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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 H05K |
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管理番号 | 1012651 |
異議申立番号 | 異議1999-71100 |
総通号数 | 10 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1990-02-07 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-03-23 |
確定日 | 2000-04-03 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第2803097号「チップ電子部品供給装置」の請求項1ないし2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第2803097号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.本件発明 本件特許第2803097号(昭和63年7月27日出願、平成10年7月17日設定登録)の請求項1及び請求項2に係る発明は、特許明細書及び図面の記載からみて、それぞれその特許請求範囲の請求項1及び請求項2に記載された以下のとおりのものと認める。 「【請求項1】 マウンタ装置から得た駆動力で送り爪によりラチエットが間欠的に回転され、該ラチエットに連結したスプロケットでキャリアテープに保持したチップ電子部品を間欠的に供給するチップ電子部品供給装置において、 前記ラチエットの逆転を防止する固定爪の軸心は偏心した調整ネジを介してチップ電子部品供給装置の本体に固定され、該調整ネジの回転に伴う偏心量で該ラチエットの接線と略等しい方向における該本体に対する該固定爪の軸心の固定位置が移動可能であることを特徴とするチップ電子部品供給装置。 【請求項2】 請求項1記載のチップ電子部品供給装置において、前記チップ電子部品供給装置の本体は前記マウンタ装置へ搭載する面に偏心した位置決めピンを介して固定され、該位置決めピンの回転に伴う偏心量で前記マウンタ装置に対する該本体の固定位置が移動可能であることを特徴とするチップ電子部品供給装置。」 2.特許異議申立の理由の概要 特許異議申立人は、甲第1号証乃至第3号証を提示し、本件特許の請求項1及び請求項2に係る発明は、前記甲第1乃至3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件各発明に係る特許は取り消されるべきものである旨主張している。 3.甲各号証の記載内容 特許異議申立人が提示した甲各号証には以下の事項が記載されている。 3-1.甲第1号証:実願昭60-111469号(実開昭62-20039号公報)のマイクロフィルム ア)「駆動源の進退動をつめ車を介して間欠運動に変換する間欠運動において、本体ケースには駆動源と、回動自在に軸支された主軸と.後述する位置決め追い車と弾接係合可能な位置決めツメとが設けられており、前記主軸には同軸上に固着された送り追い車と、送り追い車とは歯の向きを違えた位置決め追い車と、同軸上に回転自在に支持されたカム板が設けられており、前記カム板には前記送り追い車に弾接合する送りツメと、カム板の回転にともなって前記位置決めツメを押圧して位置決めツメと前記位置決め追い車との係合を解除可能とする山部とレバーとが設けられており、前記レバーと前記駆動源の進退動するシャフト先端部が、揺動自在に組立られていることを特徴とする間欠送り機構。」(実用新案登録請求の範囲) イ)「しかしながら上記従来の間欠送り機構は主軸に取付ける動作物体の重量及び間欠送りスピードによっては、慣性が大きく、逆転防止ツメを通りこえてしまう為停止位置を誤るという問題があった。」(第3頁第6行から10行目) ウ)「本体ケース1に設けられた駆動源8からの駆動力で、送りツメ6により送り追い車4が間欠的に回転され、ピンホイール10でテープに保持された電子部品を間欠的に送ると共に、送り追い車4が固着された主軸2に固着されている位置決め追い車7の歯と当接している位置決めツメ3が、間欠動作の停止位置を調整するために移動可能なこと。」(第6頁第12行から第8頁第1行目及び第1,2図参照) 3-2.甲第2号証:特開昭57-106136号公報 エ)「ボンディングアームの軸心を偏心した偏心ピンにて構成し、この偏心した偏心ピンの回転に伴う偏心量でボンディングアームの軸心の固定位置が移動可能であること。」(特許請求の範囲及び明細書第3頁左上欄第13行から左下欄第1行目と第4,5図参照) 3-3.