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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B65H
管理番号 1024050
異議申立番号 異議1999-73473  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-06-10 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-09-10 
確定日 2000-07-17 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2868460号「給紙装置」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2868460号の特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第2868460号は、平成8年5月29日(優先権主張1995年11月25日、大韓民国)に出願され、平成10年12月25日に特許権の設定の登録があり、特許掲載公報が平成11年3月10日に発行され、その後、平成11年9月10日付けで久米和子より特許異議の申立てがあり、取消理由を通知したところ、その指定期間内である平成12年4月25日に特許異議意見書の提出と共に訂正請求がされたものである。

2.訂正の適否
(1)訂正の内容
当該訂正は、特許請求の範囲の請求項1の記載中、
「上記一対の第1ガイドプレートは、第1のガイドリブ及び第1のテンション突起を有し、該第1のガイドリブは該第1ガイドプレートの両側に配してあり」とあるを、
「上記一対の第1ガイドプレートは、第1のガイドリブ及び第1のテンション突起を有し、該第1のガイドリブは該第1ガイドプレートの両側に配してあり、一対の第1のガイドリブの間の中心よりずれた部位に腕部を有し、上記ラック歯車部は、この腕部の側面のうち、一対の第1のガイドリブの間の中心側の面に形成してあり、上記第1のテンション突起は、この面とは反対側の面に設けた構成であり、」(以下、「訂正事項a」という。)とし、更に
「上記スリット状ガイド長孔は、上記カセット本体の中央側の部位に、上記第1のガイドリブを受け入れる開口部を有し」(以下、「訂正事項b」という。)を加えることを内容とする。

(2)訂正の目的の適否及び新規事項の追加、拡張・変更の存否
上記訂正事項aは「第1ガイドプレート」を図示されたとおりの具体的な形状に特定するものであり、訂正事項bはカセット本体の「スリット状ガイド長孔」の形状を具体的に特定するものであって、いずれも特許請求の範囲の減縮に該当し、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の事項であり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張するものでも、変更するものでもないと認める。

(3)独立特許要件の判断
(i)訂正明細書に係る発明について
訂正明細書の請求項1に係る発明は、訂正明細書および図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
【請求項1】
(A)カセット本体と、
(B)前記カセット本体に結合されて大きさの異なる用紙が選択的に安着可能なプレートと、
(C)前記カセット本体に設けてあるピニオンと、
(D)ラック歯車部を有し、該ラック歯車部を上記ピニオンと噛み合わせて、上記カセット本体に互いに反対方向にスライド可能に設けてあり、前記安着された用紙の幅方向の両側縁部をガイドする一対の第1ガイドプレートと、
(E)該第1ガイドプレートの夫々に取り付けてあり、前記プレートに安着された用紙の先端をガイドする第3ガイドプレートと、
(F)上記カセット本体にスライド可能に設けてあり、前記安着された用紙の後端をガイドする第2ガイドプレートとを有する給紙装置において、
(G)上記ピニオンが上記カセット本体の上面に設けてあり、上記カセット本体は上記一対の第1ガイドプレートのための第1のガイド長孔及び第1のロッキング溝、及び上記第2ガイドプレートのための第2のガイド長孔及び第2のロッキング溝を有し、該第1のガイド長孔は上記カセット本体の底板に平行に形成してある一対のスリット状ガイド長孔よりなり、該第2のガイド長孔はその両側の縁に沿って支持レールを有し、
(H)上記一対の第1ガイドプレートは、第1のガイドリブ及び第1のテンション突起を有し、該第1のガイドリブは該第1ガイドプレートの両側に配してあり、
