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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G06K
審判 全部申し立て 2項進歩性  G06K
管理番号 1016628
異議申立番号 異議1999-71442  
総通号数 12 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1992-02-10 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-04-19 
確定日 2000-01-12 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2812537号「ICカードシステム」の特許に対する特許異議の申立てについて、 次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2812537号の特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第2812537号の請求項1に係る発明は、平成2年(1990)6月6日に出願され、平成10年(1998)8月7日にその設定登録がなされ、その後、諸田昭夫より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年9月27日に訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否についての判断
ア.訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、以下のa,bのとおりである。
a特許請求の範囲に記載される「リ-ダライタとICカ-ドとの間にデ-タ用クロツクの伝送路を設けてクロツク同期方式によるデ-タ通信を可能とし、該デ-タ用クロツクを該リ-ダライタ側から該ICカードヘの一方向伝送とすることを特徴とするICカードシステム。」を、
「リ-ダライタとマイクロコンピュ-タを内蔵しかつ該リ-ダライタから該マイクロコンピュ-タの駆動用クロツクが供給されるICカ-ドとの間にデ-タ用クロツクの伝送路を設けてクロツク同期方式によるデータ通信を可能とし、該デ-タ用クロツクを該リ-ダライタ側から該ICカ-ドヘの一方向伝送とすることを特徴とするICカ-ドシステム。」
に訂正する。
b図面第3図のSCLKの線に設けた2つの矢印が双方向になっているのを、その矢印を、端子P22からビットレ-ト発生器28へ向かう一方向のみに訂正する。
イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記aの訂正事項に関連する記載として、願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。)の発明の詳細な説明には、
「ICカ-ド本体内には、マイコン9、・・・などが埋め込まれており、8個の外部端子1〜8が所定の形状、配列をなして外部に露出している。・・・外部端子3はマイコン9の駆動用クロック端子であって、ICカ-ド本体内のクロック線を介してマイコン9の駆動用クロック入力端子に接続されている。」(本件特許明細書第7頁第2行〜同頁第18行)、(本件特許公報第2頁の第4欄第28行〜同欄第42行)、また
「第2図に示したICカードがこのリ-ダライタに装着されたときには、外部端子1〜8が夫々リ-ダライタの対応する外部端子に接触してICカードとリ-ダライタとが電気的に接続される。そして、リ-ダライタからICカ-ドに、・・・、外部端子3を介してマイコン9のCPU駆動用クロックCCLKが・・・供給される。」(本件特許明細書第9頁第9行〜同頁第17行)、(本件特許公報第3頁の第5欄第17行〜同欄第24行)
と記載され、リ-ダライタからICカ-ドに、ICカ-ドに内蔵のマイクロコンピュ-タの駆動用クロツクが供給されることが記載されている。
そうすると、上記aの訂正は、特許明細書に記載された事項の範囲内において、ICカ-ドを限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、新規事項の追加にも該当しない。そして、上記aの訂正は実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものでもない。
また、上記bの訂正事項に関連する記載として、
「リ-ダライタ17から外部端子4を介してデ-タ用クロックSCLKが送られてくると」(本件特許明細書第18頁第1行〜同頁第2行)、(本件特許公報第4頁の第8欄第20行〜同欄第21行)
