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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 G03B 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 G03B |
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管理番号 | 1016434 |
異議申立番号 | 異議1999-71819 |
総通号数 | 12 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1995-08-11 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-05-11 |
確定日 | 2000-03-17 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第2823795号「LED照明装置」の請求項1ないし7に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認めない。 特許第2823795号の請求項1ないし7に係る特許を取り消す。 |
理由 |
理 由 I.手続の経緯 本件特許第2823795号の特許請求の範囲の各請求項に係る発明は、平成6年1月25日に特許出願され、平成10年9月4日にその特許の設定登録がなされ、その後、特許異議申立人オムロン株式会社(以下「申立人」という。)より特許異議の申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年9月10日に訂正請求がなされたものであるが、さらに当該訂正請求について訂正拒絶理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年12月16日に当該訂正請求書に係る手続補正書が提出されたものである。 II.訂正の適否についての判断 1.訂正請求書の補正の適否 (1)補正の目的 上記訂正請求書の補正では、(a)訂正事項Aの特許請求の範囲の記載について、新たな構成事項を付加することによりさらに限定しようとする点、(b)訂正事項Bの明細書の記載について、特許請求の範囲の訂正に伴って補正する点および新たに(c)異なる部材に同一の部材番号を付している明細書の記載を正す点の三点に係るものである。したがって、上記(a)は、特許請求の範囲の減縮を意図するものであり、上記(b)および(c)の点は、それぞれ、特許請求の範囲の訂正に伴う明細書の記載の不整合ないしは明細書の技術的に明りょうでない記載を単に正すものであるから、明りょうでない記載の釈明を意図するものである。 (2)新規事項の有無 上記訂正請求書の補正では、訂正請求書の訂正事項Aに係る「隙間空間内にコネクターの端子が配設されている」点を追加しているが、本件特許に係る明細書および図面には、一貫して、当該コネクターの端子が外枠体の壁面を挟んで配設されている点に係る記載のみであって、隙間空間内に配設されている記載はない。 したがって、上記訂正請求書の補正は、訂正請求の内容を、本件特許に係る明細書または図面に記載された事項の範囲を超えるものとするものであるから、当該訂正請求書の要旨を変更するものである。 (3)むすび 以上の理由により、上記訂正請求書の補正は、特許法第120条の4第3項で準用する同法第131条第2項の規定により不適法なものであるから採用できない。 2.訂正の内容 したがって、特許権者が請求している訂正の内容は、下記のとおりである。 (1)訂正事項A 特許請求の範囲の請求項1を下記の通り訂正する。 「カメラで観察する観察物を照明するLED照明装置であって、複数の少なくとも1個のLED素子からなるLED照明部材と、前記観察物を異なる方向から照射できるように複数の前記LED照明部材が取り付けられる枠体とを備え、前記枠体は前記観察物の方へ向かって開放された周壁を有し、前記枠体は観察物の方へ向かって開放する直方体状の外枠体と、前記外枠体の内側に配設された内枠体とを有し、前記内枠体は、中央部にある平面状の第1面と、前記第1面に対して内方へ傾斜し前記第1面から延びて互いに直角の角度をなす四方へ広がる平面状の4個の第2面と、前記第2面から延び前記第1面と直角の角度をなす平面状の4個の第3面とを有し、前記LED照明部材は、前記第1面、前記第2面、及び前記第3面の各々に取り付けられていることを特徴とするLED照明装置。」 また、訂正前の請求項2を削除し、訂正前の請求項3乃至7が訂正後の請求項2乃至6に対応するようにした。 (2)訂正事項B 本件明細書の第2頁第4欄第6行〜第4欄第12行(段落番号0009)を下記の通り訂正する。 