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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61F
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61F
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  A61F
管理番号 1018271
異議申立番号 異議1999-71354  
総通号数 13 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-11-01 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-04-13 
確定日 1999-11-04 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2810290号「吸収性物品」の請求項1ないし6に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2810290号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第2810290号に係る発明についての出願は、平成5年4月20日に特許出願され、平成10年7月31日にその発明について特許の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人株式会社プロクター・アンド・ギャンブル・ファーイースト・インクより特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年9月7日に訂正請求がなされた後、訂正拒絶理由通知が通知され、訂正拒絶理由通知に対して手続補正書が提出されたものである。
2.訂正の適否についての判断
(a)訂正請求に対する補正の適否について
特許権者は、訂正請求書の訂正事項aの「 …、水溶性バインダーを含浸させた親水性セルロース繊維を含む集合体を…」を「…、水溶性バインダーを含浸させた親水性セルロース繊維からなる集合体を…」と水溶性バインダーを含浸させた親水性セルロース繊維以外のものをも集合体を圧縮してなるシート状物の組成とすることを包含していたものを、水溶性バインダーを含浸させた親水性セルロース繊維に組成を限定したものであって、特許請求の範囲の減縮に該当し、訂正明細書の記載された範囲内の補正である。
訂正事項bの【0007】「…、水溶性バインダーを含浸させた親水性セルロース繊維を含む集合体を」を「…、水溶性バインダーを含浸させた親水性セルロース繊維からなる集合体を…」と特許請求の範囲の補正の伴って明細書の記載を整合させる補正であるから、明りょうでない記載の釈明に該当するものであり、特許請求の範囲を変更拡張するものでない。
したがって、当該訂正請求の対する補正は、訂正請求書の要旨を変更するものでなく、特許法第120条の4第3項において準用する同法131条第2項の規定に適合する。
(b)訂正の内容
▲1▼訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1〜6が
「【請求項1】 液体透過性の表面材、液体保持性の吸収体及び液体不透過性の防漏材を具備する吸収物品において、上記吸収体は、水溶性バインダーを含浸させた親水性セルロース繊維を含む集合体を圧縮してなるシート状物を一部または全体としていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】 上記集合体の圧縮密度が0.15〜0.5g/m3であることを特徴とする請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】 上記シート状物の厚みは0.5〜3mmであり、液吸収時の厚みの膨張倍率が1.5倍以上である請求項1又は2記載の吸収性物品。
【請求項4】 上記親水性セルロース繊維の繊維断面の面積が5.0×10-6cm2以上である請求項1記載の吸収性物品。
【請求項5】 上記親水性セルロース繊維の繊維断面の面積が3.0×10-6cm2以上で、且つ繊維断面の真円度が0.5以上である請求項1記載の吸収性物品。
【請求項6】 上記親水性セルロース繊維が架橋セルロース繊維である請求項1、4、又は5記載の吸収性物品。」とあるのを
請求項1〜3として
「【請求項1】 液体透過性の表面材、液体保持性の吸収体及び液体不透過性の防漏材を具備する吸収物品において、上記吸収体は、水溶性バインダーを含浸させた親水性セルロース繊維からなる集合体を圧縮してなるシート状物を一部または全体としており、
上記親水性セルロース繊維の繊維断面の面積が5.0×10-6cm2以上であるセルロース繊維、繊維断面の面積が3.0×10-6cm2以上で且つ繊維断面の真円度が0.5以上であるセルロース繊維、又は架橋セルロース繊維であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】 上記集合体の圧縮密度が0.15〜0.5g/cm3であることを特徴とする請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】 上記シート状物の厚みは0.5〜3mmであり、液吸収時の厚みの膨張倍率が1.5倍以上である請求項1又は2記載の吸収性物品。」に訂正し、
▲2▼訂正事項b
本件明細書【0007】が
「【課題を解決するための手段】本発明者等は、…水溶性バインダーを含浸させた親水性セルロース繊維を含む集合体を圧縮してなるシート状物を一部又は全体としていることを特徴とする吸収性物品を提供するものである。」とあるのを
「【課題を解決するための手段】本発明者等は、…水溶性バインダーを含浸させた親水性セルロース繊維からなる集合体を圧縮してなるシート状物を一部又は全体としており、
上記親水性セルロース繊維の繊維断面の面積が5.0×10-6cm2以上であるセルロース繊維、繊維断面の面積が3.0×10-6cm2以上で且つ繊維断面の真円度が0.5以上であるセルロース繊維、又は架橋セルロース繊維であることを特徴とする吸収性物品を提供するものである。」と訂正し、
▲3▼訂正事項c
明細書【0011】が「…圧縮後の吸収シート2Aの圧縮密度は0.13〜0.5g/m3が好ましく、0.2〜0.3g/m3がより好ましい。密度が0.15g/m3未満では液吸収後の膨張倍率が低くなり好ましくなく、密度は0.5g/m3を超えると吸収体2の剛性が高くなりすぎ、快適な装着感を得ることが難しくなる。」とあるのを、
「…圧縮後の吸収シート2Aの圧縮密度は0.13〜0.5g/cm3が好ましく、0.2〜0.3g/cm3がより好ましい。密度が0.15g/cm3未満では液吸収後の膨張倍率が低くなり好ましくなく、密度は0.5g/cm3を超えると吸収体2の剛性が高くなりすぎ、快適な装着感を得ることが難しくなる。」と訂正し、
▲4▼訂正事項d
