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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A61F
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  A61F
管理番号 1024088
異議申立番号 異議1998-75220  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1990-01-11 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-10-28 
確定日 2000-06-12 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2744048号「弾性成形手段を有する生理用ナプキン」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2744048号の請求項1、2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第2744048号に係る特許は、その出願が平成1年2月22日の出願(優先権主張、1988年2月26日、米国)であって、平成10年2月6日に特許権の設定の登録があり、平成10年10月27日付けで特許異議申立人プロクター・アンド・ギャンブル・ファーイースト・インクから、平成10年10月28日付けで特許異議申立人ユニ・チャーム株式会社及び特許異議申立人花王株式会社から、それぞれ特許異議の申立てがあり、平成11年10月12日付けで取消理由を特許権者に通知したところ、平成12年5月1日付けで意見書及び訂正請求書が提出された。

2.訂正の内容
訂正事項(1)
請求項1を削除する。また、これに伴い、請求項2及び3の項番号をそれぞれ繰り上げて、新請求項1及び2とする。
訂正事項(2)
請求項1及び2(原請求項2及び3)の(b)に、「該吸収性要素の該縦側部の各々の中央部付近に配置された」なる記載を加入する。
訂正事項(3)
請求項1及び2(原請求項2及び3)の(b)に、「該肌着の股部分の側部上に折り返すための」なる記載を加入する。
訂正事項(4)
請求項1(原請求項2)の(c)の「肌着に面する側面上に折り返す該フラップの一方を形成するために」を、『該フラップの少なくとも一方を肌着に面する側面上に折り返すために』と訂正する。
訂正事項(5)
明細書における3箇所の誤記を、下記のとおり訂正する。
(イ)明細書第3頁第18行又特許公報第2頁第3欄第20行の
「名目な」を、『名目的な』と訂正する。
(口)明細書第5頁第8行又特許公報第2頁第3構第46行の
「ために」を、『ための』と訂正する。
(ハ)明細書第5頁第16行又特許公報第2頁第4欄第4行の
「伝える」を、『与える』と訂正する。
訂正事項(6)
明細書第10頁第4行又特許公報第3頁第5欄第31行の「形成する」を、『吸収性要素の縦側部の各々の中央部付近に形成する』と訂正する。
訂正事項(7)
明細書第18頁第10行乃至第19頁第10行又特許公報第4頁第8欄第22〜41行の「1.(a)・・・生理用ナプキン。」なる記載を、下記のとおり訂正する。
『1.(a)縦に延びる側部と、横端部と、身体に面する側面と、肌着に面する側面とを有する吸収性要素と、
(b)該吸収性要素の該縦側部の各々から横に延びており、該吸収性要素の該縦側部の各々の中央部付近に配置された、該肌着の股部分の側部上に折り返すためのフラップと、
(c)該フラップの少なくとも一方を肌着に面する側面上に折り返すために、該フラップの少なくとも一方内に配置された弾性手段と
を含むことを特徴とする生理用ナプキン。』
訂正事項(8)
明細書第19頁第11行乃至第21頁第4行又特許公報第4頁第8欄第42行乃至第5頁第9欄第20行の「6.・・・生理用ナプキン。」なる記載における番号を、下記のとおり訂正する。
(イ)明細書第19頁第20行(末行)又は特許公報第4頁第8欄第49行の「7.」を、『2.』と訂正する。
(ロ)明細書第20頁第1行又は特許公報第4頁第8欄第50行の「上記6」を、『上記1』と訂正する。
(ハ)明細書第20頁第2行又は特許公報第5頁第9欄第1行の「8.」を、「3.」と訂正する。
(ニ)明細書第20頁第7行又は特許公報第5頁第9欄第5行の「上記6」を、『上記1』と訂正する。
(ホ)明細書第20頁第8行又は特許公報第5頁第9欄第6行の「9.」を、『4.』と訂正する。
(へ)明細書第20頁第10行又は特許公報第5頁第9欄第8行の「上記7」を、『上記2』と訂正する。
(ト)明細書第20頁第12行又は特許公報第5頁第9欄第9行の「10.」を、『5.』と訂正する。
(チ)明細書第20頁第14行又は特許公報第5頁第9欄第11行の「上記9」を、『上記4』と訂正する。
(リ)明細書第20頁第15行又は特許公報第5頁第9欄第12行の「11.」を、『6.』と訂正する。
(ヌ)明細書第20頁第17行又は特許公報第5頁第9欄第14行の「上記10」を、『上記5』と訂正する。
(ル)明細書第20頁第19行又は特許公報第5頁第9欄第15行の「12.」を、『7.』と訂正する。
(ヲ)明細書第20頁第20行(末行)又は特許公報第5頁第9欄第16行の「上記6」を、『上記1』と訂正する。
(ワ)明細書第21頁第2行又は特許公報第5頁第9欄第18行の「13.」を、『8.』と訂正する。
(力)明細書第21頁第3行又は特許公報第5頁第9欄第19行の「上記12」を、『上記7』と訂正する。
訂正事項(9)
明細書第21頁第5〜8行又は特許公報第5頁第9欄第21〜24行の「14.該弾性細片が、・・・生理用ナプキン。」なる記載を、
『9.該弾性細片が、該フラップ上に配置され、該フラップを該ナプキンの肌着に面する側面上に折り返すために、引っ張り状態において付着される上記8に記載の生理用ナプキン。』と訂正する。
訂正事項(10)
明細書第21頁第9〜17行又は特許公報第5頁第9欄第25行乃至第10欄第5行の「15.(a)・・・生理用ナプキン。」なる記載を、請求項2の記載に対応するように、下記のとおり訂正する。
『10.(a)縦に延びる側部と、横端部とを有する吸収性要素と、
(b)該吸収性要素の該縦側部の各々から横に延びており、該吸収性要素の該縦側部の各々の中央部付近に配置された、該肌着の股部分の側部上に折り返すためのフラップと、
(c)該フラップの一方の肌着に面する側面により凹な形状を提供するために、該フラップの少なくとも一方内に縦に配置された弾性手段と
を含むことを特徴とする身体に面する側面と肌着に面する側面とを
有する生理用ナプキン。』
訂正事項(11)
明細書第21頁第18行乃至第22頁第2行又特許公報第5頁第10欄第6〜10行の記載における番号を、下記のとおり訂正する。
(イ)明細書第21頁第18行又は特許公報第5頁第10欄第6行の「16.」を、『11.』と訂正する。
(ロ)明細書第21頁第19行又は特許公報第5頁第10欄第6行の「上記15」を、『上記10』と訂正する。
(ハ)明細書第21頁第20行(末行)又は特許公報第5頁第10欄第8行の「17.」を、『12.』と訂正する。
(ニ)明細書第22頁第1〜2行又は特許公報第5頁第10欄第9行の「上記16」を、『上記11』と訂正する。

