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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
管理番号 1023977
異議申立番号 異議1998-70810  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1992-06-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-02-25 
確定日 2000-07-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2644081号「電子スチルカメラ」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2644081号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 1.手続きの経緯
本件における手続きの経緯は次のとおりである。
特許出願 平成 2年11月15日
特許権設定登録 平成 9年 5月 2日
特許異議の申立 平成10年 2月25日
取消理由通知 平成10年 7月 8日
訂正請求 平成10年 9月18日
第1回訂正拒絶理由通知平成11年 4月15日
第1回手続補正 平成11年 6月28日
第2回訂正拒絶理由通知平成12年 1月31日
第2回手続補正 平成12年 2月23日
2.訂正の適否についての判断
ア.訂正請求に対する補正の適否
上記第2回訂正請求の手続補正は、請求項1〜4を減縮するとともに、これに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な記載との整合を図るものであり、当該訂正請求に対する手続補正は、訂正請求書の要旨を変更するものではなく、特許法第120条の4第3項において準用する同法第131条第2項の規定に適合する。
イ.訂正の目的の適否、明細書記載事項からの逸脱及び拡張・変更の存否
上記訂正事項は、請求項1〜4を減縮し、それに伴い明細書における【課題を解決するための手段】の項を整合させて明瞭化したものであり、特許請求の範囲の減縮、不明瞭な記載の釈明を目的とする訂正に該当する。また、これら訂正は、いずれも願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のもので、かつ、実質的に特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものでもないことが認められる。
ウ.独立特許要件の判断
訂正明細書の請求項1〜4に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
(1)フラッシュ装置と、複数のモータによりそれぞれ駆動される複数の機械要素とを備える電子スチルカメラにおいて、前記複数のモータをそれぞれ駆動する制御手段と、該制御手段より前記複数のモータの駆動を示す信号を入力し、前記複数のモータの駆動の組み合わせ状態に応じ、前記複数のモータの内の第1のモータと第2のモータが同時に駆動される場合には、第1の選択信号を出力し、前記第1のモータと第2のモータの一方のみが駆動される場合には第2の選択信号を出力する論理回路と、該論理回路から出力される前記第1の選択信号又は第2の選択信号に基づき、前記複数のモータの回転駆動中において、前記複数のモータの内の同時に駆動されるモータの組み合わせに応じて、前記第1の選択信号が得られた場合には前記フラッシュ装置への充電電流を停止させずに第1の充電電流に減少させ、前記第2の選択信号が得られた場合には前記第1の充電電流よりも大きな第2の充電電流に切り替えるスイッチ手段と、を有することを特徴とする電子スチルカメラ。
(2)前記論理回路は、同時に駆動されている前記モータの数に応じて、前記フラッシュ装置への充電電流を変化させるように前記スイッチ手段を制御することを特徴とする請求項第1項に記載の電子スチルカメラ。
(3)前記スイッチ手段は、充電回路内の複数の電気抵抗を切り替えることにより、前記フラッシュ装置の充電電流を変化させることを特徴とする請求項第1項に記載の電子スチルカメラ。
(4)フラッシュ装置と、モータ駆動による機械要素とを備える電子スチルカメラにおいて、前記モータを駆動する制御手段と、該制御手段より前記モータの駆動を示す信号を入力する論理回路と、該論理回路の出力に基づき前記モータの回転駆動中は前記フラッシュ装置への充電電流を停止させずに減少させるスイッチ手段とを有し、前記論理回路は、前記モータの消費電流の大きさに応じて、前記フラッシュ装置への充電電流を変化させるように前記スイッチ手段を制御すると共に、前記スイッチ手段は、充電回路内の複数の電気抵抗を切り替えることにより、前記フラッシュ装置の充電電流及び発光時間及び発光光量を変化させることを特徴とする電子スチルカメラ。
