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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 F16C |
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管理番号 | 1023824 |
異議申立番号 | 異議1999-71758 |
総通号数 | 15 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1990-12-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-04-30 |
確定日 | 2000-03-27 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2822449号「リニアガイド装置」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 本件特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
[手続の経緯] 本件特許第2822449号の請求項1〜5に係る発明は、平成1年5月24日に特許出願され、平成10年9月4日に設定登録がされ、その後、その請求項1,4,5に係る特許について特許異議申立人・ドイチェ シュター ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングにより特許異議の申立がなされ、当審において平成11年7月13日付けで取消理由を通知したところ、平成11年9月27日に願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。)について訂正請求がされ、それに対して平成11年10月12日付けで訂正拒絶理由を通知したところ、平成11年12月14日に上記訂正請求書に添付した訂正明細書について補正がなされたものである。 [訂正とその補正の内容] 特許権者が特許明細書についてした訂正請求は、特許明細書記載の請求項1,4を減縮するとともに請求項5を削除し、さらに、それによって生じた特許明細書の発明の詳細な説明の欄の記載について必要となった不明りょうな記載を訂正するものであった。 この訂正明細書についてした補正は、訂正明細書の請求項1〜4項を特許請求の範囲の減縮を目的として、その請求項1,4を削除し、残る請求項2,3を独立形式にしてそれぞれ番号を1,2に繰り上げたものである。 したがって、この補正は、訂正明細書の記載の範囲内のものと認められる。 その結果、特許権者が上記補正がなされた訂正明細書においてした訂正は、次のとおりである。 A,特許明細書の請求項1〜5のうち、その請求項1,4,5を削除し、請求項2,3が請求項1を引用して記載されていたものを独立形式に改め、かつ、請求項の番号をそれぞれ1,2に繰り上げて以下のとおりに訂正する。 「1.軸方向に延びたボール転動溝を有するガイドレールと、前記ボール転動溝に対向するボール転動溝を有する移動体とを備え、前記両ボール転動溝間に介装されたボールの転動を介して前記移動体が前記ガイドレールに沿って軸方向に移動し得るリニアガイド装置において、前記ガイドレールは、前記ボール転動溝を有するレール部材と、凹溝が形成され、該凹溝に前記レール部材が一体的に結合されたレール本体とで構成され、前記レール部材は硬度の高い材料で形成されていると共に前記凹溝に結合する際の基準面となる基準平面を有し、前記凹溝は前記基準平面に対応する平面を有し、前記レール本体は前記レール部材より硬度の低い材料であってかつ前記レール部材より密度の低い材料で形成され、前記レール本体の縦弾性係数は、前記レール部材の縦弾性係数より小さいことを特徴とするリニアガイド装置。 2.軸方向に延びたボール転動溝を有するガイドレールと、前記ボール転動溝に対向するボール転動溝を有する移動体とを備え、前記両ボール転動溝間に介装されたボールの転動を介して前記移動体が前記ガイドレールに沿って軸方向に移動し得るリニアガイド装置において、前記ガイドレールは、前記ボール転動溝を有するレール部材と、凹溝が形成され、該凹溝に前記レール部材が一体的に結合されたレール本体とで構成され、前記レール部材は硬度の高い材料で形成されていると共に前記凹溝に結合する際の基準面となる基準平面を有し、前記凹溝は前記基準平面に対応する平面を有し、前記レール本体は前記レール部材より硬度の低い材料であってかつ前記レール部材より密度の低い材料で形成され、前記レール本体の線膨張係数は、前記レール部材の縁膨張係数より大きいことを特徴とするリニアガイド装置。」 