一対の第1のガイドリブの間の中心よりずれた部位に腕部を有し、上記ラック歯車部は、この腕部の側面のうち、一対の第1のガイドリブの間の中心側の面に形成してあり、上記第1のテンション突起は、この面とは反対側の面に設けた構成であり、
(I)上記スリット状ガイド長孔は、上記カセット本体の中央側の部位に、上記第1のガイドリブを受け入れる開口部を有し、
(J)上記第2ガイドプレートは、第2のガイドリブ及び第2のテンション突起を有し、該第2のガイドリブは該第2ガイドプレートの両側に配してあり、
(K)上記一対の第1ガイドプレートは、上記カセット本体の上面に支持され、該両側の第1のガイドリブが夫々対応するスリット状ガイド長孔に嵌合して該カセット本体から外れない状態となっており、且つ、上記第1のテンション突起が上記第1のロッキング溝に係止された位置にロックされ、
(L)上記第2ガイドプレートは、上記カセット本体の上面に支持され、該両側の第2のガイドリブが夫々対応する支持レールに嵌合して該カセット本体から外れない状態となっており、且つ、上記第2のテンション突起が上記第2のロッキング溝に係止された位置にロックされる構成としたことを特徴とする給紙装置」
(符号(A)〜(L)は便宜上付した。)

(ii)引用刊行物
当審が通知した取消理由に引用した次の刊行物(引用例1ないし引用例5)には概略以下の技術が開示されている。
引用例1:特開平7-20617号公報
シート部材供給カセットに関するものであり、次の記載がある。
「本発明は、静電複写機及び静電印刷機の如き画像生成機において普通紙の如きシート部材を供給するために使用されるシート部材供給カセット、更に詳しくは収容されるシート部材を規制するための位置調整自在な規制手段が少なくとも1個配設されている形態のシート部材供給カセットに関する。」(段落【0001】)、
「図1及び図2を参照して説明を続けると、容器本体4の底面には、別個に成形された底壁部材20が固定されている。所望ならば、容器本体4の底壁を規定している底壁部材20を容器本体4と一体に形成することもできる。底壁部材20の右半部上には一対の幅規制手段、即ち前側幅規制手段22及び後側幅規制手段24が前後方向(図2において上下方向)に移動自在に装着されている。
………(略)………
延出部34の下面は底壁26の主部の下面よりも下方に突出せしめられており、延出部34に形成されている上記被案内溝38の底面が底壁26の主部の下面と同一平面をなす。
………(略)………
上記底壁部材20の上面の前後方向中央部には、実質上鉛直に延びる中心軸線を中心として回転自在にピニオン歯車46が装着されている。
………(略)………
かくして、前側幅規制手段22及び後側幅規制手段24の双方が底壁部材20上に前後方向に移動自在に装着されると共に、前側幅規制手段22と後側幅規制手段24との前後方向移動がラック36及び42並びにピニオン歯車46によって連動せしめられる。」(段落【0016】)
「前側幅規制手段22及び後側幅規制手段24の各々には、周知の形態でよい爪部材52及び54が装着されている。」(段落【0017】)
「上記底壁部材20の左半部には、前後方向(図2において上下方向)に移動自在に後端規制手段60が装着されている。底壁部材20の左半部には左右方向に延びる細長いスロット62が形成されている。更に、このスロット62の前側及び後側において、底壁部材20の上面上には、交互に形成された多数の凹凸から構成された静止係止手段64及び66が配設されている。適宜の合成樹脂から形成することができる後端規制手段60は、底壁67とこの底壁67から実質上鉛直に上方に延びる直立規制壁68とを有する。底壁67の下面には装着アーム(図示していない)が形成されており、かかる装着アームを弾性変形せしめて上記スリット62を通して底壁部材20の下面に係止せしめることによって、後端規制手段60がスリット62に沿って左右方向に移動自在に底壁部材20に装着される。後端規制手段60には、更に、その底壁67の後端から上方に突出する操作片70も形成されていると共に、その底壁67の下面後端から下方に突出する係止突起(図示していない)が形成されている、かかる係止突起はスロット62の両側において上記静止係止手段64及び66の凹凸に係止せしめられ、かくして後端規制手段60が設定位置にロックされる。」(段落【0018】)
「前側幅規制手段22を設定位置にロックするためのロック機構90が配設されている。このロック機構90は、前側幅規制手段22の直立規制壁28の外側面即ち前側面(図1において下側面)に装着された係止部材92と、上記底壁部材20上に形成された静止被係止手段94とから構成されている。
………(略)………
係止部材92は、上下方向に延びる主壁部104とこの主壁部104の右側面前縁及び後縁から左右に突出する1対の突出壁部106を有する。
