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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03F
管理番号 1022639
審判番号 審判1999-4225  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1992-03-05 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-03-18 
確定日 2000-07-26 
事件の表示 平成2年特許願第185733号「レジスト塗布装置」拒絶査定に対する審判事件[平成4年3月5日出願公開、特開平4-70838]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成2年7月12日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成11年4月19日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「レジスト収容容器に収容されたレジスト液を圧送してレジスト供給ノズルから被処理基板に供給するレジスト塗布装置であって、前記レジスト収容容器と前記レジスト供給ノズルとの間に前記レジスト液中の気泡を除去するための泡抜き機構を具備したレジスト塗布装置において、前記泡抜き機構はトラップ容器を具備し、このトラップ容器は、内側天井部および底部に円錐状に凹陥されたテーパ部を有し、前記天井部の前記テーパ部の中心に泡抜き配管が接続され、前記底部の前記テーパ部の中心に前記レジスト液を導出するための出口側配管が接続され、内部に突出し先端部が前記レジスト液に浸漬される如くレジスト液を供給するための入口側配管が上部から前記天井部の前記テーパ部を貫通して直下に延在する如く挿入されていることを特徴するレジスト塗布装置。」

2.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、特開昭62-144327号公報(昭和62年6月27日出願公開、以下「引用例1」という。)及び実願昭63ー135067号(実開平2-57174号)のマイクロフィルム(平成2年4月25日出願公開、以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。

(1)引用例1
「本発明によるレジスト液供給装置の一実施例を第1図を参照して具体的に説明する。(中略)容器1内にはレジスト液が貯留されており、容器1にはポンプ2、脱泡槽3およびノズル4が管路5によって順に連結されている。(中略)ノズル4から滴下されたレジスト液が半導体ウェーハ8の回転で周辺部まで均一に被覆されるようになっている。脱泡槽3はこのようなノズル4とポンプ2との間に取り付けられている。この脱泡槽3は下端部が開口されて取出口3aとなり、この取出口3aに取出管9が取り付けられ、(中略)又、上端部が開口されて脱泡口3bとなっており、この脱泡口3bに戻り管11が連結され、(中略)脱泡槽3内にレジスト液を注入するため、取出口3aと脱泡口3bとの間の側壁に注入口3cが開設され、この注入口3cがポンプ2に接続されている。かかる脱泡槽3はレジスト液を一時貯留し、貯留時にレジスト液内の気泡を除去するものである。」(第2頁右上欄4行〜同頁左下欄9行)
「脱泡槽3の内側天井部および底部に円錐状に凹陥されたテーパ部を有すること。」(第1図参照)

これらの記載事項によると、引用例1には、「容器1に収容されたレジスト液を圧送してノズル4から半導体ウェーハ8に供給するレジスト液供給装置であって、前記容器1と前記ノズル4との間に前記レジスト液中の気泡を除去するための泡抜き機構を具備したレジスト液供給装置において、前記泡抜き機構は脱泡槽3を具備し、この脱泡槽3は、内側天井部および底部に円錐状に凹陥されたテーパ部を有し、前記天井部の前記テーパ部の中心に戻り管11が接続され、前記底部の前記テーパ部の中心に前記レジスト液を導出するための取出管9が接続され、側壁にレジスト液の注入口3cが開設されたレジスト液供給装置」の発明(以下、「引用例1記載の発明」という。)が記載されているものと認める。

(2)引用例2
「第2図に示されるような従来の浸漬塗布装置においては、塗布液が案内管4から塗布液回収タンク5に入る際に、案内管4の塗布液出口が塗布液回収タンクの上部に位置するために落流して塗布液中に泡11が発生するという問題があった。(中略)第3図に示されるように、案内管4を塗布液回収タンク5の下部まで延長し、先端を塗布液6中で開口させた場合にも、流れの勢いが弱められずに流れ込むため、塗布液が巻き込まれて泡11が生じ、塗布液中に泡が混入するという問題は完全には解消することができなかった。」(第3頁14行〜第4頁7行)

3.対比
本願発明と引用例1記載の発明とを対比すると、後者における「容器1」、「ノズル4」、「半導体ウェーハ8」、「レジスト液供給装置」、「脱泡槽3」、「戻り管11」及び「取出管9」はそれぞれ、それらの機能からみて、前者における「レジスト収容容器」、「レジスト供給ノズル」、「被処理基板」、「レジスト塗布装置」、「トラップ容器」、「泡抜き配管」及び「出口側配管」に相当するものである。
してみれば、本願発明と引用例1記載の発明とは、
「レジスト収容容器に収容されたレジスト液を圧送してレジスト供給ノズルから被処理基板に供給するレジスト塗布装置であって、前記レジスト収容容器と前記レジスト供給ノズルとの間に前記レジスト液中の気泡を除去するための泡抜き機構を具備したレジスト塗布装置において、前記泡抜き機構はトラップ容器を具備し、このトラップ容器は、内側天井部および底部に円錐状に凹陥されたテーパ部を有し、前記天井部の前記テーパ部の中心に泡抜き配管が接続され、前記底部の前記テーパ部の中心に前記レジスト液を導出するための出口側配管が接続され、レジスト液の注入部を備えているレジスト塗布装置」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点:レジスト液のトラップ容器への注入部に関して、前者では、トラップ容器の内部に突出し、先端部がレジスト液に浸漬される如く上部からトラップ容器天井部のテーパ部を貫通して直下に延在する如く挿入されている配管であるのに対して、後者では、トラップ容器の側壁に開設された開口である。

4.当審の判断
上記相違点について検討すると、塗布液を回収タンクに注入する際の注入部を先端部が塗布液に浸漬される如く上部から挿入されている配管とすることは、引用例2に記載されている。
そして、該引用例2記載の技術は、上記の点により、塗布液の注入の際の気泡の発生を防止するという、引用例1記載の発明と共通の課題を解決するものであるから、引用例1記載の発明に引用例2記載の上記の点を適用して本願発明のような配管構造とすることは、当業者が容易に想到することができたものと認められる。
なお、塗布液容器への注入部である配管を、容器天井部から直下に延在する如く挿入することは、実公昭47-38602号公報の図面(番号11参照)及び実願昭60-128926号(実開昭62-37923号)のマイクロフィルムの第1図(番号25参照)にも記載されているように、当業者が普通に行うことであるから、上記適用に当って、当業者が必要に応じて適宜なしうる設計変更にすぎず、これによる効果も当業者が予測できる範囲を越えるものではない。

5.むすび
したがって、本願の請求項1に係る発明は、引用例1及び引用例2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2000-05-16 
結審通知日 2000-05-26 
審決日 2000-06-06 
出願番号 特願平2-185733
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G03F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 増田 亮子  
特許庁審判長 西川 恵雄
特許庁審判官 清水 信行
西野 健二
発明の名称 レジスト塗布装置  
代理人 須山 佐一  

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