3.訂正の適否(目的要件、新規事項、拡張・変更)
本件訂正のうち、訂正事項1乃至訂正事項4は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、訂正事項5は誤記の訂正を目的とするものであり、訂正事項6乃至訂正事項11は明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
また、本件訂正は、願書に添付した明細書又は図面の記載事項の範囲内の訂正と認められ、特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。

4.独立特許要件の判断
4-1.取消理由通知の概要
理由1
本件請求項1(訂正請求により削除された。)に係る発明は、その優先権主張日前の出願であって、その優先権主張前に公表された特願昭63-500763号(特表平2-501710号公報)(出願:昭和62年12月17日、公表:平成2年6月14日)(以下、先願明細書1という)又は特願昭63-500764号(特表平2-501625号公報)(出願:昭和62年12月17日、公表:平成2年6月7日)(以下、先願明細書2という)の先願明細書又は図面に記載された発明と同一と認められ、本件請求項2及び請求項3(訂正後の請求項1及び請求項2)は、いずれも前記先願明細書1の明細書又は図面に記載された発明と同一と認められる。
しかも、これらの発明の発明者が上記先願明細書に記載された発明の発明者であるとも、この出願の時において、その出願人が上記先願の出願人と同一であるとも認められないので、これらの発明は特許法第29条の2の規定に違反してなされたものである。
理由2
請求項2に記載の「肌着に面する側面上に折り返す該フラップの一方を形成するために、該フラップの少なくとも一方内に配置された弾性手段」の技術的意味が不明瞭である。したがって、特許法第36条第4項1号及び同第2号の規定を満たしていない。

4-2.理由1(29条の2違反)について
4-2-1.訂正された請求項に係る発明
訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に係る発明は、訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載された次の通りの事項により特定されるものである。
請求項1
(a)縦に延びる側部と、横端部と、身体に面する側面と、肌着
に面する側面とを有する吸収性要素と、
(b)該吸収性要素の該縦側部の各々から横に延びており、該吸収性要
素の該縦側部の各々の中央部付近に配置された、該肌着の股部分の側部
上に折り返すためのフラップと、
(c)該フラップの少なくとも一方を肌着に面する側面上に折り返すた
めに、該フラップの少なくとも一方内に配慮された弾性手段と
を含むことを特徴とする生理用ナプキン。
請求項2
(a)縦に延びる側部と、横端部とを有する吸収性要素と、
(b)該吸収性要素の該縦側部の各々から横に延びており、該吸収性要
素の該縦側部の各々の中央部付近に配置された、該肌着の股部分の側部上
に折り返すためのフラップと、
(c)該フラップの一方の肌着に面する側面により凹な形状を提供する
ために、該フラップの少なくとも一方内に縦に配置された弾性手段と
を含む
ことを特徴とする身体に面する側面と肌着に面する側面とを有する生理
用ナプキン。

