• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  B65H
審判 全部申し立て 特29条の2  B65H
審判 全部申し立て 2項進歩性  B65H
管理番号 1023930
異議申立番号 異議1998-73480  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1991-08-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-07-21 
確定日 2000-05-29 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2700829号「カセット給紙装置」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2700829号の特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第2700829号発明は、平成1年12月26日の出願であって、平成9年10月3日に特許の設定登録がなされ、その後、小山輝晃、須藤軍二、渡辺 茂、及び田村忠一よりそれぞれ、特許異議の申立てがなされ、当審において取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年4月27日に特許異議意見書が提出された後、再度の取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年3月13日に訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否についての判断
(1)訂正請求の内容
訂正請求は、本件特許に係る願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)を訂正請求書に添付した訂正明細書(以下「本件訂正明細書」という。)のとおり訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は次のとおりのものである。
ア.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1に係る記載「カセット内の記録紙を底板側から押上げ、記録紙上面に位置した送出しローラと之に続くしごきローラとによって1枚宛給紙を行うカセット給紙装置において、
前記カセットは記録紙の給紙方向とは直角方向に取出可能とし、該取出し作動に際しては前記底板の押上げ解除と前記送出しローラの上方への離間とがほぼ同時に行われるよう構成したことを特徴とするカセット給紙装置。」を、
「カセット内の記録紙を底板側から押上げ、記録紙上面に位置した送出しローラと之に続くしごきローラ対とによって1枚宛給紙を行うカセット給紙装置において、
装置本体に上下動可能に設けられた前記送出しローラと、
記録紙の給紙方向とは直交する方向に取出し可能とし、装置本体の前面より着脱可能に設けた前記カセットと、
前記送出しローラを上方に位置させる方向にバネによって付勢されるとともに、前記カセットとの当接および当接解除により回動可能に設けられた作動レバーと、
前記送出しローラの移動に付随して移動する被検出部と、
前記被検出部を検出することにより、前記送出しローラの位置を検出するセンサと、
前記底板を押し上げるための動力系と前記底板側とを、前記カセットの装着に伴って接続し、前記カセットの引き出しに伴って接続解除する接続手段と、を有し、前記カセットの装着作動に際しては、前記カセットの装着に伴って前記カセットが前記作動レバーに当接することにより前記作動レバーが前記バネの付勢力に抗して回動して前記送出しローラが下方に移動するとともに、該装着に伴って前記接続手段の接続を行い、前記動力系を作動させて前記底板の押し上げを行い、前記底板の押し上げに伴って上昇する前記送出しローラに付随して移動する前記被検出部を前記センサが検出すると、前記動力系の作動を停止し、
前記カセットの取出し作動に際しては、前記カセットの引き出しに伴って前記接続手段の接続解除により前記底板の押上げを解除するとともに、該引き出しに伴って前記カセットが前記作動レバーから当接解除することにより前記作動レバーが前記バネの付勢によって回動して前記送出しローラが上方へ離間するように構成したことを特徴とするカセット給紙装置。」と訂正する。
イ.訂正事項b
明細書第3頁第6〜14行目の「上記目的は・・・達成される。」を、
「上記目的は、カセット内の記録紙を底板側から押上げ、記録紙上面に位置した送出しローラと之に続くしごきローラ対とによって1枚宛給紙を行うカセット給紙装置において、装置本体に上下動可能に設けられた前記送出しローラと、 記録紙の給紙方向とは直交する方向に取出し可能とし、装置本体の前面より着脱可能に設けた前記カセットと、前記送出しローラを上方に位置させる方向にバネによって付勢されるとともに、前記カセットとの当接および当接解除により回動可能に設けられた作動レバーと、前記送出しローラの移動に付随して移動する被検出部と、前記被検出部を検出することにより、前記送出しローラの位置を検出するセンサと、前記底板を押し上げるための動力系と前記底板側とを前記カセットの装着に伴って接続し、前記カセットの引き出しに伴って接続解除する接続手段と、を有し、前記カセットの装着作動に際しては、前記カセットの装着に伴って前記カセットが前記作動レバーに当接することにより前記作動レバーが前記バネの付勢力に抗して回動して前記送出しローラが下方に移動するとともに、該装着に伴って前記接続手段の接続を行い、前記動力系を作動させて前記底板の押し上げを行い、前記底板の押し上げに伴って上昇する前記送出しローラに付随して移動する前記被検出部を前記センサが検出すると、前記動力系の作動を停止し、
前記カセットの取出し作動に際しては、前記カセットの引き出しに伴って前記接続手段の接続解除により前記底板の押上げを解除するとともに、該引き出しに伴って前記カセットが前記作動レバーから当接解除することにより前記作動レバーが前記バネの付勢によって回動して前記送出しローラが上方へ離間するように構成したことを特徴とするカセット給紙装置によって達成される。」と訂正する。
