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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A47B
管理番号 1022613
審判番号 審判1998-4738  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-01-16 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-03-26 
確定日 2000-08-02 
事件の表示 平成 6年特許願第147551号「小型コンピュータ装置用収納家具」拒絶査定に対する審判事件[平成 8年 1月16日出願公開、特開平 8- 10055]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成6年6月29日の出願であって、その請求項1及び2に係る発明は、平成9年9月1日付けの手続補正書、及び平成12年4月24日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】棚板を備え前後に開口を有する開放型収納部と、その開放型収納部に隣接して設けられる開閉可能な空間を有する閉鎖型収納部とを備えてなるものであって、前記開放型収納部の背面に、前面の開口部の面積より小さくなるように形成した開口部を設け、この背面における開口部の切り口端面に、合成樹脂製のカバー体を嵌め込んであり、背面における開口部の下縁が棚板より上側に位置することを特徴とする小型コンピュータ装置用収納家具。
【請求項2】閉鎖型収納部が引出しからなることを特徴とする請求項1の小型コンピュータ装置用収納家具。」

2.当審の拒絶理由
一方、当審において、平成12年2月8日付けで通知した拒絶の理由の概要は、本願の請求項1及び2に係る発明は、その出願前に頒布された実願昭57-67919号(実開昭58-170873号)のマイクロフィルム(以下、「引用刊行物1」という。)、実願昭56-148357号(実開昭58-55565号)のマイクロフィルム(以下、「引用刊行物2」という。)、実願昭56-198615号(実開昭58-98833号)のマイクロフィルム(以下、「引用刊行物3」という。)及び特開平1-175806号公報(以下、「引用刊行物4」という。)に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

3.引用刊行物に記載の発明
(1)引用刊行物1
上記引用刊行物1には、明細書第2頁第6行〜第3頁第18行及び第1〜2図の記載からみて、
「天板、背板、地板、側板、及び高さ調整自在の棚板からなり、背板に配線用の穴を設けたオーディオ・ラック。」
の発明が記載されているものと認められる。
(2)引用刊行物2
上記引用刊行物2には、電気製品等の展示台に関する発明が記載されており、特に以下の事項が記載されている。
「水平ガイド部10の壁部にはコード類取出口15が設けられており、その取出口にコード類の損傷を防止するためのプラスチック等からなるカバー16が装着されている。」(明細書第4頁第4〜7行)
(3)引用刊行物3
上記引用刊行物3には、明細書第2頁第11行〜第4頁第5行及び第1〜2図の記載からみて、
「上側収納部と、引出収納部と、前後に開口部を有する開放型の下側収納部とからなるワゴン。」
の発明が記載されているものと認められる。
(4)引用刊行物4
上記引用刊行物4には、システム机に関する発明が記載されており、特に以下の事項が記載されている。
「ワゴン3は、前面31及び背面32を開口させたもので、その両側壁33は網を張設した通気性のある構造をなしており、内部にOA機器等を載置するための棚板34を有している。」(第3頁右上欄第2〜5行)、
「5はキャビネット形のワゴン」(同第10行)、
「ワゴン3内にパーソナルコンピュータ本体や端末機本体等の機器本体を設置する」(第3頁左下欄第2〜4行)

4.対比・判断
(1)請求項1に係る発明について
引用刊行物1に記載の発明において、棚板が背板の配線用の穴と穴との間にある場合、天板(又は地板・棚板)と棚板と側板と配線用の穴を有する背板とからなる収納空間は、前後に開口部を有し、背面の開口面積が前面の開口面積より小さいものとなるとともに、開口部の下縁が棚板より上側に位置するものとなり、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)の開放型収納部と同様の構成となる。
そこで、本願発明1と、引用刊行物1に記載の発明とを対比すると、両者は、棚板を備え前後に開口を有する開放型収納部を備えてなるものであって、前記開放型収納部の背面に、前面の開口部の面積より小さくなるように形成した開口部を設け、背面における開口部の下縁が棚板より上側に位置することを特徴とする収納家具である点で一致し、次の点で相違する。
〈相違点1〉
本願発明1が、背面における開口部の切り口端面に、合成樹脂製のカバー体を嵌め込んであるのに対し、引用刊行物1に記載された発明は、そのような構成を具備していない点。
〈相違点2〉
本願発明1が、開放型収納部と閉鎖型収納部とからなるのに対し、引用刊行物1に記載された発明は、開放型収納部のみからなる点。
〈相違点3〉
本願発明1が、小型コンピュータ装置用収納家具であるのに対し、引用刊行物1に記載された発明は、オーディオ・ラックである点。
上記相違点について検討する。
相違点1について、コード類取出口(本願発明1の「開口部の切り口端面」に相当する。)にコード類の損傷を防止するためのプラスチック(同「合成樹脂」に相当する。)からなるカバー(同「カバー体」に相当する。)を装着することは、上記引用刊行物2に記載されているように公知であり、引用刊行物1に記載の発明と引用刊行物2に記載の発明は、収納家具という共通の技術分野に属するものであり、ともにケーブルやコードを取り出すための開口部を有するものであるから、上記公知技術を引用刊行物1に記載の発明に適用して、本願発明1の相違点1に係る構成とすることは、当業者であれば容易に想到しうることである。
相違点2について、引出収納部(本願発明1の「閉鎖型収納部」に相当する。)と、前後に開口を有する開放型の下側収納部(同「開放型収納部」に相当する。)とを組み合わせた収納家具は、上記引用刊行物3に記載されているように公知であるから、上記公知技術を引用刊行物1に記載の発明に適用して、本願発明1の相違点2に係る構成とすることは、当業者であれば容易に想到しうることである。
相違点3について、パーソナルコンピュータ本体等を収納するワゴン、つまり小型コンピュータ装置用収納家具は、上記引用刊行物4に記載されているように公知であり、引用刊行物1に記載の発明と引用刊行物4に記載の発明は、電気機器を収納する収納家具という共通の技術分野に属するものであるから、上記公知技術を引用刊行物1に記載の発明に適用して、ラックに小型コンピュータ装置を収納すること、つまり本願発明1の相違点3に係る構成とすることは、当業者であれば容易に想到しうることである。
そして、全体として、本願発明1の効果は、上記引用刊行物1〜4に記載の発明から当業者が当然に予想できる程度のものである。
したがって、本願発明1は、引用刊行物1〜4に記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(2)請求項2に係る発明について
本願の請求項2に係る発明(以下、「本願発明2」という)は、請求項1に係る発明(本願発明1)を引用するものであり、閉鎖型収納部を引出しからなることに限定するものであるが、引用刊行物3に記載の発明の閉鎖型収納部は引出からなるから、本願発明2は、上記「(1)請求項1に係る発明について」でした判断と同様に、引用刊行物1〜4に記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

5.むすび
したがって、本願発明1及び2は、それぞれ引用刊行物1〜4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2000-05-17 
結審通知日 2000-05-30 
審決日 2000-06-12 
出願番号 特願平6-147551
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A47B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川向 和実  
特許庁審判長 田中 弘満
特許庁審判官 小野 忠悦
鈴木 公子
発明の名称 小型コンピュータ装置用収納家具  
代理人 赤澤 一博  

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