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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05B
管理番号 1013778
審判番号 審判1997-4040  
総通号数 11 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1990-08-14 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1997-03-19 
確定日 2000-02-23 
事件の表示 平成1年特許願第23501号「高周波加熱装置」拒絶査定に対する審判事件(平成2年8月14日出願公開、特開平2-204992)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成1年2月1日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成11年7月16日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「商用電源に接続される整流平滑回路と、該整流平滑回路の出力側に一次巻線が接続された絶縁トランスと、前記整流平滑回路と絶縁トランスとの間に挿入された半導体スイッチを有するスイッチング回路と、前記絶縁トランスの二次巻線に接続されたマグネトロン駆動回路と、該マグネトロン駆動回路によって駆動されるマグネトロンと、商用電源と前記整流平滑回路との間に設けられ、前記整流平滑回路に入力する電力を検出する商用電源入力検出回路と、該商用電源入力検出回路により検出された電力と設定出力とを比較し、該電力が設定出力より低いときは前記スイッチング回路の半導体スイッチの導通時間が長くなるよう制御し、前記電力が設定出力より高いときは前記半導体スイッチの導通時間が短くなるよう制御し、前記マグネトロンの高周波出力が設定出力に達するようにする出力制御手段とを備えたことを特徴とする高周波加熱装置。」
2.引用例記載の事項
当審において、平成11年4月20日付けで通知した拒絶理由に引用した本願の出願の日前に国内において頒布された刊行物である特開昭63-271886号公報(以下、「引用例1」という。なお、上記拒絶理由において、刊行物1として引用した「特開昭53-271886号公報」は、審判請求人も認めるように「特開昭63-271886号公報」の誤記であるので訂正する。)には、高周波加熱装置に関し、図面とともに、「単方向電源、前記単方向電源の出力を高周波に変換する少なくとも1つのスイッチング素子およびその駆動回路を有するインバータ回路と、前記単方向電源の電流を検出する電流検出器と、食品及び流体等を加熱するためのマグネトロンと、前記インバータ回路の出力を昇圧して前記マグネトロンヘの電力を供給するトランスとを備え、前記インバータ回路は前記電流検出器の出力が所定値になるよう制御する入力電流制御部を有し、前記トランスは、前記インバータ回路に接続される1次巻線と、前記マグネトロンに高圧高周波電力を供給しその出力電圧を検出するための検出端子を有する2次巻線と、前記マグネトロンのカソードヒータへ低圧高周波電力を供給する3次巻線とを備えた高周波加熱装置。」(特許請求の範囲)であること、「第1図において商用電源1の電力はダイオードブリッジ2により整流され、単方向電源3が形成されている。4はインダクタ、5はコンデンサであってインバータ回路6の高周波スイッチング動作に対するフィルタの役割を果たすものである。」(第2頁右下欄4〜9行)こと、「インバータ回路6は共振コンデンサ7、スイッチング用のパワートランジスタ8、ダイオード9、及び駆動回路10より構成されている。パワートランジスタ8は駆動回路10より供給されるベース電流によって所定の周期とデューティー(即ち、オンオフ時間比)でスイッチング動作する。この結果生じた高周波電力がトランス11の1次巻線12に供給され2次巻線13に高周波高電圧出力14として表れマグネトロン15のカソード15a、アノード15b間に供給され、トランス11の3次巻線には低圧高周波電力が発生しマグネトロン15のカソード15aを熱し、マグネトロン15を動作させる。」