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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01C
管理番号 1013869
審判番号 審判1998-7791  
総通号数 11 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1991-09-03 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-05-18 
確定日 2000-05-01 
事件の表示 平成1年特許願第343829号「乗用農作業機」拒絶査定に対する審判事件(平成3年9月3日出願公開、特開平3-201905)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明の要旨
本願は、平成1年12月29日にされた特許出願であって、本願の発明の要旨は、平成11年11月2日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。
「(1)走行車体の後部にリンク装置を介して昇降可能に作業機部分を装着する乗用農作業機において、前後方向に2本並んで延びるメインフレームを走行車体に設け、該2本のメインフレームに左右方向に延びる複数のフレームを固着して該フレームにボデイを取付けるとともに、メインフレームの前側にミツンョンケースを装着し後側にリンク装置を装着し、該リンク装置を昇降駆動する油圧シリンダを、その基部を前記メインフレームの2本のフレームをリンク装置より前側において互いに連結する横フレームに連結し先端部側をリンク装置と連結して設けるとともに、前記横フレームの油圧シリンダの連結部をメインフレーム上面より下方側に位置させ且つ油圧シリンダを前下がり傾斜姿勢に配置して前記油圧シリンダを設けたことを特徴とする乗用農作業機。」(以下、「本願発明」という。)
2.引用例
これに対し、当審における拒絶の理由で引用した特開昭61-67409号公報(以下、「引用例1」という。)には、
「前輪(1L)・(1R)と後輪(2L)・(2R)との間に操縦席(3)とエンジン(4)とを装備し乗用型走行車体(5)の前部または後部に作業機(6)をリンク機構(7)を介して上下動自在に装着してなる乗用型作業機において、該作業機(6)をリンク機構(7)を介して上下動せしめる油圧シリンダー(8)をエンジン(4)の下方に設けたことを特徴とする乗用型作業機。」(特許請求の範囲)、
「乗用型走行車体(5)は前部にミッションケース(9)、・・・を設け後部に・・・両者を機体フレーム(12L)・(12R)・(13)にて連結し」(第2頁左上欄第10〜13行)、
「(8)は油圧シリンダーであって、・・・機体フレーム(12L)・(12R)間に固着された支持板(18)にその前部が支持され、同じく機体フレーム(12L)・(12R)間に固着された支持板(19)にその後部が支持されている。」(第2頁左上欄第20行〜右上欄第4行)、
「上部リンク(26)の前端にはアーム(34)が一体的に延設され、その先端が前記油圧シリンダー(8)の出退動ずるラム(35)の先端に弾機(36)を介して連結されている。」(第2頁右上欄第18行〜左下欄第1行)、
第1図(乗用型作業機の側面図)
の記載からみて、
「走行車体(5)の後部にリンク機構(7)を介して昇降可能に作業機(6)を装着する乗用型作業機において、前後方向に並んで延びる機体フレーム(12L)・(12R)を走行車体に設け、該機体フレーム(12L)・(12R)の前側にミッションケース(9)を装着し後側にリンク機構(7)を装着し、該リンク機構(7)を昇降駆動する油圧シリンダー(8)を、その基部を前記機体フレーム(12L)・(12R)の2本のフレームをリンク機構(7)より前側において互いに連結する支持板(18)・(19)に連結し先端部側をリンク機構(7)と連結して設けるとともに、前記支持板(18)(19)の油圧シリンダー(8)の連結部を機体フレーム(12L)・(12R)上面より下方側に位置させて前記油圧シリンダー(8)を設けた乗用型作業機。」
が記載されているものと認める。
同じく実願昭60-83212号(実開昭61-197819号のマイクロフィルム(以下、引用例2という。)には、
「第5図に示すように、車輪式走行装置等を有した農用トラクターの機体後部に、単動型の油圧シリンダ(1)によって上下に揺動操作されるように構成したリンク機構(2)を介して昇降操作自在に苗植付け装置(3)を連結する」(第4頁第14〜18行)、
「第1図及び第2図に示すように、前記油圧シリンダ(1)のピストンロッド(1a)を連結ピン(23)を介して、前記リンク機構(2)を構成するトップリンク(2a)の操作アーム部(24)に回動可能に連結し、前記油圧シリンダ(1)のシリンダチューブ(1b)を、前記トラクターの左右一対の機体メインフレーム(25a)、(25b)に軸芯(P)周りで回動ずるように備えられたシリンダ受け用機体部分(26)に摺動自在に取付けてある。」(第7頁第16行〜第8頁第4行)、
