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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する A61K
管理番号 1022102
審判番号 審判1999-39073  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-05-19 
種別 訂正の審決 
審判請求日 1999-09-13 
確定日 2000-04-05 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2682739号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第2682739号発明の明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 
理由 1.本件審判請求の要旨は、特許第2682739号の明細書の記載を審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めるもので、その訂正の内容は以下のとおりである。
特許明細書の特許請求の範囲における、
「1. 5-エチニルウラジルであるウラシルレダクターゼ不活性化物質あ るいはそのプロドラッグを有効成分として含有する癌化学療法に使用 するための医薬製剤。
2. ウラシルレダクターゼ不活性化物質は5-エチニルウラシルである 、請求項1記載の医薬製剤。
3. 5-フルオロウラシルの毒性から解放するための医薬製剤であって 、有効成分として5-フルオロウラシルの毒性から解放するための5-エ チニルウラシルあるいはそのプロドラッグを含有する上記医薬製剤。
4. ウラシルレダクターゼ不活性化物質あるいはそのプロドラッグを5 -フルオロウラシルとともに用いて5-フルオロウラシルの効果を強化す る請求項1または2記載の医薬製剤。
5. ウラシルレダクターゼ不活性化物質またはそのプロドラッグを1m gから200mgを含む単位投与形態にある請求項1から4のいずれかに 記載の医薬製剤。
6. 更に5-フルオロウラシルまたはそのプロドラッグを含む請求項5 記載の医薬製剤。
7. 5-フルオロウラシルまたはそのプロドラッグを5mgから300 0mgを含有する単位投与形態にある請求項6記載の医薬製剤。
8. 経口投与のための請求項5から7のいずれかに記載の医薬製剤。
9. 分離したあるいは混合した成分として、5-フルオロウラシルまた はそのプロドラッグとともに5-エチニルウラシルまたはそのプロドラッ グを含有する請求項4記載の医薬製剤。
10. ウラシルレダクターゼ不活性化物質あるいはそのプロドラッグと 5-フルオロウラシルあるいはそのプロドラッグとの比が、重量比で1: 0.01から1:100の範囲にある請求項9記載の医薬製剤。
11. 5-エチニルウラシルまたはそのプロドラッグと薬学的に許容し 得る担体とを混合することからなる、請求項1から8のいずれかに記載の 医薬製剤の調製法。
12. 更に5-フルオロウラシルまたはそのプロドラッグを含ませる請 求項11記載の調整法。
13. 5-エチルウラシニルまたはそのプロドラッグと5-フルオロウ ラシルまたはそのプロドラッグとを一緒にすることからなる薬学的に許容 し得るコンビネーションの調整法。」なる記載を、
「1. 5-エチニルウラシルであるウラシルレダクターゼ不活性化物質を 有効成分として含有する癌化学療法に使用するための医薬製剤。
2. 5-フルオロウラシルの毒性から解放するための医薬製剤であって 、有効成分として5-フルオロウラシルの毒性から解放するための5-エ チニルウラシルを含有する上記医薬製剤。
3. ウラシルレダクターゼ不活性化物質を5-フルオロウラシルととも に用いて5-フルオロウラシルの効果を強化する請求項1記載の医薬製剤 。
4. ウラシルレダクターゼ不活性化物質を1mgから200mgを含む 単位投与形態にある請求項1から3のいずれかに記載の医薬製剤。
5. 更に5-フルオロウラシルまたはそのプロドラッグを含む請求項4 記載の医薬製剤。
6. 5-フルオロウラシルまたはそのプロドラッグを5mgから300 0mgを含有する単位投与形態にある請求項5記載の医薬製剤。
7. 経口投与のための請求項4から6のいずれかに記載の医薬製剤。
8. 分離したあるいは混合した成分として、5-フルオロウラシルまた はそのプロドラッグとともに5-エチニルウラシルを含有する請求項3記 載の医薬製剤。
9. ウラシルレダクターゼ不活性化物質と5-フルオロウラシルあるい はそのプロドラッグとの比が、重量比で1:0.01から1:100の範 囲にある請求項8記載の医薬製剤。
10. 5-エチニルウラシルと薬学的に許容し得る担体とを混合するこ とからなる、請求項1から7のいずれかに記載の医薬製剤の調製法。
11. 更に5-フルオロウラシルまたはそのプロドラッグを含ませる請 求項10記載の調製法。
12. 5-エチニルウラシルと5-フルオロウラシルまたはそのプロド ラッグと、一緒にすることからなる薬学的に許容し得るコンビネーション の調製法。」に訂正する。
2.そこで、この訂正について以下検討する。
上記訂正は、本件特許明細書の特許請求の範囲における、請求項1、3、4、5、9、10、11および13に記載された使用薬剤について、ウラシルレダクターゼ不活性化物質のプロドラッグあるいは5-エチニルウラシルのプロドラッグを削除するものであるが、この訂正は、上記各請求項において使用する薬剤の選択肢をさらに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記訂正においては、特許明細書の特許請求の範囲における請求項2を削除するとともに、同請求項3以下の請求項の番号およびこれら各請求項において引用する請求項の番号を順次繰り上げることも含むが、これらは請求項の削除およびこれに付随する単なる請求項の番号の整理に係るものであるから、これら訂正も特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
しかも、これらの訂正は、特許明細書に記載された事項の範囲内の訂正であることはいうまでもなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
また、訂正後の特許請求の範囲に記載された事項により構成される各請求項の発明については、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を見い出し得ないものである。