ウ.訂正事項c
明細書第8頁第14行目の「戻りバネ10」を、
「戻りバネ11」と訂正する。
エ.訂正事項d
明細書第10頁第5行目の「10・・・戻りバネ」を、
「11・・・戻りバネ」と訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無および拡張・変更の存否
ア.訂正事項aについては、 特許請求の範囲の請求項1において、「しごきローラ」を「しごきローラ対」と限定し、「送出しローラ」を「装置本体に上下動可能に設けられた」ものに限定し、「カセット」を、「装置本体の前面より着脱可能に設けた」ものに限定し、カセットの取出し作動と底板の押上げ解除及び送出しローラの上方への離間との関連動作のための構成を、「前記送出しローラを上方に位置させる方向にバネによって付勢されるとともに、前記カセットとの当接および当接解除により回動自在に設けられた作動レバーと、
前記送出しローラの移動に付随して移動する被検出部と、
前記被検出部を検出することにより、前記送出しローラの位置を検出するセンサと、
前記底板を押し上げるための動力系と前記底板側とを前記カセットの装着に伴って接続し、前記カセットの引き出しに伴って接続解除する接続手段と、を有し、前記カセットの装着作動に際しては、前記カセットの装着に伴って、前記カセットが前記作動レバーに当接することにより前記作動レバーが前記バネの付勢力に抗して回動して前記送出しローラが下方に移動するとともに、該装着に伴って前記接続手段の接続を行い、前記動力系を作動させて前記底板の押し上げを行い、前記底板の押し上げに伴って上昇する前記送出しローラに付随して移動する前記被検出部を前記センサが検出すると、前記動力系の作動を停止し、
前記カセットの取出し作動に際しては、前記カセットの引き出しに伴って、前記接続手段の接続解除により前記底板の押上げを解除するとともに、該引き出しに伴って前記カセットが前記作動レバーから当接解除することにより前記作動レバーが前記バネの付勢によって回動して前記送出しローラが上方へ離間するように構成したこと」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、この限定は、本件特許明細書第3頁第16行目〜第9頁第7行目の記載に基づくものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
イ.訂正事項bについては、訂正事項aによる特許請求の範囲の請求項1の訂正に伴い、発明の詳細な説明の記載をこれに整合するように訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
ウ.訂正事項c、dについては、明らかに誤記の訂正を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
(3)独立特許要件の判断
ア.本件訂正後の発明
上記訂正請求に基づく本件請求項1に係る発明(以下、「本件訂正後の発明」という)は、本件訂正明細書及び本件特許図面の記載からみて、本件訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された前記2.(1)ア.に示したとおりのものと認める。
イ.取消理由の概要
一方、当審において平成11年2月8日付けで通知した取消理由の概要は、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)は、引用文献1(特開昭64-53934号公報、特許異議申立人小山輝晃提出の参考資料2及び同渡辺 茂提出の甲第1号証)、引用文献2(特開昭62-167137号公報、同須藤軍二提出の甲第1号証及び同渡辺茂提出の甲第2号証)、引用文献3(実願昭61-96065号(実開昭63-4934号)のマイクロイルム、同田村忠一提出の甲第4号証)、及び引用文献4(実願昭58-42948号(実開昭59-149835号)のマイクロイルム、同田村忠一提出の甲第3号証)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また上記引用文献3、上記引用文献4、引用文献5(特開昭57-166236号公報、同田村忠一提出の甲第3号証)、引用文献6(実願昭61-41960号(実開昭62-157726号)のマイクロフィルム、同田村忠一提出の甲第2号証)、及び引用文献7(特開昭62-259931号公報(同田村忠一提出の甲第5号証)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、また同請求項1に係る発明は、引用文献8(特開平3-98923号公報、同小山輝晃提出の甲第1号証)、又は引用文献9(特開平3-88632号公報(同渡辺 茂提出の甲第3号証)に記載された発明と、それぞれ、同一であり、しかも本件と出願人、発明者が相違することから、本件特許発明に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものであり、
さらに、当審において平成12年3月6日付けで通知した取消理由の概要は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項の具体的構成が不明であるから
、本件特許は、特許法第36条第4項又は第5項に規定する要件を満たしていない出願についてなされたものであるというにある。
ウ.取消理由についての判断
そこで、以下に、本件訂正後の発明に対して、上記取消理由について検討する。
ウ-1
各引用文献には次の事項が記載されているものと認める。
ウ-1-1(引用文献1)
給紙カセット1内の用紙束4を底板2側から押上げ、用紙束4上面に位置したピックアップコロ6と之に続くフィードコロ7、分離コロ8とによって1枚宛給紙を行うカセット給紙装置において、
装置本体に固定位置に設けられたピックアップコロ6と、
用紙束4の給紙方向とは直交する方向に取出し可能とし、装置本体の前面より着脱可能に設けた給紙カセット1と、
