は本発明の実施例を示し他の図に示す支架方式は参考例に係るが、何れの支架方式も放射方向の流体圧力によって生ぜしめられるスクロール部材の転倒モーメントを釣合わすべく、第1の実施例におけるのと同様に非旋回スクロール部材をその中間点で支持するように機能する。これらの支架方式」と訂正し、
▲5▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、段落【0043】第2行(公報第15欄第39行)の「実施例」を、「参考例」と訂正し、
▲6▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、段落【0044】第2行(公報第16欄第7行)の「実施例」を、「参考例」と訂正し、
▲7▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、段落【0045】第2行(公報第16欄第15行)の「実施例」を、「参考例」と訂正し、
▲8▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、段落【0046】第2行(公報第16欄第26行)の「実施例」を、「参考例」と訂正し、
▲9▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、段落【0047】第2行、第8行、第10行及び第12行(公報第16欄第38行、第48行、第49行及び第17欄第3行)の「実施例」をそれぞれ「参考例」と訂正し、
▲10▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、段落【0049】第2行(公報第17欄第24行)の「実施例」を、「参考例」と訂正し、
▲11▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、段落【0049】第20行(公報第17欄第50行)の「各実施例」を、「各支架方式」と訂正し、
▲12▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、段落【0050】第2行(公報第18欄第3行)の「実施例」を、「支架方式」と訂正する。
(4) 訂正事項d
図面の簡単な説明において、
▲1▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、図20の説明中、「他例の」を「参考例の」と訂正し、
▲2▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、図22の説明中、「別例を」を「別の参考例を」と訂正し、
▲3▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、図23の説明中、「他の例を」を「他の参考例を」と訂正し、
▲4▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、図25の説明中、「別の例を」を「別の参考例を」と訂正し、
▲5▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、図27の説明中、「例を」を「参考例を」と訂正し、
▲6▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、図29の説明中、「例を」を「参考例を」と訂正し、
▲7▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、図31の説明中、「さらに他の例を」を「他の実施例を」と訂正し、
▲8▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、図32の説明中、「さらに別の例を」を「別の実施例を」と訂正し、
▲9▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、図33の説明中、「一例を」を「一参考例を」と訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無及び拡張・変更の存否
(1) 訂正事項aについて
▲1▼及び▲8▼は、特許請求の範囲第1項に構成要素を付加しようとするものである。
▲1▼中の「(c)上記外殻(12)内に配置され該外殻によって支持されている静止ボデー(30)であって、第1及び第2のスクロール部材のうちの一方のスクロール部材(36)に対し他方のスクロール部材(34)が旋回可能であるように該他方のスクロール部材を支持する静止ボデー(30)」は、実施例において外殻12に対し溶着32されている圧縮機ボデー30に対応しており、この圧縮機ボデー30が、旋回スクロール部材34の下面106を摺動可能に係合する平坦な環状スラスト軸受面108を有すると共にクランク軸28を介して旋回スクロール部材34を旋回可能に支持していることは、図1,2及び段落【0020】,【0021】の記載から明らかである。
▲1▼中の「(d)上記した一方のスクロール部材(36)を上記静止ボデー(30)に対し、該一方のスクロール部材が他方のスクロール部材(34)に対し相対的に軸線方向に沿い若干量だけ移動可能であるように支架する支架手段(150,152,154,158,162,164,166;450,452,454)であって、一方のスクロール部材(36)を静止ボデー(30)に対し、該スクロール部材が軸線方向では移動可能であるが放射方向及び周万向では移動不能であるように接続する支架手段(150,152,154,158,162,164,166;450,452,454)」は、段落【0025】,【0026】及び段落【0048】に記載されており、該支架手段が一方のスクロール部材(非旋回スクロール部材)36を圧縮機ボデー30に対し、該スクロール部材が他方のスクロール部材(旋回スクロール部材)34に対し相対的に軸線方向では移動可能であるが放射方向及び周方向では移動不能であるように接続するものであることは、段落【0026】中の「以上よりしてスクロール部材36は、板ばね162を(弾性限界内で)曲げ拡げることにより軸線方向で若干動くことができるが、回転変位及び放射方向での移動をなしえないように、支持されている。」との記載、及び段落【0048】中の「図から理解できるように非旋回スクロール部材36の軸線方向の動きは可能であるが、周方向及び放射方向の動きはそれぞれ阻止される。」との記載から明らかである。
▲8▼の「(h)上記した一方のスクロール部材(36)と上記覆い部材(58)間に形成された少なくとも1っの流体室であって、該一方のスクロール部材を他方のスクロール部材(34)に向けて軸線方向で移動付勢するための、吸入圧力よりも高い圧力の流体を収容する流体室」は、第1の実施例(図1-17)では段落【0030】及び図1,2の記載から明らかなように吐出圧力の流体を収容する1つの流体室が非旋回スクロール部材と覆い部材間に形成され、図18の実施例では段落【0039】の記載から明らかなように吸入圧力と吐出圧力との間の中間圧力の流体を収容する1つの流体室が非旋回スクロール部材と覆い部材間に形成され、図19の実施例では段落【0040】の記載から明らかなように吐出圧力流体を収容する流体室及び中間圧力の流体を収容する流体室といった2つの流体室がそれぞれ、非旋回スクロール部材と覆い部材間に形成されている。
したがって▲1▼及び▲8▼の各訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
▲2▼、▲3▼及び▲6▼は、特許請求の範囲第1項に構成要素(c),(d)を付加したことに伴う構成要素の項番の整理に係る。
▲4▼は、原記載で「第1及び第2のスクロール部材のうちの一方のスクロール部材(36)」とあったものが、付加した構成要素(c)中の「第1及び第2のスクロール部材のうちの一方のスクロール部材(36)」と同一のものであることから、「上記した一方のスクロール部材(36)」と訂正するものである。
▲5▼及び▲7▼は、構成要素(h)を付加したことに伴う文末の整理に係る。
したがって、▲2▼乃至▲7▼の各訂正は、明りょうでない記載の釈明に相当し、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
(2) 訂正事項bについて
▲1▼及び▲2▼は、原記載中の「前記した一方のスクロール部材(36)を軸線方向で若干量だけ移動可能に支持してあり」といった事項を、本事項が特許請求の範囲第1項において特定されたことからする訂正に係り、原記載中の「前記した一方のスクロール部材(36)を軸線方向で若干量だけ移動可能に支持してあり」を削除し、この削除に伴い「該一方のスクロール部材」を「前記した一方のスクロール部材」と訂正するものである。
したがって、▲1▼及び▲2▼の各訂正は、明りょうでない記載の釈明に相当し、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
(3) 訂正事項cについて
▲1▼は、特許請求の範囲第1項の訂正に伴い、特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載との整合を図るためのものである。
▲2▼は、特許請求の範囲第1項の訂正に伴い、特許請求の範囲第1項に特定された発明の効果の記載を補充するためのものである。補充された効果は、当該構成が示されれば当業者が当然に予測できる自明の事項に係る。
▲3▼は、特許請求の範囲第2項の訂正に伴い、特許請求の範囲第2項と発明の詳細な説明の記載との整合を図るためのものである。
▲4▼乃至▲12▼は、何れも特許請求の範囲第1項の訂正に伴い原実施例中、非旋回スクロール部材36を支架手段により圧縮機ボデー30に対し接続する支架方式のものは発明の範囲に含まれるが外殻12に対し接続する支架方式のものは発明の範囲に含まれないことになったことから、前者の支架方式のもののみを実施例とし後者の支架方式のものは参考例として区別するためのものである。
したがって、▲1▼乃至▲12▼の各訂正は、明りょうでない記載の釈明に相当し、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
(4) 訂正事項dについて
▲1▼乃至▲9▼は、実施例と参考例とを区別するためのものである。
したがって、▲1▼乃至▲9▼の各訂正は、明りょうでない記載の釈明に相当し、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
3 独立特許要件の判断
(1) 訂正発明の要旨
訂正後の発明(以下単に「訂正発明」という。)の要旨は、訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の第1項に記載されたとおりの下記のものであると認める。
「スクロール式圧縮機であって、
(a)軸線方向に沿うほぼ円筒形の側壁とこの側壁の両端部を封鎖する2つの端部壁とを有する密閉外殻(12)、
