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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B23Q
審判 全部申し立て 4項(5項) 請求の範囲の記載不備  B23Q
審判 全部申し立て 出願日、優先日、請求日  B23Q
管理番号 1023985
異議申立番号 異議1998-74456  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-09-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-09-08 
確定日 2000-07-03 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2774012号「位置決め方法及び工作機械」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2774012号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第2774012号は、平成4年2月29日に出願され、平成10年4月24日に特許の設定登録がなされ、その後、株式会社中央精機より特許異議の申立てがなされ、当審において取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年8月24日に訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否についての判断
(1)訂正請求の内容
訂正請求は、本件特許に係る願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)を訂正請求書に添付した訂正明細書(以下「本件訂正明細書」という。)のとおり訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は次のとおりのものである。
ア.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1に係る記載を、
「数値制御装置内蔵工作機械における被加工材の位置決め方法に於いて、加工台3上に被加工材10を位置決めするために、該被加工材10の2面が当接する当接板19を、位置決め用アーム16の先端に付設し、かつ、該アーム16の一部を、カッター6を有する頭部4の一部に、取付け、上記当接板19の任意の点がインプットされた工作機械内蔵の数値制御装置で、該当接板19の任意の点と上記加工台3の任意の点とが一致するように、上記頭部4及び該加工台3を数値制御しつつ、上記頭部4を前後方向に、かつ、上記加工台3を左右方向に、各々、移動させて、位置制御し、その後、被加工材10の所定の2面を該当接板19に当接させて、上記加工台3上に被加工材10を位置決めセットすることを、特徴とする位置決め方法。」と訂正する。
イ.訂正事項b
特許請求の範囲の請求項3に係る記載を、
「内蔵された数値制御装置にて往復制御される加工台3及びカッター用頭部4を備えた工作機械に於て、被加工材10を該加工台3上に位置決めするために、該被加工材10の所定の2面が当接する当接板19を備え、該当接板19は上記カッター用頭部4から延設された位置決め用アーム16の先端に設けられ、上記カッター用頭部4を上記数値制御装置にて前後方向に往復制御すると共に上記加工台3を上記数値制御装置にて左右方向に往復制御して、上記アーム16を介して上記当接板19を加工台3上に位置決めし、上記2面を該当接板19に当接して上記被加工材10を位置決めセットするように構成したことを特徴とする工作機械。」と訂正する。
ウ.訂正事項c
特許請求の範囲の請求項4に係る記載を、
「内蔵された数値制御装置にて2次元的に移動制御される加工台24を備えた工作機械に於て、基部が固定された位置決め用アーム28の先端に、被加工材27を加工台24上に位置決めするために、該被加工材27の所定の2面が当接する当接板32を備え、上記加工台24を上記数値制御装置にて2次元的に移動制御して、上記当接板32を加工台24上に位置決めし、上記2面を該当接板32に当接して上記被加工材27を位置決めセットするように構成したことを特徴とする工作機械。」と訂正する。
エ.訂正事項d
明細書の段落【0004】を「【課題を解決するための手段】
本発明はかかる現状に鑑み種々検討を行った結果なされたもので、その位置決め方法は、数値制御装置内蔵工作機械における被加工材の位置決め方法に於て、加工台上に被加工材を位置決めするために、該被加工材の2面が当接する当接板を、位置決め用アームの先端に付設し、かつ、該アームの一部を、カッターを有する頭部の一部に、取付け、上記当接板の任意の点がインプットされた工作機械内蔵の数値制御装置で、該当接板の任意の点と上記加工台の任意の点とが一致するように、上記頭部及び該加工台を数値制御しつつ、上記頭部を前後方向に、かつ、上記加工台を左右方向に、各々、移動させて、位置制御し、その後、被加工材の所定の2面を該当接板に当接させて、上記加工台上に被加工材を位置決めセットする位置決め方法である。
あるいは、本発明は、数値制御装置内蔵工作機械における被加工材の位置決め方法に於て、加工台上に被加工材を位置決めするために、該被加工材の2面が当接する当接板を、基部が固定の位置決め用部材の先端に付設し、上記当接板の任意の点がインプットされた工作機械内蔵の数値制御装置で、該当接板の任意の点と上記加工台の任意の点とが一致するように、該加工台を数値制御しつつ2次元的に移動させて、位置制御し、その後、被加工材の所定の2面を該当接板に当接させて、上記加工台上に被加工材を位置決めセットする位置決め方法である。
また、本発明の工作機械は、内蔵された数値制御装置にて往復制御される加工台及びカッター用頭部を備えた工作機械に於て、被加工材を該加工台上に位置決めするために、該被加工材の所定の2面が当接する当接板を備え、該当接板は上記カッター用頭部から延設された位置決め用アームの先端に設けられ、上記カッター用頭部を上記数値制御装置にて前後方向に往復制御すると共に上記加工台を上記数値制御装置にて左右方向に往復制御して、上記アームを介して上記当接板を加工台上に位置決めし、上記2面を該当接板に当接して上記被加工材を位置決めセットするように構成したものである。
