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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1013904
審判番号 審判1997-9310  
総通号数 11 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1992-02-14 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1997-06-05 
確定日 2000-03-10 
事件の表示 平成2年特許願第154569号「電界効果トランジスタ」拒絶査定に対する審判事件(平成4年2月14日出願公開、特開平4-45546)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本件出願の手続の経緯及び要旨
本件出願は、平成2年6月13日に出願されたものであって、その発明は審判請求時の手続補正書の特許請求の範囲(1)に記載されたとおりであって、その発明の要旨は、特許請求の範囲(1)に記載されたとおりの次のものである。
「半絶縁性半導体基板上に活性層を含む半導体層が設けられており、該活性層上にソース電極及びドレイン電極に相当するオーミック電極を有し、該オーミック電極間の所望の箇所にショットキー型のゲート電極を有している電界効果トランジスタにおいて、
前記2つのオーミック電極と前記ゲート電極の間の前記活性層上にかつゲート電極と接触することなく形成された、前記活性層に比べ電子親和力の小なる不純物無添加半導体層を有し、前記オーミック電極金属は前記不純物無添加半導体層上においてもゲート電極近傍まで形成されていることを特徴とする電界効果トランジスタ。」(以下、本願発明という)
2.引用例記載の発明
当審の拒絶の理由に引用された特開昭59-61037号公報(以下、引用例1という)には、第1の実施例に関し、「上記チャネル層4上のGaAlAs層5の一部を選択的に除去してゲート電極窓を開口し、該ゲート電極窓部においてチャネル層4とショットキ接触を形成する金属、例えばアルミニウム(Al)を被着せしめてゲート電極8を形成する。」(第2頁右下欄第4行〜第9行)、
「次に本発明の第2の実施例を第2図により説明する。
本実施例では同図(a)に示すように、まず高抵抗のGaAlAs基板11上に厚さ凡そ0.2〜0.3〔μm〕のノンドープのGaAsよりなる動作層12を成長させる。
このあとは前記第1に実施例と同様に進めて良い。即ち、同図(b)に示す如く、n型の不純物例えば硫黄(S)或いはシリコン(Si)をイオン注入法によって動作層12表面に選択的に導入し、ソース形成領域2及びドレイン形成領域3を形成する。
次いで保護膜としてGaAlAs層5(3は誤記)を成長させた後、先に導入したn型不純物を活性化するための加熱処理を行い、ソース領域2、ドレイン領域3を形成する。なおこの両者の間に挟まれた領域4はn型のチャネル層となる。
次いで上記GaAlAs層5を選択的に除去し、ソース電極6、ドレイン電極7、ゲート電極8を形成して本実施例によるGaAsFETが完成する。
このようにして得られた本実施例のGaAsFETにおいては、動作層12の上下に高抵抗のGaAlAs基板1及びGaAlAs層11が配設されていることになる。」(第2頁右下欄第18行〜第3頁左上欄第20行)と記載され、
「InGaAsよりなる動作層上にInPよりなる保護膜を形成することによっても、本発明を実施し得る。」(第3頁左下欄第3行〜第5行)、「動作層がGaAsの場合には保護膜として高抵抗のGaAs層を、また動作層がInGaAsの場合には高抵抗のInGaAsを使用しても良い。」(第3頁左下欄第9行〜第11行)と記載されている。
即ち、引用例1には、高抵抗GaAs基板11上にノンドープGaAs動作層12が設けられ、不純物が導入されたソース2およびドレイン5と、導入されないチャネル層4に形成され、GaAlAs層5を保護層として用い、ゲート電極窓、ソース電極窓、ドレイン電極窓に、ショットキ接触するゲート電極8、オーミック接触するソース電極6、ドレイン電極7が設けられた半導体装置が記載されている。
当審の拒絶の理由に引用された特開昭63-232465号公報(以下、引用例2という)には、MESFETのような半導体装置の製造方法が記載され、第2頁左下欄第14行〜第3頁右上欄第9行にかけて記載された製造方法によって作られた、第1図チに示されるようなFETが示されている。
即ち、引用例2には、絶縁性GaAs基板(1)上にn--GaAsバッファ層(2μm)(2)、さらにn-GaAs動作層(3)、n+-GaAsコンタクト層(4)を順次エピタキシャル成長させてあり、コンタクト層(4)を分け、動作層(3)には溝となる第2の溝(10)があり、第2の溝(10)にゲート電極(11)が設けられ、第2の溝(10)付近のコンタクト層(4)上には、AlxGa1-xAs(x=0.6)より成る高抵抗体層部分(13)が断面三角状に設けられ、コンタクト層(4)および高抵抗体層部分(13)の他面上にAuGe/Auから成るソース電極(14)、ドレイン電極(15)が設けられ、ソース電極およびドレイン電極は、オーミック電極であり、ゲート電極はショットキー型である半導体装置が記載されている。