用紙束4上面が所定の高さの位置でピックアップコロ6に当接することを検出する手段(公報第3頁右上欄11〜14行目参照)と、
底板2を押し上げるための駆動モータ28と底板2側とを、前記給紙カセット1の装着に伴って接続し、前記給紙カセット1の引き出しに伴って接続解除を行うことが可能なギヤ25、29と、を有し、
給紙カセット1の装着作動に際しては、給紙カセット1の装着に伴って、ギヤ25、29の接続を行い、駆動モーダ28を作動させて底板2の押し上げを行い、底板2の押し上げに伴って上昇する用紙束4の上面が所定の高さの位置でピックアップコロ5に当接するまで駆動モー夕28を作動させ、
給紙カセット1の取出し作動に際しては、給紙カセット1の引き出しに伴って、ギヤ25、29の接続解除による底板2の押上げを解除するように構成したカセット給紙装置。
ウ-1-2(引用文献2)
給紙容器10内の用紙Pを底板19側から押上げ、用紙P上面に位置したピックアップローラ30と之に続くサバキ手段32とによって1枚宛給紙を行う力セット給紙装置において、
装置本体に上下動可能に設けられたピックアップローラ30と、
記録紙の給紙方向に引出し、装置本体の側面より回動可能に設けた給紙容器10と、
用紙レベルを検出するセンサ(公報第3頁右上欄8行目、第5頁左上欄3〜5行目参照)と、
底板19を押し上げるためのモータ56と、底板19側とを前記給紙容器10の装着に伴って接続し、前記給紙容器10の回動動作に伴って接続解除を行うことが可能なギヤ50、57cと、を有し、
給紙容器10の装着作動に際しては、給紙容器10の装着に伴って、カム12cによって、ビックアッフローラ30を上下動させるとともに、ギヤ50、57cの接続を行い、モータ56を作動させて底板19の押し上げを行い、前記底板19の押し上げに伴って上昇する用紙Pの上面をセンサが検出すると、モータ56の作動を停止し、
給紙容器10の取出し作動に際しては、給紙容器10の回動動作に伴って、ギヤ50、57cの接続解除により底板19の押上げを解除するとともに、カム12cによるピックアップローラ30の上方へ一時離間するように構成したカセット給紙装置。
ウ-1-3(引用文献3)
給紙トレイ1内の用紙をボトムプレート2側から押上げ、用紙上面に位置したフィードローラ5によって1枚宛給紙を行う給紙装置において、
装置本体に固定位置に設けられたフィードローラ5と、
用紙の給紙方向とは直交する方向に取出し可能とし、装置本体の前面より着脱可能に設けた給紙トレイ1と、
上部の用紙とフィードローラ5とが圧接することを検出する手段(第8頁17〜18行目参照)と、
ボトムプレート2を押し上げるためのモータ6とボトムプレート2側とを前記給紙トレイ1の装着に伴って接続し、前記給紙トレイ1の引き出しに伴って接続解除するカップリング20、21、係止部材19と、を有し、
給紙トレイ1の装着作動に際しては、給紙トレイ1の装着に伴って、カップリング20、21と係止部材19との接続を行い、前記モータ6を作動させてボトムプレート2の押し上げを行い、前記ボトムプレート2の押し上げに伴って上昇する用紙がフィードローラ5に圧接したことを検出すると、モー夕6の作動を停止し、
前記給紙トレイ1の取出し作動に際しては、前記給紙トレイ1の引き出しに伴って、前記カップリング20、21と係止部材19との接続解除による前記ボトムプレート2の押上げを解除するように構成した給紙装置。
ウ-1-4(引用文献4)
カセット1内のペーパーPをペーパー押上げ板3側から押上げ、ペーパーP上面に位置した給紙ローラ16と之に続く紙さばきローラ13とによって1枚宛給紙を行うカセット給紙装置において、
装置本体に上下動可能に設けられた給紙ローラ16と、
ペーパーの給紙方向に取出し可能とした前記カセット1と、
給紙ローラ16の位置を検出する位置検知部材と、
カセット1の装着作動に際しては、カセット1の装着に伴って、力ム6が係止ピン31と係合プレート18との係合を解除して、上方に位置していた給紙ローラ16が下方に移動し、
前記カセット1の取出し作動に際しては、前記カセット1の引き出しに伴って、
前記カム6によって前記給紙ローラ16が上方へ離間するように構成したカセット給紙装置。
ウ-1-5(引用文献5)
カセット内の複写紙4を複写紙受板(中底板)2側から押上げ、複写紙4上面に位置した送り出しローラ7と複写紙分離爪3とによって1枚宛給紙を行うカセット装着装置において、
装置本体に上下動可能に設けられた送り出しローラ7と、
記録紙の給紙方向に取出し可能としたカセットと、
送り出しローラ7を下方に付勢するバネ15と、
複写紙受板2を押し上げる押圧アーム8を上方に付勢するバネ9と、を有し、
前記カセットの装着作動に際しては、前記カセットの装着に伴って、バネ5による付勢に抗して、カム1′によって、送り出しローラ7を上動させたのち、下動させるとともに、カム1′ によって、押圧アーム8を、バネ9による付勢に抗して、一旦、下げた後、押上を行うことにより、複写紙受板2の押し上げを行い、
カセットの取出し作動に際しては、カセットの引き出しに伴って、カム1′ によって、バネ9による付勢に抗して、一旦、下げて、複写紙受板2の押上げを一時解除するとともに、カム1′によって、バネ15の付勢に抗して、送り出しローラ7が上方へ一時離間するように構成したカセット装着装置。
ウ-1-6(引用文献6)
給紙カセット10内の用紙5をボトムプレート11側から押上げ、用紙5上面に位置した給紙ローラ2とさばき部材6とによって1枚宛給紙を行う給紙装置において、
装置本体に固定位置に設けられた給紙ローラ2と、
用紙5の給紙方向とは直交する方向に取出し可能とし、装置本体の前面より着脱可能に設けた給紙カセット10と、
ボトムプレート11を押し上げるためのスプリング26と、を有し、
給紙カセット10の装着作動に際しては、給紙カセット10の装着に伴って、カム15によって、夕ング21を、スプリング26による付勢に抗して、一旦、下げた後、押上を行うことにより、ボトムプレート11の押し上げを行い、
給紙カセット10の取出し作動に際しては、給紙カセット10の引き出しに先立ち、ハンドル板13を揺動させて、 スプリング26の付勢による付勢を解除してボトムプレート11の押上げを解除するように構成した給紙装置。