「【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために、本発明によるLED照明装置は、カメラで観察する観察物を照明するLED照明装置であって、複数の少なくとも1個のLED素子からなるLED照明部材と、前記観察物を異なる方向から照射できるように複数の前記LED照明部材が取り付けられる枠体とを備え、前記枠体は前記観察物の方へ向かって開放された周壁を有し、前記枠体は観察物の方へ向かって開放する直方体状の外枠体と、前記外枠体の内側に配設された内枠体とを有し、前記内枠体は、中央部にある平面状の第1面と、前記第1面に対して内方へ傾斜し前記第1面から延びて互いに直角の角度をなす四方へ広がる平面状の4個の第2面と、前記第2面から延び前記第1面と直角の角度をなす平面状の4個の第3面とを有し、前記LED照明部材は、前記第1面、前記第2面、及び前記第3面の各々に取り付けられていることを特徴とする。」 また、段落番号0010に記載内容を削除する。 3.訂正の目的の適否、新規事項の有無および拡張・変更の存否 上記訂正事項Aは、訂正前の請求項1に係る発明を、枠体の形状等の特定の構成要件をさらに付加し限定しようとするものであり、また特定の請求項(請求項2)を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮に相当するものである。また、訂正事項Bは、訂正前の特許請求の範囲の請求項1を訂正し請求項2を削除することによって生じた明りょうでない記載について、単に正すものであるから、明りょうでない記載の釈明に該当するものである。そして、上記各訂正事項は本件の訂正前の特許明細書に記載されている事項のみであるから、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 4.独立特許要件に係る判断 (1)上記取消理由に係る引用例に記載の発明 訂正明細書の請求項1に記載の発明(以下「本件訂正第1発明」という。)に対して、当審が通知した取消理由で引用した甲第1号証(特開平4-241476号公報)には、以下の事項が記載されている。 (a)「複数個の発光素子が環状に配列された発光素子アレイの複数個が同心円状に配され且つ各発光素子アレイは照明対象に対してそれぞれ照明角度が異るように配されて成る照明器と、上記複数個の発光素子を任意の発光パターンで選択的に制御する照明制御手段とを備えた照明装置。」 (特許請求の範囲) (b)「この発明に係る照明装置は複数の発光素子を配列して成るリング照明を部分的に点灯可能に構成し、このリング照明を複数個同心円状に配して、それぞれ検査対象に対する角度が異なるように成し、この複数のリング照明の点灯をコントロールする照明制御手段を設けたものである。」 (段落[0009]) (c)「図1、図2において、・・(中略)・・14aa〜14chは発光素子としてのLEDランプ、15a〜15cは同心円状に配置されたLEDランプ14aa〜14ah、14ba〜14bh、14ca〜14chより成る環状の発光素子アレイとしてのLEDアレイ、16は照明対象である基板13に対してそれぞれ照明角度の異なるようにLEDアレイ15a〜15cを取付けた基板で中央孔16aを有する。・・(中略)・・11は基板13上のボンディングワイヤ10の画像を中央孔16aを通じて撮像するITVカメラ、12はITVカメラ11よりの画像信号を処理する画像処理装置、17は画像処理装置12より照明点燈パターンを入力し、照明器18の各LEDランプ14aa〜14chを選択的に点燈させる照明制御装置である。なお、画像処理装置12、照明制御電源17により照明制御手段が構成される。」 (段落[0012]) (d)「なお、上記実施例では、LEDランプ14aa〜14chを点燈/消燈させる方式を示したが、画像処理装置12より各LEDランプ14aa〜14chの明るさコードを照明制御電源17に入力し、各LEDランプ14aa〜14chに流す電流を制御することにより明るさを制御してもよい。 また、上記実施例では、LEDアレイ15a〜15cを平面に配置したが、図3のように球面状の基板16に各LEDアレイを配置してもよい。さらに図4のように、各LEDアレイ15a〜15cを高さが異なる3つの基板16に配置してもよい。図3、図4の構成とすれば、より高角度からの照明が可能となる。」 (段落[0015]〜段落[0016]) (e)「さらに、LEDランプの代りにLEDチップ部品及びレンズ、プリズム等を用いて構成してもよく、より小型化が可能となる。 また上記実施例ではLEDランプを各列8個で3列配した場合を示したが、列数、個数は照明対象によって決定されればよく、図5のように例えば1列あたり24個のLEDランプ14が光量として必要で、8ブロックに分割すれば認識上問題がない場合、図6のように各ブロック18のLEDランプ14 3個をシリアル接続すればよい。」 (段落[0018]〜段落[0019]) (f)図3 図3には、中央孔16aを有し観察物の方向に開放されている球面状の基板16にLEDアレイ15a〜15cがそれぞれ観察物に対して異なる角度で照明する照明装置が記載されている。 以上の記載事項からみて、甲第1号証には、「カメラで観察する観察物を照明するLED照明装置であって、複数の少なくとも1個のLED素子からなるLED照明部材と、前記観察物を異なる方向から照射できるように複数の前記LED照明部材が取り付けられる枠体を備え、前記枠体が観察物の方向に開放された球面状の周壁を有するLED照明装置。」に係る発明が記載されている。 次に、上記取消理由で引用した甲第2号証(特開平3-218407号公報)には、以下の事項が記載されている。 (a)「被測定対象物を所定位置に載置する載置台と、この載置台の上方に予め定められた複数の位置から載置台上の被検査対象物に対して各々所定角度で光を照射できる複数の光源と、この複数の光源の任意の単数または複数の光源を独立に点灯可能な光源制御手段と、上記光源で照明される前記被測定対象部分を含めた画像を所定位置から撮像する単数または複数の撮像手段・・(中略)・・とを具備したことを特徴とする形状測定装置。」 (特許請求の範囲の請求項1) (b)「本発明は形状の測定方法に係り、特に基板上に電子部品を接合するはんだなどの鏡面を有する被測定対象物を測定・検査するための形状測定装置・形状測定方法及び形状測定装置の校正方法に関する。」 (第3頁右上欄第19行〜左下欄第3行) (c)「第4図は第1の実施例の構成図である。外乱光を遮る半円球状のカバー(1)にLED(2)を経線方向に10度ごと、緯度方向に5度ごとに配置してある。このLED(2)は個々に独立して点灯可能なように制御装置(3)に接続されている。また、カバー(1)の下方には基板を載置するX-Yテーブル(4)が設けられている。また、このX-Yテーブル(4)は制御装置(3)に制御可能に接続されている。さらに、カバー(1)の垂線方向にカメラ(5)を配置している。このカメラ(5)は撮像した画像信号を画像処理装置(6)に送信可能に接続されており、さらに画像処理装置(6)はその処理結果をモニタ(7)に表示可能に接続されている。また、画像処理装置(6)およびモニタ(7)は制御装置(3)の指令により動作するように接続されている。」 (第8頁右上欄第4行〜第19行) (d)第4図 第4図には、形状測定装置において、頂部にカメラが設置され被測定物の方向である下方に開放された半円球状のカバーの内部にいずれの角度からも照明できるようにLEDが配置されてなる照明部材が記載されている。 なお、甲第2号証記載の発明における「カバー」および「LED」は、本件第1発明でいう「枠体」および「(単一のLEDを有する)LED照明部材」にそれぞれ相当する。 以上の記載事項からみて、甲第2号証には、「カメラで観察する観察物を照明するLED照明装置であって、複数の少なくとも1個のLED素子からなるLED照明部材と、前記観察物を異なる方向から照射できるように複数の前記LED照明部材が取り付けられる枠体を備え、前記枠体が観察物の方向に開放された球面状の周壁を有するLED照明装置。」に係る発明が記載されている。 (2)対比・判断 ここで、本件訂正第1発明と甲第1号証あるいは甲第2号証記載の各発明とを対比すると、次の2点で相違し、その余の点で一致している。 (A)本件訂正第1発明では、枠体は観察物の方へ向かって開放する直方体状の外枠体と、前記外枠体の内側に配設された内枠体とを有しているのに対して、甲第1号証ないし甲第2号証には、直方体状の外枠体に係る記載がなく、さらに内枠体を設ける点についての記載がない点。 (B)本件訂正第1発明では、内枠体は、中央部にある平面状の第1面と、前記第1面に対して内方へ傾斜し前記第1面から延びて互いに直角の角度をなす四方へ広がる平面状の4個の第2面と、前記第2面から延び前記第1面と直角の角度をなす平面状の4個の第3面とを有し、前記LED照明部材は、前記第1面、前記第2面、及び前記第3面の各々に取り付けられているのに対して、甲第1号証ないし甲第2号証記載の各発明では、LED照明部材が球面状ないしは半円球状の枠体の内側に直接設置されている点。 そこで、上記相違点(A)について検討すると、枠体の形状を被検査物の方向に開放されているものの範囲内で特定の形状とする点は、当業者が適宜選択し得る事項であり、また、枠体の構造を単層体とするか外枠体と内枠体とからなる複層体とするかについても、当業者が適宜選択し得る事項である。そして、本件訂正明細書および図面の記載内容を検討しても、直方体状の外枠体とその内側に配設された内枠体とからなる枠体とすることにより、甲第1号証ないしは甲第2号証に記載の各発明に比して、特段の実施効果を奏するものとする根拠となる事項はない。