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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C08J
審判 全部申し立て 2項進歩性  C08J
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  C08J
管理番号 1016212
異議申立番号 異議1999-72033  
総通号数 12 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1990-11-06 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-05-24 
確定日 2000-04-03 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2829351号 「樹脂積層体」の請求項1、請求項2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2829351号の特許請求の範囲請求項1、請求項2に記載された発明についての特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第2829351号の発明は、平成1年4月14日に出願され、平成10年9月25日に設定登録(請求項の数2)されたものであるが、特許異議の申立てに基いて特許の取消理由を通知したところ、明細書の訂正請求がなされ、この訂正請求に対して訂正拒絶理由を通知したところ、意見書が提出されたものである。
2.訂正の適否について
(1)請求された訂正の内容は、次の(a)〜(k)からなるものである。
(a)特許請求の範囲請求項1における「密度が0.890〜0.920g/cm3であり、メルトインデックスが2〜50g/10分(190℃)であり、引張弾性率が1000〜5000Kg/cm2であるエチレン-α-オレフィン共重合体を60重量%以上含有してなる厚み15〜80μmの樹脂単層フィルム」を「密度が0.900〜0.915g/cm3であり、メルトインデックスが2〜50g/10分(190℃)であり、引張弾性率が1000〜5000Kg/cm2であるエチレン-α-オレフィン共重合体を60重量%以上、低結晶性又は非結晶性のエチレン-α-オレフィン共重合体および/または密度が0.900〜0.920g/cm3の範囲にある高圧法低密度ポリエチレンをフィルム全体に対して40重量%未満、を含有してなる厚み15〜80μmの樹脂単層フィルム」と訂正する。
(b)明細書第7頁第7〜11行(特許公報第2頁右欄第29〜34行)「請求項1の発明の構成は、・・・樹脂積層体であり、」を「請求項1の発明の構成は、密度が0.900〜0.915g/cm3であり、メルトインデックスが2〜50g/10分(190℃)であり、引張弾性率が1000〜5000Kg/cm2であるエチレン-α-オレフィン共重合体を60重量%以上、低結晶性又は非結晶性のエチレン-α-オレフィン共重合体および/または密度が0.900〜0.920g/cm3の範囲にある高圧法低密度ポリエチレンをフィルム全体に対して40重量%未満、を含有してなる厚み15〜80μmの樹脂単層フィルムと、基材フィルムとを積層してなることを特徴とする樹脂積層体であり、」と訂正する。
(c)同第8頁第3〜12行(同第2頁右欄第44行〜第3頁左欄第2行)の「その密度が・・・、0.920g/cm3を超えると、」を「その密度が0.900〜0.915g/cm3であり、かつそのメルトインデックスが2〜50g/10分(190℃)、好ましくは4〜20g/10分(190℃)である。前記エチレン-α-オレフィン共重合体の密度が0.900未満であると、このエチレン-α-オレフィン共重合体を用いてなる樹脂単層フィルムの剛性が低下したり、ヒートシール部の強度が低下したりすることがある。一方、0.915g/cm3を超えると、」と訂正する。
(d)同第10頁第第9〜18行(同第3頁左欄第35〜43行)の「本発明における樹脂単層フィルムは、・・・含有していてもよい。」を「本発明における樹脂単層フィルムは、前記エチレン-α-オレフィン共重合体を60重量%以上、低結晶性あるいは非結晶性のエチレン-α-オレフィン共重合体および/または密度が0.900〜0.920g/cm3の範囲にある高圧法低密度ポリエチレンを、フィルム全体に対して40重量%未満、を含有してなる。樹脂単層フィルムをこのように構成することで、ヒートシール性を損なうことなく、耐衝撃性を向上させることができる。」と訂正する。
