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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L |
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管理番号 | 1023119 |
審判番号 | 審判1999-2147 |
総通号数 | 15 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-05-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-02-18 |
確定日 | 2000-08-18 |
事件の表示 | 平成 3年特許願第 60253号「半導体装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 5月31日出願公開、特開平 6-151857]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.経緯 本件出願は、平成3年3月25日の出願であり、平成10年7月21日付けで拒絶理由通知がされ、平成10年10月2日付けで、意見書及び手続補正書が提出されたが、平成10年12月15日付けで拒絶査定され、平成11年2月18日に審判を請求し、平成11年3月23日付けで明細書を補正する手続補正書を提出した。しかしながら、平成11年3月23日付け手続補正書は、平成11年4月22日付けで、前置審査官が補正の却下の決定をし、該決定は確定した。 2.本件特許出願の要旨 願書及び平成10年10月2日付け手続補正書に記載された明細書及び図面の記載から見て、本件特許出願の要旨(以下、本願発明という)は平成10年10月2日付け手続補正書に記載された請求項1に記載されたとおりの次のものである。 「【請求項1】 半導体層にチャネル部を挟んでソース部およびドレイン部を有すると共に、当該チャネル部の上部にゲート電極を有し、ソース部およびドレイン部に対しコンタクトをとる半導体装置において、 前記ソース部およびドレイン部上にシリサイド層を形成すると共に、該シリサイド層を拡散防止部材で構成されたバリアメタル層を介して配線部材に接続したことを特徴とする半導体装置。」 3.引用例記載の発明 (引用例1記載の発明) 審査での拒絶の理由に引用された引用例1(特開平3-55829号公報)には、従来例として、第2図とともに、「第2図(a)において、1は単結晶シリコン基板、2は二酸化シリコン膜(SiO2、以下酸化膜と称す)で厚さは0.5μm〜1μmである。3は厚さ1000Åの単結晶シリコン膜である。…4は燐を多量にドープした多結晶シリコンからなるゲート電極、5は酸化膜、6は酸化膜5上に開けられ、単結晶シリコン3まで達するコンタクトである。 次に第2図(b)に示すように、コンタクト6を含む耐熱配線を行う領域に多結晶シリコン7を1000Å堆積する。この後、第2図(c)に示すように、この上にチタン8をスパッタ法により厚さ700Åで全面に堆積する。この後、700℃、N2雰囲気中でランプアニールを1分間行い、チタン8と多結晶シリコン7を反応させて、チタンシリサイド(TiSi2)を形成する。 次に硫酸溶液に浸潤させて未反応のチタン(酸化膜5上のチタン)を除去する。さらに、多結晶シリコン7とチタン8を完全に反応、化合させるため、800℃、N2雰囲気中で1分間ランプアニールを行ってチタンシリサイド9を形成したのが第2図(d)である。 そして最終的に第2図(e)に示すように、層間絶縁膜10、アルミニウム配線11を形成し、耐熱配線をしようしたMOSトランジスタを絶縁体上に形成する。」(第1頁右下欄第15行〜第2頁右上欄3行) ここで、単結晶シリコン膜3はゲート電極の下ではチャネル部となり、コンタクト部の下ではソース部、ドレイン部になることは明らかであるから、引用例1には、「半導体層にチャネル部を挟んでソース部およびドレイン部を有すると共に、当該チャネル部の上部にゲート電極を有し、ソース部およびドレイン部に対しコンタクトをとる半導体装置において、前記ソース部およびドレイン部上にシリサイド層を形成すると共に、該シリサイド層を配線部材に接続したことを特徴とする半導体装置。」が示されている。 4.本願発明と引用例との対比 本願発明と引用例1記載のものとを対比すると、次の点で両者は一致する。 「半導体層にチャネル部を挟んでソース部およびドレイン部を有すると共に、当該チャネル部の上部にゲート電極を有し、ソース部およびドレイン部に対しコンタクトをとる半導体装置において、前記ソース部およびドレイン部上にシリサイド層を形成すると共に、該シリサイド層を配線部材に接続したことを特徴とする半導体装置。」 そして、本願発明は、「シリサイド層を拡散防止部材で構成されたバリアメタル層を介して配線部材に接続した」のに対して、引用例1のものは、シリサイド層を配線部材に接続したものであり、バリアメタル層を有していない点で相違している。 5.