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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G03G
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  G03G
管理番号 1016637
異議申立番号 異議1998-75179  
総通号数 12 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1990-08-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-10-20 
確定日 1999-12-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2743435号「転写用紙」の請求項1ないし2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2743435号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 I.出願の経緯
本件特許第2743435号は、平成1年2月20日に出願され、平成10年2月6日にその特許の設定登録がなされたところ、三菱製紙株式会社より特許異議の申立がなされたものであり、その後、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年5月17日に訂正請求がなされ、該訂正請求に対して手続補正指令がなされ、その指定期間内である平成11年8月6日に訂正請求についての手続補正がなされたものである。
II.訂正の適否についての判断
1.訂正請求に対する補正の適否
(1).補正の内容
平成11年8月6日付手続補正書は、平成11年5月17日付訂正請求書及び添付された全文訂正明細書又は図面の記載において、
▲1▼訂正請求書の「6.請求理由」の「(2)訂正の内容」第3行の、[請求項1]を、(1)と補正する。
▲2▼全文訂正明細書第14頁左上欄欄外の「【表4】」を削除する、
▲3▼第9図及び第10図中の「電播速度比」を「伝播速度比」と訂正する、
というものである。
(2).補正に対する当審の判断
訂正事項▲1▼乃至▲3▼は、手続補正指令書において、訂正請求書に記載された「訂正の内容」と添付の「訂正明細書又は図面」の記載が不一致であると指摘した点をそれぞれ訂正するものである。
そして、上記の補正は、誤記の訂正を目的とするものであり、訂正請求に添付した訂正明細書に記載した事項の範囲内の補正であって、訂正請求書の要旨を変更するものではないので、特許法第120条の4第3項で準用する同法第131条第2項の規定に適合するものであるから、当該補正を認める。
2.訂正の内容
(1).訂正事項a
特許請求の範囲の、請求項1を削除し、請求項1を引用する請求項2を、
「【請求項1】ワイヤー上に原料を噴出して製造された転写用紙であって、超音波パルスの縦波伝播速度比が、1.00〜1.25であり、かつ、マシン方向繊維配向角及びクロス方向繊維配向角が、共に±10度以内にあることを特徴とする転写用紙。」
と訂正する。
(2).訂正事項b
明細書第5頁第10〜14行(特許公報第2頁第4欄第21〜24行)の、「本発明者等は・・・・・・至った。」を、
「本発明者等は、熱定着後のカールの改善を、紙の繊維配向性の面から進めた結果、転写用紙の超音波パルスの縦波伝播速度比が、1.00〜1.25であり、かつ、マシン方向繊維配向角及びクロス方向繊維配向角が、共に±10度以内にあれば、熱定着後のカール値及びネジレカールが大幅に改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。」
と訂正する。
3.訂正の目的の適否及び拡張・変更の存否
(1).訂正事項aについて
訂正事項aは、訂正前の請求項1を削除するものであって、請求項1の削除に伴い、引用形式で記載されていた訂正前の請求項2を独立形式で記載すると共に、請求項1とするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、該訂正は、願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
(2).訂正事項bについて
訂正事項bは、特許請求の範囲の訂正に伴って生じた記載上の不整合部分を訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
また、これらの訂正は、願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
4.独立特許要件の判断
(1).本件発明