あるいは、本発明の工作機械は、内蔵された数値制御装置にて2次元的に移動制御される加工台を備えた工作機械に於て、基部が固定された位置決め用アームの先端に、被加工材を加工台上に位置決めするために、該被加工材の所定の2面が当接する当接板を備え、上記加工台を上記数値制御装置にて2次元的に移動制御して、上記当接板を加工台上に位置決めし、上記2面を該当接板に当接して上記被加工材を位置決めセットするように構成したものである。」と訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
ア.訂正事項aについては、「上記頭部4及び該加工台3を数値制御しつつ移動させて、位置制御し、」とあるのを、「上記頭部4及び該加工台3を数値制御しつつ、上記頭部4を前後方向に、かつ、上記加工台3を左右方向に、各々、移動させて、位置制御し、」と限定するものでるから、特許請求の範囲の減縮、及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、この限定は、本件特許明細書の段落【0009】、【図1】、【図2】、及び【図3】の記載に基づくものであり、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
イ.訂正事項bについては、「該加工台3上に被加工材10を位置決めする当接板19を備え、」とあるのを、「被加工材10を該加工台3上に位置決めするために、該被加工材10の所定の2面が当接する当接板19を備え、」と限定し、また、「上記カッター用頭部4及び上記加工台3を上記数値制御装置にて往復制御して、上記アーム16を介して上記当接板19を加工台3上に位置決めするように構成した」とあるのを、「上記カッター用頭部4を上記数値制御装置にて前後方向に往復制御すると共に上記加工台3を上記数値制御装置にて左右方向に往復制御して、上記当接板19を加工台3上に位置決めし、上記2面を該当接板19に当接して上記被加工材10を位置決めセットするように構成した」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮、及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、これらの限定は、本件特許明細書の段落【0009】、【0010】、【図1】、【図2】、及び【図3】の記載に基づくものであり、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
ウ.訂正事項cについては、「被加工材27を加工台24上に位置決めする当接板32を備え、」とあるのを、「被加工材27を加工台24上に位置決めするために、該被加工材27の所定の2面が当接する当接板32を備え、」と限定し、また、「上記当接板32を加工台24上に位置決めするように構成した」とあるのを、「上記当接板32を加工台24上に位置決めし、上記2面を該当接板32に当接して上記被加工材27を位置決めセットするように構成した」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮、及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、これらの限定は、本件特許明細書の段落【0018】、【図5】、及び【図6】の記載に基づくものであり、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
エ.訂正事項dについては、訂正事項aないしcによる特許請求の範囲の請求項1、請求項3、及び請求項4の訂正に伴い、発明の詳細な説明の記載をこれに整合するように訂正するもので明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当し、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
(3)独立特許要件の判断
ア.本件訂正発明
上記訂正請求に基づく本件請求項1ないし4に係る発明(以下、「本件訂正発明1ないし4」という)は、本件訂正明細書及び本件特許図面の記載からみて、本件訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載されたつぎのとおりのものと認める。
「【請求項1】 数値制御装置内蔵工作機械における被加工材の位置決め方法に於いて、加工台3上に被加工材10を位置決めするために、該被加工材10の2面が当接する当接板19を、位置決め用アーム16の先端に付設し、かつ、該アーム16の一部を、カッター6を有する頭部4の一部に、取付け、上記当接板19の任意の点がインプットされた工作機械内蔵の数値制御装置で、該当接板19の任意の点と上記加工台3の任意の点とが一致するように、上記頭部4及び該加工台3を数値制御しつつ、上記頭部4を前後方向に、かつ、上記加工台3を左右方向に、各々、移動させて、位置制御し、その後、被加工材10の所定の2面を該当接板19に当接させて、上記加工台3上に被加工材10を位置決めセットすることを、特徴とする位置決め方法。
【請求項2】 数値制御装置内蔵工作機械における被加工材の位置決め方法に於て、加工台24上に被加工材27を位置決めするために、該被加工材27の2面が当接する当接板32を、基部が固定の位置決め用部材28の先端に付設し、上記当接板32の任意の点がインプットされた工作機械内蔵の数値制御装置で、該当接板32の任意の点と上記加工台24の任意の点とが一致するように、該加工台24を数値制御しつつ2次元的に移動させて、位置制御し、その後、被加工材27の所定の2面を該当接板32に当接させて、上記加工台24上に被加工材27を位置決めセットすることを、特徴とする位置決め方法。
【請求項3】 内蔵された数値制御装置にて往復制御される加工台3及びカッター用頭部4を備えた工作機械に於て、被加工材10を該加工台3上に位置決めするために、該被加工材10の所定の2面が当接する当接板19を備え、該当接板19は上記カッター用頭部4から延設された位置決め用アーム16の先端に設けられ、上記カッター用頭部4を上記数値制御装置にて前後方向に往復制御すると共に上記加工台3を上記数値制御装置にて左右方向に往復制御して、上記アーム16を介して上記当接板19を加工台3上に位置決めし、上記2面を該当接板19に当接して上記被加工材10を位置決めセットするように構成したことを特徴とする工作機械。