(b)この外殻(12)内に配置されていてそれぞれが螺旋翼(35,37)を有する第1及び第2のスクロール部材(34,36)であって、軸線方向で互いに向き合わせて配置され上記両螺旋翼を、両スクロール部材間の相対旋回運動により該両スクロール部材の中心部に向けて容積を減少して行く流体ポケットが両螺旋翼(35,37)間に形成されるように噛合わせてある第1及び第2のスクロール部材(34,36)、
(c)上記外殻(12)内に配置され該外殻によって支持されている静止ボデー(30)であって、第1及び第2のスクロール部材のうちの一方のスクロール部材(36)に対し他方のスクロール部材(34)が旋回可能であるように該他方のスクロール部材を支持する静止ボデー(30)、
(d)上記した一方のスクロール部材(36)を上記静止ボデー(30)に対し、該一方のスクロール部材が他方のスクロール部材(34)に対し相対的に軸線方向に沿い若干量だけ移動可能であるように支架する支架手段(150,152,154,158,162,164,166;450,452,454)であって、一方のスクロール部材(36)を静止ボデー(30)に対し、該スクロール部材が軸線方向では移動可能であるが放射方向及び周方向では移動不能であるように接続する支架手段(150,152,154,158,162,164,166;450,452,454)、
(e)上記外殻(12)内をこの外殻の一端部付近で横切る部分を有し外周端で外殻に対し密封的に取付けてある覆い部材(58)であって、外殻(12)内の一端部に吐出室(72)を区画形成する覆い部材(58)、
(f)上記した一方のスクロール部材(36)の中心部に設けてある吐出口(41)であって、上記覆い部材(58)中の開口(68)を介し両スクロール部材(34,36)の中心部と上記吐出室(72)間を連通させる吐出口(41)、
(g)上記外殻(12)内の吸入圧力領域と上記吐出室(72)間を密封するためのシール手段(180)であって、上記した一方のスクロール部材(36)と上記覆い部材(58)間に配設してあるシール手段(180)、及び
(h)上記した一方のスクロール部材(36)と上記覆い部材(58)間に形成された少なくとも1つの流体室であって、該一方のスクロール部材を他方のスクロール部材(34)に向けて軸線方向で移動付勢するための、吸入圧力よりも高い圧力の流体を収容する流体室、
を備えたスクロール式圧縮機。」
(2) 引用刊行物
これに対して、上記取消しの理由に引用した先願1(実願昭61-27552号(実開昭62-141688号のマイクロフィルム参照)及び先願2(実願昭61-27553号(実開昭62-141689号のマイクロフィルム参照)の願書に最初に添付した明細書又は図面並びに刊行物1(米国特許第3874827号明細書)、刊行物2(特開昭55-81295号公報)、刊行物3(特公昭57-49721号公報)、刊行物4(特開昭58-222901号公報)、刊行物5(実願昭58-10993号(実開昭59-117895号)のマイクロフィルム)、刊行物6(特開昭55-60687号公報)及び刊行物7(実願昭58-39791号(実開昭59-146581号)のマイクロフィルム)には、それぞれ以下の発明乃至技術的事項が記載されていると認める。
先願1及び先願2:
スクロール式圧縮機であって、
(a)軸線方向に沿うほぼ円筒形の容器ハウジング8とこの容器ハウジング8の両端部を封鎖する2つの上下ハウジング87,85とを有する密閉外殻、
(b)この外殻内に配置されていてそれぞれがうず巻き12,22を有する第1及び第2のスクロール部材1,2であって、軸線方向で互いに向き合わせて配置され上記両うず巻き12,22を、両スクロール部材1,2間の相対旋回運動により該両スクロール部材1,2の中心部に向けて容積を減少して行く流体ポケットが両うず巻き12,22間に形成されるように噛合わせてある第1及び第2のスクロール部材1,2、
(c)上記外殻内をこの外殻の一端部付近で横切る部分を有し外周端で外殻に対し密封的に取付けてある天板86であって、外殻内の一端部に吐出室となる高圧側の第2の空間14-1を区画形成する天板86、
(d)第1及び第2のスクロール部材1,2のうちの一方のスクロール部材1の中心部に設けてある吐出ポート13であって、上記天板86中の開口を介し両スクロール部材1,2の中心部と上記高圧側の第2の空間14-1問を連通させる吐出ポート13、及び
(e)上記外殻内の吸入圧力領域と上記高圧側の第2の空間14-1間を密封するためのシール材14-2であって、上記した一方のスクロール部材1と上記天板86間に配設してあるシール材14-2、
を備えたスクロール式圧縮機。
刊行物1:
スクロール式圧縮機において、
一方のスクロール部材29をハウジング底板40に対し、該一方のスクロール部材29が他方のスクロール部材25に対し相対的に軸線方向に沿い若干量だけ移動可能であるように支架するゴム製のディスク120からなる支架手段であって、一方のスクロール部材29をハウジング底板40に対し、該スクロール部材が軸線方向及び放射方向で移動可能であるように接続する支架手段と、該一方のスクロール部材29を他方のスクロール部材25に向けて軸線方向で移動付勢するための、吸入圧力よりも高い圧力の流体を収容する流体室とを設けること。
刊行物2乃至刊行物5:
スクロール式圧縮機において、
一方のスクロール部材を他方のスクロール部材に対し相対的に軸線方向に沿い若干量だけ移動可能であるように配設すると共に該一方のスクロール部材を他方のスクロール部材に向けて軸線方向で移動付勢するための、吸入圧力よりも高い圧力の流体を収容する流体室を設けること。
刊行物6:
スクロール式圧縮機であって、
(a)軸線方向に沿う円筒側壁13とこの円筒側壁13の両端部を封鎖する2つのエンドプレート11,12とを有する密閉外殻、
(b)この外殻内に配置されていてそれぞれがうず巻体242,252を有する第1及び第2のスクロール部材24,25であって、軸線方向で互いに向き合わせて配置され上記両うず巻体242,252を、両スクロール部材24,25間の相対旋回運動により該両スクロール部材24,25の中心部に向けて容積を減少して行く流体ポケットが両うず巻体242,252間に形成されるように噛合わせてある第1及び第2のスクロール部材24,25、
(c)上記外殻内をこの外殻の一端部付近で横切る部分を有し外周端で外殻に対し密封的に取付けてある側面板131であって、外殻内の一端部に吐出室121を区画形成する側面板131、
(d)第1及び第2のスクロール部材24,25のうちの一方のスクロール部材25の中心部に設けてある貫通孔253であって、上記側面板131中の吐出口31を介し両スクロール部材24,25の中心部と上記吐出室121間を連通させる貫通孔253、及び
(e)上記外殻内の吸入圧力領域と上記吐出室121間を密封するための環状弾性体32であって、上記した一方のスクロール部材25と上記側面板131間に配設してある環状弾性体32、
を備えたスクロール式圧縮機。
刊行物7:
スクロール式圧縮機であって、
(a)軸線方向に沿うほぼ円筒形の側壁とこの側壁の両端部を封鎖する2っの端部壁とを有する密閉外殻、
(b)この外殻内に配置されていてそれぞれが螺旋翼を有する第1及び第2のスクロール部材であって、軸線方向で互いに向き合わせて配置され上記両螺旋翼を、両スクロール部材間の相対旋回運動により該両スクロール部材の中心部に向けて容積を減少して行く流体ポケットが両螺旋翼間に形成されるように噛合わせてある第1及び第2のスクロール部材、
(c)上記外殻内をこの外殻の一端部付近で横切る部分を有し外周端で外殻に対し密封的に取付けてある覆い部材であって、外殻内の一端部に吐出室を区画形成する覆い部材、
(d)第1及び第2のスクロール部材のうちの一方のスクロール部材の中心部に設けてある吐出口であって、上記覆い部材中の開口を介し両スクロール部材の中心部と上記吐出室間を連通させる吐出口、及び
(e)上記外殻内の吸入圧力領域と上記吐出室間を密封するためのシール手段であって、上記した一方のスクロール部材と上記覆い部材間に配設してあるシール手段、を備えたスクロール式圧縮機。
(3) 対比・判断
訂正発明と先願1及び先願2の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載の発明並びに刊行物1乃至刊行物7記載の発明乃至技術的事項とを対比すると、各先願明細書又は図面に記載の発明並びに各刊行物記載の発明乃至技術的事項は、部分的に訂正発明と共通する構成を備えているものの、いずれも訂正発明の必須構成である「上記した一方のスクロール部材を上記静止ボデーに対し、該一方のスクロール部材が他方のスクロール部材に対し相対的に軸線方向に沿い若干量だけ移動可能であるように支架する支架手段であって、一方のスクロール部材を静止ボデーに対し、該スクロール部材が軸線方向では移動可能であるが放射方向及び周方向では移動不能であるように接続する支架手段」を備えていない。
そして、訂正発明は、上記構成を備えることによって訂正明細書記載の「静止ボデー(30)は両スクロール部材を支持するための単一の支持部材として機能し、このように単一の支持部材により両スクロール部材を支持させる構成によって軸線方向で可動の一方のスクロール部材を、他方のスクロール部材に対し放射方向でも周方向でも精密に位置決めして支持できる。このため他方のスクロール部材との関係位置を精密としつつ一方のスクロール部材を支持するための精密仕上げの支持面ないし支承面を、大寸法の外殻(12)の内面上に設ける必要がなく、単一の支持部材である静止ボデー(30)の強度ないし剛性さえ確保しておけば外殻に局部的な変形を生じても該外殻とは無関係に両スクロール部材の相互位置関係が精密に維持され、外殻は圧縮機稼働時の内部圧力に耐える強度のものであれば足りる。」という効果を奏するものである。
したがって、訂正発明は、先願1又は先願2の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載の発明、または、刊行物1乃至刊行物7記載の発明乃至技術的事項と同一であるとすることができないだけでなく、刊行物1乃至刊行物7記載の発明乃至技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることもできず、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
4 むすび
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する同法第126条第2項から第4項の規定に適合するので当該訂正を認める。
第3 特許異議の申立てについての判断
1 特許異議申立ての理由の概要
特許異議申立人江上純忠は、上記先願1及び先願2並びに刊行物1乃至刊行物7に対応する甲第1号証乃至甲第9号証を提出して、本件特許発明は、甲第1号証又は甲第2号証の出願に係る願書に最初に添付した明細書又は図面に記載の発明と、また、甲第8号証又は甲第9号証記載の発明と同一であり、さらに、甲第3号証乃至甲第9号証記載の発明乃至技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条又は第29条の2の規定に違反して特許されたものであり取り消されるべきものである旨主張している。