(e)同第17頁第6〜8行(同第4頁右欄第12〜14行)の「(実施例1〜4、比較例1〜5)第1表・・・各種樹脂を用いて、」を「(実施例1、2、比較例1〜6)第1表に示した性状を有する各種樹脂を用いて、」と訂正する。
(f)同第19頁第13行(同第5頁左欄第第1行)の「(比較例6および7)」を「(比較例7および8)」と訂正する。
(g)同第20頁第1行(同第5頁左欄第7行)の「(実施例6〜8、比較例8〜12)」を「(実施例3、4、比較例9〜13)」と訂正する。
(h)同第21頁(同第6頁)第1表下の「引張弾性率は、JIS-K-1702に準ずる。」を「引張弾性率は、JIS-Z-1702に準ずる。」と訂正する。
(i)同第22頁(同第7頁)第2表における 実施例1、2の欄の記載を全て削除し、比較例5の欄の下に「比較例6 LLDPE3 115 120 130 130〜150 90」の欄を挿入し、「実施例3」、「実施例4」、「比較例6」、「比較例7」を「実施例1」、「実施例2」、「比較例7」、「比較例8」と訂正する。
(j)同第23頁(同第8頁)第3表における実施例6の欄の記載を全て削除し、「実施例7」、「実施例8」、「比較例8」、「比較例9」、「比較例10」、「比較例11」、「比較例12」を「実施例3」、「実施例4」、「比較例9」、「比較例10」、「比較例11」、「比較例12」、「比較例13」と訂正する。
(k)同第24頁第8〜10行(同第9頁第2〜3行)の「(1)請求項1の発明によると、特定のエチレン-α-オレフィン共重合体を用いてなるとともに、」を「(1)請求項1の発明によると、特定のエチレン-α-オレフィン共重合体と、低結晶性又は非結晶性のエチレン-α-オレフィン共重合体および/または密度が0.900〜0.920g/cm3の範囲にある高圧法低密度ポリエチレンとを用いてなるとともに、」と訂正する。
(2)上記(a)の訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、(b)〜(g)、(i)〜(k)の訂正は、前記(a)の訂正に整合させたものであるから明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。(h)の訂正は、誤記の訂正を目的とするものに該当する。
そして、これらの訂正は、いずれも願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
同じく「プラスチックフィルムレジン材料総覧’89」加工技術研究会(昭和62年5月30日、第50〜52頁(以下、引用例2という。)には、出光石油化学株式会社のLLDPE押出グレードであるモアテック1018Dについて記載され、モアテック1018Dと基材フィルムとを積層したフィルム構成:ONY15μ/LDPE20μ/1018D30μの樹脂積層体および1018Dの密度は0.910、メルトインデックスは8であり、低温ヒートシール性、柔軟性、ホットタック性、シール強度に特徴があることの記載がなされ、
同じく出光石油化学株式会社カタログ「モアテック」、1986年3月(以下、引用例3という。)には、出光石油化学株式会社のモアテックについて、主な特長、樹脂物性(密度、メルトインデックス、引張弾性率等)等の記載がなされ、
同じく「プラスチックフィルムレジン材料総覧’89」加工技術研究会(昭和62年5月30日、第258〜265頁(以下、引用例4という。)には、タマポリ株式会社のラミネート用ポリエチレンフィルムについての記載がなされていることが認められる。
しかしながら、引用例1〜4には、訂正後の発明の構成要件である「密度が0.900〜0.915g/cm3であり、メルトインデックスが2〜50g/10分(190℃)であり、引張弾性率が1000〜5000Kg/cm2であるエチレン-α-オレフィン共重合体を60重量%以上、低結晶性又は非結晶性のエチレン-α-オレフィン共重合体および/または密度が0.900〜0.920g/cm3の範囲にある高圧法低密度ポリエチレンを、フィルム全体に対して40重量%未満、を含有してなる厚み15〜80μmの樹脂単層フィルム」の記載またはこれを示唆する記載はなされていないものと認められる。
そして、訂正後の発明は、前記事項を構成要件とすることにより明細書に記載されたとおりの効果を奏し得たものと認められるから、訂正後の発明は、引用例1に記載された発明であるとも、引用例2〜4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるともすることはできない。
また、訂正された明細書には、訂正後の発明の構成に係る引張弾性率の測定について「JIS-Z-1702に準ずる。」と記載されており、前記構成に関する記載不備はないものと認められる。
したがって、訂正後の発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明でもない。
