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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 H01R 審判 全部申し立て 2項進歩性 H01R |
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管理番号 | 1020346 |
異議申立番号 | 異議1998-73715 |
総通号数 | 14 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1997-06-10 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1998-07-27 |
確定日 | 1999-08-30 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2706651号「コネクター」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2706651号の特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第2706651号に係る出願は、昭和62年9月30日に出願した特願昭62-246361号の一部につき平成8年9月24日に新たな特許出願したものであって、その特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された発明は、同9年10月9日に設定登録された。その後、特許異議の申立て、及び2回の取消理由の通知がなされ、2回目の取消理由の通知の指定期間内である同11年7月7日に願書に添付した明細書について訂正請求がなされたものである。 2.訂正の要旨 上記訂正請求は、本件特許の願書に添付した明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めたものであるが、その要旨は次の(D及び▲2▼のとおりである。 ▲1▼願書に添付した明細書の特許請求の範囲の記載を 「【請求項1】 (A)ポリアリーレンサルファイド樹脂 100重量部に (B)エポキシアルコキシシラン(但し、下記(C)成分の処理を目的として予め(C)成分に付着させて添加するものとは別に) 0.01〜5重量部 (C)無機充填剤 0〜400重量部を配合した組成物を射出成形してなるコネクター。 【請求項2】 (A)成分が、溶融粘度が100〜5000ポイズ(310℃、ずり速度1200/sec)のポリフェニレンサルファイト樹脂である特許請求の範囲第1項記載のコネクター。 【請求項3】 (C)成分が、ガラス繊維10〜250重量部である特許請求の範囲第1項〜第2項の何れか1項記載のコネクター。 【請求項4】 (C)成分が、ガラス繊維と炭酸カルシウム及び/又はタルクの混合物よりなり、その合計が10〜400重量部である特許請求の範囲第1項〜第3項の何れか1項記載のコネクター。」 と訂正する。 ▲2▼願書に添付した明細書の段落番号【0005】第13行中(本件特許公報第2頁第4欄第35行中)の「(B)エポキシアルコキシシラン 0.01〜5重量部」の記載を、 「(B)エポキシアルコキシシラン(但し、下記(C)成分の処理を目的として予め(C)成分に付着させて添加するものとは別に) 0.01〜5重量部」 と訂正する。 3.訂正の適否についての判断 (あ)、訂正の目的、新規事項及び拡張・変更の存否 (1).上記▲1▼の訂正について 上記▲1▼の訂正は、願書に添付した明細書(以下特許明細書という。)の請求項1に記載された 「(B)エポキシアルコキシシラン 0.01〜5重量部」を、 「(B)エポキシアルコキシシラン(但し、下記(C)成分の処理を目的として予め(C)成分に付着させて添加するものとは別に) 0.01〜5重量部」と限定するものである。 そして、この▲1▼の訂正に関連する記載として、 (ア)特許明細書の請求項1には、「(C)成分の無機充填剤 0〜400重量部」の記載があり、 (イ)本件特許明細書の段落番号【0006】第2行〜【0010】第2行中(本件特許公報第2頁第4欄第40行〜第3頁第5欄第6行中)の「本発明におけるコネクター材料の基体となる(A)のポリアリーレンサルファイド樹脂は………ポリフェニレンサルファイド又はその共重合体である。」、本件特許明細書段落番号【0011】第1〜2行中(特許公報第3頁第5欄第23〜24行中)の「本発明のコネクター材料組成物は、(B)成分としてエポキシアルコキシシランが添加配合される。」、本件特許明細書の段落番号【0013】第1〜5行中(特許公報第3頁第5欄第43〜49行中)の「本発明のコネクターは材料成分として更に目的に応じ適当な無機充填剤(C)を配合することが出来る。無機充填剤(C)は必ずしも必須とされる成分ではないが、機械的特性、耐熱性、寸法安定性(耐変形、そり)電気的性質等の性質に優れたコネクター成型品を得るためには配合することが好ましく、これには目的に応じて繊維状、粉粒状、板状の充填剤が用いられる。」、及び本件特許明細書の段落番号【0013】第22〜24行中(特許公報第3頁第6欄第21〜25行中)の「これらの充填剤の使用にあたっては必要ならば収束剤又は表面処理剤を使用することが望ましい。この例を示せば、エポキシ系化合物、イソイアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物等の官能性化合物である。」の記載があり、 (ウ)本件特許明細書の段落番号【0016】第5〜10行中(特許公報第4頁第7欄第3〜9行中)に、実施例1〜2に関して、「ポリフェニレンサルファイド樹脂(呉羽化学工業社製、商品名「フォートロンKPS」)に対し、表1に示すシラン化合物を表に示す量で加え、ヘンシェルミキサーで5分間予備混合した。更に市販のガラス繊維(径13μm、長さ3mm)を表1に示す量で加えて、2分間混合し、これをシリンダー温度310℃の押出機にかけてポリフェニレンサルファイド樹脂組成物のペレットをつくった。」の記載がある。 上記(ア)の記載から、請求項1の(C)成分の限定は、無添加(0重量部)の場合を含むものであり、かかる場合、(B)成分の添加は単独添加であることが示され、 上記(イ)の記載から、(B)成分は単独添加成分であり、(C)成分の処理を目的として、予め(C)成分に(B)成分を付着させてから(A)成分に添加する場合もあるが、これとは別に(B)成分を(A)成分に添加することが示され、 上記(ウ)の記載から、実施例1〜2において、(C)成分の添加前に、(A)成分に(B)成分を添加することが示されている。 そうすると、上記▲1▼の訂正は、特許明細書に記載された事項の範囲内において、特許明細書の請求項1の構成の一部である「(B)エポキシアルコキシシラン 0.01〜5重量部」を、 「(B)エポキシアルコキシシラン(但し、下記(C)成分の処理を目的として予め(C)成分に付着させて添加するものとは別に) 0.01〜5重量部」と訂正したものといえるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 (2).上記▲2▼の訂正について 上記▲2▼の訂正は、上記▲1▼の訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と整合させるために発明の詳細な説明を訂正するものであり、明瞭でない記載の釈明に相当する。