2 特許異議申立人の主張の検討
上記第2の4に示すように本件特許については明細書の訂正が認められており、訂正された本件特許発明は、上記第2の3に示すように甲第1号証又は甲第2号証の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載の発明、または、甲第3号証乃至甲第9号証記載の発明乃至技術的事項と同一であるとすることができないだけでなく、甲第3号証乃至甲第9号証記載の発明乃至技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることもできない。
3 むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立人の主張する特許異議申立ての理由及び提出した証拠によっては、本件特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
スクロール式圧縮機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 スクロール式圧縮機であって、
(a)軸線方向に沿うほぼ円筒形の側壁とこの側壁の両端部を封鎖する2つの端部壁とを有する密閉外殻(12)、
(b)この外殻(12)内に配置されていてそれぞれが螺旋翼(35,37)を有する第1及び第2のスクロール部材(34,36)であって、軸線方向で互いに向き合わせて配置され上記両螺旋翼を、両スクロール部材間の相対旋回運動により該両スクロール部材の中心部に向けて容積を減少して行く流体ポケットが両螺旋翼(35,37)間に形成されるように噛合わせてある第1及び第2のスクロール部材(34,36)、
(c)上記外殻(12)内に配置され該外殻によって支持されている静止ボデー(30)であって、第1及び第2のスクロール部材のうちの一方のスクロール部材(36)に対し他方のスクロール部材(34)が旋回可能であるように該他方のスクロール部材を支持する静止ボデー(30)、
(d)上記した一方のスクロール部材(36)を上記静止ボデー(30)に対し、該一方のスクロール部材が他方のスクロール部材(34)に対し相対的に軸線方向に沿い若干量だけ移動可能であるように支架する支架手段(150,152,154,158,162,164,166;450,452,454)であって、一方のスクロール部材(36)を静止ボデー(30)に対し、該スクロール部材が軸線方向では移動可能であるが放射方向及び周方向では移動不能であるように接続する支架手段(150,152,154,158,162,164,166;450,452,454)、
(e)上記外殻(12)内をこの外殻の一端部付近で横切る部分を有し外周端で外殻に対し密封的に取付けてある覆い部材(58)であって、外殻(12)内の一端部に吐出室(72)を区画形成する覆い部材(58)、
(f)上記した一方のスクロール部材(36)の中心部に設けてある吐出口(41)であって、上記覆い部材(58)中の開口(68)を介し両スクロール部材(34,36)の中心部と上記吐出室(72)間を連通させる吐出口(41)、(g)上記外殻(12)内の吸入圧力領域と上記吐出室(72)間を密封するためのシール手段(180)であって、上記した一方のスクロール部材(36)と上記覆い部材(58)間に配設してあるシール手段(180)、及び
(h)上記した一方のスクロール部材(36)と上記覆い部材(58)間に形成された少なくとも1つの流体室であって、該一方のスクロール部材を他方のスクロール部材(34)に向けて軸線方向で移動付勢するための、吸入圧力よりも高い圧力の流体を収容する流体室、
を備えたスクロール式圧縮機。
【請求項2】 前記覆い部材(58)と前記シール手段(180)とが互いに協力して、前記した一方のスクロール部材(36)を他方のスクロール部材(34)に向けて軸線方向で移動付勢するための、吐出圧力の流体を収容する流体室を区画形成している請求項1のスクロール式圧縮機。
【請求項3】 前記した一方のスクロール部材(36)が中心部に、放射方向でみて前記吐出口(41)を取囲むと共に軸線方向で前記覆い部材(58)向きに延出する円筒状突起部(178)を有していて、前記流体室の一部が該円筒状突起部の内部に位置している請求項2のスクロール式圧縮機。
【請求項4】 前記円筒状突起部(178)を、前記覆い部材(58)に対し摺動可能に嵌め合わせてある請求項3のスクロール式圧縮機。
【請求項5】 前記覆い部材(58)を、その外周端で前記外殻(12)に対し連続して溶着し接合してある請求項1のスクロール式圧縮機。
【請求項6】 前記した外殻(12)の側壁と端部壁とを互いに、永久的に接合してある請求項1のスクロール式圧縮機。
【請求項7】 前記覆い部材(58)と前記した外殻(12)の側壁及び一端部の端部壁を、溶着して接合してある請求項6のスクロール式圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はスクロール式機械、特に密閉型のスクロール式圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
種々のタイプの流体を輸送するための機械として一般に「スクロール」式機械と称されている部類の機械がある。この種の機械は流体膨張機(expander)、輸送機関(displacement engine)、ポンプ、圧縮機等として具体化できる。
【0003】
スクロール式機械は一般的に言って、それぞれ各別の端板上にスクロール部材を形成するように支架してある類似形状の2個の螺旋状スクロール翼(scroll wrap)を、備えている。2個のスクロール部材は、一方のスクロール翼が他方のスクロール翼から180。回転変位されるように、互いに嵌め合されている。この機械は、一方のスクロール部材(「旋回スクロール」)を他方のスクロール部材(「固定スクロール」ないし「非旋回スクロール」)に対し相対的に、それぞれの翼の側面(flank)間で移動する線接触がなされて移動する孤立した三日月状の流体受容ポケットが形成されるように、旋回させることによって作動する。螺旋は一般に円の伸開線(involutes of a circle)として形成されており、作動中にスクロール部材間の相対回転が何ら生じないこと、つまり運動が純粋な曲線並進(curvilinear translation)(すなわち何らの線も回転しない。)となることが、理想的である。流体受容ポケットは処理すべき流体を、流体入口が設けられているところのスクロール機械の第1の領域から流体出口が設けられているところのスクロール機械の第2の領域へと運ぶ。密封されている流体受容ポケットの容積は、同ポケットが第1の領域から第2の領域へと移動するにつれて変化する。如何なる瞬間においても少なくとも1対の密封された流体ポケットがあり、同時に複数対の流体受容ポケットが存在するときは各対が異なる容積をもつ。圧縮機では、第2の領域が第1の領域よりも高い圧力にあって物理的に機械の中心部に位置させてあり、第1の領域は機械の外周部に位置させてある。
【0004】
スクロール部材間に形成される流体受容ポケットは、2型式の接触によって付与される。すなわちそのうちの一つは放射方向の力によって生ぜしめられる翼螺旋面間の軸線方向に沿う接線接触であり(側面密封-flank sealing)、他の一つは各翼の平坦な縁先(翼先-tips)とそれに対向位置する端板との間に軸線方向の力によって生ぜしめられる面接触である(翼先密封-tip sealing)。高効率を得るためには両型式の接触について良好な密封を達成しなければならない。
【0005】
スクロール式の機械の概念は一定の期間にわたって公知であって来たものであり、同機械は独特の長所を有するものと認識されて来ている。例えばスクロール式機械は高い等エントロピー効率及び容積効率を有し、これよりして所与の容積(能力)のものとするとき比較的小型で軽量となる。また同機械は、大きな往復動部品(例えばピストン、連接棒等)を用いないことからして多くの他の圧縮機よりも静かに動作すると共に振動が少なく、また全ての流体流れが複数個の対向するポケット内での同時的な圧縮を伴いつつ一方向に行われることからして圧力により生ぜしめられる振動がより少ない。この機械はまた、利用される可動部品の個数が比較的少ないこと、スクロール間の運動速度が比較的小さいこと、及び流体汚染から受ける影響が少ないといった流体汚染に対する固有の寛大さを有することからして、高い信頼性と高寿命とを持たせ易い。
【0006】
スクロール式機械を設計する上で困難である問題の一つは全ての運転条件下で、そして速度可変の機械の全ての速度において、翼先密封を達成する技術に係る。普通この問題は、(1)極めて精密で非常に高価につく機械加工技術を用いるか、(2)螺旋形の翼先シール部材を備える翼先を設けるか(翼先シール部材は不運なことに、組立てを困難とすると共に信頼性を損なうことが多い。)、或いは(3)圧縮された作動流体を用いて旋回スクロールを非旋回スクロール向きに軸線方向で付勢することで軸線方向の復帰力(restoring force)を加えるかによって、解決されて来ている。
【0007】
上記(3)の技術はいくつかの長所を有するも、次のような問題点を備えている。すなわち軸線方向の離間力(separating force)と釣合わせるように復帰力を加えることに加えて、圧力により生ぜしめられる放射方向の力並びに旋回運動から結果する慣性荷重(これらは何れも速度に依存して変動する。)に原因してスクロール部材に生じる転倒動(tipping movement)を平衡させることも必要である。したがって軸線方向の平衡力ないし釣合い力を比較的大きくせねばならず、またそのような力は単一速度に対してのみ最適したものとなる。
【0008】
密閉外殻を備えるスクロール式圧縮機では一般に消音室を兼ねた吐出室が、外殻の一端部内に設けられスクロール中心部の高吐出圧力領域に対し連通させてある。この吐出室は外殻内の低吸入圧力領域に対し密封されなければならないが、そのためには一般に吐出室を区画形成する諸部品を精密に機械加工する必要がある。この必要性は、翼先密封のために軸線方向で若干可動に支持したスクロール部材を移動付勢する構造を採用する場合、一層高められる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の主な目的は、吐出室を精密な機械加工の必要性なしに吸入圧力領域から密封できることする経済的な吐出室形成構造を備えた密閉型のスクロール式圧縮機を、提供することである。またこの発明は同吐出室形成構造によって、翼先密封のための単純なスクロール付勢構造の採用を可能とすることも、狙いとしている。
【0010】
【発明の要約】
この発明はスクロール式圧縮機に係り、同圧縮機は、
(a)軸線方向に沿うほぼ円筒形の側壁とこの側壁の両端部を封鎖する2つの端部壁とを有する密閉外殻(12)、