(4)以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する同法第126条第2〜4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.特許異議の申立てについて
(1)本件特許発明は、訂正された明細書の特許請求の範囲請求項1、2に記載されたとおりのものと認める。
(2)特許異議申立人住友化学株式会社(以下、申立人住友化学という。)は、請求項1、2に係る発明(以下、本件発明という。)は、甲第1号証(上記引用例1)に記載された発明であり、また、明細書の記載が不備であるから、その特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、また、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであると主張しており、
特許異議申立人池中実(以下、申立人池中という。)は、本件発明は、甲第1〜3号証(上記引用例2〜4)に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであると主張している。
(3)しかし、上記2.訂正の適否についての(3)に記載したとおりの理由で、本件発明は、申立人住友化学の甲第1号証に記載された発明であるとも、申立人池中の甲第1〜3号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるともすることはできないし、申立人住友化学が主張する明細書の記載不備もないものと認められる。
したがって、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件発明の特許を取り消すことはできない。
4.また、他に本件発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
樹脂積層体
(57)【特許請求の範囲】
(1)密度が0.900〜0.915g/cm3であり、メルトインデックスが2〜50g/10分(190℃)であり、引張弾性率が1,000〜5,000Kg/cm2であるエチレン-α-オレフィン共重合体を60重量%以上、
低結晶性又は非結晶性のエチレン-α-オレフィン共重合体および/または密度が0.900〜0.920g/cm3の範囲にある高圧法低密度ポリエチレンをフィルム全体に対して40重量%未満、
を含有してなる厚み15〜80μmの樹脂単層フィルムと、基材フィルムとを積層してなることを特徴とする樹脂積層体。
(2)請求項1に記載の樹脂単層フィルムと、基材フィルムとを、接着剤またはアンカーコート剤からなる中間層を介して積層してなることを特徴とする樹脂積層体。
【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野]
本発明は樹脂積層体に関し、さらに詳しく言うと、ヒートシール性(特に低温シール性)、夾雑物シール性および耐ピンホール性に優れるとともに、製膜性および二次加工性が良好であり、たとえば各種の食品、飲料、薬品等の液状物、粉粒物等の包装に好適に利用することのできる樹脂積層体に関する。
[従来技術および発明が解決しようとする課題]
従来、各種の食品、飲料、薬品、セメント、砂等の液状物、粉粒物等の包装材としては、紙、合成樹脂シートあるいは合成樹脂フィルム、紙と合成樹脂シートあるいは合成樹脂フィルムとのラミネート物等が使用されている。なかでも合成樹脂製の包装材料、特にポリオレフィンシートあるいはポリオレフィンフィルムは、優れた成形性、高い生産性、耐水性、耐薬品性等を備えているので、多くの産業分野に使用されている。
ところで、食品、飲料をはじめとし各種物品の包装用フィルムとしてはヒートシール性の良好なことが要求される。
良好なヒートシール性はシール温度が低く、シール温度幅が広く、シール強度が高く、特に液状物の包装時の夾雑物シール性が良いこと、およびシール時のシールやせの発生がないことを要求されている。更に上記の要求に加えて、製膜安定性、二次加工のための剛性等も要求され、これらの性質はヒートシール性の向上と反することから、二次加工性とヒートシール性とのバランスした性状が望まれる。
従来、ヒートシール性に優れ、透明性、剛性、耐衝撃性等にも優れた包装材を得るべく種々の改良がなされてきた。