3.したがって、以上の点からみて、本件訂正請求は、特許法第126条第1〜3項(平成5年法)の規定に適合するので、当該訂正を認める。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ウラシルレダクターゼ不活性化物質
【発明の詳細な説明】
本発明はある種の酵素不活性化物質に関し、このものは医療、とりわけ癌化学療法に、特に5-フルオロウラシル(5-FU)といった代謝拮抗物質である抗癌剤とのコンビネーションとして役立つ。
5-フルオロウラシルは1957年以来癌化学療法において使用されて来た。感受性の高い腫瘍の例として乳癌、胃腸系悪性腫瘍、および頭や頚の癌があげられ、また5-フルオロウラシルは放射線増感剤としても使われている。5-フルオロウラシルは肝臓で酵素ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(ウラシルレダクターゼ)により迅速に代謝される(半減期約8分から20分)。5-(2-ブロモビニル)-ウラシル(BVU)はジヒドロチミジンデヒドロゲナーゼの阻害物質であり、5-フルオロウラシルの代謝を遅らせ、かつその抗腫瘍活性を高めることが報告された(Cancer Research.46,1094,1986)。5-(2-ブロモビニル)-2´-デオキシウリジン(このものは生体内でBVUに代謝される)は5-フルオロウラシルおよびそのプロドラッグである5-デオキシ-5-フルオロウリジンの抗腫瘍活性を高めることが報告された〔Biochemical Pharmacology 38;2885(1989)〕。
不都合なことにBVUはヒトに対して毒性がある。
一群の5-置換ウラシル誘導体はウラシルレダクターゼの不活性化物質であり、そしてこれらは血漿中の5-フルオロウラシルの濃度および寿命を増加させ、かつ5-フルオロウラシルの活性を高めることがここに発見された。これらはまた患者の間で普通に出会う5-フルオロウラシル血漿中濃度の変動も減少させる。
従って、本発明の第一の面は医療に使用するための、とりわけ癌化学療法に使用するための、5-置換-あるいは5,6-ジヒドロ-5-置換ウラシル誘導体(5-置換基はブロモ、ヨード、シアノ、ハロ-置換C1〜4アルキル、C2〜6アルケニル、1-ハロC2〜6アルケニル基、C2〜6アルキニル基、ハロ置換C2〜6アルキニル基である)あるいはそのプロドラッグであるウラシルレダクターゼ不活性化物質を提供することにある。このウラシルレダクターゼ不活性化物質は一般に5-フルオロウラシルあるいはそのプロドラッグとのコンビネーションとして使用されることになろう。
C2〜6アルキニル基とは直鎖または分枝鎖アルキニル基を意味し、後者には合計して2個から6個の炭素原子を含むシクロアルキル基で置換されたアルキニル基が包含される。
アルケニル基またはアルキニル基上のハロゲン置換基はブロモ、クロロまたはヨードがよい。ハロ-置換エテニルおよびエチニル基が特に適当である。通常は唯1個のハロ置換基が存在する。
本発明は更にもう一つの面において、癌化学療法に使用される薬剤の製造に使用するための上に定義されたウラシル誘導体を提供する。この薬剤は5-フルオロウラシルの毒性から患者を救うためにも有用であり、そして5-フルオロウラシルあるいはそのプロドラッグと共に乾癬あるいはリウマチ様関節炎、あるいはヒト乳頭腫ウイルス感染症の治療にも有用である。
本発明の更にもう一つの面は、ヒトを含めて哺乳動物の腫瘍の治療のため上に定義された有効量のウラシル誘導体を投与することからなる、腫瘍の治療または予防の方法を提供することにある。なるべくこの治療は5-フルオロウラシルあるいはそのプロドラッグとのコンビネーションを用いるのがよい。
本発明の更にもう一つの面は前に定義されたウラシル誘導体あるいはそのプロドラッグと5-フルオロウラシルあるいはそのプロドラッグとのコンビネーションを提供することにある。
特に適当なウラシル誘導体は、その5-置換基がC2〜6アルキニル基(任意にハロ-置換)であるものであり、そしてC2〜4アルキニル基が便利であり、なるべくはエチニルまたはプロビニル基であるものである。特に適当な1-ハロ-アルケニルおよびアルキニル誘導体における多重結合は1-位にある。本発明に係る使用法に特に適するウラシルレダクターゼ不活性化物質は5-エチニルウラシルと5-プロビニルウラシルである。このような使用法に供される他の不活性化物質には次のものが包含される:
5-シアノウラシル
5-ブロモエチニルウラシル
5-(1-クロロビニル)ウラシル
5-ヨードウラシル
5-(1-ヘキシニル)ウラシル
5-ビニルウラシル
5-トリフルオロメチルウラシル
5-ブロモウラシル
5-置換基が置換または非置換C3〜6アルキニル基であるウラシル誘導体は新規化合物であり、本発明のもう一つの面を構成する。
前に定義されたウラシル誘導体のプロドラッグは、生体内で代謝されてウラシル誘導体を生ずる化合物である。これらプロドラッグはそれ自身活性を有することもあれば有しないこともあるが、普通には殆ど活性を有しない。このようなプロドラッグには上記5-置換ウラシル化合物に相当する核酸塩基を含むヌクレオシド類縁体、例えばリボース、2´-デオキシリボース、2´,3´-ジデオキシリボース、アラビノースあるいは他の開裂可能な糖部分(これは、ハロ、例えばクロロまたはフルオロ、アルコキシ、アミノまたはチオのような2´-または3´-置換基を更に含むことがある)を含むヌクレオシド誘導体が包含される。このようなヌクレオシド誘導体の特定の例は、1-(b-D-アラビノフラノシル)-5-(1-プロビニル)ウラシルと2´,3´-ジデオキシ-5-エチニル-3´-フルオロウリジンである。後述するように5-FUのプロドラッグと類似する化合物が一般に使用される。本明細書中でウラシル誘導体(あるいはウラシルレダクターゼ不活性化物質)と言えばそのプロドラッグも指すものとする。
5-フルオロウラシル(5-FU)のプロドラッグは生体内で5-フルオロウラシルに代謝される化合物であって、それらには5-フルオロウリジン、5-フルオロ-2-デオキシウリジン、5-フルオロ-2-デオキシシチジン、5´-デオキシ-4´,5-フルオロウリジン、5´-デオキシ-5-フルオロウリジン、1-(2-テトラヒドロフラニル)-5-フルオロウラシルおよび1-C1〜8アルキルカルバモイル-5-フルオロウラシル誘導体が包含される。