(b)この外殻(12)内に配置されていてそれぞれが螺旋翼(35,37)を有する第1及び第2のスクロール部材(34,36)であって、軸線方向で互いに向き合わせて配置され上記両螺旋翼を、両スクロール部材間の相対旋回運動により該両スクロール部材の中心部に向けて容積を減少して行く流体ポケットが両螺旋翼(35,37)間に形成されるように噛合わせてある第1及び第2のスクロール部材(34,36)、
(c)上記外殻(12)内に配置され該外殻によって支持されている静止ボデー(30)であって、第1及び第2のスクロール部材のうちの一方のスクロール部材(36)に対し他方のスクロール部材(34)が旋回可能であるように該他方のスクロール部材を支持する静止ボデー(30)、
(d)上記した一方のスクロール部材(36)を上記静止ボデー(30)に対し、該一方のスクロール部材が他方のスクロール部材(34)に対し相対的に軸線方向に沿い若干量だけ移動可能であるように支架する支架手段(150,152,154,158,162,164,166;450,452,454)であって、一方のスクロール部材(36)を静止ボデー(30)に対し,該スクロール部材が軸線方向では移動可能であるが放射方向及び周方向では移動不能であるように接続する支架手段(150,152,154,158,162,164,166;450,452,454)、
(e)上記外殻(12)内をこの外殻の一端部付近で横切る部分を有し外周端で外殻に対し密封的に取付けてある覆い部材(58)であって、外殻(12)内の一端部に吐出室(72)を区画形成する覆い部材(58)、
(f)上記した一方のスクロール部材(36)の中心部に設けてある吐出口(41)であって、上記覆い部材(58)中の開口(68)を介し両スクロール部材(34,36)の中心部と上記吐出室(72)間を連通させる吐出口(41)、
(g)上記外殻(12)内の吸入圧力領域と上記吐出室(72)間を密封するためのシール手段(180)であって、上記した一方のスクロール部材(36)と上記覆い部材(58)間に配設してあるシール手段(180)、及び
(h)上記した一方のスクロール部材(36)と上記覆い部材(58)間に形成された少なくとも1つの流体室であって、該一方のスクロール部材を他方のスクロール部材(34)に向けて軸線方向で移動付勢するための。吸入圧力よりも高い圧力の流体を収容する流体室、
を備えたものに、構成される。外殻(12)に対する覆い部材(58)の密封的な取付けは例えば、該覆い部材の外周端を外殻に対し連続して溶着し接合することで、得ることができる。
【0011】
この発明に係るスクロール式圧縮機は外殻(12)内を該外殻の一端部付近で横切る部分を有する覆い部材(58)を、その外周端で外殻に対し密封的に取付けて、この覆い部材により外殻内の一端部に吐出室(72)を区画形成させ、スクロール中心部の吐出口(41)を吐出室に対し連通させるための開口(68)を該覆い部材中に設けることにより、外周端で外殻(12)に対し密封的に取付けた覆い部材(58)と上記一方のスクロール部材(38)との間にさえシール手段を設ければ、外殻内の吸入圧力領域から吐出室(72)が密封されることとした上で、実際にそのようなシール手段(180)を設けて吐出室の必要な密封を得るように構成されたものであり、同シール手段は単一の可撓性環状シールに形成できて、覆い部材及びスクロール部材に精密な機械加工を施さずとも所期の密封を得させる。そしてこの発明は一方のスクロール部材(36)を他方のスクロール部材(34)に対し相対的に軸線方向で移動可能に支持すると共に、上記覆い部材(58)を利用し該覆い部材と一方のスクロール部材(36)間に一方のスクロール部材を他方のスクロール部材(34)に向けて軸線方向で移動付勢するための、吸入圧力よりも高い圧力の流体を収容する少なくとも1つの流体室を形成して,この流体室内の流体により一方のスクロール部材を他方のスクロール部材に向けて移動付勢することで翼先密封を得ているのであるが、上記のように一方のスクロール部材を軸線方向で可動に支持することを、他方のスクロール部材を相対旋回可能に支持する静止ボデー(30)に対し該一方のスクロール部材を支架する支架手段(150,152,154,158,162,164,166;450,452,454)であって一方のスクロール部材が他方のスクロール部材に対し相対的に軸線方向では移動可能であるが放射方向及び周方向では移動不能であるように、一方のスクロール部材を静止ボデーに対し接続する支架手段を、設けることによって得ている。したがって静止ボデー(30)は両スクロール部材を支持するための単一の支持部材として機能し,このように単一の支持部材により両スクロール部材を支持させる構成によって軸線方向で可動の一方のスクロール部材を、他方のスクロール部材に対し放射方向でも周方向でも精密に位置決めして支持できる。このため他方のスクロール部材との関係位置を精密としつつ一方のスクロール部材を支持するための精密仕上げの支持面ないし支承面を、大寸法の外殻(12)の内面上に設ける必要がなく、単一の支持部材である静止ボデー(30)の強度ないし剛性さえ確保しておけば外殻に局部的な変形を生じても該外殻とは無関係に両スクロール部材の相互位置関係が精密に維持され、外殻は圧縮機稼働時の内部圧力に耐える強度のものであれば足りる。
【0012】
吐出室を形成するための覆い部材(58)を、外殻(12)内の一端部に固定配置してあること、そして外殻内の吸入領域と吐出室(72)間を密封するためのシール手段(180)を、上記一方のスクロール部材(36)と覆い部材(78)間に配設してあることによって、翼先密封のための単純なスクロール付勢構造を採用できる。すなわちシール手段(180)により吸入圧力領域から密封された流体通路部であって吐出圧力の流体を吐出室(72)方向に導く流体通路部が、覆い部材中心部の開口(68)によって形成されるから、この流体通路部を利用して、前記のように軸線方向で若干量だけ移動可能に支持してある一方のスクロール部材(36)を他方のスクロール部材(34)に向けて移動付勢するための、吐出圧力の流体を収容する流体室を、覆い部材(58)とシール手段(180)により区画形成させるのである。このスクロール部材付勢構造は吐出室形成のための構造に他の何らの部材を付加することのない単純なものであり、両スクロール螺旋翼間の流体ポケット内の圧縮流体の圧力が比較的高く両スクロール部材間に比較的大きな軸線方向の離間力が作用するスクロール中心領域において、翼先密封を促進する。
【0013】
上述した翼先密封のためのスクロール付勢構造を採用する場合さらに、上記一方のスクロール部材(36)の中心部に、放射方向でみて前記吐出口(41)を取囲むと共に軸線方向で上記覆い部材(58)向きに延出する円筒状突起部(178)を設けて、上記流体室の一部を、該円筒状突起部(178)の内部に位置させるのが好ましい。本構造によると吐出圧力の流体圧が加わる、上記スクロール部材(36)の受圧面積がほぼ、円筒状突起部の内底面の面積から吐出口(41)の面積を差引いた値のものとなり、円筒状突起部(178)径の寸法設定により受圧面積を選択できることになる。
【0014】
上記円筒状突起部(178)は、覆い部材(58)に対し摺動可能に嵌め合わすことができる。その場合、前記シール手段(180)を該嵌め合い部で円筒状突起部と覆い部材間に配置できる。
【0015】
【実施例】
この発明の1実施例に係る密閉型のスクロール式圧縮機を、図1-17に示してある。図示の圧縮機は、空調及び冷凍システム用の冷媒を圧縮するのに特に有用である。
【0016】
図1-3において、図示の機械は3つの主要な包括的ユニット、つまり円筒形の鋼製外殻12内に収容された中央組立体10と外殻12の上端及び下端にそれぞれ溶着された上部組立体14及び下部組立体16を、備える。外殻12は機械の主要な構成要素を収容するもので、外殻12に圧嵌めされた固定子20(通例の捲線22と保護部材23を備える。)及びクランク軸28上に熱収縮嵌めされた回転子24を有する電動モータ18、及び周方向において間隔をあけた複数位置で外殻12に対し溶着32されている圧縮機ボデー30を内装し、また標準的な所望の側面形状及び翼先33のスクロール翼35を有する旋回スクロール部材34、通例の2重構造の上部クランク軸々受39、通常の態様で上記スクロール翼35と係合する標準的な所望の側面形状(望ましくはスクロール翼35の側面形状と同一の側面形状)及び翼先31を有し軸線方向の変位性をもつ非旋回スクロール部材36、このスクロール部材36中の吐出口41、スクロール部材34と圧縮機ボデー30間に介装されてスクロール部材34の回転を阻止するオルダムリング38、外殻12に半田付け或いは溶着された吸入口管40、吸入ガスを圧縮機の入口へと誘導するための吸入ガス誘導用組立体42、両端部で外殻12に対し溶着46された下部軸受支持ブラケット44、及びこの支持ブラケット44に支持されてクランク軸28の下端部分を支承している下部クランク軸々受48を、内部に含んでいる。圧縮機の低端は、潤滑油49で満たされた油溜めを構成している。
【0017】
下部組立体16は単純な鋼製鍛造成形部50を備え、この鍛造成形部50は複数本の脚52と穴開けされた複数個の据付けフランジ部54を有している。鍛造成形部50は外殻12に溶着56されて、外殻12の低端を閉鎖し密封している。
【0018】
上部組立体14は吐出ガス消音器を構成するもので、外殻12の上端に溶着60されて該外殻12の上端を閉鎖し密封している鍛造成形された鋼製覆い部材58を備えている。この覆い部材58は、穴開けされた保持突起64(図3)を突出させてあるところの直立する環状フランジ62を外周端に備えると共に、複数個の開口68を周壁に有するシリンダ室66を中央部に区画形成している。覆い部材58の堅牢度を高めるため該覆い部材58には、複数の凹凸ないし隆起付け領域70が設けられている。覆い部材58の上方には環状のガス吐出室72が、外周端でフランジ62に対し溶着76されると共に内周端でシリンダ室66の外壁面へと溶着78されている環状消音器部材74によって区画形成されている。吐出口41からの圧縮ガスは開口68を通って室72へと入り、そこから通常、消音器部材74の壁に半田付け或いはろう付けされている吐出口管80を経て吐出される。過剰圧力が生じたときに吐出ガスを外殻12中へと抜くために通例の内部圧力リリーフ弁装置82を、覆い部材58中の適当した開口中に組込むことができる。
【0019】
圧縮機の主要部について説明して行くと、電動モータ18によって回転駆動されるクランク軸28は下端部に、軸受48に支承されている径縮小軸受面84を有し、この軸受面84上端の肩部は圧力ワッシャ85(図1,2,17)によって受けられている。軸受48の下端は油入口通路86と異物除去通路88とを有する。前記支持ブラケット44は図示の形状に成形され、強度及び剛性を高めるべく直立状の側方突縁90を設けられている。軸受48の下端は潤滑油49に浸漬されて潤滑されており、また潤滑油は圧縮機の他部に、中心の油通路92及び該油通路92に連通しクランク軸28の上端へと延びているところの偏心し放射方向外向きに傾斜している油供給通路94を備える通常の遠心クランク軸ポンプによって給送される。油供給通路94から横向きの通路96が、上部クランク軸々受39中の周方向溝98中へと延びていて軸受39の潤滑のために利用されている。クランク軸28には下部カウンタウェイト97と上部カウンタウェイト100とが適当した方法、例えば出張り26上の突起(図示せず)へと嵌着するといった方法で、取付けられている。これらのカウンタウェイト97,100はスクロール式機械用の普通の型式のものである。