………(略)………
主壁部104の下端部右側面には前後方向に交互に位置する溝及び突起から構成された係止部110が形成されている。
………(略)………
底壁部材20の上面には前後方向に延びる溝116が形成されており、かかる溝116の右側面に上記静止被係止手段94が配設されている。」(段落【0022】)
そして、当該引用例記載のシート部材供給カセットは「種々の寸法のシート部材に適用され得る」もの(段落【0002】参照)と解されるから、上記摘記箇所等の明細書及び図面の記載からみて、次の発明が開示されているものと認める。
「(イ)容器本体4と、
(ロ)前記容器本体4に結合されて大きさの異なる用紙が選択的に載置可能な乗載板72と、
(ハ)容器本体4の底壁部部材20に装着されてあるピニオン歯車46と、
(ニ)ラックを有し、該ラックをピニオン歯車46に係合せしめて、互いに反対方向に移動自在に装着されてあり、幅方向の両側縁部をガイドする前側幅規制手段22及び後側幅規制手段24と、
(ホ)前側及び後側幅規制手段22.24の各々に装着された爪部材52、54と、
(ヘ)スリット62に沿って左右方向に移動自在に底壁部材20に装着された後端規制手段60とを有する
シート部材供給カセット」であって、
「(ト)ピニオン歯車46が容器本体4の上面に装着されてあり、前側幅規制手段22のための静止被係止手段94、後端規制手段60のためのスロット62及び静止係止手段64、66を有し、
(チ)後端規制手段60は装着アーム及び底壁67の下面後端から下方に突出する係止突起を有し、装着アームは後端規制手段60に両側に配してあり、
(リ)前側及び後側幅規制手段22.24は、容器本体4の上面に支持され、且つ、係止部110が静止被係止手段94に係止された位置にロックされ、
(ヌ)後端規制手段60は、容器本体4の上面に支持され、該両側の装着アームがスロット62の長手両側縁部に嵌合して容器本体4から外れない状態となっており、且つ後端規制手段60の底壁67の下面後端から下方に突出する係止突起が静止係止手段64、66に係止された位置にロックされる
構成を備えたもの」
(以下、「引用発明」という。なお、符号(イ)〜(ヌ)は便宜上付した。)

引用例2:特開平2-305725号公報
積層シートのための供給マガジンに関するものであって、マガジンの底内面に平行に形成された開口スロット17、17を有し、規制部材12の両側の保持アーム21がそれぞれ対応する開口スロットに嵌合し、開口スロットに沿ってスライド移動自在であり、かつマガジンから外れない状態となっている規制部材の取付構造が開示されている。(3頁上左欄11行〜下左欄6行、4頁下左欄4行〜下右欄1行、および図面参照)

引用例3:実願昭59-58278号(実開昭60-170342号)のマイクロフィルム
用紙供給装置に関するものであって、紙置台面に平行に形成された長孔を有し、両側に突起が配されたスライダを有し、突起が長孔に嵌合し、長孔に沿ってスライド移動自在にかつ紙置台から外れない状態となっている、スライダの取付構造が開示されている。(実用新案登録請求の範囲および図面参照)

引用例4:実願昭53-140595号(実開昭55-58555号)のマイクロフィルム
用紙受台に関するものであって、用紙の先端および側端を規制する規制板が保持材に一体的に取付られており、保持材には固定用片が設けられてなる構成が開示されている。(4頁3〜16行および図面参照)

引用例5:実願昭59-58278号(実開昭60-170342号)のマイクロフィルム
複写機の給紙カセットに関するものであって、複写紙の規制部材には係止用の突起が具備されてなる構造が開示されている。(4頁7行〜5頁11行および図面参照)

(iii)対比・判断
訂正発明と引用発明とを対比すると、後者の「容器本体4」「シート部材」「乗載板72」「ピニオン歯車46」「ラック36、42」「前側及び後側の幅規制手段22、24」「爪部材52、54」「後端規制手段60」「静止被係止手段94」「スロット62」「静止係止手段64、66」「スロット62の長手両側縁部」「溝及び突起から構成された係止部110」「装着アーム」「後端規制手段60の底壁67の下面後端から下方に突出する係止突起」は、前者の「カセット本体」「用紙」「プレート」「ピニオン」「ラック歯車部」「一対の第1ガイドプレート」「第3ガイドプレート」「第2ガイドプレート」「第1のロッキング溝」「第2のガイド長孔」「第2のロッキング溝」「支持レール」「第1のテンション突起」「第2のガイドリブ」「第2のテンション突起」にそれぞれ相当するから、後者の構成(イ)〜(ヌ)は、前者の構成(A)〜(G)、(J)〜(L)にそれぞれ相当し、それらの構成を備えた点で一致するものの、後者は、前者の構成(H)および(I)に相当する構成を備えていない点で相違する。