ウ-1-7(引用文献7)
カセット58内の用紙を底板65側から押上げ、用紙上面に位置した給紙ローラ57によって1枚宛給紙を行う給紙装置において、
装置本体に上下動可能に設けられた給紙ローラ57と、
用紙の給紙方向に取出し可能としたカセット58と、
給紙ローラ57の上昇を制限するバネ(公報第4頁左下欄14〜15行目参照)と、
用紙レベルを検出するレベルセンサー(公報第4頁左下欄14〜16行目参照)と、
底板65を押し上げるためのモータ69と底板65側とを、前記カセット58の装着に伴って接続し、前記カセット58の引き出しに伴って接続解除するバネクラッチ71と、を有し、
前記カセット58の装着作動に際しては、58カセットの装着に伴って、前記給紙ローラ57をカセット58先端に当接して、一旦、上昇させて跨がせた後、下方に移動させるとともに、前記バネクラッチ71の接続を行い、前記モータ69を作動させて底板65の押し上げを行い、底板65の押し上げに伴って上昇する用紙レベルをレベルセンサーが検出すると、前記モー夕69の作動を停止し、
カセット58の取出し作動に際しては、カセット58の引き出しに伴って、バネクラッチ71の接続解除による底板65の押上げを解除するとともに、該引き出しに伴って前記給紙ローラ57がカセット58先端に当接して、一旦、上昇させて跨がせた後、下方へ移動するように構成したカセット給紙装置。
ウ-1-8(引用文献8)
給紙カセット30内の用紙を用紙受板36側から押上げ、用紙上面に位置したピックアップローラ34と之に続く給紙ローラ37、分離ローラ38とによって1枚宛給紙を行う給紙装置において、
装置本体に上下動可能に設けられたピックアップローラ34と、
用紙の給紙方向とは直交する方向に取出し可能とし、装置本体の前面より着脱可能に設けた給紙カセット30と、
前記ピックアップローラ34を上方に位置させる方向にばねによって付勢されるとともに、取手54に設けられたレバー押上突起63との当接および当接解除により回動可能に設けられたピックアップローラ解除レバー62(公報第4頁右上欄第2〜14行目参照)と、
用紙高さ位置を検出する用紙残量検知センサ(公報第6頁左上欄4〜7行目)と、
用紙受板36を押し上げるためのモータ88と用紙受板36側との接続・解除を行うことが可能な歯車86a(87a)、84と、を有し、
給紙カセット30の装着作動に際しては、給紙カセット30の装着に伴って取手54と一体のレバー押上突起63が前記ピックアップローラ解除レバー62に当接することにより前記ピックアップローラ解除レバー62が前記ばねの付勢力に抗して回動し、メカニカルロック動作を解除して、前記ピックアップローラ34を下方に移動するとともに、取手54に設けられた突起64を介して歯車86a(87a)、84の接続を行い、モー夕88を作動させて用紙受板36の押し上げを行い、用紙高さ位置まで用紙を持ち上げたことを用紙残量検知センサが検出すると、モー夕88の作動を停止し、
給紙カセット30の取出し作動に際しては、給紙カセット30の引き出しに先立ち、取手54の回動に伴って、取手54に設けられた突起64を介する歯車86a(87a)、84の接続解除による用紙受板36の押上げを解除するとともに、取手54に設けられたレバー押上突起63が前記ピックアップローラ解除レバー62から当接解除することによりピックアップローラ34が上方へ離間するように構成した給紙装置。
ウ-1-9(引用文献9)
給紙カセット30内の用紙を用紙受板36側から押上げ、用紙上面に位置したピックアップローラ34と之に続く給紙ローラ37、分離ローラ38とによって1枚宛給紙を行う給紙装置において、
装置本体に上下動可能に設けられたピックアップローラ34と、
用紙の給紙方向とは直交する方向に取出し可能とし、装置本体の前面より着脱可能に設けた給紙カセット30と、
前記ピックアップローラ34を上方に位置させる方向にばねによって付勢されるとともに、取手54に設けられたレバー押上突起63との当接および当接解除により回動可能に設けられたピックアップローラ解除レバー62(公報第4頁左上欄第14行目〜同頁右上欄第6行目参照)と、
用紙高さ位置を検出する用紙残量検知センサ(公報第6頁右上欄16〜19行目)と、
用紙受板36を押し上げるためのモータ88と用紙受板36側との接続・解除を行うことが可能な歯車86a(87a)、84と、を有し、
給紙カセット30の装着作動に際しては、給紙カセット30の装着に伴って取手54と一体のレバー押上突起63が前記ピックアップローラ解除レバー62に当接することにより前記ピックアップローラ解除レバー62が前記ばねの付勢力に抗して回動し、メカニカルロック動作を解除して、前記ピックアップローラ34を下方に移動するとともに、取手54に設けられた突起64を介して歯車86a(87a)、84の接続を行い、モー夕88を作動させて用紙受板36の押し上げを行い、用紙高さ位置まで用紙を持ち上げたことを用紙残量検知センサが検出すると、モー夕88の作動を停止し、
給紙カセット30の取出し作動に際しては、給紙カセット30の引き出しに先立ち、取手54の回動に伴って、取手54に設けられた突起64を介する歯車86a(87a)、84の接続解除による用紙受板36の押上げを解除するとともに、取手54に設けられたレバー押上突起63が前記ピックアップローラ解除レバー62から当接解除することによりピックアップローラ34が上方へ離間するように構成した給紙装置。
ウ-2 検討
ウ-2-1 特許法第29条第2項違反について
本件訂正後の発明と引用文献1乃至7記載の発明とを対比すると、
引用文献1、3及び6記載の発明は、カセットは記録紙の給紙方向とは直角方向に取出し可能とし、装置本体の前面より着脱可能に設けているものの送出しローラ(引用文献1記載の「ピックアップコロ6」、引用文献3記載の「フードローラ5」、及び引用文献6記載の「給紙ローラ2」が、それぞれ、相当する。)は位置を固定させて設けており、また引用文献2、4、5、及び7記載の発明は、送出しローラ(引用文献2記載の「ピックアップローラ30」、引用文献5記載の「送り出しローラ7」、及び引用文献7記載の「給紙ローラ57」が、それぞれ、相当する。)は、装置本体に上下動可能に設けられているにしても、送出しローラの回転方向とカセットの着脱方向が同一であり、しかもカセットの取出し作動に際して、カセットが前記作動レバーから当接解除することにより前記作動レバーが前記バネの付勢によって回動して前記送出しローラが上方へ離間されるものでない。
