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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F28D
管理番号 1017438
審判番号 審判1997-12452  
総通号数 13 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1991-09-19 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1997-07-31 
確定日 2000-06-19 
事件の表示 平成 2年特許願第309013号「熱交換器及びそれによる自動車用オイルクーラーとその製造方法」拒絶査定に対する審判事件〔平成 6年 6月22日出願公告、特公平 6- 48150、請求項の数( 8 )〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯
本願は平成2年11月16日(パリ条約による優先権主張1989年11月17日、米国)の出願であって、平成6年6月22日に出願公告されたところ、齊藤 明より特許異議の申立がなされ、その特許異議の申立は理由があるとの決定があり、その特許異議の決定の理由と同じ理由をもって拒絶査定がなされ、、本件請求時の平成9年7月31日付けで特許法第17条の3の規定に基づく手続補正がなされ、更に当審での拒絶理由通知に対して平成12年1月13日付けで特許法第64条第1項の規定に基づく手続補正をしようとしたが、該手続補正は特許法第159条第1項において準用する同法第54条第1項の規定により却下されたものである。
2.本件発明
以上の手続の経緯より、本件請求項1〜請求項8に係る発明は平成9年7月31日付けの手続補正により補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、その特許請求の範囲請求項1〜請求項8に記載されたとおりの次のものと認める。
「(1)第1及び第2のほほ平行な対向するプレートを備え、これらのプレートが接合されて入口及び出口の間にほぼ円形の流体の流れを可能にするための中空通路を形成し、前記対向するプレートは断面が波形で、複数の対向する谷を形成し、これらの谷が、中空通路に沿って延び、かつほぼインボリュート曲線に従って配列され、第1のプレートに設けられた谷が、第2のプレートに設けられた谷と交差するように配列され、これにより、対向する谷の間の領域が通路を形成している熱交換器において;
前記谷が、インボリュート曲線に沿って配列されていることを特徴とする熱交換器。
(2)ほぼ直線状の谷が、ほぼインボリュート曲線に沿って配列されている請求項(1)に記載の熱交換器。
(3)ほほ曲線状の谷が、ほぼインボリュート曲線に沿って配列されている請求項(1)に記載の熱交換器。
(4)第1及び第2のほぼ平行な対向するプレートを備え、これらのプレートが接合されて入口及び出口の間にほぼ円形の流体の流れを可能にするための中空通路を形成し、前記対向するプレートは断面が波形で、複数の対向する谷を形成し、これらの谷が、中空通路に沿って延び、かつほぼインボリュート曲線に従って配列され、第1のプレートに設けられた谷が、第2のプレートに設けられた谷と交差するように配列され、これにより、対向する谷の間の領域が通路を形成している熱交換器において;
前記谷が、通路内の流体の流れの方向に対して約5度から75度で斜めに配列されていることを特徴とする熱交換器。
(5)第1及び第2のほぼ平行な対向するプレートを備え、これらのプレートが接合されて入口及び出口の間にほぼ円形の流体の流れを可能にするための中空通路を形成し、前記対向するプレートは断面が波形で、複数の対向する谷を形成し、これらの谷が、中空通路に沿って延び、かつほぼインボリュート曲線に従って配列され、第1のプレートに設けられた谷が、第2のプレートに設けられた谷と交差するように配列され、これにより、対向する谷の間の領域が通路を形成している熱交換器において;
一つのプレートの谷が、その長さに沿って隣接する谷とほほ等間隔になっていることを特徴とする熱交換器。
(6)第1及び第2のほぼ平行な対向するプレートを備え、これらのプレートが接合されて入口及び出口の間にほぼ円形の流体の流れを可能にするための中空通路を形成し、前記対向するプレートは断面が波形で、複数の対向する谷を形成し、これらの谷が、中空通路に沿って延び、かつほぼインボリュート曲線に従って配列され、第1のプレートに設けられた谷が、第2のプレートに設けられた谷と交差するように配列され、これにより、対向する谷の間の領域が通路を形成している熱交換器において;
プレートの外側部が、接合されて平坦な接合プレートを形成していることを特徴とする熱交換器。
(7)第1及び第2のほほ平行な対向するプレートを備え、これらのプレートが接合されて入口及び出口の間にほほ円形の流体の流れを可能にするための中空通路を形成し、前記対向するプレートは断面が波形で、複数の対向する谷を形成し、これらの谷が、中空通路に沿って延び、かつほぼインボリュート曲線に従って配列され、第1のプレートに設けられた谷が、第2のプレートに設けられた谷と交差するように配列され、これにより、対向する谷の間の領域が通路を形成している熱交換器を備える自動車用オイルクーラーの製造方法であって;
