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審決分類 審判 一部申し立て 発明同一  G03F
管理番号 1020430
異議申立番号 異議1998-72658  
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-07-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-05-29 
確定日 1999-10-04 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2683729号「架橋又は硬化したレジスト樹脂を有する減少した金属腐食を生じるアルカリ含有フォトレジストストリッピング組成物」の請求項1ないし4、6に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2683729号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
本件特許第2683729号は、平成5年11月5日に特許出願(優先権主張1992年11月6日、米国)され、平成9年8月15日にその特許の設定登録がなされ、その後、東京応化工業株式会社より特許異議の申立がなされ、取消理由通知がなされ、平成11年4月30日に訂正請求がなされ、次いで、補正指令がなされ、平成11年8月10日に手続補正書が提出されたものである。
II.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
平成11年8月10日付けの手続補正書により補正された平成11年4月30日付けの訂正請求書の訂正の内容は次のとおりである。
▲1▼特許請求の範囲の【請求項1】における「ストリッピング溶媒」を「2-ピロリジノン、1-メチル-2-ピロリジノン、1-エチル-2-ピロリジノン、1-プロピル-2-ピロリジノン、1-ヒドロキシエチル-2-ピロリジノン、1-ヒドロキシプロピル-2-ピロリジノン、及びジメチルアセトアミドからなる群から選ばれる1以上の溶媒を含めてなるストリッピング溶媒」と訂正する。
▲2▼特許請求の範囲の【請求項1】における「水性pH」を「水性すすぎpH」と訂正する。
▲3▼特許請求の範囲の【請求項5】における「水性pH」を「水性すすぎpH」と訂正する。
▲4▼特許請求の範囲の【請求項4】を削除し、訂正前の【請求項5】及び【請求項6】を【請求項4】及び【請求項5】と訂正する。
▲5▼発明の詳細な説明の欄の段落【0010】の末尾に「本明細書で水性すすぎpHは、ストリッパーを脱イオン水で19:1に希釈して測定した値と定義される。」を加える。
▲6▼発明の詳細な説明の欄の段落【0014】の「そのような溶媒の例として、種々のピロリジノン化合物類、例えば2-ピロリジノン、1-メチル-2-ピロリジノン、1-エチル-2-ピロリジノン、1-プロピル-2-ピロリジノン、1-ヒドロキシエチル-2-ピロリジノン、1-ヒドロキシプロピル-2-ピロリジノン等、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類、…(中略)…ならびにポリエチレングリコール類、ジメチルアセトアミド又はジメチルホルムアミドが挙げられる。」を「そのような溶媒は、ピロリジノン化合物類、2-ピロリジノン、1-メチル-2-ピロリジノン、1-エチル-2-ピロリジノン1-プロピル-2-ピロリジノン、1-ヒドロキシエチル-2-ピロリジノン、1-ヒドロキシプロピル-2-ピロリジノン、ジメチルアセトアミドである。」と訂正する。
▲7▼段落【0016】、段落【0017】、段落【0018】、段落【0019】、段落【0020】、段落【0021】、【0022】、段落゛【0023】、段落【0024】、段落【0026】、段落【0027】の各「水すすぎpH」を「水性すすぎpH」と訂正する。
▲8▼段落【0026】の「実施例10」を「参考例」と訂正する。
▲9▼段落【0030】の「すすぎPH」を「水性すすぎpH」と訂正する。
2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正▲1▼は、特許明細書の特許請求の範囲に記載されたフォトレジストストリッピング組成物の必須成分であるストリッピング溶媒について、訂正前の【請求項4】及び明細書の段落【0014】に記載された化合物、例示に基づいて、その範囲内に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書の範囲内の訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
上記訂正▲2▼▲3▼▲7▼▲9▼は、いずれも「水性すすぎpH」に関する用語を統一して、その意味内容を明確にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書の範囲内の訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
上記訂正▲4▼は、【請求項4】を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書の範囲内の訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
上記訂正▲5▼は、明細書中の「水性すすぎpH」がすべて実施例1(段落【0016】)に記載の方法で測定された値であることを明確にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書の範囲内の訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