と訂正する。 B,特許明細書の(課題を解決する手段)の欄及び(作用)の欄について、以下のとおりに訂正する。 「(課題を解決する手段) 「かかる目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、軸方向に延びたボール転動溝を有するガイドレールと、前記ボール転動溝に対向するポール転動溝を有する移動体とを備え、前記両ボール転動溝間に介装されたボールの転動を介して前記移動体が前記ガイドレールに沿って軸方向に移動し得るリニアガイド装置において、前記ガイドレールは、前記ボール転動溝を有するレール部材と、凹溝が形成され、該凹溝に前記レール部材が一体的に結合されたレール本体とで構成され、前記レール部材は硬度の高い材料で形成されていると共に前記凹溝に結合する際の基準面となる基準平面を有し、前記凹溝は前記基準平面に対応する平面を有し、前記レール本体は前記レール部材より硬度の低い材料であってかつ前記レール部材より密度の低い材料で形成され、前記レール本体の縦弾性係数は、前記レール部材の縦弾性係数より小さいことを特徴とする。 請求項2に記載の発明は、軸方向に延びたボール転動溝を有するガイドレールと、前記ボール転動溝に対向するボール転動溝を有する移動体とを備え、前記両ボール転動溝間に介装されたボールの転動を介して前記移動体が前記カイドレールに沿って軸方向に移動し得るリニアガイド装置において、前記ガイドレールは、前記ボール転動溝を有するレール部材と、凹溝が形成され、該凹溝に前記レール部材が一体的に結合されたレール本体とで構成され、前記レール部材は硬度の高い材料で形成されていると共に前記凹溝に結合する際の基準面となる基準平面を有し、前記凹溝は前記基準平面に対応する平面を有し、前記レール本体は前記レール部材より硬度の低い材料であってかつ前記レール部材より密度の低い材料で形成され、前記レール本体の線膨張係数は、前記レール部材の線膨張係数より大きいことを特徴とする。 (作用) 請求項1に記載のリニアガイド装置によれば、ガイドレールは、硬度の高い材料で形成されたレール部材と、該レール部材より硬度の低い材料で形成されたレール本体とが一体的に結合されて構成されているので、熱処理等の硬化処理なしにボール転動溝の部分の硬度が十分に確保される。また、ガイドレールの大部分を占めるレール本体がレール部材より密度の低い材料で形成されるので、ガイドレールを軽量化することができる。さらに、レール本体の縦弾性係数は、レール部材の縦弾性係数より小さいので、レール部材をレール本体の凹溝に密着させる場合に、荷重を除去したときのレール部材の変形は、レール本体の許容変形より小さくなり、レール本体が割れることなく受け止められる。 請求項2に記載のリニアガイド装置によれば、レール本体の線膨張係数は、レール部材の線膨張係数より大きいので、レール部材をレール本体の凹溝に欧合さする場合に、レール部材に熱的影響を与えないようにするためにレール本体を加熱して嵌合させる焼きばめが可能となる。」 [訂正の適否についての判断] 上記Aの訂正は、特許明細書に記載された請求項1,4,5を削除し、請求項2,3が請求項1を引用して記載されていたものを独立形式に改め、かつ、請求項の番号をそれぞれ1,2に繰り上げたものである。 また、上記Bの訂正は、特許明細書に記載された請求項1,4,5が削除されたことに伴って必要となった(課題を解決する手段)及び(作用)の記載の訂正であると認められる。 したがって、上記Aの訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、特許明細書に記載した事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 また、上記Bの訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、特許明細書に記載した事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 さらに訂正後の請求項1,2に係る発明について特許出願の際独立して特許を受けることができないものとする理由は発見できない。 したがって、本件訂正請求は、平成6年法律第116号附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされることから適用される平成5年特許法第126条第1項ただし書きに掲げる事項を目的とし、同条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 [特許異議申立についての判断] 特許異議申立人が特許を取り消すべきとして異議申立をした特許明細書の請求項1,4,5は、上記訂正の結果削除され、本件特許異議申立の対象となる特許は存在しないこととなった。 