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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
管理番号 1018308
異議申立番号 異議1998-74181  
総通号数 13 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1990-07-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-08-25 
確定日 2000-07-05 
異議申立件数
事件の表示 特許第2718971号「画像通信装置及びその制御方法」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2718971号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 1 本件発明の手続の経緯
本件特許第2718971号の請求項1乃至4に係る発明の手続の経緯は以下の通りである。
出願 平成1年1月13日
設定登録 平成9年11月14日
異議の申立 平成10年8月25日
取消理由通知 平成10年12月21日
訂正請求 平成11年3月30日
2 訂正の適否
1)請求項に関する訂正の内容
a)請求項1、3においてレポート出力に関し、「短縮キーリストに含まれるグループ情報をレポート出力する場合は、短縮キーにグループが登録されていることを示す情報及び該グループの略称を出力し、前記グループリストのグループ情報をレポート出力する場合は、グループに含まれる複数の相手局の人々の発呼情報及び該複数の相手局の夫々の略称を出力すること」を付加する。
b)請求項2、4において、詳細なリストに関し、「相手局の夫々が登録されている短縮キーの識別情報を含む詳細なリスト」と限定する。
2)詳細な説明に関する訂正の内容
c)[課題を解決するための手段]の段落において、レポート出力に関し、「短縮キーリストに含まれるグループ情報をレポート出力する場合は、短縮キーにグループが登録されていることを示す情報及び該グループの略称を出力し、前記グループリストのグループ情報をレポート出力する場合は、グループに含まれる複数の相手局の人々の発呼情報及び該複数の相手局の夫々の略称を出力すること」を付加する。
d)発明の効果の段落において、
詳細な説明の[発明の効果]の段落(明細書第17頁第12行〜第18頁6行目)の記載を、
「[発明の効果]以上説明したように本発明によれば、ワンタッチキーを含む短縮キーの中の短縮キーに、1つの相手局、あるいは複数の相手局からなるグループを登録しても、どの短縮キーにどの相手局、あるいはグループが登録されているかを簡単に認識することができる。また、短縮キーに登録されたグループの複数の相手局の夫々が登録されている短縮キーの識別情報を含む詳細なリストを表示するのでグループの詳細な情報を確認することができる。」と訂正する。

