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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B29B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B29B
管理番号 1020704
異議申立番号 異議1998-74423  
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-03-05 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-09-07 
確定日 2000-07-26 
異議申立件数
事件の表示 特許第2725645号「廃棄物の処理装置及び処理方法」の請求項1乃至8に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2725645号の請求項1乃至8に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続きの経緯
本件特許2725645号は、特願平3-317643号(出願日平成3年12月2日)の一部を平成7年7月12日に特願平7-175836号として分割出願され、平成9年12月5日にその特許の設定登録がなされたものである。
これに対し、その後佐藤鉄工株式会社、株式会社富士通ゼネラル、神尾誠、石浜敏、高島雄二、遠藤浄、北野拓郎、松下電器株式会社、堀田雄次より本件請求項1乃至8に係る発明について特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内の平成11年2月22日に訂正請求がなされたが、この訂正請求に対し訂正拒絶理由通知がなされ、平成11年10月18日付けで手続補正がなされたものである。
2.訂正の適否についての判断
(1)訂正請求に対する補正の適否
平成11年10月18日付け手続補正書の補正の内容は、特許請求の範囲の減縮やその減縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、平成11年2月22日付け訂正請求書の訂正事項に、請求項1乃至3や請求項5乃至7を減縮する補正、訂正明細書の段落【0006】乃至段落【0011】の明りょうでない記載を釈明する補正に係る訂正事項を追加することを求めるものである。
しかしながら、上記補正は、訂正請求書に新たな訂正事項を付加するものであるから訂正請求書の要旨を変更するものである。
したがって、特許法第120条の4第3項で準用する同法第131条第2項の規定に違反するものであるから、上記手続補正は採用することができない。
(2)訂正事項
特許権者が求める上記手続補正は採用することができないから、平成11年2月22日付け訂正請求書において求める訂正事項は、訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、特許請求の範囲の減縮、明りょうでない記載の釈明及び誤記の訂正を目的とするものであるところ、特許請求の範囲に係る訂正事項は、請求項1乃至3及び5乃至8を訂正して特許請求の範囲全体の記載を次のとおりに訂正するものである。
「【請求項1】冷凍機を有する廃棄物から冷凍機内の冷媒を回収する冷媒回収手段と、この冷媒回収手段の後段に設けられ前記冷凍機を有する廃棄物から金属塊を分離する金属塊分別手段と、この分離された金属塊を破砕する金属塊破砕装置と、前記金属塊分別手段により金属塊が分離された前記冷凍機を有する廃棄物を破砕する破砕装置と、この破砕装置により破砕された廃棄物と前記金属塊破砕装置により破砕された金属塊とからなる廃棄物が投入され、この廃棄物を鉄系金属と非鉄系金属と金属以外の廃棄物とに選別する金属選別装置とを備えた廃棄物処理装置。
【請求項2】発泡成形材と冷凍機を有する廃棄物から冷凍機内の冷媒を回収する冷媒回収手段と、この冷媒回収手段の後段に設けられ前記冷凍機を有する廃棄物から金属塊を分離する金属塊分別手段と、この分離された金属塊を破砕する金属塊破砕装置と、前記金属塊分別手段により金属塊が分離された前記冷凍機を有する廃棄物を破砕する破砕装置と、この破砕装置により破砕された廃棄物が投入され、発泡成形材とそれ以外の廃棄物とに分離する軽量物分別装置と、この軽量物分別装置により分離された発泡成形材以外の廃棄物と前記金属塊破砕装置により破砕された金属塊とからなる廃棄物が投入され、この廃棄物を鉄系金属と非鉄系金属と金属以外の廃棄物とに選別する金属選別装置とを備えた廃棄物処理装置。