と記載されており、図面第3図のSCLKの線に設けた2つの矢印が双方向になっているのを、その矢印を、端子P22からビットレ-ト発生器28へ向かう一方向のみに訂正するのは、単なる誤記の訂正である。
ウ.独立特許要件の判断
訂正明細書の請求項1に係る発明(以下、「本件発明という。」)の要旨は、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの、
「リーダライタとマイクロコンピュ-タを内蔵しかつ該リ-ダライタから該マイクロコンピュ-タの駆動用クロツクが供給されるICカ-ドとの間にデ-タ用クロツクの伝送路を設けてクロツク同期方式によるデ-タ通信を可能とし、該デ-タ用クロツクを該リ-ダライタ側から該ICカ-ドヘの一方向伝送とすることを特徴とするICカ-ドシステム。」
にあるものと認める。
これに対して、当審が通知した取消理由で引用した刊行物A(実願昭62-39072号(実開昭63-147762号)のマイクロフィルム)には、
「リ-ダ・ライタとカ-ドとの間にデ-タ用クロックの伝送路を設けてデ-タ通信を可能とし、該デ-タ用クロックを該リ-ダ・ライタ側から該カ-ドヘの一方向伝送とするカ-ドシステム」
が記載されている。
また、同刊行物B(Xicor社の「DATA BOOK」(X24C01)(1989年(平成1年)発行)第i頁、第1-1頁、第1-3頁〜第1-11頁)には、
「リ-ダ・ライタとカ-ドとをクロック同期方式によるデ-タ通信で行うこと」
が記載されている。
(対比・判断)
本件発明と上記刊行物A又はBに記載の発明とを対比すると、上記刊行物A又はBに記載の発明は、本件発明の必須事項である、
「リ-ダライタとマイクロコンピュ-タを内蔵しかつ該リ-ダライタから該マイクロコンピュ-タの駆動用クロツクが供給されるICカ-ド」を用い、その駆動用クロツクとは別に、
「(リーダライタとICカードとの間に)データ用クロツクの伝送路を設ける」の事項が、上記刊行物Aに同一に記載されているとも、上記刊行物A又はBに記載のものから容易に発明をすることができたものともいえない。
したがって、本件発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
エ.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2-4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.特許異議の申立てについての判断
ア.申立ての理由の概要
申立人諸田昭夫は、請求項1に係る発明は、甲第1号証(実願昭62-39072号(実開昭63-147762号)のマイクロフィルム)の発明と同じか、または甲第1号証、甲第2号証(Xicor社の「DATA BOOK」(X24C01)(1989年(平成1年)発行)第i頁、第1-1頁、第1-3頁〜第1-11頁)をもとに容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第1項第3号または同法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、特許を取り消すべきと主張している。
イ.判断
本件発明は、上記2.ウで示したように、取消理由通知で示した刊行物Aに記載された発明と同一とも、刊行物A、Bに記載された発明から容易に発明をすることができたものともすることはできない。
また、他に本件請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ICカードシステム
(57)【特許請求の範囲】
リーダライタとマイクロコンピュータを内蔵しかつ該リーダライタから該マイクロコンピュータの駆動用クロツクが供給されるICカードとの間にデータ用クロックの伝送路を設けてクロツク同期方式によるデータ通信を可能とし、該データ用クロツクを該リーダライタ側から該ICカードヘの一方向伝送とすることを特徴とするICカードシステム。
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、ICカードとリーダライタとからなるICカードシステムに関する。
〔従来の技術〕