そして、この訂正は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内であり、又、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 (い)、本件発明 上記平成11年7月7日付け訂正請求書により訂正された発明(以下「本件発明」という。)の要旨は、同訂正請求書に添付された訂正明細書の記載からみて、その特許請求の範囲第1項に記載されたとおりのものと認める。 (う)、独立特許要件の判断 (1).これに対して、当審で通知した1回目の取消理由で引用した刊行物1(特開昭59-11359号公報・特許異議申立の理由に引用された甲第1号証)には、以下の事項が記載されている。 第1頁左下欄第4〜12行中(特許請求の範囲の記載)に「圧縮成型用あるいは射出成形用ポリフェニレンサルファイド樹脂成形材料において、該成形材料がポリフェニレンサルファイド樹脂30〜50重量%、ガラス繊維0〜40重量%、灼熱減量1.0%以下、純度97.5%以上、50%粒度中央値が8〜14μである高純度珪酸カルシウム10〜70重量%からなることを特徴とするポリフェニレンサルファイド樹脂成形材料。」、 第1頁右下欄第1〜6行中に「電子部品、たとえばIC、トランジスター、ダイオード、コイル、コンデンサー、抵抗器、パリスター、コネクターなどの電気絶縁性の保持、機械的保護、外部雰囲気による特性変化の防止などの目的で、電子部品を合成樹脂で成形することが行なわれている。」、 第3頁左上欄第19行〜第3頁右上欄第5行中に「ガラス繊維及び高純度珪酸カルシウムはあらかじめ、ビニルシラン、アミノシラン、エポキシシラン、メルカブトシランなどの公知のシランカップリング剤あるいは集束剤で処理してもよい。かかる処理剤の付着量は0.4〜1.0%であるのが好ましく、」、 第3頁左下欄第11行〜第3頁右下欄第1行中に「本発明の成形材料は、通常の圧縮成形あるいは射出成形によって形成品とすることができる。成形条件は特に限定されるものではなく、通常の条件でよい。 本発明の成形材料は成形時の流動性及び成形品の電気特性が優れ、特に耐湿性が良好である。後に示す比較例から明らかなように、耐湿試験後の体積抵抗及び誘電正接が優れている。しかも機械的強度とのバランスが保たれているので、電気機械器具、電子機械器具などの小型精密部品の成形材料として好適に使用できる。」 そして、上記記載及び実施例の記載を併せて見ると、刊行物1には、 (C)ガラス繊維及び高純度珪酸カルシウム(無機充填剤の1種類)に予めエポキシシラン等のシランカップリング剤等の処理剤を付着させて添加し、次にこれを(A)ポリフェニレンサルファイド樹脂(ポリアリーレンサルファイド樹脂の1種類)に配合し、その配合した組成物を射出成形してなる電子部品たとえばコネクター。及び(A)成分(C)成分の各重量割合が本件訂正請求項とは異なる方法によって表示されていることが記載されていると認められる。 (2).同刊行物2(特開昭59-132506号公報・同甲第2号証)には、以下の事項が記載されている。 第1頁左下欄第6〜11行中(特許請求の範囲の記載)に「(1)(I)ポリ(アリーレンサルファイド)および(II)珪酸カルシウムを含む組成物で封入された電子部品。 (2)前記のポリ(アリーレンサルファイド)が、ポリ(フェニレンサルファイド)である特許請求の範囲第1項に記載の部品。」、 第1頁右下欄第1行〜第2頁左上欄第3行中(特許請求の範囲の記載)に「(7)(IV)オルガノシランをさらに含む特許請求の範囲第1〜6項の任意の1項に記載の部品。 (8)前記の部品が、コンデンサー 抵抗器 抵抗器ネットワーク 集積回路 トランジスター ダイオード トライオード サイリスター コイル バリスター コネクター コンデンサー 変換器 水晶発振器 ヒューズ 整流器 電源、およびマイクロスイッチ から選ばれる特許請求の範囲第1、2、3,4、5、6または7項に記載の部品。」、 第5頁左下欄第15行〜第5頁右下欄第9行中に「ガラス繊維またはその他の補強材を珪酸カルシウムと組合わせて使用することは本発明の範囲内にある。本発明の範囲内に入るその他の補強剤の例には、限定はしないが、任意の非繊維形状のガラス(例えば、ビーズ、粉末、粒子など)、アスベスト繊維およびセラミック繊維が含まれる。 本発明の広義の範囲では、任意の所望の充填剤を含ませることができる。充填剤は、組成物の寸法安定性、熱伝導率および機械的強度を向上させる。若干の好適な充填剤には、例えば、タルク、シリカ、クレー、アルミナ、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、雲母などが含まれる。充填剤は、例えば、粉末、粗粒子または繊維の形状でよい。充填剤を選択する場合に、次の因子を考慮すべきである。」、 第7頁左上欄第10〜15行中に「その組成物の粘度は、多数の因子によってきまるが、約800ポアズより低い組成物粘度を得るためには、ポリ(アリーレンサルファイド)の粘度が一般に約130ポアズ(毛管レオメーターで6500Fおよび1000(秒)-1の剪断速度において測定して)を越えてはならない。」、 第7頁左下欄第13行〜第7頁右下欄第12行中に「受動的の部品の封入用の組成物 受動的部品の封入用に使用される組成物は次の重量%、 (a)ポリ(アリーレンサルファイド) 広い範囲 約25〜約45wt% 好ましい範囲 約32〜約38wt% 目標 約35wt% (b)珪酸カルシウム 広い範囲 約20〜約50wt% 好ましい範囲 約25〜約45wt% 目標 約35wt% (c)充填剤 広い範囲 約18〜約38wt% 好ましい範囲 約23〜約33wt% 目標 約28wt% (d)オルガノシラン 広い範囲 約4wt%まで 好ましい範囲 約0.4〜約1.5wt% 目標 約1wt% に基づいて製造できる。」 第8頁左上欄第12〜18行中に「所望の範囲の粘度の組成物を得るためには、そのポリ(アリーレンサルファイド)の粘度が、一般に約300ポアズ(毛管レオメーターを用い、6500Fおよび1000(秒)-1の剪断速度で測定して)を越えてはならない。そのポリ(アリーレンサルファイド)の粘度は、一般に約190〜約300ポアズであろうと考えられている。」、 第8頁右上欄第5〜6行中に「コネクターの封入に使用される組成物には硫酸カルシウムがとくに有用である。」、 第11頁左上欄第3行〜第11頁右上欄第20行中に1実施例IV 第IVA表に示した処方に基づいて成分を溶融配合によって三種類の組成物を製造した。 第IVA表 組成物(重量部で示す) 対照 発 明 (1) (2) (3) ポリ(フェニレンサルファイド)36 36 36 珪灰石繊維 - 14.8 14.6 ガラス繊維 14.8 - - 溶融シリカ 49.2 49.2 48.7 オルガノシラン 0.4 0.4 0.4 流れ向上剤 1.0 1.0 - 合計 101.4 101.4 100.3 組成物1および2に使用したポリ(フェニレンサルファイド)は押出量(extrusion rate)が約52g/10分であった。組成物3のポリ(フェニレンサルファイド)は、約110g/10分の押出量を有した。これらの押出量は、ASTM試験法D1238、345gの駆動力、315℃の溶融温度および直径0.825インチ、長さ1.250インチを使用するように変更した方法Bに基づいて測定した値であった。 溶融シリカおよび流れ向上剤は、実施例Iに記載のものと同じであった。 珪灰石繊維は、実施例Iに記載のものと同じであった。但し、それらの表面を0.5重量%のガンマ-グリシドオキシプロビルトリメトキシシランで前処理した。 ガラス繊維は、長さ約1/8インチ、直径55〜65×10-5インチのPPGタイプ3080ガラス繊維であった。 