当審の拒絶の理由に引用された特開昭64-24465号公報(以下、引用例3という)には、MESFETのような半導体装置の製造方法が記載され、第2頁左下欄第15行〜第3頁右上欄第14行にかけて記載された製造方法によって作られた、第1図リに示されるようなFETが示されている。
即ち、引用例3には、MESFETをセルフアライン構造で製造する方法が記載されており、GaAs基部(1)上にn--GaAsバッファ層(2μm)(2)、さらにn-GaAs動作層(3)、n+-GaAsコンタクト層(4)を順次エピタキシャル成長させてあり、コンタクト層(4)を分け、動作層(3)には溝となる第2の溝(12)があり、第2の溝(12)にゲート電極(16)が設けられ、第2の溝(12)付近のコンタクト層(4)上には、AlxGa1-xAs(x=0.6)より成る高抵抗層(6)が断面三角状に設けられ、高抵抗層(6)のゲート側面にはSiO2膜(14)が、ゲート電極に触れて設けられ、コンタクト層(4)および高抵抗層(6)の他面上にAuGe/Ni/Auから成るソース電極(18)、ドレイン電極(19)が設けられているFETが示されている。
当審の拒絶の理由に引用された特開昭61-10281号公報(以下、引用例4という)には、第1頁左下欄の特許請求の範囲1に「半絶縁性単結晶基板上に高い電子移動度を有する材料から成る薄いN導電型能動層を具え、該能動層の表面にトランジスタのソース及びドレイン接点領域が形成される2個のオーム接点を構成する金属層を堆積し、両オーム接点間に設けた金属接点によってショットキ型ゲート電極を形成する高周波用電界効果トランジスタにおいて、誘電体層を、ソースおよびドレイン電極間の能動層と、ゲート及びドレイン電極間の能動層とに夫々設け、前記オーム接点を構成する金属層をゲート電極と短絡することなく、前記誘電体層上に連続的に延長するようにしたことを特徴とする高周波用電界効果トランジスタ。」と記載され、同3には、「前記基板を半絶縁性ヒ化ガリウムで構成する」と記載され、第4頁右下欄第1行〜第6行に、「誘電体層4を感光(フォトレジスト)ラッカーとすることもでき、…。しかし、誘電体層4を例えばポリイミド、二酸化珪素又は窒化珪素の種々の誘電体材料とすることができる。」と記載されている。
また、「随意にこれら開口11及び12を経てn+導電型の島3を例えばイオン注入により形成することができる。
次に第2c図に示すように、金属層5をトランジスタ全体に連続して堆積して、開口11及び12内の能動層2とオーム接点17及び18を夫々形成するような構造にする。
例えば二酸化珪素又はポリイミドから成り金属層5よりも著しく厚い誘電体層6をかくして形成した装置全体に堆積する。さらにフォトレジスト層7で誘電体層6を被覆する。製造方法におけるこの工程を第2d図に示す。
次にマスクによりフォトレジスト層7上のゲートの位置を画成すると同時に適切な化学処理によりその区域のフォトレジスト層7に開口13を設ける(第2e図参照)。
従って、開口を通り選択的化学腐食にさらし、誘電体層6、金属層5及び誘電体層4の厚さの空所14に加えて能動層2に僅かな深さの空所15を形成する。さらにフォトレジスト層を僅かにアンダーエッチして空所14及び15の横方向の幅を、ゲート8の長さに等しく選定したフォトレジスト層の開口13の横方向の幅より僅かに広くなるようにする。この製造方法の工程を第2f図に示す。
n導電型能動層2にショットキ接点を形成するに好適な金属から成る金属層8をかくして形成した装置全体上に堆積する。この金属層8はフォトレジスト層7の組立体のみならず、フォトレジスト層7の開口13により画成される長さにわたって空所15の底部をも被覆する(第2g図参照)。
空所15の底部に堆積されたゲート電極を構成する金属層8の部分を損うことなくフォトレジスト層7及びその上の金属層8の部分を化学処理により除去する(リフトオフ法と称している)。さらに追加の化学処理により第2の誘電体層6を部分的に或いは全体的に取り除き、トランジスタの電気接続を形成し得るように開口を配設する必要がある。
…誘電体層4の開口11及び12内にイオウイオン(S+)の局部注入によるn+導電型島3の形成後、金-ゲルマニウム合金により誘電体層4上にオーム接点層5を形成する。」(第4頁右下欄第7行〜第5頁右上欄第14行)と記載されている。
そして、第1a図には、ショットキゲート電極8が空所15の底部に設けられ、誘電体層4と、ソース・ドレイン電極17・18が、フォトレジスト層を僅かにアンダーエッチして空所14及び15の横方向の幅を、ゲート8の長さに等しく選定した幅より僅かに広くなる空所に至るまで形成されたものが示されている。
