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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04F
管理番号 1022642
審判番号 審判1998-16650  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1990-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-10-22 
確定日 2000-07-12 
事件の表示 平成 1年特許願第 60058号「床装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 2年 9月25日出願公開、特開平 2-240367]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願請求項1の発明
本願は、平成1年3月13日の出願であって、その請求項1記載の発明(以下、「本願請求項1の発明」という。)は、平成10年2月9日付け手続補正書により補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「コンクリートスラブ上に床下地装置を組上げ、その上に床材を敷設してなる床装置において、
前記床下地装置は、前記コンクリートスラブ上に立設される支持脚と、該支持脚上に固定される長尺の大引部材と、その上に前記床材が固定され、かつ床面の略々全面に亘り延設される剛性の高い根太デッキ部材と、前記大引部材と前記根太デッキ部材との間に所定間隔毎に介在される多数の緩衝部材と、を備え、
前記緩衝部材は、緩衝材、該緩衝材の上面に固定される上板及び該緩衝材の下面に固定される下板を有し、かつ前記上板が前記根太デッキ部材に固定され、前記下板が前記大引部材に固定されてなり、
前記床材上に作用する衝撃を前記根太デッキ部材にて拡散・面状化して、前記大引部材上に多数配置された緩衝部材にて吸収することを特徴とする、
床装置。」

2.引用例記載の発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、この出願の日前に頒布された実願昭54-64157号(実開昭55-165046号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、
「ゴムのような弾性材料からなる弾性体1……の下面に、大引に固定される金属製下部取付部材3が固着され.かつ前記弾性体1の上面には、根太嵌合用上向き開口溝4を有する上部取付部材5が固着されていることを特徴とする床下地用弾性支承具。」(第1頁実用新案登録請求の範囲及び第1図)、
「この考案は、体育館等の床下地における大引とその上の根太との交叉部に介在させて、床の撓み剛性を床全体にわたつてほぼ均等にするための弾性支承具に関するものである。」(第1頁第12〜15行)、
「基礎コンクリ-ト8に支持束9の脚部10が載置されて固定され、その支持束9における垂直な螺杆11に角鋼管からなる大引12が挿通されて下部ナット13および上部ナット14により所定レベルに固定され、弾性支承具における下部取付部材3は大引12に載置されてドリルビス15により固定され、かつ上部取付部材5の根太嵌合用上向き開口溝4に角鋼管からなる根太16が嵌入されてドリルビス17により固定され、その根太16の上に床板(図示を省略した)が取付けられる。」(第2頁第15行〜第3頁第5行及び第3〜5図)、
「この考案によれば,弾性支承具における下部取付部材3を大引12に固定し、かつ弾性支承具における根太嵌合用上向き開口溝4に根太16を嵌合するという簡単な作業を行なうことにより、根太16を所定位置において弾性的に支承することができ、」(第4頁第13〜18行)と記載されており、
第4図には、
「基礎コンクリ-ト8上に組上げられる床下地は、基礎コンクリ-ト8上に立設される支持束9の脚部10と、該支持束9上に螺杆11により固定される長尺の大引12と、根太16と、前記大引12と前記根太16との間に所定間隔毎に介在される多数の弾性支承具とからなっていること。」が示されている。
以上の明細書及び図面の記載からみて、引用例1には、以下の発明が記載されていると認められる。
「基礎コンクリ-ト8上に床下地を組上げ、その上に床板を敷設してなる床構造において、前記床下地は、前記基礎コンクリ-ト8上に立設される支持束9の脚部10と、該脚部10上に固定される長尺の大引12と、その上に前記床板が固定され、角鋼管からなる剛性の高い根太16と、前記大引12と前記根太16との間に所定間隔毎に介在される多数の弾性支承具と、を備え、前記弾性支承具は、弾性体1、該弾性体1の上面に固定される上部取付部材5及び該弾性体1の下面に固定される下部取付部材3を有し、かつ前記上部取付部材5が前記根太16に固定され、前記下部取付部材3が前記大引12に固定されてなることを特徴とする床構造。」