訂正請求により訂正された、本件請求項1に係る発明(訂正前の請求項2に係る発明に該当する。以下、「本件発明」という。)は、上記I.2.(1).に記載したとおりのものである。
(2).当審で通知した取消理由の趣旨
当審で通知した取消理由の趣旨は、
理由1.本件明細書の記載が不備であるから、訂正前の本件請求項1及び2に係る特許は、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
理由2.訂正前の請求項1及び2に係る発明は、
刊行物1(特開昭55-103557号公報)、
刊行物2(特開昭59-101653号公報)、
刊行物3(「紙パルプ技術協会誌」第40巻第7号P.40〜41昭和61年(1986年)7月発行)、及び
刊行物4(特開昭59-31186号公報)
に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、当該特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである、というものである。
(3).理由1について
〈記載不備の理由〉
明細書の記載が不備であるとする具体的な理由は、以下の2点である。
▲1▼実施例1、2(第1、2表、第1、6図)において、超音波パルスの縦波伝播速度比が増加するに従い、熱定着後のカール曲率は増加しており、また、「超音波パルスの縦波伝播速度比が1.20以下になると、熱定着後カール曲率は、ほとんど零になる」旨記載されている。他方、実施例3、4(第3、4表、第9、10図)においては、超音波パルスの縦波伝播速度比が減少する(1.70から1.20となる)に従い、熱定着後ネジレカールは増加している。
ところで、熱定着後カール曲率(曲率半径の逆数)の値が零(小)であれば、当然、熱定着後ネジレカールも零(少なくとも、縦波伝播速度比が1.30以上、すなわち、カール曲率が大であるものに比べその値は小)となるものと考えられ、これら実施例1、2と実施例3、4の結果は互に矛盾する点。
▲2▼実施例3、4(第3、4表、第9、10図)からは、超音波パルスの縦波伝播速度比が、1.20、1.25のものは、同比が、1.30〜1.70のものに比べて熱定着後ネジレカールは大であるものと認められるし、また、同比が、1.20から、100へと小さくなるに従い、定着後ネジレカールは大となるものと予想され、超音波パルスの縦波伝播速度比が、1.00〜1.25の範囲(熱定着後ネジレカールが大となる範囲)を選択する理由が不明な点。
〈当審の判断〉
本件の実施例は、熱ロールを用いて熱定着を行うものである(特許公報第6欄第35〜36行参照)ところ、平成11年8月6日付上申書により、熱ロールを用いて熱定着を行う場合には、上記▲1▼の矛盾は生じないことが明らかになった。
また、平成11年8月6日付上申書により、熱ロールを用いて熱定着を行うものにおいて、超音波パルスの縦波伝播速度比が1.20から、1.00へと小さくなった場合にも、定着後ネジレカールは大とはならず、超音波パルスの縦波伝播速度比が、1.00〜1.25の範囲を選択することにより、熱定着後カール及び熱定着後ネジレカールの両方を小さくすることができることが明らかとなり、上記▲2▼の不明な点も解消した。
(4).理由2について
〈刊行物記載の発明〉
刊行物1には、以下の事項が記載されている。
▲1▼「夫々55Kg/連の原紙を基準にして横方向引張強度/縦方向引張強度比が0.7以上、剛度が横方向で38cm3/100以上、透気度が10秒以下、及び体積固有抵抗が1010〜1011Ω・cmの原紙よりなる電子写真用転写紙。」(特許請求の範囲)
▲2▼「本発明の第一の目的は温湿度変化に対してカールや波打ちの発生が少なく、従って給紙不良や搬送不良を起こさない電子写真用転写紙を提供することである。
本発明の第二の目的は複写機の種類に無関係に縦、横いずれの抄目方向で使用してもカールや波打ちを発生しない電子写真用転写紙を提供することである。」(第2頁左上欄第3〜10行)
▲3▼「本発明の転写紙において、横方向引張強度/縦方向引張強度比は異方性のパラメーターを示すもので、この値が1に近い程、異方性が小さく、また0に近い程、異方性が大きいことを表わしている。本発明ではこの値を0.7以上と大きくすることにより、伸縮性、剛度及びカール紙質の異方性を小さくすることができる‥‥‥なお一般の転写用原紙の場合この値は55Kg/連のもので0.5〜0.6程度である。」(第2頁右上欄第8〜20行)
▲4▼「実施例‥‥‥…ワイヤースピード/ジェットスピード=1.046で抄造」(第3頁左上欄第9〜13行)
刊行物2には、以下の事項が記載されている。
▲5▼「下記(イ)ないし(ハ)の特性を備えたことを特徴とする電子写真用転写紙。
(イ)紙の横目方向の引張り強さ(Y)と縦目方向の引張り強さ(T)の比(Y/T)が0.4以上。
(ロ)紙の縦目に対し左45°方向の引張り強さ(L)と右45°方向の引張り強さ(R)の差(L-RまたはR-L)が1.0kg以下あるいはL/RまたはR/Lが1.25以下。
