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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B41F |
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管理番号 | 1017249 |
審判番号 | 審判1997-10752 |
総通号数 | 13 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1993-06-08 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1997-06-27 |
確定日 | 2000-06-14 |
事件の表示 | 平成3年特許願第354122号「分割版胴を有するBB型印刷機」拒絶査定に対する審判事件〔平成5年6月8日出願公開、特開平5-138852、平成7年6月14日出願公告、特公平7-55556、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.[手続の経緯・本願発明の内容] 本願は、平成3年11月16日の出願であって、その発明は、出願公告後の平成12年4月7日付手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「版胴を伴なったブランケット胴を一対接離可能に対設したBB型印刷機において、 前記一対の版胴をそれぞれ軸方向に2分割し、かつ、少なくとも周方向の相対位相変更可能に連接した本体側版胴部と分割側版胴部とからなる一対の分割版胴とし、 前記一対のブランケット胴の胴仕立径を前記一対の分割版胴の胴仕立径よりも僅かに大きくし、 前記一対の分割版胴の本体側版胴部の軸端にそれぞれ取り付けた各中継歯車とそれらに対応する前記一対のブランケット胴の一側の軸端にそれぞれ取り付けた各従動歯車との係合と、前記一対のブランケット胴のいずれか一方の前記従動歯車の軸に回転自在に支承された中間歯車の、前記ブランケット胴の他方の前記従動歯車及び前記一対の分割版胴の本体側版胴部の軸端に取り付けた前記中継歯車の双方との係合、および、前記一対の分割版胴の本体側版胴部の他方の軸端に取り付けた前記中継歯車と第1駆動源との連結とによって形成されるドライブサイドの駆動経路と、 第2駆動源と連結し、かつ、前記一方の分割版胴の分割側版胴部の軸端に取り付けた中継歯車と前記一対のブランケット胴の他側の軸端にそれぞれ回転自在に取り付けられそして相互に係合した一対の中間歯車の一方の中間歯車との係合と、前記他方の中間歯車と前記他方の分割版胴の分割側版胴部の軸端に取り付けた中継歯車との係合とによって形成されるオペレーションサイドの駆動経路と、を有し、 そして、前記二つの駆動経路に用いられるすべての前記歯車のピッチ円径と歯数とを同一としたものからなる駆動手段を設けて、 胴仕立径の相対的に小さな前記一対の分割版胴の本体側版胴部及び分割側版胴部の各軸を経由して胴仕立径の相対的に大きな前記一対のブランケット胴の各軸にそれぞれ動力が同じタイミングで伝達され各歯車間のバックラッシュの範囲内における胴の連れ回り回転が防止されるようにしたことを特徴とする分割版胴を有するBB型印刷機。」 2.[引用例] これに対して、原査定の拒絶の理由となった、特許異議申立人・三菱重工業株式会社の特許異議申立に対する特許異議の決定理由に引用された特開昭61-182951号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。 [引用例1] 「版を装着した版胴よりなる印刷胴とブランケットを装着したブランケット胴より成る印刷胴を相隣接して並設すると共に、相隣接する印刷胴をピッチ円径、歯数等が同一である歯車により同一回転数で相反する向きに回転し、かつ両印刷胴の胴仕立径を僅かに異ならせて版面の面線をブランケット面に転写し、しかる後にブランケット面に転写された面線を料紙面へ再転写して印刷し、しかも、前記相隣接する両印刷胴における胴仕立径が大きな印刷胴が胴仕立径の小さな印刷胴よりも駆動源側に位置するオフセット輪転印刷機において、前記の胴仕立径の大きな印刷胴の胴軸に、駆動源に連結した中間歯車を回転自在に装着し、かつその胴軸に第1の歯車を固着すると共に、この中間歯車と第1の歯車とを前記胴仕立径の小さな印刷胴の胴軸に固着した第2の歯車にそれぞれ噛合させた印刷胴駆動装置を設けたことを特徴とするオフセット輪転印刷機。」(特許請求の範囲) さらに、特許異議申立人が特許異議申立に対して、提出した特開平3-1946号公報(以下、「引用例2」という。)、特公昭59-31467号公報(以下、「引用例3」という。)には、それぞれ下記の事項が記載されている。 [引用例2] 「この発明は、両面多色印刷機に関する。」(第2頁左上欄第5行)、 「個々にインキ供給部・・・を有する版胴をそれぞれ具備して相対する接離可能な一対のブランケット胴よりなる印刷部を複数離隔して積み重ねた状態に配設し、版胴の周面部を軸方向に分割するとともに、・・・両面印刷機を提供する。」