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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1013894
審判番号 審判1998-1757  
総通号数 11 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-11-21 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-02-10 
確定日 2000-06-08 
事件の表示 平成7年特許願第128838号「半導体素子の多層金属配線の形成方法」拒絶査定に対する審判事件(平成7年11月21日出願公開、特開平7-307385)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本願の経緯および本願発明の要旨
本願は、平成7年5月1日(パリ条約による優先権主張1994年5月10日、大韓民国)の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願第1発明」という。)は、平成9年7月22日付けの手続補正書で補正された明細書及び図面からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(なお、平成10年2月10日付けの手続補正書は平成11年12月6日付けの補正却下の決定により却下されている。)「半導体基板の全面上に第1中間絶縁層を形成するステップと、第1中間絶縁層上に下部金属配線層を形成するステップと、下部金属配線層が形成された第1中間絶縁層上に第2中間絶縁層を形成するステップと、下部金属配線層の上部に対応させて第2中間絶縁層をエッチングしてコンタクトホールを形成するステップと、コンタクトホールを含む基板上にアルミニウムを堆積させるステップと、前記アルミニウムの上にタングステンを堆積させて前記コンタクトホールを埋め込むステップと、前記第2中間絶縁層が露出するまで前記アルミニウムとタングステンとをエッチングするステップと、を備えることを特徴とする半導体素子の多層金属配線の形成方法。」
2.引用刊行物記載の発明
これに対して、原審の拒絶の理由に引用された、本願出願日前に頒布された刊行物である特開平6-85070号公報(公開日:平成6年3月25日。以下、「引用例1」という)には、
「この様な問題点を解決する多層配線の形成方法が提案された。図6は1991年VMIC Conference p144-p152において提案された多層配線の形成方法を示す工程断面図である。図6(a)〜(f)に従って第2の配線層11の形成方法を順次説明する。まず、第1の配線層2,層間絶縁膜3を以下に説明する第2の配線層11と同じ形成方法を利用して形成したので層間絶縁膜3の表面はすでに平坦化されたものとなっている。こののち、全面にレジスト6を塗布し写真製版技術によって接続孔8用のレジスト6パターンを形成する。さらに全面にレジスト7を塗布し、写真製版技術によって第2の配線層11用のレジスト7パターンを形成する(図6(a))。次に、接続孔8のレジスト6パターンをマスクとして層間絶縁膜3を規定時間エッチングし、層間絶縁膜3中に接続孔8を途中まで形成する。(図6(b))。次に、第2の配線層11用レジスト7パターンをマスクとして接続孔8用レジスト6パターンをエッチングし、層間絶縁膜3表面に第2の配線層11用レジストパターンを残す。接続孔8用レジスト6のエッチングの際には当然ながら第2の配線層11用レジスト7も同時に除去されてしまい、接続孔8用レジスト6パターンに第2の配線層11用レジストパターンが転写されて残ることになる(図6(c))。次に、残存した第2の配線層11用レジストパターンをマスクとして層間絶縁膜3をエッチングし、接続孔8および配線溝9を形成する。このとき層間絶縁膜3の膜厚によってはオーバーエッチングされることがある。その後、レジストを除去する。(図6(d))。次に、全面に、CVD法等を用いて被覆性にすぐれた金属膜10を形成する。このとき金属膜10厚は接続孔8および配線溝9を埋めるのに充分な膜厚とする(図6(e))。その後、化学機械研磨法により金属膜10を研磨して接続用プラグと第2の配線層11を形成する。このとき、接続用プラグ、第2の配線層11,および層間絶縁膜3の表面は平坦となる。(図6(f))。」(【0005】〜【0007】)が、図6と共に記載されている。
したがって、上記各記載から、引用例1には、「第1の配線層2,層間絶縁膜3を以下に説明する第2の配線層11と同じ形成方法を利用して形成するステップと、
層間絶縁膜3をエッチングし、接続孔8および配線溝9を形成するステップと、
全面に、被覆性にすぐれた金属膜10を形成して、接続孔8および配線溝9を埋めるステップと、
化学機械研磨法により金属膜10を研磨して接続用プラグと第2の配線層11を形成して、接続用プラグ、第2の配線層11,および層間絶縁膜3の表面を平坦とするステップと、
を備えることを特徴とする半導体素子の多層金属配線の形成方法。」が記載されているものと認められる。
同じく原審の拒絶の理由に引用された、本願出願日前に頒布された刊行物である特開平3-274732号公報(以下、「引用例2」という)には、
「この実施例では、上記配線6が3層構造とされている。すなわちシリコン基板1に接触する最下層6aはW(タングステン)、Mo(モリブデン)、TiN(窒化チタン)あるいはTiW(チタンタングステン)等の高融点金属層からなり、かつグレインサイズの小さな金属層とされ、この最下層6aの上に、Al-Cu等のAl系金属からなりかつ比較的グレインサイズの大きな中間層6bが、またその中間層6bの上に最下層6aと同様グレインサイズの小さな高融点金属層からなる最上層6cが積層された構造とされている。」(第2頁左下欄第4〜14行)、