(ハ)紙の横目方向の5cm巾内の坪量差が1.5g/m2以下。」(特許請求の範囲)
▲6▼「目的
熱定着部をもつ電子写真装置(乾式PPC複写機)に使用したときに、コピー紙のカールが小さく、ジャム、コピーの不揃い、ソータージャム、ソーター収納枚数の減少などの欠点の改良された転写紙を得ることである。」(第2頁左上欄第4〜9行)、
▲7▼「Y/Tが大きいと、例えば0.6以上では、通常抄造工程において、繊維が斜めに配向している確率が大きくなり、斜めカールが発生する危険が大きいが、用紙特性としては(ロ)の条件を満足すればY/Tが大きくとも差支えない。」(第2頁左下欄第1〜6行)
▲8▼「本発明の転写紙の上記特性を得るには、抄紙条件、例えば紙料供給量、スクリーン走行速度、ブリード量、ノーデッケルシャワーの値量・角度・圧力等を、適宜選択して行うことができる。」(第2頁右下欄第9〜13行)
刊行物3には、「ソニック・シートテスターについて」と題して、以下の事項が記載されている。
▲9▼「3.SSTによる配向性測定‥‥‥(1)SSTの測定値は試料の相対強度を表す。‥…4.SSTの機能‥…引張試験等の代用として適している。」(第41頁左欄下から第15行〜右欄第11行)
刊行物4には、以下の事項が記載されている。
▲10▼「高速で印字されるノンインパクトプリンター用紙において、抄紙機の全取り幅のいかなる場所より採取した前記用紙が、音速法により測定したマシン方向(MD)と、繊維の主配向軸とのなす角αを、|α|<5.5°
としたことを特徴とする、折りたたみかたぎを抑制した印字加熱定着方式のノンインパクトプリンター用連続伝票用紙。」(特許請求の範囲)
▲11▼「印字後に起こるかたぎはトナー定着時の紙の加熱収縮変形によるもの」(第2頁左下欄第19〜20行)
▲12▼「紙の繊維配向性を測定する方法には着色繊維計数法、引張り強度法、零スパン強度法、X線回折法、レーザー光回折法などがあるが、本発明においては音速法を採用した。これは超音波の伝播速度が材料の密度と弾性率に依存する性質を利用したもので、紙面上一定の距離に置いた送信変換器と受信変換器の間を音波が伝わる速さを測定する。このときに得られる伝播速度は弾性率の高い繊維の長さ方向で速く、幅方向では遅いために繊維の主配向軸の方向で最大、それと直角の方向で最小となる。MDからの角θと伝播速度νとの関係は、次式によって表わすことができる。
ν=a+b cos(θ-α)
ここにνは音波の伝播速度、θはMDから測った角度で0≦θ≦2π、a,b,αはその紙についての定数で、b/aは配向性の強さ、αはMDと繊維主配向軸のなす角、すなわち配向角を示す。」(第3頁右上欄第10行〜左下欄第6行)
〈当審の判断〉
本件発明は、熱定着後カールを小さくした転写用紙を提供することを目的とし(本件特許公報第4欄第19〜20行参照)、特に、「超音波パルスの縦波速度比が1.00〜1.25の範囲に調整した転写用紙は、繊維の配列に方向性が少く、転写用紙の吸湿、紙厚、坪量等の部分的不均一及び熱定着ロールとプレッシャーロールの軸方向の圧力、速度の不均一などにより、熱定着後の寸法変化の最大値の方向が、クロス方向(CD)から対角線軸方向に移りやすい。そのため、繊維配向角の熱定着後カール軸に与える影響が多く、対角線を軸にしたネジレカールが生じ易くなる。」(同公報第5欄第46行〜第6欄第4行)という副次的に発生する障害を防止するために、「超音波パルスの縦波速度比が1.00〜1.25」とすると共に、「マシン方向繊維配向角及びクロス方向繊維配向角が、共に±10度以内」とするものである。
それに対して、刊行物1には、「ワイヤースピード/ジェットスピード‥‥‥で抄造」(上記▲4▼参照)と記載され、「ワイヤー上に原料を噴出して製造された転写用紙」に関する発明が記載され、「横方向引張強度/縦方向引張強度」(以下、「引張強度比」と略する。)を0.7以上とすること、また、引張強度比が0.7以上の例として、0.756の例が実施例1に記載されている(上記▲3▼参照)。
しかしながら、刊行物1には、超音波パルスの
縦波伝播速度比を1.00〜1.25とすること、及び、マシン方向繊維配向角及びクロス方向繊維配向角が、共に±10度以内とすること、更にそれによる作用効果について、記載も示唆もされていない。
刊行物3には、ソニック・シートテスターの測定値は、試料の相対強度を示し、また、その機能として、引張試験等の代用として適していることが記載されている(上記▲10▼参照)が、転写紙については、全く記載されておらず、超音波パルスの縦波伝播速度比を1.00〜1.25とすること、及び、マシン方向繊維配向角及びクロス方向繊維配向角が、共に±10度以内とすること、更にそれによる作用効果について、記載も示唆もされていない。
