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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1013916
審判番号 審判1998-6491  
総通号数 11 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1991-10-21 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-04-22 
確定日 2000-03-10 
事件の表示 平成2年特許願第32680号「ゲッタ効果の高められた半導体基板並びに該基板を用いた半導体装置およびその製造方法」拒絶査定に対する審判事件(平成3年10月21日出願公開、特開平3-235333)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 本願は平成2年2月13日の出願であって、その請求項に係る発明の要旨は、平成10年5月15日付手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲第1〜5項に記載されたとおりのものであると認められるところ、特許請求の範囲第1項に係る発明(以下、「本願第1発明」という。)の要旨は同項に記載された次のとおりのものである。
「(1)表面と裏面と側面を有し、前記側面と前記裏面に多結晶シリコン膜が設けられた半導体基板において、
当該半導体基板が半導体装置の製造全プロセスを通過しても、該半導体基板の湾曲を最小限に抑えることができ、かつ前記多結晶シリコン膜の一部が半導体基板の裏面に残存し得るように、前記多結晶シリコン膜の膜厚を0.8〜2.0μmの範囲に選び、かつ当該半導体基板中の酸素濃度を旧ASTM規格で8.0〜15.0×1017atoms/cm3の範囲に選び、
その表面が鏡面研磨されている、半導体基板。」
一方、当審における平成11年9月27日付拒絶理由通知書に引用された特開昭64-53552号公報(以下、「第1引用例」という。)には、「この発明に係る半導体基板は、14×1017atms/cm3以下の酸素濃度に制御したシリコン単結晶基板の裏面に、多結晶シリコンを堆積してなるものである。[作用]14×1017atms/cm3以下の酸素濃度に制御したシリコン単結晶基板であっても、その裏面に多結晶シリコンを堆積し、多結晶シリコンの膜を形成することにより、該膜がシリコン単結晶基板の保護膜として働き、スリップラインの発生を抑制する。また、低酸素濃度のシリコン単結晶であっても、裏面に形成された多結晶シリコン膜の結晶欠陥により、強力なゲッタリング効果を有するようになる。」(第2頁左上欄第13〜同右上欄第6行)、「第1図はこの発明の一実施例の断面図である。図において、11は14×1017atms/cm3以下の酸素濃度に制御したシリコン単結晶基板である。この低酸素濃度のシリコン単結晶基板11は、従来技術、たとえばCZ(Czochlalski)法で製造される。該低酸素濃度のシリコン単結晶基板11の裏面及び側壁には、化学気相成長法により多結晶シリコン12が堆積されている。その厚さは1μm程度のものが好ましいが、必要に応じて変え得る。通常、この側壁に堆積した多結晶シリコンは、除去される。」(第2頁右上欄第10〜末行)という記載がなされており、これらの記載及び第1図によれば、同引用例には、表面と裏面と側面を有し、前記側面と前記裏面に多結晶シリコン膜が設けられ、多結晶シリコン膜の膜厚を1μm程度とし、半導体基板中の酸素濃度を14.0×1017atoms/cm3以下とする半導体基板、が記載されている。
