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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 B21B |
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管理番号 | 1022586 |
審判番号 | 審判1998-3599 |
総通号数 | 15 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-07-12 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-03-05 |
確定日 | 2000-07-28 |
事件の表示 | 平成4年特許願第346806号「熱延鋼板のデスケーリング方法」拒絶査定に対する審判事件[平成6年7月12日出願公開、特開平6-190433]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
I.出願の経緯及び本願発明 本願は平成4年12月25日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、平成9年10月3日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。 「Siを0.15重量%以上含有する熱延鋼板のデスケーリング方法において、下記の式(1)により求まるデスケーリング衝突圧(A)以上でデスケーリングすることを特徴とする熱延鋼板のデスケーリング方法。 A=0.0146×([P])-2.9 × ([Si])1.50 ・・・・・・・・(1) ただし、A:デスケーリング衝突圧(kPa) [P]:Pの重量%の数値 [Si]:Siの重量%の数値 」 なお、本願明細書についての平成10年4月1日付けの手続補正書による補正は、平成11年8月26日付けの補正の却下の決定により却下されたので、上記のとおり認定した。 II.引用例の記載事実 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本件出願の出願前に頒布された特開平4-127912号公報(平成4年4月28日出願公開。以下「引用例」という。)には以下の記載がある。 (1)「Siを0.1重量%以上含有する鋼を熱間圧延して熱延鋼板を製造するに際し、仕上圧延に先立ち、単位散布面積当たりの衝突圧が20g/mm2以上40g/mm2以下で、単位時間当たりの流量密度が0.1l/min.mm2以上0.2l/min.mm2以下の高圧水スプレーを鋼板表面に施すことを特徴とする薄スケール熱延鋼板の製造方法。」(特許請求の範囲) (2)「この発明は・・・スケール疵を無くし、かつスケール厚を薄くし酸洗等による脱スケールの生産性を高めるために、仕上圧延前の難剥離性スケールを所定の高圧水ジェットにより除去しておく薄スケール熱延鋼板の製造方法に関する。」(第1頁左下欄第14〜19行) (3)「通常、このようなスケール疵の発生を防止する目的で圧延ラインに供給圧力約100〜150kgf/cm2の水ジェットデスケーリング装置を設置し、これによって鋼板表面上のスケールを剥離、除去しながら圧延を行っている。」(第1頁右下欄第15〜19行) (4)「Si含有量の多い鋼の1次スケールの場合、甚だしく剥離し難いことが知られている。この原因は加熱時の高温酸化に際して、鋼中に含有されるSiが選択酸化を受けて熱可塑性の大きい2FeO・SiO2(フェアライト)を作り、スケールとメタルとの界面が複雑に入り組んだ特有構造のサブスケールが形成されることによるものである。」(第2頁左上欄第3〜9行) (5)第4頁右上欄第3行以下の「実施例」において、「第3表に示す化学組成の鋼から成るスラブを熱間圧延するに際して、第4表に示す条件でデスケーリングを実施した」こと(第4頁右上欄第5〜7行)、実施例で用いられた鋼のSi量及びP量について、鋼BがSi 0.26%、P 0.015%、鋼CがSi 0.25%、P 0.016%、鋼DがSi 0.15%、P 0.014%、鋼EがSi 1.02%、P 0.012%、及び鋼FがSi 0.28%、P 0.021%を含有しており(第4頁第3表)、そして第4表に示されるとおり、No.1〜19の実施例において、高圧水スプレーの単位面積当たりの衝突力Ptが15〜30g/mm2でデスケーリングが実施され、その内、鋼Dを用いたNo.15及び鋼Fを用いたNo.17では、Ptの値がそれぞれ30(g/mm2)であったことが示されている(第4頁第4表)。 III.対比・判断 本願発明と引用例に記載されたものとを対比すると、両者は、Siを0.15重量%以上含有する熱延鋼板のデスケーリング方法の点で一致しており(摘記1,2,5)、そして引用例の実施例には、本願発明のSi値を満足し、しかも本願発明の(1)式により導かれるデスケーリング衝突圧(A)以上でデスケーリングを実施した例が示されている(摘記5)。 してみれば、本願発明の構成は全て引用例に記載されており、そして、発明の構成が一致する以上、その作用・効果においても両者に差異があるとはいえない。 IV.むすび 以上のとおりであるから、本願発明は引用例に記載された発明と認められ、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2000-05-12 |
結審通知日 | 2000-05-26 |
審決日 | 2000-06-07 |
出願番号 | 特願平4-346806 |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(B21B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 日比野 隆治、國方 康伸 |
特許庁審判長 |
中嶋 清 |
特許庁審判官 |
池田 正人 伊藤 明 |
発明の名称 | 熱延鋼板のデスケーリング方法 |