即ち、引用例4には、半絶縁性ヒ化ガリウム基板上に高い電子移動度を有する材料から成る薄いN導電型能動層を具え、該能動層の表面にトランジスタのソースおよびドレイン接点領域が形成される2個のオーム接点を構成する金属層を堆積し、両オーム接点間に設けた金属接点によってショットキ型ゲート電極を形成する高周波用電界効果トランジスタにおいて、誘電体層を、ソースおよびゲート電極間の能動層と、ゲート及びドレイン電極間の能動層とに夫々設け、前記オーム接点を構成する金属層をゲート電極と短絡することなく、前記誘電体層上に連続的に延長するようにされ、誘電体層4と、ソース・ドレイン電極17・18が、フォトレジスト層を僅かにアンダーエッチして空所14及び15の横方向の幅を、ゲート8の長さに等しく選定した幅より僅かに広くなる空所に至るまで形成された高周波用電界効果トランジスタが示されている。
3. 本願発明と引用例記載の発明との対比
3.1 本願発明と引用例4との対比
引用例4の「能動層」は、本願発明の「活性層」に相当するから、本願発明と引用例4記載の発明とを対比すると、次の点で一致する。
(一致点)
半絶縁性半導体基板上に活性層を含む半導体層が設けられており、該活性層上にソース電極及びドレイン電極に相当するオーミック電極を有し、該オーミック電極間の所望の箇所にショットキー型のゲート電極を有している電界効果トランジスタにおいて、
前記2つのオーミック電極と前記ゲート電極の間の前記活性層上にかつゲート電極と接触することなく形成された層を有していることを特徴とする電界効果トランジスタ。
(相違点)
そして、本願発明と引用例4記載の発明とは次の点で相違している。
▲1▼本願発明は、前記活性層上にかつゲート電極と接触することなく形成された層は「活性層に比べ電子親和力の小なる不純物無添加半導体」であるのに対して、引用例4は「誘電体層」である点、
▲2▼本願発明は、「オーミック電極金属は前記不純物無添加半導体層上においてもゲート電極近傍まで形成されている」のに対して、引用例4は、「ゲート電極と短絡することなく」、フォトレジスト層を僅かにアンダーエッチして空所14及び15の横方向の幅を、ゲート8の長さに等しく選定した幅より僅かに広くなる空所に至るまで形成されている点。
(相違点の判断)
(相違点▲1▼について)
本願発明の実施例では、「活性層に比べ電子親和力の小なる不純物無添加半導体」はAlGaAs層を用いている。そして、「活性層」としては、GaAs層を用いている。ところで、電子親和力とは、伝導体の底から真空準位までのエネルギーのことであり、AlGaAs層はGaAs層に比べ電子親和力の小であることは、周知の事実である。
そして、引用例1には、動作層12(ノンドープのGaAs)表面に選択的に導入し、ソース形成領域2及びドレイン形成領域3を形成し、次いでゲート電極8と、ソース電極6(ドレイン電極7)と分離する保護膜としてGaAlAs層を成長させており、GaAs層上に保護層として不純物無添加のGaAlAs層を設けることが示されている。
引用例2には、n-GaAs動作層(3)の上にn+-GaAsコンタクト層(4)が設けられ、その上に不純物無添加のAlxGa1-xAs(x=0.6)より成る抵抗体層部分(13)が断面三角状に設けられて、ゲート電極11と、ソース電極14(ドレイン電極15)と分離している。引用例3では、高抵抗層(6)がゲート電極11と、ソース電極18(ドレイン電極19)と分離している。
してみると、GaAs層上に不純物無添加のGaAlAs層を設けることは、よく行われることであり、引用例4の誘電体層に変えて、GaAs層に比べ電子親和力の小であることが周知であるAlGaAs層とすることは当業者が任意に適応できた事項である。
したがって、相違点▲1▼は格別のことではない。
(相違点▲2▼について)
引用例4において、誘電体層4と、ソース・ドレイン電極17・18が、フォトレジスト層を僅かにアンダーエッチして空所14及び15の横方向の幅を、ゲート8の長さに等しく選定した幅より僅かに広くなる空所に至るまで形成された電界効果トランジスタが示されており、ソース・ドレイン電極17・18は、オーミック電極である。してみると、オーミック電極金属は前記誘電体層上において、ゲート電極近傍まで形成されている引用例4と、オーミック電極金属は前記不純物無添加半導体層上において、ゲート電極近傍まで形成されている本願発明と、オーミック電極とゲート電極との関係においては実質的な違いはない。
したがって、相違点▲2▼は格別のことではない。
4. まとめ
相違点▲1▼、▲2▼は格別のことでないので、本願発明は引用例1ないし4記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
よって、上記結論通り審決する。
 
審理終結日 1999-10-29 
結審通知日 1999-12-10 
審決日 1999-12-07 
出願番号 特願平2-154569
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (H01L)
P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松本 邦夫  
特許庁審判長 張谷 雅人
特許庁審判官 橋本 武
岡 和久
発明の名称 電界効果トランジスタ  
代理人 京本 直樹  
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