3)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記aの訂正事項は、短縮キーリストあるいはグループリストをレポート出力する際の態様を限定して範囲を減縮したものであって、これに関連する記載として、願書に添付した明細書の第15頁第8行〜第17頁第9行(本願の特許公報第4頁第8欄第25行〜第42行に相当する)、及び、第4図第5図に記載されていたものであるから、新規事項の追加に該当しない。
上記bの訂正はグループリストのグループ情報をレポート出力する場合の態様を限定して技術範囲を減縮したもので、明細書第16頁第16行〜第17頁第3行(本願の特許公報第4頁第8欄第43行〜第5頁第9欄第8行に相当)、及び第5図に記載されていたものであるから、新規事項の追加に該当しない。。
上記cの訂正については特許請求の範囲の訂正に伴う訂正であって、前示の通り、特許請求の範囲の減縮に該当し、新規事項の追加に該当しない。
上記dの訂正については、特許請求の範囲の訂正に伴う訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的としたもので、特許請求の範囲を拡張し、変更するものではない。
4)独立特許要件について
訂正明細書の請求項1乃至4に係る発明は、後記の通り特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
5)むすび
以上の通りであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する第126条第2-4項の規定に適合するもので、当該訂正を認める。
3 特許異議申立について
1)本件発明について
平成11年3月30日付けで提出された訂正明細書の請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1乃至4に記載された事項により特定される次の通りのものである。
(請求項1) ワンタッチキーを含む複数の短縮キーを有し、短縮キーの操作に応じて、その短縮キーに対応して登録されている相手局に画像データを送信することが可能な画像通信装置において、前記複数の短縮キーの各々に対応させて1つの相手局の発呼情報及び相手局の略称を含む相手局情報、あるいは、複数の相手局からなるグループの発呼情報及びグループの略称を含むグループ情報を登録させる登録手段と、
前記登録手段により登録された前記相手局情報及びグループ情報の短縮キーリスト、あるいは、前記短縮キーリストからグループ情報を抽出したグループリストを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された前記短縮キーリスト、あるいは前記グループリストをレポート出力するレポート出力手段を有し、
前記短縮キーリストに含まれるグループ情報をレポート出力する場合は、短縮キーにグループが登録されていることを示す情報及び該グループの略称を出力し、前記グループリストのグループ情報をレポート出力する場合は、グループに含まれる複数の相手局の夫々の発呼情報及び該複数の相手局の夫々の略称を出力することを特徴とする画像通信装置。
(請求項2) 前記グループリストは、前記グループの複数の相手局の夫々が登録されている短縮キーの識別情報を含む詳細なリストであることを特徴とする請求頂1に記載の画像通信裝置。
(請求項3) ワンタッチキーを含む複数の短縮キーを有し、短縮キーの操作に応じて、その短縮キーに対応して登録されている相手局に画像データを送信することが可能な画像通信装置の制御方法において、
前記複数の短縮キーの各々に対応させて1つの相手局の発呼情報及び相手局の略称を含む相手局情報、あるいは、複数の相手局からなるグループの発呼情報及びグループの略称を含むグループ情報を登録させる登録工程と、
前記登録工程により登録された前記相手局情報及びグループ情報の短縮キーリスト、あるいは、前記短縮キーリストからグループ情報を抽出したグループリストを選択する選択工程と、
前記選択工程により選択された前記短縮キーリスト、あるいは前記グループリストをレポート出力させるレポート出力させるレポート出力工程を有し、
前記短縮キーリストに含まれるグループ情報をレポート出力させる場合は、短縮キーにグループが登録されていることを示す情報及び該グループの略称を出力させ、前記グループリストのグループ情報をレポート出力させる場合は、グループに含まれる複数の相手局の夫々の発呼情報及び該複数の相手局の夫々の略称を出力させることを特徴とする画像通信装置の制御方法。
(請求項4)前記グループリストは、前記グループの複数の相手局の夫々が登録されている短縮キーの識別情報を含む詳細なりストであることを特徴とする請求項3に記載の画像通信装置の制御方法。
2)申立の理由の概要
異議申立人 徳間 功は、甲第1号証:特開昭63-220651号公報及び甲第2号証:特開昭61-248654号公報を提出し、請求項1乃至4に係る特許発明はこれら証拠に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第113条第1項第2号の規定により取り消すべきものであると主張する。
3)各証拠の認定
甲第1号証:
甲第1号証は、ファクシミリ装置に関するものであり、以下の記載がある。
「複数の発信元をテンキーや2〜3桁の番号に対応させて予め登録しておき、簡単なダイヤル操作で自動発信が行なえるワンタッチダイヤル機能あるいは短縮ダイヤル機能を備えたファクシミリ装置が知られている。」(第1頁右欄第1行目〜第5行目には、)
「このようなファクシミリ装置では、登録内容を確認したりその控えを残しておくために、記録紙へ一覧表として記録出力できるようになっている。第5図は、このような短縮ダイヤル登録リストの一例を示しており、従来は同図に示すように、例えば00〜99までの短縮ダイヤル番号を一通り記録する一方、その番号に対応する宛先名称やその電話番号が登録されている場合、同一行にそれらを記録するようにしていた。」(第1頁右欄第5行目〜第14行目)
「なお、以上の実施例では、短縮ダイヤル登録リストの場合について説明したが、ワンタッチダイヤル機能を有するものではそのワンタッチダイヤル登録リスト、あるいは同報通信機能を有するものではグループダイヤル登録リストなど、番号に対応して登録した各種情報を記録出力するリストであれば同様に適用できることは当然である。」(第3頁右下欄第8行目〜第14行目)
「以上のような処理がi=99になるまで繰り返される(処理28のY)。これにより、第4図Bの部分に示すように、登録されている短縮ダイヤル番号とこれに対応する宛名名称NNiと宛先電話番号TNiのみが記録されるようになる。」(第3頁左下欄第1行目〜第5行目)
「記録内容に応じた紙サイズでリストが出力され、」(第3頁左下欄第19行目〜第20行目)と記載されている。

