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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C08L 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C08L |
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管理番号 | 1023116 |
審判番号 | 審判1999-6566 |
総通号数 | 15 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1993-04-20 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-04-22 |
確定日 | 2000-08-18 |
事件の表示 | 平成2年特許願第310290号「複合樹脂組成物」拒絶査定に対する審判事件[平成5年4月20日出願公開、特開平5-98167]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成2年11月15日の出願(国内優先権主張、平成2年7月20日)であって、その発明は、平成11年5月13日付け手続補正書により補正された明細書の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1〜7に記載の次のとおりのものと認める。 「1.予め重合させていない重合性官能基含有化合物1種または2種以上を、溶融した熱可塑性樹脂中で重合させて得られ、該重合性官能基含有化合物の重合は溶融した熱可塑性樹脂中でのみ行わせてなる、成形品用複合樹脂組成物。 2.重付加性化合物、付加重合性化合物および開環重合性化合物からなる群から選ばれる重合性官能基含有化合物1種または2種以上を、溶融した熱可塑性樹脂中で重合させて得られる、成形品用複合樹脂組成物。 3.重合性官能基含有化合物を重合させる際に、分散剤の存在下で重合させてなる、請求項1または2記載の複合樹脂組成物。 4.重合性官能基含有化合物が活性水素含有化合物およびポリイソシアネートである請求項1ないし3のいずれかに記載の複合樹脂組成物。 5.重合性官能基含有化合物が、エポキシ基を有する化合物とエポキシ硬化剤との組合せ、フェノール類とアルデヒド類との組合せ、尿素類とアルデヒド類との組合せ、メラミン類とアルデヒド類との組合せ、および不飽和多価カルボン酸と多価アルコールと付加重合性化合物との組合せ、からなる群より選ばれた化合物である請求項1ないし3のいずれかに記載の複合樹脂組成物。 6.熱可塑性樹脂がポリオレフィン系熱可塑性樹脂である請求項1ないし5のいずれかに記載の複合樹脂組成物。 7.熱可塑性樹脂が、芳香族ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、およびポリサルホンからなる群より選ばれた熱可塑性樹脂である請求項1ないし5のいずれかに記載の複合樹脂組成物。」 2.引用刊行物の記載事項 前置審査において通知された、平成11年8月6日付け拒絶理由において引用された特開昭63-27533号公報(昭和63年2月5日出願公開、以下「引用刊行物」という。)には、 (1)「(1)ポリエチレン系樹脂とイソシアネート及びポリオールとを溶融混練することを特徴とするポリエチレン系樹脂複合材料の製造方法。」(特許請求の範囲請求項1)、 (2)「本発明は新規な性能を有するポリエチレン系複合材料、更に詳しくは強度/伸び物性間の優れたバランス及び高耐熱性を有するポリエチレン系複合材料の製造方法に関する。」(第1頁右欄第7〜10行)、 (3)「ポリエチレンは最も安価なプラスチック材料としてフィルム、繊維、モールド等の各種形態で多用され、・・・位置づけられている。」(第1頁右欄第12〜15行)、 (4)「即ち本発明はポリエチレン系樹脂とイソシアネート及びポリオールとを溶融混練することを特徴とするポリエチレン系樹脂複合材料の製造方法を要旨とするものである。」(第2頁右上欄第10〜13行)、 (5)「本発明の原料であるポリエチレン系樹脂としては、中低圧法で製造される高密度ポリエチレンの無変成樹脂単独以外のポリエチレン系樹脂であれば何れも適用可能であるが、その中で特に、 (1)エチレンモノマーと他のモノマーとの共重合体樹脂 (2)不飽和カルボン酸グラフト化ポリエチレン樹脂 (3)ポリエチレン系樹脂と極性樹脂とのブレンド樹脂 (4)高圧法で製造される低密度ポリエチレンが有利に用いられる。」(第2頁右上欄第14行〜左下欄第6行)、 (6)「本発明で使用のポリオールとはイソシアネートとともにポリウレタンを構成するものであり、特に限定しないが、これを例示すると・・・縮合重合型ポリエステルポリオール、・・・付加重合型ポリエステルポリオール、・・・ポリエーテルポリオール、・・・等のポリオールがある。 更にエチレングライコール、1,4-ブチレングライコール・・・等の活性水素含有化合物もポリオールとして使用できる。」