上記訂正▲6▼は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正▲1▼に伴って生じた、特許請求の範囲と、発明の詳細な説明の欄との不整合部分を整合させるためのものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書の範囲内の訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
上記訂正▲8▼は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正▲1▼に伴って、発明の実施の範囲外となった試験例につき、その呼称を「実施例」から「参考例」と訂正するものであり、特許請求の範囲と、発明の詳細な説明の欄との不整合部分を整合させるためのものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書の範囲内の訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
3.独立特許要件の判断
当審で発した取消理由通知の概要は以下のとおりである。
▲1▼明細書中には、「水性すすぎpH」に関して、「水性pH」、「水すすぎpH」等の対応関係・技術内容の不明確な用語が用いられ、発明の構成が不明確となっているから、請求項1、請求項2、請求項4及び請求項6に係る発明の特許は、その明細書が特許法第36条第4〜5項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。
▲2▼請求項1に係る発明は、刊行物1(「電気化学便覧第4版」、昭和60年1月25日発行、第88頁、「3.4解離定数」の項、丸善株式会社)、刊行物2(「化学大辞典2」縮刷版第32刷、1989年8月15日発行、第447頁、「カテコール」の項、共立出版株式会社)、及び実験報告書(東京応化株式会社開発本部先端材料開発二部
田辺将人作成の特開平5-281753号公報の実施例2の追試に係る実験成績報告書)を参酌すると、先願(特願平4-109323号、特開平5-281753号公報参照)の願書に最初に添付された明細書に記載された発明と同じであり特許法第29条の2の規定に違反して特許された、ものである。
▲3▼請求項2、請求項4及び請求項6に係る発明も、該刊行物1、該実験報告書、該刊行物2を参酌すると、先願の願書に最初に添付された明細書に記載された発明と同じであり、やはり、特許法第29条の2の規定に違反して特許されたものである。
▲1▼について
「水性すすぎpH」に関する明細書の記載不備に係る取消理由は、上記訂正により解消された。
▲2▼〜▲3▼について
《訂正後の請求項1〜5に係る発明》
訂正請求書により訂正された後の本件特許請求の範囲は、下記のとおりである。
[【請求項1】2-ピロリジノン、1-メチル-2-ピロリジノン、1-エチル-2-ピロリジノン 1-プロピル-2-ピロリジノン、1-ヒドロキシエチル-2-ピロリジノン、1-ヒドロキシプロピル-2-ピロリジノン、及びジメチルアセトアミドからなる群から選ばれる1以上の溶媒を含めてなるストリッピング溶媒、親核アミン、及び窒素を含有しない弱酸を含んでおり、該窒素を含有しない弱酸の量が、PH9.6から10.9の範囲内の水性すすぎpHをストリツピング組成物が有するように該親核アミンの19〜75重量%を中和するのに十分な0.05〜25重量%であり、該窒素を含有しない弱酸が、水溶液中で2.0以上のpK値を有しそして140未満の当量を有している、いかなる実質的な金属腐食も生じることなしに金属含有基体から硬化又は高度に架橋したフォトレジスト樹脂フィルムをストリッピングするための、アルカリ含有フォトレジストストリッピング組成物。
【請求項2】該ストリッピング溶媒が、8〜15の溶解度パラメーターを有し、そしてストリッピング組成物の50〜98重量%の量で存在するストリッピング溶媒系であり、該親核アミンがストリッピング組成物の1〜50重量%の量で存在する、請求項1に記載のアルカリ含有フォトレジストストリッピング組成物。
【請求項3】弱酸が2.5以上のpKを有し、酢酸、フタル酸、2-メルカプト安息香酸、2-メルカプトエタノール、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン、ピロガロール、レゾリシノール、4-第三ブチルカテコール、炭酸及び弗化水素酸からなる群から選ばれ、該アミンが1-アミノ-2-プロパノール、2-(2-アミノエチル)エタノール、2-アミノエタノール、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール及び2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミンからなる群から選ばれる請求項1又は2のいずれか一に記載のアルカリ含有フォトレジストストリッピング組成物。
【請求項4】該組成物が重量基盤でN-メチルピロリジノン50〜98重量%、1-アミノ-2-プロパノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール及び2-アミノエタノールから選ばれるアミン1〜50%、及びストリッピング組成物がpH9.6〜10.9の範囲内の水性すすぎpHを有するように該アミンを中和する量で存在する酢酸0.05%〜25%を含んでいる請求項1、2又は3のいずれか一に記載のアルカリ含有フォトレジストストリッピング組成物。