第1図(シリンダ配設部の側面図。油圧シリンダの連結部を機体メインフレーム(25a)、(25b)上面より下方側に位置させ且つ油圧シリンダを前下がり傾斜姿勢に配置して前記油圧シリンダを設けた点が記載されている。)、
第2図(シリンダ)
第5図(乗用型田植機全体の側面図。)
の記載からみて、
「走行車体の後部にリンク機構(2)を介して昇降可能に苗植付け装置(3)を装着する農用トラクター乗用農作業機において、前後方向に2本並んで延びる機体メインフレーム(25a)、(25b)を走行車体に設け、該機体メインフレーム(25a)、(25b)の後側にリンク機構(2)を装着し、該リンク機構(2)を昇降駆動する油圧シリンダ(1)を、その基部を前記機体メインフレーム(25a)、(25b)の2本のフレームにリンク機構(2)より前側において連結するシリンダ受け用機体部分(26)に連結し先端部側をリンク機構(2)と連結して設けるとともに、前記シリンダ受け用機体部分(26)の油圧シリンダ(1)の連結部を機体メインフレーム(25a)、(25b)上面より下方側に位置させ且つ油圧シリンダ(1)を前下がり傾斜姿勢に配置して前記油圧シリンダ(1)を設けた乗用農作業機。」
が記載されているものと認める。
3.対比・判断
そこで、本願発明と引用例1に記載された発明とを対比すると、引用例1に記載された発明の「乗用型作業機」は本願発明の「乗用農作業機」に、「機体フレーム(12L)・(12R)」は「メインフレーム」に、「2本のフレームをリンク機構(7)より前側において互いに連結する支持板(18)・(19)」は「2本のフレームをリンク装置より前側において互いに連結する横フレーム」に、「支持板(18)(19)の油圧シリンダー(8)の連結部を機体フレーム(12L)・(12R)上面より下方側に位置させて前記油圧シリンダー(8)を設けた」点は「横フレームの油圧シリンダの連結部をメインフレーム上面より下方側に位置させ前記油圧シリンダを設けた」点に相当するから、両者は、
「走行車体の後部にリンク装置を介して昇降可能に作業機部分を装着する乗用農作業機において、前後方向に2本並んで延びるメインフレームを走行車体に設け、該メインフレームの前側にミッションケースを装着し後側にリンク装置を装着し、該リンク装置を昇降駆動する油圧シリンダを、その基部を前記メインフレームの2本のフレームをリンク装置より前側において互いに連結する横フレームに連結し先端部側をリンク装置と連結して設けるとともに、前記横フレームの油圧シリンダの連結部をメインフレーム上面より下方側に位置させ前記油圧シリンダを設けたことを特徴とする乗用農作業機。」
である点で一致し、次の点で相違する。
1)本願発明においては、油圧シリンダを前下がり傾斜姿勢に配置して前記油圧シリンダを設けているのに対し、引用例1に記載の発明においては、油圧シリンダがそのように設けられていない点。
2)本願発明においては、2本のメインフレームに左右方向に延びる複数のフレームを固着して該フレームにボディを取付けるのに対し、
引用例1に記載の発明においては、その点が不明である点。
次に、上記相違点について検討する。
相違点1について検討すると、引用例2には、油圧シリンダを前下がり傾斜姿勢に配置して前記油圧シリンダを設けた点が記載されている。
そして、引用例1,2に記載された発明は、車体後部にリンク装置を介して昇降可能に作業機部分を装着する乗用農作業機として共通する技術分野に属しており、引用例1に記載された発明の、横フレームと油圧シリンダの連結部をメインフレーム上面より下方側に位置させて前記油圧シリンダを配置する事項に、引用例2に記載の発明の、油圧シリンダを前下がり傾斜姿勢に配置する事項を組み合わせることを想起することに格別の困難性はないものと認める。
次に、相違点2について検討すると、一般に乗用型作業機の分野で、2本のメインフレームに左右方向に延びる複数のフレームを固着して車体フレームを補強して強固な構造とし、該フレームに車体の部品を取付けて走行車体を形成させることは慣用技術であるから、この慣用技術を引用例1の2本の機体フレーム(12L)・(12R)を有する乗用型作業機の走行車体形成に適用することは当業者が普通に採用することができる程度の技術的事項にすぎない。そして、この慣用技術の適用により新たな格別な効果も生じない。
4.むすび
したがって、本願発明は、引用例1、2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1999-12-14 
結審通知日 1999-12-24 
審決日 2000-02-28 
出願番号 特願平1-343829
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉田 英一番場 得造  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 新井 重雄
鈴木 寛治
発明の名称 乗用農作業機  

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