刊行物2には、熱定着部をもつ電子写真装置(乾式PPC複写機)に使用したときに、コピー紙のカールが小さく、ジャム、コピーの不揃い、ソータージャム、ソーター収納枚数の減少などの欠点の改良された転写紙を得ることを目的として(上記▲6▼参照)、「紙の横目方向の引張り強さ(Y)と縦目方向の引張り強さ(T)の比(Y/T)が0.4以上、乃至紙の縦目に対し左45°方向の引張り強さ(L)と右45°方向の引張り強さ(R)の差(L-RまたはR-L)が1.0kg以下あるいはL/RまたはR/しが1.25以下、の特性を備えた電子写真用転写紙」(上記▲5▼参照)に関し、(ロ)の条件を満足すればY/Tが0.6以上と大きくとも差支えない旨(上記▲7▼参照)、また実施例2に、紙の横目方向の引張り強さ(Y)が3.1kg、縦目方向の引張り強さ(T)が6.8kgの例が記載されている。
しかしながら、上記の刊行物2には、超音波パルスの縦波伝播速度比を1.00〜1.25とすること、及び、マシン方向繊維配向角及びクロス方向繊維配向角が、共に±10度以内とすること、更にそれによる作用効果について、記載も示唆もされていない。
なお、(ロ)の、紙の縦目に対し左45°方向の引張り強さ(L)と右45°方向の引張り強さ(R)の差(L-RまたはR-L)が1.0kg以下あるいはL/RまたはR/Lが1.25以下、の記載から、マシン方向繊維配向角及びクロス方向繊維配向角が、共に±10度以内とすることに当業者が容易に想到し得るとすることもできない。
また、刊行物4には、加熱定着方式のプリンタに用いる連続伝票用紙に関し、繊維の主配向軸とのなす角αすなわち、マシン方向繊維配向角を、±5.5°以下とすることが記載されている。
しかしながら、刊行物4は、連続伝票用紙に特有の「折りたたみかたぎ」を小にし、ジャムトラブルを防止することを目的とするもので、「折りたたみかたぎ」を生じない本件の転写紙とは異なるものであるし、これら配向角に加えて、超音波パルスの縦波伝播速度比が特定のもの、特にその値1.00〜1.25のものを選択して転写紙とすること、また、その場合の作用効果については、記載も示唆もされていない。
すなわち、刊行物1乃至4のいずれにも「超音波パルスの縦波伝播速度比が、1.00〜1.25」を選択することについては、記載されおらず、刊行物1乃至4を組み合わせたところで、「超音波パルスの縦波伝播速度比が、1.00〜1.25」構成をとることに当業者が容易に想到するとすることはできない。
そして、本件発明は、「超音波パルスの縦波伝播速度比が、1.00〜1.25」を選択し、かつ「マシン方向繊維配向角及びクロス方向繊維配向角が、共に±10度以内」としたことにより、明細書(特に、第1〜4表、第1、6、9、10図、及び平成11年8月6日付上申書の第3、4表、第9、10図参照)に記載の「熱定着後カールが小さいと共に、熱定着後のネジレカールが小さくなる」という、刊行物1〜4の記載から当業者が容易に予期し得たものではない効果を奏するものである。
したがって、本件発明は、上記刊行物1〜4記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
(5).むすび
以上のとおり、本件発明が、特許法第29条第2項の規定に違反するものでも、本件発明に係る特許が、同法第36条第3項及び第4項の規定に違反するものでもなく、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
5.むすび
よって、上記訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する同条第126条第2項ないし第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
III.特許異議の申立についての判断
1.申立ての理由の概要
特許異議申立人三菱製紙株式会社は、証拠として、甲第1号証(特開昭55-103557号公報、刊行物1)、甲第2号証(特開昭59-101653号公報、刊行物2)、甲第3号証(「紙パルプ技術協会誌」第40巻第7号P.40〜41昭和61年7月発行、刊行物3)、甲第4号証(「紙パルプ技術協会誌」第37巻第7号P.11〜23昭和58年7月発行)、甲第5号証(特開昭59-31186号公報、刊行物4)を提示し、
本件発明は、甲第1〜5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、
本件特許を取り消すべき旨主張している。
2.当審の判断