4-2-2.先願明細書の記載事項
先願明細書1(摘記は特表平2-501710号公報による)
「図示の衛生ナプキンは相互接続された2つの面層2,3から成るケーシングに入れた吸収体1を含む。面層2はパンテイの使用中パンテイに面し、故にケーシングの所謂外側を形成する不透液性層であり、この面層は後述のように離間した点でパンテイへ取り付けられ、面層3は使用中着用者の体に面する透液性層であり、故にケーシングの所謂内側を構成する。図から明らかなように、ケーシングの少なくとも一端は側部フラップ4,5を形成する側方延長部を有する。第1図において、側部フラップはナプキンの一端から他端へ延び、図示のように上端からテーパになり、この端はパンテイ内で前方に置かれ、故に以後ナプキンの前端と称される。」(第2頁右上欄14行〜25行)
「衛生ナプキンの適用は次のように行われる。パンテイを一部引き下げてナプキンを内部に置き、パンテイを引き上げる。ナプキンが適正に位置していると、これはパンテイを着用するときに容易に確認され、側方に突出したフラップ4,5がパンテイの縁の回りに折り畳まれ、接着剤層6,7がパンテイの外側に取り付けられる。ナプキンが後方または側方へ誤変位する場合、外から近寄りうる側方フラップの助けにより再調節できる。しかし、ナプキンが最初にパンテイ内で過度に正面上方に置かれ、後ろへ引かなければならない場合、パンテイを緩めてこの再配置を可能にせねばならない。」(第2頁左下欄5行〜14行)
「第2図のナプキンは縦方向および横方向の弾性部材9,10を含むことである。横方向弾性部材10は、シネマチェア(cinema chair)におけるシャッフリング(shuffling)運動のようにパンテイがそのナプキンと共にやや変位した場合にナプキンと外性器との間に隙間が生じるのを阻止するために内側へ湾曲する傾向を吸収体に与えるためのものである。換言すると、ナプキンは内方に曲がった形状にばね装填できる。横方向弾性部材10は面層2および好ましくは吸収体1に面する側に配置される。」(第2頁右下欄11行〜19行)
そして、第3図から、側部フラップ4、5が上端からテーパ状に細くなり、横方向弾性部材10が吸収体1を横切ってフラップの一部領域に、縦方向弾性部材9が側部フラップの側面に沿って設けられていることが認められる、
先願明細書2(摘記は特表平2-501625号公報による)
「図示の衛生ナプキンは2枚の面層2,3から成るケーシングに収納された吸収コア1から成り、前記層は吸収コアの回りに適当な態様で互いに結合される。
面層2は不透液性であり、使用中は着用者の体から遠ざかる方向に面するように置かれる。更に、衛生ナプキンを着用者のパンテイの内側に取り付けるために狭い範囲のバインダ被覆がこの面層に付与される。バインダ被覆は解放可能保護テープ4により従来の態様で覆われる。面層3は透液性であり、パンテイ内で衛生ナプキンの適用時に着用者の体に緊密に接触するように置かれる。
衛生ナプキンを平面状態で示す第1図から明らかなように、ナプキンは吸収コアに面する面層2の側へ例えば接着により取り付けられた予備延伸された弾性手段5、6を備える。前記弾性手段は吸収コアに沿ってその2つの長い辺の外側で延びたリボンまたは糸5、および縦糸5を相互接続する横の糸6から成ることができる。第2-4図は自由歪み状態にある第1図による衛生ナプキンを示し、この自由歪み状態は衛生ナプキンが応力を受けないときにとるものと想像される形態である。自由歪み状態では、ナプキンは弾性の影響に起因して縦方向にも横方向にも弧の形状をとる。」(第2頁左上欄14行〜右上欄9行)

4-2-3.対比・判断
訂正請求により特許明細書の特許請求の範囲の請求項1が削除されたので、上記取消理由通知の内、原請求項1に対する取消理由は解消した。
そこで、訂正後の請求項1及び請求項2に係る発明(本件発明1及び本件発明2)について検討する。
請求項1及び請求項2に係る発明(本件発明1及び本件発明2)は、それぞれ(b)項の「該吸収性要素の該縦側部の各々の中央部附近に配置された、該肌着の股部分の側部上に折り返すためのフラップ」という構成を備えるものである
先願明細書1のフラップ4,5は、「側方に突出したフラップ4,5がパンテイの縁の回りに折り畳まれ、接着剤層6,7がパンテイの外側に取り付けられる。」(第2頁左下欄8行〜10行)との記載からみて、肌着の股部分の側部上に折り返す機能を有しているものと理解される。
しかし、側部フラップ4,5が記載されているものの、上端から下端に向けて細くテーパ状になっており、本件発明1及び本件発明2のように「中央部附近に配置された」ものではない。
そして、先願明細書1には「ナプキンが後方または側方へ変位する場合、外から近寄りうる側方フラップの助けにより再調節できる。しかし、ナプキンが最初にパンテイ内で過度に正面上方に置かれ、後へ引かなければならない場合、パンテイを緩めてこの再配置を可能にせねばならない。」(第2頁左下欄10行〜15行)と記載されており、一端からテーパ状になっていることにより生じる問題点が記載されている。
本件発明はフラップが配置される位置を「中央部附近」としているのであるから、先願明細書1に記載されたナプキンよりも、容易に再調整しうることは明らかである。
よって、本件発明1及び本件発明2は、それぞれ(b)項の「該吸収性要素の該縦側部の各々の中央部附近に配置されたフラップ」という点で先願明細書1に記載された発明と実質上相違するものであるから、特許法第29条の2第1項及び第2項の規定に違反しているものとすることができない。

4-3.理由2(特許法第36条第4項違反)について
上記訂正事項(4)の、請求項1(原請求項2)の(c)の「肌着に面する側面上に折り返す該フラップの一方を形成するために」を、『該フラップの少なくとも一方を肌着に面する側面上に折り返すために』と訂正したことにより、不明瞭な点は解消されたから、本件特許は、その出願が特許法第36条第4項第1号及び同第2号の規定を満たしている。

4-4.独立特許要件の結論
以上のとおりであるから、本件発明1及び本件発明2は、その出願の際独立して特許を受けることができるものである。

5.訂正の結論
本件訂正は、特許法第120条の4第2項の規定を満たしている。
また、本件訂正のうち、訂正事項(1)乃至訂正事項(4)、及び訂正事項(6)乃至訂正事項(11)は特許法第120条の4第3項の規定で準用する特許法第126条第2項及至第4項の規定を満たしている。
更に、本件訂正のうち、訂正事項(5)は特許法第120条の4第3項で準用し、附則平成6年法律第116号第6条第1項の規定で「なお従前の例による。」とされる改正前の特許法第126条第2項の規定を満たしている。
よって、本件訂正を認める。