その組成物に配合したオルガノシランは3-メルカプトプロビルトリメトキシランであった。」 そして、上記記載から、刊行物2には、 (C)珪灰石繊維(無機充填剤の1種類)の表面にガンマ-グリシドオキシプロビルトリメトキシシラン(エポキシアルコキシシランの1種類)で予め前処理して付着させて添加し、次にこれを(A)ポリフェニレンサルファイド樹脂(ポリアリーレンサルファイド樹脂の1種類)に配合し、その配合した組成物を射出成形してなるコネクター等の部品。及び(A)成分(C)成分の各重量割合が本件訂正請求項とは異なる方法によって表示されていることが記載されていると認められる。 (3).同刊行物3(特開昭57-158256号公報・同甲第3号証)には、以下の事項が記載されている。 第1頁左下欄第5〜11行中(特許請求の範囲 の記載)に「(1)(a)約30ないし約50重量%のポリ(アリーレン スルフィド)、 (b)約10ないし約30重量%のガラス繊維、 (c)ガラスビーズ及び石英ガラスから選ばれる約30ないし約60重量%の成分、及び (d)約0.5ないし約3重量%の有機シランを含むことを特徴とする、成形に適する組成物。」、 第1頁右下欄第12〜20行中(特許請求の範囲の記載)に「(6)該シランが、γ-グリシドオキシプロビルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニル-トリス(2-メトキシエトキシ)シラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、及びN-β-(N-ビニルベンジルアミン)エチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシランモノハイドロジエンクロリドのなかから選ばれる上記(5)の方法。」、 第3頁右上欄第12〜19行中に「本組成物に用いられる好ましいポリ(アリーレン スルフィド)樹脂は、未硬化又は一部硬化したポリ(フェニレン スルフィド)及びその混合物であって、ASTM法D-1238-74(316℃及び5Kg負荷)で測定したメルトフロー指数が約100ないし約10,000g/10分、より好ましくは約300ないし約5000g/10分のものである。」、 第4頁左上欄第9〜12行中に「チョッピング又はペレット化した最終ブレンドを射出成形装置に導入し、そして得られたタルトを用い、半導体部品、例えばチップをカプセル化するのであるが、半導体チップは、型内に挿入された支持ユニット上に置かれ、リード線で内側部材と外部に定置された端子とを連結する。」 そして、上記記載、及び実施例の記載を併せて見ると、刊行物3には、 (A)ポリアリーレンサルファイド樹脂に、下記(C)成分の処理を目的として予め(C)成分に付着させて添加するものとは別に(B)γ-グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン(エポキシアルコキシシランの1種類)等のシラン、(C)ガラスビーズまたは石英ガラス(無機充填剤の1種類)、を配合した組成物を射出成形してなる半導体部品、例えば半導体チップのカプセル化。(A)成分(B)成分(C)成分の各重量割合が本件訂正請求項とは異なる方法によって表示されていること、及びこれに用いる(A)ポリフェニレンサルファイドの溶融粘度が本件訂正請求項とは異なる方法によって表示されていること が記載されていると認められる。 (4).同刊行物4(特開昭61-266461号公報・同甲第4号証)には、以下の事項が記載されている。 第1頁左下欄第5〜11行中(特許請求の範囲の記載)に「(1)メルトフロー値が1000g/分以上のポリフェニレンサルファイド樹脂 (2)ケイ酸および/又はケイ酸塩 (3)ビニルシランと、アミノシランおよび/又はエポキシシランとからなるシラン化合物を含んでなることを特徴とするポリフェニレンサルファイド樹脂組成物。」、 第2頁左下欄第15行〜第2頁右下欄第3行中に「本発明でのケイ酸および/又はケイ酸塩は代表的にはシリカ、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスバルーン、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト等であり、繊維状、球状、不定形の各種形状のものが使用される。」、 第3頁左上欄第12〜18行中に「更にエポキシシランとしては分子中に1ヶ以上のエポキシ基を有するアルコキシシラン又はハロシランであって、例えばβ-(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランが挙げられる。」、 第3頁左下欄第9〜12行中に「本発明の樹脂組成物は優れた耐湿性、機械的強度、成型加工性を有するため、電子部品、たとえば半導体、コンデンサー、レジスター、ダイオードなどの封止材料として非常に有用である。」、 第3頁左下欄第18〜20行中に「混練後、射出成形機にて、樹脂温度33℃、金型温度150℃で物性測定用テストピースを作成し第1表の結果を得た。」 そして、上記記載、及び実施例の記載を併せて見ると、刊行物4には、 (A)ポリフェニレンサルファイド樹脂(ポリアリーレンサルファイド樹脂の1種類)に、ビニルシラン、下記(C)成分の処理を目的として予め(C)成分に付着させて添加するものとは別に(B)γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(エポキシアルコキシシランの1種類)等のシラン化合物、(C)シリカ、タルク、ガラス繊維(無機充填剤の1種類)等を配合した組成物を射出成形してなる電子部品。(A)成分(B)成分(C)成分の各重量割合が本件訂正請求項とは異なる方法によって表示されていること、及びこれに用いる(A)ポリフェニレンサルファイド樹脂の溶融粘度が本件訂正請求項とは異なる方法によって表示されていることが 記載されていると認められる。 (5).同刊行物5(特開昭58-65750号公報・同甲第5号証)には、以下の事項が記載されている。 第1頁左下欄第6行〜第2頁右上欄第7行中(特許請求の範囲の記載)に「(1)ガラス繊維入りポリ(アリーレンサルファイド)および少なくとも一種のオルガノシランを含み、該オルガノシランが、………であることを特徴とする組成物。 (2)該オルガノシランが、……… (3)該オルガノシランの量が、……… (4)該オルガノシランが、該組成物を該ポリ(アリーレンサルファイド)の少なくともほぼ融点の温度にまで加熱することによって該ガラス繊維入りポリ(アリーレンサルファイド)の加水分解安定性を改善する量で存在し、そして、オクタデシルトリエトキシシラン、………である前記第1項に記載の組成物。」、 第4頁左上欄第1〜13行中に「ガラス繊維入りポリアリーレンサルファイドの硬化または流量減少に有効なことが分っているオルガノシランには次のものが含まれる: 3-グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン 3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン 1-ベンジルクロロ-2-トリメトキシシリルエタン 2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-エチルトリメトキシシラン 2-p-スルホキシルアジルエチルトリメトキシシランおよび (p-アミノフェニル)トリメトキシシラン。」 