明細書【0013】が「吸収シート2Aの親水性セルロース繊維は、繊維断面の面積が5.0×10-6cm2以上もしくは繊維断面の面積は3.0×10-6cm2以上で、且つ繊維断面の真円度が0.5以上であるセルロース繊維、又は架橋セルロース繊維等が好ましい。…」とあるのを、
「吸収シート2Aの親水性セルロース繊維は、繊維断面の面積が5.0×10-6cm2以上であるセルロース繊維、繊維断面の面積は3.0×10-6cm2以上で且つ繊維断面の真円度が0.5以上であるセルロース繊維、又は架橋セルロース繊維が用いられる。…」と訂正するものである。
(c)訂正の目的の適否、拡張・変更の存否、及び新規事項の追加の有無
上記訂正事項aは、請求項1における親水性セルロース繊維を請求項5及び請求項5に記載のものに限定し、且つ、水溶性バインダーを含浸させた親水性セルロース繊維以外のものをも集合体を圧縮してなるシート状物の組成とすることを包含していたものを、組成を水溶性バインダーを含浸させた親水性セルロース繊維に限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当し、願書に添付した明細書(以下、特許明細書という。)に記載された範囲内のものである。
請求項2における集合体の圧縮密度の単位「g/m3」を「g/cm3」との訂正は、セルロース繊維を圧縮したものが、小さい力の圧縮であっても、技術常識として、m3当り0.15〜0.5gという小さい質量は考えられず、このことは、水溶性バインダーを含浸させて圧縮して製造された吸収シートの圧縮密度が、特許明細書【0023】、【0025】、【0027】、【0028】及び【0030】には、0.25g/cm3、0.2g/cm3又は0.1g/cm3と記載されていること、及び、比較例として記載されている圧縮されていない吸収シートの圧縮密度が0.06g/cm3であることからみて、「g/m3」は「g/cm3」の誤記であることは明らかであるので、誤記の訂正に該当する。
訂正事項b及びdは、訂正事項aの特許請求の範囲の訂正に伴って、特許明細書の記載を整合させるための訂正であるから、明りょうでない記載の釈明に該当する。
訂正事項cは、圧縮した吸収シートのの圧縮密度の単位「g/m3」を「g/cm3」との訂正するものであるが、上記の訂正事項aにおいて述べた理由によって誤記の訂正に該当する。
また、これらの訂正a〜dは実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものでもない。
(d)独立特許要件の判断
後述の3.特許異議申し立てについての判断に記載した理由により、訂正後の請求項1〜3に係る発明は、独立して特許を受けることができる発明である。
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2〜4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.特許異議申立についての判断
イ、本件特許発明
本件請求項1〜3に係る発明は、訂正された特許明細書および図面の記載からみて、上記訂正事項aに摘示した特許請求の範囲に記載されたとおりのものと認められる。
ロ、異議申立の概要
異議申立人は、甲第1号証(特開平2-74254号公報)、甲第2号証(特開平5-68693公報)、及び、甲第3号証(特開昭63-54159号公報)を提出して、訂正前の本件請求項1及び3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから特許法第29条第1項第3号に該当し、また、請求項1及び3〜6に係る発明は、甲第1〜3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものであるから、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、請求項2の記載は不備があるので、同法第36条第5項の規定する要件を満たしていない特許出願に対して特許されたものであるので、特許法第113条第1項第2号及び第4号の規定により取り消されるべきであると主張している。
ハ、特許法第29条第1項第3号について
a)証拠記載の発明
異議申立人甲第1号証には、次の事項が記載されている。
▲1▼ 本発明は、吸収性物品用吸収体に関し、さらに詳しくは、使い捨てオムツ、生理用ナプキンなどの吸収復元性を有する吸収体およびその製造方法に関する。(2頁右上欄)
▲2▼ 吸収体1は、熱溶融捲縮繊維2と、綿状パルプ3と、吸収性ポリマー粒子4との混合からマット状体に構成してある。(2頁右下欄)
▲3▼ この吸収体は、後述するように、混合材料をマット状体に集合した状態で、必要に応じて小量の水又はバインダー水溶液の介在下に、厚さ方向に圧縮し、その密度を0.033〜0.7g/cm3となしてある。…吸収体の厚さは、1〜3mmである。…、ほぼ吸水飽和状態での圧縮復元率が30%以上、好ましくは50%以上である。(3頁左下〜右下欄)
▲4▼ 吸水湿潤下での保形性、強度性、圧縮復元弾性に優れる。しかも、吸収体は体液の吸収前では小嵩であるから、この吸収体を用いた使い捨てオムツや生理用ナプキンなどの形態も小嵩となり、これらの包装、搬送、店頭陳列などに便利であり、かつ、使用による体液の吸収後では嵩が増大して吸収容量が増大するとともに股間部にフィットして体液の漏れ防止に役立つ。(4頁左下〜右下欄)
b)対比・判断
本件請求項1に係る発明と甲第1号証に記載されたものとを対比する。
甲第1号証には、上記摘示事項を総合すると、使い捨てオムツ、生理用ナプキンなどの吸収復元性を有する吸収体(▲1▼)について、この吸収体は、熱溶融捲縮繊維と、綿状パルプと、吸収性ポリマー粒子との混合からマット状体に構成してあるもの(▲2▼)であって、混合材料をマット状体に集合した状態で、必要に応じて小量の水又はバインダー水溶液の介在下に、厚さ方向に圧縮し、その密度を0.033〜0.7g/cm3となしてあり、吸収体の厚さは1〜3mm、ほぼ吸水飽和状態での圧縮復元率が好ましくは50%以上(▲3▼)であって、吸水湿潤下での保形性、強度性、圧縮復元弾性に優れれ、この吸収体を用いた使い捨てオムツや生理用ナプキンなどの形態も小嵩となり、これらの包装、搬送、店頭陳列などに便利であり、かつ、使用による体液の吸収後では嵩が増大して吸収容量が増大するとともに股間部にフィットして体液の漏れ防止に役立つ(▲4▼)という効果を奏することが記載されているものと認められる。そして、綿状パルプは親水性セルロース繊維であること及び吸収体の厚さからみてシート状物であることは明らかであること、本件請求項1に係る発明の吸収性物品は生理用ナプキン、紙おむつ、失禁者用パッドなどに使用されるもの(【0001】)であること、及び、これらの吸収性物品は、通常、液体透過性表面材、液体保持性の吸収体及び液体不透過性の防漏材を具備するものであることから、両者は、液体透過性の表面材、液体保持性の吸収体及び液体不透過性の防漏材を具備する吸収性物品において、吸収体が、水溶性バインダーを含浸させた親水性セルロース繊維を含む集合体を圧縮してなるシート状物を一部としているものである点で一致し、前者は、吸収体が水溶性バインダーを含浸させた親水性セルロース繊維からなる集合体を圧縮してなるシート状物であって、さらに親水性セルロース繊維の断面積、繊維断面の真円度を一定の範囲で限定するか、架橋セルロース繊維であると限定しているのに対して、後者は、該シート状物が熱溶融捲縮繊維と吸水性ポリマー粒子を構成成分とし、親水性セルロース繊維について綿状パルプと記載されている点で相違する。
