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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G |
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管理番号 | 1013697 |
審判番号 | 審判1996-17925 |
総通号数 | 11 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1990-07-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1996-10-21 |
確定日 | 2000-04-18 |
事件の表示 | 平成1年特許願第205552号「オンスクリーン表示文字形成方法及びその形成装置」拒絶査定に対する審判事件(平成2年7月25日出願公開、特開平 2-189581)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯・本願発明 本願は、平成1年8月8日(優先権主張1988年12月15日大韓民国)の出願であって、その発明の要旨は、平成8年10月21日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲に記載されたとおりのものにあると認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりである。 「(1)文字発生回路(1)のオンスクリーン表示文字信号をブランキング発生回路(5)のブランキング期間にスクリーン上に表示するオンスクリーン文字処理方法において、 背景色を有する前記スクリーン上に表示される文字発生回路(1)で発生された文字の文字色を文字色判別回路(2)によって判別し、文字色判別回路(2)で判別された色信号の補色信号を補色発生回路(3)により発生し、前記ブランキング期間の間に前記背景色を示す前記スクリーンの選択された部分に補色発生回路(3)で発生させた補色信号と文字発生回路(1)で発生された文字とをミクサー(4)によって混合することによって補色フリンジされた単一のオンスクリーン表示文字を生成し、前記ブランキング期間に出力し、画面に表示されるようにしたことを特徴とするオンスクリーン表示文字形成方法。」 2.引用例 これに対して、原審における拒絶の理由に引用された、特開昭62-145285号公報(以下、「引用例1」という。)には、 「〔産業上の利用分野〕 本発明は文字図形等の情報を背景情報に重ね合わせる表示制御方式の改良に関する。 例えばCRT ディスプレイ上にキャプテンシステムの文字図形情報を主画面即ち背景表示情報に重ね合わせ表示する場合、重ね合わせる文字と背景が同一色系統であっても、背景情報と重ね合わせ情報の認識容易な表示制御方式が望ましい。 〔従来の技術〕 従来、文字図形等の情報を背景情報に重ね合わせる場合、背景に現われる確率の小さい色彩を重ね合わせる表示文字図形の色彩として選び、或いは重ね合わせの行われる付近の背景情報を全体的に輝度を低減させる方法により、重ね合わせ情報を背景情報から区別出来るようにしている。」(引用例1の第1頁下右欄第1〜15行目)、 「〔問題点を解決する手段〕 上記従来の問題点は、 走査表示画面の隣接画素中で、文字図形等の情報存在を検出する論理回路を設け、情報存在時走査表示する画素を縁取領域とする信号を発生せしめる様にしてなる、 本発明の表示制御方式により解決される。 〔作用〕 本発明によれば、文字図形等の情報存在を検出する論理回路は、表示面を走査する一個の画素に対し隣接する8個の画素情報を同時に調べ、隣接画素の少なくも1個以上の画素に文字図形等の情報が存在したとき、表示面を走査する画素を文字図形等の表示色の補色または黒若しくは白に変えて縁取信号として出力できるようにする。背景中にて占める縁取情報は隣接画素のみで、背景情報の損失が少なく、情報識別が確実になる。」(引用例1の第2頁上左欄第4行目〜同頁上右欄第2行目)、 「第3図a)は文字信号のみの表示画像とb)縁取りを施した文字信号の表示画像で、斜線部は縁取信号により文字部に対して補色若しくは黒或いは白に変更された画素を示す。 〔発明の効果〕 既に述べたように本発明による縁取方式は背景情報に同色系統の重ね合わせ文字図形情報の場合においても、明瞭な画像表示が可能となり、また背景情報の喪失も少ないなどその作用効果は窮めて大きい。」(引用例1の第3頁上左欄第6〜15行目)と記載され、第3図には本発明の一実施例における文字信号と縁取信号の表示画面図が記載されている。 これらの記載からみて引用例1には次のことが記載されているものと認められる。 「例えばCRTディスプレイ上にキャプテンシステムの文字図形情報を主画面即ち背景表示情報に重ね合わせ表示する場合において、 従来は、文字図形等の情報を背景情報に重ね合わせる場合、重ね合わせの行われる付近の背景情報を全体的に輝度を低減させる方法により、重ね合わせ情報を背景情報から区別出来るようにしていたが、 本発明によれば、走査表示画面の隣接画素中で、文字図形等の情報存在を検出する論理回路を設け、隣接画素の少なくも1個以上の画素に文字図形等の情報が存在したとき、表示面を走査する画素を文字図形等の表示色の補色に変えて縁取信号として出力することにより、背景中にて占める縁取情報は隣接画素のみで、該隣接画素は縁取信号により文字部に対して補色に変更され、情報識別が確実になることを特徴とする表示制御方式。」 3.対比 そこで、本願請求項1に係る発明(以後、「本願発明」という。)と、引用例1のものとを対比すると、引用例1の「ディスプレイ上」は、本願発明の「スクリーン上」に相当するから、両者は「スクリーン上に表示される文字の周囲を文字の表示色の補色とする」 点において一致し、次の点で相違している。 (相違点) 相違点1、本願発明が、文字発生回路のオンスクリーン表示文字信号をブランキング発生回路のブランキング期間にスクリーン上に表示するオンスクリーン文字処理方法であるのに対して、引用例1には、そのような文字処理方法について明記されていない点。 