甲第3号証:実願昭61-97624 号(実開昭63-4241号公報)のマイクロフィルム オ)「基板をパレットに搭載して搬送するパレット搬送装置において、2次パレット50は、1次パレット30に、偏心した位置決めピン38を介して固定され、該位置決めピン38の回転に伴う偏心量で、1次パレット30に対する2次パレット50の固定位置が移動可能であること。」(実用新案登録請求の範囲及び明細書第9頁第9行から第19行目と第1乃至4図参照) 4.対比・判断 本件請求項1に係る発明(前者)と前記甲第1号証に記載のもの(後者)とを対比すると、後者の「送りツメ6」は、前者の「送り爪」に、以下同様に「送り追い車4」が「ラチエット」に、「ピンホイール10」が「スプロケット」にそれぞれ対応するから、駆動力で送り爪によりラチエットが間欠的に回転され、該ラチエットに連結したスプロケットでキャリアテープに保持したチップ電子部品を間欠的に供給するチップ電子部品供給装置である点で両者は一致するものの、前者はチップ電子部品をマウンタ装置の真空吸着ノズル位置に精度よく送るために、「マウンタ装置から得た駆動力で送り爪によりラチエットが間欠的に回転され」るとともに、「ラチエットの逆転を防止する固定爪の軸心は偏心した調整ネジを介してチップ電子部品供給装置の本体に固定され」るものであるのに対して、後者は、主軸に取り付けるラチエット等の動作物体の重量や間欠送りスピードによっては動作物体が逆転防止爪を通り越して停止位置を誤るという従来の間欠送り機構の持つ問題点に鑑み、ラチエットの前進回転停止位置を移動自在に位置決めしようとするもので、マウンタ装置と関連付けられていない駆動源で送り爪によりラチエットが回転されるとともに、そのラチエットと一体回転するがラチエットとは歯の向きを違えた位置決め追い車7と係合する位置決めツメ3を移動自在とすることでラチエットの回転停止位置を定めるようにした点で相違するものである。即ち、前者は、マウンタ装置からの駆動力と関連づけさせた上で、ラチエットの逆転防止のために位置調整自在の固定爪を用いるものであり、後者は、ラチエットの前進回転位置を規制するために位置決め追い車と位置決めツメを用いるものであるから、ラチエットの位置決めの意義やそのために採用した技術手段も異なる。それ故、マウンタ装置からの駆動力でラチエットが間欠駆動されることが周知であり、甲第2号証に記載の如く、偏心ピンの回転に伴う偏心量で作動部材の軸心の固定位置が移動可能であることや、甲第3号証に記載の如く、位置決めピンの回転に伴う偏心量で、1次部材に対する2次部材の固定位置が移動可能であることが公知であっても、前者の、ラチェット逆転防止のために固定爪の位置を調整するという技術思想がいずれの前記甲各号証にも示されていない以上、ラチェットの前進回転位置を調整するものであるところの後者に前記甲第2、3号証に記載のもの及び周知の技術事項を寄せ集めても、前者の技術手段を想到するはずがなく、しかも、かかる技術手段の採用によって、明細書記載の独自の作用効果を奏するものであるから、前者は、後者及び前記甲第2、3号証に記載のものや周知の技術事項に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。 又本件請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明を引用形式で記載したものであるから、前記した請求項1に係る発明において判断した理由と同じ理由により、本件請求項2に係る発明も、甲第1号証乃至第3号証に記載のもの及び周知の技術事項に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。 5.むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠よっては、本件請求項1及び2の発明に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1及び2の発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2000-03-08 |
出願番号 | 特願昭63-185621 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
Y
(H05K)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 野村 亨 |
特許庁審判長 |
神崎 潔 |
特許庁審判官 |
鈴木 久雄 清水 英雄 |
登録日 | 1998-07-17 |
登録番号 | 特許第2803097号(P2803097) |
権利者 | 日立テクノエンジニアリング株式会社 |
発明の名称 | チップ電子部品供給装置 |
代理人 | 竹ノ内 勝 |
代理人 | 高田 幸彦 |