したがって、上記相違点(A)における本件訂正第1発明の構成事項は、当業者が適宜なし得る単なる設計的事項に過ぎない。 次に、上記相違点(B)について検討すると、本件訂正第1発明の場合、直方体状の外枠体の内側に内枠体を配設した状態で、観察物を異なる方向から照明することを意図した場合の構成事項を単に具体化して規定したものに過ぎず、当業者が適宜選択し得る事項であり、また、本件訂正明細書および図面の記載内容を検討しても、上記相違点(B)に係る本件訂正第1発明の構成とすることにより、甲第1号証ないしは甲第2号証に記載の各発明に比して、特段の実施効果を奏するものとする根拠となる事項はない。したがって、上記相違点(B)に係る本件訂正第1発明の構成事項は、当業者が適宜なし得る単なる設計的事項に過ぎない。 してみると、本件訂正第1発明は、甲第1号証ないしは甲第2号証記載の各発明において、当業者が適宜想起し得る設計的事項を単に付加したものに過ぎないから、甲第1号証ないしは甲第2号証記載の各発明から容易に発明し得たものである。 なお、上記訂正後の本件特許に係る請求項2ないし6に記載の発明(以下、請求項2記載の発明を「本件訂正第2発明」といい、以降その項番に従い、「本件訂正第3発明」ないし「本件訂正第6発明」という。)について検討すると、甲第1号証および甲第2号証には、LED素子ないしLEDアレイを各々制御する点が上記のとおり記載されており、特に甲第1号証には、複数のLEDが配列されてLEDアレイを形成している点およびLED素子がLEDチップとレンズ等の組み合わせで構成されていてもよい点が記載されており、してみると、本件訂正第2発明ないし訂正第6発明も、上記訂正第1発明に係るものと同一の理由により、それぞれ、甲第1号証ないしは甲第2号証記載の各発明から当業者が容易に発明し得たものである。 したがって、本件訂正第1発明ないし第6発明は、それぞれ、上記甲第1号証ないし甲第2号証に記載の各発明から、当業者が容易に発明し得たものであるから、特許第29条第2項の規定により、拒絶すべきものである。 したがって、本件の上記訂正後の各発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 (3)むすび 以上のとおりであり、上記訂正は、特許法第120条の4第2項および同条第3項で準用する訂正に係る規定について、特許法の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定により、なお従前の例によるとされる、改正前の特許法(平成5年法律第26号)第126条第3項の規定に適合しないから認められない。 III.特許異議の申立についての判断 1.本件特許に係る発明 上記II.のとおりであるから、本件特許に係る発明は、訂正前の登録された本件明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし7の各項に記載されたとおりの以下のものと認める。(以下、請求項1記載の発明を「本件第1発明」、請求項2ないし7の各項に記載の発明を、その項番に従い、「本件第2発明」ないし「本件第7発明」とそれぞれいう。) 「【請求項1】カメラで観察する観察物を照明するLED照明装置であって、複数の少なくとも1個のLED素子からなるLED照明部材と、前記観察物を異なる方向から照射できるように複数の前記LED照明部材が取り付けられる枠体とを備えることを特徴とするLED照明装置。 【請求項2】前記枠体は前記観察物の方へ向かって開放された周壁を有し、前記LED照明部材は前記周壁に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のLED照明装置。 【請求項3】前記LED照明部材は複数のLED素子が基板に配列されて形成されていることを特徴とする請求項1に記載のLED照明装置。 【請求項4】複数の前記LED素子は、基板上に所定間隔をおいて配列された複数の発光源であるLEDチップと、これらのLEDチップの上部に密着して形成されたレンズ部材とを備えることを特徴とする請求項3に記載のLED照明装置。 【請求項5】前記LED照明部材を構成する各LED素子は個別に明るさを制御可能であることを特徴とする請求項1に記載のLED照明装置。 【請求項6】複数の前記LED照明部材は個別に明るさを制御可能であることを特徴とする請求項1に記載のLED照明装置。 【請求項7】所望の照明強度分布を形成するために、前記LED照明部材を構成する各LED素子を個別に明るさを制御または複数の前記LED照明部材を個別に明るさを制御するLED照明制御装置を備えることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のLED照明装置。」 2.