1)訂正後の請求項1に係る発明について
(引用刊行物)
第1回訂正拒絶理由で引用した刊行物1(特開昭50-97327号公報)には、「第9図に示すように、オン・オフスイッチ35ならびにスイッチS12を通して変圧器215に供給される。スイッチS12は、アンドゲート222が論理1の出力信号を生ずるときに閉じられる。ゲート222はRUN信号ならびにCLOSE信号を受けて、モータが停止してシャッタが開いているときに論理1の出力信号を生ずる。第8図および第9図を参照する。RUN信号は、フリップフロップF1がリセット時にF1の論理0出力端に生じ、CLOSE信号は、フリップフロップF2がリセット時にF2の論理0出力端に生ずる。スイッチ35とS12が閉じられると、変圧器215はダイオードD1を通してコンデンサC2を充電する。」(なお、RUN、CLOSEにはアッパーラインが付く)(第8頁右下欄第3行目〜第16行目)と記載されている。また、同じく引用した刊行物2(特開平1-138544号公報)には、「詳しくは、その時の電源電圧レベルと所定電圧レベルとの差を検出し(ステップ3)、この差が大きいか否かに応じて(電源電圧の消耗度に応じて)、例えばこの差が比較的小さい場合は第4図(a)のようなデューティ比のパルスを数回で1サイクルとして、この差がかなりある場合(それ程消耗していない場合)は第4図(b)のようなデューティ比のパルスを数回で1サイクルとして出力ポートCHG ONより出力し(ステップ4、5)、充電電流を決定する。このようなパルスが出力ポートCHG ONより出力されることにより、抵抗R1を介してトランジスタT1がオンして変換トランスTR1の一次側に電源電圧Vbatに相当する電圧が供給され、これに伴い二次側に昇圧された電圧が発生し、該電圧に応じた充電電流により主キャパシタC4の充電が開始される。」(第3頁左上欄第4行目〜第20行目)と記載されている。
(対比・判断)
訂正後の請求項1と引用刊行物1,2記載のものとを対比すると、本件請求項1に係る発明は、複数のモータをそれぞれ駆動する制御手段より前記複数のモータの駆動を示す信号を入力し、前記複数のモータの駆動の組み合わせ状態に応じ、前記複数のモータの内の第1のモータと第2のモータが同時に駆動される場合には、第1の選択信号を出力し、前記第1のモータと第2のモータの一方のみが駆動される場合には第2の選択信号を出力する論理回路と、該論理回路から出力される前記第1の選択信号又は第2の選択信号に基づき、前記複数のモータの回転駆動中において、前記複数のモータの内の同時に駆動されるモータの組み合わせに応じて、前記第1の選択信号が得られた場合にはフラッシュ装置への充電電流を停止させずに第1の充電電流に減少させ、前記第2の選択信号が得られた場合には前記第1の充電電流よりも大きな第2の充電電流に切り替えるスイッチ手段とを有しているのに対して、引用刊行物1,2にはそのようなことが記載されていない点で相違している。そして、そのような本件請求項1に係る発明における上記構成は、上記引用刊行物1,2記載のものから当業者が容易に発明をすることができたものとも認められない。
したがって、訂正後の請求項1に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない発明であるとすることはできない。
2)訂正後の請求項2,3に係る発明について
訂正後の請求項2,3は訂正後の請求項1の従属項であるから、同請求項2,3に係る発明は、上記(1)の理由により、引用刊行物1,2記載のものから当業者が容易に発明することができたものとはいえず、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明とすることはできない。
3)訂正後の請求項4に係る発明について
訂正後の請求項4に係る発明と引用刊行物1,2記載のものと対比すると、訂正後の請求項4に係る発明が、スイッチ手段が、充電回路内の複数の電気抵抗を切り替えることにより、フラッシュ装置の充電電流及び発光時間及び発光光量を変化しているのに対し、引用刊行物1,2にはそのようなことが記載されていない点で相違している。そして、そのような本件請求項4に係る上記構成は、上記引用刊行物1、2記載のものから当業者が容易に発明をすることができたものとも認められない。
したがって、訂正後の請求項4に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない発明であるとすることはできない。
エ、むすび
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2-4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.特許異議の申立てについての判断