したがって、特許法第120条の6の規定により準用する同法135条の規定により、本件特許異議の申立は却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 リニアガイド装置 (54)【特許請求の範囲】 1.軸方向に延びたボール転動溝を有するガイドレールと、前記ボール転動溝に対向するボール転動溝を有する移動体とを備え、前記両ボール転動溝間に介装されたボールの転動を介して前記移動体が前記ガイドレールに沿って軸方向に移動し得るリニアガイド装置において、前記ガイドレールは、前記ボール転動溝を有するレール部材と、凹溝が形成され、該凹溝に前記レール部材が一体的に結合されたレール本体とで構成され、前記レール部材は硬度の高い材料で形成されていると共に前記凹溝に結合する際の基準面となる基準平面を有し、前記凹溝は前記基準平面に対応する平面を有し、前記レール本体は前記レール部材より硬度の低い材料であってかつ前記レール部材より密度の低い材料で形成され、前記レール本体の縦弾性係数は、前記レール部材の縦弾性係数より小さいことを特徴とするリニアガイド装置。 2.軸方向に延びたボール転動溝を有するガイドレールと、前記ボール転動溝に対向するボール転動溝を有する移動体とを備え、前記両ボール転動溝間に介装されたボールの転動を介して前記移動体が前記ガイドレールに沿って軸方向に移動し得るリニアガイド装置において、前記ガイドレールは、前記ボール転動溝を有するレール部材と、凹溝が形成され、該凹溝に前記レール部材が一体的に結合されたレール本体とで構成され、前記レール部材は硬度の高い材料で形成されていると共に前記凹溝に結合する際の基準面となる基準平面を有し、前記凹溝は前記基準平面に対応する平面を有し、前記レール本体は前記レール部材より硬度の低い材料であってかつ前記レール部材より密度の低い材料で形成され、前記レール本体の線膨張係数は、前記レール部材の線膨張係数より大きいことを特徴とするリニアガイド装置。 【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、対向するボール転動溝間に介装されたボールの転動を介して移動体がガイドレールに沿って軸方向に移動し得るリニアガイド装置に関する。 (従来の技術) 従来、このようなリニアガイド装置としては、例えば、軸方向に延びたボール転動溝を有する長尺のガイドレールと、このガイドレールのボール転動溝に対向するボール転動溝を有する移動体とを備え、前記両ボール転動溝間に介装されたボールの転動を介して移動体がガイドレールに沿って軸方向に移動するように構成されたものが知られている。 (発明が解決しようとする課題) 一般に、このような従来のリニアガイド装置においては、前記ガイドレールのボール転動溝の硬度を十分に確保することが必要であるが、ボール転動溝の部分のみを熱処理して硬度を上げることは実際上困難であるため、ガイドレール全体を熱処理している。ガイドレール全体を熱処理すると、ガイドレールに曲がり変形が生じ、この変形をとるための曲がり直し作業が必要になってしまう。 本発明は、このような従来の問題点に着目して為されたもので、ガイドレールに曲がり変形が生じることなくボール転動溝の部分の硬度を十分に確保すると共にガイドレールを軽量化することができるリニアガイド装置を提供することを目的としている。 (課題を解決するための手段) かかる目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、軸方向に延びたボール転動溝を有するガイドレールと、前記ボール転動溝に対向するボール転動溝を有する移動体とを備え、前記両ボール転動溝間に介装されたボールの転動を介して前記移動体が前記ガイドレールに沿って軸方向に移動し得るリニアガイド装置において、前記ガイドレールは、前記ボール転動溝を有するレール部材と、凹溝が形成され、該凹溝に前記レール部材が一体的に結合されたレール本体とで構成され、前記レール部材は硬度の高い材料で形成されていると共に前記凹溝に結合する際の基準面となる基準平面を有し、前記凹溝は前記基準平面に対応する平面を有し、前記レール本体は前記レール部材より硬度の低い材料であってかつ前記レール部材より密度の低い材料で形成され、前記レール本体の縦弾性係数は、前記レール部材の縦弾性係数より小さいことを特徴とする。 