同じく、実願昭61-185213号(実開昭62-96427号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という。)には、
「本考案は体育館の床構造に関するものである。」(第1頁第14行)、
「基礎コンクリート1面上に支柱2,2を立設し、支柱2,2で支えた大引3上に台形或いは矩形波状に連続成形した屈曲薄鋼板4を載せて固定し、その上に木板やリノリウム等の表面板5を敷設したものである。」(第2頁第14〜18行及び第1図)、
「第1図において1は基礎コンクリート面を示し、その上に所要間隔置に支柱2,2を立設する。3は大引で前記支柱う2,2で支え、大引3上に屈曲薄鋼板4を載せて固定する。尚屈曲薄鋼板4の構造は種々考えられ、2枚の薄鋼板の間にゴム等制振作用を備えた物質を介在させれば効果は一層増すので、第3図に表わしたものは薄鋼板4と4の中間にゴム層6をサンドイッチにしたものを示してある。
図中7は支柱2の上端の防振材を示す。」(第3頁第2〜11行及び第1、3図)及び
「本考案によれば、弾力性については、一般的床組構造の根太材を省き屈曲薄鋼板を張ることにより同鋼板の方向性のある性質上弾性が従来の一般的床構造より非常に増進し、又同弾性も束、大引、根太及びその中間でのバラつきがなく均一性に優れている。更に衝撃を緩和する効果も実験上実証されている。」(第3頁第13〜19行)と記載されている。
以上の明細書及び図面の記載からみて、引用例2には、以下の発明が記載されていると認められる。
「基礎コンクリート1面上に支柱2,2を立設し、該支柱2,2で支えた大引3上に台形或いは矩形波状に連続成形した屈曲薄鋼板4を載せて固定し、その上に床板5を敷設してなり、一般的な床組構造の根太材を省き屈曲薄鋼板を張ることにより、弾性のバラつきがなく均一性に優れ、衝撃を緩和する効果を有する床構造。」

3.対比・判断
そこで、本願請求項1の発明と引用例1記載の発明とを比較すると、引用例1記載の発明の「基礎コンクリ-ト」、「床下地」、「床板」、「床構造」、「支持束の脚部」又は「脚部」、「大引」、「弾性支承具」、「弾性体」、「上部取付部材」及び「下部取付部材」は、夫々本願請求項1の発明の「コンクリートスラブ」、「床下地装置」、「床材」、「床装置」、「支持脚」、「大引部材」、「緩衝部材」、「緩衝材」、「上板」及び「下板」に相当しており、引用例1記載の発明も本願請求項1の発明と同様、大引(大引部材)上に弾性支承具(緩衝部材)の弾性体(緩衝材)を多数配置するものであれば、当然、該弾性体(緩衝材)により、床板(床材)上に作用する衝撃を吸収するものであることは、自明の事柄であり、また、本願請求項1の発明の「根太デッキ部材」も引用例1記載の発明の「根太」も、床材(床板)を受けて、その上に床材(床板)を敷設する床材受け材である点で共通しているから、
本願請求項1の発明と引用例1記載の発明とは、
「コンクリートスラブ上に床下地装置を組上げ、その上に床材を敷設してなる床装置において、前記床下地装置は、前記コンクリートスラブ上に立設される支持脚と、該支持脚上に固定される長尺の大引部材と、その上に前記床材が固定され、かつ床面の略々全面に亘り延設される剛性の高い床材受け材と、前記大引部材と前記床材受け材との間に所定間隔毎に介在される多数の緩衝部材と、を備え、前記緩衝部材は、緩衝材、該緩衝材の上面に固定される上板及び該緩衝材の下面に固定される下板を有し、かつ前記上板が前記床材受け材に固定され、前記下板が前記大引部材に固定されてなり、前記床材上に作用する衝撃を前記大引部材上に多数配置された緩衝部材にて吸収することを特徴とする床装置。」
である点で一致しているが、以下の点で相違している。
本願請求項1の発明は、床材受け材として、床面の略々全面に亘り延設される剛性の高い根太デッキ部材を採用し、床材上に作用する衝撃を前記根太デッキ部材にて拡散・面状化しているのに対して、引用例1記載の発明は、床材受け材として、剛性の高い根太を採用しており、拡散・面状化の作用、効果を奏するものとは、言えない点。
そこで、上記相違点について検討すると、
引用例2には、「床構造(本願請求項1の発明の「床装置」に相当する。以下括弧内の事項は、本願請求項1の発明の相当する事項を示す。)として、基礎コンクリート(コンクリートスラブ)面上に支柱(支持脚)を立設し、該支柱で支えた大引(大引部材)上に、一般的な床組構造の根太材を省き台形或いは矩形波状に連続成形した屈曲薄鋼板を載せて固定し、その上に床板(床材)を敷設してなること。」が記載され、該屈曲薄鋼板は、台形或いは矩形波状に連続成形したものであるから、従来、通常「デッキプレート」と言われているものであり(建築大辞典<縮刷版>第1版 彰国社 (第8刷)昭和59年2月10日発行 p.1031「デッキプレート」参照)、本願請求項1の発明の「根太デッキ部材」に相当するものと認められる。