申立人島田洋は、訂正前の請求項1〜4に係る発明について、これら発明は、甲第1号証(特開昭50-97327号公報)、甲第2号証(特開平1-128261号公報)、甲第3号証(特開平1-138544号公報)及び甲第4号証(特開昭60-194677号公報)に基づき当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるとの理由により、訂正前の請求項1〜4に係る発明の特許を取り消すべきであると主張している。
(甲各号証記載の発明)
1)甲第1号証(特開昭50-97327号公報)には、前記2.ウにおいて引用刊行物1として記載した事項が記載されている。
2)甲第2号証(特開平1-128261号公報)には、「本発明では、記録媒体を駆動するスピンドルモータの起動後、位相ロックまたは速度ロックされるまで、AFアクチュエータ作動のような大電力消費部の少なくとも一部の動作を禁止する手段を具備したことを特徴とするものである。これにより、スピンドルモータ起動電流とAFアクチュエータ駆動電流とを効果的にタイムシェアリングして電池の電圧低下が抑えられる。」(第2頁右下欄第16行目〜第3頁左上欄第3行目)と記載されている。
3)甲第3号証(特開平1-138544号公報)には、前記2.ウにおいて引用刊行物2として記載した事項が記載されている。
4)甲第4号証(特開昭60-194677号公報)には、「一方、該タイミング制御回路20は、モータによるシャッタのチャージ動作を開始してから時間T3が経過した後、プランジャ16に指令信号を送り磁気ヘッド9の送り動作を行わせる。この遅れ時間T3は、第4図のタイミングチャートより明らかなように、シャッタのチャージ電流のピークが終了するまで設定される。即ち、シャッタのチャージ電流のピークが終了しないうちにプランジャ16を駆動しないように設定される。このようにすることにより、第4図(ハ)より明らかなように、シャッタのチャージ電流と、プランジャの駆動電流の加算値が、シャッタのチャージ電流のピークを越えないようにすることができる。従って、電池の電源容量を超えることがないので電池に過度の負担をかけることがない。」(第3頁左下欄第19行目〜同頁右下欄第14行目)と記載されている。
(対比・判断)
(1)訂正後の請求項1に係る発明について
本件訂正後の請求項1に係る発明と上記甲第1〜4号証記載の発明とを対比すると、本件請求項1に係り上記2.ウで引用刊行物1,2記載のものとの相違点として述べた構成が、上記甲第1〜4号証には記載されてなく、また、上記甲第各号証記載のものから当業者が容易に発明をすることができたものとも認められない。
(2)訂正後の請求項2,3に係る発明について
訂正後の請求項2,3は訂正後の請求項1の従属項であるから、同請求項2,3に係る発明は、上記(1)の理由により、甲第各号証記載のものから当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(3)訂正後の請求項4に係る発明について
訂正後の請求項4に係る発明と上記甲第各号証記載のものと対比すると、本件請求項4に係り上記2.ウで引用刊行物1,2記載のものとの相違点として述べた構成が、上記甲第1〜4号証には記載されてなく、また、上記甲第各号証記載のものから当業者が容易に発明をすることができたものとも認められない。
4.むすび
以上のとおり、本件において請求する訂正は適法であり、また同請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1〜4に係る発明の特許について、これを取り消すべき理由は見出せない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
電子スチルカメラ
(57)【特許請求の範囲】
(1)フラツシユ装置と、複数のモータによりそれぞれ駆動される複数の機械要素とを備える電子スチルカメラにおいて、
前記複数のモータをそれぞれ駆動する制御手段と、
該制御手段より前記複数のモータの駆動を示す信号を入力し、前記複数のモータの駆動の組み合わせ状態に応じ、前記複数のモータの内の第1のモータと第2のモータが同時に駆動される場合には、第1の選択信号を出力し、前記第1のモータと第2のモータの一方のみが駆動される場合には第2の選択信号を出力する論理回路と、
該論理回路から出力される前記第1の選択信号又は第2の選択信号に基づき、前記複数のモータの回転駆動中において、前記複数のモータの内の同時に駆動されるモータの組み合わせに応じて、前記第1の選択信号が得られた場合には前記フラツシユ装置への充電電流を停止させずに第1の充電電流に減少させ、前記第2の選択信号が得られた場合には前記第1の充電電流よりも大きな第2の充電電流に切り替えるスイツチ手段と、
を有することを特徴とする電子スチルカメラ。