5-FUあるいはそのプロドラッグおよび前記5-ウラシル誘導体は、本発明に係るコンビネーションとして、このコンビネーションの成分を適当な患者へ同時に、例えば単一医薬品製剤として、あるいは更に好ましくは、コンビネーションの望む治療効果を達成するのに十分な時間内で別々にあるいは順次に投与することにより使用できる。なるべくは5-ウラシル誘導体を最初に投与し、その後(15分から4日の後が有利であり、通常は1から15時間後、とりわけ1から2時間後がよい)5-FUあるいはそのプロドラッグを投与するのがよい。
5-FUあるいはそのプロドラッグおよび5-ウラシル誘導体はそれぞれ治療のため適当な経路のいずれかにより、例えば経口、直腸、鼻、局所(頬および舌下を含む)、膣および非経口(皮下、筋肉内、静脈内および皮内を含む)により投与される。特に適当な経路は受容者の症状および年令、感染の種類および他の臨床的要因により変化するであろうことは明白である。
これまでは5-FUを経口投与すると、このものは胃-腸管でウラシルレダクターゼにより分解されるので、この投与法は実行不可能とされて来た。しかしもし5-FU(あるいはそのプロドラッグ)の経口投与に先立ち5-置換ウラシル誘導体(前に定義した通り)を投与すると、血漿中に5-FUの高いそして持続的な濃度が得られることがここに発見された。このことは該化合物が破壊されていないことを示すものである。これは本発明の更に一つの利点である。なるべく5-FUは5-ウラシル誘導体を投与してから15分〜4日以内、通常は1時間から15時間以内、特に1から2時間以内に投与するのがよい。
患者はある定められた5-FU投与量から生ずる5-FU血漿濃度が極めて変化に富む様相を示すのが普通である。これは5-FUの排出速度が患者毎に異なるからである。また個々の患者の間で日周的な変動もありうる。本発明に係る5-置換ウラシル誘導体はこの患者毎の変動を著しく減少させることが分かった(実験3参照)。
一般に5-FUあるいはそのプロドラッグの適当な用量は受容者の体重1キログラム当り0.1から1000mg/日の範囲内、なるべくは体重1キログラム当り0.1から200mg/日の範囲内にあるであろう。もし5-FUそのものを投与するとしたらその用量は体重1キログラム当り0.1から50mg/日の範囲にあるのがよいが、5-FUのプロドラッグの場合にはもっと多量を投与することがある。5-FUあるいはそのプロドラッグの用量は、例えば単位剤形当り5から3000mg、なるべくは20から1000mg、の活性成分を含む単位剤形として投与しうる。
5-FUに関する実験は活性化合物のピーク血漿濃度約0.01から約1.5ug/mlが得られる用量を投与すべきであることを示唆している。
5-ウラシル誘導体は受容者の体重1キログラム当り0.01から50mg/日、とりわけ0.01から10mg/kgの範囲内の投与量で投与できる。更に好ましい用量は体重1キログラム当り0.01から0.4mg/日の範囲内にあるが、これは用いた誘導体に左右される。もう一つの特に適当な投薬計画は1週間に1回0.5から10mg/kgである。
望む用量をなるべく1回、2回またはもっと多くの回に小分けした小用量として1日を通して適当な間隔で提供するのがよい。これら小用量は、例えば1から200mg、なるべくは2から100mg、更に好ましくは2から50mgの5-ウラシル誘導体を含む単位剤形として投与しうる。
ウラシルレダクターゼ不活性化物質と5-FUは、患者に存続する自然のウラシルレダクターゼ濃度を実質的に減少させる適当な比で用いるのが普通である。ウラシルレダクターゼ不活性化物質および5-FUそれぞれの重量に基づいたこのような比は一般に1:0.01から1:100の範囲内、なるべくは1:0.1から1:50の範囲内、そして特に1:1から1:10の範囲内にある。
5-FUあるいはそのプロドラッグおよび5-ウラシル誘導体は、両成分を含む単一医薬品製剤として、あるいは別々の投与形として各々がコンビネーションの成分の一方を含むようにした医薬品製剤として投与するのがよい。5-ウラシル誘導体は5-FUの効力を強化するので、用いる5-FUの用量は少なくて済む。
このようにして、本発明はもう一つの特徴として、前に定義された5-ウラシル誘導体を任意に5-FUあるいはそのプロドラッグとコンビネーションとして、少なくとも1種の製薬上容認しうる担体あるいは付形薬と共に含有してなる医薬品製剤を包含するものである。
各担体はそれが製剤の他の成分と融和し、かつ患者に対して有害でないという意味で「製薬上容認しうる」ものでなければならない。製剤には経口、直腸、鼻、局所(頬および舌下を含む)、膣および非経口(皮下、筋肉内、静脈内および皮内を含む)投与に対して適合させたものが含まれる。製剤は単位剤形で提供するのが便利であり、調剤の分野で公知の方法により製造できる。このような方法は活性成分と1種以上の補助成分を構成する担体とを一緒にする工程を含む。一般に製剤は活性成分を液体担体または微粉砕固体担体あるいは両方と一様にかつ均密に混合し、次に必要に応じその生成物を成形することにより製造される。
経口投与に適合させた本発明製剤は個々の単位、例えば各々が所定量の活性成分を含むカプセル、カシエまたは錠剤として、粉末または顆粒剤として、水性または非水性液体中の溶液または懸濁系として、あるいは水中油型乳濁液または油中水型乳濁液として提供される。活性成分はまた大型丸剤、舐剤またはペーストとしても提供できる。経口投与が特に適当な経路である。
錠剤は任意に1種以上の補助成分と圧縮または成形することによりつくられる。圧縮錠剤は自由流動形、例えば粉末または顆粒とした活性成分を、任意に結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、グリコール酸デンプンナトリウム、橋かけポビドン、橋かけカルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤あるいは分散剤と混合し、適当な機械で圧縮することにより製造される。成形錠剤は不活性液体希釈剤で加湿した粉末化合物の混合物を適当な機械で成形することにより製造される。錠剤は任意に被覆したりまたは刻み目をつけることがあり、また例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースを望む放出特性が得られるように種々な割合で使用することにより処方して、含まれる活性成分の調節された解放が得られるようにすることもできる。
口内の局所投与に向けられる製剤はフレーバ添加基剤、通常はショ糖およびアラビアガムまたはトラガントガム、中に活性成分を含有するトローチ;不活性基材、例えばゼラチンとグリセリン、あるいはショ糖とアラビアガム中に活性成分を含有するパステル剤;および適当な液体担体中に活性成分を含有する口内洗浄剤を包含する。
直腸投与用の製剤は、例えばカカオ脂またはサリチレートからなる適当なべースを用いる坐薬として提供できる。