そこで、この相違点を検討すると、架橋セルロース繊維及び上記限定を有するセルロース繊維は、通常吸収性物品に用いられるセルロース繊維であるとは認められないので、綿状パルプとは異なるものである。
したがって、本件請求項1に係る発明は、吸収体の構成成分及び親水性セルロース繊維が異なっているのであるから、甲第1号証に記載されたものではない。
ニ、特許法第29条第2項について
i)請求項1に係る発明について
a)証拠記載の発明
甲第1号証には、上記は、ハ、i)a)に摘示した事項が記載されている。
甲第2号証には、液体透過性の表面材、液体保持性の吸収体及び液体不透過性の防漏材を有する吸収物品において、表面材と吸収体との間に、吸収性シートが配置され、この吸収性シートはa)嵩高性の親水性、b)熱溶融性接着繊維、及びc)水溶性の結合剤もしくは抄紙用助剤を混合・抄紙して造られており、また、2.5g/cm3荷重下において、0.3〜2.0mmの厚さを有するものである(特許請求の範囲の請求項1)こと及びa)における嵩高性の親水性繊維としては、繊維断面面積が5×10-6cm2以上であるセルロース繊維(第6欄)、繊維断面面積が3.0×10-6cm2以上で且つ断面の真円度が05以上のセルロース繊維(第9欄)が挙げられることが記載されている。
甲第3号証には、吸収製品に化学的に橋かけ結合を有するセルローズファイバが有用である旨が記載されている。
b)対比・判断
本件請求項1に係る発明と甲第1号証に記載のものとを対比すると、上記ハ、i)b)に述べたように、吸収体の構成成分及び親水性セルロース繊維が異なっている点で相違し、その他の点は一致する。
そこで、この相違点について検討する。
甲第2号証に記載の吸収シートは、吸収性物品における液体透過性の表面材と液体保持性の吸収体との間に配置されるものであって、液体保持性の吸収体ではない。そして、吸収性シートに用いられる嵩高性親水性繊維は繊維断面面積が5×10-6cm2以上であるセルロース繊維、又は繊維断面面積が3.0×10-6cm2以上で且つ断面の真円度が0.5以上のセルロース繊維であるが、セルロース繊維及び水溶性結合剤(バインダー)の外に熱溶融性接着繊維を必須成分とするものであって、この吸収性シートが吸収性物品における液体保持性の吸収体に適用することについては何等記載されていない。
また、化学的橋かけ結合を有するセルローズファイバは架橋セルロース繊維を意味するものであるから、甲第3号証には、吸収性物品における吸収体に架橋セルロース繊維を用いることは記載されているものの、水溶性バインダーに含浸させた架橋セルロース繊維は記載されてなく、この集合体を圧縮することについても示唆されていない。
ところで、本件特許明細書の表1には、水溶性バインダーを含浸させた請求項1に規定する液体保持性吸収体であるセルロース繊維からなる集合体を圧縮してなるシート状物(吸収性シートA〜D)は、水溶性バインダーを含まない架橋パルプ(架橋セルロース)を圧縮したシート状物(吸収性シートE)、針葉樹クラフトパルプを圧縮したシート状物(吸収性シートF)、圧縮しない針葉樹クラパルプ(吸収性シートG)と比較して、厚みの回復率、及び液吸収後の厚みの膨張率において、顕著な効果を奏していることが示されている。
そうすると、甲第1号証に記載されている吸収体おいて、甲第2号証〜甲第3号証に記載されている事項を組合わせても請求項1に係る発明を想到できるものではない。
したがって、本件請求項1に係る発明は、甲第1号証〜甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
ii)請求項2〜3に係る発明について
請求項2〜3に係る発明は、請求項1に係る発明をさらに限定したものであるから、甲第1〜3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ホ、特許法第36条第5項について
請求人は、請求項2のシート状物を構成する集合体の圧縮密度について、「0.15〜5g/m3」と記載され、明細書の「0.2g/cm3」との記載と一致していない点で請求項の記載が不備である旨主張している。
しかし、これは、上記のように「015〜5g/cm3」と誤記の訂正がなされた。
したがって、請求項2の記載に不備はない。
4.むすび
以上のとおりであるから、本件特許が特許法第29条第1項第3号又は第29条第2項に違反してされたものではなく、また、同法36条第5項に規定する要件を満たしていない特許出願に対して特許されたものではない。
また、本件特許については、他に取消理由を発見しない。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
吸収性物品
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 液体透過性の表面材、液体保持性の吸収体及び液体不透過性の防漏材を具備する吸収性物品において、上記吸収体は、水溶性バインダーを含浸させた親水性セルロース繊維からなる集合体を圧縮してなるシート状物を一部又は全体としており、
上記親水性セルロース繊維は、繊維断面の面積が5.0×10-6cm2以上であるセルロース繊維、繊維断面の面積が3.0×10-6cm2以上で且つ繊維断面の真円度が0.5以上であるセルロース繊維、又は架橋セルロース繊維であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】 上記集合体の圧縮密度が0.15〜0.5g/cm3であることを特徴とする請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】 上記シート状物の厚みは、0.5〜3mmであり、液吸収時の厚みの膨張倍率が1.5倍以上である請求項1又は2記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、生理用ナプキン、紙オムツ、失禁者用パッドに代表される吸収性物品に関するものであり、更に詳しくは、吸収体の一部又は全部に、水溶性バインダーを含浸させた親水性セルロース繊維の圧縮シートを用いることにより、極めて極薄で快適であり、且つ体液の吸収特性、特に再吸収速度及び漏れ防止性を向上させた、極めて使用者が快適に使用できる高吸収性の吸収性物品に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来から、体液の吸収性の向上を目的とした吸収性物品や、使用者が装着時に動きやすく快適に使用できる吸収性物品等の提案が数多く行われ、数多くの改善がなされたきた。そして、これらの改善の大部分は、吸収速度の向上、漏れ防止等の吸収特性や、使用感の向上の為の製品の薄型化にあった。