(2)前記論理回路は、同時に駆動されている前記モータの数に応じて、前記フラツシユ装置への充電電流を変化させるように前記スイツチ手段を制御することを特徴とする請求項第1項に記載の電子スチルカメラ。
(3)前記スイツチ手段は、充電回路内の複数の電気抵抗を切り替えることにより、前記フラツシユ装置の充電電流を変化させることを特徴とする請求項第1項に記載の電子スチルカメラ。
(4)フラツシユ装置と、モータ駆動による機械要素とを備える電子スチルカメラにおいて、
前記モータを駆動する制御手段と、
該制御手段より前記モータの駆動を示す信号を入力する論理回路と、
該論理回路の出力に基づき前記モータの回転駆動中は前記フラツシユ装置への充電電流を停止させずに減少させるスイツチ手段とを有し、
前記論理回路は、前記モータの消費電流の大きさに応じて、前記フラツシユ装置への充電電流を変化させるように前記スイツチ手段を制御すると共に、前記スイツチ手段は、充電回路内の複数の電気抵抗を切り替えることにより、前記フラツシユ装置の充電電流及び発光時間及び発光光量を変化させることを特徴とする電子スチルカメラ。
【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野]
本発明は、フラツシユ装置を備える電子スチルカメラに関するものである。
[従来の技術]
従来、フラツシユ装置を備える電子スチルカメラのフラツシユの充電は、撮影の直前または直後に、磁気デイスク駆動用のスピンドルモータやズームモータが起動していない状態において行われていた。
第5図ならびに第6図を用いて、従来の電子スチルカメラにおける、フラツシユ発光を伴う撮影動作について説明する。
第5図は、従来のフラツシユ装置の概略構造を示した図である。電池などからDC-DCコンバータで昇圧して得られる高圧直流電源は、主放電コンデンサC、トリガ回路、発光管に電圧を供給している。トリガ回路は主放電コンデンサCに蓄積されていく電荷量をモニタし、所定の電位に達したところで、撮影者ならびにシステムコントローラに対して信号を出力するように構成されている。また、発光管は高圧直流電源のみでは発光せず、システムコントローラから送られてくる信号によりトリガ回路が発するトリガ信号を受けて、初めて導通し発光するような性質を有している。
ここで、主放電コンデンサCへ充電を行う時、大電流が高圧直流電源から主放電コンデンサCに供給される。この時、主電源としての電池から取り出せる電流には制限があるため、電池の使用状況によっては、電圧が必要以上にドロツプしてしまうことがある。そのため、主放電コンデンサCへの充電中には、スピンドルモータやズ-ムモ-タを安定に駆動することができず、従つて、従来の電子スチルカメラにおいては、フラツシユ充電と、モ-タ類の駆動は別々の時間に行われていた。
この従来例の電子スチルカメラの動作シ-クエンスを示したものが第6図である。
まず、測光スイツチSW1がONになると被写体の明るさを測定する測光(AE)が行われ、次にレンズが駆動されて自動焦点合わせ(AF)が行われる。そして、被写体の明るさを測定した結果フラツシユが必要と判断された時には、フラツシユ充電が行われる。次に、レリ-ズスイツチSW2がONになる前にスピンドルモ-タが回転する(VF回転)が、図示した通り、このスピンドルモ-タの回転は、フラツシユ充電が完了した後に行われ、フラツシユ充電中は、スピンドルモ-タの回転駆動は行われない。
次にレリ-ズスイツチSW2がONになると、シヤツタ-が開き、フラツシユ発光が行われた後にシヤツタ-が閉じて撮影が行われる。そして、磁気デイスクヘの画像信号の記録が行われた後、次のトラツクへ磁気ヘツドが移動して、撮影を終了する。
この後、次の撮影に備えて、フラツシユ充電やズ-ミング動作が行われるが、この時も、フラツシユ充電とズ-ムモ-タの駆動は別々の時間に行われ、フラツシユ充電中は、ズ-ムモ-タの回転駆動は行われない。
[発明が解決しようとしている課題]
しかしながら、上記の従来例においては、モ-タの駆動中にフラツシユの充電を行うことができないため、特にフラツシユ発光を伴う条件下での連続撮影や電動ズーム操作後の撮影の場合、フラツシユの充電が間に合わないことがあつた。そのため、撮影タイミングを重視した場合には、フラツシユの光量不足になつてしまい、また逆にフラツシユ充電を重視した場合には、シヤツターチヤンスを逃がすという問題点があった。
従つて、本発明の電子スチルカメラは上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、スピンドルモ-タやズ-ムモ-タ等の駆動中でもフラツシユの充電動作が可能で、フラツシユの光量不足や、シヤツタ-チヤンスを逃がすことが起こりにくい電子スチルカメラを提供することにある。
[課題を解決するための手段]
