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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B01J
管理番号 1023057
審判番号 審判1999-9988  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-07-12 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-06-21 
確定日 2000-08-16 
事件の表示 平成 4年特許願第357289号「粉末状原料物質の配合装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 7月12日出願公開、特開平 6-190263]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成4年12月24日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という)は、平成10年9月29日付けおよび平成10年10月9日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、「内容成分を異にする粉末状原料物質の収納容器とスクリュ-コンベア式搬送体とからなる複数台の保管装置と、保管装置間を往復移動可能であり、保管装置の駆動機構と計量器上に計量可能に設置した配合用容器とからなる移動装置とからなり、選択した保管装置から必要な原料物質を必要量配合容器に供給するようにした粉末状原料物質の配合装置において、直列方向に複数台設置するとともに両側に対称に設置した保管装置1は、基台3上に設置した収納容器4の下部内に設置し、交互に切り替えて回転可能な大容量用搬送体5aと小容量用搬送体5bからなる搬送体5と、搬送体5の上方に設置したブリッジブレ-カ-6とを有するとともに搬送体5を作動可能な回転軸19の一端には継手21を、他端にはスプロケット23を設けるとともにブリッジブレ-カ-6を作動可能な回転軸20の一端には継手22を、他端にはスプロケット24を設けた作動機構を有し、台車28によって両側の保管装置1間を往復移動可能な移動装置2は、台車28内に設置して台車28の走行方向とは直交方向に往復移動可能な移動体40上に設置し、逆回転可能なモ-タ32によって駆動する回転駆動体34と、モ-タ33によって駆動する回転駆動体35とを有し、回転駆動体34の両端には継手38を、回転駆動体35の両端には継手39を設けた駆動機構29と、計量可能な配合用容器31とを有し、回転駆動体34の継手38は作動機構の継手21と、回転駆動体35の継手39は作動機構の継手22とそれぞれ接合可能としたことを特徴とする粉末原料物質の配合装置。」にあるものと認める。
なお、請求項1には「案内体41」と記載されているが、発明の詳細な説明段落【0030】〜【0031】、図3および図8の記載より「移動体40」の誤記と認められる。また、請求項1には「収容容器」および「収納容器」という用語が用いられているが、発明の詳細な説明の記載より同じものを指しているものと認められ、さらに、「収容容器」という用語は出願当初の明細書には用いられておらず、補正により追加されたものであるので、「収容容器」は「収納容器」の誤記と認める。よって、上記のように認定した。
2.引用例
これに対し、原査定の拒絶の理由で引用された、本出願前頒布された刊行物である特開平3-245830号公報(以下「引用例1」という)には、その請求項2に「それぞれ異なる粉末を収容した多数の粉末保管装置のうちから選択された複数の粉末保管装置より適量の粉末を取り出し、それらを一つの粉末集合用容器に装入して配合するための装置において、粉末集合用容器および駆動機構を備え走行路に沿って走行可能な少なくとも一つの移動装置と、走行路に沿って配列された複数の粉末保管装置とを含み、前記各粉末保管装置が、粉末収納容器と、前記駆動機構の継手と係脱自在に連結される継手を有するとともに粉末収納容器内の粉末を排出するための粉末排出従動機構とを備えた異種粉末配合装置」が、請求項3に「前記駆動機構が、モ-タと、該モ-タによって駆動回転せしめられる駆動軸と、該駆動軸の端部に付された