例えば、吸収体の素材に関しは、物理的微細空間で液を吸収保持する親水性の吸収紙やパルプ等に替えて、液を物理化学的な作用、即ち、イオン浸透圧を利用して高吸収性ポリマーに液体を吸収、保持させることによって吸収容量を向上させると共に吸収後の液戻りを防止することが提案されている。事実、この提案により、吸収性が向上し、現在は、パルプと高吸水性ポリマーとを併用した吸収体が殆どの吸収性物品に用いられている。
【0003】
しかし、これらの吸収性物品であっても依然として漏れ防止に関して十分なものとは言えない。そして、このような事実は、吸収性物品に対する不満の第一が漏れにあることにより示唆されている。即ち、イオン浸透圧によって液体を吸収、保持させるタイプの高吸水性ポリマーでは体液の吸収速度に限度があり、更に高吸水性ポリマーが体液に充分に濡れないと体液を吸収できないため、高吸水性ポリマーは、吸水速度の速いパルプなどと併用して用いざるを得なかった。また、パルプは、吸収体として柔軟なフラッフ吸収層を形成した時に、スポット的に血液を吸収する為に、吸収体全体を効率良く利用する為に必要とされる拡散性に劣る。更に、パルプは、その乾燥時にある程度の圧縮及び曲げ回復性を示すが、湿潤時には極度に強度が低下し、殆どそれらの回復性を示さないため、湿潤したパルプに応力が加わると、パルプは圧縮変形(以下「ヨレ」という)してその吸収空間が著しく減少し、一旦吸収した体液がヨレに伴って容易に戻ってしまう。このヨレに伴うパルプ繊維空間の減少がポリマーへの体液の移動抵抗の増大につながり、ポリマーの吸収効率を低下させるばかりか、吸収体全体としてもヨレた後の再吸収速度が著しく低下する為、漏れにつながることが多くなっている。
【0004】
これらのフラッフパルプの拡散性の乏しさを改善する為、パルプを圧縮/高密度化することにより拡散性を向上させる技術が、これまでに数多く報告されているが、パルプの圧縮は、パルプの繊維間距離が密になりすぎ、吸収速度及びポリマーへの体液の移動抵抗を非常に大きくし、その結果としてポリマーの吸収効率を悪化させる。
従来のフラッフパルプ/吸水ポリマー吸収体では、吸収速度と拡散性を両立した吸収体が得られておらず、依然として吸収性、漏れ防止性に関して未だ十分でない。
【0005】
また、パルプのセルロースを適当な架橋剤で架橋することにより、ウエット時の弾性率の低下を抑制し、ヨレ/ヘタリを低減させる技術は、これまでにも数多く報告されている。例えば、特開昭63-264971号公報には、嵩高構造(ねじれ構造)を有する架橋パルプが報告されているが、この様な架橋パルプを用いる吸収体は、確かにドライのみならず、液を吸収後でも嵩高構造を維持し、スポット吸収性及び吸収速度の速い吸収体を得ることが出来る。しかし、パルプ自身が嵩高構造を有し且つ架橋により圧縮抵抗力も高いがゆえに、圧縮してもパルプが薄型/高密度化できず、吸収性に優れた極薄の吸収体が充分に得られない。
【0006】
特開平4-89053号公報には、極薄で吸収性に優れた吸収性物品を得る技術が報告されている。吸収透過性及び拡散性の異なる種々の吸収性シートと高吸収性ポリマーを組み合わせて吸収体を構成することにより、吸収速度/拡散性/血液の保持性に優れた極薄の吸収性物品が得られているが、吸収体を構成する吸収性シートの数は多く、生産性の低下を招きコストアップを引き起こす。
従って、本発明の目的は、吸収速度、特に再吸収速度に優れ、漏れ防止性及び極薄で使用者の快適性に優れ、また製造が容易な吸収性物品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意研究の結果、水溶性バンイダーを含浸させた特定の親水性セルロース繊維からなる繊維集合体を圧縮して極薄のシート状物を、吸収性物品の吸収体の一部又は全体として用いることにより上記目的を達成し得ることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、液体透過性の表面材、液体保持性の吸収体及び液体不透過性の防漏材を具備する吸収性物品において、上記吸収体は、水溶性バインダーを含浸させた親水性セルロース繊維からなる集合体を圧縮してなるシート状物を一部又は全体としており、
上記親水性セルロース繊維は、繊維断面の面積が5.0×10-6cm2以上であるセルロース繊維、繊維断面の面積が3.0×10-6cm2以上で且つ繊維断面の真円度バ0.5以上であるセルロース繊維、又は架橋セルロース繊維であることを特徴とする吸収性物品を提供するものである。
【0008】
本発明に係る吸収性物品は、例えば図1及び図2の実施例の断面図で示すが如く、液体透過性の表面シート1(表面材)、液体保持性の吸収体2及び液体不透過性の裏面シート3(防漏材)を具備する点において従来と同様である。
しかして、本発明に係る吸収性物品の吸収体2は、水溶性バインダーを含浸させた親水性セルロース繊維を含む集合体を圧縮してなるシート状物2A(以下、吸収シートという。)を一部又は全体としている。
【0009】
本発明に係る吸収性物品を更に説明すると、吸収体2は、一部又は全体として水溶性バインダーを含浸した親水性セルロース繊維を圧縮した吸収シート2Aを用いることを必要とし、吸収シート2Aは、バインダーを含浸しているが故に、吸収シート2Aの圧縮成型時、極めて圧縮が容易で且つ密度安定性に優れた極薄の吸収シートとすることができる。尚、図1及び図2に示す如く、吸収シート2Aは、後述の吸収性ポリマー2Bと併用、或いはシート2A内に分散させて用いられる。
【0010】
吸収シート2Aは、体液の排泄時に液を吸収すると、水溶性バインダーが溶解し、その担体である親水性セルロース繊維間の結合が解放され、圧縮された方向に膨張する。従って、吸収性物品の吸収体2が体液を吸収すればする程、吸収シート2Aは膨張、即ち親水性セルロース繊維間の距離が増大し、液吸収後の再排泄時の再吸収速度が極めて優れた吸収性物品を提供する。また、液吸収時に吸収シート2Aが膨張することは、再吸収速度が速いばかりか、身体との隙間をなくし、極めてフィット性が向上し漏れの防止にもつながる。また、膨張による繊維間距離の増大は、吸収性ポリマー2Bと複合し吸収体2を構成した時、ポリマーへの移動抵抗を低下させることにもつながり、極めて吸収性ポリマー2Bの吸収効率を向上させ、その結果液戻りの少ない漏れ難い吸収性物品を得る。
【0011】
圧縮した吸収シート2Aの厚みは、0.5〜3mmが好ましく、液吸収時の厚みの膨張倍率も1.5倍以上が好ましい。この厚み範囲での吸収シート2Aでは、極薄で且つ高吸収性の吸収性物品を容易に得ることができる。厚みが0.5mm未満もしくは膨張倍率1.5倍未満では、上記膨張効果を十分に発揮できず、また必要な吸収容量が得られない。逆に厚みが3mmを超えると極薄の吸収性物品を得ることが難しくなる。圧縮後の吸収シート2Aの圧縮密度は0.15〜0.5g/cm3が好ましく、0.2〜0.3g/cm3がより好ましい。密度が0.15g/cm3未満では液吸収後の膨張倍率が低くなり好ましくなく、密度が0.5g/cm3を超えると吸収体2の剛性が高くなりすぎ、快適な装着感を得ることが難しくなる。