ICカードには8個の外部端子が設けられ、従来では、この内の5個の外部端子が使用されている。すなわち、電源用、リセット信号用、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)駆動のためのクロツク用、接地用、データ通信用として夫々1個ずつ使用される。かかるICカードをリーダライタに装着すると、各外部端子がリーダライタの外部端子と接続される。かかる状態においては、ICカード内の各IC回路が接地用外部端子を介してリーダライタで接地され、また、リーダライタから電源用外部端子を介してICカード内の各IC回路に電源電圧が印加されるとともに、リーダライタからリセツト信号やマイコンのCPU駆動用クロツクが、夫々リセット用外部端子、CPU駆動クロツク用外部端子を介してICカード内のマイコンに供給される。
リーダライタとICカードとの間のデータ通信には、1個のデータ用外部端子による1個の双方向伝送路が用いられ、その通信方式としては、調歩同期方式によるものが採用されている。これは、1ビツトのスタートビツトを先頭とし、これに7または8ビツトのデータ、1ないし2ビツトのパリテイビツトが続き、1ないし2ビツト程度のストツプビツトで終る転送データ形式による通信方式である。受信側では、入力端子でのレベルを監視していて、レベル変化によつてスタートビツトが検出されると、予め決められているビツト周期に一致した周期のクロツクが生成され、このクロツクを用いて受信されるデータやパリテイ・ストツトビツトの各ビツトを判定する。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、かかる調歩同期方式によつてデータ通信を行なうと、伝送レートを高めることができない。すなわち、このデータ通信によると、受信側において、検出されるスタートビツトのエツジに一定周期のクロツクを同期させ、このクロツクをもとに受信したデータの各ビツトを判定するものであるから、このクロツクの周期とデータのビツト周期とが正確に一致していれば問題ないが、これら間にずれがあると、クロツクとデータのビツトとの間に位相差が生じて累積し、ビツトの判定にエラーが生じてしまう。伝送レートが高くなると、クロツクとデータのビツト周期とのわずかなずれでもこのようなビツト判定にエラーが生じてしまう。このために、調歩同期方式によるデータ通信を用いている場合には、伝送レートが自ずから制限されることになる。
従来、リーダライタ、ICカード間の伝送レートは一般的に9600bpsがとられている。この場合、1ビツト当りの伝送時間は約100μsecであるから、上記のように調歩同期方式でデータ通信する場合、一例としてスタートビツトからストツプビツトまでの11ビツトのデータを伝送するに要する時間は1msecを越えてしまう。これに対し、ICカード内のマイコンによるこの送られてきたデータの演算処理時間は1msecに比べて非常に短かい。このように、従来のICカードシステムでは、ICカード内のCPUがデータを高速に処理できるにもかかわらず、データの伝送レートを低くせざるを得ないため、システム全体としてのデータ処理速度が低いことになる。
最近では、ICカードシステムの種々のシステムヘの応用が注目されている。データ伝送レートが低いシステムに対しては、従来のICカードシステムが充分に対応できるが、データ伝送レートが高い通信システムには対応できない。
このような高速でのデータ通信に対応できる送受信方式として、クロツク同期方式が考えられるが、このクロツク同期方式では、一般に、送信側からデータ用クロツクが伝送される。しかしながら、放送局から放送される暗号化情報データを含む電波を暗号化解読キーを格納したICカードを用いて、ICカードの所有者のみが受信可能とする受信システムでは、放送局から一方的に高速送信される情報データに対応するために、放送電波を受信する受信機に接続されたリーダライタが主動的に作動し、データの送受信を制御することが望ましい。
本発明の目的は、かかる問題点を解消し、放送システムのような通信システムにも対応可能としたICカードシステムに関する。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために、本発明は、リーダライタ,ICカード間にデータ用クロツクの伝送路を設けてクロツク同期方式によるデータ通信を可能とし、かつ該データクロツクはリーダライタからICカードヘの一方向伝送とする。
〔作用〕
クロツク同期方式によるデータ通信が可能となって、リーダライタ,ICカード間のデータ伝送レートが大幅に高まり、また、データ用クロツクをリーダライタ側からICカード側へのみ送るため、リーダライタからICカードヘのデータ伝送やICカードからリーダライタヘのデータ伝送はリーダライタ側で規制されることになり、本発明を放送通信システムに適用した場合には、放送通信システム側から一方的にICカードを制御できて、放送通信システムに適合することになる。