【請求項4】 内蔵された数値制御装置にて2次元的に移動制御される加工台24を備えた工作機械に於て、基部が固定された位置決め用アーム28の先端に、被加工材27を加工台24上に位置決めするために、該被加工材27の所定の2面が当接する当接板32を備え、上記加工台24を上記数値制御装置にて2次元的に移動制御して、上記当接板32を加工台24上に位置決めし、上記2面を該当接板32に当接して上記被加工材27を位置決めセットするように構成したことを特徴とする工作機械。」
イ.取消理由の概要
一方、当審において平成11年6月10日付けで通知した取消理由の概要は、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし4に係る発明(以下、「本件特許発明1ないし4」という。)は、刊行物1(特公平3-49685号公報、特許異議申立人株式会社中央精機提出の甲第2号証)、刊行物2(「NC工作機械活用マニュアル でか版技能ブックス8」、株式会社大河出版、初版発行1990(平成2)年9月10日、第157、同甲第3号証)、刊行物3(「日経メカニカル」第341号、日経BP社、1991年1月21日発行、第58頁、同甲第4号証)、刊行物4(「NC加工のトラノマキ 技能ブックス(14)」、株式会社大河出版、初版発行昭和49年4月20日、第150〜152頁、同甲第5号証)、及び刊行物5(「図解NC工作機械の入門」、東京電機大学出版局、1986年9月20日、第1版発行、第36〜37頁及び第144〜146頁、同甲第6号証)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1ないし4にについての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、また、本件特許発明1、3、及び4は、被加工物を加工台上に位置決めするための構成が不明であるから、本件特許発明1、3、及び4についての特許は、特許法第36条第4項又は第5項に規定する要件を満たしていない出願についてなされたものであるというにある。
ウ.取消理由についての判断
そこで、以下に、本件訂正発明に対して、上記取消理由について検討する。
ウ-1 特許法第29条第2項違反について
各刊行物には次の事項が記載されているものと認める。
ウ-1-1(刊行物1)
ワーク載置台3(本件訂正発明1ないし4の「加工台」に相当する。)およびミーリングヘッド6を備えた側面加工機(同「工作機械」に相当する。)に於いて、
ワーク17(同「被加工材」に相当する。)をワーク載置台3上に位置決めするための位置決めガイド24を備え、該位置決めガイド24はカッター用頭部のスライド台1の一側面に固着される板体27と、該板体27のレール28にスライド自在に取着されるラック29と、ラック29の先端部に前記ワーク載置台3に平行に取付けられたガイド板30(同「当接板」に相当する。)とからなること。(第6欄第3〜9行参照)
上記カッター用頭部のスライド台1,1の間隔を、ワーク17の切込み量に応じてB方向(同「前後方向」に相当する。)に移動調整すること。この場合、ワーク載置台3,3は相互に移動し、上記位置決めガイド24も一方のスライド台1に軸支された歯車31を介して所定位置に配置されること。(第6欄第18〜26行参照)
ワーク17の一側面をガイド板30の内側面に当接して位置決めすること。(第6欄第31〜42行参照)
その後、ミーリングカッターを回転させ、サドル10を油圧シリンダーによってA方向に移送すると、ワーク載置台3,3も同時にA方向(同「左右方向」に相当する。)に移送され、これによりワーク17の両側面がミーリングカッター7,7により切削加工されること。(第6欄第43行〜第7欄第7行参照)
ウ-1-2(刊行物2)
L字状のサブテーブル(同「当接板」に相当する。)の2面に被加工物を当接させて位置決めすること。(写真3及び写真4参照)
ウ-1-3(刊行物3)
左右逆を向いた1対のL字形の治具2個(同「当接板」に相当する。)でメンバを剪断するように夾んで位置を出すこと。(第58頁図3及びその説明)
ウ-1-4(刊行物4)
数値制御の種類として、位置決め制御と直線切削制御と輪郭切削制御があって、
ボール盤や中ぐり盤で穴あけ加工をやるときには、ドリルやボーリングバーを加工位置に,正しく,速やかに,位置決めする動作と,切削動作から成っていること。(第151頁左欄第15〜22行)
ウ-1-5(刊行物5)
NCの制御方式に位置決め制御があり、該位置決め制御は,パンチプレス、スポット溶接などで加工位置を次々に決めるのに用いられ、移動の途中では加工は行われない。
これにX軸およびY軸あるいはZ軸に平行に動くとき切削も行うのが位置決め・切削制御であり、位置決めで2軸あるいは3軸を同時に制御できるのが、同時2軸制御あるいは同時3軸制御であること。(第145頁第8〜9行)
ウ-2検討
本件訂正発明1ないし4と、刊行物1ないし5に記載のものとを対比すると、刊行物1に記載のものは、被加工材の両側面の切込み量に応じてカッターと被加工物との位置を決めるべくカッターを有する頭部を前後方向に移動調整し、この際にガイド板も同じ前後方向に移動される側面加工機であり、刊行物2、3には、L字状当接板の2面に被加工材が当接されて位置決めされていることが記載されているにすぎず、また刊行物4、5には、工作機械に於いて、数値制御によりカッターを加工位置に2次元方向に位置決めすることが記載されているにすぎない。
そして刊行物1に記載されたものは、カッターと被加工物との相対位置を決めた後はカッターを有する頭部の位置を制御することはないから、このような装置に、刊行物4ないし5に記載の任意の位置に位置決めを行う数値制御を応用することは適当でない。
したがって、各刊行物記載のものは、いづれも本件訂正発明1の構成要件である「被加工材10の2面が当接する当接板19を、位置決め用アーム16の先端に付設し、かつ、該アーム16の一部を、カッター6を有する頭部4の一部に、取付け、上記当接板19の任意の点がインプットされた工作機械内蔵の数値制御装置で、該当接板19の任意の点と上記加工台3の任意の点とが一致するように、上記頭部4及び該加工台3を数値制御しつつ、上記頭部4を前後方向に、かつ、上記加工台3を左右方向に、各々、移動させて、位置制御し、その後、被加工材10の所定の2面を該当接板19に当接させて、上記加工台3上に被加工材10を位置決めセットすること」、本件訂正発明2の構成要件である「被加工材27の2面が当接する当接板32を、基部が固定の位置決め用部材28の先端に付設し、上記当接板32の任意の点がインプットされた工作機械内蔵の数値制御装置で、該当接板32の任意の点と上記加工台24の任意の点とが一致するように、該加工台24を数値制御しつつ2次元的に移動させて、位置制御し、その後、被加工材27の所定の2面を該当接板32に