6.特許異議申立人プロクター・アンド・ギャンブル・ファーイースト・インクの特許異議申立てについて
6-1.理由の概要
理由1
本件請求項1(訂正請求により削除された。)に係る発明は、その優先権主張日前の出願であって、その優先権主張前に公表された甲第1号証の1「特願昭63-500763号(特表平2-501710号公報)(出願:昭和62年12月17日、公表:平成2年6月14日)(以下、先願明細書1という)」及び甲第1号証の1(国際公開WO88/04546号公報)、又は甲第2号証の1「特願昭63-500764号(特表平2-501625号公報)(出願:昭和62年12月17日、公表:平成2年6月7日)(以下、先願明細書2という)」及び甲第2号証の1(国際公開WO88/04547号公報)の先願明細書又は図面に記載された発明と同一と認められ、本件請求項2及び請求項3(訂正後の請求項1及び請求項2)は、いずれも前記先願明細書1の明細書又は図面に記載された発明と同一と認められる。
しかも、この発明の発明者が上記先願明細書に記載された発明の発明者であるとも、この出願の時において、その出願人が上記先願の出願人と同一であるとも認められないので、これらの発明は特許法第29条の2の規定に違反してなされたものである。
理由2
請求項2に記載の「肌着に面する側面上に折り返す該フラップの一方を形成するために、該フラップの少なくとも一方内に配置された弾性手段」の技術的意味が不明瞭である。したがって、特許法第36条第4項1号及び同第2号の規定を満たしていない。

6-2.前記特許異議申立てに対する判断
取消理由通知で通知した理由及び証拠と実質上同じであるから、この特許異議申立に対する判断は、上記4.独立特許要件の判断で検討した通りである。
したがって、上記特許異議申立人プロクター・アンド・ギャンブル・ファースト・インクの主張する理由及び証拠によっては本件発明1及び本件発明2を取り消すことができない。

7.特許異議申立人ユニ・チャーム株式会社による特許異議申立てについて
7-1.理由の概要
本件請求項1に係る発明は、本願出願の前の出願であって、本願出願前に国際公開された甲第1号証(WO88/04547号公報)及びその翻訳文である甲第2号証(特表平2ー501625号公報)に記載された発明と同一と認められる。
しかも、この発明の発明者が上記先願明細書に記載された発明の発明者であるとも、この出願の時において、その出願人が上記先願の出願人と同一であるとも認められないので、これらの発明は特許法第29条の2の規定に違反してなされたものである。

7-2.前記異議申立てに対する判断
本件訂正により原請求項1が削除されたので、本件異議申立てはその対象がなくなった。
よって、本件異議申立てについては審理をする必要がなくなった。。

8.特許異議申立て人花王株式会社による特許異議申立てについて
8-1.理由の概要
理由1
本件請求項1に係る発明は、本願出願の前の出願であって、本願出願前に国際公開された甲第1号証(WO88/04547号公報)に記載された発明と同一と認められる。
しかも、この発明の発明者が上記先願明細書に記載された発明の発明者であるとも、この出願の時において、その出願人が上記先願の出願人と同一であるとも認められないので、これらの発明は特許法第29条の2の規定に違反してなされたものである。
理由2
本件請求項2及び請求項3に係る発明(本件発明1及び本件発明2)は、甲第2号証(特開昭57-82503号公報)、甲第3号証(特開昭61ー92668号公報)及び甲第4号証(特開昭64ー62158号公報)に記載された発明のいずれかと同一であるか、少なくともこれらの発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの発明は特許法第29条第1項第3号及び同条第2項の規定に違反してなされたものである。

8-2.前記異議申立てに対する判断
上記理由1は、本件訂正により原請求項1が削除され、審理をする必要がなくなったので、理由2について検討する。

8-3.本件発明
「4-2-1.訂正された請求項に係る発明」において特定したとおりである。

8-4.甲第2号証及至甲第4号証の記載事項
甲第2号証(特開昭57-82503号公報)
「(1)少なくとも、透水性表面シートと、不透水性裏面シートと、該両シートの間に介在する吸収体と、該吸収体の両側の長手方向に伸縮自在に取り付けられた伸縮部材とを備える使い捨ておむつにおいて、前記伸縮部材は幅10〜60mmを有するテープ状の柔軟な吸水性素材から作られていることを特徴とする前記おむつ。」(第1頁左下欄5行〜11行)
「伸縮部材は吸収体の両側縁から外側へ延びる部分の表面シートと裏面シートとにより形成されている側面フラップ中に取り付けられていることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の使い捨ておむつ。」(第1頁右下欄1行〜5行)
「本発明の主目的は、厚さ方向へ優れた柔かい弾性を有する比較的幅広いテープ状の吸水性伸縮部材が取り付けられ、これによりおむつの側縁部を脚囲りに柔かくしかも比較的広い圧接面積をもつて密着させるとともに、おむつの両側部にも吸収性を与えて、脚囲りからの排泄液の漏れを有効に防止することができる使い捨ておむつを提供することにある。」(第2頁10行〜17行)
「両側面フラップ11と、該両側面フラップを長手方向に伸縮させるための吸水性伸縮部材12とを備えている。」(第2頁左下欄9行〜11行)
甲第3号証(特開昭61-92668号公報)
「不透水性外被覆と、身体側に面する浸透性被覆と、それらの間に挟まれた吸収層から構成され、その長手方向の両側縁のほぼ全長に渡り設けられた伸縮部を有し、該伸縮部により弓状に曲げられた樋形状となつていることを特徴とする全体として長方形をした弓状の樋形吸収パッド。」(第1頁左下欄4行〜10行)
「特に本発明のパッドは、月経液や尿といった人体からの滲出液を吸収するために用いられる。」(第2頁左下欄4行〜6行)
甲第4号証(特開昭64-62158号公報)
「1.使用者の体から離れて存在するように設計された流体不透過性層と、使用者の周辺区域と表面接触する流体透過性層との間に挟まれた吸収性基体を含んでなり、前記層は少なくとも細長い解剖学的吸収体の端において互いに結合されており、そして前記吸収体の側面は解剖学的湾曲プロフィルを前記吸収体に与える弾性手段を有する、細長い解剖学的吸収体であって、前記弾性手段の各々は、前記吸収性体の側面が水平に関して上昇したフラップ(4、5)の形を取るように、収縮した状態の熱収縮性材料のストリップ(6)からなり、前記層(1、2)は前記ストリップの長さに沿って介在する複数の領域で前記ストリップへ結合されており、そして前記層の間の結合は、側面のフラップ(4、5)の、前記ストリップが設けられている部分において連続していないことを特徴とする解剖学的吸収体。」(第1頁左下欄5行〜右下欄2行)
「結局、吸収製品の側面は、上方にかつ内方に曲った、わずかに弾性のフラップの形態を取り、これらのフラップは使用者の体の動きに解剖学的に追随する。」(第3頁左上欄8行〜11行)

