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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 H04N 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載 H04N |
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管理番号 | 1020496 |
異議申立番号 | 異議1998-75471 |
総通号数 | 14 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1992-05-22 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1998-11-13 |
確定日 | 2000-08-07 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第2748678号「階調補正方法および階調補正装置」の請求項1、2,3,5,6,7,9に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2748678号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 |
理由 |
1 本件発明の手続の経緯 本件特許第2748678号の請求項1ないし9に係る発明の手続の経緯は以下の通りである。 出願 平成2年10月9日 設定登録 平成10年2月20日 異議の申立 平成10年11月13日 取消理由通知 平成11年3月10日 訂正請求 平成11年6月7日 2 訂正の適否 2.1 訂正の内容 a.特許請求の範囲の請求項1、請求項3、請求項5、請求項6、請求項7、請求項9を、特許請求の範囲の減縮を目的として、削除の訂正をする。 これに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の名称の記載の整合を図るため明瞭でない記載の釈明を目的として発明の名称を「階調補正方法および階調補正装置」から「階調補正装置」に訂正する。 b.特許請求の範囲の請求項2の「R、G、B信号から」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、「階調変換特性を選択する設定手段と、R、G、B信号から」に訂正する。 c.特許請求の範囲の請求項2の「比を演算する補正係数演算手段」を、特許請求の範囲の減縦を目的として、「比を階調変換特性に対して記憶したROMテーブルを有し、前記テーブルを参照することにより、前記選択された階調変換特性に対する前記比を演算する補正係数演算手段」と訂正する。 2.2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張変更の存否 (訂正事項aについて) 上記訂正事項aについては、「請求項の削除」であり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (訂正事項b及びcについて) 上記訂正事項bについては、「設定手段」を追加するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、当訂正事項bは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。すなわち、明細書第7欄第34行目〜第36行目の「階調変換特性の選択は、設定手段6から与えられる4bitのページ選択情報をROMの上位アドレスに与え、テーブルを切り換えることにより実現している」の記載に基づく。 上記訂正事項cについては、「補正係数演算手段」を更に具体化するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、当訂正事項cは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。すなわち、明細書第7欄第29行目〜第36行目の「本実施例では、補正係数演算手段2を第4図に示すようなROMテーブルとして構成している。 10は・・・切り換えることにより実現している。」との記載、及び図4の記載に基づくものである。 2.3 独立特許要件について 訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明は後記のとおり、特許出願の際独立して特許をうけることができるものである。 2.4 むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する第126条第2-4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3 特許異議申立について 3.1 異議申立の概要 特許異議申立人 有限会社オフィスアテナは、甲第1号証(特開昭63-232591号公報),甲第2号証(特開昭62-286379号公報) を提出して、請求項1、2、3,5、6、7、9に係る発明は、特許法第29条第1項3号の規定により特許を受けることができないものであり、また、特許法第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許を取り消すべき旨を主張する。 3.2 本件発明の要旨 平成11年6月7日付けで提出された訂正明細書の請求項1に係る発明は(以下、本件発明と呼ぶ)、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「1 階調変換特性を選択する設定手段と、 R、G、B信号から輝度信号を作成する輝度信号変換手段と、 この輝度信号を任意形状の所望の階調特性にガンマ変換した結果の前記輝度信号に対する比を階調変換特性に対して記憶したROMテーブルを有し、前記テーブルを参照することにより、前記選択された階調変換特性に対する前記比を演算する補正係数演算手段と、 この補正係数演算手段の出力と前記R、G、B各々の入力信号を乗ずる乗算手段とを備えた階調補正装置。」 3.3 特許法第29条第1項第3号及び第2項違反について 当審が平成11年3月10日に通知した取消理由において引用した刊行物1,2(異議申立の証拠甲第1,2号証)には、以下の記載があるものと認められる。 ・引用刊行物1(特開昭63-232591号公報) 「 一般に、撮像素子のダイナミックレンジは、50dB程度であると言われている。ところが一般的な被写体の輝度差、つまりダイナミックレンジは、これより大きいものが多く、100dB以上のこともある。」