すなわち、相違点は次のとおりである。
[相違点1]
訂正発明の第1ガイドプレートが、「第1のガイドリブ及び第1のテンション突起を有し、該第1のガイドリブは該第1ガイドプレートの両側に配してあり、一対の第1のガイドリブの間の中心よりずれた部位に腕部を有し、上記ラック歯車部は、この腕部の側面のうち、一対の第1のガイドリブの間の中心側の面に形成してあり、上記第1のテンション突起は、この面とは反対側の面に設けた構成」であるのに対し、引用発明の「前側及び後側の幅規制手段22、24」はそのような構成となっていない。
[相違点2]
訂正発明のスリット状ガイド長孔は、「カセット本体の中央側の部位に、上記第1のガイドリブを受け入れる開口部を有し」ているものであるのに対し、引用発明の「第2のガイド長孔」はそのような構成となっていない。

上記相違点について検討するに、引用例2〜5を検討しても、上記構成(H)および(I)については記載されていない。引用例2〜3は、訂正発明の第1ガイドプレートのカセット本体に対する取付構造に相当する構造に関するものではあるが、具体的構成は当該構成(H)とは異なるものである。また、引用例4、5も「テンション突起」に相当するものについての記載に留まる。
してみると、引用例2〜5の記載を参酌しても、上記構成(H)および(I)まで示唆されるものとも認められない。
それに対し、訂正発明は、上記各相違点に係る構成(H)および(I)を有することにより、「部品点数が少なくて済み、構造が簡単に出来、よって、給紙装置の組立を簡単に行うことができる」(段落【0018】参照)といった明細書記載の作用、効果を奏することができるものと解される。
したがって、引用例1ないし引用例5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認めることができない。
よって、引用例1ないし引用例5をもってしては、訂正発明を特許出願の際、独立して特許を受けることができない発明とすることはできない。
また、他に、当該発明について特許を受けることができない発明とする理由は見い出せない。

(4)結論
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び第3項で準用する第126条第2項ないし第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについて
(1)申立ての理由の概要
異議申立人久米和子 は、証拠として、甲第1号証:特開平7-20617号公報(上記引用例1に相当)、甲第2号証:特開平2-305725号公報(上記引用例1に相当)、甲第3号証:実願昭59-58278号(実開昭60-170342号)のマイクロフィルム(上記引用例1に相当)、甲第4号証:実願昭53-140595号(実開昭55-58555号)のマイクロフィルム(上記引用例1に相当)を提出し、本件の請求項1に係る発明は甲第1号証ないし甲第4号証の存在により、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである旨主張する。

(2)判断
本件の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、上記訂正が認められた結果、前記訂正発明のとおりのものとなっており、甲第1号証ないし甲第4号証は、上記引用例1ないし引用例4にそれぞれ対応するものである。
したがって、本件発明と甲号各証に記載された発明との対比判断は、前記2(3)に示したものと同様である。
よって、本件に係る発明が甲号各証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
給紙装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 カセット本体と、
前記カセット本体に結合されて大きさの異なる用紙が選択的に安着可能なプレートと、
前記カセット本体に設けてあるピニオンと、
ラック歯車部を有し、該ラック歯車部を上記ピニオンと噛み合わせて、上記カセット本体に互いに反対方向にスライド可能に設けてあり、
前記安着された用紙の幅方向の両側縁部をガイドする一対の第1ガイドプレートと、
該第1ガイドプレートの夫々に取り付けてあり、前記プレートに安着された用紙の先端をガイドする第3ガイドプレートと、
上記カセット本体にスライド可能に設けてあり、前記安着された用紙の後端をガイドする第2ガイドプレートとを有する給紙装置において、
上記ピニオンが上記カセット本体の上面に設けてあり、