8-5.対比、判断
本件発明1及び本件発明2は、いずれもb項の「該吸収性要素の該縦側部の各々の中央部附近に配置された、該肌着の面する側面上に折り返すためのフラップ」という構成により特定されるものである。
これに対し、甲第2号証に記載された発明は使い捨ておむつであって生理用ナプキンではない、しかも側面の全面にフラップが設けられ、中央部附近に配置されたとはいえない。
また、該おむつのフラップは、その側縁部を脚回りに密着させるために吸収性伸縮部材を取り付けたものであって、本件発明1及び本件発明2のように肌着の面する側面上に折り返すためのものではない。
よって、甲第2号証に記載された発明は、本件発明1及び本件発明2のb項の「該吸収性要素の該縦側部の各々の中央部附近に配置された、該肌着の面する側面上に折り返すためのフラップ」という構成を備えていない。
甲第3号証に記載された発明は、樋形吸収パッドであって生理用ナプキンにも使用されるものである。しかし、パッドの両側縁のバッフル全長に亘り伸縮部を設けただけであって、フラップを備えて居らず、肌着の面する側面上に折り返すためのものでもない。
よって、甲第3号証に記載された発明は、本件発明1及び本件発明2のb項の「該吸収性要素の該縦側部の各々の中央部附近に配置された、該肌着の面する側面上に折り返すためのフラップ」という構成を備えていない。
甲第4号証に記載された発明は、細長い解剖学的吸収体であって、生理用ナプキンに使用されることは明らかである。
この吸収体はフラップ4,5を備えているものの、側面に沿って設けられたものであって、中央部附近に配置されたものとはいえない。
また、このフラップ4,5は上方にかつ内方に曲った形状をしており、使用者の体の動きに追随する機能を有するものの、本件発明1及び本件発明2のように肌着の面する側面上に折り返すためのものではない。
よって、甲第4号証に記載された発明は、本件発明1及び本件発明2のb項の「該吸収性要素の該縦側部の各々の中央部附近に配置された、該肌着の面する側面上に折り返すためのフラップ」という構成を備えていない。
したがって、甲第2号証乃至甲第4号証に記載された発明は、本件発明1及び本件発明2の「該吸収性要素の該縦側部の各々の中央部附近に配置された、該肌着の面する側面上に折り返すためのフラップ」という構成を備えていないのであるから、本件発明1及び本件発明2は、甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証に記載された発明と同一であるとも、甲第2号証乃至甲第4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
9.むすび
以上検討したように、3件の特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件請求項1及び請求項2に係る発明の特許を取り消すことができない。
又、他に本件請求項1及び請求項2に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
弾性成形手段を有する生理用ナプキン
(57)【特許請求の範囲】
1.(a)縦に延びる側部と、横端部と、身体に面する側面と、肌着に面する側面とを有する吸収性要素と、
(b)該吸収性要素の該縦側部の各々から横に延びており、該吸収性要素の該縦側部の各々の中央部付近に配置された、該肌着の股部分の側部上に折り返すためのフラップと、
(c)該フラップの少なくとも一方を肌着に面する側面上に折り返すために、該フラップの少なくとも一方内に配置された弾性手段と
を含むことを特徴とする生理用ナプキン。
2.(a)縦に延びる側部と、横端部とを有する吸収性要素と、
(b)該吸収性要素の該縦側部の各々から横に延びており、該吸収性要素の該縦側部の各々の中央部付近に配置された、該肌着の股部分の側部上に折り返すためのフラップと、
(c)該フラップの一方の肌着に面する側面により凹な形状を提供するために、該フラップの少なくとも一方内に縦に配置された弾性手段とを含む
ことを特徴とする身体に面する側面と肌着に面する側面とを有する生理用ナプキン。
【発明の詳細な説明】
発明の分野
本発明は、肌着のための保護吸収性裏当てに関し、そしてさらに具体的には、パンティーの股部分の縁の回りに側部パネルを折り返し、かつ中央吸収剤を形成するために、生理用ナプキンを成形するための方法に関する。
本発明を要約すれば、生理用ナプキンが開示され、中央吸収剤の身体に面する部分に大きな凸形状を提供するための弾性手段を有し、そして翼付きナプキンの実施態様においてフラップの接着剤なしの配置を許容する。弾性手段は、ナプキンの横幅にわたって引っ張り状態に置かれた1つ以上の弾性細片を含み、圧縮力を中央吸収性要素に及ぼし、かつ肌着に面する側面上に自然に内側にフラップを折り返させる。また、一方又は両方の翼において縦に配置された弾性手段を有する翼付きナプキンが開示され、翼の肌着に面する側面に凹形状を伝える。
発明の背景
伝統的に、生理用ナプキンは、身体に面する側面と、衣服に面する側面と、縦に延びる側部と、横端部とを有する中央吸収性要素を含んだ。これらのナプキンは、技術において一般に公知な如く、一般に、木材パルプの如く緩く関連した親水性材料から作成された吸収性芯を含む。この芯は、比較的名目的な圧縮力の下で容易に変形され、表面歪みと良好な身体接触の損失となる。