【0020】
旋回スクロール部材34は端板102を備え、この端板102は実質的に平行する上面104及び下面106を有していて、下面106は圧縮機ボデー30上の平坦な環状スラスト軸受面108に摺動可能に係合している。スラスト軸受面108は、クランク軸28内の通路94から通路96及び溝98を介して油を受取る環状溝110によって潤滑される。図15に示すように溝98は軸受39中の他の溝112とも連通しており、該他の溝112は圧縮機ボデー30中の交差する通路114及び116へと油を供給する。スクロール翼37の翼先31は端板102の上面104に対し密封的に係合しており、またスクロール翼35の翼先33はスクロール部材36の平坦面117に対し密封的に係合している。
【0021】
スクロール部材34から一体的に、軸線方向穴120を有するハブ118を下方向きに延出させてあり、穴120には円筒状の駆動ブッシュ122を回転可能に支承させてある。この駆動ブッシュ122は、クランク軸28の上端に一体形成された偏心クランクピン126を駆動可能に嵌合してある軸線方向穴124を有する。駆動機構は放射方向で撓み性のものであり、図16に示すようにクランクピン126は、穴124の周壁中にはめ込まれた平らな差込みベアリング130に対し摺動可能に係合するところのピン126上の平坦面128を介してブッシュ122を駆動する。クランク軸28の回転によりブッシュ122はクランク軸28の軸線まわりで回転せしめられ、これによりスクロール部材34が円形旋回径路に沿い動かされる。駆動用の上記平坦面128の角度は、駆動時に旋回スクロールに対し若干の遠心力成分ないし分力が付与されそれによって側面シールが高められるように、設定されている。穴124は円筒状に形成されているが、クランクピン126とブッシュ122間の制限された相対摺動変位を許容するように横断面形状を僅かに長円状としてあって、これにより圧縮機中に液体或いは固体が侵入したときに自動的な分離、そして互いに噛合うスクロール翼側面の負荷軽減が可能となっている。
【0022】
放射方向で撓み得る旋回駆動機構は、改良された油供給機構を利用して潤滑される。油はクランク軸28内の中心の油通路92から偏心する油通路94の頂端にまで吸引され、そこから図16に破線125で示すように遠心力によって放射方向外向きに投げ出される。油はブッシュ122の頂部に位置させた放射方向溝131とされている凹み中に、径路125に沿い集められる。ここから油は下方向きにクランクピン126と穴124間の空隙中へ、そして溝131と整列させてブッシュ122の外周面に形成してある平坦面133と穴120間へと、流れる。過剰の油は圧縮機ボデー30中の通路135を介して油溜め49へと排出される。
【0023】
圧縮機ボデー30及びスクロール部材36に対するスクロール部材34の相対回転は、オルダム継手によって阻止される。このオルダム継手はリング38(図13,14)を備え、該リング38は一直径線上で対向位置する2個の下方向き突出の一体的なキー134を有し、該2個のキー134は一直径線上で対向位置させて圧縮機ボデー30に設けられている2個の放射方向の溝穴136中に摺動可能に臨ませてある。リング38はまた、上記した2個のキー134と90度位相をずらして配置され一直径線上で対向位置させてある2個の上方向き突出の一体的なキー138も有し、該2個のキー138は一直径線上で対向位置させてスクロール部材34に設けられている2個の放射方向の溝穴140(そのうちの1個が図1に示されている。)中に摺動可能に臨ませてある。
【0024】
リング38は独特の形状のものであり、それによって所与の機械全体寸法(横断面寸法)では最大寸法のスラスト軸受を使用することが、そして所与の寸法のスラスト軸受に対しては最小寸法の機械とすることが、それぞれ可能となる。これはオルダムリングが圧縮機ボデーに対し直線内で動くといった有利な事実、したがって該リングにスラスト軸受の周縁を通り越すように最小の内側寸法を有するほぼ長円形ないし「競走トラック(race-track)」形を備えさせることによって、達成される。図13に示すようにリング38の内周壁は中心Xから半径Rの一端142と中心外の点Yから同一半径Rの対向端144を備え、中間の壁部は符号146及び148で指すように実質的に直線をなしている。中心点X及びYはスクロール部材34の旋回半径の2倍に等しい距離だけ互いに離れており、キー134及び放射方向溝穴136の中心を通る線上に位置させてある。また半径Rは、スラスト軸受面108の半径と予設定した最小限度の間隙との和に等しくされている。リング38の形状を除いて、オルダム継手は通例の構造のものである。
【0025】
この発明のより有意義な特徴の一つは、翼先密封のため軸線方向での圧力付勢を可能ならしめるべく上方の非旋回スクロール部材を、放射方向及び回転方向の動きを規制しつつ軸線方向での制限された動きを行えるように支持する独特の支架方式に存する。そのために好適した技術が図4-7、図9及び図12に示されている。図4は上部組立体14を取去った状態で圧縮機の頂部を示しており、また図5-7はその状態から順次、部品を取去った状態を図示している。圧縮機ボデー30の各側には1対宛の軸線方向に突出する支柱150があり、これらの支柱150は共通する水平面上にある平らな上面を有している。スクロール部材36は横向き配置の平坦な上面を有する周端のフランジ152を有し、これには支柱150を受入れるための凹溝154が形成されている(図6,7)。支柱150には軸線方向のねじ穴156を設けてあり、またフランジ152にはねじ穴156から等間隔宛をおいて対応する穴158が設けられている。
【0026】
支柱150の頂端には図6に図示の形状の平らな軟質金属製ガスケット160を配置してあり、このガスケット160の頂面上には図5に図示の形状の平らなばね鋼製の板ばね162を配置してあり、さらにこの板ばね162の頂面上には保持部材(リテーナ)164を配置してあって、これらの部品160-164はねじ穴156に螺合された締付具166によって一緒に締付け固定されている。板ばね162の両端は穴158内に配置の締付具168によって、フランジ152に取付けられている。スクロール部材36の他側も同様に支持されている。以上よりしてスクロール部材36は、板ばね162を(弾性限界内で)曲げ拡げることにより軸線方向で若干動くことができるが、回転変位及び放射方向での移動をなしえないように、支持されている。
【0027】
両スクロール部材が離間する向きでのスクロール部材36の最大移動は機械的なストッパにより、つまり保持部材164で裏打ちされている板ばね162の下面に対しフランジ152が(図6,7及び図12に図示のフランジ部分170でもって)接当することにより規制され、また反対向きへのスクロール部材36の最大移動は相対するスクロール部材の端板に対し翼先が接当することにより規制される。かかる機械的な移動規制機構は、例えば起動時のように軸線方向離間力の方が軸線方向復帰力よりも大きいといった稀な状態にあるときにもなお、圧縮機に圧縮作用を行わせる。機械的なストッパにより許容される最大の翼先空隙は、例えば直径が3-4インチ、翼高さが1-2インチであるスクロールについて0.005インチ以下といった、比較的小さいものとできる。
【0028】
最終の組立てに先立ちスクロール部材36は圧縮機ボデー30に対し、図4に示すようにボデー30及びフランジ152にそれぞれ設けられている位置決め穴172,174へと挿入可能なピンを有する取付け具(図示せず)を用いて正しく整列せしめられる。支柱150及びガスケット160には実質的に整列する端縁176を、その上方を通り越している板ばね162部分に対しほぼ垂直な方向に沿わせて、板ばね162に加わる応力を減らすべく設けてある。ガスケット160はまた、板ばね162に対する締付け荷重を分散させるようにも働く。製造を容易とするために板ばね162は、スクロール部材が最大の翼先空隙位置にある状態の下で(保持部材164に対して)非圧縮状態にあるように図られている。スクロール部材36の軸線方向移動の全範囲にわたって板ばね162中の応力が小さいことからしてしかし、板ばね162の当初の非圧縮状態の組込みはさほど厳密に行わなくともよい。
【0029】
重要なことは板ばね162が配置される横向きの面(水平面)、そして板ばね162が取付けられるところのボデー30及び非旋回スクロール部材36の各表面が噛合ったスクロール翼の中央点、つまり面104と面117とのほぼ中間点、を通る仮想横向き面内にほぼ配置されることである。これにより軸線方向の変位性を持つスクロール部材36のための支持手段が、放射方向で加わる圧縮流体圧、つまり螺旋翼の側面に対し放射方向で加わるところの圧縮ガスの圧力、によりスクロール部材36に対し作用する転倒モーメント(tipping moment)を最小とするように働きうる。この転倒モーメントを抑制しないとすれば、スクロール部材36の位置ずれないし分離が起きうる。転倒力を平衡させるための本方法は、軸線方向での圧力付勢を行う方法よりもずっと優れている。何故なら本方法によれば両スクロール部材を過剰付勢する可能性が減らされ、また翼先密封付勢を圧縮機の速度と実質的に無関係になし得るからである。軸線方向の離間力がクランク軸の中心に対し正確には加わらないといった事実からして小さな転倒運動は残りうるが、普通に遭遇する離間及び復帰力によるものと対比すればほとんど問題とならない。したがって旋回スクロール部材を軸線方向で付勢する技術と対比して、非旋回スクロール部材を軸線方向で付勢する技術は顕著な効果を奏させる。旋回スクロール部材を付勢する場合には放射方向の分離力による転倒運動、並びに速度に依存する慣性力による転倒運動を補償する必要があり低速で特に、平衡のための力が過剰になりがちである。
【0030】
上述のようにしてスクロール部材36を軸線方向で変位可能に支持することにより、翼先密封度を高めるための圧力付勢機構として極く単純なものを使用できることになる。圧力付勢は、吐出圧力または中間圧力、或いは該両圧力の組合せを反映した圧力の圧縮流体を用いることによって達成できる。図例では軸線方向付勢を、吐出圧力を用いて得ている。図1-3に示すようにスクロール部材36の頂端には、吐出口41を取り囲むと共に前記シリンダ室66内に摺動可能に配置されたピストン178を形成している円筒状壁部を設けてあり、シールを高めるためには可撓シール材180を設けてある。したがってスクロール部材36は、ピストン178によって付与されるところのスクロール部材36の頂端面積(より厳密にはそれから吐出口36の面積を減じた面積)に作用する吐出圧力の圧縮流体により、復帰方向に付勢されている。