上記カセット本体は上記一対の第1ガイドプレートのための第1のガイド長孔及び第1のロッキング溝、及び上記第2ガイドプレートのための第2のガイド長孔及び第2のロッキング溝を有し、該第1のガイド長孔は上記カセット本体の底板に平行に形成してある一対のスリット状ガイド長孔よりなり、該第2のガイド長孔はその両側の縁に沿って支持レールを有し、
上記一対の第1ガイドプレートは、第1のガイドリブ及び第1のテンション突起を有し、該第1のガイドリブは該第1ガイドプレートの両側に配してあり、一対の第1のガイドリブの間の中心よりずれた部位に腕部を有し、上記ラック歯車部は、この腕部の側面のうち、一対の第1のガイドリブの間の中心側の面に形成してあり、上記第1のテンション突起は、この面とは反対側の面に設けた構成であり、 上記スリット状ガイド長孔は、上記カセット本体の中央側の部位に、上記第1のガイドリブを受け入れる開口部を有し、
上記第2ガイドプレートは、第2のガイドリブ及び第2のテンション突起を有し、該第2のガイドリブは該第2ガイドプレートの両側に配してあり、
上記一対の第1ガイドプレートは、上記カセット本体の上面に支持され、該両側の第1のガイドリブが夫々対応するスリット状ガイド長孔に嵌合して該カセット本体から外れない状態となっており、且つ、上記第1のテンション突起が上記第1のロッキング溝に係止された位置にロックされ、
上記第2ガイドプレートは、上記カセット本体の上面に支持され、該両側の第2のガイドリブが夫々対応する支持レールに嵌合して該カセット本体から外れない状態となっており、且つ、上記第2のテンション突起が上記第2のロッキング溝に係止された位置にロックされる構成としたことを特徴とする給紙装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】
本発明は複写機、プリンターなどのOA機器に用いられる給紙装置に係り、さらに詳細には多様な用紙の大きさに応じて用紙の収納空間を調整することができる給紙装置に関する。
【従来の技術】
一般にOA機器には用紙を自動的に一枚ずつ供給するための給紙装置が用いられている。
かかる従来の給紙装置は、図1に示したように、本体をなすカセット1と、用紙の幅を調整する側面ガイド6と、用紙の長さを調整する長さ調整ガイド3と、前記カセット1に固定されて弾性付勢力を与える弾性部材1hにより支持されて前記用紙を載せるように構成されたプレート2と、用紙の先端縁部を押すガイド片5aの備えられたスナバ5とから構成されている。そして、前記カセット本体1の内には前記側面ガイド6の突起部6a及び長さ調整ガイド3の突起部3bが安着される位置設定溝(1a〜1f)と、前記長さ調整ガイド3がスライディングされるようにガイドする長孔部1gが備えられる。
ここで、プレート2、側面ガイド6、長さ調整ガイド3及びカセット1の側壁1j,1kは用紙収納空間を形成する。
前記のような構造の給紙装置において、相異なる大きさの用紙に応じて前記カセット1の用紙収納空間の幅を変更するときは、前記側面ガイド6の突起部6aを前記カセット本体1に形成された幅位置設定溝1a,1b,1cのうち適切な位置に嵌め込む。これにより、供給される用紙の大きさに合わせてカセット1の用紙収納空間の幅が調整される。例えば、A4大きさの用紙を使用するときは前記側面ガイド6の突起部6aを参照番号1aの溝に嵌め込み、手紙大きさの用紙を使用するときは参照番号1bの溝に嵌め込む。
また、異なる大きさの用紙が供給されることにより前記カセット1の用紙収納空間の長さを変更するときは、前記長さ調整ガイド3に取り付けられているテンションバー3aを手に持ち記長孔部1bに沿って長さ調整ガイド3を前後に移動させる。この際、前記長さ調整ガイド3の突起部3bを前記カセット本体1に形成された長さ位置設定溝1d,1e,1fに係止させることにより、前記用紙収納空間の長さを供給される用紙のサイズに合わせて調整する。
したがって、前記のような従来の給紙装置で所望の用紙の大きさに応じてカセットを調整する場合、前記側面ガイド6を前記カセット本体1から毎度着脱しなければならないので使用が不便であり、頻繁な着脱による前記側面ガイド6の紛失の恐れもある。
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記のような問題点を解決するために案出されたものであり、多様な大きさの用紙に応じてその用紙の収納される空間を容易に変更するようになる給紙装置を提供することにその目的がある。