〔実施例〕
まず、本発明によるICカードシステムを構成するICカードについて説明する。
第2図はかかるICカードの一具体例を示す構成図であって、1〜8は外部端子、9はマイコン、10〜13は夫々マイコン9内に格納されたCPU,マスクROM,RAM,インタ-フェイス、16は外部メモリ、14はデータバス、15はアドレスバスである。
同図において、ICカード本体内には、マイコン9、E2PROM(電気的に消去、書替え可能なリードオンリメモリ)などの外部メモリ16、マイコン9とメモリ16との間のデータバス14やアドレスバス15、その他の配線などが埋め込まれており、8個の外部端子1〜8か所定の形状、配列をなして外部に露出している。
外部端子1は電源端子であり、ICカード本体内の電源線を介してマイコン9やメモリ16などの電源印加端子に接続されている。外部端子2はリセツト端子であり、ICカード本体内のリセツト線を介してマイコン9のリセツトパルス入力端子や、図示しないが、メモリ16などのリセツトパルス入力端子などに接続されている。外部端子3はマイコン9の駆動用クロック端子であつて、ICカード本体内のクロツク線を介してマイコン9の駆動用クロツク入力端子に接続されている。外部端子5は接地端子であって、ICカード本体内の接地線に接続されており、マイコン9、メモリ16などの接地端子がこの接地線に接続されている。以上は従来のICカードと同様である。また、従来のICカードでは、外部端子7がデータ伝送用端子であって、ICカード本体内のデータ伝送線を介してマイコン9のインターフェイス13に接続されている。したがって、従来のICカードでは、外部端子4,6,8が予備として使用されていなかった。
これに対し、この実施例では、図示するように、従来予備となつていた外部端子4または6をデータ用クロツクのための端子とし、送受信で異なるデータ用クロツクを使用する場合には、外部端子4,6を夫々独立に使用してもよい。この実施例では、外部端子4と6を接続してマイコン9のインターフェイス13におけるデータ用クロツク入力端子に接続する。また、外部端子7をデータ送信用端子として、ICカード本体内のデータ送信線を介し、マイコン9内のインターフエイス13の送信端子に接続し、さらに、従来では予備であった外部端子8をデータ受信用端子として、ICカード本体内のデータ受信線を介し、このインターフエイス13の受信端子に接続する。
マイコン9としては、たとえば(株)日立製作所製のHD6301Y0のように、調歩同期モードとクロック同期モードとを選択的にとり得るものが用いられる。
リーダライタにおいても、調歩同期に加えてクロツク同期によるデータ通信の機能も付加される。第2図に示したICカードがこのリーダライタに装着されたときには、外部端子1〜8が夫々リーダライタの対応する外部端子に接触してICカードとリーダライタとが電気的に接続される。そして、リーダライタからICカードに、外部端子1を介して電源電圧Vccが、外部端子2を介してリセツトパルスRSTが、外部端子3を介してマイコン9のCPU駆動用クロツクCCLKが夫々供給される。また、ICカードの外部端子4はリーダライタのデータ用クロックSCLKの入力端子に接続され、以下、外部端子7がリーダライタのデータ受信端子に、外部端子8がリーダライタのデータ送信端子に夫々接続される。
以下、かかるICカードを用いた本発明によるICカードシステムをテレビジヨン放送システムに適用したものとして、第1図により説明する。但し、同図において、17はリーダライタ、18は第2図に示したICカード、19はデータ用クロツクSCLKの伝送路、20,21はデータの伝送路、22は放送システムの送信系、23は放送システムの受信系であり、第2図に対応する部分には同一符号をつけている。なお、第1図のICカードシステムの部分には、給電線やリセットパルスRSTの伝送路、CPU駆動用クロツクCCLKの伝送路の記載は省略している。
第1図において、テレビジヨン放送システムにおいては、たとえば衛星放送などの場合、番組情報とともに適当なサービス情報を付加して送信できるようになつている。受信系23としてはかかるサービス情報が受信可能なものであつて、送信系22が番組情報に付加してサービス情報を送信すると、受信系23はこの送信情報を受け、このサービス情報を抽出してその使用のため処理が行なわれる。
かかるテレビジヨン放送システムによる情報サービスシステムにおいて、第1図に示すように、本発明によるICカードシステムを結合することにより、サービス情報の保存や処理が可能となる。