【0031】
軸線方向の離間力はなかんずく機械の吐出圧力の関数であることからして、ほとんどの運転条件下で優れた翼先密封を得させるピストン面積(受圧面々積)を選択することが可能である。同面積は、通常の運転条件での稼働サイクルの何れの時にも両スクロール部材間の実質的な離間が起きないように選択される。また最大圧力状態(離間力最大時)で正味の軸線方向平衡力が最低となるようにするのが、最も望ましい。
【0032】
翼先密封に関しまた、端板面104,117の形状及びスクロール翼先31,33面の形状を若干変更することによって中断時間(break-in period)を最小としつつ有意義な動作改良を達成できることを見出した。各端板面104,117を極く僅かに凹ませ、翼先31,33面を類似の形状とする(つまり面31を面117に対しほぼ平行とし面33を面104に対しほぼ平行とする)のが、極めて望ましい。このような面形状を採用することは、最高圧力領域である機械中心領域で両スクロール部材間に初期の明白な軸線方向空隙が生じることからして、従来は考えられなかったところである。しかしながら中心領域はまた最高温度領域でもあることからして本領域では、上記の面形状を付与しないとすれば圧縮機の中心領域に過剰の摩耗を生じさせるような大きな熱膨張が生じることを見出した。初期の余分な空隙を付与することにより圧縮機は、稼働温度に到達すると最高の翼先密封状態に到達する。
【0033】
理論的には滑らかな凹面の方が良いけれども、段付き螺旋形状を有する面に形成して差支えないことを発見した。かかる形状の面は機械加工がより容易である。図10の11A-11A切断線及び11B-11B切断線に沿う断面をそれぞれ誇張して図示した図11の(A)及び(B)から見てとれるように、面104はほぼ平らではあるも、実際には螺旋段付き面182,184,186,188を有する形状に形成されており、また翼先面33も類似して螺旋段部190,192,194,196を備えた形状のものとされている。個々の段部はできるだけ小さくすべきで、その平坦さからの合計のずれはスクロール翼高さ及び使用素材の熱膨張係数に依存して決定される。例えば鋳鉄製スクロール部材を備える3翼機械では翼ないしベーン高さと軸線方向での合計の面ずれ量との比を3000:1から9000:1とすることができ、約6000:1の比が望ましいことを、見出した。所望の場合には面ずれ量の全体を一方のスクロール部材にのみ負担させてもよいと信じられるけれども、両スクロール部材に同一の端板及び翼先面形状をもたせるのが望ましい。段部をどこに位置させるかは、それらの段部が極く小さい(肉眼で見えない程度。)ことから、そして「ほぼ平坦」と言って差支えないような面部であることから、あまり問題とならない。この段付き面は、本願出願人を譲受人とする1983年7月25日付けの米国特許出願No.516,770(特開昭60-27796号に対応)に開示されているような段付き面、つまり機械の圧力比を高めるべく比較的大きな段部を形成されている面とは、大きく異なっている。
【0034】
運転に際し起動時の冷たい機械は、外周側部分では翼先密封を得させるが中心領域には軸線方向での空隙を有する。機械が稼働温度に到達するにつれて中心部の翼の熱膨張により、良好な翼先密封が得られるまでに軸線方向空隙が減ぜしめられる。かかる翼先密封は前述した圧力付勢によって促進される。初期の軸線方向での面ずれが無いとすれば、機械の中心部での熱膨張により外周側の翼の軸線方向での分離が起きて良好な翼先密封が得られなくなる。
【0035】
図示の圧縮機にはまた、外殻12内に入った吸入ガスを圧縮機自体の入口へと直接に導くための改良された手段が設けられている。かかる手段は入口吸入流体からの油の分離を容易とし、また入口吸入流体が外殻12の内部に分散された油をひろいあげるのを防止する。さらに吸入ガスが電動モータ18から不必要な熱を採り込むことを防止して、容積効率の低下を生じさせないこととする。
【0036】
前記の吸入ガス誘導用組立体42はシートメタル製のバッフル(邪魔板)200を備え、このバッフル200は周方向で間欠配置の鉛直な突縁部202でもって外殻12の内面に溶着固定されている(図1,4,8,10)。バッフル200は吸入口管40の口に対面位置させてあり開放された底部分204を設けられていて、吸入口管40から入って来る吸入ガスに混入した油はバッフル200へと衝突し圧縮機の油溜め49中へと排出される。組立体42はまた図1に明瞭に示すようにプラスチック成形品206を備え、この成形品206にはバッフル200の頂端と外殻12の内壁面間の空所中へと延びるアーチ形のチャネル部分208を、下方向きに懸垂状として一体形成してある。成形品206の上方部分はほぼ管状であって放射方向内向きに拡開させてあり、チャネル部分208内を上昇したガスを放射方向内向きに誘導して噛合ったスクロール部材の周端入口へと導く。チャネル部分208は前記締付具168のうちの1個をまたぐ切欠き溝210によって機械周方向での位置を拘束されており、また一体形成してある耳部212を図1に示すように前記覆い部材58の下面に対し押付けることによって機械軸線方向での位置を拘束されている。耳部212は成形品206を図示位置へと、軸線方向下向きに弾性付勢するように働く。吸入ガス誘導通路の放射方向での外端は、外殻12の内壁面によって区画されている。
【0037】
電動モータ18への給電は通常の態様で、適当なカバー214にて保護された端子群を用いて行われる。
【0038】
翼先密封を促進するために軸線方向での圧力付勢を行うための別の方式が図18及び図19にそれぞれ図示されており、これらの図において図1-17に図示の第1の実施例の各部に対応する部分には同一の符号を付してある。
【0039】
図18に示した実施例では軸線方向の付勢を、吐出圧力よりも低い中間圧力の圧縮流体を用いることによって得ている。そのためにはスクロール部材36の頂端にシリンダ室66内で摺動するピストン300が設けられているが、同ピストン300には該ピストンの頂端が吐出圧力にさらされることを防止するための覆い302を設けてある。吐出ガスは吐出口41からピストン300中の放射方向通路304、ピストン300外周面の環状溝306、及び該環状溝306と直接に連通している開口68を介して吐出室72へ入る。可撓シール部材308,310が必要なシールのために設けられている。中間圧力の圧縮流体がスクロール翼によって形成された適宜の密封ポケットから通路312を介して取出されピストン300の頂端へと導かれており、翼先密封を促進するように非旋回スクロール部材36に対し復帰力を及ぼすべく作用させてある。
【0040】
図19に図示の実施例では軸線方向の翼先密封付勢のために、吐出圧力と中間圧力との組合せが利用されている。そのためには覆い部材58が2個の同心配置のシリンダ室314,316を形成する形状のものとされ、またスクロール部材36の頂端にシリンダ室314,316内でそれぞれ摺動する同心配置のピストン318,320が設けられている。吐出圧力の圧縮流体は第1の実施例におけるのと全く同様の方式でピストン320の頂端に作用させてあり、また中間圧力の圧縮流体は適宜位置の密封ポケットから通路322を介して取出されてピストン318へと作用させてある。所望の場合にはピストン320に対し、吐出圧力に代えて第2の中間圧力を作用させるようにすることもできる。ピストン318,320の受圧面積及び中間圧力取出し口(通路322)の位置を変更できることからして、本実施例は所与の全運転条件下で最適の平衡化を達成する最良の手段を提供する。
【0041】
中間圧力の取出し口は所望の圧力を得るように選択でき、またそれが望ましい場合には1サイクルの間に異なった圧力を受けそれらの圧力の平均の圧力を得るようにも位置付け得る。図18,19に図示の通路312,322及びそれに類する圧力通路は比較的に内径を小さくして、最小の流体流れ(したがってポンプ損失)及び圧力(したがって力)変動の減衰を得るようにするのが望ましい。
【0042】
図20-33には非旋回スクロール部材を、放射方向及び周方向では不動に拘束しつつ制限された軸線方向変位を行えるように支持可能である他の支架方式のいくつかが、示されている。このうち図31及び図32にそれぞれ図示の支架方式は本発明の実施例を示し他の図に示す支架方式は参考例に係るが、何れの支架方式も放射方向の流体圧力によって生ぜしめられるスクロール部材の転倒モーメントを釣合わすべく、第1の実施例におけるのと同様に非旋回スクロール部材をその中間点で支持するように機能する。これらの支架方式の全てにおいてフランジ152(又はそれに代わるフランジ442,450)の上面は、第1の実施例におけるのと同様の位置を占めている。
【0043】
図20,21に図示の参考例ではばね鋼製のリング400によって支持が行われており、該リング400はその外周端で、外殻12の内壁面に取付けられた据付けリング404に対し締付具402を用いて固定されている。そしてリング400はその内周端で締付具406により、非旋回スクロール部材36上のフランジ152の上面へと固定されている。リング400には多数の傾斜する開口408を、該リング400の剛性を減らし非旋回スクロール部材36の制限された軸線方向往復動を可能とすべく、各開口408がほぼリング400の幅全体にまたがる長さ寸法を有するようにして設けてある。開口408が機械放射方向に対し傾けられていることからして、リング400の内周端が外周端に対し相対的に機械軸線方向で変位してもリング400の拡張は起きないが、同変位によって極く僅かな回転が生ぜしめられる。しかしこの極く制限された回転変位はとるに足らないものであって、何らの実質的な効率低下をきたさないと信じられる。
【0044】
図22に図示の参考例では非旋回スクロール部材36が、一脚部で外殻12の内壁面に溶着されているL字形ブラケット410を利用して極く簡単に支持されている。同ブラケット410の他脚部は締付具412を用いてフランジ152の上面へ取付けられている。ブラケット410は弾性限界内で僅かに拡張して非旋回スクロール部材36の軸線方向変位を許容するものに、形成されている。
【0045】
図23,24に図示の参考例では支持手段が、複数個(図例では3個)の管状部材414を備え、該管状部材414は適当な締付具418を用いて非旋回スクロール部材36のフランジ152の上面へと取付けられた放射方向内側の突縁部416と、外殻12の内壁面へと溶着固定されているブラケット424に対し適当な締付具422を用いて取付けられた放射方向外側の突縁部420とを有する。非旋回スクロール部材36の放射方向での動きは複数個の管状部材414を、そのうちの少なくとも2個は互いに直接に対向位置しないように配置して利用していることによって、阻止される。
【0046】