そして、上記記載、及び実施例の記載を併せて見ると、刊行物5には、 (A)ポリアリーレンサルファイド樹脂に、下記(C)成分の処理を目的として予め(C)成分に付着させて添加するものとは別に3-グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン(エポキシアルコキシシランの1種類)等のシラン化合物、(C)ガラス繊維(無機充填剤の1種類)を配合した組成物を押出成形すること、及び(A)成分(B)成分(C)成分の各重量割合が本件訂正請求項とは異なる方法によって表示されていること が記載されていると認められる。 (6).同刊行物6(日本プラスチック工業連盟誌「プラスチックス」第36巻、第10号(1985)第87〜93頁・同甲第6号証)には、以下の事項が記載されている。 第87頁上欄第1〜5行中に「特集/複合熱可塑性エンプラ-材料別に見た成型加工特性 ポリフェニレンサルファイド -ライトンPPS-」、 第87頁右欄第3〜11行中に1したがってライトンPPSの射出成形グレードはすべてガラス繊維、あるいは無機フィラーで強化されている。R-3,R-4,R-5,A-100はいずれもガラス繊維強化グレードで、とくにA-100は厚内成型用に適している。R-7,R-10はガラス繊維+無機フィラーで強化したグレードで、とくにR-7は電気特性、機械特性、経済性を兼ね備えた非常に応用範囲の広いグレードであり、R-10,5004Aは電気特性を重視したグレードである。ライトンPPSの詳しい特長については本報では省略するが、主な特長は下記のとおりである。」、 第92頁右欄第28行〜第93頁右欄第4行中に「5.最近の用途開発例 日本市場においてライトンPPSの市場開発は順調に進んでおり、1984年には約3,000tの販売量があった。第12図に昨年の需要分野を示す。もっとも使用分野の大きい電気・電子関係における最近の用途開発例として、ライトンR-4で成形した長さ45cmのカードエッジコネクタ(写真1)がある。これはライトンR-4の高流動性と寸法安定性、低線熱膨張係数、ハンダ耐熱性により採用されたものである。なお、このコネクタはサイドサブマリンゲートで成形している。その他バーンインソケット、各種コネクタ等、ライトンPPSの耐熱性、寸法安定性に着目し、コネクタ関係への採用が非常に多くなっている。また電気・電子部品の小型化に伴ない、従来のエンジニアリングプラスチックでは耐熱性が不満足なため、ライトンPPSに代替されるケースが多くなっている。 自動車関係では排気ガス関連パーツ、オルタネータパーツ、各種センサー類、EFIポンプパーツ、ヘッドランプ用ハロゲンランプソケット(写真2)、各種電装品部品が採用されているが、各種センサー類、ヘッドランプホールダーの伸びが著しい。 家庭関係ではVTR、TV、電子レンジ等の種々の家電製品にライトンPPSが使用されているが、最近の新しい採用例して電気掃除機用モーターのブラッシュホルダーおよびエンドブラケットがある(写真3)。これは当初ブラッシュホルダーのみを樹脂化したが合理化のため、ブラッシュホルダーとエンドブラケットを一体化し、樹脂化したものである。 機械関係で最近の開発例として芝刈機のキャブレターがある(写真4)。これは、従来アルミダイカストでつくられていたものであるが、ライトンPPSの耐熱性、耐クリープ性、耐薬品性等がすぐれているため採用されたものである。 おわりに 最近の電気・電子部品は小型化の要求が強く、自動車部品でも小型・軽量化の方向に進んでいる。また生産性向上を図るため、金属部品の樹脂化、部品の一体化が進んでいる。このような流れの中で、ライトンPPSの耐熱性、高機械特性が注目され著しい伸びを示しているが、今後ライトンPPSの欠点である低耐衝撃性の改善に努め、ユーザーのニーズに合ったグレードの開発に努力したい。」 そして、上記記載を見ると、刊行物6には、 (A)ポリフェニレンサルファイド樹脂(ポリアリーレンサルファイド樹脂の1種類)に、(C)ガラス繊維(無機充填剤の1種類)を配合した組成物を射出成形してなる各種コネクタ等の電気・電子部品。 が記載されていると認められる。 (7).同刊行物8(日本プラスチック工業連盟誌「プラスチックス」第37巻、第1号(1986)第126〜130頁・同甲第8号証)には、以下の事項が記載されている。 第1頁上欄第1〜3行中に「特集/1986年日本プラスチック工業の展望 ポリフェニレンサルファイド -ライトンPPS-」、 第127頁左欄第4〜16行中に「ライトンのフィラーシステムとしては、大きく分けてガラス繊維強化とガラス繊維および無機質のフィラー強化のものがある。ガラス繊維強化グレードでは、R-3,R-4,R-5などがある。R-3は30%ガラス強化グレードで流れがよいため,薄肉部がある成形に用いられている。R-4はライトンの代表的なグレードで、流れと機械的強度のバランスがとれたグレードで、R-4-02はR-4のブラックカラーである。 ガラス繊維強化グレードの中で、もっとも剛性の高いグレードがR-5で、機械的強度を要求する種々の構造体に使用されている。 ガラス繊維及び無機質入りのグレードではR-7およびR-10がある。」、 第127頁右欄第5〜8行中に「その他特殊な用途としては、種々の電子部品封止用のR-9-02,また高分子PPSをベースポリマーにガラス繊維40%を強化した厚内成形用のA-100がある。」、 第128頁左欄第12〜17行中に「もっとも多かった分野としては、電子・電気分野での40%で、対ハンダ熱特性、UL温度指数等が採用理由である。主な用途例としては、スイッチ部品、コイル部品、可変抵抗器、コネクタ、その他の絶縁ベースおよび寸法安定性を採用理由にしたビデオ部品等がある。」、 そして、上記記載を見ると、刊行物8には、 (A)ポリフェニレンサルファイド樹脂(ポリアリーレンサルファイド樹脂の1種類)に、(C)ガラス繊維(無機充填剤の1種類)を配合した組成物を射出成形してなるコネクタ等の電気・電子部品。 が記載されていると認められる。 (8).同刊行物9(日本プラスチック工業連盟誌「プラスチックス」第43巻、第1号(1992)第117〜123頁・同甲第9号証)には、以下の事項が記載されている。 第117頁上欄第1〜2行中に「’92日本プラスチック工業の展望 ポリフェニレンサルファイド」、 第117頁左欄第11〜21行中に「PPSは第1図のように非常に単純な構造をもち、耐熱性、耐薬品性、難燃性の3特性を備えた約280℃の融点をもつ結晶性エンジニアリングプラスチックとして架橋タイプから出発し、リニアタイプ、半架橋タイプとポリマー製造技術の開発とコンパウンド技術の向上に伴って、機械強度、寸法安定性、電気特性、加工性のすぐれた点を活かし、射出成形用途を中心にフィルム、繊維、押出成型品、ブロー成型品、電子・電気部品封止、コーティング、またポリマーアロイ用素材へとそのマーケットは多様性をもち、特殊エンプラの領域から汎用性をもった基本素材として発展を続けている。」、 第119頁第3表の「PPSベースレジン代表グレードの分析特性」には、流動性について、メルトフローレイトの数値と、溶融粘度の数値とが、架橋タイプ、半架橋タイプ、リニアタイプについてそれぞれ記載されている。 そして、上記記載を見ると、刊行物9には、(A)ポリフェニレンサルファイド樹脂(ポリアリーレンサルファイド樹脂の1種類)を射出成形してなる電気・電子部品等。及びメルトフローレイトの数値と、溶融粘度の数値との関係が記載されていると認められる。 (9).対比・判断 (9-1).本件発明と、刊行物1に記載された発明とを対比すると、刊行物1に記載された発明は、本件発明の構成に欠くことのできない事項である 「(B)エポキシアルコキシシラン(但し、下記(C)成分の処理を目的として予め(C)成分に付着させて添加するものとは別に)」を有しておらず、また、(A)成分に(C)成分を配合した組成物を射出成形したものが「コネクター」である点は記載されているが、電子部品として他の多くの電子部品と共に例示しているだけで、コネクターに特に限定した点は記載されていない。 (9-2).本件発明と、刊行物2に記載された発明とを対比すると、刊行物2に記載された発明は、本件発明の構成に欠くことのできない事項である「(B)エポキシアルコキシシラン(但し、下記(C)成分の処理を目的として予め(C)成分に付着させて添加するものとは別に)」を有しておらず、また、(A)成分に(C)成分を配合した組成物を射出成形したものが「コネクター」である点が記載されているが、電子部品として他の多くの電子部品と共に例示しているだけで、コネクターに特に限定した点は記載されていない。 (9-3).本件発明と、刊行物3に記載された発明とを対比すると、刊行物3に記載された発明は、本件発明の構成に欠くことのできない事項である(A)成分に(B)成分(C)成分を配合した組成物を射出成形したものが「コネクター」である点を有しておらず、また、(B)成分としてその他の有機シランも多数種類を例示しているが、その中でエポキシアルコキシシランに特に限定した点は記載されていない。 (9-4).本件発明と、刊行物4に記載された発明とを対比すると、刊行物4に記載された発明は、本件発明の構成に欠くことのできない事項である(A)成分に(B)成分(C)成分等を配合した組成物を射出成形したものが「コネクター」である点を有しておらず、また、(B)成分としてその他のシラン化合物も多数種類を例示しているが、その中でエポキシアルコキシシランに特に限定した点が記載されていない。また、刊行物4に記載された発明では、(A)成分(B)成分(C)成分と共に、ビニルシランを配合することを必須の構成要件としている。 (9-5).本件発明と、刊行物5に記載された発明とを対比すると、刊行物5に記載された発明は、本件発明の構成に欠くことのできない事項である(A)成分に(C)成分を配合した組成物を「射出成形」する点、及び射出成形したものが「コネクター」である点を有しておらず、また、(B)成分としてその他の有機シランも多数種類を例示しているが、その中でエポキシアルコキシシランに特に限定した点は記載されていない。 (9-6).本件発明と、刊行物6に記載された発明とを対比すると、刊行物6に記載された発明は、本件発明の構成に欠くことのできない事項である「(B)エポキシアルコキシシラン(但し、下記(C)成分の処理を目的として予め(C)成分に付着させて添加するものとは別に)」を有しておらず、(A)成分(C)成分の各重量割合が表示されておらず、また、(A)成分に(C)成分を配合した組成物を射出成形したものが「コネクター」である点は記載されているが、電子部品として他の多くの電子部品と共に例示しているだけで、コネクターに特に限定した点は記載されていない。 (9-7).本件発明と、刊行物8に記載された発明とを対比すると、刊行物8に記載された発明は、本件発明の構成に欠くことのできない事項である「(B)エポキシアルコキシシラン(但し、下記(C)成分の処理を目的として予め(C)成分に付着させて添加するものとは別に)」を有しておらず、(A)成分(C)成分の各重量割合が表示されておらず、また、(A)成分に(C)成分を配合した組成物を射出成形したものが「コネクター」である点は記載されているが、電子部品として他の多くの電子部品と共に例示しているだけで、コネクターに特に限定した点は記載されていない。 (9-8).本件発明と、刊行物9に記載された発明とを対比すると、刊行物9に記載された発明は、本件発明の構成に欠くことのできない事項である「(B)エポキシアルコキシシラン(但し、下記(C)成分の処理を目的として予め(C)成分に付着させて添加するものとは別に)」を有しておらず、(A)成分(C)成分の各重量割合が表示されておらず、また、(A)成分に(C)成分を配合した組成物を射出成形したものが「コネクター」である点を有していない。 (9-9).以上のように、刊行物1〜6,8及び9に記載された発明には、いずれにも、▲1▼(B)成分としてエポキシアルコキシシランに特に限定した点は記載されておらず、また、▲2▼組成物を射出成形したものがコネクターであることを特に限定した点も記載されていないので、本件発明は、刊行物1〜6,8及び9に記載された発明と同一であるとすることも、また刊行物1〜6,8及び9に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。 (9-10).そして、本件発明は、上記構成により、 「(1)コネクターとしての強度が向上し、特にコネクターとして重要なピン圧入限界強度が向上し、ポリアリーレンサルファイド樹脂製コネクターの欠点とされるピン圧入時に破壊する欠点が改善され組立加工時の不良品が減少する。(2)バリが少なくバリ取り工程が省略でき、経済的に有利である。(3)ポリアリーレンサルファイド樹脂を基体とした材料を使用しているため、耐熱性でハンダ溶融温度に耐えサーフェスマウントデクノロジー用途に使用できる。」等の明細書に記載された作用効果を奏するものである。 (9-11).また、上記平成11年7月7日付け訂正請求書に添付された訂正明細書の特許請求の範囲第2〜4に記載された実施態様項は、本件発明である特許請求の範囲第1項に従属したものであり、本件発明に構成要件を附加して技術的に限定するものであるから、詳細に検討するまでもなく上記刊行物1〜6,8,及び9に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 (え)、訂正の適否についての判断結果 上記(あ)〜(う)に示すとおりであるから、本件訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するものである。 4.特許異議の申立ての判断 (あ)、本件発明 上記平成11年7月7日付けで訂正された発明(以下「本件発明」という。)の要旨は、同訂正請求書に添付された訂正明細書の記載からみて、その特許請求の範囲第1項に記載されたとおりのものと認める。 (い)、申立ての理由の概要 特許異議申立人は、証拠として甲第1号証(上記刊行物1)、甲第2号証(同刊行物2)、甲第3号証(同刊行物3)、甲第4号証(同刊行物4)、甲第5号証(同刊行物5)、甲第6号証(同刊行物6)、甲第7号証(日本プラスチック工業連盟誌「プラスチックス」第35巻、第8号(1984)第79〜82頁)、甲第8号証(同刊行物8)、及び甲第9号証(同刊行物9)を提出し、本件発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載の発明と同一であり、本件発明は、甲第1〜9号証に記載の発明から当業者が容易に成し得ることであり、また、上記訂正明細書の特許請求の範囲第2〜4に記載された実施態様項も、甲第1,2,3及び9号証に記載の発明から当業者が容易に成し得ることであるから、特許法第29条第1項及び第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである旨主張している。 (う)、特許法第29条第1項違反について 提出された甲第1及び2号証刊行物は、上記「3.(う)、独立特許要件の判断(1)及び(2)」欄において検討した証拠と同一のものであり、本件発明と甲第1及び2号証刊行物との対比・判断は、 上記「3.(う)、(9))対比・判断(9-1)、(9-2)及び(9-9)」欄に示したものと同じである。 したがって、本件発明は、甲第1及び2号証刊行物に記載された発明と同一とすることができない。 (え)、特許法第29条第2項違反について (1).提出された甲第1〜6,8及び9号証刊行物は、上記「3.(う)、独立特許要件の判断(1)〜(8)」欄において検討した証拠と同一のものである。 (2).甲第7号証刊行物(日本プラスチック工業連盟誌「プラスチックス」第35巻、第8号(1984)第79〜82頁)には、以下の事項が記載されている。 第79頁上欄第1〜2行中に「特集/エンプラ精密成形 ポリフェニレンサルファイド」、 第81頁左欄第16〜20行中に「ライトンPPS成形材料には種々のグレードがあり、一般的にはガラス繊維強化されているため、前出の第3図からもわかるように、金型温度が上昇するに従い収縮率は増加しGFの配向方向とそれに直角方向では明らかな成形収縮率の差が認められる」、 第82頁右欄第16〜17行中に「なお、ライトンPPS樹脂による精密成型品例を写真1〜5に示す。」、 第82頁上欄の写真1〜5に「写真1ウォッチプレート、写真2コネクタ(AMP社)、写真3コネクタ(AMP社)、写真4航空機用コネクタ、写真5小型コーディングスイッチ」が記載されている。 そして、上記記載を見ると、刊行物7には、 (A)ポリフェニレンサルファイド樹脂(ポリアリーレンサルファイド樹脂の1種類)に、(C)ガラス繊維(無機充填剤の1種類)を配合した組成物を射出成形してなるコネクタ等の精密成型品。が記載されていると認められる。 (3).対比・判断 (3-1).本件発明と甲第1〜6,8及び9号証刊行物との対比・判断は、上記「3.(う)、(9)対比・判断(9-1)〜(9-8)」欄に示したとおりのものと同じである。 (3-2).本件発明と、甲第7号証刊行物に記載された発明とを対比すると、甲第7号証刊行物に記載された発明は、本件発明の構成に欠くことのできない事項である「(B)エポキシアルコキシシラン(但し、下記(C)成分の処理を目的として予め(C)成分に付着させて添加するものとは別に)」を有しておらず、(A)成分(C)成分の各重量割合表示されておらず、また、(A)成分に(C)成分を配合した組成物を射出成形したものが「コネクター」である点は記載されているが、他の多くの精密成形品と共に例示しているだけで、コネクタに特に限定した点は記載されていない。 (3-3).以上のように、刊行物1〜9に記載された発明には、いずれにも、▲1▼(B)成分としてエポキシアルコキシシランに特に限定した点は記載されておらず、また、▲2▼組成物を射出成形したものがコネクターであることを特に限定した点も記載されていない。そして本件発明は、上記構成により、上記「3.(う)、(9-10)」欄に示した作用効果を奏するものである。したがって、本件発明は、刊行物1〜9に記載された発明と同一であるとすることも、また刊行物1〜9に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。 (3-4).また、上記「3.(う)、(9-11)」欄と同様に、上記訂正明細書の特許請求の範囲第2〜4に記載された実施態様項は、本件発明である特許請求の範囲第1項に従属したものであり、本件発明に構成要件を附加して技術的に限定するものであるから、詳細に検討するまでもなく上記刊行物1〜9に記載された発明と同一であるとすることも、また刊行物1〜9に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 5.むすび 以上のとおりであるから、本件特許は、特許異議申立人が主張する理由及び提出した証拠によっては、取り消すことはできない。 また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 コネクター (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (A)ポリアリーレンサルファイド樹脂 100重量部に (B)エポキシアルコキシシラン(但し、下記(C)成分の処理を目的として予め(C)成分に付着させて添加するものとは別に) 0.01〜5重量部 (C)無機充填剤 0〜400重量部 を配合した組成物を射出成形してなるコネクター。 【請求項2】 (A)成分が、溶融粘度が100〜5000ポイズ(310℃、ずり速度1200/sec)のポリフェニレンサルファイド樹脂である特許請求の範囲第1項記載のコネクター。 【請求項3】 (C)成分が、ガラス繊維10〜250重量部である特許請求の範囲第1項〜第2項の何れか1項記載のコネクター。 【請求項4】 (C)成分が、ガラス繊維と、炭酸カルシウム及び/又はタルクの混合物よりな り、その合計が10〜400重量部である特許請求の範囲第1項〜第3項の何れが1項記載のコネクター。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、改良されたコネクターに関する。さらに詳しくは、本発明は射出成形時にバリの発生がなく、且つウェルド部の強度が大きく孔部への端子圧入に対して強靭な改良されたポリアリーレンサルファイド樹脂製コネクターに関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】 近年、エレクトロニクス産業の発展は著しく、信頼性の向上、低コスト化、多機能化のために部品、チップの高密度化、小型化が指向されている。 即ち、能動部品としてのICの高集積化に始まり、受動部品としてのコンデンサー、抵抗、コイル等の小型化、チップ化あるいは構造部品としてのコネクター類の小型化が進められている。又これを搭載する実装基板も微細パターン化の方向にあり、同時に実装方法の変化によってこれら部品が直接ハンダ溶融温度にさらされるようになって、部品材料に耐熱特性、寸法精度、電気特性、機械的強度等今まで以上に高レベルの要求がなされると同時に製作コストの低減が要求されている。 本発明の対象とするコネクターは、電気機器部品、電子機器部品、回路などのうち、少なくとも2つの部品相互間を電気的および又は機械的に接続するための接続具である。これは抜差しによって電気的な接続を断続する、相互に絶縁されたいくつかの相対する電極をもった2つの部分からなっている。電極の数は2から100以上のものまで多種類あり、形状も複雑なものがある。 このコネクターに対しても実装方法の変化によって前記のような高レベルの要求がなされている。このために既存の材料では要求を満足することが難しく、より高性能な材料への変更が余儀なくされている。ポリアリーレンサルファイド樹脂はこの要求に応える樹脂の1つである。しかしながら、この樹脂は射出成形時に金型キャビティ内で2つ以上の樹脂の流動先端が合流して融着した部分、即ちウェルド部の機械物性が極端に低くなるという欠点を有している。コネクター類はその構造上多数の端子接続孔を有するため、成形時のウエルド発生を防ぐことは難しく、ピン打ち込み時にウエルド部分から破壊するという問題点がある。 又、ポリアリーレンサルファイド樹脂は流動性が良く、成形時に接合する金型間のわずかなすきまに入り込んで、出来あがった成形品にバリが発生するという問題点も有し、この成形時のバリを除去して正常な部品形状を得るのに多大の労力を要し、経済的にも好ましくない。 【0003】 これら問題点のなかで、ウエルド部の機械物性を向上させる試みとしては一般には次のようなことが知られている。 (1)金型設計に改良を加える。例えばコールドスラグウエルをつけておき、冷却後これを除去する。あるいは融着点で材料温度が低下しないようにゲートの数を増加させる。あるいはゲートの位置を変える。 (2)後加工によって必要な部分に穴あけを行い、成形時点でのウエルド生成を防ぐ。 (3)流動特性の改良された組成物を用いる。 (特開昭59-11357号、特開昭59-11358号、特開昭57-70157号) (4)ウエルド強度向上効果のある無機充填剤を使用する(特開昭57-70157号) しかしながらこれらの方法にはそれぞれ問題点がある。すなわち(1)、(2)の方法は多数の小さな穴を有し、多数のウエルド部を有するコネクターには適用できない。 (3)の方法はウエルド強度改良効果は認められるもののその強度は十分でなく、逆にバリが大きくなるとの問題点を有し、コネクターに適用するのが難しい。 (4)は成形品の機械物性が低下するため適用用途が限定され、薄肉部を有するコネクターに適用するのは難しい。 【0004】 又、もう一つの問題点として上げられているバリを減少させる試みとしては次のことが知られている。 (1)金型設計に改良を加え、精度を向上させて金型のパーティングラインのすきまを小さくする。 (2)成形条件で対応する。射出成形時の射出速度、保圧、樹脂温度、金型温度を成形可能範囲内でできるだけ低くおさえる。 (3)流動性の低い材料を使用する。 しかしながら(1)の方法では金型の使用時間に比例してパーティングラインのすきまが大きくなり、バリが大きくなるという問題点を有し、(2)の方法では成形範囲がせまく、操業条件の少しの変化でショートショットなど成形不良が生ずるという問題点がある。又(3)の方法ではバリ低減効果が十分でない上に、ウエルド強度が弱くなる。 このようなことから特に多数の孔を有するコネクターでは適用範囲が限られ、充分な効果が得られない。 【0005】 【課題を解決するための手段】 本発明者等は、ポリアリーレンサルファイド樹脂製コネクターのウエルド強度を向上させバリの発生を低減させるためには、その材料面での改良が必要と考え、種々の添加剤を配合したコネクターについて検討した結果、コネクターを成形する材料として、ポリアリーレンサルファイド樹脂に特定のシラン化合物を添加した材料を用いて成形したコネクターは、固化結晶化特性が変化し、コネクター成形時のウエルド部での樹脂の融合状態が向上して機械物性が改良されるばかりか、組成物の粘度特性も改良され、低ずり速度域での溶融粘度が大幅に上昇してバリの発生が低減し、特に複雑な多くの孔を有するコネクターを経済的に成形しうることを見出し、本発明に到達した。 即ち本発明は、 (A)ポリアリーレンサルファイド樹脂 100重量部に (B)エポキシアルコキシシラン(但し,下記(C)成分の処理を目的として予め(C)成分に付着させて添加するものとは別に) 0.01〜5重量部 (C)無機充填剤 0〜400重量部 を配合した組成物を射出成形してなるコネクターを提供するものである。 【0006】 【発明の実施の形態】 本発明におけるコネクター材料の基体となる(A)のポリアリーレンサルファイド樹脂は一般式 【0007】 【化1】 【0008】 で示される(但しArではアリール基)繰り返し単位を70モル%以上有する重合体又は共重合体であり、その代表的物質は構造式 【0009】 【化2】 【0010】 で示される繰り返し単位を70モル%以上有するポリフェニレンサルファイド又はその共重合体である。中でも温度310℃、ずり速度1200/secの条件下で測定した溶融粘度が10〜20000ポイズ、特に100〜5000ポイズの範囲にあるものが適当である。 又、本発明のコネクターの材料となる基体樹脂としては、その目的に応じポリアリーレンサルファイド樹脂又はそのコポリマーの他に、他の熱可塑性樹脂を補助的に少量併用することも可能である。ここで用いられる他の熱可塑性樹脂としては、高温において安定な熱可塑性樹脂であればいずれのものでもよい。たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ジカルボン酸とジオールあるいはオキシカルボン酸等からなる芳香族ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリアルキルアクリレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、フッ素樹脂、ポリオキシメチレンなどをあげることができる。またこれらの熱可塑性樹脂は2種以上混合して使用することもできる。 【0011】 本発明のコネクター材料組成物は、(B)成分としてエポキシアルコキシシランが添加配合される。エポキシアルコキシシランは、1分子中にエボキシ基を1個以上有し、アルコキシ基を2個あるいは3個有するシラン化合物であればいずれのものでも有効で、例えばγ-グリシドキシプ口ピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどがあげられる。 上記エポキシアルコキシシラン以外の有機シラン化合物、例えばメルカプトシラン、ビニルシラン等についても若干はその効果が認められるものの本願の特定したシラン化合物には及ばず、コネクターとして充分な改良とはいえない。 【0012】 本発明のコネクターの材料構成成分として用いられるエポキシアルコキシシラン化合物の配合量はポリアリーレンサルファイド樹脂100重量部あたり0.01〜5重量部であり、好ましくは0.1〜2重量部である。0.01重量部より過少の場合には本来の目的とする効果が得られず、又過大の場合は機械物性の低下が生じるため好ましくない。 【0013】 本発明のコネクターは材料成分として更に目的に応じ適当な無機充填剤(C)を配合することが出来る。無機充填剤(C)は必ずしも必須とされる成分ではないが、機械的特性、耐熱性、寸法安定性(耐変形、そり)、電気的性質等の性質に優れたコネクター成形品を得るためには配合することが好ましく、これには目的に応じて繊維状、粉粒状、板状の充填剤が用いられる。 繊維状充填剤としては、ガラス繊維、アスベスト繊維、カーボン繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維、更にステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属の繊維状物などの無機質繊維状物質があげられる。特に代表的な繊維状充填剤はガラス繊維又はカーボン繊維である。尚、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などの高融点有機質繊維状物質も使用することができる。 一方、粉粒状充填剤としてはカーボンブラック、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、硅酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、硅藻土、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナのごとき金属の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムのごとき金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムのごとき金属の硫酸塩、その他炭化硅素、窒化硅素、窒化硼素等があげられる。特に好ましい粉粒状充填剤は炭酸カルシウム又はタルクである。 又、板状充填剤としてはマイカ、ガラスフレーク等があげられる。 これらの無機充填剤は一種又は二種以上併用することができる。繊維状充填剤、特にガラス繊維と粒状および/又は板状充填剤の併用は特に機械的強度と寸法精度、電気的性質等を兼備する上で好ましい組み合わせである。 これらの充填剤の使用にあたっては必要ならば収束剤又は表面処理剤を使用することが望ましい。