たとえば特開昭55-12008号公報によると、内層と外層とからなる多層フィルムの包装袋において、内層のヒートシール性を良好にする為に、マグネシウム化合物とチタン化合物とから形成されたチタン触媒成分および有機アルミニウム化合物触媒の存在下に、エチレンと炭素数5〜10のα-オレフィンとを共重合することにより得られるところの、密度0.915〜0.940g/cm3のランダム共重合体からなる内層が用いられている。なお、このランダム共重合体の密度は0.920〜0.935g/cm3の範囲にあることが好ましく、メルトインデックスは1.0〜5.0の範囲にあることが好ましく、内層の厚みは5〜40μmの範囲にあることが好ましいと記載されている。また、外層として、紙、アルミ箔、およびフィルム形成能を有する重合体(たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート等)のフィルムが用いられている。そして内層と外層とを積層して多層フィルムにし、内層面同志をヒートシールして包装袋が形成される。
また、特開昭57-59943号公報および特開昭60-36549号公報によると、ヒートシール性の良いラミネート用の素材としてエチレン-α-オレフィン共重合体が開示され、前者においては、メルトインデックスの小さいエチレン-α-オレフィン共重合体とメルトインデックスの大きいエチレン-α-オレフィン共重合体とが混合され、分子量分布を広くして成形性を良くした組成物が記載されている。一方、後者においては、エチレン-α-オレフィン共重合体とエチレン系重合体(低密度または高密度ポリエチレン等)とが混合されたヒートシール用の重合体組成が記載されている。
さらに特開昭58-160147号公報においては、ヒートシール性の共押出多層フィルムが開示され、内層がエチレン-α-オレフィン共重合体層(密度0.92〜0.94g/cm3)であり、芯層が高圧法低密度ポリエチレン層(密度0.92〜0.93g/cm3)であり、外層がエチレン-α-オレフィン共重合体層(密度0.91〜0.93g/cm3)である多層フィルムが記載されている。
さらにまた、たとえば特開昭53-54283号公報によると、低融点のエチレン-酢酸ビニル共重合体層と、これよりも融点が高い、厚み1〜10μmのポリエチレン層とを積層し、前記エチレン-酢酸ビニル共重合体にナイロン層等の基材フィルムを積層してなる多層フィルムが記載されている。
しかしながら、上記エチレン-α-オレフィン共重合体層は良好なシール性を有するものの、低温シール性、夾雑物シール性およびシール温度幅等が未だ不充分であるとともに、シールやせの欠点を解消するまでには至っておらず、また多層フィルムはヒートシール性が良好であっても、製膜製、剛性が不良であるとともに、二次加工性が劣り、包装材としては充分に満足し得るものではなかった。さらに、酢酸ビニルを含有して製造されたフィルムには臭気、シールやせ等の欠点がある。
本発明は前記の事情に基いてなされたものである。
本発明の目的は、低温シール性、夾雑物シール性および耐ピンホール性に優れるとともに、製膜製および二次加工性が良好であり、たとえば各種の食品、飲料、薬品等の液状物、粉粒物等の包装に好適に利用することのできる樹脂積層体を提供することにある。
[課題を解決するための手段]
前記課題を解決するために、本発明者が鋭意検討を重ねた結果、特定のエチレン-α-オレフィン共重合体を含有してなる特定の樹脂単層フィルムを用いてなる。
特定の樹脂積層体は、低温シール性、夾雑物シール性および耐ピンホール性に優れるとともに、製膜性および二次加工性が良好であり、たとえば各種の食品、飲料、薬品等の液状物、粉粒物等の包装に好適に利用することができることを見い出して、本発明に到達した。
請求項1の発明の構成は、密度が0.900〜0.915g/cm3であり、メルトインデックスが2〜50g/10分(190℃)であり、引張弾性率が1,000〜5,000Kg/cm2であるエチレン-α-オレフィン共重合体を60重量%以上、低結晶性又は非結晶性のエチレン-α-オレフィン共重合体および/または密度が0.900〜0.920g/cm3の範囲にある高圧法低密度ポリエチレンをフィルム全体に対して40重量%未満、を含有してなる厚み15〜80μmの樹脂単層フィルムと、基材フィルムとを積層してなることを特徴とする樹脂積層体であり、
請求項2の発明の構成は、請求項1に記載の樹脂単層フィルムと、基材フィルムとを、接着剤またはアンカーコート剤からなる中間層を介して積層してなることを特徴とする樹脂積層体である。
以下、請求項1及び請求項2に記載の樹脂積層体について詳述する。
-請求項1における樹脂単層フィルム-
請求項1における樹脂単層フィルムは、エチレン-α-オレフィン共重合体を用いてなる。
前記エチレン-α-オレフィン共重合体は、その密度が0.900〜0.915g/cm3であり、かつそのメルトインデックスが2〜50g/10分(190℃)、好ましくは4〜20g/10分(190℃)である。