着用者の身体との密接な接触の欠如による保護の損失を克服する努力において、技術は、製品の側部に沿って縦に配置された弾性部材を有する吸収性製品を導入し、横漏れに対するバリヤとして作用する中央吸収性領域に隣接した隆起縁部分を作成した。McFarlandの米国特許第4、579、556号、1983年3月17日提出されたWidlund他のEPO第0091412号、及び1985年2月2日提出されたMokryのEPO第0155515号を参照せよ。生理用ナプキンに関係しないが、Shikata他の米国特許第4、661、102号は、使用する時、ダイヤパーの股部分に外側横張力を課するように配置された股引っ張り手段を有する可処分なダイヤパーを開示する。引っ張り手段の目的は、着用者の美的フィットを改良し、かつ空隙材料の包含を改良することである。
最近のナプキン設計は、中央吸収剤の縦側部から横に延びる側部パネル、フラップ又は翼を含むことにより、側部縁漏れ問題を扱う。Mattinglyの米国特許第4、608、047号とMcNairの米国特許第4、285343号を参照せよ。これらの製品は、肌着の縁の回りを包むことにより、使用者の肌着を保護するように設計される。フラップは、好ましくは、体液不浸透性表面に配置された接着剤を有し、衣服の股部分の下側表面にそれらを付着させる。
従って、標準使用中、着用者の身体との密接な接触を維持する生理用ナプキンのための必要性が存在する。また、より便利にパンティーに付着され、かつ除去されるパンティー保護フラップを有する生理用ナプキンに対する必要性が存在する。
発明の要約
ナプキンを形成するための弾性手段を有する生理用ナプキンが、提供される。1つの実施態様において、本発明の弾性手段は、ナプキンの身体に面する側面により凸な形状を与えるために、中央吸収剤の幅にわたって横に配置される。第2の実施態様において、弾性手段は、翼付き生理用ナプキンのフラップ内に配置され、肌着の股部分の側部の回りに自然に折り返すようにフラップを形成する。好ましくは、本発明の弾性手段は、引っ張り状態に置かれ、そして圧縮力をナプキンの特定セクションに及ぼす。
本発明の弾性手段がフラップに配置され、パンティーの股の側部上にそれらを折り返す時、従来フラップに適用された接着手段が除去される。この構成の利点は、使用者が、フラップを肌着に接着剤により付着し、又はフラップの正しい位置付けを保証するために付随する不便さを経験する必要を除去することである。好ましい設計において、フラップは、弾性細片の付加により、パンティーの回りで包むように予備形成され、弾性細片は、いろいろなパンティーのサイズに適合するために引き伸ばされ、かつ接着剤なしに固定される。
上記の特徴のほかに、本発明の生理用ナプキンは、使用の後、非常に容易な除去を提供する。現在の翼付き生理用ナプキンは、パンティー股領域からナプキンを除去する前に、股の下側から接着剤を分離することにより、使用者が各フラップに面することを必要とする。本発明の改良された設計により、弾性要素による翼が引き伸ばされ、かつ使用者がナプキンを除去する時自動解除するために、使用者は、肌着からフラップを分離することを必要としない。さらに、上記の改良は、フラップの改良されたフィット及び/又は便利な適用を提供するために、組み合わせて又は別個に使用し得ることが注目される。
従来のフラップの薄いポリエチレン・シートは、しばしば弾力性にされた肌着によって容易に折り返されることが、一般に公知である。翼付きナプキン設計におけるこの不足を克服するための努力において、本発明はまた、フラップの身体に面する側面に凸型形状を提供するために、翼付き生理用ナプキンのフラップに縦に配置された弾性手段を提供することを考える。この設計は、肌着が着用者に対して引き上げられる時、肌着によりフラップが折り返されるのを阻止することを可能にする。
このため、使用の後、除去が容易な翼付き生理用ナプキンを提供することが、本発明の目的である。
着用者の身体への密接なフィットのために、中央吸収剤の自然な凸形状を生成する生理用ナプキンを提供することが、本発明の別の目的である。
パンティーの股部分の側部の回りにフラップの接着剤なしの配置を許容する構成を提供するために、フラップ又は翼領域において弾性手段を有する翼付き生理用ナプキンを提供することが、本発明のさらの別の目的である。
説明が進むにつれ技術における熟練者には明らかになるこれらと他の目的を考慮して、本発明は、実質的に以後記載され、かつ、特許請求の範囲において具体的に記載された如く、部分の新しい構成、組み合わせと配置、及び方法に存する。
発明の説明
図面を参照し、そして特に第1ー3図を参照すると、弾性手段を配置した好ましい生理用ナプキン100、200と300が示され、身体に面する側面により凸な形状を提供し、及び/又は肌着の股部分の側部で折り返されるフラップを形成する。
第3図と第5図に関して、生理用ナプキン300が提供され、縦に延びる側部220、横端部215、身体に面する側面250、及び肌着に面する側面260を含む吸収性要素206を有する。このナプキン300は、弾性細片225と230として示された弾性手段を備え、弾性手段は吸収性要素206を横断して引っ張り状態に置かれ、かつ身体に面する側面250により凸な形状を提供するためにナプキン300に付着される。この構成の好ましい実施態様において、弾性手段は、ナプキンの縦に延びる側部220において、ナプキン位置235と240によって示された2つの対向した点において吸収性要素206を横切って付着される。さらに好ましい実施態様において、弾性手段は、ナプキンの液体不浸透性の裏当て層に隣接して配置され、ナプキンの身体に面する側面により凸な形状を生成する引っ張り力を保証する。