【請求項5】フォトレジストストリッピング組成物として請求項1、2、3、又は4のいずれか一に記載のアルカリ含有フォトレジストストリッピング組成物を使用することからなる、基体から高度に架橋又は硬化されたフォトレジスト樹脂をフォトレジストストリッピング組成物でストリッピングする方法。」
《先願発明》
これに対して、先願の出願当初の明細書(以下「先願明細書」という)には、「【請求項1】基板上に塗布されたフォトレジスト膜を剥離するための剥離剤組成物において、
(a)一般式 H3-nN((CH2)mOH)n
(ただし、mは2又は3の数を示し、nは1、2又は3の数を示す。)で表されるアルカノールアミン化合物、
(b)一般式 R1-SO2-R2又は
R1-SO-R2
(ただし、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素数1もしくは2のアルキル基、又は相互に結合して形成する炭素数4、5もしくは6の環状アルキレン基を示す。)で表されるスルホン化合物又はスルホキシド化合物、及び
(c)一般式 C6H6-n,(OH)n
(ただし、n=1、2又は3)又は
C6H6-m-n(OH)nRm
(ただし、n=1、2又は3、m=1又は2で、環状アルキレン基にヒドロキシ基及びアルキル基又はアルコキシ基が付加されたもの。)で表されるヒドロキシ化合物、からなることを特徴とする剥離剤組成物。
【請求項2】アルカノールアミン化合物1〜50重量%、スルホン化合物又はスルホキシド化合物99.5〜40重量%及びヒドロキシ化合物0.5〜10重量%からなることを特徴とする請求項1記載の剥離剤組成物。」(特許請求の範囲請求項1〜2)が記載され、さらに実施例2として、シリコンウエハー上のパターニング、エッチング処理後のポジ型フォトレジストを モノエタノールアミン90重量%、ジメチルスルホキシド60重量%、カテコール10重量%からなる剥離剤組成物中に100℃にて10分間浸漬した後、洗浄、乾燥すると、残存レジストは無く、きれいにストリッピングできたことが示されている。
《刊行物1、2及び実験報告書の記載》
刊行物1には、カテコールの酸解離定数(pKa)即ち水溶液中でのpKa1値が9.23、pKa2値が13.0であることが、刊行物2には、カテコールの当量が110で、140未満であることが、また、実験報告書には、先願明細書の実施例2の剥離剤組成物の水性すすぎpHを測定すると10.4であることが、それぞれ示されている。
《対比・判断》
▲2▼について
刊行物1、2及び実験報告書の開示内容をふまえつつ、訂正後の請求項1に係る発明と、先願明細書に記載されたものとを対比すると、後者の「モノエタノールアミン」は前者の「親核アミン」に相当し、後者の「カテコール」は前者の「窒素を含有しない弱酸」に相当し且つ「水溶液中でのpK値が2.0以上で、当量が140未満」であるので、両者は、硬化したレジスト樹脂の剥離に好適なアルカリ含有フォトレジストストリッピング組成物であって、親核アミンや窒素を含有しない弱酸などの配合成分や、その配合量、特性値などで一致するものの、主要成分たるストリッピング溶媒の点で、後者はジメチルスルホキシドを用いているのに対して、前者はジメチルスルホキシドとは異なる化合物を用いており、相違している。
したがって、請求項1に係る発明は、先願明細書に記載された発明であるとはいえず、特許法第29条の2の規定に違反して特許されたものとはいえない。
▲3▼について
請求項2〜4に係る発明は、請求項1に係る発明の構成をすべて引用した上でそれに加えて、各種の限定を付するものであるから、上記▲2▼について示したとおり、請求項1に係る発明に特許を取り消すべき理由が発見されない以上、同様の理由により、先願明細書に記載された発明であるとはいえず、特許法第29条の2の規定に違反して特許されたものとはいえない。
請求項5 (特許請求の範囲訂正前の「請求項6」に相当)に係る発明は、請求項1ないし4のいずれか一に記載のアルカリ含有フォトレジストストリッピング組成物を使用することを特徴とするストリッピング方法の発明であるから、上記「▲2▼について」で検討したように、請求項1に記載のアルカリ含有フォトレジストストリッピング組成物が、先願明細書に記載されたものとはいえない以上、請求項5に係る発明は、請求項1に係る発明で示した理由と同様の理由により、先願明細書に記載されたものとはいえない。
4.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2〜4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
III.特許異議の申立てについての判断
1.特許異議申立の概要
特許異議申立人は、証拠方法として、甲第1号証(特願平4-109323号)、甲第2号証(「電気化学便覧第4版」、昭和60年1月25日発行、第88頁、「3.4解離定数」の項、丸善株式会社、:上記の刊行物1と同じ)、甲第3号証(東京応化株式会社開発本部先端材料開発二部 田辺将人作成の特開平5-281753号公報の実施例2の追試に係る実験成績報告書:上記の実験報告書と同じ)、甲第4号証(「化学大辞典2」縮刷版第32刷、1989年8月15日発行、第447頁、「カテコール」の項、共立出版株式会社:上記の刊行物2と同じ)を提示して、請求項1〜4、請求項6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、特許法第29条の2の規定に違反して特許されたものであるから、特許を取り消す永き旨主張している。
2.判断
異議申立人の提出した甲第1号証は、上記II.3で検討した先願であり、甲2号証ないし甲第4号証は、上記II.3で検討した参考資料である。