この例を示せば、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物等の官能性化合物である。これ等の化合物はあらかじめ表面処理又は収束処理を施して用いるか、又は材料調整の際同時に添加してもよい。 無機充填剤の配合量はポリアリーレンサルファイド樹脂100重量部あたり0〜400重量部であり、好ましくは10〜250重量部である。過大の場合はコネクターの成形作業が困難になるほか、コネクターの機械的強度にも問題がでる。 【0014】 更に、本発明のコネクター材料には、一般に熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂に添加される公知の物質、すなわち酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、難燃剤、染料や顔料等の着色剤、潤滑剤および結晶化促進剤(核剤)等も要求性能に応じ適宜配合することができる。 【0015】 本発明のコネクターは上記の如き材料成分より構成されたものでその製作方法は一般的にはこれらの構成成分を混合し、一軸又は二軸の押出機にて溶融混練して一旦ペレット状の組成物とし、これを射出成形によって成形することによって容易に且つ経済的に得ることが出来るが、これに限定するものではなく必要成分の一部をマスターバッチとして混合、成形する方法も可能である。本発明のコネクターは外形、寸法、電極の数に限定されないが、特に電極数の多いものはウエルド部が多くバリ発生個所も多いため発明の効果が顕著である。 【0016】 【実施例】 以下に実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。 実施例1〜2、比較例1〜4 ポリフェニレンサルファイド樹脂(呉羽化学工業社製、商品名「フォートロンKPS」)に対し、表1に示すシラン化合物を表に示す量で加え、ヘンシェルミキサーで5分間予備混合した。 更に市販のガラス繊維(径13μm、長さ3mm)を表1に示す量で加えて、2分間混合し、これをシリンダー温度310℃の押出機にかけてポリフェニレンサルファイド樹脂組成物のペレットをつくった。次いで射出成形機でシリンダー温度320℃、金型温度150℃で、コネクター(幅10mm、厚さ5mm、長さ85mm、ピン穴72個)を成形した。このコネクターを3点曲げ強度試験機にかけて曲げ破壊強度を測定した。又金型の突出しピン部(すきま20μ)に生成したバリの長さを測定した。 次に上記ペレットより射出成形機でシリンダー温度320℃、金型温度150℃で端子穴寸法0.70mm、18ピンのコネクターを成形し、先端部0.30mm、後端部6mm、長さ30mm、厚さ0.58mmのテーパーピンを200m/minの速度で端子穴に圧入し破壊時の強度を測定した。結果を表1に示す。 又、シラン化合物を配合しないで、あるいは本発明規定以外のシラン化合物を配合して実施例1に示した方法と同様にしてペレットをつくり、実施例1と同じ金型を使用してコネクターを成形した。このコネクターを3点曲げ強度試験機にかけて曲げ破壊強度を測定した。又突出しピン部のバリ長さを測定した。続いて実施例1に示したピン圧入測定用コネクターを成形しピン圧入破壊強度を測定した。結果を表1に示す。 【0017】 実施例3 γ-グリシドキシプ口ピルトリメトキシシランを表2に示した量で使用した以外は実施例1に示した方法と同様にしてペレットをつくり、コネクターを成形して曲げ破壊強度とバリ長さを測定した。又ピン圧入破壊強度を測定した。結果を表2に示す。 【0018】 実施例4〜6、比較例5〜10 シラン化合物、無機充填剤として表3に示した材料を表に示した量で配合した以外は実施例1に示した方法と同様にしてペレットをつくり、コネクターを成形して曲げ破壊強度とバリ長さを測定した。又ピン圧入破壊強度を測定した。結果を表3に示す。 【0019】 実施例7〜8、比較例11〜14 表4に示したシラン化合物、ガラス繊維を表に示した量で使用した以外は実施例1に示した方法と同様にしてペレットをつくり、コネクターを成形して曲げ破壊強度とバリ長さを測定した。又ピン圧入破壊強度を測定した。結果を表4に示す。 【0020】 【表1】 【0021】 【表2】 【0022】 【表3】 【0023】 【表4】 【0024】 【発明の効果】 前述の説明および実施例で明らかなように本発明のコネクターは次のような効果を有する。 (1)コネクターとしての強度が向上し、特にコネクターとして重要なピン圧入限界強度が向上し、ポリアリーレンサルファイド樹脂製コネクターの欠点とされるピン圧入時に破壊する欠点が改善され組立加工時の不良品が減少する。 (2)バリが少なくバリ取り工程が省略でき、経済的に有利である。 (3)ポリアリーレンサルファイド樹脂を基体とした材料を使用しているため、耐熱性でハンダ溶融温度に耐えサーフェスマウントテクノロジー用途に使用できる。 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 特許第2706651号発明の明細書を次のとおり訂正する。 ▲1▼願書に添付した明細書の特許請求の範囲の記載を、 「【請求項1】(A)ポリアリーレンサルファイド樹脂 100重量部に (B)エポキシアルコキシシラン(但し下記(C)成分の処理を目的として予め(C)成分に付着させて添加するものとは別に) 0.01〜5重量部 (C)無機充填剤 0〜400重量部 を配合した組成物を射出成形してなるコネクター。 【請求項2】(A)成分が、溶融粘度が100〜5000ポイズ(310℃、ずり速度1200/sec)のポリフェニレンサルファイド樹脂である特許請求の範囲第1項記載のコネクター。 【請求項3】(C)成分が、ガラス繊維10〜250重量部である特許請求の範囲第1項〜第2項の何れか1項記載のコネクター。 【請求項4】(C)成分が、ガラス繊維と炭酸カルシウム及び/又はタルクの混合物よりなり、その合計が10〜400重量部である特許請求の範囲第1項〜第3項の何れか1項記載のコネクター。」 と、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的として訂正する。 ▲2▼願書に添付した明細書の段落番号【0005】第13行中(特許公報第2頁第4欄14行中)の「(B)エポキシアルコキシシラン 0.01〜5重量部」の記載を、 「(B)エポキシアルコキシシラン(但し下記(C)成分の処理を目的として予め(C)成分に付着させて添加するものとは別に) 0.01〜5重量部」 と、明瞭でない記載の釈明を目的として訂正する。 |
異議決定日 | 1999-08-12 |
出願番号 | 特願平8-251380 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(H01R)
P 1 651・ 113- YA (H01R) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 佐藤 智康 |
特許庁審判長 |
西野 健二 |
特許庁審判官 |
久保田 健 清水 信行 |
登録日 | 1997-10-09 |
登録番号 | 特許第2706651号(P2706651) |
権利者 | 呉羽化学工業株式会社 ポリプラスチックス株式会社 |
発明の名称 | コネクター |
代理人 | 小川 信一 |
代理人 | 古谷 馨 |
代理人 | 古谷 馨 |
代理人 | 野口 賢照 |
代理人 | 溝部 孝彦 |
代理人 | 斎下 和彦 |
代理人 | 持田 信二 |
代理人 | 溝部 孝彦 |
代理人 | 古谷 聡 |
代理人 | 古谷 聡 |
代理人 | 持田 信二 |