上述の課題を解決し目的を達成するために、本発明の電子スチルカメラは、フラツシユ装置と、複数のモータによりそれぞれ駆動される複数の機械要素とを備える電子スチルカメラにおいて、前記複数のモータをそれぞれ駆動する制御手段と、該制御手段より前記複数のモータの駆動を示す信号を入力し、前記複数のモータの駆動の組み合わせ状態に応じ、前記複数のモータの内の第1のモータと第2のモータが同時に駆動される場合には、第1の選択信号を出力し、前記第1のモータと第2のモータの一方のみが駆動される場合には第2の選択信号を出力する論理回路と、該論理回路から出力される前記第1の選択信号又は第2の選択信号に基づき、前記複数のモータの回転駆動中において、前記複数のモータの内の同時に駆動されるモータの組み合わせに応じて、前記第1の選択信号が得られた場合には前記フラツシユ装置への充電電流を停止させずに第1の充電電流に減少させ、前記第2の選択信号が得られた場合には前記第1の充電電流よりも大きな第2の充電電流に切り替えるスイツチ手段と、を有することを特徴としている。
また、この発明に係わる電子スチルカメラにおいて、前記論理回路は、同時に駆動されている前記モータの数に応じて、前記フラツシユ装置への充電電流を変化させるように前記スイツチ手段を制御することを特徴としている。
また、この発明に係わる電子スチルカメラにおいて、前記スイツチ手段は、充電回路内の複数の電気抵抗を切り替えることにより、前記フラツシユ装置の充電電流を変化させることを特徴としている。
また、本発明に係わる電子スチルカメラは、フラツシユ装置と、モータ駆動による機械要素とを備える電子スチルカメラにおいて、前記モータを駆動する制御手段と、該制御手段より前記モータの駆動を示す信号を入力する論理回路と、該論理回路の出力に基づき前記モータの回転駆動中は前記フラツシユ装置への充電電流を停止させずに減少させるスイツチ手段とを有し、前記論理回路は、前記モータの消費電流の大きさに応じて、前記フラツシユ装置への充電電流を変化させるように前記スイツチ手段を制御すると共に、前記スイツチ手段は、充電回路内の複数の電気抵抗を切り替えることにより、前記フラツシユ装置の充電電流及び発光時間及び発光光量を変化させることを特徴としている。
[作用]
上記の様に、この発明に係わる電子スチルカメラは構成されているので、モータの駆動中においても継続的にフラツシユ充電を行うことが可能となり、限られた時間内でフラツシユ充電が効率良く行われ、フラツシユ不足を起きにくくすることができる。また、モ-タの駆動中においては、制限された電流でフラツシユ充電を行い、モータが停止している場合においては、通常の電流値によるフラツシユの充電を行うことにより、トータルとしてフラツシユの充電時間による撮影の遅れを少なくすることができる。
[実施例]
以下、本発明の好適な一実施例について、図面を参照して詳細に説明する。
第1図は一実施例の電子スチルカメラの構成を示すブロツク図である。
図中、101は後述する撮像素子103上に被写体像を結像させる撮像光学系、102は撮像素子103に入射する光量を調節するための絞り、113はシヤツタ-、103は撮像素子、104は撮像素子103から得られた映像信号をスチルビデオのビデオ信号記録フオ-マットに準拠した信号に変換処理するためのビデオ信号処理回路、105はビデオ信号処理回路104から出力されたビデオ信号を、磁気ヘツド115により、記録媒体である磁気デイスク116に磁気記録するための記録回路である。
また、106は被写体の明るさを検出するための測光センサ、107は被写体までの距離を測定するための測距センサ、108は電子スチルカメラ全体の動作を制御するシステムコントロ-ラ、109はシステムコントロ-ラに対して指令情報を入力するスイツチ群、110はカメラの状態を表示するためのLCD表示装置、111はフラツシユの充放電を行うフラツシユ充放電回路、112は、後述するスピンドルモ-タ117、ヘツド送りモ-タ118、ズ-ムモ-タ119、絞り駆動モ-タ120、フオ-カスモ-タ121、シヤツタ-駆動モ-タ122をそれぞれ駆動するためのモ-タドライバである。
そして、117は磁気デイスク116を一定速度で回転駆動するためのスピンドルモ-タ、118は磁気ヘツド115を磁気デイスク116上の所定のトラツクに移動させるためのヘツド送りモータ、119は撮像光学系101の中の所定のレンズを駆動してズ-ミング動作を行わせるためのズ-ムモ-タ、120は絞りの開き量を変化させるための絞り駆動モ-タ、121は撮像光学系の中の所定のレンズを駆動して焦点合わせを行うフオ-カスモ-タ、122はシヤツタ-の開閉を行わせるシヤツタ-駆動モ-タである。
次に、これらの構成からなる電子スチルカメラの動作を第4図のフローチヤートを用いて説明する。