従って、各引用文献記載の発明は、本件訂正後の発明と一部共通する事項が認められるものの、いずれも本件訂正後の発明の必須の構成要件である、「カセットの着脱をフロントローディング方式としたものにおいて、カセット内の記録紙を底板側から押上げ、記録紙上面に位置した送出しローラと之に続くしごきローラ対とによって1枚宛給紙を行うカセット給紙装置において、
装置本体に上下動可能に設けられた前記送出しローラと、
記録紙の給紙方向とは直交する方向に取出し可能とし、装置本体の前面より着脱可能に設けた前記カセットと、
前記送出しローラを上方に位置させる方向にバネによって付勢されるとともに、前記カセットとの当接および当接解除により回動自在に設けられた作動レバーと、
前記送出しローラの移動に付随して移動する被検出部と、
前記被検出部を検出することにより、前記送出しローラの位置を検出するセンサと、
前記底板を押し上げるための動力系と前記底板側とを前記カセットの装着に伴って接続し、前記カセットの引き出しに伴って接続解除する接続手段と、を有し、前記カセットの装着作動に際しては、前記カセットの装着に伴って、前記カセットが前記作動レバーに当接することにより前記作動レバーが前記バネの付勢力に抗して回動して前記送出しローラが下方に移動するとともに、該装着に伴って前記接続手段の接続を行い、前記動力系を作動させて前記底板の押し上げを行い、前記底板の押し上げに伴って上昇する前記送出しローラに付随して移動する前記被検出部を前記センサが検出すると、前記動力系の作動を停止し、
前記カセットの取出し作動に際しては、前記カセットの引き出しに伴って、前記接続手段の接続解除により前記底板の押上げを解除するとともに、該引き出しに伴って前記カセットが前記作動レバーから当接解除することにより前記作動レバーが前記バネの付勢によって回動して前記送出しローラが上方へ離間するように構成したことを特徴とするカセット給紙装置。」を備えておらず、当該構成要件により本件訂正後の発明は、「給紙カセットを装置本体に対して着脱するに当たり本体側の送出しローラを記録紙に対して離間した位置に退避させると共に、装着に際しては記録紙を搬送できる体制とした上で前記送出しローラを駆動させることが可能となり、その結果画像転写部に向け記録紙を資質を損なうことなくかつ1枚ずつ性格に給紙することができる」という明細書記載の格別な効果を奏するものであり、本件訂正後の発明が引用文献1乃至7記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
なお、異議申立人須藤軍司が提出した甲第3号証(実願昭62-147929号(実開昭64-53149号)のマイクロフィルム)、及び同小山輝晃が提出した参考資料1(特開昭63-212629号公報)にも前記本件の請求項1に係る発明の必須の構成要件は記載されていない。
ウ-2-2 特許法第29条の2違反について
本件訂正後の発明と引用文献8及び9記載の発明とを対比すると、送出ローラ(引用文献8及び9記載の「ピックアップローラ34」が相当する。)を上方に位置させる方向にバネによって付勢されるとともに、回動可能に設けられた作動レバー(引用文献8及び9記載の「ピックアップローラ解除レバー62」が相当する。)を回動させ、また底板(引用文献8及び9記載の「用紙受板36」が相当する。)を押し上げるための動力系と前記底板側とを接続および接続解除する接続手段を作動する手段が、本件訂正後の発明はカセットであるのに対して、引用文献8及び9記載の発明は取手54に設けられたレバー押上突起63及び突起64である点において両者は相違している以上、本件訂正後の発明と引用文献8及び9記載の発明とは同一であるとはいえない。
ウ-2-3 特許法第36条第4項又は第5項違反について
特許請求の範囲第1項は、訂正事項aにより訂正されることとなり、この点の記載不備は解消した。
したがって、本件訂正後の発明は、特許出願の際独立して特許を受けることが出来ない発明とすることが出来ない。
エ.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の4第2項、及び同条第3項で準用する第126条第2〜4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.特許異議の申立てについての判断
(1)申立ての理由の概要
特許異議申立人小山輝晃は、甲第1号証(特開平3-98923号公報、取消理由で引用した引用文献8)及び参考資料1(特開昭63-212629号公報)、及び参考資料2(特開昭64-53934号公報、同引用文献1)を提出し、本件請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、また同須藤軍二は、甲第1号証(特開昭62-167137号公報、同引用文献2)、甲第2号(特開昭64-53934号公報、同引用文献1)、甲第3号証(実願昭62-147929号(実開昭64-53149号)のマイクロフィルム)を提出し、本件請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり、しかも甲第2及び3号、或いは甲第1乃至甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易になし得たものであり、また同渡辺 