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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1013922
審判番号 審判1998-18331  
総通号数 11 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1991-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-11-25 
確定日 2000-03-10 
事件の表示 平成1年特許願第287566号「薄膜トランジスタの製造方法」拒絶査定に対する審判事件(平成3年6月25日出願公開、特開平3-148836)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本件出願の手続の経緯及び要旨
本件出願は、平成元年11月6日の出願されたものであって、その発明は手続補正書の特許請求の範囲に記載されたとおりの次のものである。「素子が形成された準導体基板上に、絶縁膜を介して薄膜トランジスタを形成する工程を有する薄膜トランジスタの製造方法であって、
前記絶縁膜上の多結晶シリコン層を形成後、該多結晶シリコン層の表面にゲート電極を形成し、該ゲート電極を不純物導入に対するマスクとして、不純物ガスの雰囲気中で短波長のパルスレーザを照射することによって、ソース領域およびドレイン領域を形成する工程を含むことを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。」(以下、本願発明という)
2.引用例記載の発明
前審の拒絶の理由に引用された特開昭62-14472号公報(以下、引用例1という)には、「本発明は半導体装置の製造方法に関するものであって、薄膜トランジスタ(TFT)の製造に適用して最適なものである。」(第1頁左下欄 第18行〜第20行)、
「まず本発明をプレーナ型TFTの製造に適用した第1実施例につき図面を参照しながら説明する。第1A図に示すように、まず例えばガラス基板1上に従来公知の方法と同様にしてa-Si膜2、SiO2から成るゲート絶縁膜3及び多結晶Siから成るゲート電極4を形成した後、…例えばPH3とN2O(またはO2)との混合ガスを反応ガスとして用いたプラズマCVD法により全面にPOx膜5を形成する。
次に第1B図に示すように、室温において例えばエキシマーレーザーによるレーザービーム6を上方より照射する。この際、ゲート電極4がa-Si膜2へのエネルギー供給のマスクとして働く結果、POx膜5がa-Si膜2中に拡散されて、ゲート電極4とセルフアラインにn+型のソース領域7及びドレイン領域8が形成される。
次に上述のPOx膜を水洗により除去」(第2頁右下欄第11行〜第3頁左上欄第10行)すると記載され、
「実施例において用いたa-Si膜2の代わりに多結晶Si膜、単結晶Si膜、…を用いることも可能である。」(第4頁左上欄第8行〜第11行)と記載されている。
ガラス基板は絶縁基板であり、半導体膜の上のゲート絶縁膜の上にゲート電極を形成しているので、半導体膜の上にゲート膜があることになるから、引用例1には、絶縁基板上に薄膜トランジスタを形成する工程を有する薄膜トランジスタの製造方法であって、絶縁基板土に多結晶Si膜を形成後、該多結晶Si層上にゲート電極を形成し、該ゲート電極をマスクとして、エキシマーレーザーを照射して、POx膜から不純物を導入し、ソース領域およびドレイン領域を形成することが示されている。
前審の拒絶の理由に引用された特開昭64-84673号公報(以下、引用例2という)には、
「1 PN接合を有する半導体光検出素子の製造方法において、該PN接合をレーザ・ドーピングにより形成することを特徴とする半導体検出素子の製造方法
2 レーザードーピングはエキシマ・レーザ・ドーピングである…」(特許請求の範囲)、
「例えばN型シリコン基板をシボラン(B2H5)の雰囲気中に置き、XeClエキシマ・レーザ(波長308nm)を照射して該基板表面にボロンを拡散し、第1図に示すように、該基板1の表面に数百Å程度の薄いP+層(レーザ・ドーピング層)を作り、表面から浅い位置にPN接合3を形成した。」(第2頁左上欄第13行〜第19行)と記載されている。
即ち、シボラン(B2H5)は不純物ガスであり、XeClエキシマ・レーザは短波長のパルスレーザであるから、引用例2には、シリコン基板を不純物ガスの雰囲気中で短波長のパルスレーザを照射することによって、表面から浅い位置に不純物層を形成することが示されている。
前審の拒絶の理由に引用された特開昭63-115384号公報(以下、引用例3という)には、
「異種の半導体、もしくは不純物濃度の異なる半導体層が10nm以下の急峻な境界層を介したエピタキシャル成長層を有する半導体基板主表面に選択的に活性層を分離形成する工程と、前記島状の活性層上にショットキ性のゲート電極を形成する工程と、前記ショットキ性のゲート電極を有する島状の活性層が形成された所定の不純物原子を含むガス雰囲気中で前記島状の活性層状に選択的にレーザ光を照射し高濃度不純物混入領域を形成する工程と、前記高濃度不純物混入領域上にオーミック性の電極を選択的に形成する工程を少なくとも含む半導体装置の製造方法」(特許請求の範囲(2))、