(引用刊行物1 第2頁右下欄第3行〜右下欄第7行) 「RGBの三原色ベクトルで示される色空間は、マトリクス変換により、第1図に示すように輝度信号Yと、これに垂直な面として示される色相面M(R-YとB-Yの直交座概にて表示される)に分けて考えることができる。第1図中θは色相を示し、γは彩度を示し、CBは色ベクトルを示している。ところで、カラー画像のダイナミックレンジを拡大するには、輝度信号 Yのみを圧縮すればよいのであるが、視覚上の彩度γは輝度Yで規格化されたもの(彩度の絶対値が同じでも輝度が2倍になれば、彩度は1/2となる)であるから、輝度Yの圧縮比を彩度γに乗じなければならない。つまり輝度Yを対数圧縮するときは、1ogY/YをR-Y、B-Yに乗じればよい。かくして前記手段を講じたことにより、視覚上での彩度、色相に影響なくダイナミックレンジを拡大することが可能となる。」(同第3頁右上欄第4行〜右上欄第20行) 「第1実施例の第3図に示される増幅器29、30、31の出力は第10図のγ補正回路72、73、74に入力され、ここでγ補正が施される。つまり増幅器29、30、31の出力はlogR、logG、logBと言う具合に対数圧縮が施されているため、R、G、Bにγ補正をかけると言うことは、次式に示す様にこれら信号にγをそれぞれ乗算すれば良いことになる。 logRγ=γ・logR logGγ=γ・logG logBγ=γ・logB ところで、γ補正回路は通常γ<1であるから、第10図において72、73、74に示す様にそれぞれ抵抗R1、R2を用いた抵抗分割による減算器で簡単に構成することができる。ただし、第12図に示す様にγ補正後の最大振幅器(飽和値)を補正前のそれと一致させるために減衰の基準電圧VRは補正前の最大振幅器(飽和値)に等しく設定されている。次にγ補正を受けた信号logRγ、logGγ、logBγは3つの入力端を有する平均値演算回路40に入力されると共に、それぞれ減算器33、34、35及び加算器75、76、77に入力される。平均値演算回路40と減算器33、34、35とウィンドウ回路36、37、38と逆対数増幅器41、42、43とマトリクス回路78と対数増幅器45と加算器48の動作は前述の第1実施例と同じである。マトリクス回路器78はY信号のみを作るためのものである。」(同第5頁右上欄第20行〜右下欄第7行) 「 ところで、上記第1実施例においては色信号R-Y、B-Yに輝度信号Yの圧縮度logY/Yを乗じることにより、色相、彩度に影響を与えることなく輝度信号Yのみを圧縮させている。これについては輝度信号Yの圧縮度logY/YをR、G、Bそれぞれに乗算してlogY/Y・R、logY/Y・G、logY/Y・Bとしても同じ結果になる。このことはlogY、logY/Y(R-Y)、logY/Y(B-Y)を逆マトリクス回路に通すとlogY/Y・R、logY/Y・G、logY/Y・Bとなることからもわかる。そこで本実施例においては乗算器80の出力、つまりalogbYを一旦、10dBの対数増幅器92によって圧縮し、log( alogbY)の形にする。次にこの信号から加算器48の出力であるlogYを減算器88によって減することにより、log(alogb Y/Y)の信号を得る。この減算器88の出力を加算器75、76、77によってlogR、logG、logBにそれぞれ加算することによってlog(alogbY/Y・R)、log(alogbY/Y・G)、log(alogbY/Y・B)を得ることができる。この後100dBの逆対数増幅器89、90、91でalogbY/Y・R、alogbY/Y・G、alogbY/Y・B、を得ることができ、結果的に色相、彩度に影響を与えることなく輝度信号のみを圧縮することができる。」(同第6頁左下欄第13行〜右下欄第18行) ・引用刊行物2(特開昭62-286379号公報) 「ところで、従来のこのような調子修正方式では、RGB信号の各色信号別にそれぞれの信号レベルに応じて独立に調子修正を施しているので、各色信号が独立に増減するために色相ずれが生じるという問題点があった。」(引用刊行物2第1頁右下欄第7行〜第11行) 「この調子修正部3は、テーブル変換部10と各色信号用に設けた3個の乗算器11,12,13で構成されており、テーブル変換器10は入力した明度信号Lのレベルに応じて「1」を中心とした正の値からなる変数aに変換する。また、乗算器11,12,13はこの変数aと、A/D変換した3原色信号r、g、bをそれぞれ入力し、その乗算結果を調子修正した3原色信号R,G,Bとして出力する。」(同第2頁右上欄第9行〜第19行) 「このように、明度信号Lのレベルに応じて調子修正部3のテーブル変換器10で調子修正曲線のデータに基づいて調子修正度を与える変数aに変換し、・・・となり、調子修正後の色相ずれを防止できる。」(同第2頁左下欄第20行〜右上欄第11行) 3.4 対比判断 本件発明と刊行物1,2に記載された発明とを対比すると、引用刊行物1,2を精査しても、 本件発明の「階調変換特性を選択する設定手段」「輝度信号を任意形状の所望の階調特性にガンマ変換した結果の前記輝度信号に対する比を階調変換特性に対して記憶したROMテーブル」また、「テーブルを参照することにより、前記選択された階調変換特性に対する前記比を演算する補正係数演算手段」を見いだすことはできない。そしてこれらについては、周知技術であるとは言えないのであるから、本件発明は引用刊行物1,2に記載された発明と同一であるとはいえず、また、上記引用刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたと言うことはできない。 4 むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件請求項1に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見できない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2000-07-18 |
出願番号 | 特願平2-271119 |
審決分類 |
P
1
652・
121-
YA
(H04N)
P 1 652・ 113- YA (H04N) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 高橋 宣博 |
特許庁審判長 |
水谷 好男 |
特許庁審判官 |
橋本 恵一 石川 伸一 |
登録日 | 1998-02-20 |
登録番号 | 特許第2748678号(P2748678) |
権利者 | 松下電器産業株式会社 |
発明の名称 | 階調補正装置 |
代理人 | 岩橋 文雄 |
代理人 | 坂口 智康 |
代理人 | 内藤 浩樹 |