甲第2号証:
甲第2号証はファクシミリ装置に関するものであり、以下の記載がある。
「従来、通常のファクシミリ装置においては、ワンタッチ登録用のキー群とグループ番号登録用のキー群とが別個に装備されている為、全体のキーの数が多くなり操作者に煩雑さを与える傾向がある。又、この場合、各キーによって実施される登録方式が決まっている為、例えばグループ番号登録を行なわないユーザはそのキー群が不要となり、実装スペースの利用効率が悪くなる。」(第1頁左欄第20行目〜右欄第7行目)
「今、n個のワンタッチキー31〜3nが設けられているとすると、これに対応してRAMには、n個のワンタッチ登録部01〜onとグループ登録部GI〜Gn及びプログラムエリアPが設けられている。この場合、n個の内のどのワンタッチキーも、上述した3種類の登録が可能な構成となっている。」(第2頁右上欄第2行目〜第8行目)
「本例では、3種類の送信方法を適宜選択して実施可能な様に、それに対応して後述するワンタッチ登録、グループ登録及びプログラム登録の3種類の登録方式が準備されている。」(第2頁左上欄第19行目〜右上欄第2行目)
「(1)ワンタッチ登録処理 ワンタッチ番号に対応する内部RAMエリア内、例えば、ワンタッチキー32によりそれに対応するワンタッチ登録部02内に、送信先の電話番号、宛先名及び料金コード等を登録させる。尚、この場合、電話番号以外は登録しなくてもよい。 (2)グループ番号登録処理 先ず、グループ番号を決め、これに対応する内部RAM内のグループ登録部に同報送信すべき相手先の電話番号とこれに対応するワンタッチキー番号を登録する。この場合、1グループに登録できる相手先番号の個数を例えば10個とか4個とかに限定する方式とすることも可能である。」(第2頁右下欄第3行目〜第17行目)と記載されている。

4)対比・判断
しかし、前示の両証拠を精査しても、両証拠には訂正請求により訂正されたレポート出力に関する具体的構成、即ち、
「短縮キーリストに含まれるグループ情報をレポート出力する場合は、短縮キーにグループが登録されていることを示す情報及び該グループの略称を出力し、前記グループリストのグループ情報をレポート出力する場合は、グループに含まれる複数の相手局の人々の発呼情報及び該複数の相手局の夫々の略称を出力すること」は記載されていないものと認められる。
又これにより、明細書記載の「短縮キーに複数の相手局からなるグループを登録しても、どの短縮キーにどのグループが登録されているかを簡単に認識することができる。また短縮キーに登録されたグループの詳細なリストを表示するのでグループの詳細な情報を確認することができる」という効果を有するものと認められる。
したがって、本願の請求項第1乃至4に係る特許発明は、異議申立人の提出した証拠に基づいて容易に発明されたものとする事はできない。
4 むすび
以上の通りであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件請求項第1乃至4に係る発明の特許を取消ことはできない。
また、他に本件請求項第1乃至4に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論の通り決定する。
 
異議決定日 2000-06-19 
出願番号 特願平1-4918
審決分類 P 1 651・ 121- YA (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 高橋 泰史  
特許庁審判長 水谷 好男
特許庁審判官 橋本 恵一
石川 伸一
登録日 1997-11-14 
登録番号 特許第2718971号(P2718971)
権利者 キヤノン株式会社
発明の名称 画像通信装置及びその制御方法  
代理人 加藤 卓  

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