茂は、甲第1号証(特開昭64-53934号公報、同引用文献1)、甲第2号証(特開昭62-167137号公報、同引用文献2)、及び甲第3号証(特開平3-88632号公報同引用文献9)を提出し、本件請求項1に係る発明は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明であり、又は甲第1、2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易になし得たものであり、さらに同田村忠一は、甲第1号証(特開昭57-166236号公報、同引用文献5)、甲第2号証(特開昭62-157726号公報、同引用文献6)、甲第3号証(実願昭61-41960号(実開昭62-157726号)のマイクロフィルム、同引用文献3)、甲第4号証(実願昭58-42948号(実開昭59-149835号)のマイクロフィルム)、及び甲第5号証(特開昭62-259931号公報、同引用文献7)を提出し、本件請求項1に係る発明は、甲第1乃至5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易になし得たものであって、この発明に係る特許は、特許法第29条第1項、第2項または特許法第29条の2の規定に違反してなされたものであるから、特許を取り消すべき旨の主張をしている。
(2)判断
しかしながら、本件特許明細書は、前述のとおり訂正されることとなり、本件請求項1に係る発明は、前記2.(1)ア.のとおりである。そして、本件の請求項1に係る発明は、前記2.(3)ウ.において述べたように、各異議申立人が提出した前記甲各号証に記載された発明であるとも、また前記甲各号証に記載されたに基づき当業者が容易に発明をすることができたものとも、また前記甲各号証に記載された発明と同一であるとすることはできず、さらに明細書に記載不備があるとすることもできない。
4.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件の請求項1係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
カセット給紙装置
(57)【特許請求の範囲】
カセット内の記録紙を底板側から押上げ、記録紙上面に位置した送出しローラと之に続くしごきローラ対とによって1枚宛給紙を行うカセット給紙装置において、
装置本体に上下動可能に設けられた前記送出しローラと、
記録紙の給紙方向とは直交する方向に取出し可能とし、装置本体の前面より着脱可能に設けた前記カセットと、
前記送出しローラを上方に位置させる方向にバネによって付勢されるとともに、前記カセットとの当接および当接解除により回動可能に設けられた作動レバーと、
前記送出しローラの移動に付随して移動する被検出部と、
前記被検出部を検出することにより、前記送出しローラの位置を検出するセンサと、
前記底板を押し上げるための動力系と前記底板側とを、前記カセットの装着に伴って接続し、前記カセットの引き出しに伴って接続解除する接続手段と、を有し、
前記カセットの装着作動に際しては、前記カセットの装着に伴って前記カセットが前記作動レバーに当接することにより前記作動レバーが前記バネの付勢力に抗して回動して前記送出しローラが下方に移動するとともに、該装着に伴って前記接続手段の接続を行い、前記動力系を作動させて前記底板の押し上げを行い、前記底板の押し上げに伴って上昇する前記送出しローラに付随して移動する前記被検出部を前記センサが検出すると、前記動力系の作動を停止し、
前記カセットの取出し作動に際しては、前記カセットの引き出しに伴って前記接続手段の接続解除により前記底板の押上げを解除するとともに、該引き出しに伴って前記カセットが前記作動レバーから当接解除することにより前記作動レバーが前記バネの付勢によって回動して前記送出しローラが上方へ離間するように構成したことを特徴とするカセット給紙装置。
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は画像形成装置に設けられるカセット給紙装置に関するもので、特に記録紙を収めた給紙カセットを装置本体の前面より装着するようにしたカセット給紙装置に関する。
〔発明の背景〕
画像形成装置に対する給紙カセットの着脱形成としては、操作が極めて容易であると同時に装置の占める床面積を出来るだけ小さくする目的から、装置の正面において着脱を行ういわゆるフロントローディングの方式がとられる。
すなわち給紙カセットを装置の正面から挿入して感光体ドラム等の下部のスペースを利用して収納することにより、設置に際して装置の側部にカセット挿入のための空間を特に設ける必要がなくまた装着したカセットが装置外部に大きく突出するようなこともない。
しかしながら装置内における記録紙の給紙方向は構成上正面から見て左右方向に限定されていることから給紙カセットの着脱を前記のフロントローディング方式によった場合に、給紙カセット内の記録紙が装置の内蔵するローラ類に対して軸方向から摺接する構造となってそのため記録紙にしわや折れ曲りを生じて複字物の品質を損じたりジャム等の搬送不良を起し易い問題があった。
〔発明の目的〕
本発明はこの点を解決して改良した結果、給紙カセットを装置に対し着脱するに当っては記録紙をローラ類に接触させず、装着時には自動的に記録紙を搬出可能の状態とするカセット給紙装置の提供を目的としたものである。
〔発明の構成〕
上記目的は、カセット内の記録紙を底板側から押上げ、記録紙上面に位置した送出しローラと之に続くしごきローラ対とによって1枚宛給紙を行うカセット給紙装置において、装置本体に上下動可能に設けられた前記送出しローラと、記録紙の給紙方向とは直交する方向に取出し可能とし、装置本体の前面より着脱可能に設けた前記カセットと、前記送出しローラを上方に位置させる方向にバネによって付勢されるとともに、前記カセットとの当接および当接解除により回動可能に設けられた作動レバーと、前記送出しローラの移動に付随して移動する被検出部と、前記被検出部を検出することにより、前記送出しローラの位置を検出するセンサと、前記底板を押し上げるための動力系と前記底板側とを、前記カセットの装着に伴って接続し、前記カセットの引き出しに伴って接続解除する接続手段と、を有し、前記カセットの装着作動に際しては、前記カセットの装着に伴って前記カセットが前記作動レバーに当接することにより前記作動レバーが前記バネの付勢力に抗して回動して前記送出しローラが下方に移動するとともに、該装着に伴って前記接続手段の接続を行い、前記動力系を作動させて前記底板の押し上げを行い、前記底板の押し上げに伴って上昇する前記送出しローラに付随して移動する前記被検出部を前記センサが検出すると、前記動力系の作動を停止し、前記カセットの取出し作動に際しては、前記カセットの引き出しに伴って前記接続手段の接続解除により前記底板の押上げを解除するとともに、該引き出しに伴って前記カセットが前記作動レバーから当接解除することにより前記作動レバーが前記バネの付勢によって回動して前記送出しローラが上方へ離間するように構成したことを特徴とするカセット給紙装置によって達成される。
