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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11C
管理番号 1022652
審判番号 審判1998-20172  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-12-21 
確定日 2000-07-17 
事件の表示 平成 4年特許願第 5815号「不揮発性DRAM装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年 7月30日出願公開、特開平 5-189977]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成4年1月16日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という)は、その明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「揮発性動作モードおよびリコール動作とストア動作を有する不揮発性動作モードを併せ持つ不揮発性DRAM装置において、
前記不揮発性DRAM装置は揮発性部と不揮発性部とを備え、
電源が投入されると、動作モードを該不揮発性動作モードに切換え、全メモリセルに渡って不揮発性部から揮発性部へデータを転送するリコール動作を行い、続いて全メモリセルに渡って前記揮発性部から前記不揮発性部へ前記データを転送するストア動作を行う不揮発性DRAM装置。」

2.引用文献
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用した特開昭54-121629号公報(以下、「引用文献」という。)には、下記の事項が記載されている。

「このような不揮発性メモリの代表的なものとしてMNOS(Metal Nitride Oxide Semiconductor)メモリがあり、その記憶保持年数は電源電圧を印加しない状態で最高10年位、通電状態ではその1/3程度となる。
しかしながらテレビジョン受像機に適用した場合にはいかなる使用状態においても最低で10年位の記憶保持性能が要求されるため、MNOSメモリをそのままテレビジョン受像機に適用することは不可能で、適当な時期にメモリの内容をリフレッシュしてやる必要がある。すなわち適当な時期にメモリ内容を一担ラッチ等のデータ保持機能を持った回路に移し、メモリ内容を消去し、再びラッチからデータを読出しメモリに書込むようにする必要がある。
この発明は以上の要望に対処してなされたもので、不揮発性メモリへの電源投入時にメモリのリフレッシュを行なうようにした不揮発性メモリのリフレッシュ装置を提供することを目的とする。」(第2頁左上欄第20行-右上欄第18行)
「すなわち電源投入T0後、各電源回路6〜9はその電圧が・・・メモリコントロール回路2はゲート4をラッチ5側に切換え、データ読出し信号発生回路2aからデータ読出し信号を出力してまずメモリ1の1番目のアドレスに記憶されているデータをゲート4を介してラッチ5に移し、その動作終了を示す信号によってデータ消去信号発生回路2bが駆動され、データ消去信号が出力されてメモリ1のそのアドレスのデータを消去し、その動作終了を示す信号によってデータ書込み信号発生回路2cが駆動されデータ書込み信号が出力されラッチ5に移されたデータをメモリ1の同じアドレスに書込ませる。
それによってメモリ1の1番目のアドレスのデータのリフレッシュが完了する。メモリ1への書き込み動作終了を示す信号によって2番目のアドレスが設定され同様にして2番目のアドレスのデータのリフレッシュが行われる。
以後同様にすべてのアドレスのデータのリフレッシュが行なわれるとそれを示す信号によってフリップフロップ2eがリセットされ、」(第3頁右下欄第4行-第4頁左上欄第19行)
「なお以上説明した実施例ではリフレッシュ動作をメモリ1の全アドレスにわたって一度に行なうようにしたが、電源を投入するたびに1アドレスずつリフレッシュさせるように構成することも容易に行なえる。またこの発明はテレビジョン受像機の電子選局装置に限らず不揮発性メモリを使用した電子機器にすべて適用できる。」(第5頁右上欄第3行-第10行)
したがって、引用文献には、
「電源が投入されると、不揮発性メモリのメモリ内容を一担ラッチに移し、当該不揮発性メモリのメモリ内容を消去し、当該ラッチからデータを読出し当該不揮発性メモリに書込むリフレッシュを、アドレスごとに順次行って全アドレスに渡り行う装置」が記載されている。(以下「引用文献発明」という)

3.対比・判断
本願発明と引用文献発明を比較すると、引用文献発明の「電源が投入されると、不揮発性メモリのメモリ内容を一担ラッチに移し、当該不揮発性メモリのメモリ内容を消去し、当該ラッチからデータを読出し当該不揮発性メモリに書込むリフレッシュを、アドレスごとに順次行って全アドレスに渡り行う」との構成は、本願発明の「電源が投入されると、動作モードを該不揮発性動作モードに切換え、不揮発性部から揮発性部へデータを転送するリコール動作を行い、続いて前記揮発性部から前記不揮発性部へ前記データを転送するストア動作を行う」との構成と「電源が投入されると、不揮発性メモリ部のデータを他のメモリ部に移し、他のメモリ部に移されたデータを不揮発性メモリ部に書き込む」点で一致しているから、両者は「電源が投入されると、不揮発性メモリ部のデータを他のメモリ部に移し、他のメモリ部に移されたデータを不揮発性メモリ部に書き込む装置」である点で一致し、以下の点で相違している。