まず、一枚手前の撮影が終った時点で、システムコントロ-ラ108は、フラツシユの充電が必要であるか否かを判断する(S401)。もし、フラツシユの充電が必要でなければ、S403に進み、フラツシユの充電が必要であれば(S401Yes)、システムコントローラ108は、フラツシユ充放電回路111に命令してフラツシユの充電を開始させた後に(S402)、S403に進む。その後、撮影者はズ-ミングが必要であればスイツチ群109の中のズ-ムスイツチW-SW(広角要求スイッチ)またはT-SW(望遠要求スイッチ)をONとし(S403)、必要でなければS405に進む。
ズ-ムスイツチW-SWまたはT-SWがONになると(S403)、システムコントローラ108はモータドライバ112を介してズームモータ119を駆動し、撮像光学系101の中の所定のレンズを移動させ、所望の画角を得る(S404)。この時、レンズの移動は使用するレンズによりあらかじめ定められているレンズ移動範囲内でW-SWまたはT-SWがONになっている間実行される。ズームスイツチW-SW及びT-SWが同時にONにされた場合やレンズ移動範囲の限界に達し、更に移動させようとする場合には、システムコントローラ108は強制的にレンズの移動を中止する。
この時点では、S401においてフラツシユ充電が必要と判断されていた場合には、フラツシユの充電が継続的に行われている。そして、このフラツシユ充電中にズ-ミングが行われる場合には、システムコントローラ108からの命令により、フラツシユ充放電回路111は、フラツシユ充電のための電流値を減少させる。これにより、電源電圧の過度の電圧降下が抑制されて、ズ-ムモ-タ119の動作が不安定にならないようにされる。このフラツシユ充放電回路111の詳細については後述する。
次に、撮影者がスイツチ群109の中の測光スイツチSW1をONにすると(S405)、フラツシユの充電動作は、充電が完了していない場合でも一旦中止される。そして、システムコントローラ108は測光センサー106及び測距センサー107に命令して、被写体の明るさ並びに距離を検知させ(S406)、システムコントローラ108はこの検知結果を用いて撮影のための絞り値及びシヤツタスピードを演算する(S407)。
その結果、フラツシユの発光が必要と判断された場合(S408Yes)、フラツシユ発光時の電源となる主放電コンデンサの充電がすでに完了しているかを調べ(S409)、充電の必要な場合、主放電コンデンサの充電動作を再び開始させる(S410)。また、フラツシユの発光が必要と判断されなかった場合(S408No)及び、フラツシユの充電が完了している場合(S409No)には、そのままS411に進む。
次に、システムコントローラ108はモータドライバ112を介して、絞り駆動モータ120を駆動し、S407の演算により得られた絞り値に絞り102を調整する(S411)。またこれに続いてシステムコントローラ108は、測距センサー107により得られた被写体までの距離に焦点が合うようにモータドライバ112を介してフオ-カスモータ121を駆動する(S412)。
ここにおいても、S408においてフラツシユの発光の必要があり(S408Yes)、S409においてフラツシユの充電が完了していない場合(S409No)には、フラツシユの充電は継続的に行われている。このフラツシユ充電中に、絞り駆動モ-タ120による絞りの駆動や、フオ-カスモ-タ121による焦点調節動作が行われる場合には、フラツシユの充電電流値は減少され、電源の過度の電圧降下が起きないようにされる。
以上S405からS412までの動作が測光スイツチSW1がONで、スイツチ群109の中のレリ-ズスイツチSW2がOFFの状態において、繰り返し実行される。
次に、撮影者により、レリ-ズスイツチSW2がONにされると(S413)、フラツシユ充電を中止し、フラツシユの発光が必要な場合(S414)、主放電コンデンサの充電が完了しているか調べ(S415)、充電が完了している場合(S415Yes)にはフラツシユを発光させる(S416)。そして、システムコントローラ108はモータドライバ112を介してシヤツタ-駆動モ-タ122を駆動し、シヤツタ-113を開閉して撮影を行う(S417)。
撮像光学系101を通して入力される被写体光は、シヤツタ113が開いている間、撮像素子103を露光させ、その画像情報は電気信号に変換される。電気信号に変換された画像情報は、順次撮像素子103から読み出され、ビデオ信号処理回路104に入力される。この画像情報は、ビデオ信号処理回路104によって、スチルビデオのビデオ信号記録フオーマツトに合つた信号に変換処理され、記録回路105を介して記録媒体である磁気デイスク116に記録が行われる。
このようにして、撮影した画像が磁気デイスク116に記録された後、磁気ヘツド115は次に記録可能な磁気デイスク116上のトラツクにヘツド送りモータ118により移動される(S418)。そして、システムコントローラ108は磁気デイスク116の回転を停止させて次の撮影にそなえる。このようにして、1回の撮影動作を完了する。