特許異議申立人 三菱製紙株式会社が、本件特許を取り消すべきである、として提示した証拠(甲第1乃至3号証及び5号証)は、上記II.4.において検討した証拠(刊行物1乃至4)と同一のものであり、また、甲第4号証(「紙パルプ技術協会誌」第37巻第7号P.11〜23昭和58年7月発行)の第14頁右欄第10〜14行には、「繊維方向性は引張り強さのMD/CDの値で求め、これとスライスゼット、ワイヤー速度比の関係は図36の通りで、速度比1.01〜1.02位のところが、もっとも繊維配向性が良く、また地合を表13の通り1.01位のところが良いことが判明した」と記載されている、すなわち、繊維方向性は引張り強さのMD/CDの値で求められることが示されているが、図36には、ライスゼット、ワイヤー速度比1.01〜1.02位のところでMD/CDの値は、1.6以上であるし、他に、「超音波パルスの縦波伝播速度比が、1.00〜1.25」を選択ことについては記載も示唆もされていないから、本件発明が、甲第1乃至5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たかについての判断は、上記II.4.の項において示したものと同様である。
IV.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
転写用紙
(57)【特許請求の範囲】
(1)ワイヤー上に原料を噴出して製造された転写用紙であって、超音波パルスの縦波伝播速度比が、1.00〜1.25であり、かつ、マシン方向繊維配向角及びクロス方向繊維配向角が、共に±10度以内にあることを特徴とする転写用紙。
【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野
本発明は、複写機、プリンターなどで熱定着した後のカール(以下、熱定着後カールという)を小さくした転写用紙に関する。
従来の技術
複写機、プリンターなどで、紙面上のトナー像を熱定着する際、紙の片面から熱が加わるため、加熱面からの脱湿により紙がカールし、紙詰まり、排紙トレイ収容性不良、ソーター収容性不良等のトラブルが発生する。熱定着後カールは、複写機、プリンター等の紙走行性能に大きく影響を与える重要な特性であるといえる。
従来、熱定着後カールを改善しようとする試みは、各社各様の方法で行われていたが、熱定着後カールの発生機構が不明なため、有効な対策が実施できず、紙抄造条件の一部変更、パルプ叩解度及びドライヤー差圧で対処しているのが実状である。また、転写用紙の改善に関するものとしては、例えば、特開昭48-96801号公報、特開昭51-102107号公報、特開昭54-96107号公報等に、ガラス繊維やロックウール等の無機繊維を木材パルプ繊維と混抄することが開示されており、特開昭57-204057号公報には有機又は無機の填料を多量(18%以上)添加することが開示されている。
発明が解決しようとする課題
本発明者等は、熱定着後カールの発生機構について精力的に研究を重ねた結果、以下の知見を得た。即ち、一般的に原稿として多く使用されている線画(像密度が低い)をコピーまたはプリントする場合、トナー層が熱定着後カールに与える影響が少いので、熱定着後カールの要因は、紙の特性値に限定できる。熱定着後カールは、紙の片面に熱が加わることにより、紙の表層、裏層から水分が蒸発し、それに伴なって、紙が収縮する。このときの紙の表層の裏層の収縮量の差が熱定着後カールとなって現れる。熱定着後カールは、次式で表される。

K:カール曲率(曲率半径の逆数)(1/mm)
H1:紙の表層の熱定着による含有水分率変化(%)
H2:紙の裏層の熱定着による含有水分率変化(%)
β1:紙の表層の脱湿収縮率(%/水分1%変化)
β2:紙の裏層の脱湿収縮率(%/水分1%変化)
t:紙の厚さ(mm)
上記(1)式において、熱定着後カールに影響を及ぼす原因は、▲1▼脱湿収縮率、▲2▼含有水分率変化、▲3▼厚さ、である。
ところで、上記特開昭48-96801号公報、特開昭51-102107号公報、特開昭54-96107号公報等に開示されている場合は、脱湿収縮率及び含有水分率変化を少くするものであるが、無機繊維を配合した場合は強度が大巾に低下するため、抄紙上及び品質上問題があり、また合成繊維を配合した場合は、耐熱性が低下し、熱定着時の変形(シワ、波打ち)、収縮が問題となる。更に、これら無機繊維や合成繊維は、木材パルプ繊維よりも高価なため、コストアップの要因となる。また、特開昭57-204057号公報に開示されている場合は、填料を多く配合するため、こわさの低下、紙粉発生量の増加などが問題になる。
一方、紙の厚さを厚くして、熱定着後カールを小さくする対策は、同一密度であれば坪量の増加になり、コストアップとなる。また、同一坪量で厚さを厚くすれば、平滑性の低下が問題となる。
いずれにしても、従来技術では、熱定着後カールを著しく小さくする有効な方法は存在していなかった。
本発明は、従来の技術における上記のような問題点に鑑みてなされたものである。
したがって、本発明の目的は、熱定着後カールを小さくした転写用紙を提供することにある。
課題を解決するための手段