当接させて、上記加工台24上に被加工材27を位置決めセットすること」、本件訂正発明3の構成要件である「被加工材10の所定の2面が当接する当接板19を備え、該当接板19は上記カッター用頭部4から延設された位置決め用アーム16の先端に設けられ、上記カッター用頭部4を上記数値制御装置にて前後方向に往復制御すると共に上記加工台3を上記数値制御装置にて左右方向に往復制御して、上記アーム16を介して上記当接板19を加工台3上に位置決めし、上記2面を該当接板19に当接して上記被加工材10を位置決めセットするように構成したこと」、及び本件訂正発明4の構成要件である「基部が固定された位置決め用アーム28の先端に、被加工材27を加工台24上に位置決めするために、該被加工材27の所定の2面が当接する当接板32を備え、上記加工台24を上記数値制御装置にて2次元的に移動制御して、上記当接板32を加工台24上に位置決めし、上記2面を該当接板32に当接して上記被加工材27を位置決めセットするように構成したこと」を備えておらず、当該構成要件により本件訂正発明1ないし4は、「工作機械に内蔵された数値制御装置そのものを活用するので、非常に高価で高度なロボットなどを使用することなく、極めて簡単なアームと当接板を付加するだけで被加工材を加工台上に高精度で位置決めセットすることができる。」という明細書に記載された格別な効果を奏するものであり、本件訂正後の発明1ないし4が刊行物1ないし5記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
ウ-3 特許法第36条第4項又は第5項違反について
特許請求の範囲は、訂正事項a、b、及びcにより訂正されることとなり、請求項1、3及び4についての記載不備は解消した。
エ.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の4第2項、及び同条第3項で準用する第126条第2ないし4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.特許異議申立てについての判断
(1)申立ての理由の概要
特許異議申立人株式会社中央精機は、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし4に係る発明(以下、「本件特許発明1ないし4」という。)は、甲第2号証(特公平3-49685号公報、刊行物1)、甲第3号証(「NC工作機械活用マニュアル でか版技能ブックス8」、株式会社大河出版、初版発行1990(平成2)年9月10日、第157、同刊行物2)、甲第4号証(「日経メカニカル」第341号、日経BP社、1991年1月21日発行、第58頁、同刊行物3)、甲第5号証(「NC加工のトラノマキ 技能ブックス(14)」、株式会社大河出版、初版発行昭和49年4月20日、第150〜152頁、同刊行物4)、及び甲第6号証(「図解NC工作機械の入門」、東京電機大学出版局、1986年9月20日、第1版発行、第36〜37頁及び第144〜146頁、同刊行物5)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1ないし4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、また、特許請求の範囲の請求項1ないし4は、被加工物を加工台上に位置決めするための構成が不明であるから、本件特許は、特許法第36条第4項又は第5項に規定する要件を満たしていない出願についてなされたものであり、さらに、本件特許は、平成8年1月12日付手続補正書による明細書の補正は明細書の要旨を変更するものであるから、本件出願の出願日は、当該手続補正書が受理された平成8年1月12日にしたものとみなすので、本件特許の公開公報である甲第1号証(特開平5-245737号公報)に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1ないし4に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反して成されたものであるから、特許を取り消すべき旨の主張をしている。
(2)判断
ア. 特許法第29条第2項違反について
本件特許明細書は、前述のとおり訂正されることとなり、本件請求項1乃至4に係る発明は、前記2.(3)ア.のとおりである。そして、本件の請求項1に係る発明は、前記2.(3)ウ.において述べたように、異議申立人が提出した前記甲第2ないし6号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
イ. 特許法第36条第4項又は第5項違反について
イ-1 特許請求の範囲の請求項1及び2に対して
当接板の任意の点と加工台の任意の点を一致させるだけでは、基準が存在せず、位置決めのための必須の要件を欠いているとの主張については、「任意の点」は、当接板と加工台との位置関係を定めるための点である以上、当該点が当接板及び加工台上における任意の位置である「所定の点」であることは明らかであり、また、被加工材の2面を当接させるべき当接板の2カ所の当接部位が限定されていないとの主張については、当接板と加工台とを相対的に2次元的に移動させて位置決めする以上、当接板には平行でない2面が存在し、当該当接板の2面に被加工材の所定の2面が当接されて位置決めされることは明らかである。
イ-2 特許請求の範囲の請求項3に対して
当接板の設置場所が不明瞭であるとの主張については、訂正事項bにより訂正されることとなり、設置場所は位置決め用アームであることが明りょうとなった。また「上記カッター用頭部4及び上記加工台3を上記数値制御装置にて往復制御して」なる構成要件は周知の技術的事項であるから、「上記アーム16を介して上記当接板19を加工台3上に位置決めするように構成した」なる構成要件は、単なる課題を示したにすぎず、発明の構成が不明瞭であるとの主張については、訂正事項bにより「被加工材10の所定の2面が当接する当接板19を備え、該当接板19は上記カッター用頭部4から延設された位置決め用アーム16の先端に設けられ、上記カッター用頭部4を上記数値制御装置にて前後方向に往復制御すると共に上記加工台3を上記数値制御装置にて左右方向に往復制御して、上記アーム16を介して上記当接板19を加工台3上に位置決めし、上記2面を該当接板19に当接して上記被加工材10を位置決めセットするように構成した」と訂正されることにより、この点についての構成は明りょうとなった。
イ-3 特許請求の範囲の請求項4に対して