上述した撮影動作のシ-クエンスを示したものが第3図である。これが、従来例の第6図と異なる点は、フラツシユの充電動作である。図の斜線部分が、電流値を減少させた状態でフラツシユ充電を行つている期間であり、モ-タの回転駆動中もフラツシユ充電が行われている状態を示している。
次に、上述したように、モ-タ類の回転駆動中にフラツシユ充電の電流値を減少させるフラツシユ充放電回路111について説明する。第2図はフラツシユ充放電回路111の構成を示した図である。主放電コンデンサCに直列に電流制限抵抗Rが接続され、更にその抵抗Rと並列にスイツチSWが接続されている。スイツチSWはシステムコントローラ108からの指示、もしくはどのモータも駆動されていない場合にオンし、電流制限抵抗Rを短絡するようになつている。
すなわち、充電時、モータのいずれか1つでも駆動されると、スイツチSWがオフし、抵抗Rにより充電電流値が減少され、ゆつくりと充電されるようになる。そして、全てのモータが停止するとスイツチSWがオンして充電電流の制限がはずされ、急速に充電されるようになる。放電時はシステムコントローラ108からスイツチSWがオンするように制御信号が出力され、システムコントローラ108から送出される信号を受けてトリガ回路から発せられるトリガ信号により発光管が放電して光を発する。
以上説明したように、モ-タの回転駆動中に、フラッシュの充電電流値を減少させることにより、モータ駆動中においても主放電コンデンサCへの充電が可能となる。
(他の実施例)
一実施例では、電流制限抵抗が1つの場合について説明したが、モータの駆動モードや消費電流の状況によつて複数の電流制限抵抗を設けても良い。第7図は、この他の実施例のフラツシユ充放電回路の構成を示した図である。図示したようにスイツチSWの切替えセレクタが設けられている。この切替セレクタにより電流制限抵抗R1,R2(R1>R2)が選択される組み合わせを第8図に示す。
また、一実施例の説明では、主放電コンデンサCの放電時、すなわちフラツシユ発光時、スイツチSWによつて電流制限抵抗を短絡した状態としたが、幾つかの抵抗の中から一つを選択して接続し、放電を行うと、発光管の発光時間ならびに発光光量に変化を生じさせることが可能となる。
以上説明したように、フラツシユの主放電コンデンサCの充電電流値の大きさとして、2つ以上のモードを設け、それを、駆動されているモータの消費電力の違いや、同時に駆動されているモータの数の違い等に応じて切り替えることにより、モータの駆動中においてもフラツシユの主放電コンデンサCへの充電を継続することが可能になり、フラツシユの充電時間による撮影の遅れを少なくすることが可能となる。
なお、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で、上記実施例を修正もしくは変形したものに適用可能である。
[発明の効果]
以上述べた様に、この発明に係わる電子スチルカメラによれば、モータの駆動中においても継続的にフラツシユ充電を行うことが可能となり、限られた時間内でフラツシユ充電が効率良く行われ、フラツシユの光量不足を起きにくくすることができるという効果がある。また、モータの駆動中においては、制限された電流でフラツシユ充電を行い、モータが停止している場合においては、通常の電流値によるフラツシユの充電を行うことにより、トータルとしてフラツシユの充電時間による撮影の遅れを少なくすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は一実施例の電子スチルカメラの構成を示すブロツク図、
第2図はフラツシユ充放電回路の構成を示した図、
第3図は一実施例の撮影動作のシークエンスを示した図、
第4図は一実施例の電子スチルカメラの動作を示したフローチヤート、
第5図は従来のフラツシユ装置の概略構造を示した図、
第6図は従来の電子スチルカメラの動作シ-クエンスを示した図、
第7図は他の実施例のフラツシユ充放電回路の構成を示した図、
第8図は電流制限抵抗が選択される組み合わせを示した図である。
図中、101…撮像光学系、102…絞り、108…システムコントローラ、111…フラツシユ充放電回路、113…シヤツタ-、115…磁気ヘツド、116…磁気デイスクである。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
a.特許請求の範囲を以下のように訂正する。

(1)フラツシユ装置と、複数のモータによりそれぞれ駆動される複数の機械要素とを備える電子スチルカメラにおいて、
前記複数のモータをそれぞれ駆動する制御手段と、
該制御手段より前記複数のモータの駆動を示す信号を入力し、前記複数のモータの駆動の組み合わせ状態に応じ、前記複数のモータの内の第1のモータと第2のモータが同時に駆動される場合には、第1の選択信号を出力し、前記第1のモータと第2のモータの一方のみが駆動される場合には第2の選択信号を出力する論理回路と、