第1図、第2図と第4図に示された如く、実施態様において、生理用ナプキン100と200は、フラップ10と119の少なくとも1つ内に弾性手段を備え、肌着の股部分の側部で折り返すようにフラップを、吸収性要素の縦側部の各々の中央部付近に形成する。第1図に記載された如く、これらのナプキンの実施態様の1つは、好ましくは、両フラップ10内に配置された弾性細片30と35として示された弾性手段を有する。この実施態様において、弾性手段は、吸収性要素6を横断して配置され、かつフラップ10の各々に付着される。好ましくは、弾性手段は、吸収性要素6とフラップ10の間の接合線上にある2つの点において付着される。第1図に示された如く、これらの点は、ナプキン位置40と45によって表現される。弾性手段は、好ましくは、吸収性要素6を圧縮するために、第3図の実施態様に対して同様に記載された如く、引っ張り状態に置かれる。
第2図に示された如く、ナプキンの実施態様200は、フラップ119の少なくとも1つ内に配置された弾性細片105と110を含む。細片105と110は、好ましくは、一方の端部において、吸収性要素106とフラップ119の該一方の間の接合点において、そして他方の端部において、フラップの周囲にある点において付着される。好ましくは、弾性細片105と110は、フラップ119の両方内で引っ張り状態に置かれ、かつ点115と120において付着される。
上記のナプキンの実施態様100、200と300の弾性細片30、35、105、110、225と230は、好ましくは、最初の長さの約100%乃至200%引き伸ばされ、ナプキンに固定された時、好ましくは、約160%引き伸ばされる。好ましくは、弾性細片は、液体バリヤ表面に隣接して位置付けられ、そして組織層、パルプ及び体液浸透性表面が、密封の前に弾性細片の上に置かれる。所望ならば、弾性細片は、連続又は断続的な結合により全体長さに沿って液体バリヤ表面に固定され、一様な張力の適用を保証し、かつバリヤ表面の束なりを避ける。
第1ー3図に示された如く、本発明の吸収性要素6、106と206は、柔らかい快適な材料から作成される。好ましくは、これらの要素は、第1図と第2図に示された如く、フラップが使用される時、「砂時計形状」に切り詰められる。適切な吸収性は、高液体保有の特性を有する架橋アクリル酸エステル・ポリマーの如く、従来の超吸収性材料を添加することにより、大量に添加なしに吸収剤の芯に組み入れられてもよい。
一般に、中央吸収性要素6、106と206は、約4ー10インチ長であり、好ましくは約6ー9インチであり、そして好ましくは、セルロース繊維、木材パルプ、再生セルロース又は綿繊維、及び/又は技術において一般に公知な他の吸収性材料の如く、緩く関連した吸収親水性材料から作成された芯を含む。
使用者の身体に対して着用されるナプキンの側面は、弾性の比較的非吸収性の液体浸透性材料から作成されてもよい体液浸透性表面130と250によって覆われる。この材料は、快適さと順応性のために提供され、そしてそのような液体を保持する下側層、例えば木材パルプに体液を移動させる。カバーは、皮膚に隣接した比較的乾いた表面を提供するために、構造内に液体を殆ど又は全く保持しない。一般に、液体透過性表面130と250は、吸収性要素6、106と206の身体に面する側面を覆うために十分な幅を有する単一の矩形の材料シートである。好ましくは、液体浸透性表面130と250は芯よりも長く、十分に芯を閉鎖するために他の浸透性又は非浸透性層で密封される端部タブを形成する。液体浸透性表面130と250は、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレンの如く、熱可塑性ポリマーの繊維又は単繊維又は穴あきポリマーフイルムから作成された非織り布である。
吸収性材料6、106と206の芯の下側に、吸収性材料の別の層を設け、製品に対して付加的な弾力性を提供することができる。この付加層は、吸収性要素6、106と206の側部から逃れる体液を捕獲するために吸収性芯の縦側部を超えて延びることができる。この層は、中央吸収剤6、106と206の芯よりも実質的に幅が広く、そして翼付きナプキン構成100、200と600のフラップ内に延びていてもよい。吸収性層は、セルロース繊維から作成された組織、布、等の如く、薄い吸収性の材料層を含む。そのような材料は、安全対策として提供され、かつ漏れた液体のみを含むことを必要とされるのみであるために、それは、全く吸収性である必要はなく、そして事実、疎水材料を含む毛細管又は細胞状組織から成るものであつてよい。しかし、好ましい材料は、木材パルプ組織又は他の適切な親水性織り又は非織り材料の如く、セルロース繊維から成る親水性布である。好ましい組織は、製品に対して弾力性と快適性を提供する利点を有する。
本発明の生理用ナプキン100、200、300と600は、さらに、吸収性要素6、106と206の肌着に面する側面において体液不浸透性表面140と260を含む。不浸透性表面140と260は、好ましくは、外側表面への液体の通過を阻止しながら、空気及び水分蒸気の通過を許容する。不浸透性表面140と260は、熱密封されるか、又は芯あるいは浸透性表面カバーに包まれた芯へ接着剤により締結されてもよい。不浸透性表面140と260は、ポリマー・フィルム、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロハンの如く、薄い柔軟な体液不透過性材料か、あるいは含浸液体防水紙又は非織り布材料の如く、不浸透性に処理された標準液体浸透性材料を含む。