継手とを含むこと」が、請求項4に「前記粉末排出従動機構が、前記駆動軸端部の継手と係脱自在に連結される継手と、該継手を一端に有する従動軸とを含むこと」が、請求項5に「前記粉末排出従動機構がスクリュ-式搬送体を含むこと」が、請求項6に「前記移動装置が粉末集合用容器内に装入された粉末重量を計測する計量器を含むこと」が、第3頁右上欄第2-5行に「粉末収納容器内の底部にスクリュ-式搬送体を備えること」が、第3頁左下欄第1-8行に「移動装置の車台上には、モ-タと駆動軸と駆動側継手とからなる駆動機構が配設され、モ-タは車台上で粉末保管装置側へ向かって前進し且つ後退し得るように、案内部材に沿って動くようになっていること」が、第1図に従動軸の継手と逆側端部にドライブ・スプロケットを設けることおよび粉末保管装置はその頂部に粉末収納容器を支持するために下部に支持部材を設けていることが、それぞれ記載されている。
同じく特開昭60-183028号公報(以下「引用例2」という)には、その第2頁右上欄第1-5行および第3-4図に、ホッパ-の両側に対称に原料計量配合装置を配置することが記載されている。
同じく実願平2-106426号(実開平4-65125号)のマイクロフィルム(以下「引用例3」という)には、その第4頁第10-14行および第1-3図に、粉粒状薬剤がブリッジ状に固まるのを防止するためにスクリュ-フィ-ダ- の上方にモ-タで回転する攪拌棒を設けることが記載されている。
同じく特開昭62-27216号公報(以下「引用例4」という)には、その第2頁左下欄第1行-同右下欄第10行および第1図に、径およびピッチの異なる2個のスクリュコンベアを回転方向の切り替えにより一台のみが運転可能とした搬出装置が記載されている。
3.対比
本願発明と引用例1に記載された発明とを対比すると、引用例1に記載された発明の「粉末収納容器」は本願発明の「収納容器」に、同じく「スクリュ-式搬送体」は「スクリュ-コンベア式搬送体」、「粉末保管装置」は「保管装置」、「粉末集合用容器」は「配合用容器」、「従動軸」は「回転軸19」、「車台」は「台車」、「駆動軸」は「回転駆動体34」に、それぞれ相当する。また、引用例1に記載された「モ-タは車台上で粉末保管装置側へ向かって前進し且つ後退し得るように、案内部材に沿って動く」とは、第1-2図のレ-ルと車台および粉末保管装置の配置関係からみて、モ-タは、車台の走行方向とは直交方向に往復移動可能であることを意味しており、引用例1に記載された発明においてもモ-タと、駆動軸と、継手とからなる駆動機構は、台車の走行方向とは直角方向に往復動可能に台車内に設置されていることは明らかである。さらに、引用例1に記載された発明の支持部材は粉末保管装置の下部を構成し上部の粉末収納容器を支持しているので本願発明の「基台」に相当するものと認められる。よって、本願発明と引用例1に記載された発明とは、「内容成分を異にする粉末状原料物質の収納容器とスクリュ-コンベア式搬送体とからなる複数台の保管装置と、保管装置間を往復移動可能であり、保管装置の駆動機構と計量器上に計量可能に設置した配合用容器とからなる移動装置とからなり、選択した保管装置から必要な原料物質を必要量配合容器に供給するようにした粉末状原料物質の配合装置において、直列方向に複数台設置した保管装置は、基台上に設置した収納容器の下部内に設置した搬送体と、搬送体を作動可能な回転軸の一端には継手を、他端にはスプロケットを設けた作動機構を有し、台車によって保管装置間を往復移動可能な移動装置は、台車内に台車の走行方向とは直交方向に往復移動可能に設置し、モ-タによって駆動する回転駆動体と、回転駆動体の端部に継手を設けた駆動機構と、計量可能な配合用容器とを有し、回転駆動体の継手は作動機構の継手と接合可能とした粉末原料物質の配合装置」である点で一致し、下記の点で相違するものと認める。
(1)搬送体およびその駆動用モ-タが、前者は交互に切り替えて回転可能な大容量用搬送体と小容量用搬送体からなる搬送体と逆転可能なモ-タであるのに対し、後者は1個の搬送体を用い、モ-タの逆回転についてはふれられていない点。
(2)前者は搬送体の上方のブリッジブレ-カ-とそれを作動可能な回転軸の一端には継手を、他端にはスプロケットを設けた作動機構とモ-タによって駆動する継手を設けた回転駆動体からなる駆動機構とを有し、回転駆動体の継手は作動機構の継手と接合可能としているのに対し、後者はそれらは設けられていない点。