膣投与用の製剤は、活性成分に加えてこの分野で適切であることが知られている担体を含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレー製剤として提供される。
非経口投与用製剤には水性および非水性等張無菌注射溶液(これは酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤および製剤を意図した受容者の血液と等張にする溶質を含むことができる)および水性および非水性無菌懸濁系(これは懸濁剤および濃厚化剤を含むことができる)が包含される。これら製剤は単位用量または多回分用量のシールした容器、例えばアンプルおよびびんに入れて提供され、また凍結乾燥した状態で貯蔵できる。これは使用直前に無菌液体担体、例えば注射用の水、を加えるだけで済む。即座の注射溶液および懸濁液は前述した種類の無菌粉末、顆粒および錠剤から調製できる。
溶解した5-ウラシル誘導体を含む液体製剤は7から11のpH、一般には9.5から10.5のpHに緩衝するのがよい。特に適当な単位投薬量製剤は、前述した1日分量あるいは単位小分け1日分量あるいはその適当な分割量の活性成分を含むものである。
本発明に従い5-フルオロウラシルあるいはそのプロドラッグとのコンビネーションとして使用される前記5-ウラシル誘導体は常法により調製される。例えば、上に引用された不活性化物質は下記文献、即ち5-エチニルウラシルの調製に対してはJ.Heterocycl.Chem.19(3)463-4(1982);5-(2-ブロモビニルウラシル)、5-ブロモエチニルウラシルおよび5-(2-ブロモ-1-クロロビニル)ウラシルの調製に対してはJ.Chem.Soc.Perkin Trans.1(16),1665-70(1981);5-シアノ-ウラシルの調製に対してはNucleic Acid Chemistry,2巻,927〜30(1978);5-ビニルウラシルの調製に対してはNucleic Acids Research,1(1),105〜7(1974);5-トリフルオロメチルウラシルの調製に対してはZ.Chem 17(11)415〜16(1977);5-(1-クロロビニル)ウラシルの調製に対してはNucleic Acids Research,3(10),2845(1976)に記載の方法により調製できる。
上記のプロドラッグヌクレオシド誘導体も常法により、例えば3´-フルオロ-2´,3´-ジデオキシ-5-アルキニルウリジン化合物、例えば2´,3´-ジデオキシ-5-エチニル-3´-フルオロウリジンの調製に対しては欧州特許第356166号明細書、また5-アルキニルウラシルアラビノシド、例えば1-(b-D-アラビノフラノシル)-5-(1-プロビニルウラシル、の調製に対しては欧州特許第272065号明細書に記載された方法に従って製造できる。
本発明に係る使用法に対して特に好ましい5-ウラシル誘導体である新規5-C3〜6アルキニルウラシル化合物は下記の方法の一つにより調製できる、即ち
(イ)5-C3〜6アルキニルウリジン化合物を処理して求めるウラシル化合物への変換を行なう、あるいは
(ロ)5-位を適当な脱離基で置換したウラシル化合物をC3〜6アルキンで処理して望むウラシル化合物を得る。
上記方法(イ)における変換は、酵素的方法により、例えばチミジンホスホリラーゼ酵素を用いて、なるべくは6から8のpHに緩衝した媒質中でウリジン化合物を処理することにより行なうことができる。
上記方法(ロ)においては、5-位を適当な脱離基、例えばヨードまたはブロモ、により置換したウラシル化合物を、適当なパラジウム触媒、例えば塩化ビス(トリフェニルホスフイン)パラジウム(H)およびヨウ化第一銅の存在下トリエチルアミンのようなアミン溶媒中でC3〜6アルキンで処理する。
下記の実施例により本発明を説明する。
例1
5-プロピニルウラシル
A)水性リン酸塩緩衝液(1250ml)中pH6.84でかきまぜた2´-デオキシ-5-プロピニルウリジン(欧州特許第272065号明細書)(20g、75ミリモル)の溶液へ、精製E.coliチミジンホスホリラーゼ(10,000単位)(T.A.Krenitsky 等、Biochemistry,20,3615,1981;米国特許第4,381,344号明細書)およびアルカリ性ホスファターゼ(10,000単位)(ウシ腸粘膜から得たシグマ-型VII-S)を加え、金混合物を37℃で24時間インキュベーションした。生じた白色沈殿を濾過し、水(3×100ml)、エタノール(2×100ml)、エーテル(2×100ml)で洗浄し、五酸化リン上真空乾燥して標題化合物を得た。
融点:275〜280℃(分解)。
1H nmr &(d6DMSO)11.5-11.0(bs,2H,NH),7.61(1H,s,H-6),1.95ppm(3H,s,CH3)。
微量分析:C7H6N2O2に対する計算値:C,56.00;H,4.03;N,18.66。実測値:C,55.92;H,4.05;N,18.77。
B)1-アラビノフラノシル-5-プロビニルウラシル(2.92g、20.4ミリモル)、リン酸カリウム水溶液、pH6.8(200ml)、4,000IUチミジンホスホリラーゼ(Krenitsky,T.A.等,Biochemistry,20,3615,1981および米国特許第4,381,444号明細書)、4,000IUウリジンホスホリラーゼ(Krenitsky,T.A.等,Biochemistry,20,3165,1981および米国特許第4,381,444号明細書)、および2,000IUアルカリ性ホスファターゼ(Boehringer Mannheim)を40℃で5日間かきまぜた。次に8,000IUのチミジンホスホリラーゼ、20,000IUのウリジンホスホリラーゼ、2,000IUのアルカリ性ホスファターゼおよび30IUの酸ホスファターゼ(Boehringer Mannheim)を加え、更に5日間インキュベーションを続けた。5-プロビニルウラシルはヌクレオシドより難溶性なので反応混合物から沈殿した。
この沈殿物および液体を真空で乾燥し、次に5-プロビニルウラシルを熱水から2回結晶化させ、室温で真空乾燥することにより0.92g(6.1ミリモル、収率59%)の5-プロピニルウラシルを得た。
1H NMR &(dDMSO)11.2ppm(bs,2H,1H and3H)、7.6ppm(1H,s,6H),1.95ppm(3H,s,CH3)。
C7H6N2O2に対して計算したCHN:C、56.00;H,4.03;N,18.66。実測値:C,55.95;H,4.03;N,18.60。UVスペクトル:0.1M HCl中の極大値287nmと231nm;50mMリン酸カリウム(pH7.0)中の極大値287nmと231nm;0.1MNaOH中の極大値306nmと240nm。