同じく同拒絶理由通知書に引用された特開昭64-46937号公報(以下、「第2引用例」という。)には、「従来、シリコンウェハ裏面に約0.05乃至2.0μmの厚さのポリシリコン膜を形成してEG効果をもたせたシリコンウェハ(以下、ポリシリコンバックシールウェハという)が公知である(例えば、USP4608095)。」(第1頁左欄末行〜右欄第4行)、「ポリシリコンバックシールウェハにおいては、効果的なEG効果を持たせるために裏面ポリシリコン膜2の厚さは約1.0μm確保する必要があることと…」(第2頁右上欄第13〜16行)、「先ず、第1図(a)に示すように、IC製造プロセス投入前のシリコンウェハ11の裏面にはポリシリコン膜12が形成されており、これによりIC製造プロセスでの汚染又はダメージによって発生する欠陥をEG効果により除去するようになっている。」(第2頁右下欄第8〜13行)、「このようにして得られた半導体装置においては、シリコンウェハ11の裏面のポリシリコン膜12はこのポリシリコンバックシールウェハを半導体装置の製造プロセスに投入する前と実質的に同一の膜厚を維持している。」(第3頁左下欄第1〜5行)、「また、最終工程終了時点でもポリシリコン膜の損失は僅かである。」(第3頁左下欄第13〜15行)という記載がなされ、これらの記載及び第1〜2図によれば、同引用例には、シリコンウェハ裏面に約0.05乃至2.0μmの厚さのポリシリコン膜、好ましくは1.0〜2.0μmの厚さのポリシリコン膜を形成して有効なEG効果をもたせ、かつ製造の最終工程でもポリシリコン膜が製造プロセス投入前と実質的に同一の膜厚を維持するようなシリコンウェハが記載されているものと認められる。
同じく同拒絶理由通知書に引用された米国特許第4608095号明細書(以下「第3引用例」という。)には、大略、「本発明は、ウェハ背面の外部多結晶シリコン層と内部酸素による共同作用により、ゲッタリング能力を向上させることを目的とする。酸素排除区域の深さを減少させる外部多結晶シリコン層は、ゲッタリングサイトの増加や少数キャリア寿命の伸びなどをもたらす酸素析出を温度の関数として増大させることが見いだされた。共同的なゲンタリング効果は1025℃以下で達成される。1025℃以下の製法において、多結晶シリコン層の厚さを0.05〜2.0μmとした時に、充分な酸素排除区域の深さ確保し、かつ、ゲッタリングサイトとしての酸素析出と許容できる少数キャリア寿命を得ることができる。もし、多結晶シリコン層の厚さが2.0μmを超えると、活性領域に対する充分な酸素排除区域を形成することが出来なくなる。」(第3欄第3〜46行)という記載がなされている。この記載によれば、同引用例には、ゲッタリング能力を向上させる目的で半導体基板の裏面に形成する多結晶シリコン層の厚さは、0.05〜2.0μmが適当であることが示されている。
同じく同拒絶理由通知書に引用された特開昭61-97931号公報(以下、「第4引用例」という。)には、「熱応力による反りはインゴットの種結晶側のように酸素濃度が12.0×1017原子/cm3を超えた場合には微少欠陥、ひいては熱応力による反りが極めて発生し易くなることが判明した。このような7.5〜12.0×1017原子/cm3の酸素濃度が熱応力による反りの発生を防止するために好ましい範囲であることは第2図のグラフからも明らかである。」(第2頁右下欄第10〜18行)、「シリコンウェハのシリコン結晶中に含まれる格子間酸素濃度を7.5〜12.0×1017原子/cm3とし、ウェハ裏面に歪み層を形成することにより、結晶欠陥の発生を防止し、熱応力による反り等を防止でき、かつ表面汚染不純物や表面欠陥をゲッタリングすることによりライフタイムなどの初期バルク特性を維持できる等の効果が相乗的に奏せられる。」(第3頁左下欄第10〜17行)という記載がなされ、これらの記載及び第2図によれば、同引用例には、シリコンウェハ中の酸素濃度が12.0×1017原子/cm3を超えると熱応力による反りが発生し易くなり、したがって、シリコンウェハ中の格子間酸素濃度を7.5〜12.0×1017原子/cm3とすることが、インタリンシックゲッタリング効果を維持するとともに熱応力による反りを防止することができることが示されている。
同じく同拒絶理由通知書において引用された特開平1-208830号公報(以下「第5引用例」という。)には、「上記シリコン・ウェハにおいては第3図に示すように熱処理によって反りを生ずる。」(第1頁右欄大11〜12行)、「また、28ppm以下では殆ど析出しなくなるが酸素が少なくなるためウェハの強度が低下し反り易くなる。」(第2頁右上欄第11〜14行)という記載がなされている。28ppmの酸素濃度は第2図によれば、およそ14.0×1017cm-3に相当するので、この記載と第2図によれば、同引用例には、シリコンウェハ中の酸素濃度が14.0×1017原子/cm3位からウェハの反りが大きくなり、8.0×1017原子/cm3以下となる場合にはさらにウェハの反りが大きくなることが示されている。