該論理回路から出力される前記第1の選択信号又は第2の選択信号に基づき、前記複数のモータの回転駆動中において、前記複数のモータの内の同時に駆動されるモータの組み合わせに応じて前記第1の選択信号が得られた場合には前記フラツシユ装置への充電電流を停止させずに第1の充電電流に減少させ、前記第2の選択信号が得られた場合には前記第1の充電電流よりも大きな第2の充電電流に切り替えるスイツチ手段と、
を有することを特徴とする電子スチルカメラ。
(2)前記論理回路は、同時に駆動されている前記モータの数に応じて、前記フラツシユ装置への充電電流を変化させるように前記スイツチ手段を制御することを特徴とする請求項第1項に記載の電子スチルカメラ。
(3)前記スイツチ手段は、充電回路内の複数の電気抵抗を切り替えることにより、前記フラツシユ装置の充電電流を変化させることを特徴とする請求項第1項に記載の電子スチルカメラ。
(4)フラツシユ装置と、モータ駆動による機械要素とを備える電子スチルカメラにおいて、
前記モータを駆動する制御手段と、
該制御手段より前記モータの駆動を示す信号を入力する論理回路と、
該論理回路の出力に基づき前記モータの回転駆動中は前記フラツシユ装置への充電電流を停止させずに減少させるスイツチ手段とを有し、
前記論理回路は、前記モータの消費電流の大きさに応じて、前記フラツシユ装置への充電電流を変化させるように前記スイツチ手段を制御すると共に、前記スイツチ手段は、充電回路内の複数の電気抵抗を切り替えることにより、前記フラツシユ装置の充電電流及び発光時間及び発光光量を変化させることを特徴とする電子スチルカメラ。
上記の特許請求の範囲の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、明細書第6頁第19行目乃至第7頁第17行目(特許公報第4欄第5行目乃至第22行目)を下記のように訂正する。

[課題を解決するための手段]
上述の課題を解決し目的を達成するために、本発明の電子スチルカメラは、フラツシユ装置と、複数のモータによりそれぞれ駆動される複数の機械要素とを備える電子スチルカメラにおいて、前記複数のモータをそれぞれ駆動する制御手段と、該制御手段より前記複数のモータの駆動を示す信号を入力し、前記複数のモータの駆動の組み合わせ状態に応じ、前記複数のモータの内の第1のモータと第2のモータが同時に駆動される場合には、第1の選択信号を出力し、前記第1のモータと第2のモータの一方のみが駆動される場合には第2の選択信号を出力する論理回路と、該論理回路から出力される前記第1の選択信号又は第2の選択信号に基づき、前記複数のモータの回転駆動中において、前記複数のモータの内の同時に駆動されるモータの組み合わせに応じて、前記第1の選択信号が得られた場合には前記フラツシユ装置への充電電流を停止させずに第1の充電電流に減少させ、前記第2の選択信号が得られた場合には前記第1の充電電流よりも大きな第2の充電電流に切り替えるスイツチ手段と、を有することを特徴としている。
また、この発明に係わる電子スチルカメラにおいて、前記論理回路は、同時に駆動されている前記モータの数に応じて、前記フラツシユ装置への充電電流を変化させるように前記スイツチ手段を制御することを特徴としている。
また、この発明に係わる電子スチルカメラにおいて、前記スイツチ手段は、充電回路内の複数の電気抵抗を切り替えることにより、前記フラツシユ装置の充電電流を変化させることを特徴としている。
また、本発明に係わる電子スチルカメラは、フラツシユ装置と、モータ駆動による機械要素とを備える電子スチルカメラにおいて、前記モータを駆動する制御手段と、該制御手段より前記モータの駆動を示す信号を入力する論理回路と、該論理回路の出力に基づき前記モータの回転駆動中は前記フラツシユ装置への充電電流を停止させずに減少させるスイツチ手段とを有し、前記論理回路は、前記モータの消費電流の大きさに応じて、前記フラツシユ装置への充電電流を変化させるように前記スイツチ手段を制御すると共に、前記スイツチ手段は、充電回路内の複数の電気抵抗を切り替えることにより、前記フラツシユ装置の充電電流及び発光時間及び発光光量を変化させることを特徴としている。
異議決定日 2000-06-20 
出願番号 特願平2-307244
審決分類 P 1 651・ 121- YA (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田村 征一  
特許庁審判長 水谷 好男
特許庁審判官 橋本 恵一
石川 伸一
登録日 1997-05-02 
登録番号 特許第2644081号(P2644081)
権利者 キヤノン株式会社
発明の名称 電子スチルカメラ  
代理人 大塚 康徳  
代理人 丸山 幸雄  
代理人 大塚 康徳  
代理人 松本 研一  
代理人 松本 研一  
代理人 丸山 幸雄  

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