「作用
本発明によればイオン注入の換わりに、不純物原子を含むガス雰囲気中で前記島状の活性層上に選択的にレーザ光を照射し高濃度不純物混入層を形成する方法(以下略してレーザドーピングと呼ぶ)用いるものである。このため、第1に不純物濃度分布は浅く、しかも急峻な分布が得られること、また半導体表面付近においても十分に高い不純物濃度が得られる。第2に、レーザの波長を選択することによって、ゲート電極金属と半導体との界面を加熱することなしに半導体表面にドーピングが可能であるために通常のゲート電極金属に対して自己整合的に半導体表面に高濃度不純物混合領域を形成することができる。」(第2頁右下欄第15行〜第3頁左上欄第8行)、
「本実施例においてはGaASFETとGaAsHEMTの製造例を示したが、この他のSiやInPなどの半導体を用いたFETやHEMTの製造においても本発明による効果は全く同様である」(第4頁左上欄第3行〜第7行)と記載されている。
第3頁右上欄から右下欄に、活性層と基板との間にノンドープGaAsバッファ層を有することが示され、該バッファ層は絶縁層である。また、エキシマレーザ光を照射することが示されておりエキシマレーザ光は短波長のパルスレーザであり、島状活性層は層状でありるから、引用例3には、絶縁膜上の多結晶半導体層を形成後、該多結晶半導体層の表面にゲート電極を形成し、該ゲート電極を不純物導入に対するマスクとして、不純物ガスの雰囲気中で短波長のパルスレーザを照射することによって、ソース領域およびドレイン領域を形成することが示されている。
3. 本願発明と引用例記載の発明との対比
3.1 本願発明と引用例1との対比
本願発明と引用例1記載の発明とを対比すると、次の点で一致する。
(一致点)
薄膜トランジスタを形成する工程を有する薄膜トランジスタの製造方法であって、
多結晶シリコン層を形成後、該多結晶シリコン層の表面にゲート電極を形成し、該ゲート電極を不純物導入に対するマスクとして、ソース領域およびドレイン領域を形成する工程を含むことを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
(相違点)
そして、本願発明と引用例1記載の発明とは次の点で相違している。
▲1▼本願発明は「素子が形成された半導体基板土に、絶縁膜を介して薄膜トランジスタを形成する工程を有する」のに対して、引用例1は「絶縁基板上に薄膜トランジスタを形成する工程を有する」点、
▲2▼本願発明は「不純物ガスの雰囲気中で短波長のパルスレーザを照射することによって、ソース領域およびドレイン領域を形成する」のに対して、引用例1は「エキシマーレーザーを照射して、POx膜から不純物を導入し、ソース領域およびドレイン領域を形成する」点。
(相違点の判断)
(相違点▲1▼について)
素子が形成された半導体基板上に、絶縁膜を介して薄膜トランジスタを形成する工程を有する薄膜トランジスタの製造方法は、SOIとして周知の方法であって、引用例1のような絶縁体基板上に形成することに代えて、素子が形成された半導体基板上に、絶縁膜を介して、薄膜トランジスタを形成することは当業者が任意に適用できた事項である。
したがって、相違点▲1▼は格別のことではない。
(相違点▲2▼について)
引用例2には、シリコン基板を不純物ガスの雰囲気中で短波長のパルスレーザを照射することによって、表面から浅い位置に不純物層を形成することが示され、引用例3には、イオン注入の換わりに、不純物原子を含むガス雰囲気中で前記島状の活性層上に選択的にレーザ光を照射し高濃度不純物混入層を形成する方法が示されている。
してみると、不純物ガスの雰囲気中で短波長のパルスレーザを照射することによって、多結晶半導体層に対してソース領域およびドレイン領域を形成することはレーザドーピング法として、周知の方法であると認められる。
引用例1のPOx膜から不純物を導入しることに代えて、不純物ガスの雰囲気中で短波長のパルスレーザを照射する方法を用いることに格別の困難は認められない。
したがって、相違点▲2▼は格別のことではない。
4.まとめ
相違点▲1▼、▲2▼は格別のことでない。しかも、素子が形成された半導体基板上に、絶縁膜を介して、薄膜トランジスタを形成し、その層に不純物ガスの雰囲気中で短波長のパルスレーザを照射することによって、多結晶半導体層に対してソース領域およびドレイン領域を形成するレーザドーピング法を適用することに格別のことが認められないので、本願発明は引用例1ないし3記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
よって、上記結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1999-10-29 
結審通知日 1999-11-26 
審決日 1999-12-07 
出願番号 特願平1-287566
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 河本 充雄  
特許庁審判長 張谷 雅人
特許庁審判官 小田 裕
岡 和久
発明の名称 薄膜トランジスタの製造方法  
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