すなわち、受信系23で受信、抽出されたサービス情報はICカードシステムのリーダライタ17に送られ、そこからデータRXとしてICカード18に送られて処理、あるいはメモリヘの書き込みが行なわれる。また、ICカード18で処理されたデータ、あるいはメモリから読み出されたデータは、データTXとして、リーダライタ13を介して受信系23に送られる。
また、加入した特定のユーザにサービス情報を提供する加入システムとしての場合には、サービス情報はスクランブルされて送信される。これをユーザが使用可能な元のサービス情報にするためには、キー情報が必要となる。このようなスクランブルされたサービス情報を提供するに際しては、その送信に先立つて、前記キー情報が暗号化して送信され、受信系ではこれを復号してキー情報を再生し、次に受信されるスクランブルされたサービス情報をこのキー情報を用いて処理し、元の使用可能なサービスとする。また、サービス情報の送信に先立って、基本となるキー情報(これを公開キー情報という)が送信され、受信系では、この公開キー情報をもとにして必要なキー情報を作成し、次に受信されるスクランブルされたサービス情報をこのキー情報を用いて処理し、元の使用可能なサービス情報とすることもできる。このような加入システムにおいては、第1図におけるICカードシステムは、暗号化して送信されたキー情報の暗号を復号してキー情報を得る装置あるいは公開キー情報から必要なキー情報を形成する装置として用いられる。この場合、ICカード14においては、暗号化して送信されたキー情報の暗号を復号してキー情報を得るためのアプリケーシヨンプログラムあるいは公開キー情報から必要なキー情報を作成するためのアプリケーシヨンプログラムが設けられているが、これは外部メモリに格納されている。
なお、スクランブルを処理するだけでなく、料金計算などの加入システムにおける種々の管理のためのアプリケーシヨンプログラムを設けることもできる。
以上のように、受信系19からのサービス情報や暗号化されたキー情報や公開キー情報、ICカード18内で作成されたキー情報など各種データのリーダライタ17、ICカード18間の通信はクロツク同期によつて行なわれる。
クロツク同期によるリーダライタ17,ICカード18間のデータ通信では、リーダライタ17からICカード18にデータが送られる場合、外部端子8を介して伝送路21が用いられる。また、このとき、このデータRXとともに、外部端子4で結合される伝送路19を介し、データRXの各ビツトに位相同期したデータ用クロツクSCLKがリーダライタ17からICカード18に送られる。また、ICカード18からリーダライタ17にデータが送られる場合にも、伝送路19を介してリーダライタ17からICカード18にデータ用クロックSCLKが送られる。ICカード18はこのデータ用クロツクSCLKに位相同期したビツトでデータTXを出力し、伝送路20を介してリーダライタ17に送る。
このようにして、クロツク同期による場合には、リーダライタ17からICカード18にデータ用クロツクSCLKが送られ、リーダライタ17からICカード18へのデータ通信とその逆のデータ通信とが行なわれる。つまり、リーダライタ17からICカード18にデータ用クロツクSCLKが送られる期間のみデータ通信が行なわれ、このデータ通信のタイミングはリーダライタ17側に支配される。そこで、受信系23側からリーダライタ17を制御することにより、ICカードシステムを放送システムの要求に応じて高速動作させることができ、ICカードシステムの放送システムヘの適用が可能となる。
以下では、マイコン9として先に挙げた(株)日立製作所製のHD6301Y0を例にとり、そのシリアルコミユニケーシヨンインターフエイス(SCI)13の要部を第3図によって簡単に説明する。但し、同図において、24は受信シフトレジスタ、25は受信データレジスタ、26は送信データレジスタ、27は送信シフトレジスタ、28はビツトレート発生器、29,30は送受信コントロールステータスレジスタ、31はレート/モードコントロールレジスタであり、第2図に対応する部分には同一符号をつけている。
同図において、このSCIの端子P22は外部端子4を介して入出力されるシリアルのデータ用クロツクSCLKとなる。また、端子P23は外部端子8を介して入力されるシリアルのデータRXとなり、端子P24は外部端子7を介して出力されるシリアルのデータTXとなる。
送受信コントロールステータスレジスタ29は調歩同期モードでのデータフオーマツト(ストツプビツトの長さ、パリテイなど)を設定するためのものであり、送受信コントロールステータスレジスタ30は送,受信モードなどを設定するためのものである。また、レート/モードコントロールレジスタ31は、調歩同期、クロツク同期の動作モードや伝送レートなどを設定するためのものである。ビツトレート発生器28はこのSCI内の内部クロツクやクロツク同期モードでのデータ用クロツクSCLKを発生する。