本発明者等は、熱定着後カールの改善を、紙の繊維配向性の面から進めた結果、転写用紙の超音波パルスの縦波伝播速度比が1.00〜1.25であり、かつ、マシン方向繊維配向角及びクロス方向繊維配向角が、共に±10度以内にあれば、熱定着後のカール値及びネジレカールが大巾に改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の転写用紙は、ワイヤー上に原料を噴出して製造されたものであって、超音波パルスの縦波伝播速度比が1.00〜1.25、好ましくは1.00〜1.20であることを特徴とする。
本明細書において、「超音波パルスの縦波伝播速度比」とは、下記式で示される値を意味する。

なお、「マシン方向(MD)」とは、抄紙機の流れ方向を意味し、「クロス方向(CD)」とは、抄紙機の流れ方向に対して直角方向を意味する。
本発明における上記超音波パルスの縦波伝播速度比は・第2図に示す測定方法によって求めることができる。すなわち、厚さ10mmの気泡入りゴム板上21に、試料22を載置し、150mmの間隔をあけて送波振動子23と受波振動子24を接触させ、超音波パルスの縦波を送波部25から送り出し、受波部26で受けて、送波振動子から試料を通過させて受波振動子で受けるまでの時間を測定し、伝播速度に変換する。試料についてそれぞれMD、CD両方向の伝播速度を測定し、伝播速度比を求める。なお、図中、27は演算素子、28は表示素子である。本発明における超音波パルスの縦波伝播速度比が1.00〜1.25の範囲に調整された転写用紙は、第3図に示すようにクロス方向の脱湿収縮率が著しく小さくなり、通常の転写用紙(超音波パルスの縦波伝播速度比が1.35〜1.70の)の熱定着後カール値を大巾に減少させることができる。
なお、第3図は、超音波パルスの縦波伝播速度比と脱湿収縮率との関係を示すグラフであって、実線はクロス方向を意味し、点線はマシン方向を意味する。超音波パルスの縦波伝播速度比伝播速度はマシン方向(MD)、クロス方向(CD)に配列している繊維の配向程度(繊維配向性)を示すものであって、第3図において、超音波パルスの縦波伝播速度比が1.0に近いほど、繊維の配列に方向性がないことを示している。
なお、「脱湿収縮率」は、湿度25〜90%RH下で繰り返し吸脱湿処理した後の可逆的寸法変化時の、%寸法変化/%水分変化を意味する。
第4図は、クロス方向の脱湿収縮率を説明するためのグラフであって、吸脱湿処理における含有水分率と寸法変化率との関係を示すものである。吸脱湿処理は、符号1から12まで順次に行われ、ほぼ一定の関係に達した時点(符号6〜12)の可逆的寸法変化時の%寸法変化/%水分変化を脱湿収縮率とする。
本発明の転写用紙は、超音波パルスの縦波伝播速度比が1.00〜1.25、好ましくは1.00〜1.20の範囲に調整されているから、繊維の配列に方向性が少く、マシン方向及びクロス方向共に同程度の繊維配列になっている。そのため、繊維の長さ方向と直径方向の可逆的寸法変化率の差(直径方向の寸法変化率=30×長さ方向の寸法変化率)がシート全体の寸法変化率の差となって表われず、クロス方向の脱湿収縮率が著しく小さくなり、マシン方向の脱湿収縮率と同程度の値になっている。
超音波パルスの縦波伝播速度比を小さくする方法としては、JET/WlRE比(原料噴出速度/抄紙機ワイヤー速度比)を適性に調整する方法が有利であるが、これ以外にも、プレス時の紙のマシン方向の張力及びドライヤー乾燥時の紙のマシン方向の張力を小さくする等の方法を採用することもできる。
本発明の転写用紙において、超音波パルスの縦波伝播速度に関する繊維配向角が、マシン方向繊維配向角及びクロス方向繊維配向角共に±10度以内であることをが好ましい。
なお、本明細書において、「マシン方向繊維配向角」とは超音波パルスの縦波伝播速度が最大になる軸の、マシン方向軸(抄紙機の流れ方向に平行な軸)からのズレ角度を意味し、「クロス方向繊維配向角」とは、超音波パルスの縦波伝播速度が最小になる軸の、クロス方向軸(抄紙機の流れ方向と直角な軸)からのズレ角度を意味する。そして、時計の針の進行方向のズレを+で表わし、それとは反対の方向のズレを-で表わす。
本発明において、上記繊維配向角が±10度以内であれば、超音波パルスの縦波伝播速度比が1.00〜1.25の範囲に調整した比較的繊維が無配向な転写用紙に発生しやすい熱定着後対角線カール(以下、ネジレカールという)が小さくなる。すなわち、超音波パルスの縦波伝播速度比が1.00〜1.25の範囲に調整した転写用紙は、繊維の配列に方向性が少く、転写用紙の吸湿、紙厚、坪量等の部分的不均一及び熱定着ロールとプレッシャーロールの軸方向の圧力、速度の不均一などにより、熱定着後の寸法変化の最大値の方向が、クロス方向(CD)から対角線軸方向に移りやすい。そのため、繊維配向角の熱定着後カール軸に与える影響が多く、対角線を軸にしたネジレカールが生じ易くなる。ところが、マシン方向繊維配向角及びクロス方向繊維配向角を、共に±10度以内に調整すれば、上記のような副次的に発生する障害を防止することができる。