相違点2、本願発明が、背景色を有するスクリーン上に表示される文字発生回路で発生された文字の文字色を文字色判別回路によって判別し、文字色判別回路で判別された色信号の補色信号を補色発生回路により発生するのに対して、引用例1には、回路については明記されていない点。 相違点3、本願発明が、背景色を示すスクリーンの選択された部分に補色発生回路で発生させた補色信号と文字発生回路で発生された文字とをミクサーによって混合することによって補色フリンジされた単一のオンスクリーン表示文字を生成するのに対して、引用例1では、表示文字の生成については文字情報の輪郭部分を表示情報の補色にて縁取表示すると記載されている点。 相違点4、本願発明が、ブランキング期間に単一のオンスクリーン表示文字を画面に表示するのに対して、引用例1では、その点について明記されていない点。 4.当審の判断 上記相違点を検討すると、 (1)相違点1について、 本願発明での、文字発生回路のオンスクリーン表示文字信号をブランキング発生回路のブランキング期間にスクリーン上に表示するオンスクリーン文字処理方法とは、 本願発明の明細書第2頁第9行目〜第4頁第6行目に「従来の技術及び問題点 一般的に、カラーテレビジョンやモニタ等においてディスプレーされるオンスクリーン表示(OSD)文字の場合、画面の地の色に因りオンスクリーン表示文字の区別が因るとか、またはオンスクリーン表示文字の色自体をもって容易に判別することができない場合が発生するのでオンスクリーン表示文字周囲に信号をブランクさせて暗い色のフリンジを作ってやることによりオンスクリーン表示文字を容易に区別できるようにはかっている。 ・・・ しかし、暗いフリンジを形成してOSD文字をひき立つようにした従来の方法は、OSD文字の形態や色が変わる場合にも、フリンジは常に暗い色を表すために、OSD文字の多様性を希求するる使用者の欲求を充足させることを困難にした。また、暗いフランジから囲まれるOSD文字は多少遠い所ではみしることがむずかしい問題があった。」と記載されているから、 本願発明での、文字発生回路のオンスクリーン表示文字信号をブランキング発生回路のブランキング期間にスクリーン上に表示するオンスクリーン文字処理方法とは、表示文字周囲の背景の輝度を低下させ表示文字を容易に区別出来るようにしたものと認められるが、 しかし、表示文字周囲の背景の輝度を低下させ表示文字を容易に区別出来るようにすることは、例えば、引用例1において、引用例1の第1頁下右欄第9〜11行目に「〔従来の技術〕従来、文字図形等の情報を背景情報に重ね合わせる場合、背景に現われる確率の小さい色彩を重ね合わせる表示文字図形の色彩として選び、或いは重ね合わせの行われる付近の背景情報を全体的に輝度を低減させる方法により、重ね合わせ情報を背景情報から区別出来るようにしている。」と記載されているように周知のことであり、 また、原審の拒絶査定時に周知例として引用した実願昭56-100582号(実開昭58-8266号)の願書に添付された明細書および図面の内容を撮影したマイクロフィルムの第2頁第13行目〜第3頁第3行目に「本考案の目的は簡単な構成によって文字図形の背景になる画像の平均輝度を低下させて、文字図形の読取りを容易にした文字信号混合装置を提供することにある。 このような目的を達成するために、本考案は文字図形を表示する時、文字図形の周囲に表示される画像に対応する画像信号を、平均輝度の低下した画像を表示させる背景信号とし、この信号を所定レベルの直流電圧からなる文字信号と混合するものである。以下図面を用いて本考案を詳細に説明する。」と記載されているように周知のことである。 したがって、引用例1のものを、文字発生回路のオンスクリーン表示文字信号をブランキング発生回路のブランキング期間にスクリーン上に表示するオンスクリーン文字処理方法に適用することは当業者が容易に推考することができることである。 (2)相違点2について、 一般的に、補色発生回路を設けて、補色信号を発生することは、例えば、特開昭55-79487号公報(原審の拒絶の理由通知書の引用文献2)、特開昭63-164579号公報、特開昭62-267796号公報等により周知のことであるから、引用例1において、補色を、文字の文字色を文字色判別回路によって判別し、文字色判別回路で判別された色信号の補色信号を補色発生回路により発生するようにすることは当業者が容易に考えられることと認められる。 (3)相違点3について、 一般的に、影付き文字等の変形文字を単一の文字情報とすることは周知のことであるから、引用例1のものにおいて、引用例1の文字情報と補色の縁取り情報とを混合して単一つの文字情報とすることは当業者が容易に考えられることと認められる。 (4)相違点4について、 引用例1のもの、主画面に文字図形情報を重ね合わせ表示する場合、補色で縁取りされた文字をが表示することが記載され、従来例として文字図形等の情報を背景情報に重ね合わせる場合、重ね合わせの行われる付近の背景情報を全体的に輝度を低減させる方法が示されているから、引用例1の補色で縁取りされた文字を、重ね合わせの行われる付近の背景情報を全体的に輝度を低減させた時に、即ちブランキング期間に表示するようにすることは当業者が容易に考えられることと認められる。 そして、本願請求項1に係る発明は、前記引用例1のものから予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものとは認められない。 5.むすび 従って、本願請求項1に係る発明は、前記引用例1に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-11-05 |
結審通知日 | 1999-11-19 |
審決日 | 1999-11-29 |
出願番号 | 特願平1-205552 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G09G)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 大野 弘 |
特許庁審判長 |
小川 謙 |
特許庁審判官 |
松野 高尚 高倉 成男 |
発明の名称 | オンスクリーン表示文字形成方法及びその形成装置 |
代理人 | 伊東 忠彦 |