次に、このSCIの動作を説明する。
レート/モードコントロールレジスタ31でクロツク同期モードが設定されるときには、送受信コントロールステータスレジスタ29は使用されず、送受信コントロールステータスレジスタ30には、上記と同様、送,受信モードのいずれか一方が設定される。また、レート/モードコントロールレジスタ31で外部クロツクの入力が指定される。
クロツク同期によるデータ受信の場合には、送受信コントロールステータスレジスタ30で受信モードが指定される。リーダライタ17から外部端子8を介して8ビツトのシリアル受信データRXが送られてくると、この受信データRXの各ビツトに同期したデータ用クロツクSCLKも、外部端子4を介して、リーダライタ17から送られてくる。このとき、レート/モードコントロールレジスタ31で外部クロツクの入力が指定されているため、ビツトレート発生器28は送られてきたデータ用クロツクSCLKと同周期で位相が同期した内部クロツクを発生する。この内部クロツクにより、8ビツトのシリアル受信データRXが受信シフトレジスタ24に格納され、次いで受信データレジスタ25にパラレルに転送された後、8ビツトパラレルデータとして読み出されてCPUに供給される。
クロツク同期によるデータ送信の場合には、送受信コントロールステータスレジスタ30で送信モードが指定され、CPUからの8ビツトパラレルデータがデータバス14、送信データレジスタ26を介して送信シフトレジスタ27に転送される。このとき、レート/モードコントロールレジスタ31で外部クロツクの入力が指定されていることから、リーダライタ17から外部端子4を介してデータ用クロツクSCLKが送られてくると、ビツトレート発生器28がこと同周期で位相が同期した内部クロツクを発生する。送信シフトレジスタ27では、この内部クロツクに同期して8ビツトのデータが1ビットずつシリアルに読み出され、送信データTXとして外部端子7を介しリーダライタ17に送られる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば、クロツク同期によるリーダライタ,ICカード間のデータ通信に際しては、データの伝送方向に関係なくデータ用クロツクをリーダライタで発生してICカードに送るので、リーダライタ側でICカードヘのデータの送りタイミングやICカードからのデータ取り込みタイミングを規制することができ、従って、データの通信方向が一方向でかつ伝送レートが高い放送システムなどへの適用も可能となり、適用範囲が大幅に拡張する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明によるICカードシステムの一実施例を示すブロツク図、第2図は第1図におけるICカードの一具体例を示す構成図、第3図は第2図におけるマイクロコンピユータの一例のインターフェイスを示すブロツク図である。
4,7,8………外部端子、17………リーダライタ、18………ICカード、19………データ用クロツクの伝送路、20,21………データの伝送路。
【図面】

 
訂正の要旨 リーダライタとICカードとの間にデータ用クロツクの伝送路を設けてクロツク同期方式によるデータ通信を可能とし、該データ用クロツクを該リーダライタ側から該ICカードヘの一方向伝送とすることを特徴とするICカードシステム。
リーダライタとマイクロコンピュータを内蔵しかつ該リーダライタから該マイクロコンピュータの駆動用クロックが供給されるICカードとの間にデータ用クロツクの伝送路を設けてクロツク同期方式によるデータ通信を可能とし、
該データ用クロツクを該リーダライタ側から該ICカードヘの一方向伝送とすることを特徴とする ICカードシステム。
異議決定日 1999-12-10 
出願番号 特願平2-146079
審決分類 P 1 651・ 113- YA (G06K)
P 1 651・ 121- YA (G06K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 梅沢 俊  
特許庁審判長 内藤 照雄
特許庁審判官 大橋 隆夫
磯崎 洋子
登録日 1998-08-07 
登録番号 特許第2812537号(P2812537)
権利者 日本放送協会 日立マクセル株式会社
発明の名称 ICカ-ドシステム  
代理人 武 顕次郎  
代理人 武 顕次郎  

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