位置決め用アーム28は「基部が固定された」旨限定されているが、何に対して固定したかは限定されていないとの主張については、本件明細書の段落【0016】を参照すると、位置決め用アーム28は、基部が床やベッド等に固定されていることは明らかであり、また、「上記加工台24を上記数値制御装置にて2次元的に移動制御して、上記当接板32を加工台24上に位置決めするように構成した」なる構成要件は単なる課題を示したにすぎず、発明の構成が不明瞭であるとの主張については、訂正事項cにより「被加工材27の所定の2面が当接する当接板32を備え、上記加工台24を上記数値制御装置にて2次元的に移動制御して、上記当接板32を加工台24上に位置決めし、上記2面を該当接板32に当接して上記被加工材27を位置決めセットするように構成した」と訂正されることにより、この点についての構成は明りょうとなった。
ウ.要旨変更補正による出願日繰下げ擬制に基づく特許法第29条第2項違反について
段落【0008】の「そして、切削加工の邪魔とならないように、切削直前に(図3のように)シリンダ17を短縮して退避できる。」なる記載、及び段落【0010】の「アーム16のピストン軸18が後退して短縮し、(図3のように切削の邪魔とならない)退避状態となる」なる記載が、出願時の明細書に記載されていないという主張については、段落【0009】の記載「図2に示すようにピストン軸18を前方に摺動させ、次いで、・・・(中略)・・・被加工材当接板19を停止する」、段落【0010】の記載「被加工材10を被加工材当接板19に当接して加工台10上に設置すると、・・・(中略)・・・加工台3上に被加工材10が位置決めセットされ、位置決めセットを終えると、・・・(中略)・・・被加工材位置決め装置16のピストン軸18が後退してシリンダ17内に収納される。」、段落【0012】の記載「しかる後、・・・(中略)・・・被加工材10が前後両側から切削される。」、及び図3から、前記段落【0008】、及び【0010】の記載が示唆されていることは明らかであり、また、請求項1、2における「被加工材10、27の所定の2面を該当接板19、32の直交する2面に当接させて」の要件が、L字状に構成された当接板19、32の直交する2面に当接させることを意味するものであるなら、当初明細書には全く記載されていなかったことを限定したことになるので明細書の要旨を変更したものに該当する旨の主張については、L字に形成された直交する2面に被加工材10、27の直交する2面を当接させることは、段落【0008】、【0010】、【0018】、図2、図5、及び図7の記載から明らかである以上、請求人の主張は失当である。
4.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1ないし4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
位置決め方法及び工作機械
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 数値制御装置内蔵工作機械における被加工材の位置決め方法に於て、加工台3上に被加工材10を位置決めするために、該被加工材10の2面が当接する当接板19を、位置決め用アーム16の先端に付設し、かつ、該アーム16の一部を、カッター6を有する頭部4の一部に、取付け、上記当接板19の任意の点がインプットされた工作機械内蔵の数値制御装置で、該当接板19の任意の点と上記加工台3の任意の点とが一致するように、上記頭部4及び該加工台3を数値制御しつつ、上記頭部4を前後方向に、かつ、上記加工台3を左右方向に、各々、移動させて、位置制御し、その後、被加工材10の所定の2面を該当接板19に当接させて、上記加工台3上に被加工材10を位置決めセットすることを、特徴とする位置決め方法。
【請求項2】 数値制御装置内蔵工作機械における被加工材の位置決め方法に於て、加工台24上に被加工材27を位置決めするために、該被加工材27の2面が当接する当接板32を、基部が固定の位置決め用部材28の先端に付設し、上記当接板32の任意の点がインプットされた工作機械内蔵の数値制御装置で、該当接板32の任意の点と上記加工台24の任意の点とが一致するように、該加工台24を数値制御しつつ2次元的に移動させて、位置制御し、その後、被加工材27の所定の2面を該当接板32に当接させて、上記加工台24上に被加工材27を位置決めセットすることを、特徴とする位置決め方法。
【請求項3】 内蔵された数値制御装置にて往復制御される加工台3及びカッター用頭部4を備えた工作機械に於て、被加工材10を該加工台3上に位置決めするために、該被加工材10の所定の2面が当接する当接板19を備え、該当接板19は上記カッター用頭部4から延設された位置決め用アーム16の先端に設けられ、上記カッター用頭部4を上記数値制御装置にて前後方向に往復制御すると共に上記加工台3を上記数値制御装置にて左右方向に往復制御して、上記アーム16を介して上記当接板19を加工台3上に位置決めし、上記2面を該当接板19に当接して上記被加工材10を位置決めセットするように構成したことを特徴とする工作機械。
【請求項4】 内蔵された数値制御装置にて2次元的に移動制御される加工台24を備えた工作機械に於て、基部が固定された位置決め用アーム28の先端に、被加工材27を加工台24上に位置決めするために、該被加工材27の所定の2面が当接する当接板32を備え、上記加工台24を上記数値制御装置にて2次元的に移動制御して、上記当接板32を加工台24上に位置決めし、上記2面を該当接板32に当接して上記被加工材27を位置決めセットするように構成したことを特徴とする工作機械。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は数値制御装置内蔵工作機械における被加工材位置決め方法、及び、被加工材位置決めのできる数値制御装置内蔵工作機械に関し、さらに詳しくは、フライス盤等の工作機械に、その加工台上で被加工材の位置を所定の位置に位置決めする極めて簡単な被加工材位置決めの方法及びそのための工作機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