質量スペクトルは151の分子イオンピークを示した。
例2(5-エチニルウラシル(EU))
(イ)5-(トリメチルシリルエチニル)ウラシル
5-ヨードウラシル(8g,30ミリモル)の再蒸留トリエチルアミン(500ml)および乾燥DMF(10ml)中の溶液を酸素を含まない窒素で15分ガス抜きした。次に、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.5g)、ヨウ化銅(I)(0.5g)およびトリメチルシリルアセチレン(10g、102ミリモル)を加え、混合物を50℃で24時間かきまぜながら加熱した。冷却した反応混合物を濾過し、濾液を蒸発乾固し、残留物をジクロロメタン(500ml)に溶かした。有機溶液をEDTA二ナトリウムの2%水溶液(3×250ml)、水(3×200ml)で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、蒸発乾固した。残留物をエタノールとすりまぜ、標題化合物の最初の生成物を得た。反応混合物から濾過した固体も求める生成物を含むことが分かったが、不純な状態にあったので別個のバッチとして上記のように仕上げ処理をし二番目の生成物を得た。
1H nmr &(d6DMSO)H.75-10.85(2H,bs,NH),7.75(1H,s,H-6),0.15ppm(9H,m,SiCH3)。
ロ)5-エチニルウラシル
メタノール(400ml)中ナトリウムメトキシドの0.2M溶液中の5-(トリメチルシリルエチニル)ウラシル(5.3g、24.4ミリモル)の溶液を室温で3時間かきまぜ、希塩酸でpH7まで中和した。沈殿した生成物を濾過し、メタノールで洗浄し、乾燥して標題化合物の最初の生成物を得た。濾液と洗液を合わせて蒸発乾固し、残留物をメタノールから結晶化させることにより二番目の生成物を得た。両生成物を合わせてエタノールから更に再結晶を行ない純粋な生成物を得た。
融点:260℃(分解)。
1H nmr &(d6DMSO)11.6-10.8(2H,bs,NH),7.8(1H,s,H-6),4.03ppm(1H,s,アセチレンH)。
微量分析:C6H4N2O2に対する計算値:C,52.95;H,2.96;N,20.58。実測値:C52.04;H,2.92;N,20.3。
例3(5-エチニルウラシル)
(イ)2,4-ジメトキシ-5-ヨードピリミジン
乾いた1l丸底フラスコに5-ヨードウラシル(50g、0.21モル)、オキシ塩化リン(300ml)、およびN,N-ジエチルアニリン(6滴)を入れた。この不均一混合物を窒素雰囲気下120℃の油浴中で24時間加熱した。オキシ塩化リンを留去した(若干の生成物が一緒に留去された)。次に反応溶液を徐々に注意深く氷(1l)と固体重炭酸ナトリウムの上に注ぎ、この間内部温度を-20℃以下に保つようにした。(これはドライアイスアセトン浴で冷却することにより行なった)。この添加が終了したならば固体重炭酸ナトリウムの添加により反応混合物をpH7に調節した。混合物を塩化メチレンで抽出し、有機部分を相分離器ペーパーに通過させることにより乾燥した。2,4-ジクロロ-5-ヨードピリミジンの粗製溶液を、MeOH(400ml)とナトリウムメトキシド28.8g、0.533モル)を含む溶液へ直ちに滴加した。この添加は1時間を要した。次に反応物を室温で一晩かきまぜた。溶液をCO2(ガス)で中和し、塩化メチレンで抽出し、無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮した。この粗製生成物をシリカゲル(100g)に吸着させ、400gのシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーカラムに充填した。カラムを90:10(v:v)のヘキサン:酢酸エチルで溶離した。適当なフラクションを合わせて濃縮し、標題化合物を白色固体として得た。
収量26.7g(48%)。
200MHz NMR CDCl3&=3.97(s,3H);4.02(s,3H),8.43(s,1H)。
(ロ)2,4-ジメトキシ-5-(b-トリメチルシリル)-エチニルピリミジン
乾いた1l丸底フラスコに窒素雰囲気下で段階(イ)の生成物(26.7g、0.10モル)、乾燥塩化メチレン(Aldrich、150ml)、乾燥Et3N(KOHペレットから新しく蒸留、250ml)を入れた。系を排気し、ファイアストーン弁を経て窒素で数回掃気した。トリメチルシリルアセチレン(21.2ml、0.15モル;Aldrich)を注射器で加えた。次に塩化ビス(トリフェニルホスフイン)パラジウム(II)(Aldrich、5.84g、8.32ミリモル)およびヨウ化銅(I)(Aldrich、4.76g、25ミリモル)を加えた。混合物を60℃の油浴で2時間加熱し、冷却し、セライトに通して濾過した。濾液を真空で濃縮した。残留物をトルエン(100ml)に希釈し、次にトルエンを真空で除いた。残留物を塩化メチレン(200ml)にとり、濾過し、濾液をエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物の5%水溶液(3×100ml、Aldrich)、H2O(1×100ml)で抽出した。有機層を相分離器ペーパーに通過させて乾燥し、真空で濃縮した。この生成物を95:5ヘキサン:酢酸エチル(v:v)で溶離するWaters Prep 500により精製した。粗製生成物をシリカゲル100gに吸着させ、400gのシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーカラムに充填した。このカラムを97.5:2.5(v:v)ヘキサン:酢酸エチルで溶離した。適当なフラクションを合わせて濃縮した。収率16.94g(73%)。
得られた化合物の1.2g試料をシリカゲル6gに吸着させ、50gのフラッシュクロマトグラフィーカラムに充填した。このカラムをヘキサン:酢酸エチル95:5(v:v)で溶離した。適当なフラクションを合わせ、濃縮し、CH2Cl2(2×30ml)でストリッピングし、真空で乾燥して1,000gの標題化合物、融点72.5〜73℃を得た。融点文献値73〜74℃、J.Heterocyclic Chem.,19,463(1982)。
(ハ)5-(b-トリメチルシリル)エチニルウラシル