断面が波形で、ほぼインボリュート曲線になるように配列された複数の谷を有するプレートを形成する工程、前記プレートのうち第1のプレートの谷の頂点が第2のプレートの谷の頂点と交差するように配列する工程、入口及び出口を備え、ほぼ円形方向に延びる中空通路を有し、かつプレートの谷が前記通路の円形方向に対して斜めの角度をもって配列された熱交換ユニットを形成するように,前記第1及び第2のプレートを同心にかつ延長された端部に沿って接合する工程、及び複数の熱交換ユニットを積み重ねた配列に組立てる工程、とからなることを特徴とするオイルクーラーの製造方法。
(8)中空の熱交換ユニットの積み重ねたものを中空筺体内に組み付け、かつ前記積み重ねられた熱交換ユニットの表面に沿って、第2の流体が流れるようにする請求項(7)項に記載のオイルクーラーの製造方法。」
3.引用例の記載事項
一方、原査定の拒絶理由である特許異議の決定の理由、及び当審の拒絶理由で引用された実願昭61-116183号(実開昭63-23579号)のマイクロフィルム(以下「引用例1」という。)には次の事項についての記載がある。
「夫々一対のオイル連通孔(1)(1)が穿設された二枚の皿状の金属製のプレート(2)(2)を互いに逆向きに重ね合わせてエレメント(3)を構成し、複数の前記エレメント(3)を積層してなるオイルクーラにおいて、前記プレート(2)が平面ドーナツ形に形成されると共に、一対の前記オイル連通孔(1)(1)が中心に対してほぼ180度位置を離れて夫々穿設され且つ、両連通孔(1)(1)間がその周方向に進行する波形(4)に曲折形成されると共に、該波の稜線が全て同一方向に湾曲する弧状に形成され、隣接する前記プレート(2)(2)の前記稜線同志は、互いに前記湾曲方向が逆向きに形成されて交差するようにしたことを特徴とするオイルクーラ。」(実用新案登録請求の範囲)。 また、同じく原査定の拒絶理由である特許異議の決定の理由、及び当審の拒絶理由で引用された実願昭62-119646号(実開昭64-25414号)のマイクロフィルム(以下「引用例2」という。)には次の事項についての記載がある。
「一端が開口し、該開口端がエンジン本体(1)に外方から着脱自在に固着され、他端が閉塞され、該閉塞面(2)の中心にボルト挿通孔(3)を有して筒状に形成され、外周に冷却水流入孔(4)及び冷却水流出孔(5)を形成したケーシング(6)と、前記ケーシング(6)に収納され、オイルを流通させる密閉された偏平なエレメント(7)を多段に有し、最も前記開口側に位置する前記工レメント(7)に形成された一対の連通孔(8)(9)が前記エンジン本体(1)の外面に開口した一対のオイル孔(10)(11)にOリング(12)を介して着脱自在に圧接により接合されるコア(13)と、を具備し、前記ケーシング(6)の前記閉塞面(2)に対向する前記エレメント(7)の外面の一部に複数のスペーサ用凸部(14)を形成し、前記閉塞面(2)の内面の一部に前記スペーサ用凸部(14)のが押圧される押圧用凸部(15)を形成し、前記ボルト挿通孔(3)に挿通されたボルト(16)を、前記エンジン本体(1)の外面のボルト孔に螺着することにより、前記ケーシング(6)及び前記コア(13)をエンジン本体(1)の外面に押圧締結したことを特徴とするオイルクーラ。」(実用新案登録請求の範囲)。
「そして各エレメントは上下一対の金属板を互いに逆向きに重ね合わせることにより各波の稜線が交差し、その波により内部をオイルがジグザグ状に流通するように形成されている。」(明細書第5頁13〜15行)。
4.引用例1,2記載の発明との対比
本件請求項1〜請求項8に係る発明と上記引用例1及び引用例2に記載されたものを対比すると本件の特許請求の範囲請求項1〜請求項6に係る発明は「対向するプレートは断面が波形で、複数の対向する谷を形成し、これらの谷が、中空通路沿って延び、かつほぼインボリュート曲線に従って配列され」る点を有しており、また、本件の特許請求の範囲請求項7及び請求項8に係る製造方法の発明は製造対象物が同じく上記点を有しているが上記引用例1及び引用例2には本件発明の上記点については何も記載されていないし、また、示唆もされていない。
そして、本件の特許請求の範囲請求項1〜請求項8に係る発明は上記構成により、明細書に記載されたとおりの上記引用例1及び引用例2には期待できない作用効果を奏するものと認められる。
5.むすび
以上の通りであるから本件の特許請求の範囲請求項1〜請求項8に係る発明は上記引用例1及び引用例2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
また、他に本件の特許請求の範囲請求項1〜請求項8に係る発明を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2000-05-09 
結審通知日 2000-05-19 
審決日 2000-05-30 
出願番号 特願平2-309013
審決分類 P 1 8・ 121- WY (F28D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 熊谷 繁村本 佳史  
特許庁審判長 滝本 静雄
特許庁審判官 櫻井 康平
原 慧
発明の名称 熱交換器及びそれによる自動車用オイルクーラーとその製造方法  
代理人 竹沢 荘一  

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