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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61M |
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管理番号 | 1013787 |
審判番号 | 審判1997-1213 |
総通号数 | 11 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1995-05-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1997-01-20 |
確定日 | 2000-04-13 |
事件の表示 | 平成5年特許願第153356号「血液透析機械の操作法、時間変更パラメータのプログラミング法、透析機械の操作法,腎臓透析機械及び透析物分配用装置」拒絶査定に対する審判事件(平成7年5月30日出願公開、特開平7-136250)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
【1】本願は、平成5年6月24日の特許出願 (特願平5-153356号)であって、その請求項1に係る発明は、平成9年2月19日付けで補正された明細書の記載および出願当初の図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの、 「血液透析機械を操作するにあたり、処理パラメータを変更する際に使用する人と機械のインタフェース工程において、 (a)処理パラメータに対応してタッチスクリーンインタフェースに印を形成し、 (b)印にタッチし、 (c)前記タッチに応じてタッチスクリーン領域にキーパッドディスプレイを引き出し、 (d)表示されたキーパッドの1種以上のボタンにタッチすることにより、処理パラメータに対応して数字パラメータを入力し、 (e)キーパッドの第1領域にタッチして、数字パラメータの入力の終了を信号で送り、 (f)新しく入力した数字パラメータの確認を求めるボタンをタッチスクリーン上に表示し、 (g)確認を求めるボタンにタッチし、 (h)前記諸行為に応じて処理パラメータを変更させ、処理パラメータの誤った変更を最小にする、 段階を有することを特徴とする血液透析機械の操作法。」(以下、「本願発明」という。) にあるものと認める。 【2】これに対して、 [2-1]原審における平成8年2月19日付けの拒絶理由通知において引用文献1として提示された特開平4-164457号公報(以下、「引用例」という。)には、例えば、 (1)公報第1頁右下欄第15〜16行の 『この発明は、医療現場において使用されている輸液ポンプの制御方法および制御装置に関する。』なる記載、 (2)同第3頁左上欄第1〜10行の 『操作・表示パネル1は液晶・・・(中略)・・・で構成された文字および画像表示装置でなる表示板4の表示面に透明スイッチパネル5を重ねて構成してあるもので、表示板4が画像制御装置6を介してCPU2と接続されて、CPU2の出力部を形成してある一方、透明スイッチパネル5がキーインターフェース7を介してCPU2と接続されて、CPU2の入力部を形成してある。』なる記載、 (3)同第3頁左下欄第5行〜右下欄第8行の 『一方、送液の開始に際して、送液の条件を変更したい時は、第2図において「変更」と表示された部分15を押す。部分15の押圧も透明スイッチパネル5を介して検出され、操作・表示パネル1は第3図に示したような表示に切換わる。 そこで、例えば流量を変更したい時には「流量」と表示された部分16を指で押す。この押圧も透明スイッチパネルで検出され、操作・表示パネル1は第4図のように切換わり、部分16が反転文字で表示されると共に、テンキー17が表示される。テンキー17が表示された部分の透明スイッチパネル5は押圧を検出できるように機能化されることになり、所要の流量の数値を入力し、「セット」の部分18を押圧することにより、流量の変更がセットされる。セットが完了すると、操作・表示パネル1は第3図の状態に復帰する。予定量、チューブ、モードについても条件変更をしたい場合には、夫々19、20、21の部分を押圧し、前記と同様に操作すれば良い。 必要な条件変更を終了した場合には、第3図において「終了」と表示された部分22を押圧すると、透明スイッチパネル5で検出されて、第2図の表示(各種の条件の表示数値は変更される)がされる。』 なる記載、および (4)同第4頁左下欄第5〜8行の 『この発明によれば、操作・表示パネルに対する誤操作や誤認を無くし、かつ操作も簡単にできるので、適切な輸液を容易にでき、かつ輸液における事故を未然に防止できる効果がある。』 なる記載、そして (5)図面、特に第1〜4図の記載内容、 等からみて、 医療現場において使用されている輸液ポンプを操作するにあたり、送液の条件を変更する際に使用する人と機械のインタフェース工程において、 (A)送液の条件に対応して操作・表示パネル1に表示を形成し、 (B)表示を押圧し、 (C)前記押圧に応じて操作・表示パネル1領域にテンキー17を表示し、 (D)表示されたテンキー17の1種以上の数字表示部分を押圧することにより、送液の条件に対応して所要の数値を入力し、 (E)テンキー17の「セット」部分18を押圧して、所要の数値のセットの完了を信号で送り、 (F)新しく入力した所要の数値の変更が終了したことを入力するための「終了」部分22を操作・表示パネル1上に表示し、 (G)変更が終了したことを入力するための「終了」部分22を押圧し、 (H)前記諸行為に応じて送液の条件を変更させ、送液の条件の誤操作や誤認を無くする、 段階を有する医療現場において使用されている輸液ポンプの操作法、 が記載されているものと認められる。 [2-2]また、引用文献6として提示された特開昭60-241449号公報には、例えば、 (1)公報第1頁左下欄第5〜10行(特許請求の範囲)の 『限外濾過率を制御する制御部を具備する人工透析装置において、・・・(中略)・・・限外濾過率を設定する手段を具備し、該手段から前記制御部へ設定値を与えるように構成したことを特徴とする人工透析装置。』 なる記載、 (2)同第3頁左上欄第20行〜左下欄第3行の 『UFR設定操作は、医者、看護婦等が、患者の状態を調べ、その患者の透析・限外動作に適したUFRパターンを認識した上で行われる。UFR設定器31を動作状態にすると・・・(中略)・・・この値を書込み指令スイッチ31Cの操作により制御部30のRAMに書込む。以下、同様に・・・(中略)・・・設定し、制御部30のRAMに書込む操作を行い、治療時間全体にわたるUFRを治療時間経過に合せて設定する(表示部31Dには、第3図に示すような、UFRパターンが表示される)。』 なる記載、および (3)同第4頁左上欄第16行〜右上欄第1行の 『制御部30は、時間が30分経過後毎に制御演算における設定値を予めUFR設定器31から与えられている値に更新しながら、所定のUFRを得る動作を続ける。従って、患者の状態に合せたUFRパターンに基づく透析・限外濾過を行うことができる。』 なる記載、そして (4)図面、特に第2,3図の記載内容、 等からみて、 人工透析装置を操作するにあたり、医者、看護婦等と人工透析装置との間に設置されたUFR設定器31、制御部30等の仲介装置を用いて患者の状態に合せたUFR(限外濾過率)パターンを設定すること、すなわち、 血液透析機械を操作するにあたり、人と機械のインタフェース工程を使用して処理パラメータを変更すること、 が記載されているものと認められる。 【3】そこで、上記引用例に記載されたもの(以下、単に「引用例のもの」という。)と本願発明とを比較すると、引用例のものにおける「送液の条件」、「操作・表示パネル1」、「表示」、「押圧し」、「テンキー17」、「表示し」、「数字表示部分」、「所要の数値」、「セット部分18」、「セットの完了」そして「誤操作や誤認を無くする」なる各文言は、それらの意味、機能または作用等からみて、それぞれ、順に、本願発明における「処理パラメータ」、「タッチスクリーンインタフェース」あるいは「タッチスクリーン」、「印」、「タッチし」、「キーパッドディスプレイ」、「引き出し」、「ボタン」、「数字パラメータ」、「第1領域」、「入力の終了」そして「誤った変更を最小にする」なる各文言に相当すると認められ、特に、引用例のものの変更が終了したことを入力するための「終了」部分22を押圧する行為は、テンキー17のセット部分18を押圧して、所要の数値のセットの完了を信号で送った後の段階における、上記セットされた所要の数値を再確認するための行為に当たるから、引用例のものの「新しく入力した所要の数値の変更が終了したことを入力するための「終了」部分22」は、本願発明の「新しく入力した数字パラメータの確認を求めるボタン」に相当するものと認められるので、本願発明と引用例のものとは、 医療用機械を操作するにあたり、処理パラメータを変更する際に使用する人と機械のインタフェース工程において、 (a)処理パラメータに対応してタッチスクリーンインタフェースに印を形成し、 (b)印にタッチし、 (c)前記タッチに応じてタッチスクリーン領域にキーパッドディスプレイを引き出し、 (d)表示されたキーパッドの1種以上のボタンにタッチすることにより、処理パラメータに対応して数字パラメータを入力し、 (e)キーパッドの第1領域にタッチして、数字パラメータの入力の終了を信号で送り、 (f)新しく入力した数字パラメータの確認を求めるボタンをタッチスクリーン上に表示し、 (g)確認を求めるボタンにタッチし、 (h)前記諸行為に応じて処理パラメータを変更させ、処理パラメータの誤った変更を最小にする、段階を有する医療用機械の操作法、 である点で一致しており、下記の点で相違しているものと認められる。 [相違点] 操作の対象とされる医療用機械が、引用例のものでは医療現場において使用されている輸液ポンプであるのに対して、本願発明においては血液透析機械である点。 【4】続いて、上記の相違点について、検討する。 血液透析機械を操作するにあたり、人と機械のインタフェース工程を使用して処理パラメータを変更することは、前記[2-2]において例示したように、透析に関する技術の分野において、周知の手段である。 それ故、上記周知の手段に倣って、引用例のものの操作法を医療現場において使用されている輸液ポンプに代えて血液透析機械に適用し、血液透析機械を操作するにあたって上記(a)〜(h)の段階を有する人と機械のインタフェース工程によって処理パラメータを変更するようにして、本願発明のように構成する程度のことは、当業者が必要に応じて容易になし得たものと認められる。 そして、本願発明の構成によってもたらされる明細書に記載の効果も、引用例のものおよび周知の手段から、当業者であれば予測できる範囲のものであって、格別なものとはいえない。 【5】したがって、本願発明は、その出願前に当業者が引用例のものおよび周知の手段に基いて容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-10-29 |
結審通知日 | 1999-11-12 |
審決日 | 1999-11-25 |
出願番号 | 特願平5-153356 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A61M)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山中 真 |
特許庁審判長 |
岡田 幸夫 |
特許庁審判官 |
長崎 洋一 藤本 信男 |
発明の名称 | 血液透析機械の操作法、時間変更パラメータのプログラミング法、透析機械の操作法,腎臓透析機械及び透析物分配用装置 |
代理人 | 杉村 興作 |
代理人 | 杉村 暁秀 |