(第3頁右下欄第18行〜第4頁左上欄第7行)、 「第1図(d)(版胴(112)で例示してある。)に示すように、版胴(112)の周面部を分割し、一方を、版胴外径を有する部分(以下、「大径部」とする。)(112)bとそれに連続する段状の小径部分(以下「小径部」とする。)(112)cを具備した部材(以下、「第1部材」とする。)とし他方を、版胴外径を有し前記小径部(112)cに摺動自在に嵌合せしめたスリーブ状部材(以下、「第2部材」とする。)(112)dとする。」(第5頁右下欄第2〜11行)、 「第1図(e)に示す版胴(112)は、第1部材(112)aの大径部(112)b側の端軸(112)eに設けられた従動ギヤMG2へ主駆動ギヤMG1から駆動が伝達される。さらに、第1部材(112)a、小径部(112)c側の端軸(112)f、この端軸(112)fに第1ブロック(112)gを介して固定されたギヤ部G’を具備した第1付加軸(112)h、このギヤ部G’と軸方向に摺動自在に噛合したインターナルギヤ部1G’を具備した第2ブロック(112)jを介し、第2ブロック(112)jが固定された第2部材(112)dの端軸(112)eに伝達されることによって、第1部材(112)aと第2部材(112)dとが一体物のように一斉に回転する。」(第6頁左上欄第16行〜右上欄第8行)。 [引用例3] 「本発明は、輪転印刷機における版胴装置で、特に1本の版胴において軸方向左右に振分けてそれぞれ別個に版を取付けることができるようにした版胴装置に関する」(第1欄第34〜37行)、 「版胴3は機械の中心で段状に形成されており、小径部に外径寸法を大径側の外径と一致する円筒15が回転および摺動自在に嵌合してある。(第2欄第12〜15行)、 「版胴3の大径側の端部にブランケット胴2の一端に固着したヘリカルギヤ13に噛合するヘリカルギヤ14が固着してある。またブランケット胴2の他端には上記ヘリカルギヤ13の同寸法のヘリカルギヤ28が固着してある。」(第2欄第28〜32行)、 「従動側のヘリカルギヤ33はエキスターナルギヤ29とインターナルギヤ30とにより軸21に対して軸方向に移動自在にして回転方向に係合され、これにより軸21は駆動側および従動側のヘリカルギヤ28,33により版胴3とは別個に回転駆動されるようになっている。」(第3欄第43行〜第4欄第4行)、 「第7図は共通圧胴を用いない単色機の場合も全く同様な機構により版胴3A,3A’,・・・のそれぞれの軸方向の半分を別々に微動調整することができる。2A,2A’,・・・はブランケット胴、7’は印刷用紙である。」(第6欄第9〜14行)。 3.[対比・判断] 本願の請求項1に係る発明(以下、本願発明という)と引用例1乃至引用例3に記載されたものとを対比すると、いずれの引用例もBB型印刷機に関するものであるが、いずれの引用例にも、本願発明を特定する事項である、ドライブサイドの駆動経路に加えて「第2駆動源と連結し、かつ、前記一方の分割版胴の分割側版胴部の軸端に取り付けた中継歯車と前記一対のブランケット胴の他側の軸端にそれぞれ回転自在に取り付けられそして相互に係合した一対の中間歯車の一方の中間歯車との係合と、前記他方の中間歯車と前記他方の分割版胴の分割側版胴部の軸端に取り付けた中継歯車との係合とによって形成されるオペレーションサイドの駆動経路」を有する点が記載されておらず、また示唆する記載もない。 本願発明は、上記構成により、分割版胴を有するBB型印刷機の駆動手段における動力分配において、ブランケット胴の軸にそれぞれ動力が同じタイミングで伝達され得る駆動手段を設けて、連れ回り回転を生じるおそれがない、即ち、「必ず小径の一対の分割版胴の側の軸を原動側とし、大径の一対のブランケット胴の側を従動側とし、または小径側双方の係わりにおいては、大径側の胴からの動力供給をせず、小径側の胴からの動力供給に徹するように駆動系を配設したので、各歯車間のバックラッシュの範囲内における胴の連れ回り回転生起による画線のダブり現象が根絶されて、常に鮮明な印刷が保証されるようになった。」(平成12年4月7日付け手続補正書第8頁第5〜10行)という、引用例記載のものにない顕著な作用効果を奏するものである。 4.[まとめ] 以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、上記引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2000-05-23 |
出願番号 | 特願平3-354122 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(B41F)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 吉村 和彦、南 宏輔 |
特許庁審判長 |
砂川 克 |
特許庁審判官 |
水垣 親房 酒井 進 |
発明の名称 | 分割版胴を有するBB型印刷機 |
代理人 | 千且 和也 |
代理人 | 三根 守 |
代理人 | 右田 登志男 |