図25,26に図示の参考例では非旋回スクロール部材36が板ばね426,428により、制限された軸線方向変位を行えるように支持されている。これらの板ばね426,428はその外端で、外殻12の内壁面へと溶着固定された据付けリング430に対し適当な締付具432を用いて取付けられ、また中央位置で適当な締付具434を用いフランジ152の上面へと取付けられている。板ばねは板ばね426について図示のように直線状のものであっても、板ばね428について図示のようにアーチ状のものであってもよい。スクロール部材36の若干の軸線方向変位は、板ばね426,428が弾性限界内で拡張することによって許容される。
【0047】
図27,28に図示の参考例では非旋回スクロール部材36の放射方向及び周方向の動きが、外殻12の内壁面に溶着した据付けリング440の内周面に形成されている円筒面(溝穴)437と非旋回スクロール部材36のフランジ442の外周面に形成されている円筒面(溝穴)439とによって区画形成された円筒形穴に嵌着されている複数個のボール436(1個のみを図示)により、防止されている。ボール436は前述した理由からして、両スクロール部材の端板面間の中間に位置する面内に配置されている。図29,30に図示の参考例はボールに代えて円柱状のローラ444が用いられている点を除いて、図27,28に図示の参考例と実質的に等しい。1個のみを図示してあるが複数個設けられている上記ローラ444は、リング400の面446とフランジ442の面とによって区画形成されている長方形の溝穴に圧嵌めされている。上述の2参考例においてリング440は、組立体を予圧縮しがたつきを無くすためにボール或いはローラ上に伸び得るような十分な弾性を有するものとするのが、望ましい。
【0048】
図31に図示の実施例では非旋回スクロール部材36に軸線方向中央部に配置のフランジ450が設けられており、このフランジ450は軸線方向で貫通する穴452を有している。穴452には下端で圧縮機ボデー30へと取付け固定されているピン454を、摺動可能に挿通してある。図から理解できるように非旋回スクロール部材36の軸線方向の動きは可能であるが、周方向及び放射方向の動きはそれぞれ阻止される。図32に図示の実施例は、ピン454が調整可能である点を除いては図31に図示の実施例と等しい。ピン454を調整可能とすることは、ボデー30に形成したフランジに大径穴456を設けると共にピン454に鍔458と大径穴456を貫通させるねじ切り下端部分を設けて、ピン454のねじ切り下端部分にナット460を螺合することによって、なされている。ピン454を正確に位置決めした上で、図示部品を永久的に位置保持するようにナット460が締付けられる。
【0049】
図33に図示の参考例では外殻12の内壁面に2個のボス462,464が設けられ、これらのボス462,464はそれぞれ精密に機械加工された放射方向内向きの平坦面466,468を有するものとされ、平坦面466,468は互いに直交する方向に沿わせてある。非旋回スクロール部材36のフランジ152にも対応する2個のボスを設けてあり、該ボスは放射方向外向きの平坦面470,472を有し、両平坦面470,472は互いに直交する方向に沿わせてあり外殻12のボス平坦面466,468とそれぞれ係合させてある。これらのボス及び面は非旋回スクロール部材36を放射方向及び周方向で正しく位置付けるように、精密に機械加工されている。スクロール部材36を、制限された軸線方向変位を許容しつつ位置保持するために、皿ばね等の極く剛いばね474を外殻12の内壁面上のボス476とフランジ152の外周縁に取付けたボス478との間に配置して設けてある。ばね474は非旋回スクロール部材36に対し強い付勢力を及ぼして、該スクロール部材36を面466,468に対し押付けて位置保持する。このばね474の付勢力はスクロール部材36を位置ずれさせるように働くところの最大の放射方向及び回転方向の力よりも若干、大であるべきである。ばね474は、それが及ぼす付勢力がボス462,464の各々の方向において等しい成分ないし分力を有するように(つまりボス462,464を結ぶ線分を2等分するような直径線上で付勢力を及ぼすように)、配置するのが望ましい。前述の各支架方式におけるのと類似してボス及び付勢用ばねは転倒モーメントを釣合わせるべく、スクロール部材端板間の中間位置に配置されている。
【0050】
図20-33に図示の支架方式の全てにおいて非旋回スクロール部材の離間方向での軸線方向変位は、第1の実施例で設けた機械的なストッパ機構のような適当した手段によって制限できる。その反対方向への非旋回スクロール部材の変位は勿論、両スクロール部材が互いに係合し合うことで規制される。
【図面の簡単な説明】
【図1】
この発明の第1の実施例に係るスクロール式の圧縮機の一部欠截縦断面図で、縦断面は図3の1-1線にほぼ沿っているが一部、若干位相をずらして画いてある。
【図2】
図1に図示の圧縮機の一部欠截縦断面図で、縦断面は図3の2-2線にほぼ沿っているが一部、若干位相をずらして画いてある。
【図3】
図1,2に図示の圧縮機を、頂部を取除いて画いた平面図である。
【図4】
図3に類似の平面図であるが、圧縮機の頂部組立体を全て取除いて画いた平面図である。
【図5】
図4の右手側の部分に類似の部分平面図であって、図4に示す状態から上方側にある部品を取除いて画いた図である。
【図6】
図5に類似の部分平面図で、図5に示す状態からさらに上方側にある部品を取除いて画いた図である。
【図7】
図5,6に類似の部分平面図で、図6に示す状態からさらに上方側にある部品を取除いて画いた図である。
【図8】
図4の8-8線にほぼ沿う断面図である。
【図9】
図4の9-9線にほぼ沿う断面図である。
【図10】
図1の10-10線にほぼ沿う断面図である。
【図11】
螺旋翼形状を、実際より大きく誇張して示した断面展開図であって、(A)は図10の11A-11A線に沿う断面を、(B)は11B-11B線に沿う断面を、それぞれ示している。
【図12】
図1,2に図示した圧縮機の一部分の縦断面展開図である。
【図13】
図1,2に図示した圧縮機に設けられているオルダムリングの平面図である。
【図14】
図13に図示のオルダムリングの側面図である。
【図15】
図10の15-15線に沿う断面図で、潤滑油通路のいくつかを示したものである。
【図16】
図15の16-16線に沿う断面図である。
【図17】
図2の17-17線に沿う断面図である。
【図18】
この発明の他の実施例の一部分を示す縦断面図である。
【図19】
この発明の別の実施例の一部分を示す縦断面図である。
【図20】
非旋回スクロール支架方式の参考例の一部分を、やや模式的に画いた横断平面図である。
【図21】
図20の21-21線に沿う断面図である。
【図22】
図21に類似の断面図で、非旋回スクロール支架方式の別の参考例を示している。
【図23】
非旋回スクロール支架方式のさらに他の参考例を、図20に類似の手法で示す横断平面図である。
【図24】
図23の24-24線に沿う断面図である。
【図25】
図23に類似の横断平面図で、非旋回スクロール支架方式のさらに別の参考例を示している。
【図26】
図25の26-26線に沿う断面図である。
【図27】
図20に類似の横断平面図で、非旋回スクロール支架方式のもう一つの参考例を示している。
【図28】
図27の28-28線に沿う断面図である。
【図29】
図20に類似の横断平面図で、非旋回スクロール支架方式のさらにもう一つの参考例を示している。
【図30】
図29の30-30線に沿う断面図である。
【図31】
図21に類似の断面図で、非旋回スクロール支架方式の他の実施例を示している。
【図32】
図21に類似の断面図で、非旋回スクロール支架方式の別の実施例を示している。
【図33】
図23に類似の横断平面図で、非旋回スクロール支架方式の一参考例を示している。
【符号の説明】
12 外殻
34 旋回スクロール部材
35 スクロール翼(螺旋翼)
36 非旋回スクロール部材
37 スクロール翼(螺旋翼)
41 吐出口
58 覆い部材
68 開口
72 吐出室
178 ピストン(円筒状突起部)
180 可撓シール材
 
訂正の要旨 訂正の要旨
特許第2761586号の明細書を、本件に係る訂正請求書に添付された明細書のとおり、すなわち、次の訂正事項a乃至訂正事項cのとおりに訂正する。
(1)訂正事項a
特許請求の範囲第1項において、
▲1▼ 第9行と第10行(公報第1欄第13行と第14行)との間に特許請求の範囲の減縮を目的として、
「(c)上記外殻(12)内に配置され該外殻によって支持されている静止ボデー(30)であって、第1及び第2のスクロール部材のうちの一方のスクロール部材(36)に対し他方のスクロール部材(34)が旋回可能であるように該他方のスクロール部材を支持する静止ボデー(30)、
(d)上記した一方のスクロール部材(36)を上記静止ボデー(30)に対し、該一方のスクロール部材が他方のスクロール部材(34)に対し相対的に軸線方向に沿い若干量だけ移動可能であるように支架する支架手段(150,152,154,158,162,164,166;450,452,454)であって、一方のスクロール部材(36)を静止ボデー(30)に対し、該スクロール部材が軸線方向では移動可能であるが放射方向及び周方向では移動不能であるように接続する支架手段(150,152,154,158,162,164,166;450,452,454)、」の記載を加入し、
▲2▼ 第10行(公報第1欄第14行)の「(c)」を明りょうでない記載の釈明を目的として、「(e)」と訂正し、
▲3▼ 第13行(公報第2欄第3行)の「(d)」を明りょうでない記載の釈明を目的として、「(f)」と訂正し、
▲4▼ 第13行(公報第2欄第3行)の「第1及び第2のスクロール部材のうちの」を明りょうでない記載の釈明を目的として、「上記した」と訂正し、
▲5▼ 第16行(公報第2欄第7行)の「、及び」を明りょうでない記載の釈明を目的として、「、」と訂正し、
▲6▼ 第17行(公報第2欄第8行)の「(e)」を明りょうでない記載の釈明を目的として、「(g)」と訂正し、
▲7▼ 第19行(公報第2欄第12行)の「、」を明りょうでない記載の釈明を目的として、「、及び」と訂正し、
▲8▼ 第19行と第20行(公報第2欄第12行と第13行)との間に特許請求の範囲の減縮を目的として、
「(h)上記した一方のスクロール部材(36)と上記覆い部材(58)間に形成された少なくとも1つの流体室であって、該一方のスクロール部材を他方のスクロール部材(34)に向けて軸線方向で移動付勢するための、吸入圧力よりも高い圧力の流体を収容する流体室、」の記載を加入する。
(2) 訂正事項b
特許請求の範囲第2項において、
▲1▼ 第1〜2行(公報第2欄第14〜15行)の「前記した一方のスクロール部材(36)を軸線方向で若干量だけ移動可能に支持してあり、前記」を明りょうでない記載の釈明を目的として、「前記」と訂正し、
▲2▼ 第3行(公報第3欄第2行)の「該一方の」を明りょうでない記載の釈明を目的として、「前記した一方の」と訂正する。
(3)訂正事項c
発明の詳細な説明において、