乾いた3頚丸底フラスコに窒素下で2,4-ジメトキシ-5-(b-トリメチルシリル)エチニルピリミジン(6.5g、27.5ミリモル)、乾燥アセトニトリル(Aldrich、120ml)、ヨウ化ナトリウム(真空でオーブン乾燥、80℃、18時間、12.4g、82.7ミリモル)、およびクロロトリメチルシラン(10.5ml、82.7ミリモル、新しく蒸留したもの)を入れた。混合物を3時間還流加熱し、次に真空で濃縮した。この残留物をメタノール(40ml)と水(20ml)を含む溶液で消化し、生成物を濾別して1.48g(26%)を得た。生成物をクロロホルムに溶かし、溶液をシリカゲル(7g)に吸着させ、次にこれを35gのシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーカラムに充填した。クロロホルム:メタノール95:5(v:v)に続きクロロホルム:メタノール90:10(v:v)で溶離し、生成物を含むフラクションを蒸発させることにより1.23gの標題化合物を白色固体として得た。
(ニ)5-エチニルウラシル
5-(b-トリメチルシリル)エチニルウラシル(3.85g、18.4ミリモル)およびメタノール(370ml)を含む溶液を、水酸化ナトリウム(2.3g、57.5ミリモル)と水(18ml)を含む第二の溶液で処理した。混合物を室温で2時間かきまぜ、次に真空で濃縮した。残留物を水(35ml)に懸濁し、0.1NHClを用いてpHを5に調節した。pH=5のとき固体は溶け、次に第二の沈殿を生じた。生成物を濾過し、水洗し、次に真空で乾燥して2.3g(92%)の5-エチニルウラシルをうすいベージュ色の粉末として得た。
微量分析:C6H4N2O2に対する計算値:C,52.95;H,2.96;N,20.58。実測値:C,52.79;H,3.02;N,20.44。
例4(5-エチニルウリジン)
(イ)2´3´5´-トリ-O-アセチル-5-ヨードウリジン
乾いた250ml丸底フラスコに5-ヨードウリジン(10g、27ミリモル、Aldrich)、無水ピリジン(30ml)および無水酢酸(30ml)を入れた。反応物を室温で窒素雰囲気下に30分かきまぜ、溶媒を真空で除いた。化合物をトルエン(2×50ml)で希釈し、トルエンを真空で除去した。この生成物を75gのフラッシュクロマトグラフィーカラムで90:10(v:v)CHCl3:MeOHで溶離することにより精製した。適当なフラクションを合わせ、濃縮して標題化合物を白色フォームとして得た。このものは次の段階でそのまま用いた。
(ロ)2´3´5´-トリ-O-アセチル-5-〔2-(トリメチルシリル)エチニル〕ウリジン
還流コンデンサーを取り付けた乾いた1l丸底フラスコに、段階(イ)の生成物(27ミリモル)、乾燥塩化メチレン(260ml、Aldrich)および乾燥トリエチルアミン(260ml、NaOHペレットから新しく蒸留した)をN2雰囲気下で入れた。系を排気し、窒素で数回掃気し、窒素雰囲気下においた。次に(トリメチルシリル)アセチレン(11.65ml、82ミリモル;Aldrich)を加え、続いてヨウ化銅(I)(Aldrich、1.57g、8.2ミリモル)と塩化ビス(トリフェニルホスフイン)パラジウム(II)(Aldrich、1.85g、2.6ミリモル)を加えた。混合物を60℃の油浴中で30分加熱し、冷却し、濾過した。濾液を真空で濃縮した。残留物をCH2Cl2(300ml)にとり、濾過し、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩の5%水溶液(2×75ml)、H2O(100ml)で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、真空で濃縮した。
生じた化合物を50gのシリカゲルに吸着させ、400gのシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーカラムに充填し、CHCl3で溶離した。生成物フラクションを合わせ、濃縮して標題化合物を淡黄色フォームとして得た。
収量13g。
300MHz NMR CDCl3& 8.2(br s,NH,1H),7.77(s,1H,H6),6.11(d,H1´,1H),2.22(s,3H,OAc)、2.13(s.3H,OAc),2.11(s,3H,OAc),0.22(s,9H,SiMe3)。
(ハ)5-エチニルウリジン
段階(ロ)の生成物(9.5g、24ミリモル)をメタノール(200ml)に溶かし、ナトリウム(0.8g)およびメタノール(100ml)を含む溶液で希釈した。反応物を室温で2時間かきまぜ、次にDowex50W-X8(H+形)樹脂を用いて中和した。樹脂を濾別し、メタノールで洗浄した。濾液を真空で濃縮して4.85gのベージュ色固体を得た。この化合物をH2O/MeOH85:15(v:v)で溶離するWaters Prep 500逆相C18カラムで精製し1.2gの標題生成物(白色固体)を得た。不純フラクションを再クロマトグラフィーにかけた。更に1.94gの生成物が得られた。
収率49%
計算値:C,49.25%H,4.47%N,10.44%
実測値:C,49.07%H,4.53%N,10.32%
200 MHz NMR(DMSOd6)&11.60(br s,NH,1H),8.36(s,H6,1H),5.72(d,J=4.3Hz,H1´,1H),4.01(s,1H,C=C-H)。
下記の例は医薬品製剤を例示するものであるが、ここで「活性成分」とは5-プロビニルウラシル、5-エチニルウラシルまたは前述したような他のウラシルレダクターゼ不活性化物質、あるいは5-フルオロウラシルとの混合物のことである。
例5
錠剤製剤
下記製剤5A、5Bおよび5Cは成分(ステアリン酸マグネシウムを除く)をポビドン溶液で湿式粒化し、顆粒を乾燥し、ステアリン酸マグネシウムを添加し、そして圧縮することにより調製した。
製剤5A mg/錠 mg/錠
活性成分 5 2
乳 糖(英国薬局方) 205 75
ポビドン(英国薬局方) 15 10
グリコール酸デンプンナトリウム 20 10
ステアリン酸マグネシウム 5 3
250 100
製剤5B mg/錠 mg/錠
活性成分 5 2
乳糖(英国薬局方) 155 -
Avicel PH101 50 25
ポビドン(英国薬局方) 15 10
グリコール酸デンプンナトリウム 20 10
ステアリン酸マグネシウム 5 3
250 50
製剤5C mg/錠
活性成分 5
乳 糖(英国薬局方) 205
デンプン 50
ポビドン(英国薬局方) 6
ステアリン酸マグネシウム 4
270
下記製剤5Dは混合した成分の直接圧縮により調製した。用いた乳糖は直接圧縮型のものである。
製剤5D mg/錠
活性成分 5
乳 糖 155
Avicel PH101 100
260
下記製剤5Eは徐放性錠剤であり、成分(ステアリン酸マグネシウムを除く)をポビドン溶液で湿式粒化し、続いて顆粒を乾燥し、ステアリン酸マグネシウムを添加しそして圧縮することにより調製した。