【請求項3】発泡成形材と冷凍機を有する廃棄物から冷凍機内の冷媒を回収する冷媒回収手段と、この冷媒回収手段の後段に設けられ前記冷凍機を有する廃棄物から金属塊を分離する金属塊分別手段と、この分離された金属塊を破砕する冷凍破砕装置と、この金属塊を分離された廃棄物を破砕する破砕装置と、この破砕装置により破砕された廃棄物が投入され、発泡成形材とそれ以外の廃棄物とに分離する軽量物分別装置と、この軽量物分別装置により分離された発泡成形材以外の廃棄物と前記冷凍破砕装置により破砕された金属塊とからなる廃棄物が投入され、この廃棄物を鉄系金属と非鉄系金属と金属以外の廃棄物とに選別する金属選別装置とを備えた廃棄物処理装置。
【請求項4】請求項1乃至3のいずれかにおいて、前記冷媒回収手段は、冷媒とオイルとに分離するオイルポットを備えたものである廃棄物処理装置。
【請求項5】冷凍機を有する廃棄物から冷凍機内の冷媒を回収する冷媒回収工程と、この冷媒が回収された冷凍機を有する廃棄物から金属塊を分離する金属塊分別工程と、この分離された金属塊を破砕する金属塊破砕工程と、前記金属塊を分離する工程で金属塊が分離された前記冷凍機を有する廃棄物を破砕する破砕工程と、この破砕工程により破砕された破砕物と前記金属塊破砕工程により破砕された金属塊とからなる廃棄物を、金属選別装置により鉄系金属と非鉄系金属と金属以外の廃棄物とに選別する金属選別工程とを含む廃棄物処理方法。
【請求項6】発泡成形材と冷凍機を有する廃棄物から冷凍機内の冷媒を回収する冷媒回収工程と、この冷媒が回収された冷凍機を有する廃棄物から金属塊を分離する金属塊分別工程と、この分離された金属塊を破砕する金属塊破砕工程と、前記金属塊を分離する工程で金属塊が分離された前記冷凍機を有する廃棄物を破砕する破砕工程と、この破砕装置により破砕された廃棄物を発砲成形材とそれ以外の廃棄物とに分離する軽量物分別工程と、この工程により分離された発泡成形材以外の廃棄物と前記金属塊破砕工程により破砕された金属塊とからなる廃棄物を、金属選別装置により鉄系金属と非鉄系金属と金属以外の廃棄物とに選別する金属選別工程とを含む廃棄物処理方法。
【請求項7】発泡成形材と冷凍機を有する廃棄物から冷凍機内の冷媒を回収する冷媒回収工程と、この冷媒が回収された冷凍機を有する廃棄物から金属塊を分離する金属塊分別工程と、この分離された金属塊を破砕する冷凍破砕工程と、この金属塊を分離された廃棄物を破砕する破砕工程と、この破砕装置により破砕された廃棄物を発泡成形材とそれ以外の廃棄物とに分離する軽量物分別工程と、この工程により分離された発泡成形材以外の廃棄物と前記冷凍破砕工程により破砕された金属塊とからなる廃棄物を、金属選別装置により鉄系金属と非鉄系金属と金属以外の廃棄物とに選別する金属選別工程とを含む廃棄物処理方法。
【請求項8】請求項5乃至7のいずれかにおいて、廃棄物から冷媒を回収する際に、オイルを冷媒と一緒に抜いてから、冷媒とオイルの分離装置にてそれぞれに分離する工程を含む廃棄物処理方法」
(3)独立特許要件について
(3-1)本件訂正発明
本件訂正発明は、上記(1)に示す訂正明細書の請求項1乃至8に記載された事項により特定されるとおりのものである。
(3-2)引用例
当審が平成11年7月27日付け訂正拒絶理由通知において引用した引用例1乃至引用例12のうち、引用例1、引用例3及び4には、それぞれ次の事項が記載されている。
引用例1:独特許公報3905610 CI号
(イ)「例えば、フロンを含有する(FCKW)発泡部品、特にポリウレタン発泡部品(PU)を有する冷却装置のような装置を環境にやさしくトータルリサイクリングするための方法及びこの方法を実施するための設備を記述している。これらの装置は、油及び冷却媒質を抜き取った後に解体される。さまざまな部材及び部品を取り外し、次いで、装置を先ず粗く次いで細かく、細分化する。次いで、磁性金属成分を分別し、続いて非磁性金属成分を分別する。それに続いて、残りのプラスチックス成分、主として発抱部品、を例えば圧縮して、フロンを発泡材の空孔から押出す。」(訳文第2行乃至第8行)
(ロ)「傾倒台と吸引機を用いて、モーター及び冷却機から油とフロンを抜き取り、また場合によってはそれらを分別;装置をさらに先の解体場に輸送;解体場に於いて、装置からさまざまな構造部品例えばモーター、冷却機、水銀遮断器、有色金属、アルミニュウムを取り外し、また、場合によってはその先のりサイクリングに誘導;・・・この処理用小部屋内の装置を第一粗細分化装置によって、こぶし大の塊に細分化;その後に続く細分化装置によって粗塊を卵大の塊に細分化;第一分別器に於いて、磁性金属を分別;第二分別器に於いて、非磁性金属を分別;ガス解放装置に於いて、例えば一括圧縮によって残留発泡部品とフロンとを分離させて、例えばブリッケット化;処理用小部屋に於いて、細分化及びその後の工程の間に解放されたフロンガスを、吸引ノズルによって吸引;」(訳文第3頁第2行乃至第13行)