(第2頁右下欄10行〜第3頁左上欄2行)こと、「入力電流検出器16は商用電源1よりの入力電流Iinを検出し、その出力を入力電流整流回路17で整流した信号と電流基準信号18との差を電流誤差増幅回路19で増幅してコンパレータ20に入力する。・・・この入力電流検出器16よりコンパレータ20までが入力電流制御部23を構成し、入力電流Iinが減少すると電流誤差増幅回路19の出力が上昇しオン・オフパルス22のオン時間が長くなり入力電流Iinを増す方向に動作する。逆に入力電流Iinが増加すると入力電流を減らすように動作する。このように入力電流制御部23は入力電流Iinが所定値になるように制御を行う。」(第3頁左上欄3〜18行)こと、「また高圧トランス5とマグネトロン7との間に倍電圧整流回路を設けた場合にも同様の方式で対応可能である」(第3頁左下欄13〜15行)ことが記載されている。
同じく拒絶理由に引用した本願の出願の日前に国内において頒布された刊行物である特開昭59-194378号公報(以下、「引用例2」という。)には、高周波加熱装置に関し、図面ととも、「本発明は電子レンジの加熱手段等として使用されるマグネトロンの駆動回路に関し、更に詳述すれば入力電力の安定度を高めた回路を提案するものである。」(第1頁左下欄12〜15行)こと、「このような高周波駆動方式による場合は・・・次のような問題点が残されていた。
スイッチング制御回路20はインバータの入力電圧(入力電流でもよい)を検出して入力電圧に比例するレベルの信号を出力する分圧回路20a、該分圧回路20aの出力電圧に相応する時間幅を有するパルス信号を出力する信号変換回路20b及びスイッチング素子19の駆動回路からなる。・・・すなわちインバータの入力電力が増す(減ずる)と信号変換回略20b出力の出力パルス信号の時間幅をそれに応じて短く(長く)して、この時間幅にて規定されるスイッチング素子19のオン時間を短縮(拡大)してインバータの入力電力を抑制(増大)させるようにしている。このようなフィードバック的制御によって入力電力が安定する筈であるが、現実には入力電力が暴走してその変動が200〜300%に及ぶこととなっていた。」(第2頁左上欄6行〜第2頁右上欄9行)こと、「本発明は斯かる知見に基いてなされたものであり、スイッチング制御回路に非線形特性を有せしめて入力電力の安定化を図ったマグネトロンの駆動回路を提供することを目的とする。」(第2頁左下欄16〜19行)こと、「第5図は本発明に係るマグネトロンの駆動回路の略示回路図であり、商用周波電源10を整流回路11に接続し、その出力をコンデンサ12,14及びコイル13からなるフィルタを介してインバータに与え、昇圧変圧器16の2次巻線16sの高周波の高電圧をコンデンサ23,ダイオード21及びバリスタ22からなる半波倍電圧整流回路に与えて、この整流出力をマグネトロン24に与えるようになしてあり、前記インバータはチョークコイル15,昇圧変圧器16の1次巻線16p,共振コンデンサ17,フライホイルダイオード18及びゲートターンオフサイリスタ等のスイッチング素子19並びに該スイッチング素子19のオン,オフ制御をするスイッチング制御回路25からなつており、また昇圧変圧器16の3次巻線16tをマグネトロン24の陰極のヒータ用電源としている。そして本発明の回路はスイッチング制御回路25が第1図に示したものと相違している。」(第2頁左下欄16行〜第2頁右下欄17行)こと、「第6図はこのスイッチング制御回路25を示す回路図である。整流回路11の正側出カラインは2つの抵抗を直列接続してなる入力回路25aに接続されており、抵抗相互の接続点の電位を整流回路11の出力電圧、換言すればインバータの入力電圧を表す信号として乗算器30の一入力として与えるようにしている。」(第2頁右下欄18行〜第3頁左上欄10行)こと、「この乗算器30の出力はオペアンプ42の一入力端子へ与えられる。オペアンプ42の+入力端子に与えられる基準電圧はこれに連なる抵抗70、71及び72にて決定される。従ってこのオペアンプ42への入力が大きい(又は小さい)ほど低い(又は高い)レベルの出力信号V42が発せられることになる。