〔実施例〕
本発明の一実施例を第1図ないし第5図に示す。
第5図は本発明のカセット給紙装置を備える画像形成装置の外観を示したもので記録紙を収納する各給紙カセットC1およびC2は装置本体の前面Aに対し矢示X方向より水平にスライドして装着されまたその反対方向に引き出すことによって取外される。
第1図および第2図は装置本体内部における矢示Y方向から見たカセット給紙装置の各側面図、また第3図および第4図はそれぞれ第1図および第2図における矢示MMおよび矢示NNによる各要部を示す断面図である。
以下第1図と第3図、第2図と第4図をそれぞれ対照しつつその構造と作用について説明する。
図において1は送出しローラ、2および3は搬送ローラおよび該搬送ローラ2に圧接するさばきローラで前記送出しローラ1の搬送方向下流側にあって搬出される記録紙のしごきローラ対を構成している。
4は前記搬送ローラ2を同軸一体とする駆動軸、5は前記送出しローラ1を同軸一体とする従動軸、また6は該従動軸5を回動自在に支持する支持枠で該支持枠6はさらに前記駆動軸4に対して回動自在に保持されている。
7は前記駆動軸4と前記従動軸5のそれぞれが一体とするプーリに張架したタイミングベルトであり従って前記の送出しローラ1および搬送ローラ2は装置本体の動力系に接続する駆動軸4によって同方向に回転される。
8は前記支持枠6に固定した作動板、9は作動レバーであって該作動レバー9は取付金具10を介して装置奥側の側板50Aに支持され捩りバネ11によって反時計方向に付勢されていて、それによって先端部9Aをもって前記作動板8を押上げて前記支持枠6を板バネ6Aの作用に抗して停止位置に支えている。
以上の各部材は記録紙の搬送系を構成するものであって主として装着する給紙カセットCの収納スペースの上部に配設されている。
また21は給紙カセットCの底板30を傾斜するべく押圧する押上げレバー、22は前記押上げレバー21を一体とする回動軸で支持金具23に軸受け支持され装置内の前後の側板50Aと50Bに架設した基板50C上に設置されている。
24は前記回動軸22の端部に固定したクラッチAで該クラッチA24と前記押上げレバー21と共に回動軸22に嵌装した圧縮バネ25の作用によって常時右方向に移動した位置を占めている。
また26は装置本体の動力系に接続する駆動軸、27は前記駆動軸26に対しガイドピン26Aとガイド溝27Bの係合により回転を規制された状態で軸方向にスライド可能に支持されたクラッチBで、該クラッチB27は圧縮バネ28の作用によって常時右方向に付勢されているが、前記クラッチA24に対しては係合しない離間した位置に保たれている。
以上の各部材は給紙カセットCの作動系を構成するもので給紙カセットCの収納スペースの下部に配置されている。
一方、給紙カセットCは奥側の側面に突起31と遮光板32とさらに段部33を備え、装置本体の案内によって前記の搬送系と作動系の中間の収納位置に対し水平方向からスライドして挿入し装着される。
前記給紙カセットCは収納位置への装着に当たり一方では前記突起31が前記作動レバー9の折曲げ部9Bを押圧して該作動レバー9を時計方向に回動し、他方では前記段部33が前記クラッチA24に当接して該クラッチA24を圧方向に移動させる。その結果前記クラッチ27はそのクラッチ溝27Aに対しクラッチA24のクラッチ爪24Aが係合しない場合には左方向に押圧され前記圧縮バネ28によって右方向に付勢された状態に置かれる。
またこれに並行して前記遮光板32が側板50Aの支持するフォトセンサS2をOFFに切替えることによって装置本体の動力系が作動し駆動軸26を介して前記クラッチ26が所定方向に回動を始める。
その結果クラッチ溝27Aがクラッチ爪24Aに係合し前記のクラッチB27がクラッチA24に係合して前記押上げレバー21が給紙カセットCの底板30を押上げて積載した記録紙Pを傾斜した状態とする。
一方では前記作動レバー9の時計方向への回動によって先端部9Aが下方に退避しそれによって前記送出しローラ1が板バネ6Aの作用により下降して記録紙Pの上面に接するが前記押上げレバー21の押上げによる記録紙Pの上昇によって押し戻され前記作動板8の備える遮光板8Aが側板50Aの支持するフォトセンサS1をOFFとした位置で送出しローラ1が所定の圧接角度(荷重として)前記駆動軸26に対する装置本体の動力系からの作動が停止される。
記録紙Pの搬出が続けられてその最上面の位置が低下して前記フォトセンサS1がONに戻ると再び装置本体の動力系が作動して前記駆動軸26が回転し、前記押上げレバー21が回動して記録紙Pの最上面の位置を上昇させ搬送体勢を維持する。
また給紙カセットCをその収納位置より取り外すべく引き出すと、前記の突起31と段部33による押圧が解除されることにより前記作動レバー9が捩りバネ11の付勢によって反時計方向に回動し一方では前記クラッチA24が圧縮バネ25の付勢によって右方向に移動して前記クラッチB27との係合を解除する。
その結果前記作動レバー9が先端部9Aをもって作動板8を押上げ、板バネ6Aの付勢に対して支持枠6を再び停止位置に回動させて前記送出しローラ1を上昇し記録紙Pより離間させる。
一方クラッチB27との係合の解除により前記押上げレバー21は自由となってその自重により回転モーメントによって時計方向に回動し前記底板30ならびに記録紙Pを水平位置に復帰させる。