請求項2に記載の発明は、軸方向に延びたボール転動溝を有するガイドレールと、前記ボール転動溝に対向するボール転動溝を有する移動体とを備え、前記両ボール転動溝間に介装されたボールの転動を介して前記移動体が前記ガイドレールに沿って軸方向に移動し得るリニアガイド装置において、前記ガイドレールは、前記ボール転動溝を有するレール部材と、凹溝が形成され、該凹溝に前記レール部材が一体的に結合されたレール本体とで構成され、前記レール部材は硬度の高い材料で形成されていると共に前記凹溝に結合する際の基準面となる基準平面を有し、前記凹溝は前記基準平面に対応する平面を有し、前記レール本体は前記レール部材より硬度の低い材料であってかつ前記レール部材より密度の低い材料で形成され、前記レール本体の線膨張係数は、前記レール部材の線膨張係数より大きいことを特徴とする。 (作用) 請求項1に記載のリニアガイド装置によれば、ガイドレールは、硬度の高い材料で形成されたレール部材と、該レール部材より硬度の低い材料で形成されたレール本体とが一体的に結合されて構成されているので、熱処理等の硬化処理なしにボール転動溝の部分の硬度が十分に確保される。また、ガイドレールの大部分を占めるレール本体がレール部材より密度の低い材料で形成されるので、ガイドレールを軽量化することができる。さらに、レール本体の縦弾性係数は、レール部材の縦弾性係数より小さいので、レール部材をレール本体の凹溝に密着させる場合に、荷重を除去したときのレール部材の変形は、レール本体の許容変形より小さくなり、レール本体が割れることなく受け止められる。 請求項2に記載のリニアガイド装置によれば、レール本体の線膨張係数は、レール部材の線膨張係数より大きいので、レール部材をレール本体の凹溝に嵌合さする場合に、レール部材に熱的影響を与えないようにするためにレール本体を加熱して嵌合させる焼きばめが可能となる。 (実施例) 以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。なお、この一実施例は、本発明に係るリニアガイド装置を、ボールねじ機構とリニアガイド機構とを一体的に組み合わせてなるフィードユニット装置に適用したものである。 第1図乃至第3図は、第4図に示すフィードユニット装置に使用されるガイドレール1を示している。このガイドレール1は、ボール転動溝2aを有する長尺のレール部材2と、該レール部材2が一体的に結合されたレール本体3とで構成されている。 前記レール部材2は、硬度の高い材料、例えば高炭素クロム軸受鋼又はステンレス鋼で形成されている。 前記レール本体3は、レール部材2より硬度が低く、加工が容易で、軽量で、且つ防錆力の高い材料、例えばアルミニウム合金で形成されている。このレール本体3は、横断面コ字状の長尺の部材で、底部4の両側から側壁部5が垂直方向に延びている。該両側壁部5の内側部には、レール部材2が嵌合する軸方向に延びた凹溝6が形成されている。レール本体3の底部には、中央から外れた位置に複数の穴7が所定の間隔で軸方向に2列に形成されている。この穴7は、レール本体3を他の部材に取付けるための締付けボルト用の穴である。また、レール本体3の両端部には、ねじ穴8,9が夫々設けられている。 第4図及び第5図に示すフィードユニット装置は、外周面に不図示の螺旋溝を有するボールねじ軸10と、該螺旋溝に多数のボール(図示省略)を介して螺合したナットブロック(移動体)11とを有している。 ボールねじ軸10は、前記ガイドレール1のレール本体3の一方の端部に固定されたサポートユニット12と該レール本体3の他方の端部に固定された側板13とに回転自在に支持されていると共に、サポートユニット12により軸方向移動不能に支持されている。 前記ナットブロック11は、ボールねじ軸10の螺旋溝に連通するボール循環路14を有すると共に、前記レール部材2のボール転動溝2aに対向する不図示のボール転動溝を有し、ボールねじ軸10の回転に応じてボール循環路14内を循環するボールの転動を介してボールねじ軸10の回転がナットブロック11に伝達されると、ナットブロック11が転動溝2aと前記不図示の転動溝との間に介装された不図示のボールの転動を介してガイドレール1に沿って軸方向に移動し得るように構成されている。 駆動モータ15の出力軸16がボールねじ軸10にカップリング17を介して連結され、該駆動モータ15の回転を検出してボールねじ軸10の回転を制御するためのエンコーダ18が設けられている。また、駆動モータ15とサポートユニット12との間には、スペーサ19が配置されている。