前記エチレン-α-オレフィン共重合体の密度が0.900g/cm3未満であると、このエチレン-α-オレフィン共重合体を用いてなる樹脂単層フィルムの剛性が低下したり、ヒートシール部の強度が低下したりすることがある。一方、0.915g/cm3を超えると、低温ヒートシール性が劣ったり、衝撃強度が低下したりすることがある。また、前記エチレン-α-オレフィン共重合体のメルトインデックスが2g/10分未満であると、溶融粘度が大きくなって成形性が悪くなることがある。一方、50g/10分を超えると、このエチレン-α-オレフィン共重合体を用いてなる樹脂単層フィルムにおけるヒートシール部の強度が低下して、フィルム強度の低下を招くことがある。
したがって、本発明においては、前記エチレン-α-オレフィン共重合体が前記範囲の密度およびメルトインデックスを有することが重要である。また、通常のフィルムグレードのメルトインデックスは2g/10分(190℃)未満のものが使用されているのに対し、本発明においては、2g/10分(190℃)よりも大きなメルトインデックスを有する前記エチレン-α-オレフィン共重合体を使用することにより本発明の目的を達成し得ることは注目に値する。
前記エチレン-α-オレフィン共重合体の好適例としては、エチレンと炭素数4〜10のα-オレフィンとのランダム共重合体を挙げることができる。
炭素数4〜10のα-オレフィンとしては、たとえば、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、4-メチル-ペンテン-1、オクテン-1、ノネン-1、デセン-1などが挙げられる。
ランダム共重合体のコモノマー単位となり得るα-オレフィンは、一種単独であっても良いし、二種以上であっても良い。
本発明においては、前記各種のランダム共重合体の中から、前記密度およびメルトインデックスを有する共重合体を適宜に選択して使用することができる。
もっとも、好ましいランダム共重合体は、α-オレフィン単位を含有する直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)である。
本発明における樹脂単層フィルムは、前記エチレン-α-オレフィン共重合体を60重量%以上、低結晶性あるいは非結晶性のエチレン-α-オレフィン共重合体および/または密度が0.900〜0.920g/cm3の範囲にある高圧法低密度ポリエチレンを、フィルム全体に対して40重量%未満、を含有してなる。樹脂単層フィルムをこのように構成することで、ヒートシール性を損なうことなく、耐衝撃性を向上させることができる。
前記の低結晶性あるいは非結晶性エチレン-α-オレフィン共重合体としては、たとえばエチレン-プロピレンゴム(EPR)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、低結晶性エチレン-ブテン-1共重合体などが挙げられる。
また、前記エチレン-α-オレフィン共重合体はその引張弾性率が1,000〜5,000Kg/cm2の範囲内にある。引張弾性率が1,000Kg/cm2未満であると、この共重合体を用いてなる単層フィルムのフィルム強度が低下することがある。一方、5,000Kg/cm2を超えると、ヒートシール性が低下することがある。
本発明における樹脂単層フィルムは、その厚みが15〜80μm、好ましくは20〜60μmである。この厚みが15μm未満であると、シール温度幅、強度等が低下してシール性が不良になることがある。一方、80μmを超えると、製膜性が低下したり、シールやせが発生したりすることがある。
本発明における樹脂単層フィルムにおいては、本発明を阻害しない限り、所望により前記エチレン-α-オレフィン共重合体とともに、各種の添加剤を含有していてもよい。
前記添加剤としては、たとえば滑剤、抗ブロッキング剤、着色剤、酸化防止剤、可塑剤、熱安定剤などを挙げることができる。
本発明における樹脂単層フィルムを製膜する方法には特に制限はなく、従来より公知の方法を適宜に選択して採用することができるが、中でも、たとえばTダイ法、インフレーション法等の溶融押出法は好ましい製膜加工方法である。たとえばこれらの製膜加工方法を採用する場合、樹脂温度は、通常、180〜300℃で程度であり、冷却温度は、通常、20〜80℃程度である。
本発明における樹脂単層フィルムは、低温シール性、夾雑物シール性および耐ピンホール性に優れるとともに、製膜製および二次加工性が良好であり、たとえば各種の食品、飲料、薬品等の液状物、粉粒物等の包装に好適に利用することができる。
-請求項2に記載の樹脂積層体-
本発明の樹脂積層体は、たとえば第1図に示すように、樹脂単層フィルム1と基材フィルム2とを、接着剤またはアンカーコート剤からなる中間層3を介して積層してなるものである。