(第2頁右下欄第7行〜第3頁左上欄第3行)、 (7)「本発明で使用するイソシアネートの例としてヘキサメチレンジイソシアネート・・・などのような脂肪族系イソシアネート、・・・ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート・・・などのような芳香族イソシアネートおよびこれらの混合物がある。」(第3頁左上欄第7〜18行)、 (8)「本発明においてポリエチレン系樹脂とポリオール、イソシアネートとの混合方法は特に限定しないが、ポリエチレン系樹脂を溶融状態にしておいて、これにポリオール/イソシアネート混合物を添加する方法等がある。その中でメルト状態のポリエチレン系樹脂に所定量のポリオールを添加混練し充分に分散させた後これに所定量のイソシアネートを添加し、ポリオールと反応させることが望ましい。」(第3頁左下欄第12〜20行)と記載され、さらに、 (9)実施例1〜7には、ポリエチレン系樹脂複合材料からシートを得た旨記載されている。 なお、上記(5)に指摘に記載事項中の丸囲みの数字については、括弧書きの数字により表記してある。 3.対比・判断 (1)本願請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)について 本願発明1と引用刊行物に記載の製造方法により製造されたポリエチレン系樹脂複合材料(以下「引用刊行物記載のポリエチレン系樹脂複合材料」という。)を対比するに、まず、引用刊行物に記載の「ポリエチレン系樹脂」は、本願発明1における「熱可塑性樹脂」に該当し、引用刊行物1に記載の「イソシアネート」及び「ポリオール」は、本願発明1における「予め重合させていない重合性官能基含有化合物」に該当する。そして、上記2.(6)、(8)に指摘の記載事項からみて、引用刊行物に記載の製造方法では、溶融したポリエチレン系樹脂中でイソシアネートとポリオールが反応してポリウレタンが生成するものと認められ、該イソシアネートとポリオールの反応は、本願発明1にいう「重合」に該当するものである。さらに、実施例においてシートが得られていることからも明らかなとおり、引用刊行物記載のポリエチレン系樹脂複合材料は「成形品用」のものである。してみると、本願発明1と引用刊行物記載のポリエチレン系樹脂複合材料は、予め重合させていない重合性官能基含有化合物2種を、溶融した熱可塑性樹脂中で重合させて得られ、該重合性官能基含有化合物の重合は溶融した熱可塑性樹脂中でのみ行わせてなる、成形品用複合樹脂組成物である点において一致し、構成上相違するところがない。 よって、本願発明1は、引用刊行物に記載された発明である。 (2)本願請求項2に係る発明(以下「本願発明2」という。)について 本願発明2と引用刊行物記載のポリエチレン系樹脂複合材料を対比するに、まず、引用刊行物に記載の「ポリエチレン系樹脂」は、本願発明2における「熱可塑性樹脂」に該当し、引用刊行物に記載の「イソシアネート」及び「ポリオール」は、本願発明2における「重付加性化合物」に該当する。そして、上記のとおり、引用刊行物に記載の製造方法では、溶融したポリエチレン系樹脂中でイソシアネートとポリオールが反応してポリウレタンが生成するものと認められ、該イソシアネートとポリオールの反応は、本願発明2にいう「重合」に該当するものである。また、引用刊行物記載のポリエチレン系樹脂複合材料が「成形品用」のものであることも上記のとおりである。してみると、本願発明2と引用刊行物記載のポリエチレン系樹脂複合材料は、重付加性化合物から選ばれる重合性官能基含有化合物2種を、溶融した熱可塑性樹脂中で重合させて得られる、成形品用複合樹脂組成物である点において一致し、構成上相違するところがない。 よって、本願発明2は、引用刊行物に記載された発明である。 (3)本願請求項4に係る発明(以下「本願発明4」という。)について 引用刊行物に記載の「イソシアネート」及び「ポリオール」は、それぞれ、本願発明4における「ポリイソシアネート」及び「活性水素含有化合物」に該当する。 よって、本願発明4は、引用刊行物に記載された発明である。 (4)本願請求項6に係る発明(以下「本願発明6」という。)について 引用刊行物に記載の「ポリエチレン系樹脂」は、本願発明6における「ポリオレフィン系熱可塑性樹脂」に該当する。 よって、本願発明6は、引用刊行物に記載された発明である。 4.むすび 以上のとおりであるから、本願発明1、本願発明2、本願発明4及び本願発明6は、いずれも、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2000-05-15 |
結審通知日 | 2000-05-30 |
審決日 | 2000-06-14 |
出願番号 | 特願平2-310290 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(C08L)
P 1 8・ 113- WZ (C08L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 杉原 進、藤本 保 |
特許庁審判長 |
井出 隆一 |
特許庁審判官 |
佐野 整博 關 政立 |
発明の名称 | 複合樹脂組成物 |