従って給紙カセットCは装着前と同様の状態で装置本体より取外しされることとなる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、給紙カセットを装置本体に対して着脱するに当り本体側の送出しローラを記録紙に対して離間した位置に退避させると共に、装着に際しては記録紙を搬送出来る態勢とした上で前記送出しローラを駆動させることが可能となり、その結果画像転字部に向け記録紙を紙質を損うことなくかつ1枚ずつ正確に給紙することの出来るカセット給紙装置が提供されることとなった。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は本発明のカセット給紙装置を示す側面図、第3図および第4図は前記装置の要部断面図、第5図は画像形成装置の外観図。
1…送出しローラ 2…搬送ローラ
3…さばきローラ 6…支持枠
6A…板バネ 7…タイミングベルト
8…作動板 9…作動レバー
11…捩りバネ 21…押上げレバー
24…クラッチA 25,28…圧縮バネ
27…クラッチB 30…底板
S1,S2…フオトセンサ P…記録紙
C,C1,C2…給紙カセット
 
訂正の要旨 訂正の要旨
特許第2700829号発明の明細書(以下「明細書」という。)を、訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち、次の各訂正事項ア〜エのとおり訂正する。
ア.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1に係る記載を、特許請求の範囲の減縮を目的として、「カセット内の記録紙を底板側から押上げ、記録紙上面に位置した送出しローラと之に続くしごきローラ対とによって1枚宛給紙を行うカセット給紙装置において、
装置本体に上下動可能に設けられた前記送出しローラと、
記録紙の給紙方向とは直交する方向に取出し可能とし、装置本体の前面より着脱可能に設けた前記カセットと、
前記送出しローラを上方に位置させる方向にバネによって付勢されるとともに、前記カセットとの当接および当接解除により回動可能に設けられた作動レバーと、
前記送出しローラの移動に付随して移動する被検出部と、
前記被検出部を検出することにより、前記送出しローラの位置を検出するセンサと、
前記底板を押し上げるための動力系と前記底板側とを前記カセットの装着に伴って接続し、前記カセットの引き出しに伴って接続解除する接続手段と、を有し、
前記カセットの装着作動に際しては、前記カセットの装着に伴って前記カセットが前記作動レバーに当接することにより前記作動レバーが前記バネの付勢力に抗して回動して前記送出しローラが下方に移動するとともに、該装着に伴って前記接続手段の接続を行い、前記動力系を作動させて前記底板の押し上げを行い、前記底板の押し上げに伴って上昇する前記送出しローラに付随して移動する前記被検出部を前記センサが検出すると、前記動力系の作動を停止し、
前記カセットの取出し作動に際しては、前記カセットの引き出しに伴って前記接続手段の接続解除により前記底板の押上げを解除するとともに、該引き出しに伴って前記カセットが前記作動レバーから当接解除することにより前記作動レバーが前記バネの付勢によって回動して前記送出しローラが上方へ離間するように構成したことを特徴とするカセット給紙装置。」と訂正する。
イ.訂正事項b
明細書第3頁第6〜14行目の「上記目的は・・・達成される。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「上記目的は、カセット内の記録紙を底板側から押上げ、記録紙上面に位置した送出しローラと之に続くしごきローラ対とによって1枚宛給紙を行うカセット給紙装置において、
装置本体に上下動可能に設けられた前記送出しローラと、記録紙の給紙方向とは直交する方向に取出し可能とし、装置本体の前面より着脱可能に設けた前記カセットと、前記送出しローラを上方に位置させる方向にバネによって付勢されるとともに、前記カセットとの当接および当接解除により回動可能に設けられた作動レバーと、前記送出しローラの移動に付随して移動する被検出部と、前記被検出部を検出することにより、前記送出しローラの位置を検出するセンサと、前記底板を押し上げるための動力系と前記底板側とを前記カセットの装着に伴って接続し、前記カセットの引き出しに伴って接続解除する接続手段と、を有し、前記カセットの装着作動に際しては、前記カセットの装着に伴って前記カセットが前記作動レバーに当接することにより前記作動レバーが前記バネの付勢力に抗して回動して前記送出しローラが下方に移動するとともに、該装着に伴って前記接続手段の接続を行い、前記動力系を作動させて前記底板の押し上げを行い、前記底板の押し上げに伴って上昇する前記送出しローラに付随して移動する前記被検出部を前記センサが検出すると、前記動力系の作動を停止し、
前記カセットの取出し作動に際しては、前記カセットの引き出しに伴って前記接続手段の接続解除により前記底板の押上げを解除するとともに、該引き出しに伴って前記カセットが前記作動レバーから当接解除することにより前記作動レバーが前記バネの付勢によって回動して前記送出しローラが上方へ離間するように構成したことを特徴とするカセット給紙装置によって達成される。」と訂正する。
ウ.訂正事項c
明細書第8頁第14行目の「戻りバネ10」を、誤記の訂正を目的として、
「戻りバネ11」と訂正する。
エ.訂正事項d
明細書第10頁第5行目の「10・・・戻りバネ」を、誤記の訂正を目的として、
「11・・・戻りバネ」と訂正する。
異議決定日 2000-05-09 
出願番号 特願平1-337396
審決分類 P 1 651・ 534- YA (B65H)
P 1 651・ 16- YA (B65H)
P 1 651・ 121- YA (B65H)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中村 達之  
特許庁審判長 小林 武
特許庁審判官 桐本 勲
鈴木 孝幸
登録日 1997-10-03 
登録番号 特許第2700829号(P2700829)
権利者 コニカ株式会社
発明の名称 カセット給紙装置  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