(ハ)「冷却装置のような装置の機械式細分化の全て並びに金属分別後の残留プラスチックスの後処理が密閉した処理室内で行われ、・・・したがって、例えば冷蔵庫の完全リサイクリングまた事実本質的に大気汚染を完全に排除することが、初めて可能になった。」(訳文第3頁第23行乃至第4頁第2行)
引用例3:「電機」(社)日本電機工業会、1991年12月1日発行、第17頁〜第22頁
(イ)「回収装置は、次の機能を有した自動機械であった。
(a)冷蔵庫函体・扉を断熱材と共に破砕する。
(b)破砕物から磁力で鉄材を分離排出する。」(第20頁左欄第4行乃至第7行)
(ロ)第20頁の図5には「発泡剤回収装置の工程」が図示。
引用例4:「平成元年度産業廃棄物の処理処分の実態とその対応に関する調査研究報告書」(社)日本機械工業連合会外1名発行、平成2年5月、第117頁及び第118頁、第120頁及び第121頁
(イ)「家電リサイクルセンターの構成機器を図10-2に示す。このプラントは常温破砕選別と低温破砕選別の2系列からなる。常温系は回収鉄くずの品質を重点に破砕機と磁力選別機を選定、その他は各ホッパーに集められ、後日非鉄金属類とプラスチック類などの選別機が付設できるようにした。低温系では破砕機から難破砕物として跳ね出されたコンプレッサーとモーター類を前処理機より切断し、液体窒素による冷却を容易にした。冷却物は破砕により鉄片と銅線とが容易に分離され、磁選機により高品質の銅線、アルミニウムと鉄片とに選別できた。」(第117頁、(1)プロセスの概要の項参照)
(ロ)「廃冷蔵庫については、コンプレッサー、銅複合部品、アルミニウム部品などを粗分解または除去し、それぞれを別個に破砕、磁力選別し純度をあげる。残部の本体、扉などは鉄板、内壁のプラスチックならびに断熱材の発泡ウレタンと、一部グラスウールなどから構成されており、それらを破砕、磁力選別により鉄類を回収する。」(第120頁、(i)廃冷蔵庫、洗濯機の処理(昭和51〜60年)の項参照)
(3-3)当審の判断
本件訂正請求項1に係る発明(「本件訂正発明1」という)について
引用例1には、例えば冷蔵庫(上記(ハ)参照)の廃棄物処理装置に関し、「冷却媒質を抜き取った後に装置を解体し、さまざまな部材及び部品を取り外す」こと(「冷媒回収手段とこの冷媒回収手段の後段に設けられた分別手段」に相当)、その後に「装置を先ず粗く次いで細かく細分化する」こと(「破砕装置」に相当)、また「磁性金属成分を分別し、続いて非磁性金属成分を分別する」こと(「金属選別装置」に相当)、それに続いて「残りのプラスチックス成分、主として発抱部品」を後処理することが記載されている。また、この例示の冷蔵庫は「冷凍機を有する廃棄物」に相当するし、引用例1の上記(ロ)の記載に照らせば、廃棄物から取り外す上記「さまざまな部材及び部品」には、例えば冷蔵庫の金属塊、発泡部品及びプラスチック等が含まれることが明らかであり、そして、これら金属塊や発泡部品等が細分化されることも明らかである。
そうであるならば、上記引用例1には、「冷凍機を有する廃棄物から冷凍機内の冷媒を回収する冷媒回収手段と、この冷媒回収手段の後段に設けられ前記冷凍機を有する廃棄物から金属塊を分離する金属塊分別手段と、この分離された金属塊を破砕する金属塊破砕装置と、前記金属塊分別手段により金属塊が分離された前記冷凍機を有する廃棄物を破砕する破砕装置と、この廃棄物を鉄系金属と非鉄系金属と金属以外の廃棄物とに選別する金属選別装置とを備えた廃棄物処理装置。」の発明(以下、「引用例1発明」という)が記載されていると云える。
そこで、本件訂正発明1と上記引用例1発明とを対比すると、両者は、引用例1発明の金属選別装置が「この破砕装置により破砕された廃棄物と前記金属塊破砕装置により破砕された金属塊とからなる廃棄物が投入され」るものか否か明らかでない点で一応相違しているだけであると云える。
しかしながら、金属選別の場合には、例えば上記引用例4にみられる如く、選別後の品質を考慮してそれぞれを別個に破砕・選別する場合と上記引用例3(特に図5)にみられる如く、鉄・非鉄の破砕物を一緒に金属選別機に投入する場合とがあることは周知の事項であるから、上記相違点は当業者であれば容易に想到することができる程度のことである。
そして、本件訂正発明1の効果も、自明な効果又は容易に予想しうる程度の効果であって格別の効果と云う程のものではない。