申立の理由 申立人は、証拠として甲第1号証(特開平4-241476号公報)、甲第2号証(特開平3-218407号公報)、甲第3号証(特公平5-5281号公報)および甲第4号証(実願平3-31752号の願書に添付された明細書ないし図面に記載された事項が記載されたマイクロフィルム、実開平4-111767号)を提示し、本件特許に係る明細書の特許請求の範囲の各請求項に記載の発明が、特許法第29条第1項第3号または同法同条第2項の規定により、特許を受けることができない旨主張し、特許を取り消すべきものである旨主張している。 3.各甲号証記載の発明 当審が発した取消理由通知で引用された甲第1号証および甲第2号証には、それぞれ、上記II.4.(1)のとおりの事項が記載されており、各甲号証には、以下の発明が記載されている。 (1)甲第1号証記載の発明 「カメラで観察する観察物を照明するLED照明装置であって、複数の少なくとも1個のLED素子からなるLED照明部材と、前記観察物を異なる方向から照射できるように複数の前記LED照明部材が取り付けられる枠体を備え、前記枠体が観察物の方向に開放された球面状の周壁を有するLED照明装置。」 (2)甲第2号証記載の発明 「カメラで観察する観察物を照明するLED照明装置であって、複数の少なくとも1個のLED素子からなるLED照明部材と、前記観察物を異なる方向から照射できるように複数の前記LED照明部材が取り付けられる枠体を備え、前記枠体が観察物の方向に開放された球面状の周壁を有するLED照明装置。」 4.対比・判断 そこで、本件第1発明と甲第1号証ないし甲第2号証記載の各発明とを対比すると、実質的な差異はなく、一致している。 したがって、本件第1発明は、上記甲第1号証ないし甲第2号証記載の各発明と同一である。 また、本件第2発明ないし第7発明の各発明について検討すると、甲第1号証および甲第2号証には、上記II.4.(1)のとおり、LED素子ないしLEDアレイを各々制御する点が記載されており、特に甲第1号証には、複数のLEDが配列されてLEDアレイを形成している点およびLED素子がLEDチップとレンズ等の組み合わせで構成されていてもよい点が記載されている。 そこで、本件第2発明ないし本件第7発明の各発明とそれぞれ対比検討すると、本件第2発明に係る「枠体は観察物の方へ向かって開放された周壁を有し、LED照明部材は周壁に取り付けられる」点、本件第3発明に係る「LED照明部材は複数のLED素子を基板に配列されて形成されている」点、本件第4発明に係る「LED素子は、基板上に配列された発光源であるLEDチップと、LEDチップの上部に密着して形成されたレンズ部材とを備える」点および本件第5発明、第6発明ないし第7発明に係る「各LED素子および各LED照明部材をそれぞれ個別に制御可能とするためのLED照明制御装置を備える」点はそれぞれ甲第1号証ないし甲第2号証に記載されている。 してみれば、本件第2発明ないし第7発明は、甲第1号証ないし甲第2号証記載の各発明において、LED素子ないしLEDアレイを各々個別に制御する点、複数のLEDが配列されてLEDアレイを形成している点ないしはLED素子がLEDチップとレンズ等の組み合わせで構成する点を構成に欠くことができない事項として単に規定したにとどまり、格別な技術的創意があるものではないから、甲第1号証ないしは甲第2号証記載の各発明から当業者が容易に発明し得るものである。 5.むすび 以上のとおりであるから、本件特許に係る明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載の各発明は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、または同法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、特許法第113条第2号に該当するから、特許法第114条第2項の規定により特許を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2000-01-27 |
出願番号 | 特願平6-6607 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZB
(G03B)
P 1 651・ 113- ZB (G03B) |
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 佐藤 昭喜 |
特許庁審判長 |
森 正幸 |
特許庁審判官 |
綿貫 章 橋本 栄和 |
登録日 | 1998-09-04 |
登録番号 | 特許第2823795号(P2823795) |
権利者 | 株式会社バンガードシステムズ |
発明の名称 | LED照明装置 |
代理人 | 飯塚 信市 |
代理人 | 永井 浩之 |
代理人 | 黒瀬 雅志 |
代理人 | 岡田 淳平 |
代理人 | 佐藤 一雄 |