該出力信号V42は抵抗73を介してコンバレータ47の+入力端子へ与えられる。・・・このコンパレータ47はこのスイッチング制御回路25の出力パルス信号の時間幅、つまりハイレベルとなっている時間を定めるものであって、・・・+入力端子へ与えられる信号が一入力端子への信号よりも高レベルである間には高レベル出力を発する。」(第3頁左上欄16〜第3頁右上欄14行)こと、「上の如く構成されたスイッチング制御回路25において乗算器30の出力Vはインバータの入力電圧、入力電流の積に比例し、その倍率を両者の位相差又は負荷力率に相当する適宜の値に選択しておく場合はインバータ入力電力を代表することとなる。従ってこの出力Vはインバータの入力電圧又は入力電流単独の変化状態と比較するとこれらと非線形の関係を有している。この電圧Vはオペアンプ42の一入力端子に与えられるのでオペアンプ出力V42はVが大きい(又は小さい)程低レベル(又は高レベル)となる。」(第3頁左下欄8〜18行)こと、「このような動作から理解されるようにインバータ入力電力の大・小、つまりオペアンプ42出力V42の低・高に対応してR-SフリップフロップのQ出力のハイレベルの時間が短・長に変化することになり、このようなパルス信号がスイッチング素子19に与えられる。これによってインバータの入力電力をフィードバック情報とする制御が可能となるのである。」(第4頁右上欄1〜8行)ことが記載されている。
3.対比
上記引用例1には、上記2で指摘した事項からみて、「商用電源に接続されるダイオードブリッジ2と、ダイオードブリッジに接続されるインダクタ4及びコンデンサ5からなるフィルタとを含む回路と、フィルタの出力側に一次巻線が接続されたトランス11と、フィルタとトランス11との間に挿入された共振コンデンサ7とスイッチング用のパワートランジスタ8とダイオード9とを含む回路と、トランス11の二次巻線に接続された倍電圧整流回路と、倍電圧整流回路によって駆動されるマグネトロン15と、商用電源と整流平滑回路との間に設けられ、ダイオードブリッジ2への入力電流を検出する入力電流検出器16と、入力電流検出器16により検出された入力量と設定出力とを比較し、入力量が設定出力より低いときはスイッチング用のパワートランジスタ8の導通時間が長くなるよう制御し、入力量が設定出力より高いときはスイッチング用のパワートランジスタ8の導通時間が短くなるよう制御し、マグネトロン15の高周波出力が設定出力に達するようにする入力電流制御部23とを備えたことを特徴とする高周波加熱装置。」に係る発明が記載されている。
そこで、本願発明と引用例1に記載された発明を対比すると、引用例1に記載された「商用電源に接続されるダイオードブリッジ2と、ダイオードブリッジに接続されるインダクタ4及びコンデンサ5からなるフィルタとを含む回路」、「トランス11」、「スイッチング用のパワートランジスタ8」、「共振コンデンサ7とスイッチング用のパワートランジスタ8とダイオード9とを含む回路」、「倍電圧整流回路」、「入力電流制御部23」は、それぞれ、本願発明の「商用電源に接続される整流平滑回路」、「絶縁トランス」、「半導体スイッチ」、「半導体スイッチを有するスイッチング回路」、「マグネトロン駆動回路」、「出力制御手段」に相当し、また、本願発明の「整流平滑回路に入力する電力を検出する商用電源入力検出回路」と引用例1に記載された「入力電流検出器16」は、ともに「整流平滑回路への入力量を検出する電源入力検出回路」といえるから、両者は、
「商用電源に接続される整流平滑回路と、整流平滑回路の出力側に一次巻線が接続された絶縁トランスと、整流平滑回路と絶縁トランスとの間に挿入された半導体スイッチを有するスイッチング回路と、絶縁トランスの二次巻線に接続されたマグネトロン駆動回路と、マグネトロン駆動回路によって駆動されるマグネトロンと、商用電源と整流平滑回路との間に設けられ、整流平滑回路への入力量を検出する商用電源入力検出回路と、商用電源入力検出回路により検出された入力量と設定出力とを比較し、入力量が設定出力より低いときはスイッチング回路の半導体スイッチの導通時間が長くなるよう制御し、入力量が設定出力より高いときは半導体スイッチの導通時間が短くなるよう制御し、マグネトロンの高周波出力が設定出力に達するようにする出力制御手段とを備えたことを特徴とする高周波加熱装置。」