製剤5E mg/錠
活性成分 5
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 110
(Methocel K4M Rremium)
乳 糖(英国薬局方) 50
ポビドン(英国薬局方) 28
ステアリン酸マグネシウム 7
200
例6
カプセル製剤
下記製剤6Aと6Bは未圧縮成分を混合し、2-部分硬質ゼラチンカプセルに詰めることにより調製した。
製剤6A mg/カプセル
活性成分 10
乳 糖(英国薬局方) 250
グリコール酸デンプンナトリウム 25
ステアリン酸マグネシウム 5
290
製剤6B mg/カプセル
活性成分 5
前糊化デンプン NF15 245
250
製剤6C mg/カプセル
活性成分 10
Macrogol4000(英国薬局方) 340
350
Macrogol4000(英国薬局方)を融かし、その中に活性成分を分散させた。次にこの十分に混合した融解物を2-部分硬質ゼラチンカプセルに詰めた。
例7
注射用製剤
活性成分 10mg
無菌発熱物質不含
ピロリン酸塩緩衝液(pH10)、10mlとする量活性成分をリン酸塩緩衝液(35〜40℃)の大部分に溶かし、次に定容量まで補充し、無菌ミクロポアー濾過器に通して10mlこはく色ガラスびん(1型)の中に濾過して入れ、無菌のふたとオーバーシールで封じた。
例8
坐薬製剤
mg/坐薬
活性成分、63um* 10
硬脂肪(英国薬局方)
(Witepsol H15-Dynamit Nobel 1)1790
1800
*活性成分は粒子の少なくとも90%が63um以下である粉末として用いる。
Witepsol H15の五分の一を最高45℃のスチームジャケット付き浅鍋で融かした。活性成分を200umのふるいに通してふるい、カッティングヘッドを具えたシルバーソンを用いてかきまぜながら滑らかな分散系が得られるまで融解基剤へ加えた。混合物を45℃に保ちつつ、残りのWitepsol H15を懸濁系へ加え、かきまぜて均一な混合物とした。懸濁系全体を250umステンレス鋼のふるいに通過させ、絶えずかきまぜながら約40℃まで冷却した。38℃から40℃の温度で混合物の1.80gを適当なプラスチックの型に入れた。この坐薬を室温まで放冷した。
本発明に係る5-置換ウラシルの効用を調べる幾つかの実験を行なった。
実験1
ウラシルレダクターゼ不活性化の測定
ウシ肝臓から精製したウラシルレダクターゼ(1マイクロモル)(ジヒドロピリミジン デヒドロゲナーゼ、EC1.3.1.2)0.05M トリス-HC1中pH8.0において100マイクロモルの不活性化物質および5mMジチオトレイトール(酵素レダクタント)と37゜で30分間インキュベーションした。酵素および不活性化物質を、pH8.0のトリス-HCl中にNADPH200マイクロモル、チミン200マイクロモルおよびジチオトレイトール(1mM)を含む検定緩衝液中に100倍希釈となるように加えた。酵素速度を分光光度法で測定した。これら速度をNADPHオキシダーゼ活性に対して補正した。後者はNADPHのチミン依存酸化速度の10%未満であった。酵素の不活性化%は残存酵素活性のパーセントを100%から差引いた数値に等しい。阻害物質無しでインキュベーションした酵素はこれら条件下で安定であった。カッコ内の数値は、不活性化物質50マイクロモルを酵素とインキュベーションした時間の関数として部分活性を測定する同様な実験から測定された酵素の不活性化に対する相対一次速度定数である。
結果を下に示す:
化合物 不活性化%
5-エチニルウラシル 100(100)
5-シアノウラシルa 100( 14)
5-プロビニルウラシル 100( 8)
5-ブロモエチニルウラシル 100( 8)
5-(1一クロロビニル)ウラシル 100( 5)
5-ヨードウラシル 100( 4)
5-(1-ヘキシニル)ウラシルa 90
5-ビニルウフシルa,b 86
5-トリフルオロメチルウラシル 75
5-ブロモウラシル 75
a この誘導体で処理された酵素は、検定混合物中100倍希釈後に再び活性を徐々に取り戻すのでこの阻害は可逆であった。
b これらヌクレオベースはウラシルレダクターゼへ加える前にそれぞれのヌクレオシドを35mMリン酸カリウム中40単位/mlのチミジンホスホリラーゼで20分間処理することによりその場で生成させた。親ヌクレオシドは不活性化物質ではなかった。
5-エチニルウラシル(EU)の有効性を調べ、下記の実験2から4および図面で報告する。ここで、
図1は、ラッドで種々な経口EU量を与えた後4時間のうちのある時間におけるウラシルとチミンの濃度増加を示す。
図2は、5-フルオロウラシル(5-FU)の血漿濃度をEUが増加させたことを示す。マウスに5-FUを経口または腹腔内いずれかで投与した。
5-エチニルウラシル(EU)は5-FUの90分前に2mg/kgを腹腔内投与した。
実験2
ウラシルレダクターゼの不活性化(生体内)
少量の5-エチニルウラシル(EU)を投与されたマウス、ラット、イヌおよびサルは迅速に血漿ウラシルおよびチミン濃度の著しい上昇を示した。最高の効果はラットでは約0.1mg/kg(経口)で、マウスでは0.5から1mg/kg(皮下)で、またはイヌでは約1mg/kg(静脈内)で起こり、これらは多分ウラシルレダクターゼの全不活性化に相当するであろう。これらの用量はマウス、イヌおよびラットの血漿ウラシルを約3uMから約50〜60uMに上昇させた。血漿ウラシルは24時間にわたり正常値まで下がった(半減期=10時間)。図1は5-エチニルウラシルの種々な用量の経口投与後4時間のうちのある時間におけるラットのウラシルおよびチミン血漿濃度がウラシルレダクターゼの不活性化のために上昇することを示している。ED50は0.01mg/kgに等しい。
実験3
血漿-FU濃度に及ぼす効果
5-エチニルウラシル(EU)で前処理し次にFUを投与したマウスおよびラットは、前処理しなかったマウスよりも高いFU血漿濃度を維持した(図2)。更にまた、FUを50mg/kgの用量で経口的に与えられたラットにおける血漿FUの通常の変動度はEUの前処理によって除かれた。血漿FU濃度-時間曲線のAUCは前処理しなかったラットおよびEU前処理ラットに対しそれぞれ41,126および68(平均=78±55%)および417,446および426(平均=430±3%)であった。
実験4
マウスにおける5-フルオロウラシル(5-FU)の抗腫瘍活性の5-エチニルウラシル(EU)による強化
結腸38腫瘍をゼロ日日にマウスに移植した。マウス(1群8匹)を5-FUで表2に示した用量を用いて1日目から9日目まで処理し、EUは、指示されている場合には5-FU投与の30分前に2mg/kgで腹腔内投与した。