してみると、本件訂正発明1は、上記引用例1に記載の発明と例えば引用例3及び4に記載の周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本件訂正発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件訂正請求は認めることができない。
(4)むすび
以上のとおり、上記訂正は、平成6年改正法附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第3項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。
3.特許異議申立てについて
(1)本件発明
特許権者が求める上記訂正請求は認めることができないから、本件請求項1乃至請求項8に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1乃至8」という)は、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】冷凍機を有する廃棄物から冷凍機内の冷媒を回収する冷媒回収手段と、この冷媒回収手段の後段に設けられた前記冷凍機を有する廃棄物を破砕する破砕装置とを備えた廃棄物処理装置。
【請求項2】冷凍機を有する廃棄物から冷凍機内の冷媒を回収する冷媒回収手段と、この冷媒回収手段の後段に設けられ前記冷凍機を有する廃棄物から金属塊を分離する金属塊分別手段と、この金属塊を分離された廃棄物を破砕する破砕装置とを備えた廃棄物処理装置。
【請求項3】冷凍機を有する廃棄物から冷凍機内の冷媒を回収する冷媒回収手段と、この冷媒回収手段の後段に設けられ前記冷凍機を有する廃棄物から金属塊を分離する金属塊分別手段と、この分離された金属塊を破砕する冷凍破砕装置と、この金属塊を分離された廃棄物を破砕する破砕装置とを備えた廃棄物処理装置。
【請求項4】請求項1乃至3のいずれかにおいて、前記冷媒回収手段は、冷媒とオイルとに分離するオイルポットを備えたものである廃棄物処理装置。
【請求項5】冷凍機を有する廃棄物から冷凍機内の冷媒を回収する工程と、この冷媒が回収された冷凍機を有する廃棄物を破砕する破砕工程とを含む廃棄物処理方法。
【請求項6】冷凍機を有する廃棄物から冷凍機内の冷媒を回収する冷媒回収工程と、この冷媒が回収された冷凍機を有する廃棄物から金属塊を分離する金属塊分別工程と、この金属塊を分離された廃棄物を破砕する破砕工程とを含む廃棄物処理方法。
【請求項7】冷凍機を有する廃棄物から冷凍機内の冷媒を回収する冷媒回収工程と、この冷媒が回収された冷凍機を有する廃棄物から金属塊を分離する金属塊分別工程と、この分離された金属塊を破砕する冷凍破砕工程と、この金属塊を分離された廃棄物を破砕する破砕工程とを含む廃棄物処理方法。
【請求項8】請求項5乃至7において、廃棄物から冷媒を回収する際に、オイルを冷媒と一緒に抜いてから、冷媒とオイルの分離装置にてそれぞれに分離する工程を含む廃棄物処理方法」
(2)引用例
当審が平成10年12月14日付け取消理由通知において引用した引用例1及び4は、上記2.(3)(3-2)で示した上記引用例1及び4とそれぞれ同一であるから、上記2.(3)(3-2)で摘示したとおりの事項が記載されており、また引用例12には、次の事項が記載されている。
引用例12:特開平3-117865号公報
(イ)「第1図に示すように、フロンガス回収装置1は、・・・導入されたフロンガスから水分及びオイル等の不純物を取り除く分離ユニット3と、・・・から構成されている。」(第2頁下段左欄第17行乃至右欄第5行)
(ロ)「分離ユニット3は、主として水分を除去するドライヤ23と、熱交換機にてフロンガスを液化し且つオイルを除去する熱交換オイルセパレータ25と、該熱交換オイルセパレータの上流側に配置されたフィルタオイルセパレータ24とから構成されている。」(第3頁上段左欄第13行乃至第18行)
(3)当審の判断
(i)本件発明1について
引用例1は、訂正拒絶理由通知において引用した上記引用例1と同じものであるから、引用例1には、上記2.(3)(3-3)で摘示したとおりの「廃棄物処理装置。」が記載されていると云える。
ところで、本件発明1は、上記訂正発明1と比べて、「前記冷凍機を有する廃棄物から金属塊を分離する金属塊分別手段と、この分離された金属塊を破砕する金属塊破砕装置と、前記金属塊分別手段により金属塊が分離された」及び「この破砕装置により破砕された廃棄物と前記金属塊破砕装置により破砕された金属塊とからなる廃棄物が投入され、この廃棄物を鉄系金属と非鉄系金属と金属以外の廃棄物とに選別する金属選別装置」の構成を備えていない、いわば上位概念の発明であると云えるから、本件発明1は、上記引用例1に記載された発明であると云える。