前記サポートユニット12は、レール本体3の前記ねじ穴9に螺合するねじ20によりレール本体3の端面に締付け固定されている。そして、駆動モータ15は、レール本体3の前記ねじ穴8に螺合するねじ21によりスペーサ19及びサポートユニット12と共にレール本体3に締付け固定されている。 次に、レール部材2とレール本体3とが一体的に結合されたガイドレール1の製造方法を説明する。 まず、前記凹溝6のあるレール本体3をアルミニウム合金等の素材を引き抜き加工して作ると共に、前記ボール転動溝2aのあるレール部材2を高炭素クロム軸受鋼等の素材を引き抜き加工して作る。このレール部材2には、第6図に示すように、ボール転動溝2aのない端面から該転動溝2aのある端面に向かって幅が狭くなるようにテーパ2bがついている。 レール部材2を、第6図に示すように、レール本体3の凹溝6内に入れる。この後にレール本体3の凹溝6の上下を、第7図に示すように、成形ロール22を用いたロール成形等により塑性変形加工することにより、凹溝6の上下端面6a,6bをレール部材2の上下のテーパ2bに密着させる。これによって、レール部材2がレール本体3に一体的に結合されてガイドレール1ができる。 上記構成を有するフィードユニット装置によれば、前記ガイドレール1は、硬度の高い材料、例えば高炭素クロム軸受鋼又はステンレス鋼で形成されたレール部材2と、該レール部材2より硬度が低く、加工が容易で、軽量で、且つ防錆力の高い材料、例えばアルミニウム合金で形成されたレール本体3とが一体的に結合されて構成されている。従って、熱処理等の硬化処理なしにボール転動溝2aの部分の硬度を十分に確保することができると共に、ガイドレール1のレール本体3に曲がり変形を生じることがなく、さらに、レール本体3の軽量化及び防錆力の向上を図ることができる。 なお、レール部材2とレール本体3とが一体的に結合されたガイドレール1の製造方法としては、上記ロール成形等により塑性変形加工の他に、▲1▼前記レール本体3を鋳造する際に前記レール部材2を鋳込むことにより、レール部材2とレール本体3とを一体的に結合する方法、▲2▼レール部材2とレール本体3とをロー付けにより一体的に結合する方法、▲3▼レール部材2の幅をレール本体3の凹溝6の幅よりも若干大きくしておき、レール部材2を凹溝6に圧入してレール部材2とレール本体3とを一体的に結合する方法等が可能である。 (発明の効果) 以上詳述したように、本発明に係るリニアガイド装置によれば、ガイドレールは、硬度の高い材料で形成されたレール部材と、該レール部材より硬度の低い材料で形成されたレール本体とが一体的に結合されて構成され、かつガイドレールの大部分を占めるレール本体がレール部材より密度の低い材料で形成されるので、熱処理等の硬化処理なしにボール転動溝の部分の硬度を十分に確保することができ、ガイドレールのレール本体に曲がり変形を生じることがなく、さらに、レール本体の軽量化を図ることができる。 【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の一実施例に係るフィードユニット装置のガイドレールを示す正面図、第2図は第1図の平面図、第3図は一部を第2図のIII-III線に沿う断面で示した第2図の側面図、第4図は本発明の一実施例に係るフィードユニット装置を示す平面図、第5図は第4図の側面図、第6図及び第7図はガイドレールの製造方法を説明するための説明図である。 1…ガイドレール、2…レール部材、2a…ボール転動溝、3…レール本体、11…ナットブロック(移動体)。 |
訂正の要旨 |
訂正明細書においてした訂正の要旨は、次のとおりである。 A,特許訂正明細書の請求項1〜5のうち、その請求項1,4,5を削除し、請求項2,3が請求項1を引用して記載されていたものを独立形式に改め、かつ、請求項の番号をそれぞれ1,2に繰り上げて以下のとおりに訂正する。 「1.軸方向に延びたボール転動溝を有するガイドレールと、前記ボール転動溝に対向するボール転動溝を有する移動体とを備え、前記両ボール転動溝間に介装されたボールの転動を介して前記移動体が前記ガイドレールに沿って軸方向に移動し得るリニアガイド装置において、前記ガイドレールは、前記ボール転動溝を有するレール部材と、凹溝が形成され、該凹溝に前記レール部材が一体的に結合されたレール本体とで構成され、前記レール部材は硬度の高い材料で形成されていると共に前記凹溝に結合する際の基準面となる基準平面を有し、前記凹溝は前記基準平面に対応する平面を有し、前記レール本体は前記レール部材より硬度の低い材料であってかつ前記レール部材より密度の低い材料で形成され、前記レール本体の縦弾性係数は、前記レール部材の縦弾性係数より小さいことを特徴とするリニアガイド装置。 