「次に、配線を2層構造で実現する場合のプロセスの一例を第3図(a)〜(d)を用いて説明する。この実施例では、基板上1に比較的厚いシリコン酸化膜のような層間絶縁膜15を被着した後、レジスト11をマスクとしてエッチングにより配線部に溝12を形成する。(第3図(a))。次にマスクとなったレジスト11を除去してからグレインサイズの小さな高融点金属層16aを基板全面にスパッタ蒸着する(第3図(b))。しかる後、基板温度や圧力を変えてからバイアス・スパッタ蒸着で上記金属層16aよりもグレインサイズの大きなAl系金属層16bを基板全面に略一様に被着する(第3図(c))。次に、Al系金属層16bをエッチバックし、さらに続けてその下の高融点金属層16aをエッチングする。すると、第3図(d)に示すように、絶縁膜5に形成した溝12内に高融点金属層16aとAl系金属層16bとからなる2層構造の配線16が形成される。この実施例では、絶縁膜15の溝12の中に配線16が形成され、しかも上層のAl系金属層16bの両側にもストレスマイグレーション耐性の高い高融点金属層16aが形成されているため、上方にグレインサイズの小さな金属層を形成しなくてもある程度ストレスマイグレーション耐性を高めることができる。」(第3頁右上欄第2行〜左下欄第8行)、
「例えば上記実施例ではグレインサイズの小さな金属層をグレインサイズの大きな金属層の上下または周囲に形成しているが、グレインサイズの大きな金属層をグレインサイズの小さな金属層の上下または周囲に形成するようにしてもよい。」(第4頁左上欄第7〜11行)、
「[発明の効果]本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。すなわち、配線層のエレクトロマイグレーション耐性及びストレスマイグレーション耐性を同時に向上させ、配線幅が狭くなっても断線を生じにくくして、デバイスの信頼性を向上させることができる。」(第4頁右上欄第1〜9行)が、第3図と共に記載されている。
したがって、上記各記載から、引用例2には、
「基板上に層間絶縁膜を被着するステップと、
上記層間絶縁膜をエッチングして溝を形成するステップと、
基板全面にグレインサイズの大きなAl系金属層を被着するステップと、
上記Al系金属層の上に、上記Al系金属層よりもグレインサイズの小さなタングステンを堆積するステップと、
上記Al系金属層と上記タングステンを続けてエッチングするステップと、
を備えることを特徴とする半導体素子の金属配線の形成方法。」が記載されているものと認められる。
3.対比
本願第1発明と引用例1に記載された発明とを対比すると、引用例1に記載された発明の「第1の配線層2,層間絶縁膜3を以下に説明する第2の配線層11と同じ形成方法を利用して形成するステップ」は、本願第1発明の「半導体基板の全面上に第1中間絶縁層を形成するステップと、第1中間絶縁層上に下部金属配線層を形成するステップと、下部金属配線層が形成された第1中間絶縁層上に第2中間絶縁層を形成するステップ」に相当すると認められる。
また、引用例1に記載された発明の「接続孔」、「化学機械研磨法」による「研磨」は、それぞれ本願第1発明の「コンタクトホール」、「エッチング」に相当する。
従って、本願第1発明と引用例1に記載された発明は、
「半導体基板の全面上に第1中間絶縁層を形成するステップと、第1中間絶縁層上に下部金属配線層を形成するステップと、下部金属配線層が形成された第1中間絶縁層上に第2中間絶縁層を形成するステップと、下部金属配線層の上部に対応させて第2中間絶縁層をエッチングしてコンタクトホールを形成するステップと、コンタクトホールを含む基板上に金属膜を堆積させて前記コンタクトホールを埋め込むステップと、前記第2中間絶縁層が露出するまで前記金属膜をエッチングするステップと、を備えることを特徴とする半導体素子の多層金属配線の形成方法。」である点で一致し、
コンタクトホールを含む基板上に金属膜を堆積させてコンタクトホールを埋め込むステップが、本願第1発明においては、「コンタクトホールを含む基板上にアルミニウムを堆積させるステップと、前記アルミニウムの上にタングステンを堆積させて前記コンタクトホールを埋め込むステップ」からなるのに対して、引用例1に記載された発明では「被覆性にすぐれた金属膜10を形成して接続孔を埋めるステップ」からなる点において相違する。
4.当審の判断
上記相違点について検討する。
引用例2には、「半導体素子の金属配線の形成方法」に係る発明が開示されおり、引用例2に記載された発明と引用例1に記載された発明とは、発明の属する技術分野を共通とするものである。
そして、引用例2に記載された発明と、引用例1に記載された発明は、どちらも、溝が形成された絶縁層に金属膜を形成して前記溝を前記金属膜で埋め込むステップと、その後前記絶縁層が露出するまで前記金属膜を除去するステップを有している。
してみれば、引用例1に記載された発明の「被覆性にすぐれた金属膜10を形成して接続孔を埋めるステップ」に代えて、引用例2に記載された「基板全面にグレインサイズの大きなAl系金属層を被着するステップと、上記Al系金属層の上に、上記Al系金属層よりもグレインサイズの小さなタングステンを堆積させて前記コンタクトホールを埋め込むステップ」を採用することは、当業者が適宜なし得たことであり、また、引用例1に記載された発明の金属膜形成ステップとして、引用例2に記載された前記ステップを採用することを阻害する要因も存在しない。
なお、出願人は、審判請求書の請求の理由の欄において、「要するに、本願発明は、・・・絶縁層の上に載るアルミニウム層の厚さを薄くし、CMPでそれを除去するとき容易に除去されるようにしたものである。」と主張する。
しかしながら、本願明細書の請求項1に係る発明は、アルミニウム層の厚さを規定していないから、前記出願人の主張は請求項の記載に基づかないものであり、採用できない。
5.むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、上記引用例1及び引用例2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1999-10-27 
結審通知日 1999-11-26 
審決日 1999-12-06 
出願番号 特願平7-128838
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀧内 健夫  
特許庁審判長 今野 朗
特許庁審判官 加藤 浩一
岡 和久
発明の名称 半導体素子の多層金属配線の形成方法  
代理人 山川 政樹  

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