【0012】
吸収シート2Aの親水性セルロース繊維に含浸させる水溶性バインダーは、水及び/もしくは有機溶剤に溶解し、且つ尿及び経血等体液を吸収することにより、溶解あるいは膨潤して繊維間の結合強度が低下するものが使用できる。例えば、にかわ、ゼラチン、ガゼイン、アルブミン、デンプン、ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプンポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。望ましくは、常温で造膜性があるもの、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等が好ましい。
水溶性バインダー量は、0.1〜10wt%が好ましく、0.1〜5wt%がより好ましい。0.1wt%未満では、親水性セルロース繊維間の望ましい結合力が得られず、逆に10wt%をこえると親水性セルロース繊維が過度にベタツキ、製品上好ましくない。
水溶性バインダーを付着/含浸させる方法は、従来公知の方法で良く、例えば、セルロース繊維を水溶性バインダー溶液に浸漬した後、適度に脱液することにより水溶性バインダーを含浸した親水性セルロース繊維が得られる。この他、スプレー、グラビア塗工、ロール塗工の方法も用いられる。
【0013】
吸収シート2Aの親水性セルロース繊維は、繊維断面の面積が5.0×10-6cm2以上であるセルロース繊維、繊維断面の面積が3.0×10-6cm2以上で且つ繊維断面の真円度が0.5以上であるセルロース繊維、又は架橋セルロース繊維が用いられる。更には、これらの特性を併有したものが好ましい。架橋セルロース繊維を水溶性バインダーで圧縮した吸収シート2Aは、繊維自身の濡れ弾性率が高い為に、液吸収後、より高い繊維の膨張力が得られ、また、上記の繊維断面の面積を有する親水性セルロース繊維も同様に高い膨張力を得ることができる。
【0014】
このような親水性セルロース繊維は、通常、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、綿、麻等の天然セルロース繊維及びレーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維に等が挙げられる。また、その架橋セルロース繊維としては、パルプ、レーヨン等のセルロース繊維を適当な架橋剤、例えばジメチロールエチレン尿素やジメチロールジヒドロキシエチレン尿素等のN-メチロール化合物やクエン酸、トリカルバリル酸、ブタンテトラカルボン酸等のポリカルボン酸等でセルロース分子内もしくは分子間を架橋させたものである。
また、繊維断面の面積が5.0×10-6cm2以上もしくは断面の面積が3.0×10-6cm2以上で、且つ断面の真円度が0.5以上の親水性セルロース繊維としては、断面面積や断面の形状を自由に制御できる再生セルロースやパルプ繊維断面を膨潤/増大させたマーセル化パルプ等を用いることができる。
【0015】
このように、高い嵩高構造を有する親水性セルロース繊維に水溶性バインダーを含浸させることにより、高密度の圧縮成型が可能となり、圧縮された吸収シート2Aには、該圧縮するのに有した圧縮エネルギーが蓄積され、液が排泄された後、水溶性バインダーが溶解し、蓄積された圧縮エネルギーが解放され、より高い膨張力が発現し、吸収シート2Aは膨張する。その結果、排泄後の再吸収速度及び身体へのフィット性に優れた吸収性物品を提供する。
また、ここで、より高い圧縮エネルギーを蓄積する為に繊維自身が嵩高構造を有することが望ましく、例えば、ねじれ、クリンプ、分岐、屈曲構造を有しているか、断面の面積が5.0×10-6cm2以上、もしくは断面の面積が3.0×10-6cm2以上で、且つ真円度が0.5以上のセルロース繊維を、更に液吸収後の弾性率を高くするために架橋処理することが最も望ましい。
【0016】
吸収シート2Aと共に用いられる吸収性ポリマー2Bは、吸収性物品に用いられている既に公知のものを用いても良く、特にその使用に制限はない。このような吸収性ポリマー2Bとしては、例えば自重の20倍以上の液体を吸収して保持し得る高吸収性ポリマー等があり、特にゲル化する性質を有する粒子状のもの等が好ましく、このような吸収性ポリマー2Bとしては、デンプン-アクリル酸(塩)グラフト共重合体、デンプン-アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物、アクリル酸(塩)重合体等が好ましい。
【0017】
高吸収性ポリマーと上記バインダーを含浸させた親水性セルロースを併用した吸収体2では、従来の吸収体においてフラッフパルプが液吸収時にヨレる、即ち吸収空間の減少が吸収速度の低下につながり、吸収ポリマーの効果を十分に発揮させる前に漏れてしまっていたものが、逆に、液吸収時、膨張即ち吸収空間が増大する。このため、吸収性ポリマー2Bは、再吸収速度の低下がなく、繊維間距離も増大し、その体液移動抵抗が体液を吸収する程低下する。
その結果、従来のフラッフパルプの吸収体に比べ、吸収性ポリマー2Bの吸収効率が格段に向上させる吸収体2を得ることができ、吸収速度及び液保持性に優れた吸収性物品を提供することができる。
【0018】
尚、上記表面シート1、裏面シート3、及びその他の吸収体2の抄造紙2C、2Dに使用される素材としては、生理用ナプキン、その他の衛生用品に既に使用されている、それ自体公知なものであっても良く特に使用に制限はない。
好ましい表面シート1の素材としては、排泄物を吸収体2へ透過させる液透過性シートで肌着に近い感触を有したものが好ましく、このようなう液透過性シートとしては、例えば、織布、不織布、多孔性フィルム等がある。また、表面シート1に機能を持たせて、その周縁にシリコン系油剤、パラフィンワックス等の疎水性化合物を塗布する方法や、予めアルキルリン酸エステルのような親水性化合物を全体に塗布し、周縁を温水で洗浄する方法により、撥水処理を施し、周縁における尿等の滲みによる漏れを防止できるものを用いても良い。
また、好ましい裏面シート3としては、熱可塑性樹脂にフィラーを加えた延伸した、蒸気を透過させる透湿性のある液不透過性シートが好ましく、肌着に近い感触を有したものが好ましい。このような液不透過性シートとしては、例えば、フィルムと不織布の複合材等がある。
【0019】
【作用】
本発明の吸収性物品は、水溶性バインダーを含浸した親水性セルロース繊維を圧縮した吸収体を使用しているが故に、表面材を透過した体液が吸収体、即ち親水性セルロース繊維間に吸収されると、水溶性バインダーが溶解し、圧縮したシート状物に蓄積された圧縮エネルギーが解放され、吸収空間が膨張する。空間の膨張に伴い、繊維間距離が増大する為、吸収速度が極めて向上し、しかも吸収性ポリマーへの移動抵抗が減少し、体液は極めてスムーズに吸収性ポリマーに移行する。また、再排泄時には、吸収空間が増大している為、身体へのフィット性も極めて高く、且つ再吸収速度も極めて高い、漏れの少ない極薄の吸収性物品を得ることができる。
【0020】
【実施例】
