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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B66B
管理番号 1013827
審判番号 審判1998-18957  
総通号数 11 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1991-07-12 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-12-10 
確定日 2000-03-08 
事件の表示 平成1年特許願第299765号「エレベータの信号伝送装置」拒絶査定に対する審判事件(平成3年7月12日出願公開、特開平3-162375)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.出願の経緯・本願発明
本願は、平成1年11月20日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成11年1月11日付け手続き補正書により補正された特許請求の範囲に記載された以下のとおりのものである。
「エレベータの主制御装置としてのマスタステーンョンとエレベータ設置建屋の各階に設置されているリモートステーションとの間で時分割データ伝送を行いエレベータの動作制御を行うエレベータの信号伝送装置において、
各リモートステーションに乗場呼び登録信号が入力された際、この入力信号を前記マスタステーンョンとの間の時分割データ伝送における最初に伝送されたセレクトタイミング信号まで保持してその信号を駆動するワンショット処理手段を設けて成ることを特徴とするエレベータの信号伝送装置。」
II.引用例
(1)これに対し、原査定の拒絶の理由において引用された特開昭63-282075号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。
「第8図はこのような時分割でデータを伝送するシステムの構成例を示すものである。即ち、このデータ伝送システムは第8図に示すように制御用マイクロコンピュータ2とデータ伝送主制御部(以下マスタステーションと呼ぶ)3からなるエレベータ制御装置1と複数のデータ伝送従制御部(以下リモートステーションと呼ぶ)5a〜5dとの間をデータ伝送路4により接続し、マスタステーション3から各リモートステーション5a〜5dに時分割で例えば乗場呼データを送信するように指令を発し、続いて各リモートステーションから送信されたデータを受信するようにしたものである。」(公報第2頁右上欄第1〜13行)
「マスタステーション3は伝送路4を介して各階床に設置されているリモートステーション5a〜5dとデータ送受信を行い」(同第3頁左下欄第17〜20行)
「エレベータ乗り場呼びスイッチ6の操作による呼び信号は通常モード切替時にはデータ送受信処理部14に対して同様に入力されるものである。」(同第4頁右上欄第13〜15行)
これらの記載事項によれば、引用例1には、以下の発明が記載されているものと認められる。
「エレベータ制御装置1とエレベータ設置建屋の各階に設置されているリモートステーション5a〜5dとの間で時分割データ伝送を行いエレベータの動作制御を行うエレベータの信号伝送装置において、各リモートステーションに呼び信号が入力されるエレベータの信号伝送装置」
(2)また、原査定において周知例として引用された特開昭52-54881号公報(以下、「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。
「1:Nサイクリック・ディジタル遠方監視制御装置は、単一の親局と複数の子局とからなり、親局と子局とは制御回線とデータ回線によって結ばれる。親局から子局には制御回線を通じて制御指令が与えられ、子局から親局にはデータ回線を通じて監視データが与えられる。各子局は監視データを常時サイクリックに親局に送っており、親局は順次子局を切換えて監視データを受信する。監視データの一つに瞬間入力がある。瞬間入力は異常発生等を表示する入力信号であるが、これには親局が子局の切換を一巡する周期よりも継続時間が短いものがあるので、適当な時間保持して親局によって確実に読取られるようにする必要がある。従来のサイクリック遠方監視制御装置においては、親局が子局のデータを読取ったかどうかは子局側には特に知らされないので、子局では親局が確実に読取るであろう時間だけ保持する必要がある。この保持時間は親局が全子局を一巡する周期よりも大きくしなければならない」(公報第1頁左下欄第15行〜右下欄第13行)
「イニシャライズ指令はそれを受取った子局とっては、親局1によるデータ受信が自分のところに巡ってきたことを意味する信号となる。したがって、一つの子局にイニシャライズ指令が到来する時間間隔は、親局によるこの子局のデータ受信間隔を表し、これは親局1が全子局を一巡するに要した時間に等しい。」(同第2頁左下欄第10〜16行)
III.対比・判断
本願発明と上記引用例1に記載の発明とを対比すると、後者における「エレベータ制御装置1」、「リモートステーション5a〜5d」、「呼び信号」は、前者における「エレベータの主制御装置としてのマスターステーション」、「リモートステーション」、「乗場呼び登録信号」に相当するものであるから、両者は、
エレベータの主制御装置としてのマスタステーンョンとエレベータ設置建屋の各階に設置されているリモートステーションとの間で時分割データ伝送を行いエレベータの動作制御を行うエレベータの信号伝送装置において、各リモートステーションに乗場呼び登録信号が入力されるエレベータの信号伝送装置、
である点で一致し、次の点で相違する。
各リモートステーションに乗場呼び登録信号が入力された際に、前者では、「この入力信号を前記マスタステーンョンとの間の時分割データ伝送における最初に伝送されたセレクトタイミング信号まで保持してその信号を駆動するワンショット処理手段を設けて成る」のに対し、後者では、このようなワンショット処理手段を設けているのか否か明らかでない点。
そこで、上記相違点につき検討する。
引用例2における上記II(2)の記載事項によれば、引用例2には、「単一マスタステーション(引用例2における「親局」が相当する。)と複数のリモートステーション(引用例2における「子局」が相当する。)との間で時分割データ伝送を行う信号伝送装置において、各リモートステーションに信号が入力された際に、この入力信号をマスタステーションが確実に読み取るであろう時間だけ保持させる」という発明が開示されているものと認められる。また、信号保持処理に当たり、トリガ信号が与えられると一定幅のパルス出力を得るための手段として、ワンショットマルチバイブレータ等のワンショット処理手段を用いることは周知の技術事項である。
そして、引用例1、2に記載の発明は何れも、マスタステーンョンとリモートステーションとの間で時分割データ伝送を行う信号伝送装置に関するものであるから、引用例1に記載されたエレベータの信号伝送装置における乗場呼び登録信号の伝送に当たり、引用例2に記載の発明を適用することは当業者であれば容易に想到し得たものであって、この適用に際し、「入力信号をマスタステーションが確実に読み取るであろう時間」を「マスタステーンョンとの間の時分割データ伝送における最初に伝送されたセレクトタイミング信号」が到来するまでの時間とすること、また、乗場呼び登録信号を保持するための手段としてワンショット処理手段を採用することは、何れも単なる設計事項にすぎないものである。
そして、本願発明の奏する効果も、引用例1、2に記載の発明及び周知の技術事項から、当業者が予測できる程度のものである。
IV.むすび
したがって、本願発明は引用例1、2に記載された発明及びこの出願前周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1999-12-10 
結審通知日 1999-12-24 
審決日 2000-01-07 
出願番号 特願平1-299765
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B66B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小峰 利道  
特許庁審判長 西野 健二
特許庁審判官 関谷 一夫
清水 信行
発明の名称 エレベータの信号伝送装置  
代理人 三好 秀和  

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