同じく同拒絶理由通知書において引用された「半導体プロセス材料実務便覧」(昭和58年4月25日株式会社サイエンスフォーラム発行)、第34〜35頁及び図一12(以下「第6引用例」という。)には、半導体基板の加工工程において、表面の最終仕上げに鏡面研磨を施すことが示されている。
本願第1発明と上記第1引用例記載の発明とを対比すると、両者は「表面と裏面と側面を有し、前記側面と前記裏面に多結晶シリコン膜が設けられた半導体基板において、前記多結晶シリコン膜の膜厚を約1μm程度に選び、かつ当該半導体基板中の酸素濃度を14×1017atms/cm3以下の酸素濃度に選んだ半導体基板。」という点で一致する。しかしながら、両者は次の各点で相違する。
1,本願第1発明が、半導体基板が半導体装置の製造全プロセスを通過しても、該半導体基板の湾曲を最小限に抑えることができ、かつ前記多結晶シリコン膜の一部が半導体基板の裏面に残存し得るように、多結晶シリコン膜の膜厚を0.8〜2.0μmの範囲に選び、かつ当該半導体基板中の酸素濃度を旧ASTM規格で8.0〜15.0×1017atoms/cm3の範囲に選ぶようにしたものであるのに対して、第1引用例記載の発明は、多結晶シリコン膜の膜厚を1μm程度に選ぶようにし、酸素濃度が14.0×1017atoms/cm3以下の半導体基板を用いるようにするものであり、その膜厚を選んだ理由が、半導体装置の製造全プロセスを通過しても結晶シリコン膜の一部が半導体基板の裏面に残存し得るようにしたことであることは明記されておらず、またそのような酸素濃度の半導体基板を用いるようにすることが、半導体基板の湾曲を最小限に抑えることができるようにするためであるかどうかは明らかではない(第1相違点)。
2,本願第1発明における半導体基板の表面は鏡面研磨されているのに対し、第1引用例記載の発明における半導体基板の表面が鏡面研磨されているかどうかは明らかではない(第2相違点)。
そこで、上記各相違点について以下検討する。
1,第1相違点について
上記第2引用例には、上述したように、シリコンウェハ裏面に約0.05乃至2.0μmの厚さのポリシリコン膜、好ましくは1.0〜2.0μmの厚さのポリシリコン膜を形成することにより、有効なEG効果をもたせ、かつ製造の最終工程でもポリシリコン膜が製造プロセス投入前と実質的に同一の膜厚を維持するようなシリコンウェハが記載されている。また、上記第3引用例には、ゲッタリング能力を向上させる目的で半導体基板の裏面に形成する多結晶シリコン層の厚さは、0.05〜2.0μmが適当であることが示されている。これらの公知刊行物によれば、ゲッタリングの目的で半導体基板の裏面などに付けるポリシリコン膜の厚さの上限値を2.0μmとすることは良く知られている値であり、また、製造の最終工程でもポリシリコン膜が製造プロセス投入前と実質的に同一の膜厚を維持するようにすることが記載されている第2引用例において、ポリシリコン膜の厚さの下限値を0.05μm、好ましくは1.0μmとする記載から見ても、本願発明のように、半導体装置の製造全プロセスを通して結晶シリコン膜の一部が半導体基板の裏面に残存すべく、ポリシリコン膜の厚さの下限値を0.8μmとすることは、当業者が適宜に設定し得る値であると認められる。
また、第4引用例には、上述したように、シリコンウェハ中の酸素濃度が12.0×1017原子/cm3を超えると熱応力による反りが発生し易くなり、したがって、シリコンウェハ中の格子間酸素濃度を7.5〜12.0×1017原子/cm3とすることが、インタリンシックゲッタリング効果を維持するとともに熱応力による反りを防止することができることが示され、さらに、第5引用例には、シリコンウェハ中の酸素濃度が14.0×1017原子/cm3位からウェハの反りが大きくなり、8.0×1017原子/cm3以下となる場合にはさらにウェハの反りが大きくなることが示されている。これらのことから、半導体基板中の酸素濃度を8.0〜15.0×1017atoms/cm3の範囲に選ぶことによって、半導体基板の反りを防止するようにすることは、当業者が容易に選択し得ることであると認められる。