前記基材フィルムの形成素材としては、たとえばナイロン-6のようなナイロン、たとえばポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル、たとえばエチレン-酢酸ビニル共重合体の鹸化物のようなポリビニルアルコール、およびポリプロピレン等の延伸されたもしくは無延伸のフィルムもしくはシート、ポリカーボネートフィルム、アルミ箔もしくはその他の金属箔、ならびに各種金属蒸着フィルムなどが挙げられる。
前記基材フィルムは単層構造であってもよいし、多層構造であってもよいが、通常は、前記各種の形成素材のうち少なくとも1種を、たとえば共押出ラミネート法、ドライラミネート法、ホットラミネート法、ホットメルトラミネート法、押出ラミネート法等の各種ラミネート法を採用して成膜してなるものを好適に用いることができる。
いずれにせよ、前記基材フィルムの厚みは、通常、10〜100μm、好ましくは15〜80μmである。この厚みが10μm未満であると、フィルム強度が充分ではないことがあり、また本発明の樹脂積層体のシール性が不良になることがある。一方、100μmを超えてもそれに相当する効果は奏されず、かえって製造コストの上昇を招いたりして実用的ではないことがある。
前記中間層は接着剤またはアンカーコート剤からなる層である。
前記接着剤としては、たとえば酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン系樹脂等のビニル系樹脂;ニトロセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテート等のセルロース系樹脂;合成ゴムとアクリル系樹脂との共重合樹脂(AB樹脂)等のエポキシ系樹脂;エチレン-酢酸ビニル共重合物、エチレン-アクリル酸エステル共重合物などが挙げられる。
前記アンカーコート剤としては、たとえば有機チタン系アンカーコート剤、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤、イソシアナート系アンカーコート剤などが挙げられる。
前記接着剤の塗布量は、通常、1.5〜5.0g/m2であり、前記アンカーコート剤の塗布量は、通常、0.1g/m2以下である。
本発明の樹脂積層体を形成する方法としては、積層構造にすることができれば特に制限はないが、好ましいのはたとえば共押出ラミネート法、ドライラミネート法、ホットラミネート法、ホットメルトラミネート法、押出ラミネート法等の各種ラミネート法である。たとえば押出ラミネート法を使用する場合、樹脂温度は、通常、250〜350℃程度であり、冷却温度は、通常、10〜50℃程度である。
なお、前記基材フィルムと前記樹脂単層フィルムとを積層するにあたり、前記基材フィルムおよび/または前記樹脂単層フィルムに、予め表面処理を行なっておくことが好ましい。
表面処理としてはコロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理等の表面酸化処理、あるいはサンドブラスト等の表面凹凸処理を挙げることができる。
さらに具体的には、前記基材フィルムにおける前記樹脂単層フィルムを積層する面には、たとえばコロナ放電処理を行なった後に、たとえば一般的なアンカーコート剤による処理を行なったり、前記接着剤を塗布したりするのが好ましい。また、前記樹脂単層フィルムとして予め成膜されたものを用いる場合には、前記樹脂単層フィルムにおける前記基材フィルムを積層する面に、たとえばコロナ放電処理等を行なっておくことが好ましい。さらに、たとえば前記樹脂単層フィルムを押出ラミネート法を採用して前記基材フィルムと積層する場合には、必要により前記樹脂単層フィルムにおける前記基材フィルムを積層する面に、たとえばオゾン処理を行なうことが好ましい。
このようにして得られる本発明の樹脂積層体は、前記基材フィルムにより剛性等の機械的強度が向上しているとともに、ヒートシール性に優れた前記樹脂単層フィルムを有するので、たとえば食品、飲物、セメント、砂等の粒状物、液状物の包装に好適に使用することのできる包装袋の形成形成材料として好適に利用することができる。
[実施例]
次に本発明の実施例および比較例を示し、本発明についてさらに具体的に説明する。
(実施例1、2、比較例1〜6)
第1表に示した性状を有する各種樹脂を用いて、65mmφの押出機で溶融混練して、マルチマニホールド多層T-ダイ(ダイ幅800mm)に供給し、ダイ温度250℃で押出し、温度40℃のチルロールで冷却し、厚みが40μmである樹脂単層フィルム(A)を得た。
次いで、この樹脂単層フィルムのチルロール面を、28W/m2/分の条件でコロナ放電処理した。
その後、このコロナ放電処理を行なった樹脂単層フィルムのチルロール面側に、厚み15μmの延伸ナイロンフィルム(B)[出光石油化学(株)製、G100]をドライラミネートして樹脂積層体を得た。
なお、接着剤にはエーテル系2液タイプ[東洋モートン(株)製、AD-300A]を用いた。
