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審決分類 審判 判定 同一 属する(申立て成立) B65H
管理番号 1014910
判定請求番号 判定請求1999-60064  
総通号数 11 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 1988-05-27 
種別 判定 
判定請求日 1999-09-08 
確定日 2000-01-26 
事件の表示 上記当事者間の特許第1900783号発明「帯状連接体の巻取方法」判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「帯状連接体の巻取方法」は、特許第1900783号発明の技術的範囲に属する。 
理由 (イ)号図面及びその説明書に示す「帯状連接体の巻取方法」は、特許第1900783号発明の技術的範囲に属する。
理由
1.請求の趣旨
本件判定の請求の趣旨は、イ号図面およびその説明書に示す帯状連接体の巻取方法(以下、「イ号方法」という。)が、請求人所有の特許第1900783号の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)の技術的範囲に属する、との判定を求めたものである。
2.本件発明
本件発明は、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の【請求項1】に記載された次のとおりのものである(分節は請求人が付与したものを援用しAからEとした)。
「A 駆動軸に着脱されリール側板間の幅が狭い巻取リールのリール芯に形成された溝部に、チップ形電子部品を装填した可撓性の帯状連接体の先端を挿入して巻取るにあたり、
B 前記連接体を巻取リールに導入する回動自在に軸支される製品ガイドの軸心を前記巻取リールの溝部深さ方向に対向させ、
C 前記連接体を移送してリール芯の溝部に進入させつつ先端部を非拘束、非掛止状態のまま巻取リールを回転させて、前記リール芯の溝部とリール芯外周との角部で連接体の先端を折曲して巻始めるとともに、
D 連接体の巻始め張力で自由状態にある製品ガイドをリール芯の接線方向に従動させてから製品ガイドを連接体の巻取り周面に追随させながら巻取ることを特徴とする
E 帯状連接体の巻取方法。」(以下、「本件発明」という。)
3.イ号方法
イ号方法については、請求人と被請求人との説明で違う部分があり、争う部分であると判断するが、平成11年11月24日付けの被請求人の答弁書の8.添付書類の目録中の▲1▼ロ号方法の説明資料の第1〜2頁の記載を参照して判断すると、被請求人がロ号方法として説明に添付する第1図、第2図(a)及び第2図(b)以外の図面である第2図(c)及び、第3図(a)、並びに第3図(b)については、被請求人が請求人提出の図面をそのまま援用するとしているので、これを援用して採用し、両者に争いのない符号を付けてイ号方法を特定する。
「a 駆動軸4に着脱されリール側板間の幅が狭い巻取リールAのリール芯に形成された溝部2に、チップ形電子部品を装填した可撓性の帯状連接体3の先端を挿入して巻取るにあたり、
b 前記連接体3を巻取リールAに導入する回動自在に軸支される製品ガイド1の軸心を前記巻取リールAの溝部深さ方向(巻取リールの中心方向)からリールの回る方向に約10度進んだ方向に対向させ、
c リールAを一時停止させてその間に前記連接体3の先端部を移送してリール芯1の溝部2に進入させ、先端部を非拘束、非掛止状態のまま、かつ連接体の先端は折り曲げずに湾曲させてたまま巻始めるとともに、
d 連接体3の巻始め張力で自由状態にある製品ガイド13をリール芯1の接線方向に従動させながら製品ガイド13を連接体3の巻取り周面に追随させながら巻取ることを特徴とする
e 帯状連接体の巻取方法。」(以下、「イ号方法」という。)
4.対比・判断
本件発明とイ号方法を比較すると、
本件発明の分節構成要件A、D及びEは、それぞれイ号方法のa、d及びeに対応して相当するから、被請求人が相違点であると主張する、分節構成要件▲1▼.Bがbに、▲2▼.Cがcに相当するか否かを比較検討する。
▲1▼.構成要件bについて
イ号方法は「帯状連接体3の先端が巻取リール芯1に設けられた溝部2に進入する時点において、製品ガイド13の軸心の方向が、リールAの中心方向を向いた溝部より、巻取リールの回転方向に約10度進んだ方向に設定している」が、本件発明は単に対向させることのみを限定しているのであって、角度については何ら限定するものではない。したがって、イ号方法の構成要件bは本件発明の構成要件Bに包含される。
▲2▼.構成要件cについて
イ号方法の「巻取リールの回転を停止して」リール芯の溝部に連接体を進入させるという点について検討する。イ号方法は、連接体を移送して溝部に進入させる段階では、巻取リールを一時的に停止するので、連接体の先端部が溝部に確実に進入することができる、と被請求人は主張するが、一時的停止により連接体を確実に進入させることは当業者における常套手段であると認められるから特に限定するまでのことでは無いし、本件発明は、巻取リールの回転を停止するとも連続的に回転させるとも限定していないのであるから、本件発明は、イ号方法を包含するものと解するのが相当である。
また、本件発明が「C 前記連接体を移送してリール芯の溝部に進入させつつ先端部を非拘束、非掛止状態のまま巻取リールを回転させて、前記リール芯の溝部とリール芯外周との角部で連接体の先端を折曲して巻始めるとともに」としている点を、被請求人の提出した第1図、第2図(a)の記載を参照して判断すると、第1図で見てイ号連接体3の先端部は、溝部2の溝幅に比し比較的薄厚であり、非拘束、非掛止の状態で巻取リールAを回転させてリール芯1の溝部2とリール芯外周との角部で連接体3の先端部を会合させて巻始め、可撓性帯状連接体がリールAに次々に巻き取られて行き、最終的には被請求人が援用するとしている第2図(c)の状態になるのであるから、帯状体のリール芯への第2周目の巻き付け段階では、連接体の先端は折曲させられて巻取られることが明白である。
さらに、本件発明における「前記リール芯の溝部とリール芯外周との角部で連接体の先端を折曲して巻始める」について検討すると、「連接体3先端部が溝部に進入した後は、巻取り駆動モータを作動すると溝部2に進入した非拘束、非掛止状態の連接体3の先端部は、溝部2とリール芯1外周との角部で折り曲げられながらリール芯に巻付いて巻取られる。」(明細書第3頁5欄3行〜7行)との明細書の記載を参酌すれば、本件発明は折り曲げられながら巻取られるものと解される。図面から見ると、イ号のテープ自動巻取機のテープを巻取る方法も、折り曲げられながら巻取られていくと解されるから、以上のことより、イ号方法の構成要件cは、本件発明の構成要件Cに包含される。
5.むすび
以上のとおり、イ号方法は本件発明の構成要件を全て備えたものであるから、イ号方法は、本件発明の技術的範囲に属するものと認められる。
よって結論のとおり判定する。
 
別掲 別記




 
判定日 1999-12-20 
出願番号 特願昭61-267945
審決分類 P 1 2・ 1- YA (B65H)
最終処分 成立  
前審関与審査官 塩澤 克利藤田 豊比古  
特許庁審判長 佐藤 久容
特許庁審判官 市野 要助
森林 克郎
登録日 1995-01-27 
登録番号 特許第1900783号(P1900783)
発明の名称 帯状連接体の巻取方法  
代理人 永井 浩之  
代理人 吉武 賢次  
代理人 佐藤 一雄  
代理人 神谷 巌  
代理人 磯野 道造  

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