従って、異議申立人の提出した証拠は、すべて、上記II.3で検討したものであり、そこで検討したとおり、甲第2〜4号証に記載されたものを参酌しても、特許請求の範囲の各請求項に係る発明が先願明細書に記載された発明であるとはいえない。
3.むすび
以上のとおりであり、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
架橋又は硬化したレジスト樹脂を有する減少した金属腐食を生じるアルカリ含有フォトレジストストリッピング組成物
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2-ピロリジノン、1-メチル-2-ピロリジノン、1-エチル-2-ピロリジノン、1-プロピル-2-ピロリジノン、1-ヒドロキシエチル-2-ピロリジノン、1-ヒドロキシプロピル-2-ピロリジノン、及びジメチルアセトアミドからなる群から選ばれる1以上の溶媒を含めてなるストリッピング溶媒、親核アミン、及び窒素を含有しない弱酸を含んでおり、該窒素を含有しない弱酸の量が、pH9.6から10.9の範囲内の水性すすぎpHをストリッピング組成物が有するように該親核アミンの19〜75重量%を中和するのに十分な0.05〜25重量%であり、該窒素を含有しない弱酸が、水溶液中で2.0以上のpK値を有しそして140未満の当量を有している、いかなる実質的な金属腐食も生じることなしに金属含有基体から硬化又は高度に架橋したフォトレジスト樹脂フィルムをストリッピングするための、アルカリ含有フォトレジストストリッピング組成物。
【請求項2】
該ストリッピング溶媒力瓢 8〜15の溶解度パラメ-タ-を有し、そしてストリッピング組成物の50〜98重量%の量で存在するストリッピング溶媒系であり、該親核アミンがストリッピング組成物の1〜50重量%の量で存在する、請求項1に記載のアルカリ含有フォトレジストストリッピング組成物。
【請求項3】 弱酸が2.5以上のpKを有し、酢酸、フタル酸、2-メルカプト安息香酸、2-メルカプトエタノール、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン、ピロガロール、レゾリシノール、4-第三ブチルカテコール、炭酸及び弗化水素酸からなる群から選ばれ、該アミンが1-アミノー2-プロパノール、2-(2-アミノエチル)エタノール、2-アミノエタノール、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール及び2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミンからなる群から選ばれる請求項1又は2のいずれかーに記載のアルカリ含有フォトレジストストリッピング組成物。
【請求項4】 該組成物が重量基盤でN-メチルピロリジノン50〜98重量%、1-アミノ-2-プロパノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール及び2-アミノエタノールから選ばれるアミン1〜50%、及びストリッピング組成物がpH9.6〜10.9の範囲内の水性すすぎpHを有するように該アミンを中和する量で存在する酢酸0.05%〜25%を含んでいる請求項1、2、又は3のいずれか一に記載のアルカリ含有フォトレジストストリッピング組成物。
【請求項5】 フォトレジストストリッピング組成物として請求項1、2、3、又は4のいずれか一に記載のアルカリ含有フォトレジストストリッピング組成物を使用することからなる、基体から高度に架橋又は硬化されたフォトレジスト樹脂をフォトレジストストリッピング組成物でストリッピングする方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、架橋又は硬化されたフォトレジスト樹脂で被覆されている、金属含有マイクロ回路基体上の金属腐食を回避又は実質的に除去するアルカリ含有フォトレジストストリッピング組成物に関する。本発明はまた、マイクロ回路基体中のどんな実質的な金属腐食も生じることなしにアルカリ含有フォトレジストストリッピング組成物を用い、そして非常に改良されたストリッピング率を提供し、その結果アルカリ成分を含有していないストリッピング組成物と比較してストリッピング時間が減少する、架橋又は硬化した基体からフォトレジストをストリッピング方法にも関している。
【0002】
【従来の技術】
マイクロエレクトロニクスに於ける製造にとって必須の部分は、マスク又はレチクルから所望の回路層に像を移し変えるためにフォトレジストを使用することである。所望の像の移し変えが達成されたのち、幾つかのその後の処理工程に進む前に、ストリッピングによりフォトレジストは除去される。このストリッピング段階には約1980年以来アミド類及びアミド類と種々の共溶媒の混合物がいつも使用されてきた。例えば米国特許4,395,479、4,428,871、及び4,401,748(ワ-ド等に発行されたもの)を参照。
【0003】
フォトレジストがまだある間に実施されるストリッピング前の処理の種類に依存して、フォトレジスト重合体は、アミド基盤の溶媒がもはや効果的にフォトレジストをストリッピングしなくなる程度まで架橋又は硬化され得る。およそ1985年からは有機アミン(ジョンソン米国特許4,592,787、メレム米国特許4,765,844、シゼンスキ-米国特許4,617,251、タ-ナ-WO87/05314、ト-マス等米国特許4,791,043)、又は第四級水酸化アンモニウム(ステッペン等 米国特許4,776,892、ハク 米国特許4,744,834、マ-チンWO88/05813)等の追加的なアルカリ成分を含有するアミド混合物の使用がそのような硬化されたフォトレジストの除去を促進するために導入された。