次に、本発明の吸収性物品を下記実施例に基づいて、具体的に説明する。尚、本発明の吸収性物品の実施例においては、生理用ナプキンを例に挙げて説明するが、本発明は紙オムツ等にも同様に適用することが出来る。また、本発明の吸収性物品は以下の実施例に限るものではない。
【0021】
(実施例1)
本発明に係る吸収性物品の実施例を図1に従って詳述する。図1は、本実施例の生理用ナプキンの断面図である。
図1に示す如く、生理用ナプキン10は、基本的に液体透過性の表面シート1、液体保持性の吸収体2及び液体不透過性の裏面シート3を有する。吸収体2と裏面シート3とは接着剤6Aで固定され、裏面シート3と裏面シート3を包む表面シート1とは接着剤6Bで固定される。尚、表面シート1の肌着当接面には、ズレ止めテープ4、4が剥離紙5と共に設けられている。
吸収体2は、吸収シート2A、高吸収性ポリマー2B、高吸収性ポリマー2Bを保持する保持紙2C、及び2Dから成っている。
【0022】
具体的に、吸収シート2Aは、水溶性バインダーを含浸した親水性セルロース繊維集合体を圧縮した下記条件の下で製造された吸収シート(A)である。吸収シート2Aは、長さ195mm、幅70mmで、高吸収性ポリマー2B(ポリアクリル酸ソーダ、商品名;MX-2123、花王(株))は、ほぼ均一に0.5g散布され、ポリマー2Bが脱落しない様に、クラフトパルプを坪量18g/m2で抄紙した長さ195mm、幅70mmの湿式保持紙2Dと、長さ195mm、幅130mmの湿式保持紙2Cで包持されている。
吸収体2は、ポリエチレンラミネート紙から成る裏面シート3(長さ225mm、幅95mm)で巻き上げられ、表面シート1は、長さ225mm、幅172mmの下記の表面シート(A)が用いられている。このように作製した生理用ナプキンを実施品1とした。
【0023】
〔吸収シート(A)〕
親水性セルロース繊維として、ねじれ構造を有する架橋パルプ(商品名;HighBulk Additive(以下、HBAと称す)、ウエハウザーぺ一パー(株))にあらかじめ、カルボキシメチルセルロース(以下、CMCと称す)(商品名;サンローズF10MC、山陽国策パルプ(株)性)2wt%水溶液に浸漬した後、セルロース繊維に対してCMCが3wt%付着する様に脱液/乾燥させる。水溶性バインダーが3wt%含浸した架橋パルプを坪量300g/m2で積繊し、パルプシート全体を水スプレーにより若干湿潤させ、その後圧縮/乾燥し、厚み1.2mm、即ち圧縮密度0.25g/cm3の吸収シート(A)を得た。
【0024】
〔表面シート(A)〕
アルキルホスフェートとソルビタン脂肪酸エステルの混合界面活性剤が0.34重量%〕付着したポリエチレン/ポリプロピレン複合繊維(チッソ(株)製)を用いた坪量25g/m2の乾式熱接着不織布を、図3に示すように、不織布22上に、抵密度ポリエチレン21(三井石油化学(株)製)を25μラミネートしたもので、壁部23の開孔24の大きさが0.1〜2mm2で孔の密度が52個/cm2である表面シートを得た。これを表面シート(A)とした。
【0025】
(実施例2)
実施例1で用いた吸収シート(A)の代わりに、下記吸収シート(B)を用いる以外は、実施例1及び図1に示す構造と同様にして生理用ナプキンを作成した。このように作成した生理用ナプキンを実施品2とした。
〔吸収シート(B)〕
親水性セルロース繊維として、繊維断面面積が3.8×10-6cm2で、繊維断面の真円度が0.80のマーセル化パルプ(商品名;ポロセニア-J、ITT RAYONIER INC.)シートにあらかじめ、CMC(商品名;サンローズF10MC)2wt%水溶液に浸漬した、マーセル化パルプに対して水溶性バインダーが2wt%付着する様に脱液/乾燥させる。水溶性バインダーを2wt%含浸したマーセル化パルプを坪量300g/m2で積繊し、パルプシート全体を、若干の水スプレー散布により湿潤させ、その後、圧縮/乾燥し、厚み1.2mm、即ち圧縮密度0.25g/cm3の吸収シート(B)を得た。
【0026】
また、繊維断面面積の測定は、繊維の断面を面積が変化しないように、垂直にスライスし、電子顕微鏡により断面写真をとる。その繊維断面を画像解析装置(日本アビオニクス社製Avio EXCEL)により断面面積を測定する。任意の繊維断面を100点測定し、その平均値を繊維断面面積とした。
次に、繊維断面の真円度は、同様に断面写真より、画像解析装置で、下記に示す式(1)を用いて繊維断面の真円度を求めた。任意の繊維断面を100点測定し、その平均値を繊維断面の真円度とした。
【数1】

【0027】
(実施例3)
実施例1で用いた吸収シート(A)の代わりに、下記吸収シート(C)を用いる以外は、実施例1及び図1に示す構造と同様にして生理用ナプキンを作成した。このように作成した生理用ナプキンを実施品3とした。
〔吸応シート(C)〕
親水性セルロース繊維として、繊維断面面積が3.5×10-6cm2で、繊維断面の真円度が0.55のマーセル化パルプ(商品名;フィルタニア-J、ITT RAYONIER INC.)シートにあらかじめ、CMC(商品名;サンローズF10MC)2wt%水溶液に浸漬したマーセル化パルプに対して水溶性バインダーが2wt%付着する様に脱液/乾燥させる。水溶性バインダーを2wt%含浸したマーセル化パルプを坪量300g/m2で積繊し、パルプシート全体を、若干の水スプレー散布により湿潤させ、その後、圧縮/乾燥し、厚み1.2mm、即ち圧縮密度0.25g/cm3の吸収シート(C)を得た。
【0028】
(実施例4)
図2は別の実施例の生理用ナプキン20の断面図である。生理用ナプキン20は、図1に示す生理用ナプキン10と略同様に構成されており、図1に示す生理用ナプキン10における部材と同様な部材については図2において同一符合を付してその詳しい説明を省略するが、図1の生理用ナプキンと異なるところは、吸収体2の吸収シート2A内に高吸収性ポリマー2Bが分散されていることである。
図2に示す如く、吸収シート2Aは、内部に実施例1と同様な高吸収性ポリマー2Bが分散され、その長さ195mm、幅70mmで、基本的に下記の吸収シート(D)である。それ以外は、実施例1と同様にして生理用ナプキンを作成した。このように作成した生理用ナプキンを実施品4とした。
〔吸収シート(D)〕
親水性セルロース繊維として、吸収シート(A)に用いる水溶性バインダーが3wt%含浸した架橋パルプ坪量250g/m2の間に、図2に示す様に架橋パルプの間に吸収性ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、商品名;MX-2123、花王(株))を坪量50g/m2の割合で混合し、その後、シート全体を水スプレー散布により湿潤させ、その後圧縮/乾燥し、厚み1.5mm、即ち圧縮密度0.2g/cm3の吸収シート(D)を得た。
尚、吸収シート(A)〜(D)においては、1週間放置し、再び厚みを測定したが、厚みの変化はなかった。
【0029】
(実施例5)
実施例1で用いた表面シート(A)の代わりに、下記表面シート(B)を用いる以外は、実施例1及び図1に示す構造と同様にして生理用ナプキンを作成した。このように作成した生理用ナプキンを実施品5とした。