(57)【特許請求の範囲】
1. 5-エチニルウラシルであるウラシルレダクターゼ不活性化物質を有効成分として含有する癌化学療法に使用するための医薬製剤。
2. 5-フルオロウラシルの毒性から解放するための医薬製剤であって、有効成分として5-フルオロウラシルの毒性から解放するための5-エチニルウラシルを含有する上記医薬製剤。
3. ウラシルレダクターゼ不活性化物質を5-フルオロウラシルとともに用いて5-フルオロウラシルの効果を強化する請求項1記載の医薬製剤。
4. ウラシルレダクターゼ不活性化物質を1mgから200mgを含む単位投与形態にある請求項1から3のいずれかに記載の医薬製剤。
5. 更に5-フルオロウラシルまたはそのプロドラッグを含む請求項4記載の医薬製剤。
6. 5-フルオロウラシルまたはそのプロドラッグを5mgから3000mgを含有する単位投与形態にある請求項5記載の医薬製剤。
7. 経口投与のための請求項4から6のいずれかに記載の医薬製剤。
8. 分離したあるいは混合した成分として、5-フルオロウラシルまたはそのプロドラッグとともに5-エチニルウラシルを含有する請求項3記載の医薬製剤。
9. ウラシルレダクターゼ不活性化物質と5-フルオロウラシルあるいはそのプロドラッグとの比が、重量比で1:0.01から1:100の範囲にある請求項8記載の医薬製剤。
10.5-エチニルウラシルと薬学的に許容し得る担体とを混合することからなる、請求項1から7のいずれかに記載の医薬製剤の調製法。
11.更に5-フルオロウラシルまたはそのプロドラッグを含ませる請求項10記載の調製法。
12.5-エチニルウラシルと5-フルオロウラシルまたはそのプロドラッグとを一緒にすることからなる薬学的に許容し得るコンビネーションの調製法。
 
訂正の要旨 特許明細書の特許請求の範囲における、
「1. 5-エチニルウラジルであるウラシルレダクターゼ不活性化物質あるいはそのプロドラッグを有効成分として含有する癌化学療法に使用するための医薬製剤。
2. ウラシルレダクターゼ不活性化物質は5-エチニルウラシルである、請求項1記載の医薬製剤。
3. 5-フルオロウラシルの毒性から解放するための医薬製剤であって、有効成分として5-フルオロウラシルの毒性から解放するための5-エ チニルウラシルあるいはそのプロドラッグを含有する上記医薬製剤。
4. ウラシルレダクターゼ不活性化物質あるいはそのプロドラッグを5-フルオロウラシルとともに用いて5-フルオロウラシルの効果を強化す る請求項1または2記載の医薬製剤。
5. ウラシルレダクターゼ不活性化物質またはそのプロドラッグを1mgから200mgを含む単位投与形態にある請求項1から4のいずれかに 記載の医薬製剤。
6. 更に5-フルオロウラシルまたはそのプロドラッグを含む請求項5記載の医薬製剤。
7. 5-フルオロウラシルまたはそのプロドラッグを5mgから3000mgを含有する単位投与形態にある請求項6記載の医薬製剤。
8. 経口投与のための請求項5から7のいずれかに記載の医薬製剤。
9. 分離したあるいは混合した成分として、5-フルオロウラシルまたはそのプロドラッグとともに5-エチニルウラシルまたはそのプロドラッグを含有する請求項4記載の医薬製剤。
10. ウラシルレダクターゼ不活性化物質あるいはそのプロドラッグと5-フルオロウラシルあるいはそのプロドラッグとの比が、重量比で1:0.01から1:100の範囲にある請求項9記載の医薬製剤。
11. 5-エチニルウラシルまたはそのプロドラッグと薬学的に許容し得る担体とを混合することからなる、請求項1から8のいずれかに記載の 医薬製剤の調製法。
12. 更に5-フルオロウラシルまたはそのプロドラッグを含ませる請求項11記載の調整法。
13. 5-エチルウラシニルまたはそのプロドラッグと5-フルオロウラシルまたはそのプロドラッグとを一緒にすることからなる薬学的に許容 し得るコンビネーションの調整法。」なる記載を、
「1. 5-エチニルウラシルであるウラシルレダクターゼ不活性化物質を有効成分として含有する癌化学療法に使用するための医薬製剤。
2. 5-フルオロウラシルの毒性から解放するための医薬製剤であって、有効成分として5-フルオロウラシルの毒性から解放するための5-エチニルウラシルを含有する上記医薬製剤。
3. ウラシルレダクターゼ不活性化物質を5-フルオロウラシルとともに用いて5-フルオロウラシルの効果を強化する請求項1記載の医薬製剤。
4. ウラシルレダクターゼ不活性化物質を1mgから200mgを含む単位投与形態にある請求項1から3のいずれかに記載の医薬製剤。
5. 更に5-フルオロウラシルまたはそのプロドラッグを含む請求項4記載の医薬製剤。
6. 5-フルオロウラシルまたはそのプロドラッグを5mgから3000mgを含有する単位投与形態にある請求項5記載の医薬製剤。
7. 経口投与のための請求項4から6のいずれかに記載の医薬製剤。
8. 分離したあるいは混合した成分として、5-フルオロウラシルまたはそのプロドラッグとともに5-エチニルウラシルを含有する請求項3記載の医薬製剤。
9. ウラシルレダクターゼ不活性化物質と5-フルオロウラシルあるいはそのプロドラッグとの比が、重量比で1:0.01から1:100の範 囲にある請求項8記載の医薬製剤。
10. 5-エチニルウラシルと薬学的に許容し得る担体とを混合することからなる、請求項1から7のいずれかに記載の医薬製剤の調製法。
11. 更に5-フルオロウラシルまたはそのプロドラッグを含ませる請求項10記載の調製法。
12. 5-エチニルウラシルと5-フルオロウラシルまたはそのプロドラッグと、一緒にすることからなる薬学的に許容し得るコンビネーション の調製法。」に訂正する。
審理終結日 2000-02-15 
結審通知日 2000-02-29 
審決日 2000-03-13 
出願番号 特願平3-515549
審決分類 P 1 41・ 851- Y (A61K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 内藤 伸一  
特許庁審判長 吉村 康男
特許庁審判官 谷口 浩行
深津 弘
登録日 1997-08-08 
登録番号 特許第2682739号(P2682739)
発明の名称 ウラシルレダクターゼ不活性化物質  
代理人 浅村 肇  
代理人 長沼 暉夫  
代理人 浅村 皓  
代理人 浅村 皓  
代理人 浅村 肇  
代理人 長沼 暉夫  

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