フライス盤等の工作機械において、加工台上の任意の点に被加工材を位置決めセットする場合は、通常、工作機械の加工台に無数の孔を開け、被加工材の大きさに応じ、適宜の孔に丸棒を位置決めセットした後、位置決めセットした丸棒に被加工材を当接させて、被加工材を固定するか、あるいは数値制御装置を内蔵した高度なロボットを使用して、被加工材をその任意の点が加工台の任意の点と一致するように加工台上に固定するなどの方法で位置決めセットしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、加工台の孔に位置決めセットされた丸棒に、被加工材を当接させて被加工材を位置決めセットする方法では、加工台に無数に開けた孔間の距離に応じた寸法合わせはできても、それ以上精度の高い寸法合わせができず、被加工材の大きさが異なる場合などは無数の孔から適当な孔を選ばなければならないため、作業能率が非常に悪い。また、数値制御装置を内蔵した高度なロボットを使用する場合は、加工台上における被加工材の位置決めセットが高精度で行えるものの、非常に高価で高度なロボットを必要とし、設備が大型化するとともにコストが高くなる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる現状に鑑み種々検討を行った結果なされたもので、その位置決め方法は、数値制御装置内蔵工作機械における被加工材の位置決め方法に於て、加工台上に被加工材を位置決めするために、該被加工材の2面が当接する当接板を、位置決め用アームの先端に付設し、かつ、該アームの一部を、カッターを有する頭部の一部に、取付け、上記当接板の任意の点がインプットされた工作機械内蔵の数値制御装置で、該当接板の任意の点と上記加工台の任意の点とが一致するように、上記頭部及び該加工台を数値制御しつつ、上記頭部を前後方向に、かつ、上記加工台を左右方向に、各々、移動させて、位置制御し、その後、被加工材の所定の2面を該当接板に当接させて、上記加工台上に被加工材を位置決めセットする位置決め方法である。
あるいは、本発明は、数値制御装置内蔵工作機械における被加工材の位置決め方法に於て、加工台上に被加工材を位置決めするために、該被加工材の2面が当接する当接板を、基部が固定の位置決め用部材の先端に付設し、上記当接板の任意の点がインプットされた工作機械内蔵の数値制御装置で、該当接板の任意の点と上記加工台の任意の点とが一致するように、該加工台を数値制御しつつ2次元的に移動させて、位置制御し、その後、被加工材の所定の2面を該当接板に当接させて、上記加工台上に被加工材を位置決めセットする位置決め方法である。
また、本発明の工作機械は、内蔵された数値制御装置にて往復制御される加工台及びカッター用頭部を備えた工作機械に於て、被加工材を該加工台上に位置決めするために、該被加工材の所定の2面が当接する当接板を備え、該当接板は上記カッター用頭部から延設された位置決め用アームの先端に設けられ、上記カッター用頭部を上記数値制御装置にて前後方向に往復制御すると共に上記加工台を上記数値制御装置にて左右方向に往復制御して、上記アームを介して上記当接板を加工台上に位置決めし、上記2面を該当接板に当接して上記被加工材を位置決めセットするように構成したものである。
あるいは、本発明の工作機械は、内蔵された数値制御装置にて2次元的に移動制御される加工台を備えた工作機械に於て、基部が固定された位置決め用アームの先端に、被加工材を加工台上に位置決めするために、該被加工材の所定の2面が当接する当接板を備え、上記加工台を上記数値制御装置にて2次元的に移動制御して、上記当接板を加工台上に位置決めし、上記2面を該当接板に当接して上記被加工材を位置決めセットするように構成したものである。
【0005】
【実施例】
以下、本発明の被加工材位置決め装置を備えた数値制御装置内蔵フライス盤の実施例を示す図面に基づいて説明する。図1ないし図4は本発明の被加工材位置決め装置を備えた数値制御装置内蔵両頭フライス盤を示したものであり、この両頭フライス盤1は、左右方向に移動する基台2上に取りつけられて左右方向にのみ移動する加工台3を挟んで、対向するカッター用頭部4および5を配設し、各両カッター用頭部4および5の対向面にカッター6および7を取りつけている。
【0006】
カッター6および7は、各両頭部4および5に付設された駆動モータ8および9により適宜連動機構を介して回転され、加工台3上に被加工材10が位置決めセットされると、各両頭部4および5に内装された移動軸で前後に移動して被加工材10を前後両側から切削する。
【0007】
11は図4に示すように基台2上に立設された門型の架設台で、横架した支持フレーム11aに縦型シリンダ12を取りつけ、シリンダ12内に慴動かつ回転可能にピストン軸13を内装して、ピストン軸13の下端に押さえ金14を取りつけ、カッター6および7で加工台3上に位置決めセットされた被加工材10を切削する際、この押さえ金14で加工台3上に受け台15を介して位置決めセットされる被加工材10を上から押さえ、加工台3上に固定するようにしている。
【0008】
16は両頭フライス盤1の一方の頭部4の側壁に取りつけられた位置決め用アームで、頭部4側壁に固定したシリンダ17およびこのシリンダ17に内装されたピストン軸18とから構成される。このアーム16の先端―――ピストン軸18の先端―――に、被加工材10を位置決めするL字状の当接板19を、設けてある。即ち、図2と図3のように、加工台3上に被加工材10を位置決めする当接板19を先端に有するアーム16は、カッター用頭部4から斜めに延設されている。そして、切削加工の邪魔とならないように、切削直前に(図3のように)シリンダ17を短縮して退避できる。この退避作動は、両頭フライス盤1に内蔵された数値制御装置によって行われる。
【0009】
しかして、予め加工台3上における当接板19(被加工材10)の任意の位置決めセット位置を、両頭フライス盤1内蔵の数値制御装置に付属しているキーボードでインプットしておき、次いで、数値制御装置で頭部4を数値制御しつつ前後に移動調整させると同時に、基台2を数値制御装置で数値制御しつつ左右に移動調整して、当接板19を停止すると、加工台3の加工中心軸と加工台3上の被加工材10の中心とが一致するように、当接板19の位置決めが行われる。
【0010】
このように当接板19の位置決めが行われた後、被加工材10を被加工材当接板19に当接して加工台3上に設置すると、加工台3の加工中心軸と加工台3上の被加工材10の中心とが一致して、加工台3上に被加工材10が位置決めセットされる。位置決めセットを終えると、架設台11の支持フレーム11aに取りつけられたシリンダ12のピストン軸13が下降し、ピストン軸13下端に取りつけられた押さえ金14が被加工材10に当接されて被加工材10が固定される。同時に、アーム16のピストン軸18が後退して、短縮し、(図3のように切削の邪魔とならない)退避状態となる。
【0011】