〔表面シート(B)〕
市販の生理用ナプキン(商品名;ロリエ、花王(株))の表面シート(不織布)を表面シート(B)とした。
【0030】
(比較例1)
実施例1で用いた吸収シート(A)の代わりに、下記の吸収シート(E)を用いる以外は、実施例1及び図1に示す構造と同様にして生理用ナプキンを作成した。このように作成した生理用ナプキンを比較品1とした。
〔吸収シート(E)〕
親水性セルロース繊維として、ねじれ構造を有する架橋パルプを坪量150g/m2で積繊し、その後圧縮し、厚み1.5mm、即ち圧縮密度0.1g/cm3の吸収シート(E)を得た。尚、この吸収シートは、1週間経過後厚みを測定したが、厚みの変化はなかった。
【0031】
(比較例2)
実施例1で用いた吸収シート(A)の代わりに、下記の吸収シート(F)を用いる以外は、実施例1及び図1に示す構造と同様にして生理用ナプキンを作成した。このように作成した生理用ナプキンを比較品2とした。
〔吸収シート(F)〕
親水性セルロース繊維として、針葉樹クラフトパルプNBKP(商品名;NB-420、ウエハウザーぺーパー(株))を坪量300g/m2で積繊し、その後圧縮し、厚み1.2mm、即ち圧縮密度0.25g/cm3の吸収シート(F)を得た。この吸収シートは、1週間経過後の厚みを測定すると、厚みが1.8mmまで回復した。
【0032】
(比較例3)
実施例1で用いた吸収シート(A)の代わりに、下記の吸収シート(G)を用いる以外は、実施例1及び図1に示す構造と同様にして生理用ナプキンを作成した。このように作成した生理用ナプキンを比較品3とした。
〔吸収シート(G)〕
親水性セルロース繊維として、針葉樹クラフトパルプNBKP(商品名;NB-420、ウエハウザーぺ一パー(株))を坪量300g/m2で積繊し、厚み5mm、即ち圧縮密度0.06g/cm3の吸収シート(G)を得た。この吸収シートは、1週間経過後の厚みを測定したが、厚みの変化がなかった。
【0033】
(比較例4)
実施例1で用いた吸収シート(A)の代わりに、上述の吸収シート(F)を用い、また表面シート(A)の代わりに表面シート(B)を用いる以外は、実施例1及び図1に示す構造と同様にして生理用ナプキンを作成した。このように作成した生理用ナプキンを比較品4とした。
【0034】
尚、吸収シート(A)〜(G)の、厚み、圧縮密度、厚みの回復率、液吸収後の厚みの膨張倍率を下記測定方法により求め、表1に示した。
▲1▼厚み、圧縮密度の測定
吸収シートを50×50mmにカットして、測定片を作成し、この測定片について荷重面積10cm2(半径17.8mmの円板)で2.5g/cm2の荷重をかけ、厚み計にて吸収性シートの厚みを求めた。合計10点の平均を求め、吸収シートの厚みとした。また、得られた厚みと坪量から圧縮密度を計算し求めた。
▲2▼厚みの回復率の測定
厚みを測定し吸収シート10点をそのまま1週間放置し、再び、荷重面積10cm2の円板で、2.5g/cm2の荷重をかけ、1週間放置後の厚みを求めた。合計10点の平均を求め、1週間放置後の厚みとし、以下の式により、厚みの回復率を測定した。尚、小数点以下は、四捨五入した。
【0035】
【数2】

【0036】
▲3▼液吸収後の厚みの膨張倍率
吸収シートを50×50mmにカットし、測定片を作成し、その測定片について初期厚みを測定する。生理食塩水中に1分間浸漬し、その後測定片を取り出し、液吸収後の測定片について、荷重面積10cm2(半径17.8mmの円板)で2.5g/cm2の荷重をかけ、再び厚み計にて、液吸収後の吸収シートの厚みを求め、下記の式に従い、液吸収後の厚みの膨張倍率を求めた。合計10点の平均を求め、液吸収後の膨張倍率とした。
【0037】
【数3】

【0038】
【表1】

【0039】
表1の結果から、吸収シート(A)〜(D)について、厚みが1.2〜1.5mmと薄く、密度が0.2〜0.25g/cm3と圧縮して高密度化しているにもかかわらず、1週間経過後の厚みの変化はない。従って、初期設定の構造が安定に保たれている。また、液を吸収するとバインダーが溶解し、吸収シートに蓄積されている圧縮エネルギーが解放される。これは、厚みが1.6〜2.3倍に吸収膨潤していることよりわかる。
吸収シート(E)及び(G)は、吸収シートの密度も0.06〜0.10g/cm3と比較的低密度の為、初期の厚みが保たれているが、液を吸収した時に、パルプ繊維自身がヘタッてしまい、厚みが減少してしまう。吸収シート(F)は、厚み1.2mm、密度0.25g/cm3と圧縮して高密度化しているが、構造を安定に保つことが出来ず、厚みの回復率が大きい。
【0040】
〔実施品及び比較品〕
次に、本実施例1〜5における本実施品1〜5及び比較例1〜4における比較品1〜4のそれぞれの生理用ナプキンを下記に示す方法によって、製品厚み(mm)、吸収時間、漏れ試験を各生理用ナプキンについて行い、それぞれ結果を下記する表2に示した。
【0041】
(1)製品厚み
生理用ナプキンを、荷重面積10cm2(半径17.8mmの円板)で2.5g/cm2の荷重をかけ、厚み計にて、生理用ナプキンの厚みを求めた。合計10点の平均を求め、生理用ナプキンの製品厚みとした。
(2)吸収時間の測定
図4に示す如く、実施例及び比較例で得られる生理用ナプキン40を水平に置き、直径10mmの注入口41のついてアクリル板42を載せる。試験用の生理用ナプキン40に5g/cm2の荷重がかかるように、更に重り43を載せる。注入口から脱繊維馬血(日本バイオテスト研究所(株)製)3gを注入し、液が完全に吸収されるまでの吸収時間(秒)を求める。液が完全に吸収されてから、10分間放置し、再び脱繊維馬血3gを注入し、同様に吸収時間を求める。更に10分放置後、脱繊維馬血3gを注入し、吸収時間を求めた。合計10点の平均を求め、それぞれ3g、6g、9g吸収時の吸収時間として求めた。
【0042】
(3)漏れ試験
実施例及び比較例で得られた試験用の生理用ナプキン40を、図5に示す如く、可動式女性腰部モデル50に装着させ、ショーツをはかせた後、100歩/分(50m/分)の歩行速度で10分間歩行させた。その後、チューブ51によって、脱繊維馬血を歩行させながら3g注入し、その後、同じ速度で10分間歩行させ、更に、その後、脱繊維馬血を3g注入した後、10分間歩行させ、更に、脱繊維馬血3g注入し、10分間歩行を繰り返し、それぞれの時点でサンプルを数10枚のうち漏れが発生した枚数を数えた。
【0043】
【表2】

【0044】
表2の結果より、実施品1〜5は、製品厚みが2.2〜2.5mmと極薄であるにもかかわらず、吸収時間、特に再吸収時間(6g目)が5〜9秒及び再々吸収時間(9g目)が6〜11秒と速く良好であり、漏れ発生数も0〜3回と少なく、本発明品は極薄で且つ吸収性能の優れていることがわかる。
一方、比較品1、2、4によれば、製品厚みは2.2〜2.5mmと極薄ではあるが、再吸収時間が18〜38秒及び再々吸収時間31〜62秒と遅く、9g吸収時間の漏れ発生数も8〜10回と吸収性能が劣っているのが明らかである。