本発明の他の目的は、異なる大きさの用紙が供給されるときに用紙をガイドするガイドプレートを着脱する作業を無くすことによりガイドプレートの紛失の恐れを取り除いた給紙装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明の給紙装置は、カセット本体と、前記カセット本体に結合されて大きさの異なる用紙が選択的に安着可能なプレートと、前記カセット本体内に位置されて前記安着された用紙の幅方向の両側縁部をガイドし、所定の連動手段により相互反対方向に移動される一対の第1ガイドプレートを備える第1ガイド手段と、前記カセット本体内に位置されて前記安着された用紙の後端をガイドする第2ガイド手段とを含むことを特徴とする。
ここで、前記連動手段は、前記カセット本体にピニオンを回転自在に設け、前記一対の第1ガイドプレートにピニオンと噛み合うラック歯車部をそれぞれ形成する。したがって、そのピニオンの回転方向に応じて前記一対の第1ガイドプレートがそれぞれ用紙の幅方向に連動して移動可能にする。
前記第2ガイド手段は前記カセット本体の用紙の長手方向に第2ガイド長孔が形成され、該第2ガイド長孔にスライディング自在に結合される第2ガイドプレートを備えることが望ましい。
【発明の実施の形態】
以下、添付した図面に基づき本発明をさらに詳細に説明する。
図2は本発明による給紙装置の一実施例の分解斜視図である。図2に示したように、本発明の給紙装置は、カセット本体100と、前記カセット本体100に結合されて大きさの異なる用紙が選択的に安着可能なプレート200と、前記カセット本体100の内に位置されて前記選択された用紙の幅方向の両側縁部をガイドして相互所定の連動手段により反対方向に共に移動される一対の第1ガイドプレート500を備える第1ガイト手段と、前記カセット本体100の内に位置されて前記選択された用紙の後端をガイドする第2ガイド手段とを具備する。
前記連動手段は、前記カセット本体100に回転自在に設けられたピニオン600と、前記一対の第1ガイドプレート500にそれぞれ形成されてピニオン600と噛み合うラック歯車部502を含む。このような連動手段はピニオン600の回転方向に応じて前記一対の第1ガイドプレート500をそれぞれ用紙の幅方向に連動して移動可能にする。
また、前記各第1ガイドプレート500にガイドリブ503が形成される。そして、前記カセット本体100には前記各ガイドリブ503がスライディング可能に結合されて前記用紙の幅方向に複数の第1ガイド長孔104a,104bを形成してなるガイド手段がさらに備えられている。
また、前記第1ガイドプレート500を所定の位置に固定させる第1位置固定手段がさらに備えられる。ここで、前記第1位置固定手段には、図4及び図5に示したように前記第1ガイドプレート500に形成されて弾性変形可能なテンション突起501が備えられる。そして、カセット本体100に前記テンション突起501が弾力的にロッキングされて所定の間隔に隔てて形成された複数のロッキング溝101が備えられる。
一方、用紙の長手方向の大きさ変更をガイドする第2ガイド手段には、カセット本体100の内に用紙の長手方向に形成された第2ガイド長孔103が備えられる。そして、第2ガイド手段には前記第2ガイド長孔103の支持レール103aに沿ってスライディング自在に結合される第2ガイドプレート300が備えられる。また、第2ガイド手段には前記第2ガイドプレート300を所定の位置に固定させる第2位置固定手段がさらに備えられる。
前記第2位置固定手段は、図6及び図7に示したように、前記第2ガイドプレート300に形成されて弾性変形可能なテンション突起301が備えられる。そして、前記カセット本体100に前記テンション突起301が弾力的にロッキングされて所定の間隔に隔てて形成された複数のロッキング溝303が備えられる。
また、前記プレート200に安着された用紙の先端をガイドする第3ガイドプレート400がさらに備えられる。前記第3ガイドプレート400はその一端に形成された結合口400bが前記第1ガイドプレート500に固定された連結ピン500bに結合してから回転してその水平部が第1ガイドプレートの外側に突出している係止部500aに安着される。かつ、前記結合口400bの他端には前記用紙の先端上面と接触されるガイド片400aが備えられる。
また、前記プレート200の一端部に形成されている結合口200aはカセット本体100に固定された連結ピン200bに締結される。前記プレート200は前記カセット本体100に固定された板ばね105により弾力的に支持される。
前記のような構造において、異なる大きさの用紙が供給されることにより前記カセット100の用紙収納空間の幅を変更するときは、前記一対の第1ガイドプレート500のうちいずれか一つを押引して移動させる。すると、その一対の第1ガイドプレート500とラック歯車部502に連結されたピニオン600が回転しながら第1ガイドプレート500は連動されて反対方向の運動をする。この際、一対の第1ガイドプレート500は、図3乃至図5に示したように、前記カセット本体100に形成された第1ガイド長孔104a,104bに沿ってスライディングしながら第1ガイドプレートに形成されている第1のテンション突起501がカセット本体100に形成されている第1のロッキング溝101に係止されて所望の位置を取る。
