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審決分類 |
審判 審判種別コード:80 2項進歩性 H01C |
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管理番号 | 1022193 |
審判番号 | 審判1998-2357 |
総通号数 | 15 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1996-08-20 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-02-12 |
確定日 | 2000-05-01 |
事件の表示 | 平成 7年特許願第315069号「チップネットワーク抵抗器」拒絶査定に対する審判事件[ 平成 8年 8月20日出願公開、特開平 8-213219 ]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
一.手続の経緯・本件出願の発明 本願は、平成4年6月1日に出願した特願平4-140445号の一部を平成7年12月4日に新たな特許出願としたものであって、その請求項1に係る発明は、平成9年7月22日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、本願の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「基板に共通電極及び複数の個別電極を形成し、各個別電極と共通電極に電気的に接続される抵抗素子を設け、基板の端縁に共通電極の一対の端子と複数の個別電極を並設し、これらの電極端子間に電極端子を離隔する切り欠きを形成したチップネットワーク抵抗器において、 前記共通電極及び個別電極は、それぞれ基板の端縁に形成された端子と、各端子と対応の抵抗素子とを接続する電極部分とからなり、各端子は電磁部分より広幅であり、前記共通電極の一対の端子は、基板の四隅のいずれかの隅に近接して設けられると共に、四隅に近接して設けられない他の個別電極の端子の幅より広幅に形成され、前記切り欠きによって基板端縁に形成される凸部のうち、基板の四隅に位置する凸部の幅が四隅に位置しない凸部の幅より広幅に設定され、この広幅の凸部の全幅にわたって前記共通電極の端子が形成されていることを特徴とするチップネットワーク抵抗器。」(以下「本願発明」という) 二.引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前である平成3年9月19日に頒布された実願平1-151031号(実開平3-92006号公報)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(以下、「引用例1」という)、特にその第3図、には、 絶縁基板の端縁に形成されかつ中央に形成した共通電極と接続された一対の端子電極(以下「共通端子電極」という)及び複数の端子電極を形成し、複数の端子電極と共通電極に電気的に接続される抵抗素子を設け、基板の端縁に共通端子電極と複数の端子電極を並設し、これらの端子電極間に凹溝を形成したチップRネットワーク抵抗器において、 一対の共通端子電極は、絶縁基板の四隅の隅にに設けられ、絶縁基板の四隅の隅に設けられない端子電極の幅より広幅に形成され、凹溝によって基板端縁に形成される凸部のうち、絶縁基板の四隅に位置する凸部の幅が四隅に位置しない凸部の幅より広幅に形成され、この広幅の凸部の全幅にわたって共通端子電極が形成されているチップRネットワーク抵抗器の発明が記載されている。 同本願の出願日前である昭和60年2月23日に頒布された実願昭60-25336号(実開昭61-142402号公報)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(以下、「引用例2」という)には、 絶縁ベース面に厚膜状の抵抗及び厚膜状の上面電極を形成し、上面電極に連続して絶縁ベースの端面を覆うように厚膜状の端面電極を形成し、絶縁ベースの長手方向の両側縁の各上面電極間に対応して半円状の切り欠きを形成したマイクロチップ形抵抗ネットワークの発明が記載されている。 また拒絶査定に引用された、本願の出願日前である昭和62年9月24日に頒布された実願昭61-37994号(実開昭62-150874号公報)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(以下、「引用例3」という)には、 第1金属膜の両側部より連絡部が側方へ延伸し、基体表面の側縁の電極部に達するように形成され、電極が、連絡部より広幅に形成され、電極間には凹部が形成されたジャンパー用チップ部品の発明が記載されている。 なお、請求人は、引用例3について、「審判請求の理由」の「請求理由」で「その第1図を見れば、端子を電極部分より広幅にする点が記載されているように見受けられますが、電極部11が金属膜7の連結部7bより広幅であると明記されていない」(第4頁第20〜23行目)と主張しているが、第1図のジャンパー用チップ部品の外観斜視図は、電極部11の幅が連絡部7bの幅より広幅になっているので、請求人の当該主張は妥当ではない。 三.対比 ここで本願発明と引用例1に記載された発明とを対比する。 引用例1に記載された発明も本願発明も、チップ型のネットワーク抵抗に関する発明であり、引用例1に記載された発明の「絶縁基板の端縁に形成されかつ中央に形成した共通電極と接続された一対の端子電極(以下「共通端子電極」という)」、「端子電極」、「凹溝」は、それぞれ、本願発明の「共通電極」、「個別電極」、「切り欠き」に相当する。そうすると、引用例1記載の発明と本願発明とは、 「基板に共通電極及び複数の個別電極を形成し、各個別電極と共通電極に電気的に接続される抵抗素子を設け、基板の端縁に一対の共通電極と複数の個別電極を並設し、これらの電極間に電極を離隔する切り欠きを形成したチップネットワーク抵抗器において、 前記一対の共通電極は、基板の四隅のいずれかの隅に近接して設けられると共に、四隅に近接して設けられない他の個別電極の幅より広幅に形成され、前記切り欠きによって基板端縁に形成される凸部のうち、基板の四隅に位置する凸部の幅が四隅に位置しない凸部の幅より広幅に設定され、この広幅の凸部の全幅にわたって共通電極が形成されているチップネットワーク抵抗器。」 で一致し、下記の点で相違する。 相違点:本願発明が「前記共通電極及び個別電極は、それぞれ基板の端縁に形成された端子と、各端子と対応の抵抗素子とを接続する電極部分とからなり、各端子は電極部分より広幅である」のに対し、引用例1の発明では、このような構成は備えていない点。 四.相違点の判断 引用例2に記載された発明の「端面電極」、「上面電極」は、それぞれ、本願発明の「端子」、「電極部分」に相当し、また引用例3に記載された発明の「電極部」、「連結部」は、それぞれ、本願発明の「端子」、「電極部分」に相当するものと認められ、引用例3の発明によれば、端子は電極部分より広幅に構成されることが記載されており、上記引用例2、3に記載された構成を、引用例1に記載された発明に適用して相違点のように構成するすることは、当業者なら容易になし得ることと認められる。 五.むすび 以上のとおりであるから、本願発明は引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2000-01-27 |
結審通知日 | 2000-02-15 |
審決日 | 2000-03-07 |
出願番号 | 特願平7-315069 |
審決分類 |
P
1
80・
121-
Z
(H01C)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 酒井 朋広、須原 宏光 |
特許庁審判長 |
木南 仁 |
特許庁審判官 |
治田 義孝 今井 義男 |
発明の名称 | チップネットワーク抵抗器 |
代理人 | 中村 茂信 |