マシン方向繊維配向角及びクロス方向繊維配向角を、共に±10度以内に調整するためには、原料をできるだけ抄紙機のワイヤー進行方向と平行に噴出させることが必要である。これは、ワイヤー上に原料を噴出するスライスリップの開度、位置等を、ワイヤー巾方向に均一になるように調整するなどの方法で達成できる。
実施例
以下、実施例によって本発明を説明する。
実施例1
広葉樹晒クラフトパルプをフリーネス480ccに調成し、軽質炭酸カルシウム10重量%、カチオン化澱粉1重量%、アルキルケテンダイマー0.5重量%を加え、実験用配向性抄紙機(熊谷理機(株)製)により、ワイヤー速度700m/minで原料噴出速度を可変して、52.39/m2、64.0g/m2、81.4g/m2の転写用紙を抄造した。
上記の方法により得られた転写用紙を、B5サイズに20枚縦目断裁し、試験試料とした。
上記試験試料から5枚採取し、超音波パルスの縦波伝播速度比を、測定機(SST-210(Sonic Sheet Tester-210)野村商事(株)製)で測定した。その平均値を第1表に示す。
更に上記試験試料から5枚採取し、クロス方向の脱湿収縮率を、HK式伸縮度試験機(本州製紙(株)製)により測定した。その平均値を第1表に示す。
残りの10枚の試験試料を5枚が含有水分率5%、5枚が含有水分率7%になるように適当なチャンバーなどで前処理を行い、静電複写機(9500B、富士ゼロックス(株)製)に、横方向通紙(用紙の短手方向が熱定着ロール軸に対して垂直になるように通紙)で、ワイヤーサイド面に加熱定着した後のカール(熱定着後カール曲率)を測定した。
なお、熱定着後カール曲率は、第5図に示すようにして測定した。すなわち、試験試料51のカール軸と垂直な一辺の中央部を、巾約1cmの懸垂用具52で吊り、カール高さ(h)を測定する。測定されたカール高さは、次の式によりカール曲率に変換する。
h=γ{1-cos (7.75/2γ)}
カール曲率(K)=1/γ
γ:曲率半径
熱定着後カールの測定結果を第1表に示す。熱定着後カールは、試験試料5枚のカール高さ(h)をカール曲率に変換し、その平均値で示す。

上記試験試料の超音波パルスの縦波伝播速度比と、熱定着後カール曲率との関係を第1図に示す。
第1表及び第1図から明らかなように、試験試料の超音波パルスの縦波伝播速度比が1.25以下になると、熱定着後カール曲率が著しく小さくなる。更に、超音波パルスの縦波伝播速度比が1.20以下になると、熱定着後カール曲率は、ほとんど零になる。この傾向は、原料パルプ配合比、試料坪量、試料含有水分率によらず、ほぼ同様である。
実施例2
広葉樹晒クラフトパルプ/針葉樹晒クラフトパルプ=50/50(重量比)の配合比を有するパルプ(フリーネス480cc)に炭酸カルシムウ10重量%、カチオン化澱粉1重量%、アルキルケテンダイマー0.5重量%を加え、実験用配向性抄紙機(熊谷理機(株)製)により、ワイヤー速度700m/minで原料噴出速度を可変して、52.3g/m2、64.0g/m2、81.4g/m2の転写用紙を抄造した。
上記の方法により得られた転写用紙を、B5サイズに20枚断目断裁し、試験試料とした。
上記試験試料について、実施例1と同様な方法で超音波パルスの縦波伝播速度比、クロス方向脱湿収縮率、熱定着後カール曲率を測定した。その結果を第2表に示す。

上記試験試料の超音波パルスの縦波伝播速度比と、熱定着後カール曲率との関係を第6図に示す。
第2表及び第6図から明らかなように、試験試料の超音波パルスの縦波伝播速度比が1.25以下になると、熱定着後カール曲率が著しく小さくなる。更に、超音波パルスの縦波伝播速度比が1.20以下になると、熱定着後カール曲率は、ほとんど零になる。この傾向は、原料パルプ配合比、試料坪量、試料含有水分率によらず、ほぼ同様である。
実施例3
実施例1と同様な条件で、52.3g/m2、64.0g/m2、81.4g/m2の転写用紙を抄造し、そして第7図に示すように抄紙機の流れ方向に平行な軸から一定角度(a)ずらして、B5サイズに10枚継目断裁し、試験試料とした。
上記試験試料から5枚採取し、超音波パルスの縦波伝播速度比を、測定機(SST-210野村商事(株)製)で測定した。その平均値を第3表に示す。
残りの5枚の試験試料を含有水分率が5%になるように、適当なチャンバーなどで前処理を行い、静電複写機(9500B、富士ゼロックス(株)製)に、横方向通紙(用紙の短手方向が熱定着ロール軸に対して垂直になるように通紙)で、ワイヤーサイド面に加熱定着した後のネジレカールを測定した。その結果を第3表に示す。なお、ネジレカール値は、試験試料5枚の値の平均値である。
なお、ネジレカールの測定方法は第8図(a)及び(b)に示す通りである。すなわち、試験試料81の一辺を懸垂用具82で吊り、ネジレカールの高さ(h)を測定して、ネジレカール値とした。


第3表から、試験試料の繊維配向角と熱定着後ネジレカール値との関係は、坪量によらず、一定の傾向があることが分かる。