【0004】
金属フイルム、特にアルミニウム、又は活性金属例えばアルミニウム又はチタンとより電気的陽性金属例えば銅又はタングステンとの種々の組合せ又は合金を含有するマイクロ回路基体上のこれらのアルカリストリッパ-の使用は問題が多いことがわかってきた。少なくとも一部は金属とアルカリ性のストリッパ-の反応のため、種々の種類の金属腐食、例えば腐食ホイスカ-(ひげ結晶)、ピッティング(点蝕)、金属線のノッチング(切り込み)が観測された。さらにリ-等、Proc.Interface′89、137-148によって有機ストリッパ-を水から除去するのに必要とされる水すすぎ段階まで殆ど腐食作用は起こらないことが示された。腐食は明らかに金属がすすぎの間に存在する強アルカリ性水溶液と接触する結果である。アルミニウム金属はそのような条件下で急速に腐食することが知られている。アンバット等Corrosion Science(腐食化学)第33巻(5)、684頁、1992年。
【0005】
過去に於いてイソプロピルアルコ-ル等の非アルカリ性有機溶媒での中間すすぎを用いることによってこの問題を解決することが提案された。そのようなものを必要としない効果的なストリッパ-を提供することによってこの追加的なすすぎをなくすることにより、そのような中間すすぎの費用と、安全性上、化学品の衛生上及び環境上の可能性ある影響とをさけることが望ましいであろう。
【0006】
米国特許5,102,777(1992年4月2711、リン等に発行)に於いて、約68〜約98%の範囲内に入る量で、約8.5〜約15の範囲内に入る溶解度パラメ-タ-を有する溶媒系を含むポジティブフォトレジストストリッパ-組成物を用いることによってそのような腐食をなくすることが提案された。さらに約6〜9.5、好ましくは7〜8.5のpHを提供するためにアミンと脂肪酸が選択されるように、アミンが約2〜約25%の量で存在し、また8〜20個、好ましくは10〜16個の炭素原子を有する脂肪酸が約0.1〜10%の量で存在する。しかしその特許に開示されたポジティブフォトレジストストリッピング組成物は金属腐食に対し幾らかの有益な効果を提供することがわかったが、これらの開示されたストリッピング組成物はストリッピングが難しい架橋又は硬化されたフォトレジスト樹脂を満足にストリッピングするために使用することが出来なかった。その上、架橋されたフォトレジスト樹脂をストリッピングすることが出来るこの特許の一つのストリッピング処方に於いて、金属腐食を防止又は回避することができなかった。このリン等の特許のストリッピング組成物のこれらの不足点及び欠点はこの明細書の後の比較例に於いて説明されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は金属腐食を回避するために中間のすすぎを必要とせず、しかもフォトレジストストリッパ-が架橋又は硬化されたフォトレジストをストリッピングするのに非常に有効であるアルカリ含有フォトレジストストリッパ-を提供することである。本発明の更に別の目的は、架橋又は硬化されたフォトレジストに対するフォトレジストのストリッピング率に、どんな過度の悪影響も与えることないそのような改良された金属を腐食しないアルカリ含有フォトレジスト組成物を提供することである。
【0008】
【課題を解決する手段】
ある種の窒素を含有しない弱酸をアルカリ性ストリッパ-に添加すると純水ですすぐ間にかなりアルカリ性が低い溶液を生じるが、それでもどんな実質的な望ましくない金属腐食も生じることなしに、高度に架橋又は硬化したフォトレジストフイルムをストリッピングする能力を保持しているストリッパ-組成物が得られることが発見された。このことは有意義にストリッピング時間又はストリッピング速度を悪くかえることなしに、弱酸で半分量を越えるアルカリ成分が中和されているので特に驚くべきことである。またこれらの低いpH水溶液は、本発明の弱酸添加での変更がされていないアルカリ含有ストリッパ-から生じる水性すすぎ溶液よりも、金属に対して生じる腐食がかなり小さいことが発見された。更に別の発見は、本発明のフォトレジストストリッパ-が、実質的に望ましくない金属腐食を生じることなしに、満足に硬化又は架橋したフォトレジストをストリッピングすることが出来るという発見である。
【0009】
本発明で使用することが出来る非窒素含有弱酸にはカルボン酸又はフェノ-ル等の有機のもの、ならびに炭酸又は弗化水素酸などの無機酸の塩が含まれる。
【0010】
弱酸とは水溶液中の解離定数に対するpKとして表現される強度が少なくとも2.0以上、好ましくは2.5以上を有する酸を意味している。特に有用なものはpKが>2.0の弱酸、好ましくは約140未満の当量を有するものである。本発明で有用なそのような非窒素含有弱酸の例として、例えばカルボン酸、例えば酢酸、フタル酸、フェノキシ酢酸等、有機酸、例えば2-メルカプト安息香酸、2-メルカプトエタノ-ル等、9〜10範囲のpKを一般に有しているフェノ-ル類、例えばフェノ-ル、1,3,5-トリヒドロベンゼン、ピロガロ-ル、レゾリシノ-ル、4-第三ブチルカテコ-ル等、及び無機酸、例えば炭酸、弗化水素酸等が挙げられる。本発明のストリッピング組成物中で用いられる弱酸の量は、該組成物の約0.05〜約25重量%であり、そしてストリッパ-組成物中に存在するアミンの約19〜約75重量%を中和する量で存在し、それによって該ストリッパ-組成物の水性すすぎpH約pH9.6〜10.9を生じる。本明細書で水性すすぎpHは、ストリッパ-を脱イオン水で19:1に希釈して測定した値と定義される。
【0011】