そして、両頭フライス盤1内蔵の数値制御装置でカッター6および7の当たり位置が計算され、この計算に基づいて基台2が左右に移動して基台2上に取りつけられた加工台3が左右に移動調整されるとともに、カッター6および7を取りつけた両頭部4および5が前後に移動調整される。
【0012】
しかる後、各両頭部4および5の対向面に取りつけられたカッター6および7が、駆動モータ8および9により適宜連動機構を介して回転し、被加工材10が前後両側から切削される。
【0013】
20,20はカッター6および7に近接して両頭部4および5に連結板21,21を介して取りつけたりミットスイッチで、両頭フライス盤1の数値制御装置に予め被加工材10の中心から切削する面までの距離を入力するとともに、カッター6および7で1回の切削作業で切削できる範囲も入力しておき、切り込み量が大きすぎるときは、このリミットスイッチ20,20が作動して切削作業が停止されるようにしている。なお、切り込み量が大きすぎるとき、カッター6および7での切り込み量を小さく変更することもできる。
【0014】
このように、この発明の被加工材位置決め用アーム16を備えた数値制御装置内蔵両頭フライス盤1では、両頭フライス盤1の一方の頭部4にアーム16を取りつけ、両頭フライス盤1に内蔵された数値制御装置を利用するだけで、加工台3の加工中心軸と加工台3上の被加工材10の中心とが一致するように、被加工材10を加工台3上に高精度で位置決めセットすることができ、被加工材10の切削を高精度で行うことができる。
【0015】
図5および図6はこの発明の数値制御装置内蔵フライス盤の他の実施例を示したもので、この数値制御装置内蔵立てフライス盤22は、中央部の基台23上に加工台24を前後左右移動調整可能に取りつける。即ち、内蔵された数値制御装置によって2次元的にこの基台23は移動制御される。また、加工台24の上方に頭部25を配設し、頭部25の下端面にカッター26を取りつけて、加工台24上に位置決めセットされる被加工材27を切削するようにしている。
【0016】
また、被加工材位置決め用アーム28は、基部が床やベッド等に固定され、立てフライス盤22とは別個に設置される。つまり、このアーム28は、床等に立設された支持台29と、その上端部に設けたシリンダ30等から成る。そして、このアーム28の先端―――シリンダ30のピストン軸31の先端―――にL字状の当接板32を設ける。
【0017】
しかして、予め加工台24上における当接板32(被加工材27)の任意の位置決めセット位置を、立てフライス盤22内蔵の数値制御装置に付属しているキーボードでインプットしておき、次いで、数値制御装置で加工台24を前後左右に移動調整して―――2次元的に移動制御して―――、当接板32を停止すると、加工台24の任意の点と当接板32の任意の点とが一致するように、当接板32の位置決めが行われる。
【0018】
このように当接板32の位置決めが行われた後、被加工材27を持って来て、当接板32に当接して、加工台24上に設置すると、加工台24の任意の点と加工台24上の被加工材27の任意の点とが一致して、被加工材27が加工台24上に位置決めセットされ、位置決めセットを終える。次に、図示省略のチャッキングにて被加工材27を加工台24上に固定すると、シリンダ30が短縮して、(切削の邪魔とならないような)退避(後退)位置に、当接板32は逃げる。
【0019】
そして、立てフライス盤22内蔵の数値制御装置でカッター26の当たり位置が計算され、この計算に基づいて加工台24が左右に移動調整されるとともに、カッター26が上下に移動調整される。
【0020】
しかる後、頭部25の下端面に取りつけられたカッター26が、駆動回転されて、被加工材27が切削される。
【0021】
このように、図5および図6に示すこの発明の数値制御装置内蔵立てフライス盤22では、立てフライス盤22と別個に構成されたアーム28を介して当接板32を保持する。立てフライス盤22に内蔵された数値制御装置を利用して加工台24を(2次元的に)移動調整するだけで、加工台24の任意の点と加工台24上の当接板32の任意の点とが一致するように、位置制御し、別途搬送してきた被加工材27の2面をこの当接板32に、当接させれば、被加工材27を加工台24上に高精度で位置決めセットすることができ、被加工材27の切削を高精度で行うことができる。
【0022】
特に、この立てフライス盤22においては、加工台24を前後左右に移動調整できるようにしているため、加工台24上への当接板32―――被加工材27―――の位置決めセットが一段と容易になり、図7に示すように、種々の大きさの被加工材33,34,35,36を順次に位置決めして位置決めセットすることもできる。
【0023】
なお、以上の実施例では、数値制御装置内蔵両頭フライス盤や立てフライス盤の例を挙げて説明したが、この発明はこのような数値制御装置内蔵フライス盤に限定されるものではなく、被加工材を位置決めする必要のある工作機械全てに応用することができ、同じ効果が得られる。また、上記実施例の数値制御装置内蔵フライス盤では、いずれも位置決めされる被加工材の任意の点を、数値制御装置に付属しているキーボードでインプットしているが、このような方法によらず、オンライン接続したパーソナルコンピュータにインプットして、オンラインで数値制御装置に伝達してもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にあっては、数値制御装置を内蔵した工作機械の数値制御装置そのものを活用するので、非常に高価で高度なロボットなどを使用することなく、極めて簡単なアーム16,28と当接板19,32を付加するだけで被加工材10,27を加工台3,24上に高精度で位置決めセットすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明工作機械の一実施例を示す側面図である。
【図2】
図1に示す本発明工作機械の作動状態を示す要部平面図である。
【図3】
図1に示す本発明工作機械の作動状態を示す要部平面図である。
【図4】
図1に示す本発明工作機械の要部斜視図である。
【図5】
本発明工作機械の他の例を示す平面図である。
【図6】
図5に示す本発明工作機械の正面図である。
【図7】
図5に示す本発明工作機械で位置決めする被加工材の加工台上での複数の位置決めセット位置を図示した説明図である。
【符号の説明】
1 両頭フライス盤(フライス盤)
2 基台
3,24 加工台
4,5,25 カッター用頭部
6,7,26 カッター