2.軸方向に延びたボール転動溝を有するガイドレールと、前記ボール転動溝に対向するボール転動溝を有する移動体とを備え、前記両ボール転動溝間に介装されたボールの転動を介して前記移動体が前記ガイドレールに沿って軸方向に移動し得るリニアガイド装置において、前記ガイドレールは、前記ボール転動溝を有するレール部材と、凹溝が形成され、該凹溝に前記レール部材が一体的に結合されたレール本体とで構成され、前記レール部材は硬度の高い材料で形成されていると共に前記凹溝に結合する際の基準面となる基準平面を有し、前記凹溝は前記基準平面に対応する平面を有し、前記レール本体は前記レール部材より硬度の低い材料であってかつ前記レール部材より密度の低い材料で形成され、前記レール本体の線膨張係数は、前記レール部材の縁膨張係数より大きいことを特徴とするリニアガイド装置。」 と訂正する。 B,特許明細書の(課題を解決する手段)の欄及び(作用)の欄について、以下のとおりに訂正する。 「(課題を解決する手段) 「かかる目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、軸方向に延びたボール転動溝を有するガイドレールと、前記ボール転動溝に対向するポール転動溝を有する移動体とを備え、前記両ボール転動溝間に介装されたボールの転動を介して前記移動体が前記ガイドレールに沿って軸方向に移動し得るリニアガイド装置において、前記ガイドレールは、前記ボール転動溝を有するレール部材と、凹溝が形成され、該凹溝に前記レール部材が一体的に結合されたレール本体とで構成され、前記レール部材は硬度の高い材料で形成されていると共に前記凹溝に結合する際の基準面となる基準平面を有し、前記凹溝は前記基準平面に対応する平面を有し、前記レール本体は前記レール部材より硬度の低い材料であってかつ前記レール部材より密度の低い材料で形成され、前記レール本体の縦弾性係数は、前記レール部材の縦弾性係数より小さいことを特徴とする。 請求項2に記載の発明は、軸方向に延びたボール転動溝を有するガイドレールと、前記ボール転動溝に対向するボール転動溝を有する移動体とを備え、前記両ボール転動溝間に介装されたボールの転動を介して前記移動体が前記ガイドレールに沿って軸方向に移動し得るリニアガイド装置において、前記ガイドレールは、前記ボール転動溝を有するレール部材と、凹溝が形成され、該凹溝に前記レール部材が一体的に結合されたレール本体とで構成され、前記レール部材は硬度の高い材料で形成されていると共に前記凹溝に結合する際の基準面となる基準平面を有し、前記凹溝は前記基準平面に対応する平面を有し、前記レール本体は前記レール部材より硬度の低い材料であってかつ前記レール部材より密度の低い材料で形成され、前記レール本体の線膨張係数は、前記レール部材の線膨張係数より大きいことを特徴とする。 (作用) 請求項1に記載のリニアガイド装置によれば、ガイドレールは、硬度の高い材料で形成されたレール部材と、該レール部材より硬度の低い材料で形成されたレール本体とが一体的に結合されて構成されているので、熱処理等の硬化処理なしにボール転動溝の部分の硬度が十分に確保される。また、ガイドレールの大部分を占めるレール本体がレール部材より密度の低い材料で形成されるので、ガイドレールを軽量化することができる。さらに、レール本体の縦弾性係数は、レール部材の縦弾性係数より小さいので、レール部材をレール本体の凹溝に密着させる場合に、荷重を除去したときのレール部材の変形は、レール本体の許容変形より小さくなり、レール本体が割れることなく受け止められる。 請求項2に記載のリニアガイド装置によれば、レール本体の線膨張係数は、レール部材の線膨張係数より大きいので、レール部材をレール本体の凹溝に欧合さする場合に、レール部材に熱的影響を与えないようにするためにレール本体を加熱して嵌合させる焼きばめが可能となる。」 |
異議決定日 | 2000-03-02 |
出願番号 | 特願平1-130575 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
XA
(F16C)
|
最終処分 | 決定却下 |
前審関与審査官 | 松下 聡 |
特許庁審判長 |
佐藤 洋 |
特許庁審判官 |
鳥居 稔 和田 雄二 |
登録日 | 1998-09-04 |
登録番号 | 特許第2822449号(P2822449) |
権利者 | 日本精工株式会社 |
発明の名称 | リニアガイド装置 |
代理人 | 伊藤 武久 |
代理人 | 渡部 敏彦 |
代理人 | 渡部 敏彦 |
代理人 | 藤田 アキラ |