本発明で使用することができるアルカリ性ストリッパ-成分も広範囲な構造形式をカバ-する。それらの解離定数は再びpK値で表わすと、β酸素又はβ窒素置換アミンについての約9〜11から、第二級アミン、モルホリン及びヒドロキシルアミンに対しての8.3まで及びヒドロキシルアミン誘導体のこれより幾らか低いpK値までの範囲である。使用することができるアルカリ性の成分の中でも、親核アミン類、好ましくは例えば1-アミノ-2-プロパノ-ル、2-(2-アミノエトキシ)エタノ-ル、2-アミノエタノ-ル、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノ-ル及び2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミンなどが挙げられる。アミンの実際のpK値よりもより重要なのはその親核性であり、親核性は高いものであるべきである。本発明に於いてストリッピング組成物中に用いられるアミン成分の量は該組成物の約1〜約50重量%である。
【0012】
本発明で使用される弱酸の範囲とこれらのアルカリ性ストリッパ-成分の相互作用は、本質的に可逆的であると信じられる。
【0013】
アルカリ性成分+酸 → 塩様の複合体

この反応の可逆性のため、アルカリ性成分の実質的な濃度がアルカリ性成分の多くが化学量論的観点から中和されてしまっていても、ストリッピング工程の間利用できるままとなる。これはこれらの酸の存在下に於いてさえ、驚くべき迅速なストリッピング速度が観測される理由であろう。
【0014】
本発明のフォトレジストストリッピング組成物は前記のアルカリ性成分と弱酸成分を含有している力瓢また有機溶媒系も含んでいる。有機溶媒系は、3つのハンセン(Hansen)溶解度パラメ-タ-(分散、極性及び水素結合)の二乗の合計の平方根をとることによって得られる約8〜約15の溶解度パラメ-タ-を有しているものである。この溶媒系は多くの個々の溶媒の何れか一つ、又は幾つかの異なる溶媒の混合物であり得る。そのような溶媒は、ピロリジノン化合物類、2-ピロリジノン、1-メチル-2-ピロリジノン、1-エチル-2-ピロリジノン、1-プロピル-2-ピロリジノン、1-ヒドロキシエチル-2-ピロリジノン、1-ヒドロキシプロピル-2-ピロリジノン、ジメチルアセトアミドである。本発明のストリッパ-組成物の溶媒系部分は一般に組成物の約50〜約98重量%をなし、好ましくは約85〜約98重量%をなす。
【0015】
本発明のストリッピング組成物は広範囲のフォトレジストをストリッピングするのに有効であり、特にポジティブフォトレジストをストリッピングするのに有効である。多くのフォトレジストはオルトナフトキノンジアジドスルホン酸エステル又はアミド増感剤又はフォトアクティブ(光活性)成分と、ノボラック、レゾ-ル、ポリアクリルアミド、又はアクリル系共重合体型バインダ-類又は樹脂類とからなっている。そのようなフォトレジストはこの分野で良く知られている。そのようなレジスト及び増感剤は例えば米国特許3,046,118、3,046,121、3,106,465、3,201,239、3,538,137、3,666,473、3,934,057、3,984,582及び4,007,047に記載されている。本発明のストリッピング組成物が使用されるフォトレジスト組成物の例として、KTIケミカルズフォトレジストKTI820、KTI825、KTI875及びKTI895i;ジェイ ティ- ベイカ- インコ-ポレイテッドフォトレジスト1-PR-21及びE38;オリオンハントWX-309、HiPR6500シリ-ズのフォトレジスト、及びOiR3712フォトレジスト;ヘキストセラネ-ゼフォトレジスト5214-E.AZ-5200及びAZ-6212;シプレ-カンパニ-フォトレジストMF-314、XP-8843,メガポジットSPR500及びメガポジットSNR248;フジハントエレクトロニクスフォトレジストHF6450及びFX-EX1;東京応化工業株式会社フォトレジストTHMR-IP800;マックデルミッドフォトレジストPR-1024MB;モ-トンインタ-ナショナルのダイナケムディビジョンフォトレジスト ノバ2000シリ-ズ、例えばノバ2020及びノバ2070;日本合成ゴムフォトレジストPFR 1X500EL;住友化学フォトレジストのスミレジストPFI-15;及び東レインダストリ-ズ(東レ株式会社)フォトレジスト PR-a1200などが挙げられる。
【0016】
【実施例】
実施例1
シリコンウエハ-をヘキサメチルジシラザンで下地処理し、そしてジェイ ティ- ベイカ- インコ-ポレイテッド 1-PR-21フォトレジスト約1000nmと共にスピンさせた。ウエハ-を次に30分間95℃でソフトベ-クし、次に60分間200℃でハ-ドベ-クし、高度に架橋したレジストフイルムを与えた。ウエハ-を次に95℃で以下に挙げた溶液でストリッピングし、そしてフォトレジストが完全にストリッピングされた時間を記録した。これらは以下に示される(±使用された幾つかの複製ウエハ-の1標準偏差)。この実施例で使用されたアルカリ性ストリッパ-は90%のN-メチルピロリジノン(NMP)及び10%の1-アミノ-2-プロパノ-ルを含む。使用された酸は酢酸であった。水性すすぎpHは、脱イオン水でのこれらの混合物の19対1に希釈で測定し、これもまたリストした。示されているアルミニウム(フオイルク-ポン=1.5×1.5×0.004インチ)腐食重量ロスは室温で24時間に於ける脱イオン水での9:1希釈で測定された。

【0017】
実施例2
この実施例はアルカリ性ストリッパ-が90%のジメチルホルムアミド(DMF)と10%の2(2-アミノエトキシ)エタノ-ルを含み、酸がフェノ-ルであり、ストリッピング温度が85℃であることを除いて実施例1の手順に従って実施された。