この樹脂積層体について、シール温度、夾雑物シール性I、夾雑物シール性II、充填シール温度幅およびシールやせの評価を行なった。
結果を第2表に示す。
なお、各項目は次のようにして評価した。
シール温度(出光法);東洋精機製熱傾斜試験機を用いて、ヒートシール層(A)とヒートシール層(A)とを2Kg/cm2の圧力を1秒間かけてシールし、ヒートシール強度が2,000g/15mmになるときの温度をシール温度とした。
夾雑物シール性I;シール温度の測定と同一条件で夾雑物としてサラダ油を充填してシール温度を測定した。
夾雑物シール性II;シール温度の測定と同一条件で夾雑物として醤油を充填してシール温度を測定した。
充填シール温度幅;充填包装機(小松製作所製、半折三方シール充填機、KS324)を用い、一段ロール方式で、包装袋(サイズ60mm×70mm)に内容物として醤油を充填速度80袋/分で充填した。その充填包装袋に荷重100Kgをかけ、耐久時間5分間以上に耐えるシール温度の範囲を測定した。
シールやせ;上記の充填条件でシール温度145℃で製袋し、次式によりシールやせを求めた。
シールやせ=(シール部厚み/ラミネートと原反との合計厚み)×100(%)
(比較例7および8)
前記実施例1において、厚み40μmの樹脂単層フィルムに代えて、第2表に示した厚みの樹脂単層フィルムを用いたほかは、前記実施例1と同様にして樹脂積層体を製造し、得られた樹脂積層体について評価を行なった。
結果を第2表に示す。
(実施例3、4、比較例9〜13)
第1表に示した性状を有する各種樹脂を用いて、90mmφの押出機で溶融混練して、マルチマニホールド多層T-ダイ(ダイ幅800mm)に供給し、ダイ温度300℃で押出して、厚みが40μmである樹脂単層フィルム(A)を製造するとともに、厚み15μmの延伸ナイロンフィルム[出光石油化学(株)製、G100]からなる基材フィルム(B)のラミネート面(アンカーコート剤塗布面)側に対して、ニップロールと冷却ロール(温度30℃)ロール間の締付け工程を通して、樹脂積層体を得た。
なお、アンカーコート剤には、エステル系2液タイプ[東洋モートン(株)製、EL364]を用いた。
この樹脂積層体について、前記実施例1と同様にして、各項目の評価を行なった。
結果を第3表に示す。



(評価)
第2表および第3表から、本発明の樹脂積層体は比較例の樹脂積層体に比べて、シール温度が低く、また夾雑物シール性に優れ、さらにシール温度幅が広く、しかもシールやせが小さくて、本発明の目的が達成されていることが明らかである。
[発明の効果]
(1) 請求項1の発明によると、特定のエチレン-α-オレフィン共重合体と、低結晶性又は非結晶性のエチレン-α-オレフィン共重合体および/または密度が0.900〜0.920g/cm3の範囲にある高圧法低密度ポリエチレンとを用いてなるとともに、厚みが特定の範囲にあるので、ヒートシール性(特に低温シール性)、夾雑物シール性、耐ピンホール性、および耐衝撃性に優れるとともに、製膜性および二次加工性が良好であり、たとえば各種の食品、飲料、薬品等の液状物、粉粒物等の包装に好適に利用することができて工業的に有用な樹脂単層フィルムを提供することができる。
(2) 請求項2の発明によると、前記の優れた特長を有する請求項1における樹脂単層フィルムと、剛性等の機械的強度に優れた基材フィルムとを積層してなるので、請求項1における樹脂単層フィルムが有する前記の優れた特長を損なうことなく、剛性等の機械的強度の向上を図った工業的に有用な樹脂積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は請求項2に記載の樹脂積層体の一例を示す断面図である。
1……樹脂単層フィルム、2……基材フィルム、3……接着剤またはアンカーコート剤からなる中間層。
 
訂正の要旨 (a)特許請求の範囲請求項1における「密度が0.890〜0.920g/cm3であり、メルトインデックスが2〜50g/10分(190℃)であり、引張弾性率が1000〜5000Kg/cm2であるエチレン-α-オレフィン共重合体を60重量%以上含有してなる厚み15〜80μmの樹脂単層フィルム」を「密度が0.900〜0.915g/cm3であり、メルトインデックスが2〜50g/10分(190℃)であり、引張弾性率が1000〜5000Kg/cm2であるエチレン-α-オレフィン共重合体を60重量%以上、低結晶性又は非結晶性のエチレン-α-オレフィン共重合体および/または密度が0.900〜0.920g/cm3の範囲にある高圧法低密度ポリエチレンをフィルム全体に対して40重量%未満、を含有してなる厚み15〜80μmの樹脂単層フィルム」と訂正する。