坪量64.0g/m2の試験試料を代表例として、その繊維配向角と熱定着後ネジレカール値との関係を第9図に示す。
第9図から明らかなように、試験試料の超音波パルスの縦波伝播速度比が1.25以下の場合、繊維配向角が±10度より大きくなると、熱定着後ネジレカール値が著しく大きくなっている。
実施例4
実施例2と同様な条件で、52.3g/m2、64.0g/m2、81.4g/m2の転写用紙を抄造し、そして第7図に示すように抄紙機の流れ方向に平行な軸から一定角度(a)ずらして、B5サイズに10枚継目断裁し、試験試料とした。
上記試験試料について、実施例3と同様な方法で繊維配向角及び熱定着後ネジレカール値を測定した。その結果を第4表に示す。


第4表から、試験試料の繊維配向角と熱定着後ネジレカール値との関係は、坪量によらず、一定の傾向があることが分かる。
坪量64.0g/m2の試験試料を代表例として、その繊維配向角と熱定着後ネジレカール値との関係を第10図に示す。
第10図から明らかなように、試験試料の超音波パルスの縦波伝播速度比が1.25以下の場合、繊維配向角が±10度より大きくなると、熱定着後ネジレカール値が著しく大きくなっている。
発明の効果
本発明の転写用紙は、超音波パルスの縦波伝播速度比が1.00〜1.25であるから、従来の転写用紙に比べて、熱定着後カールが著しく小さい。
また、本発明の転写用紙において、超音波パルスの縦波伝播速度に関するマシン方向繊維配向角及びクロス方向繊維配向角が、共に±10度以内である場合には、熱定着後におけるネジレカールが著しく小さくなるという効果を生じる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1における超音波パルスの縦波伝播速度比と、熱定着後カール曲率との関係を示すグラフ、第2図は超音波パルスの縦波伝播速度比と脱湿収縮率との関係を示すグラフ、第3図は超音波パルスの縦波伝播速度測定方法のブロック図、第4図は吸脱湿処理によるクロス方法の寸法変化を示すグラフ、第5図は熱定着後カールの測定方法を説明する説明図、第6図は実施例2における超音波パルスの縦波伝播速度比と、熱定着後カール曲率との関係を示すグラフ、第7図は試験試料の作製方法を説明する説明図、第8図は定着後ネジレカールの測定方法を説明する説明図で(a)上面図、(b)側面図、第9図は実施例3における繊維配向角と熱定着後ネジレカール値との関係を示すグラフ、第10図は実施例4における繊維配向角と熱定着後ネジレカール値との関係を示すグラフである。
21……気泡入りゴム板、22……試験試料、23……送波振動子、24……受波振動子、25……送波部、26……受波部、27……演算素子、28……表示素子、51……試験試料、52……懸垂用具、81……試験試料、82……懸垂用具。
【図面】










 
訂正の要旨 訂正の要旨
特許第2743435号発明の明細書を、下記の通り訂正する。
訂正事項a
特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の、請求項1を削除し、請求項1を引用する請求項2を、
「(1)ワイヤー上に原料を噴出して製造された転写用紙であって、
超音波パルスの縦横伝播速度比が、1.00〜1.25であり、かつ、マシン方向繊維配向角及びクロス方向繊維配向角が、共に±10度以内にあることを特徴とする転写用紙。」と訂正する。
訂正事項b
明細書第5頁第10〜14行(特許公報第2頁第4欄第21〜24行)の、「本発明者等は‥‥‥至った。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「本発明者等は、熱定着後のカールの改善を、紙の繊維配向性の面から進めた結果、転写用紙の超音波パルスの縦波伝播速度比が、1.00〜1.25であり、かつ、マシン方向繊維配向角及びクロス方向繊維配向角が、共に±10度以内にあれば、熱定着後のカール値及びネジレカールが大幅に改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。」 と訂正する。
異議決定日 1999-11-04 
出願番号 特願平1-38402
審決分類 P 1 651・ 121- YA (G03G)
P 1 651・ 531- YA (G03G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 原 健司  
特許庁審判長 高梨 操
特許庁審判官 六車 江一
江藤 保子
登録日 1998-02-06 
登録番号 特許第2743435号(P2743435)
権利者 富士ゼロックス株式会社
発明の名称 転写用紙  
代理人 内田 明  
代理人 安西 篤夫  
代理人 萩原 亮一  
代理人 内田 明  
代理人 萩原 亮一  
代理人 安西 篤夫  

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