【0018】
実施例3
この実施例はアルカリストリッパ-が90%のジメチルアセトアミド(DMAc)及び10%の2-アミノエタノ-ルを含み、酸が1,3,5-トリヒドロキシベンゼンであり、ストリッピング温度が85℃であることを除いて実施例1の手順に従って実施された。

【0019】
実施例4
この実施例は酸成分が種々の構造形式の弱酸のシリ-ズとしてかえられたことを除いて実施例1(アルカリ性ストリッパ-=90%NMP及び10%1-アミノ-2-プロパノ-ル)の手順に従って実施された。ストリッピング温度は85℃であった。

【0020】
実施例5
この実施例は2つの異なるアルカリ性ストリッパ-系が使用されたこと、即ちAS1=90%ジメチルアセトアミド(DMAc)+10%2-(2-アミノエトキシアミノ)エタノ-ルに酢酸を加えたもの、又は加えないもの;AS2=90%ジメチルアセトアミド(DMAc)+6%2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミンにフェノ-ルを加えたもの又は加えないものを使用したことを除き実施例1の手順に従って実施された。ストリッピング温度は85℃であった。

【0021】
実施例6
この実施例はアルカリ性ストリッパ-が90%の2-ピロリジノンと10%の1-アミノ-2-プロパノ-ルを含むものであり、酸が酢酸であり、ストリッピング温度が100℃であることを除いて実施例1の手順に従って実施された。

【0022】
実施例7
この実施例は3つの異なるアルカリ性ストリッパ-系が使用されpH制御物質が弱無機酸であること、:AS1=90%NMP+10%1-アミノ-2-プロパノ-ルに炭酸(炭酸アンモニム添加で発生)を加えたもの、又は加えないもの;AS2=90%NMP+10%2-(2-アミノエトキシ)エタノ-ルに47%水性弗化水素酸を加えたもの又は加えないもの;AS3=90%NMP+10%2-アミノエタノ-ルに47%水性弗化水素酸を加えたもの又は加えないものを使用したこと以外は実施例1の手順に従って実施された。ストリッピング温度は85℃であった。

【0023】
実施例8
実施例4と類似の方法で酸成分を硫黄含有酸型の一連のものとして変えた。この実施例でアルカリ性ストリッパ-は90%のN-メチルピロリジノン(NMP)と10%の2-アミノエタノ-ルであり、使用したフォトレジストは市販のKTI8951フォトレジストであった。処理は200℃で60分間の架橋化を含めたべ-カ-1-PR-21で前に使用したのと類似のものであった。ストリッピング温度は95℃を使用した。

【0024】
実施例9
この実施例は実施例1と類似の方法で実施した。アルカリ性ストリッパ-は90%N-メチルピロリジノン(NMP)と10%1-アミノ-2-プロパノ-ル+50gの酢酸/kg配合物であった。10重量%の種々の一般的なストリッパ-共溶媒を加える効果を測定した。ストリッピング温度は85℃であった。


【0025】
この実施例は共溶媒がこれらの部分的に中和された組成物に加えられることができ、所望のpHと腐食性が保持され、そしてわずかなストリッピングスピ-ドのロスがあるだけであることを示している。
【0026】
参考例
この参考例は使用されたアルカリ性ストリッパ-が90%ジメチルスルホキシド(DMSO)溶媒と10%1-アミノ-2-プロパノ-ルであることを除いて実施例1と類似の方法で実施された。使用した酸は酢酸であった。ストリッピング温度は80℃であった。

【0027】
比較例
これは米国特許5,102,777のカラム5に例示される6つのストリッパ-組成物の比較例である。米国特許5,102,777の表は使用された処理条件とフォトレジストを特定していない。この実施例で架橋フォトレジスト樹脂KTI895iを使用し、200℃で60分間焼き、そして85〜95℃のストリッピング温度でストリッピングしたが、これは現在の集積回路製造に於いて一般的に遭遇されるフォトレジスト除去の困難性の程度に近似させたものであり、本発明の実施例で使用された条件の典型である。N-メチルピロリジノンのみを有するストリッピング組成物の例を比較の基準として含めた。

NMP =N-メチルピロリジノン
DE =ジエチレングリコ-ルモノブチルエ-テル
BLO =γ-ブチロラクトン
DMAc =ジメチルアセトアミド
TEA =トリエタノ-ルアミン
DGA =ジグリコ-ルアミン([2-アミノエトキシ]-エタノ-ル)
DEA =ジエタノ-ルアミン
MPA =モノプロパノ-ルアミン(3-アミノプロパノ-ル)
MIPA =モノイソプロパノ-ルアミン(1-アミノ-2-プロパノ-ル)
*BLO 室温でDGAと反応し、アミドを形成し、従ってアミンは中和する為には存在しない。
a =ストリッピング温度85℃
b =ストリッピング温度90℃
【0028】
ストリッピング組成物中最初の5つが架橋フォトレジストをストリッピングせず、ストリッピング能力が未修飾NMPと本質的に等しかったので、米国特許5,102,777(前記デ-タ-の中心のセクション)中の実施例には明らかにやや温和な処理条件を使用している。このKTI 895iレジストを除去することができるだた一つの米国特許5,102,777のストリッピング組成物実施例(前記のデ-タ-の中心セクションの6番目のもの)はかなりのアルミニウム腐食も生じた(16%の重量損失)。これはpH11.5を生じる存在するアミンの不十分な中和(4%)のためである。
【0029】
前記の表の最後の3つのストリッパ-実施例は、本発明の範囲内である。これらは本発明のストリッピング組成物が減少水準のアルミニウム腐食しか起こさずに架橋フォトレジストをストリッピングする能力があることを実証している。