比較品3については、吸収時間、漏れ性能は優れているが、製品厚みが6mmと厚く、極薄で装着感の高い生理用ナプキンではない。
【0045】
従って、実施品は、水溶性バインダーを含浸した親水性セルロース繊維を圧縮した吸収シートから構成されているがゆえに、身体から排泄された体液が吸収シートに吸収されると、水溶性バインダーが溶解し、吸収シートに蓄積されていた圧縮エネルギーが解放され、吸収空間を膨張する。その結果、フィット性が向上するばかりか、液を吸収した後でも、吸収速度がほとんど低下しない。漏れ難い吸収性物品を得ることが出来る。
本発明は上述した実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、水溶性バインダーを含浸した親水性セルロース繊維を圧縮した吸収シートを、吸収性物品全体に使用するのみならず、排泄ポイントのまわりに部分的に使用しても良い。
【0046】
【発明の効果】
本発明の吸収性物品は、吸収速度、特に再吸収速度に優れ、漏れ防止性及び極薄で使用者の快適性に優れ、また製造が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本実施例の生理用ナプキンの断面図である。
【図2】
別の実施例の生理用ナプキンの断面図である。
【図3】
生理用ナプキンに用いる表面シート(A)の一部切欠斜視図である。
【図4】
生理用ナプキンの液吸収時間の測定に用いる測定器具の断面図である。
【図5】
女性腰部モデルに生理用ナプキンを装着させた状態を示す斜視図である。
【符合の説明】
1 表面シート
2 吸収体
2A 吸収シート
2B 高吸収性ポリマー
2C、2D3 保持紙
3 裏面シート
10、20 生理用ナプキン
 
訂正の要旨 ▲1▼訂正事項a
特許請求の範囲の減縮及び誤記の訂正を目的として、特許請求の範囲の請求項1〜6が
「【請求項1】 液体透過性の表面材、液体保持性の吸収体及び液体不透過性の防漏材を具備する吸収物品において、上記吸収体は、水溶性バインダーを含浸させた親水性セルロース繊維を含む集合体を圧縮してなるシート状物を一部または全体としていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】 上記集合体の圧縮密度が0.15〜0.5g/m3であることを特徴とする請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】 上記シート状物の厚みは0.5〜3mmであり、液吸収時の厚みの膨張倍率が1.5倍以上である請求項1又は2記載の吸収性物品。
【請求項4】 上記親水性セルロース繊維の繊維断面の面積が5.0×10-6cm2以上である請求項1記載の吸収性物品。
【請求項5】 上記親水性セルロース繊維の繊維断面の面積が30×10-6cm2以上で、且つ繊維断面の真円度が0.5以上である請求項1記載の吸収性物品。
【請求項6】 上記親水性セルロース繊維が架橋セルロース繊維である請求項1、4、又は5記載の吸収性物品。」とあるのを請求項1〜3として
「【請求項1】 液体透過性の表面材、液体保持性の吸収体及び液体不透過性の防漏材を具備する吸収物品において、上記吸収体は、水溶性バインダーを含浸させた親水性セルロース繊維からなる集合体を圧縮してなるシート状物を一部または全体としており、
上記親水性セルロース繊維の繊維断面の面積が5.0×10-6cm2以上であるセルロース繊維、繊維断面の面積が3.0×10-6cm2以上で且つ繊維断面の真円度が0.5以上であるセルロース繊維、又は架橋セルロース繊維であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】上記集合体の圧縮密度が0.15〜0.5g/cm3であることを特徴とする請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】上記シート状物の厚みは0.5〜3mmであり、液吸収時の厚みの膨張倍率が1.5倍以上である請求項1又は2記載の吸収性物品。」に訂正し、
▲2▼訂正事項b
明りょうでない記載の釈明を目的として、本件明細書【0007】が
「【課題を解決するための手段】本発明者等は、…水溶性バインダーを含浸させた親水性セルロース繊維を含む集合体を圧縮してなるシート状物を一部又は全体としていることを特徴とする吸収性物品を提供するものである。」とあるのを
「【課題を解決するための手段】本発明者等は、…水溶性バインダーを含浸させた親水性セルロース繊維からなる集合体を圧縮してなるシート状物を一部又は全体としており、
上記親水性セルロース繊維の繊維断面の面積が5.0×10-6cm2以上であるセルロース繊維、繊維断面の面積が3.0×10-6cm2以上で且つ繊維断面の真円度が0.5以上であるセルロース繊維、又は架橋セルロース繊維であることを特徴とする吸収性物品を提供するものである。」と訂正し、
▲3▼訂正事項c
誤記の訂正を目的として、明細書【0011】が「…圧縮後の吸収シート2Aの圧縮密度は0.13〜0.5g/m3が好ましく、0.2〜0.3g/m3がより好ましい。密度が0.15g/m3未満では液吸収後の膨張倍率が低くなり好ましくなく、密度は0.5g/m3を超えると吸収体2の剛性が高くなりすぎ、快適な装着感を得ることが難しくなる。」とあるのを、
「…圧縮後の吸収シート2Aの圧縮密度は0.13〜0.5g/cm3が好ましく、0.2〜0.3g/cm3がより好ましい。密度が0.15g/cm3未満では液吸収後の膨張倍率が低くなり好ましくなく、密度は0.5g/cm3を超えると吸収体2の剛性が高くなりすぎ、快適な装着感を得ることが難しくなる。」と訂正し、
▲4▼訂正事項d
明りょうでない記載の釈明を目的として、明細書【0013】が「吸収シート2Aの親水性セルロース繊維は、繊維断面の面積が5.0×10-6cm2以上もしくは繊維断面の面積は3.0×10-6cm2以上で、且つ繊維断面の真円度が0.5以上であるセルロース繊維、又は架橋セルロース繊維等が好ましい。…」とあるのを、
「吸収シート2Aの親水性セルロース繊維は、繊維断面の面積が5.0×10-6cm2以上であるセルロース繊維、繊維断面の面積は3.0×10-6cm2以上で且つ繊維断面の真円度が0.5以上であるセルロース繊維、又は架橋セルロース繊維が用いられる。」と訂正するものである。
異議決定日 1999-10-08 
出願番号 特願平5-93227
審決分類 P 1 651・ 113- YA (A61F)
P 1 651・ 534- YA (A61F)
P 1 651・ 121- YA (A61F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 内田 淳子  
特許庁審判長 加藤 孔一
特許庁審判官 深津 弘
宮本 和子
登録日 1998-07-31 
登録番号 特許第2810290号(P2810290)
権利者 花王株式会社
発明の名称 吸収性物品  
代理人 羽鳥 修  
代理人 小野 尚純  
代理人 羽鳥 修  

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