の点で一致し、次の点で相違する。
本願発明は、商用電源入力検出回路により電力を検出し、検出した電力により半導体スイッチのパルス導通時間を制御しているのに対し、引用例1に記載された発明は、商用電源入力検出回路により電流を検出し、検出した電流により半導体スイッチのパルス導通時間を制御している点。
4.判断
上記相違点について検討する。
引用例2に記載された「昇圧変圧器16」、「スイッチング素子19」、「半波倍圧整流回路」、「駆動回路25c」は、本願発明の「整流平滑回路」、「絶縁トランス」、「半導体スイッチ」、「マグネトロン駆動回路」、「出力制御手段」に相当し、引用例2に記載された「整流回路」、「コンデンサ12,14」及び「コイル13」は「整流平滑回路」を構成し、また引用例2に記載された「共振コンデンサ17」「フライホイールダイオード18」及び「スイッチング素子19」は「半導体スイッチを有するスイッチング回路」を構成しているから、引用例2には、商用電源に接続される整流平滑回路と、整流平滑回路の出力側に一次巻線が接続された絶縁トランスと、整流回路と絶縁トランスとの間に挿入された半導体スイッチを有するスイッチング回路と、絶縁トランスの二次巻線に接続されたマグネトロン駆動回路と、マグネトロン駆動回路によって駆動されるマグネトロンを有する高周波加熱装置において、入力電圧(入力電流でもよい)を検出して入力電圧に比例するレベルの信号を出力する分圧回路、分圧回路の出力電圧に相応する時間幅を有するパルス信号を出力する信号変換回路及び半導体スイッチを制御する出力制御手段からなる従来のスイッチング制御回路に換え、入力電圧及び入力電流をそれぞれ検出する入力回路、入力電圧と入力電流との乗算結果、すなわち入力電力に相応するパルス信号を出力する信号変換回路及び半導体スイッチを制御する出力制御手段からなるスイッチング制御回路を採用し、入力電力の大・小に対応してパルス信号を短・長に変化させるようにした点が記載されている。
また、一般に、交流電力を直接検出する電力検出回路は、従来周知(たとえば、実願昭60-666810号(実開昭61-183098号)のマイクロフィルム、特開昭63-127314号公報等参照。)である。
そして、引用例1及び引用例2に記載されたものは、商用電源に接続される整流平滑回路と、絶縁トランスと、半導体スイッチを有するスイッチング回路と、マグネトロン駆動回路と、半導体スイッチの導通時間をパルス制御する出力制御手段を備えた高周波加熱装置の点で共通の技術分野に属するから、検出した電流により半導体スイッチのパルス導通時間を制御するようにした引用例1に記載された発明に、引用例2に記載された電流の検出に換えて電力を検出し、この電力により半導体スイッチを制御するようにした技術事項を適用し、その際、電力検出手段として上記従来周知の電力検出回路を採用して、上記相違点であげた本願発明の構成のようにすることは、当業者であれば容易になし得たことである。
なお、本願発明の効果も引用例1及び引用例2に記載された事項並びに上記周知技術から予測できる程度のものであって格別のものではない。
5.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用例1及び引用例2に記載された発明並びに上記従来周知の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1999-12-01 
結審通知日 1999-12-14 
審決日 1999-12-20 
出願番号 特願平1-23501
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H05B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大河原 裕二宮 千久  
特許庁審判長 大槻 清寿
特許庁審判官 船越 巧子
小林 武
発明の名称 高周波加熱装置  
代理人 大村 昇  
代理人 木村 三朗  
代理人 小林 久夫  
代理人 佐々木 宗治  

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