(3)駆動機構を移動可能に構成するために、前者は移動体上に設置して移動可能にしているの対し、後者は駆動機構は移動可能に構成されているが、具体的な設置状態については特定されていない点。
(4)前者は保管装置を両側に対称に設置し、回転駆動体の両端に継手を設けているのに対し、後者は保管装置は片側のみに設置し、回転駆動体の一端に継手を設けている点。
4.当審の判断
上記相違点について検討する。
相違点(1)について
引用例4の径およびピッチの異なる2個のスクリュコンベアは、搬出量を比較すると大容量と小容量であることは明らかであるので、本願発明の交互に切り替えて回転可能な大容量用搬送体と小容量用搬送体からなる搬送体に相当するものと認められる。そして、引用例1および引用例4記載の発明は収納容器から粉末状原料の搬送装置としてその軌を一にしているので、引用例1記載の発明の粉末状原料物質の配合装置において、その搬送体として引用例4記載の交互に切り替えて回転可能な大容量用搬送体と小容量用搬送体からなる搬送体を転用すると共に、引用例4記載の搬送体は回転方向を切り替えて運転するものであるから、転用に伴ってその駆動用モ-タを逆回転可能なモ-タとすることは、当業者にとって容易に想到し得ることである。更に、組み合わせたことによる効果も当業者が容易に予測できる範囲内のものと認められる。
相違点(2)について
引用例3記載の回転する攪拌棒はブリッジ防止用であるので、本願発明のブリッジブレ-カ-に相当し、同じく、スクリュ-フィ-ダ-は搬送体に相当するため、引用例3には搬送体の上方にブリッジブレ-カ-を設けることが記載されているものと認める。そして、引用例1および引用例3記載の発明は収納容器から粉末状原料の搬送装置としてその軌を一にしているので、引用例1記載の発明の粉末状原料物質の配合装置に引用例3記載のものを付加して搬送体の上方にブリッジブレ-カ-設けると共に、引用例1記載の発明は保管装置に作動機構を、移動装置に駆動機構を設けて、駆動機構の設置数の低減化を目的にしているので、その付加に際して前記目的に沿ってブリッジブレ-カ-の駆動形態として引用例1記載の搬送体の駆動形態をそのまま用いて、ブリッジブレ-カ-を作動可能な回転軸の一端には継手を、他端にはスプロケットを設けた作動機構とモ-タによって駆動する継手を設けた回転駆動体からなる駆動機構とを有し、回転駆動体の継手は作動機構の継手と接合可能に構成することは、当業者にとって容易に想到し得ることである。更に、組み合わせたことによる効果も当業者が容易に予測できる範囲内のものと認められる。
相違点(3)について
一搬に、或るものを移動可能に構成するための手段として移動体上に設置することは本出願前慣用手段である。よって、本願発明の駆動機構を移動体上に設置して移動可能に構成することに、当業者が格別の工夫を要するとは認められない。
相違点(4)について
引用例1および引用例2記載の発明は収納容器から粉末状原料の搬送装置としてその軌を一にしているので、引用例2記載の両側に対称に配置する点を引用例1記載の発明に転用して直列方向に複数台設置した保管装置を両側に対称に設置すると共にそれに応じて両側を駆動できるように回転駆動体の両端に継手を設けることは、当業者にとって容易に想到し得ることである。更に、組み合わせたことによる効果も当業者が容易に予測できる範囲内のものと認められる。
5.むすび
したがって、本願請求項1に係る発明は、引用例1乃至引用例4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2000-05-23 
結審通知日 2000-06-02 
審決日 2000-06-16 
出願番号 特願平4-357289
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B01J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 服部 智  
特許庁審判長 江藤 保子
特許庁審判官 新居田 知生
西村 和美
発明の名称 粉末状原料物質の配合装置  
代理人 積田 輝正  

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