(b)明細書第7頁第7〜11行(特許公報第2頁右欄第29〜34行)「請求項1の発明の構成は、・・・樹脂積層体であり、」を「請求項1の発明の構成は、密度が0.900〜0.915g/cm3であり、メルトインデックスが2〜50g/10分(190℃)であり、引張弾性率が1000〜5000Kg/cm2であるエチレン-α-オレフィン共重合体を60重量%以上、低結晶性又は非結晶性のエチレン-α-オレフィン共重合体および/または密度が0.900〜0.920g/cm3の範囲にある高圧法低密度ポリエチレンをフィルム全体に対して40重量%未満、を含有してなる厚み15〜80μmの樹脂単層フィルムと、基材フィルムとを積層してなることを特徴とする樹脂積層体であり、」と訂正する。
(c)同第8頁第3〜12行(同第2頁右欄第44行〜第3頁左欄第2行)の「その密度が・・・、0.920g/cm3を超えると、」を「その密度が0.900〜0.915g/cm3であり、かつそのメルトインデックスが2〜50g/10分(190℃)、好ましくは4〜20g/10分(190℃)である。前記エチレン-α-オレフィン共重合体の密度が0.900未満であると、このエチレン-α-オレフィン共重合体を用いてなる樹脂単層フィルムの剛性が低下したり、ヒートシール部の強度が低下したりすることがある。一方、0.915g/cm3を超えると、」と訂正する。
(d)同第10頁第第9〜18行(同第3頁左欄第35〜43行)の「本発明における樹脂単層フィルムは、・・・含有していてもよい。」を「本発明における樹脂単層フィルムは、前記エチレン-α-オレフィン共重合体を60重量%以上、低結晶性あるいは非結晶性のエチレン-α-オレフィン共重合体および/または密度が0.900〜0.920g/cm3の範囲にある高圧法低密度ポリエチレンを、フィルム全体に対して40重量%未満、を含有してなる。樹脂単層フィルムをこのように構成することで、ヒートシール性を損なうことなく、耐衝撃性を向上させることができる。」と訂正する。
(e)同第17頁第6〜8行(同第4頁右欄第12〜14行)の「(実施例1〜4、比較例1〜5)第1表・・・各種樹脂を用いて、」を「(実施例1、2、比較例1〜6)第1表に示した性状を有する各種樹脂を用いて、」と訂正する。
(f)同第19頁第13行(同第5頁左欄第第1行)の「(比較例6および7)」を「(比較例7および8)」と訂正する。
(g)同第20頁第1行(同第5頁左欄第7行)
の「(実施例6〜8、比較例8〜12)」を「(実施例3、4、比較例9〜13)」と訂正する。
(h)同第21頁(同第6頁)第1表下の「引張弾性率は、JIS-K-1702に準ずる。」を「引張弾性率は、JIS-Z-1702に準ずる。」と訂正する。
(i)同第22頁(同第7頁)第2表における 実施例1、2の欄の記載を全て削除し、比較例5の欄の下に「比較例6 LLDPE3 115 120 130 130〜150 90」の欄を挿入し、「実施例3」、「実施例4」、「比較例6」、「比較例7」を「実施例1」、「実施例2」、「比較例7」、「比較例8」と訂正する。
(j)同第23頁(同第8頁)第3表における実施例6の欄の記載を全て削除し、「実施例7」、「実施例8」、「比較例8」、「比較例9」、「比較例10」、「比較例11」、「比較例12」を「実施例3」、「実施例4」、「比較例9」、「比較例10」、「比較例11」、「比較例12」、「比較例13」と訂正する。
(k)同第24頁第8〜10行(同第9頁第2〜3行)の「(1)請求項1の発明によると、特定のエチレン-α-オレフィン共重合体を用いてなるとともに、」を「(1)請求項1の発明によると、特定のエチレン-α-オレフィン共重合体と、低結晶性又は非結晶性のエチレン-α-オレフィン共重合体および/または密度が0.900〜0.920g/cm3の範囲にある高圧法低密度ポリエチレンとを用いてなるとともに、」と訂正する。
異議決定日 2000-03-03 
出願番号 特願平1-94798
審決分類 P 1 651・ 534- YA (C08J)
P 1 651・ 113- YA (C08J)
P 1 651・ 121- YA (C08J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 増田 亮子  
特許庁審判長 小林 正巳
特許庁審判官 喜納 稔
仁木 由美子
登録日 1998-09-25 
登録番号 特許第2829351号(P2829351)
権利者 出光石油化学株式会社
発明の名称 樹脂積層体  
代理人 中山 寛二  
代理人 木下 実三  
代理人 石崎 剛  
代理人 神野 直美  
代理人 木下 実三  
代理人 中山 寛二  
代理人 久保山 隆  
代理人 中山 亨  
代理人 石崎 剛  

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