また、他の大きさの用紙が供給されることにより前記カセット100の用紙収納空間の長さを変更するときは、図6及び図7に示したように、第2ガイドプレート300を前後方向に移動させる。この際、第2ガイドプレート300が前記カセット本体100に形成された第2ガイド長孔103に沿ってスライディングしながらその第2ガイドプレート300に形成されている第2のテンション突起301が前記カセット本体100に形成されている第2のロッキング溝303に係止されて所望の位置を取る。ここで、前記第1ガイドプレート500及び第2ガイドプレート300に備えられているテンション突起501,301は、図3及び図6に示したように弾性付勢特性を有する締結手段として作用する。よって、少ない力でも前記ロッキング溝101,303からテンション突起501,301を緩むことができて所望の位置に容易に移動させうる。
また、図8に示した実施例のように、カセット本体100のロッキング溝101,303及び前記第1ガイドプレート500と第2ガイドプレート300のテンション突起部501,301を鋸の歯状に構成しても本発明は実現可能である。
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、従来の給紙装置で所望の用紙の大きさに応じてカセット用紙収納空間を調整する場合に発生した問題点を解決することができる。即ち、ガイドプレートをカセット本体上から毎度着脱する不便さを取り除くことによりガイドプレートの紛失の恐れを防止することができる。また、ピニオンがカセット本体の上面に設けてあるため、一対の第1ガイドプレートをカセット本体の上面側からカセット本体に組み付けることが出来、また、第2ガイドプレートもカセット本体の上面側からカセット本体に組み付けることが出来、また、部品点数が少なくて済み、構造が簡単に出来、よって、給紙装置の組立を簡単に行うことが出来る。
本発明は図面に示した実施例を参照して説明したが、これは例示的なものに過ぎず、本発明の技術の通常の知識を持つ者ならば、多様な変形及び均等な他の実施例が可能であることは理解しなければならな
い。したがって、本発明の真の技術的な保護範囲は特許請求の範囲の
技術的思想により定められるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
従来の給紙装置を示した分解斜視図である。
【図2】
本発明による給紙装置を示した分解斜視図である。
【図3】
図2に示した第1ガイドプレートのテンション突起部がカセット本体に形成されたロッキング溝に係止されている状態を示す断面図である。
【図4】
図2に示した第1ガイドプレートとピニオンの組立断面図である。
【図5】
図2に示した第1ガイドプレートとピニオンの組立平面図である。
【図6】
図2に示した第2ガイドプレートと突起部の安着状態の背面図である。
【図7】
図2に示した第2ガイドプレートとカセット本体の組立断面図である。
【図8】
図3及び図6に示したガイドプレートの突起部を鋸の歯状に変形した一実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
100 カセット本体
101 ロッキング溝
103 第2ガイド長孔
104a,104b 第1ガイド長孔
105 板ばね
200 プレート
200a,400b 結合口
200b 連結ピン
300 第2ガイドプレート
301 テンション突起
400 第3ガイドプレート
400a ガイド片
500 第1ガイドプレート
500a 係止部
501 テンション突起
502 ラック歯車部
503 ガイドリブ
600 ピニオン
 
訂正の要旨 ◎訂正事項
特許請求の範囲の請求項1の記載、
「カセット本体と、
前記カセット本体に結合されて大きさの異なる用紙が選択的に安着可能なプレートと、
前記カセット本体に設けてあるピニオンと、
ラック歯車部を有し、該ラック歯車部を上記ピニオンと噛み合わせて、上記カセット本体に互いに反対方向にスライド可能に設けてあり、前記安着された用紙の幅方向の両側縁部をガイドする一対の第1ガイドプレートと、
該第1ガイドプレートの夫々に取り付けてあり、前記プレートに安着された用紙の先端をガイドする第3ガイドプレートと、
上記カセット本体にスライド可能に設けてあり、前記安着された用紙の後端をガイドする第2ガイドプレートとを有する給紙装置において、