【0030】
本発明に従うストリッピング組成物の前記実施例の各々に於いて、溶媒にアルカリ物質を添加することは顕著にストリッピング時間を減少させ(ストリッピング速度を増加させ)アルカリ性のストリッパ-が高度に架橋したフォトレジストに対し効果的であることを実証している。しかし、広い範囲の溶媒、塩基及び実施例1〜10で使用される酸の種類にわたって、これらのアルカリ性物質の実質的な部分を中和することは、予想外にも、この架橋されたレジストをストリッピングする性質を保有する新しい配合物を与えている。同時にこれらの配合物はかなり低いpHのすすぎ水を生じる。これらの修飾されたフォトレジストストリッパ-配合物から生じる低い水性すすぎpHは劇的により少ないアルミニウム金属腐食を与える。アルカリ性の腐食にさらされる他の金属及び金属の組合せは同様の改良された挙動を示すことが予測されるであろう。
【0031】
本発明の前記の記載から当業者はその精神から逸脱することなく本発明に対し変更がなされうることを認めるであろう。従って本発明の範囲は特定の説明され記載された具体例に限定されないことが意図される。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
特許第2683729号発明の特許明細書を 下記のとおり訂正する。
訂正事項a.
特許請求の範囲の【請求項1】における「ストリッピング溶媒」との記載を、特許請求の範囲の減縮を目的として「2-ピロリジノン、1-メチル-2-ピロリジノン、1-エチル-2-ピロリジノン、1-プロピル-2-ピロリジノン、1-ヒドロキシエチル-2-ピロリジノン、1-ヒドロキシプロピル-2-ピロリジノン、及びジメチルアセトアミドからなる群から選ばれる1以上の溶媒を含めてなるストリッピング溶媒」と訂正する。
訂正事項b.
特許請求の範囲の【請求項1】における「水性pH」との記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、「水性すすぎpH」と訂正する。
訂正事項c.
特許請求の範囲の【請求項5】における「水性pH」との記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、「水性すすぎpH」と訂正する。
訂正事項d.
特許請求の範囲の【請求項4】を、特許請求の範囲の減縮を目的として削除し、それ以降の【請求項5】、【請求項6】を繰り上げて、【請求項4】、【請求項5】と訂正する。
訂正事項e.
「本明細書で水性すすぎpHは、ストリッパーを脱イオン水で19:1に希釈して測定した値と定義される。」との記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、発明の詳細な説明の欄の段落【0010】の末尾に加える。
訂正事項f.
発明の詳細な説明の欄の段落【0014】の「そのような溶媒の例として、種々のピロリジノン化合物類、例えば2-ピロリジノン、1-メチル-2-ピロリジノン、1-エチル-2-ピロリジノン、1-プロピル-2-ピロリジノン、1-ヒドロキシエチル-2-ピロリジノン、1-ヒドロキシプロピル-2-ピロリジノン等、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類、…(中略)…ならびにポリエチレングリコール類、ジメチルアセトアミド又はジメチルホルムアミドが挙げられる。」との記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、「そのような溶媒は、ピロリジノン化合物類、2-ピロリジノン、1-メチル-2-ピロリジノン、1-エチル-2-ピロリジノン、1-プロピル-2-ピロリジノン、1-ヒドロキシエチル-2-ピロリジノン、1-ヒドロキシプロピル-2-ピロリジノン、ジメチルアセトアミドである。」と訂正する。
訂正事項g.
段落【0016】、段落【0017】、段落【0018】、段落【0019】、段落【0020】、段落【0021】、【0022】、段落【0023】、段落【0024】、段落【0026】、段落【0027】の各「水すすぎpH」との記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、「水性すすぎpH」と訂正する。
訂正事項h.
段落【0026】の「実施例10」との記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、「参考例」と訂正する。
訂正事項i.
段落【0030】の「すすぎpH」との記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、「水性すすぎpH」と訂正する。
異議決定日 1999-09-06 
出願番号 特願平5-299063
審決分類 P 1 652・ 161- YA (G03F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 吉田 禎治  
特許庁審判長 高梨 操
特許庁審判官 植野 浩志
伏見 隆夫
登録日 1997-08-15 
登録番号 特許第2683729号(P2683729)
権利者 マリンクロット ベーカー, インコーポレイテッド
発明の名称 架橋又は硬化したレジスト樹脂を有する減少した金属腐食を生じるアルカリ含有フォトレジストストリッピング組成物  
代理人 佐々井 克郎  
代理人 服部 平八  
代理人 佐々井 克郎  

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