即ち、引用例2記載の発明は、一般的な床組構造の根太材に代えて、床材受け材として、根太デッキ部材を採用した床装置であり、また、根太材に代えるものであるから、床面の略々全面に亘り延設され、剛性の高いものであることは、自明の事項にすぎず、根太デッキ部材にて、床材上に作用する衝撃を拡散・面状化する作用、効果も予測できるものにすぎない。
よって、上記相違点における本願請求項1の発明のようにすることは、引用例2記載の発明より当業者が容易に設計変更なし得ることにすぎないというべきである。
なお、出願人は平成10年7月21日付け意見書の理由において、
「(5)更に、例え引用例1及び2を組合せることが可能であるとしても、そのものから、前記本願発明の構成要件B4 及びD、即ち面的に拡がる根太デッキ部材と大引部材との間に緩衝部材を介在することに基づき、緩衝部材が、配置位置を限定されることなく、大引部材上の適正な位置に任意の数を配置し得ること、並びに衝撃を根太デッキ部材にて拡散・面状化して、それを適正な位置に配置された多数の緩衝部材にて吸収する点が示唆されることはなく、かつ前記本願発明の機能・作用ロ(「競技者が運動することに基づく床板(5)上に作用する荷重は、剛性の高い根太デッキ部材(3)により拡散されて面的に作用し、多数の緩衝部材(2)に分散されて支持される。これにより、競技者による衝撃荷重は、緩衝部材(2)により適正な弾力性能にて受けられ、かつ根太デッキ部材(3)からの荷重を面的に直接受ける緩衝部材(2)の作用に基づき、上述弾力性能は、床面のすべての箇所にて略々均一に作用し、競技者は良好な運動動作を行い得る。」)が示唆されることはない。」(第5頁第11〜17行及び第2頁第25行〜第3頁第2行)と主張しているが、引用例1記載の発明も上記「2.引用例記載の発明」で摘示したように、その目的として、弾性支承具(緩衝部材)は、床の撓み剛性を床全体にわたつてほぼ均等にするためのものであるから、床全体にわたつて(床面のすべての箇所にて)ほぼ均等(均一)に作用させるため、大引(大引部材)上の適正な位置に所定間隔で適正数配置されるものであることは、実施の際に、当然考慮される設計的事項であり、係る設計的事項は、床材受け材を根太に代えて引用例2記載の発明の屈曲薄鋼板(根太デッキ部材)とした場合においても、当然考慮される設計的事項であるから、出願人が上記意見書で主張している緩衝部材の配置位置、配置数に基づく効果が特に新規、顕著なものと認められず、床材受け材を引用例1記載の発明の根太に代えて引用例2記載の発明の屈曲薄鋼板(根太デッキ部材)としたことにより予測できる効果にすぎないものと認められる。
また、出願人が上記意見書で主張している本願請求項1の発明の機能・作用ロの「競技者が運動することに基づく床板上に作用する荷重は、剛性の高い根太デッキ部材により拡散されて面的に作用し、多数の緩衝部材に分散されて支持される」ことは、引用例1記載の発明及び引用例2記載の発明が奏する作用を単に集めたもので、その結果として、「競技者による衝撃荷重は、緩衝部材により適正な弾力性能にて受けられ、かつ根太デッキ部材からの荷重を面的に直接受ける緩衝部材の作用に基づき、上述弾力性能は、床面のすべての箇所にて略々均一に作用する」という効果も、引用例1記載の発明及び引用例2記載の発明が奏する効果の総和以上のものとは、認められない。
以上を総合判断すると、本願請求項1の発明は、引用例1記載の発明及び引用例2記載の発明を単に寄せ集めることにより、当業者が容易に発明をすることができたものにすぎないというべきである。

4.むすび
したがって、本願請求項1の発明は、上記引用例1、2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2000-04-20 
結審通知日 2000-05-09 
審決日 2000-05-22 
出願番号 特願平1-60058
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E04F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 七字 ひろみ  
特許庁審判長 樋口 靖志
特許庁審判官 鈴木 憲子
宮崎 恭
発明の名称 床装置  
代理人 近島 一夫  
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