▲1▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い、特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、段落【0010】(公報第5欄第29行〜第6欄第9行)を、
「【0010】
【発明の要約】
この発明はスクロール式圧縮機に係り、同圧縮機は、
(a)軸線方向に沿うほぼ円筒形の側壁とこの側壁の両端部を封鎖する2つの端部壁とを有する密閉外殻(12)、
(b)この外殻(12)内に配置されていてそれぞれが螺旋翼(35,37)を有する第1及び第2のスクロール部材(34,36)であって、軸線方向で互いに向き合わせて配置され上記両螺旋翼を、両スクロール部材間の相対旋回運動により該両スクロール部材の中心部に向けて容積を減少して行く流体ポケットが両螺旋翼(35,37)間に形成されるように噛合わせてある第1及び第2のスクロール部材(34,36)、
(c)上記外殻(12)内に配置され該外殻によって支持されている静止ボデー(30)であって、第1及び第2のスクロール部材のうちの一方のスクロール部材(36)に対し他方のスクロール部材(34)が旋回可能であるように該他方のスクロール部材を支持する静止ボデー(30)、
(d)上記した一方のスクロール部材(36)を上記静止ボデー(30)に対し、該一方のスクロール部材が他方のスクロール部材(34)に対し相対的に軸線方向に沿い若干量だけ移動可能であるように支架する支架手段(150,152,154,158,162,164,166;450,452,454)であって、一方のスクロール部材(36)を静止ボデー(30)に対し、該スクロール部材が軸線方向では移動可能であるが放射方向及び周方向では移動不能であるように接続する支架手段(150,152,154,158,162,164,166;450,452,454)、
(e)上記外殻(12)内をこの外殻の一端部付近で横切る部分を有し外周端で外殻に対し密封的に取付けてある覆い部材(58)であって、外殻(12)内の一端部に吐出室(72)を区画形成する覆い部材(58)、
(f)上記した一方のスクロール部材(36)の中心部に設けてある吐出口(41)であって、上記覆い部材(58)中の開口(68)を介し両スクロール部材(34,36)の中心部と上記吐出室(72)間を連通させる吐出口(41)、
(g)上記外殻(12)内の吸入圧力領域と上記吐出室(72)間を密封するためのシール手段(180)であって、上記した一方のスクロール部材(36)と上記覆い部材(58)間に配設してあるシール手段(180)、及び
(h)上記した一方のスクロール部材(36)と上記覆い部材(58)間に形成された少なくとも1つの流体室であって、該一方のスクロール部材を他方のスクロール部材(34)に向けて軸線方向で移動付勢するための、吸入圧力よりも高い圧力の流体を収容する流体室、を備えたものに、構成される。外殻(12)に対する覆い部材(58)の密封的な取付けは例えば、該覆い部材の外周端を外殻に対し連続して溶着し接合することで、得ることができる。」と訂正し、
▲2▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、段落【0011】第12行(公報第6欄第24行)の「密封を得させる。」を、
「密封を得させる。そしてこの発明は一方のスクロール部材(36)を他方のスクロール部材(34)に対し相対的に軸線方向で移動可能に支持すると共に、上記覆い部材(58)を利用し該覆い部材と一方のスクロール部材(36)間に一方のスクロール部材を他方のスクロール部材(34)に向けて軸線方向で移動付勢するための、吸入圧力よりも高い圧力の流体を収容する少なくとも1つの流体室を形成して、この流体室内の流体により一方のスクロール部材を他方のスクロール部材に向けて移動付勢することで翼先密封を得ているのであるが、上記のように一方のスクロール部材を軸線方向で可動に支持することを、他方のスクロール部材を相対旋回可能に支持する静止ボデー(30)に対し該一方のスクロール部材を支架する支架手段(150,152,154,158,162,164,1,66;450,452,454)であって一方のスクロール部材が他方のスクロール部材に対し相対的に軸線方向では移動可能であるが放射方向及び周方向では移動不能であるように、一方のスクロール部材を静止ボデーに対し接続する支架手段を、設けることによって得ている。したがって静止ボデー(30)は両スクロール部材を支持するための単一の支持部材として機能し、このように単一の支持部材により両スクロール部材を支持させる構成によって軸線方向で可動の一方のスクロール部材を、他方のスクロール部材に対し放射方向でも周方向でも精密に位置決めして支持できる。このため他方のスクロール部材との関係位置を精密としつつ一方のスクロール部材を支持するための精密仕上げの支持面ないし支承面を、大寸法の外殻(12)の内面上に設ける必要がなく、単一の支持部材である静止ボデー(30)の強度ないし剛性さえ確保しておけば外殻に局部的な変形を生じても該外殻とは無関係に両スクロール部材の相互位置関係が精密に維持され、外殻は圧縮機稼働時の内部圧力に耐える強度のものであれば足りる。」と訂正し、
▲3▼ 特許請求の範囲第2項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、段落【0012】第9〜10行(公報第6欄第35〜37行)の「一方のスクロール部材(36)を軸線方向で若干量だけ移動可能に支持した上で該スクロール部材を」を、「前記のように軸線方向で若干量だけ移動可能に支持してある一方のスクロール部材(36)を」と訂正し、
▲4▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、段落【0042】第4〜7行(公報第15欄第31〜35行)の「これらの実施例の各々は放射方向の流体圧力によって生ぜしめられるスクロール部材の転倒モーメントを釣合わすべく、第1の実施例におけるのと同様に非旋回スクロール部材をその中間点で支持するように機能する。これらの実施例」を、「このうち図31及び図32にそれぞれ図示の支架方式は本発明の実施例を示し他の図に示す支架方式は参考例に係るが、何れの支架方式も放射方向の流体圧力によって生ぜしめられるスクロール部材の転倒モーメントを釣合わすべく、第1の実施例におけるのと同様に非旋回スクロール部材をその中間点で支持するように機能する。これらの支架方式」と訂正し、
▲5▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、段落【0043】第2行(公報第15欄第39行)の「実施例」を、「参考例」と訂正し、
▲6▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、段落【0044】第2行(公報第16欄第7行)の「実施例」を、「参考例」と訂正し、
▲7▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、段落【0045】第2行(公報第16欄第15行)の「実施例」を、「参考例」と訂正し、
▲8▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、段落【0046】第2行(公報第16欄第26行)の「実施例」を、「参考例」と訂正し、
▲9▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、段落【0047】第2行、第8行、第10行及ぴ第12行(公報第16欄第38行、第48行、第49行及び第17欄第3行)の「実施例」をそれぞれ「参考例」と訂正し、
▲10▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、段落【0049】第2行(公報第17欄第24行)の「実施例」を、「参考例」と訂正し、
▲11▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、段落【0049】第20行(公報第17欄第50行)の「各実施例」を、「各支架方式」と訂正し、
▲12▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、段落【0050】第2行(公報第18欄第3行)の「実施例」を、「支架方式」と訂正する。
(4) 訂正事項d
図面の簡単な説明において、
▲1▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、図20の説明中、「他例の」を「参考例の」と訂正し、
▲2▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、図22の説明中、「別例を」を「別の参考例を」と訂正し、
▲3▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、図23の説明中、「他の例を」を「他の参考例を」と訂正し、
▲4▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、図25の説明中、「別の例を」を「別の参考例を」と訂正し、
▲5▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、図27の説明中、「例を」を「参考例を」と訂正し、
▲6▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、図29の説明中、「例を」を「参考例を」と訂正し、
▲7▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、図31の説明中、「さらに他の例を」を「他の実施例をjと訂正し、
▲8▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、図32の説明中、「さらに別の例を」を「別の実施例を」と訂正し、
▲9▼ 特許請求の範囲第1項の訂正に伴い明りょうでない記載の釈明を目的として、図33の説明中、「一例を」を「一参考例を」と訂正する。以上
異議決定日 1999-12-10 
出願番号 特願平8-207894
審決分類 P 1 651・ 161- YA (F04C)
P 1 651・ 121- YA (F04C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 尾崎 和寛田村 嘉章  
特許庁審判長 小池 正利
特許庁審判官 小関 峰夫
播 博
登録日 1998-03-27 
登録番号 特許第2761586号(P2761586)
権利者 コープランド・コーポレイシヨン
発明の名称 スクロール式圧縮機  
代理人 橋本 良郎  
代理人 坪井 淳  
代理人 尾関 弘  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 石原 芳朗  
代理人 石原 芳朗  

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