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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1013689
審判番号 審判1996-8757  
総通号数 11 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-09-10 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1996-06-05 
確定日 2000-03-03 
事件の表示 平成4年特許願第290497号「多重プロセッサ回路用プロセッサ間連絡システムおよびその方法」拒絶査定に対する審判事件(平成5年9月10日出願公開、特開平 5-233560)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成4年10月28日(パリ条約による優先権主張1991年12月12日、アメリカ合衆国)の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、本願発明という。)は、平成8年6月5日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、本願の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの
「連絡システムにおけるプロセッサ間の直接データ転送用プロセッサ間連絡システムにおいて、複数の内部汎用レジスタを含む第1のプロセッサであり、前記内部汎用レジスタのそれぞれは格納されたデータにアクセスするための個有のアドレスを有している、前記第1のプロセッサと、第2のプロセッサであり、前記第2のプロセッサは前記第1のプロセッサの個有の内部汎用レジスタアドレスのうちの1つに対応するアドレス信号を生成するための手段を含んでいる、前記第2のプロセッサと、データ転送手段であり、前記データ転送手段は前記第1のプロセッサおよび前記第2のプロセッサを結合しており、かつ、前記第1のプロセッサの内部汎用レジスタのうちの対応する1つから前記第2のプロセッサヘデータを直接転送するための第2のプロセッサにより生成されたアドレス信号に応答するものである、前記データ転送手段とを含むことを特徴とする連絡システム。」であると認める。
2.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平1-95356号公報(平成1年4月13日出願公開。以下、引用例という。)には、マルチプロセッサシステムにおけるレジスタアクセス方式について、「データ処理の高速化を図るために複数のプロセッサによって並列処理を行うことが実施されているが、このような並列処理においてはそれぞれのプロセッサにおけるレジスタを他のプロセッサがアクセスすることが頻繁に行われる。」(1頁右下欄18行〜2頁左上欄4行)こと、「複数のプロセッサ間を双方向回線9で接続する」(図面第1図)ことが記載され、他のプロセッサからのレジスタ読み出しに関する図面第2図を用いた説明において、「前記データレジスタ241、242、・・・24nの出力側に設けられたアンド回路341,342,・・・34nはこのデータレジスタ24に格納されているデータをメインプロセッサに送信するためのもので、上記に説明した書込みの場合と同様にメインプロセッサからの読出アドレスをデコーダ22によってデコードし、指定されたデータレジスタ例えば241に対応して設けられている上記アンド回路341から読出したデータをオア回路35から送信部36を経てデータバス11からメインプロセッサに送出するものである。」(3頁左下欄10行〜20行)と記載され、また「アドレスバス10への送信を行う送信部37は、このプロセッサ20がメインプロセッサとして動作する場合に、書込みあるいは読出しを行うレジスタのアドレスをサブプロセッサに送信するために設けられたものである。」(3頁右下欄6行〜10行)と記載されている。
メインプロセッサ及びサブプロセッサについては、「本明細書においては、上記のように他のプロセッサにアクセスしょうとするプロセッサを「メインプロセッサ」といい、またアクセスされる側のプロセッサを「サブプロセッサ」というが、この「メイン」および「サブ」は当該ジョブについての関係のみをいうものであり、プロセッサ自体の構成あるいはマルチプロセッサシステム内で定められた固定的な関係をいうものではない。」(2頁左上欄19行〜右上欄56行)と記載されていること、メインプロセッサがサブプロセッサの個有のデータレジスタアドレスのうちの1つに対応するアドレス信号を生成するための手段を含んでいることは前記摘記事項から明らかであること、及び図面第1図に記載された双方向回線は図面第2図に記載されたアドレスバスとデータバスを含むことは当業者にとって明らかであることから、結局、引用例には、「複数のデータレジスタを含むサブプロセッサであり、前記データレジスタのそれぞれは格納されたデータにアクセスするための個有のアドレスを有している、前記サブプロセッサと、メインプロセッサであり、前記メインプロセッサは前記サブプロセッサの個有のデータレジスタアドレスのうちの1つに対応するアドレス信号を生成するための手段を含んでいる、前記メインプロセッサと、双方向回線であり、前記双方向回線は前記サブプロセッサおよび前記メインプロセッサを結合している双方向回線と、前記双方向回線に接続されたデコーダ、アンド回路及びオア回路を含んで構成された手段であり、前記サブプロセッサのデータレジスタのうちの対応する1つから前記メインプロセッサヘデータを転送するためのメインプロセッサにより生成されたアドレス信号に応答するものである、前記双方向回線に接続されたデコーダ、アンド回路及びオア回路を含んで構成された手段とを含むことを特徴とするシステム」(以下、引用例に記載された発明という。)が記載されている。
3.対比
本願発明と引用例に記載された発明を対比すると、引用例に記載された発明も、プロセッサ間でデータの転送を行うにあたって外部記憶装置を介するものでなく直接バスを介してデータを転送するプロセッサ間の連絡システムであり、また、引用例に記載された発明の、双方向回線及び双方向回線に接続されたデコーダ、アンド回路及びオア回路を含んで構成された手段は、併せて本願発明のデータ転送手段に相当するから、両者は、「連絡システムにおけるプロセッサ間の直接データ転送用プロセッサ間連絡システムにおいて、複数のレジスタを含む第1のプロセッサであり、前記レジスタのそれぞれは格納されたデータにアクセスするための個有のアドレスを有している、前記第1のプロセッサと、第2のプロセッサであり、前記第2のプロセッサは前記第1のプロセッサの個有のレジスタアドレスのうちの1つに対応するアドレス信号を生成するための手段を含んでいる、前記第2のプロセッサと、データ転送手段であり、前記データ転送手段は前記第1のプロセッサおよび前記第2のプロセッサを結合しており、かつ、前記第1のプロセッサの内部汎用レジスタのうちの対応する1つから前記第2のプロセッサヘデータを直接転送するための第2のプロセッサにより生成されたアドレス信号に応答するものである、前記データ転送手段とを含むことを特徴とする連絡システム。」で一致し、本願発明のレジスタは「内部汎用レジスタ」であるのに対して、引用例記載の発明のレジスタは「データレジスタ」である点で相違する。
4.当審の判断
上記相違点について検討すると、複数の内部汎用レジスタを有するプロセッサは周知であり、引用例記載の発明のプロセッサに複数の内部汎用プロセッサを設け、プロセッサ間のアクセスの対象を当該内部汎用レジスタとすることは、当業者が容易に推量可能であったと認められるから、上記相違点を格別のものと認めることはできない。
なお、請求人は、平成8年6月5日付審判請求書において、引用例に記載された発明は、「2つのプロセッサ間でデータ転送を行う場合に、外部記憶装置を介して行う」ものである旨主張しているが、先に述べたとおり、引用例の図面第1図の記載から明らかなように、引用例に記載された発明は外部記憶装置を介してデータ転送を行うものではなく、直接データ転送を行うものであるから、前記請求人の主張は当を得ないものである。
5.むすび
したがって、本願発明は、引用例に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1999-09-29 
結審通知日 1999-10-12 
審決日 1999-10-20 
出願番号 特願平4-290497
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石井 茂和瀧 廣往  
特許庁審判長 徳永 民雄
特許庁審判官 山本 穂積
齋藤 操
発明の名称 多重プロセッサ回路用プロセッサ間連絡システムおよびその方法  
代理人 坂口 博  
代理人 市位 嘉宏  

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