したがって、本件発明1の特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるから、特許法第114条第2項の規定により取り消されるべきものである。
(ii)本件発明2について
本件発明2は、上記訂正発明1と比べて、「この分離された金属塊を破砕する金属塊破砕装置」及び「この破砕装置により破砕された廃棄物と前記金属塊破砕装置により破砕された金属塊とからなる廃棄物が投入され、この廃棄物を鉄系金属と非鉄系金属と金属以外の廃棄物とに選別する金属選別装置」の構成を備えていない、いわば上位概念の発明であると云えるから、本件発明2は、上記引用例1に記載された発明であると云える。
したがって、本件発明2の特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるから、特許法第114条第2項の規定により取り消されるべきものである。
(iii)本件発明3及び4について
本件発明3は、上記引用例1に記載された発明と比べて、(a)「金属塊を破砕する冷凍破砕装置」を備えた点、本件発明4は、(b)「冷媒とオイルとに分離するオイルポット」を備えた点においてそれぞれ相違している。
しかしながら、上記(a)の点は、例えば上記引用例4に低温系破砕として示されている如く、金属の破砕手段として周知・慣用のものであり、また上記(b)の点も、例えば上記引用例12に示されている如く、冷媒とオイルを分離することも既に公知の手段である。
してみると、本件発明3及び4は、上記引用例1及び引用例12に記載された発明と周知・慣用手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであると云える。
したがって、本件発明3及び4の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第114条第2項の規定により取り消されるべきものである。
(iv)本件発明5及び6について
これら発明は、「廃棄物処理方法」に関するものであるところ、その構成は、「廃棄物処理装置」に係る本件発明1及び2の各構成要件の末尾表現「手段又は装置」を「工程」に置き換えただけのものであり、それぞれ本件発明1及び2と実質的な差異はないから、本件発明5及び6も、上記引用例1に記載された発明であると云える。
したがって、本件発明5及び6の特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるから、特許法第114条第2項の規定により取り消されるべきものである。
(v)本件発明7及び8について
これら発明は、「廃棄物処理方法」に関するものであるところ、その構成は、「廃棄物処理装置」に係る本件発明3及び4の各構成要件の末尾表現「手段又は装置」を「工程」に置き換えただけのものであり、それぞれ本件発明3及び4と実質的な差異はないから、本件発明7及び8も、上記引用例1及び引用例12に記載された発明と周知・慣用手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであると云える。
したがって、本件発明7及び8の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第114条第2項の規定により取り消されるべきものである。
4.むすび
以上のとおり、本件請求項1乃至8に係る発明の特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
 
異議決定日 2000-06-06 
出願番号 特願平7-175836
審決分類 P 1 651・ 121- ZB (B29B)
P 1 651・ 113- ZB (B29B)
最終処分 取消  
前審関与審査官 中野 孝一  
特許庁審判長 沼沢 幸雄
特許庁審判官 新居田 知生
山田 充
登録日 1997-12-05 
登録番号 特許第2725645号(P2725645)
権利者 株式会社日立製作所
発明の名称 廃棄物の処理装置及び処理方法  
代理人 前田 弘  
代理人 恒田 勇  
代理人 小根田 一郎  
代理人 古澤 俊明  
代理人 鵜沼 辰之  
代理人 加納 一男  
代理人 小山 廣毅  

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