相違点の検討 ところで、特開昭61-142739号公報には、不純物拡散層上のチタンシリサイド膜とアルミニウム配線金属層との間にチタンナイトライド膜のバリヤ層を設けることが示され、特開昭63-175420号公報には、ソース・ドレイン領域上のチタン硅化物層とアルミニウム配線線との間に窒化チタンのバリヤ層を設けることが示されるように、シリサイド層と配線部材の間にバリヤ層を介して接続することは周知の技術であると認められる。してみるとこの相違点に格別のことが認められない。 6.まとめ したがって、本願発明は上記引用例1と周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 よって、上記のとおり審決する。 付記: (補正却下された発明について) 請求には、平成11年6月25日付け上申書において、「上申人は却下補正書の請求項1及び請求項3の発明についてご審理を戴きたく、重ねて補正の機会(拒絶理由通知の送付等)を与えて戴けますようお願いする次第であります。」と述べているので、補正却下された請求項1及び請求項3の発明について検討する。 補正却下された請求項1及び請求項3の発明は、次のとおりである。 「【請求項1】 絶縁性基板と、前記絶縁性基板上に設けられ、膜厚が約500オングストローム以下であって、チャネル部を挟んでソース部およびドレイン部を有するポリシリコン層と、前記チャネル部の近傍に対向配置されたゲート電極と、前記ソース部と対向して形成されたソース用配線部材と、前記ドレイン部と対向して形成されたドレイン用配線部材と、前記ソース部と前記ソース用配線部材の間、及び、前記ドレイン部と前記ドレイン用配線部材の間をそれぞれ電気的に接続するとともに、前記ポリシリコン層の一部と反応して形成されたシリサイド層とを備えた半導体装置。 【請求項3】 絶縁性基板と、前記絶縁性基板上に設けられ、膜厚が約500オングストローム以下であって、チャネル部を挟んでソース部およびドレイン部を有するポリシリコン層と、前記チャネル部の近傍に対向配置されたゲート電極と、前記ソース部と対向して形成されたソース用配線部材と、前記ドレイン部と対向して形成されたドレイン用配線部材と、前記ソース部と前記ソース用配線部材の間、及び、前記ドレイン部と前記ドレイン用配線部材の間をそれぞれ電気的に接続するとともに、前記ポリシリコン層の一部と反応して形成されたシリサイド層と、前記シリサイド層と前記ソース用配線部材及び前記ドレイン用配線部材との間に配置され、前記ポリシリコン層と前記ソース用配線部材及び前記ドレイン用配線部材との相互拡散を防止するバリアメタル層とを備えた半導体装置。」 (引用例1記載の発明) 引用例1には、次の半導体装置が記載されている。 単結晶シリコン基板1上に、厚さ1μmの酸化膜2を設け、その上に1000Åの厚さの単結晶シリコン膜3を設け、単結晶シリコン膜3は、チャネル部の上に、ゲート絶縁膜、ゲート電極4を有し、チャネル部を挟んでソース部とドレイン部が形成され、チタン8と多結晶シリコン7を反応させたチタンシリサイド9が形成され、該シリサイドがソース部、ドレイン部とソース電極、ドレイン電極との間に介在している半導体装置 (相違点) 補正却下された請求項1の発明は、 絶縁性基板であること、 膜厚が約500オングストローム以下であること、 ソース部、ドレイン部のポリシリコン層の一部と反応して形成されたシリサイド層を有する点で引用例1と相違する。 (相違点の評価) 絶縁性基板上に半導体薄膜を形成する、いわゆるTFTは周知であり、シリコン薄膜の厚さを特開昭60-136262号公報では、100〜750Åにしており、特開昭61-85868号公報では、20〜100Åにしており、500Åとすることに格別のことが認められない。 また、薄膜トランジスタにおいてソース・ドレイン部にシリコン角膜と反応させてシリサイド層を形成することは特開昭62-32653号公報に記載されている。 してみると補正却下された請求項1の発明は、引用例1及び上記の刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであり、特許を受けることができない。 また、補正却下された請求項3の発明は、さらにバリヤ層を有する点で引用例1と異なるが、この点は、審決で述べたように周知であり、引用例1及び上記の刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであり、特許を受けることができない。 |
審理終結日 | 2000-05-15 |
結審通知日 | 2000-05-30 |
審決日 | 2000-06-13 |
出願番号 | 特願平3-60253 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H01L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小池 隆▲弥▼、木南 仁、真鍋 潔、岡 和久、河本 充雄 |
特許庁審判長 |
張谷 雅人 |
特許庁審判官 |
橋本 武 岡 和久 |
発明の名称 | 半導体装置 |
代理人 | 長内 行雄 |
代理人 | 吉田 精孝 |