相違点
不揮発性メモリ部と他のメモリ部について、本願発明のものは夫々「揮発性動作モードおよびリコール動作とストア動作を有する不揮発性動作モードを併せ持つ不揮発性DRAM装置に備えられた不揮発性部と揮発性部」であって、電源が投入されると「全メモリセルに渡って不揮発性部から揮発性部へデータを転送するリコール動作を行い、続いて全メモリセルに渡って前記揮発性部から前記不揮発性部へ前記データを転送するストア動作を行う」ものであるのに対し、引用文献発明のものは、「揮発性動作モードおよびリコール動作とストア動作を有する不揮発性動作モードを併せ持つ不揮発性DRAM装置に備えられた不揮発性部と揮発性部」ではなく「不揮発性メモリとラッチ」であって、また、電源が投入されると「全メモリセルに渡って不揮発性部から揮発性部へデータを転送するリコール動作を行い、続いて全メモリセルに渡って前記揮発性部から前記不揮発性部へ前記データを転送するストア動作を行う」ものではなく、「リフレッシュを、アドレスごとに順次行って全アドレスに渡り行う」ものである点。

上記相違点について検討する。

「揮発性部と不揮発性部を備え、揮発性動作モードおよびリコール動作とストア動作を有する不揮発性動作モードを併せ持つ不揮発性DRAM装置であって、電源投入時にリコール動作を行うもの」(以下「周知不揮発性DRAM装置」という。)は当業者の周知技術(特開平3-12097号公報、特開平3-134894号公報、特開平3-58389号公報、特開平3-41700号公報参照)であり、周知不揮発性DRAM装置は一種の不揮発性メモリであるから、引用文献発明の不揮発性メモリ部に、周知不揮発性DRAM装置を用いることは当業者が適宜なし得た事項にすぎない。そして、周知不揮発性DRAM装置は「不揮発性部と揮発性部」を併せ持つものであって電源投入時にリコール動作、すなわち、不揮発性部から揮発性部へのデータ転送を行うものであるから、引用文献発明の不揮発性メモリ部に周知不揮発性DRAM装置を用いる際に、実質的な不揮発性メモリ部として周知不揮発性DRAM装置の不揮発性部を用い、他のメモリ部としてラッチを用いることなく当該揮発性部を用いることは当業者が容易に想到し得たことであり、そうであれば、周知不揮発性DRAMでは揮発性容量と不揮発性容量が対応することが通常であるから、ラッチを用いた場合のようにリフレッシュをアドレスごとに順次行うことにかえて「全メモリセルに渡って不揮発性部から揮発性部へデータを転送するリコール動作を行い、続いて全メモリセルに渡って前記揮発性部から前記不揮発性部へ前記データを転送するストア動作を行う」ことも当業者が容易に想到し得たことであり、結局、不揮発性メモリ部と他のメモリ部として「揮発性動作モードおよびリコール動作とストア動作を有する不揮発性動作モードを併せ持つ不揮発性DRAM装置に備えられた不揮発性部と揮発性部」を採用し、電源が投入されると「全メモリセルに渡って不揮発性部から揮発性部へデータを転送するリコール動作を行い、続いて全メモリセルに渡って前記揮発性部から前記不揮発性部へ前記データを転送するストア動作を行う」ことは当業者が容易になし得たことである。
そして、本願発明の効果は、引用文献発明及び周知技術思想から当業者が予測できる程度のものである。

4.むすび
したがって、本願の請求項1の発明は、引用文献に記載された発明及び周知技術思想に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2000-04-11 
結審通知日 2000-04-25 
審決日 2000-05-18 
出願番号 特願平4-5815
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G11C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 須原 宏光  
特許庁審判長 徳永 民雄
特許庁審判官 飯田 清司
鈴野 幹夫
発明の名称 不揮発性DRAM装置  
代理人 木下 雅晴  
代理人 小池 隆彌  

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