10,27,33,34,35,36 被加工材
16,28 位置決め用アーム
17,30 シリンダ
18,31 ピストン軸
19,32 当接板
20 リミットスイッチ
22 立てフライス盤(フライス盤)
 
訂正の要旨 訂正の要旨
特許第2774012号発明の明細書(以下「明細書」という。)を、訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち、次の各訂正事項ア〜工のとおり訂正する。
ア.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1に係る記載を、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として、
「数値制御装置内蔵工作機械における被加工材の位置決め方法に於いて、加工台3上に被加工材10を位置決めするために、該被加工材10の2面が当接する当接板19を、位置決め用アーム16の先端に付設し、かつ、該アーム16の一部を、カッター6を有する頭部4の一部に、取付け、上記当接板19の任意の点がインプットされた工作機械内蔵の数値制御装置で、該当接板19の任意の点と上記加工台3の任意の点とが一致するように、上記頭部4及び該加工台3を数値制御しつつ、上記頭部4を前後方向に、かつ、上記加工台3を左右方向に、各々、移動させて、位置制御し、その後、被加工材10の所定の2面を該当接板19に当接させて、上記加工台3上に被加工材10を位置決めセットすることを、特徴とする位置決め方法。」と訂正する。
イ.訂正事項b
特許請求の範囲の請求項3に係る記載を、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として、
「内蔵された数値制御装置にて往復制御される加工台3及びカッター用頭部4を備えた工作機械に於て、被加工材10を該加工台3上に位置決めするために、該被加工材10の所定の2面が当接する当接板19を備え、該当接板19は上記カッター用頭部4から延設された位置決め用アーム16の先端に設けられ、上記カッター用頭部4を上記数値制御装置にて前後方向に往復制御すると共に上記加工台3を上記数値制御装置にて左右方向に往復制御して、上記アーム16を介して上記当接板19を加工台3上に位置決めし、上記2面を該当接板19に当接して上記被加工材10を位置決めセットするように構成したことを特徴とする工作機械。」と訂正する。
ウ.訂正事項c
特許請求の範囲の請求項4に係る記載を、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として、
「内蔵された数値制御装置にて2次元的に移動制御される加工台24を備えた工作機械に於て、基部が固定された位置決め用アーム28の先端に、被加工材27を加工台24上に位置決めするために、該被加工材27の所定の2面が当接する当接板32を備え、上記加工台24を上記数値制御装置にて2次元的に移動制御して、上記当接板32を加工台24上に位置決めし、上記2面を該当接板32に当接して上記被加工材27を位置決めセットするように構成したことを特徴とする工作機械。」と訂正する。
エ.訂正事項d
明細書の段落【0004】を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「【課題を解決するための手段】
本発明はかかる現状に鑑み種々検討を行った結果なされたもので、その位置決め方法は、数値制御装置内蔵工作機械における被加工材の位置決め方法に於て、加工台上に被加工材を位置決めするために、該被加工材の2面が当接する当接板を、位置決め用アームの先端に付設し、かつ、該アームの一部を、カッターを有する頭部の一部に、取付け、上記当接板の任意の点がインプットされた工作機械内蔵の数値制御装置で、該当接板の任意の点と上記加工台の任意の点とが一致するように、上記頭部及び該加工台を数値制御しつつ、上記頭部を前後方向に、かつ、上記加工台を左右方向に、各々、移動させて、位置制御し、その後、被加工材の所定の2面を該当接板に当接させて、上記加工台上に被加工材を位置決めセットする位置決め方法である。
あるいは、本発明は、数値制御装置内蔵工作機械における被加工材の位置決め方法に於て、加工台上に被加工材を位置決めするために、該被加工材の2面が当接する当接板を、基部が固定の位置決め用部材の先端に付設し、上記当接板の任意の点がインプットされた工作機械内蔵の数値制御装置で、該当接板の任意の点と上記加工台の任意の点とが一致するように、該加工台を数値制御しつつ2次元的に移動させて、位置制御し、その後、被加工材の所定の2面を該当接板に当接させて、上記加工台上に被加工材を位置決めセットする位置決め方法である。
また、本発明の工作機械は、内蔵された数値制御装置にて往復制御される加工台及びカッター用頭部を備えた工作機械に於て、被加工材を該加工台上に位置決めするために、該被加工材の所定の2面が当接する当接板を備え、該当接板は上記カッター用頭部から延設された位置決め用アームの先端に設けられ、上記カッター用頭部を上記数値制御装置にて前後方向に往復制御すると共に上記加工台を上記数値制御装置にて左右方向に往復制御して、上記アームを介して上記当接板を加工台上に位置決めし、上記2面を該当接板に当接して上記被加工材を位置決めセットするように構成したものである。
あるいは、本発明の工作機械は、内蔵された数値制御装置にて2次元的に移動制御される加工台を備えた工作機械に於て、基部が固定された位置決め用アームの先端に、被加工材を加工台上に位置決めするために、該被加工材の所定の2面が当接する当接板を備え、上記加工台を上記数値制御装置にて2次元的に移動制御して、上記当接板を加工台上に位置決めし、上記2面を該当接板に当接して上記被加工材を位置決めセットするように構成したものである。」と訂正する。
異議決定日 2000-06-08 
出願番号 特願平4-79107
審決分類 P 1 651・ 03- YA (B23Q)
P 1 651・ 532- YA (B23Q)
P 1 651・ 121- YA (B23Q)
最終処分 維持  
前審関与審査官 和田 雄二  
特許庁審判長 小林 武
特許庁審判官 鈴木 孝幸
播 博
登録日 1998-04-24 
登録番号 特許第2774012号(P2774012)
権利者 共和金属株式会社
発明の名称 位置決め方法及び工作機械  
代理人 中谷 武嗣  
代理人 山内 康伸  
代理人 中谷 武嗣  
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