なお、第4引用例に記載の酸素濃度及び上記第5引用例記載の酸素濃度ともに、その測定方法については記載がされてないが、旧ASTM規格によるシリコン基板中の酸素濃度測定法は、上記各引用例の出願時に一般的に行われていたものと認められる(▲1▼電子通信学会編集「LSIハンドブック」第1版(昭和59年11月30日株式会社オーム社発行)第234〜237頁、▲2▼津屋英樹著「超LSIプロセス制御工学」(平成7年3月30日丸善株式会社発行)第252〜253頁、▲3▼「Solid State Technology.Vol.30,No.3,1987」p.77-81、などを参照のこと。)。
したがって、第4引用例についても、その出願時において、旧ASTM規格による測定法は良く知られていたことは明らかであるが、仮に同引用例記載の酸素濃度がJEIDA法によるものであったとしても、上記文献▲2▼の第253頁の(7.2)式によれば、測定法の違いは赤外測定の変換係数の違いのみであり、そして旧ASTM法とJEIDA法との比率は、上記文献▲1▼の第245頁の表1.13によれば、旧ASTM/JEIDA=4.81×1017/3.03×1017≒1.59であるから、上述した第4引用例記載におけるイントリンシックゲッタリング効果を持たせつつ熱応力による反りを防止できるところのJEIDA法と仮定した酸素濃度範囲7.5〜12.0×1017原子/cm3は、旧ASTM法では(7.5〜12.0×1017原子/cm3)×1.59=11.9〜19.1×1017原子/cm3となる。この範囲は依然として本願発明の酸素濃度の上限値15.0×1017atoms/cm3を含んでいる。
また、上記第5引用例記載の酸素濃度は、同引用例第2頁右上欄第6行の「(’87 Solid State Technology日本版April 米国モンサント発表)」という記載によれば、その当該文献に対応する上記文献▲3▼の記載を根拠としていることが明らかである。そしてその文献▲3▼の第77頁左欄下から第9行には、その測定法が「old ASTM」、即ち「旧ASTM」であると明記されている。したがって、第5引用例に示されている酸素濃度は旧ASTM法で測定されたものであると認められる
したがって、半導体装置の製造全プロセスを通過しても、該半導体基板の湾曲を最小限に抑えることができ、かつ前記多結晶シリコン膜の一部が半導体基板の裏面に残存し得るように、多結晶シリコン膜の膜厚を0.8〜2.0μmの範囲に選び、かつ当該半導体基板中の酸素濃度を旧ASTM規格で8.0〜15.0×1017atoms/cm3の範囲に選ぶようにすることは、上記第1引用例に、上記第2〜5引用例記載の技術内容を単に組み合わせることにより当業者が容易に想到し得たことであると認められる。
2,第2相違点について
上記第6引用例には、半導体基板の加工工程において、表面の最終仕上げに鏡面研磨を施すことが示されているように、半導体基板の加工工程において、表面の最終仕上げに鏡面研磨を施すことは、よく知られていることである。
以上のとおりであるから、本願第1発明は第1引用例〜第3引用例の技術内容及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。本願第1発明が特許を受けることが出来ないものである以上、本願の特許請求の範囲第2〜5項記載の発明についても検討をするまでもなく特許を受けることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1999-12-17 
結審通知日 2000-01-04 
審決日 1999-12-24 
出願番号 特願平2-32680
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮崎 園子  
特許庁審判長 張谷 雅人
特許庁審判官 左村 義弘
小田 裕
発明の名称 ゲッタ効果の高められた半導体基板並びに該基板を用いた半導体装置およびその製造方法  
代理人 深見 久郎  
代理人 森田 俊雄  
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