上記ピニオンが上記カセット本体の上面に設けてあり、上記カセット本体は上記一対の第1ガイドプレートのための第1のガイド長孔及び第1のロッキング溝、及び上記第2ガイドプレートのための第2のガイド長孔及び第2のロッキング溝を有し、該第1のガイド長孔は上記カセット本体の底板に平行に形成してある一対のスリット状ガイド長孔よりなり、該第2のガイド長孔はその両側の縁に沿って支持レールを有し、
上記一対の第1ガイドプレートは、第1のガイドリブ及び第1のテンション突起を有し、該第1のガイドリブは該第1ガイドプレートの両側に配してあり、
上記第2ガイドプレートは、第2のガイドリブ及び第2のテンション突起を有し、該第2のガイドリブは該第2ガイドプレートの両側に配してあり、
上記一対の第1ガイドプレートは、上記カセット本体の上面に支持され、該両側の第1のガイドリブが夫々対応するスリット状ガイド長孔に嵌合して該カセット本体から外れない状態となっており、且つ、上記第1のテンション突起が上記第1のロッキング溝に係止された位置にロックされ、
上記第2ガイドプレートは、上記カセット本体の上面に支持され、該両側の第2のガイドリブが夫々対応する支持レールに嵌合して該カセット本体から外れない状態となっており、且つ、上記第2のテンション突起が上記第2のロッキング溝に係止された位置にロックされる構成としたことを特徴とする給紙装置。」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「カセット本体と、
前記カセット本体に結合されて大きさの異なる用紙が選択的に安着可能なプレ一トと、
前記カセット本体に設けてあるピニオンと、
ラック歯車部を有し、該ラック歯車部を上記ピニオンと噛み合わせて、上記カセット本体に互いに反対方向にスライド可能に設けてあり、前記安着された用紙の幅方向の両側縁部をガイドする一対の第1ガイドプレートと、
該第1ガイドプレートの夫々に取り付けてあり、前記プレートに安着された用紙の先端をガイドする第3ガイドプレートと、
上記カセット本体にスライド可能に設けてあり、前記安着された用紙の後端をガイドする第2ガイドプレートとを有する給紙装置において、
上記ピニオンが上記カセット本体の上面に設けてあり、上記カセット本体は上記一対の第1ガイドプレートのための第1のガイド長孔及び第1のロッキング溝、及び上記第2ガイドプレートのための第2のガイド長孔及び第2のロッキング溝を有し、該第1のガイド長孔は上記カセット本体の底板に平行に形成してある一対のスリット状ガイド長孔よりなり、該第2のガイド長孔はその両側の縁に沿って支持レールを有し、
上記一対の第1ガイドプレートは、第1のガイドリブ及び第1のテンション突起を有し、該第1のガイドリブは該第1ガイドプレートの両側に配してあり、一対の第1のガイドリブの間の中心よりずれた部位に腕部を有し、上記ラック歯車部は、この腕部の側面のうち、一対の第1のガイドリブの間の中心側の面に形成してあり、上記第1のテンション突起は、この面とは反対側の面に設けた構成であり、
上記スリット状ガイド長孔は、上記カセット本体の中央側の部位に、上記第1のガイドリブを受け入れる開口部を有し、
上記第2ガイドプレートは、第2のガイドリブ及び第2のテンション突起を有し、該第2のガイドリブは該第2ガイドプレートの両側に配してあり、
上記一対の第1ガイドプレートは、上記カセット本体の上面に支持され、該両側の第1のガイドリブが夫々対応するスリット状ガイド長孔に嵌合して該カセット本体から外れない状態となっており、且つ、上記第1のテンション突起が上記第1のロッキング溝に係止された位置にロックされ、
上記第2ガイドプレートは、上記カセット本体の上面に支持され、該両側の第2のガイドリブが夫々対応する支持レールに嵌合して該カセット本体から外れない状態となっており、且つ、上記第2のテンション突起が上記第2のロッキング溝に係止された位置にロックされる構成としたことを特徴とする給紙装置。」
と訂正する。
異議決定日 2000-06-22 
出願番号 特願平8-135527
審決分類 P 1 651・ 121- YA (B65H)
最終処分 維持  
前審関与審査官 関谷 一夫  
特許庁審判長 村本 佳史
特許庁審判官 船越 巧子
市野 要助
登録日 1998-12-25 
登録番号 特許第2868460号(P2868460)
権利者 三星電子株式会社
発明の名称 給紙装置  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 片山 修平  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 片山 修平  

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