第1図と第2図の好ましい翼付き構成は、吸収性要素6と106の縦側部25と125の各々から横に延びるフラップ10と119を含む。好ましくは吸収性パルプ材料を含まないが、これらのフラップ10と119は、上記の体液不浸透性表面140と260に関連して記載された材料の如く、体液不浸透性裏当てを含むことができる。また、フラップ10と119は、上記の体液浸透性層130と250の如く、体液浸透性カバーと、カバーと裏当ての間に配置された吸収性組織とを含み得ることが予期される。さらに、本発明のフラップ10と119は、少量の漏れた液体を保持するための十分な毛管作用を有する吸収性組織を含むことが好ましい。この組織は、フラップ10と119の縁の回り、好ましい不浸透性裏当てとフラップ10と119の体液浸透性カバーに熱密封又は接着密封され、吸収性領域を形成することができる。
また、公知の感圧接着剤材料から作成された付着接着要素20が、本発明に関して包含される。ここで使用された如く、用語「感圧」は、剥離可能な接着又は粘着手段を意味する。生理用ナプキンに適する接着合成物は、例えば、アクリル酸エステル接着剤の如く、水性感圧接着剤を含む。代替的に、接着剤は、急速凝固熱可塑性「ホツトメルト」ゴム接着剤、又は両面接着剤テープを含む。技術において慣例である如く、被覆紙剥離細片21はまた、使用の前に、細片20の如く、接着要素を保護するために適用される。
今第6図を参照すると、生理用ナプキンの実施態様600が示され、縦に配置された弾性手段、好ましくは弾性細片61と62を有し、肌着による折り返しを阻止するようにフラップを形成する。要求条件ではないが、弾性細片61と62の端部は、接着剤を有する外側縫合領域65に配置されることが予期される。好ましくは、フラップは、弾性手段によって構成され、その結果それらは、肌着に面する側面において凹状構成を呈示する。この好ましい構成は、パンティーが着用者によって上げられる時、束なりに対して、より大きな耐性を提供する。フラップはこの構成において延ばされたままであるために、それらは、腹領域から容易に延び出し、そしてこうして失敗を最小にするために肌着の股部分の側部を覆う。
前述から、本発明は、弾性部材を有する改良された生理用ナプキンを提供し、ナプキンの身体に面する部分に大きな凸形状を提供し、及び/又は翼付き生理用ナプキンのフラップの接着剤なしの配置を許容することが認識される。開示された弾性要素はまた、パンティー股に関して翼を引き伸ばし、かつたわませ、より良い保護のための位置に翼を保持する。本発明のナプキンは、フラップにおける接着剤をパンティーから分離する付加的な作業が除去されるために、使用の後、除去が容易である。
多様な実施態様が示されたが、これは、発明を制限するためではなく、説明するためであった。技術における熟練者には明らかになる多様な修正が、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内にある。
本発明の主なる特徴及び態様は以下のとおりである。
1.(a)縦に延びる側部と、横端部と、身体に面する側面と、肌着に面する側面とを有する吸収性要素と、
(b)該吸収性要素の該縦側部の各々から横に延びており、該吸収性要素の該縦側部の各々の中央部付近に配置された、該肌着の股部分の側部上に折り返すためのフラップと、
(c)該フラップの少なくとも一方を肌着に面する側面上に折り返すために、該フラップの少なくとも一方内に配置された弾性手段と
を含むことを特徴とする生理用ナプキン。
2.該弾性手段が、両フラップ内に配置された弾性細片を含む上記1に記載の生理用ナプキン。
3.該弾性手段が、該吸収性要素から横に配置された弾性細片を含み、該弾性細片は一方の端部において、該吸収性要素と該フラップの該一方の間の接合部において、そして他方の端部において、該フラップの該一方の周囲において付着される上記1に記載の生理用ナプキン。
4.該弾性手段が、該吸収性要素を横切って延び、そして該フラップの各々の周囲に位置する点において付着される上記2に記載の生理用ナプキン。
5.該弾性手段がまた、該吸収性要素と該フラップの間の接合線上にほぼ位置する2つの点において付着される上記4に記載の生理用ナプキン。
6.該吸収性要素を横切って延びる該弾性手段の部分が、該吸収性要素を圧縮するために引っ張り状態に置かれる上記5に記載の生理用ナプキン。
7.該弾性手段が、該ナプキンの1部を横断して配置された2つの弾性細片を含む上記1に記載の生理用ナプキン。
8.該弾性細片が、該吸収性要素を圧縮するために引っ張り状態において付着される上記7に記載の生理用ナプキン。
9.該弾性細片が、該フラップ上に配置され、かつ該ナプキンの肌着に面する側面で該フラップを形成するために、引っ張り状態において付着される上記8に記載の生理用ナプキン。
10.(a)縦に延びる側部と、横端部とを有する吸収性要素と、
(b)該吸収性要素の該縦側部の各々から横に延びており、該吸収性要素の該縦側部の各々の中央部付近に配置された、該肌着の股部分の側部上に折り返すためのフラップと、
(c)該フラップの一方の肌着に面する側面により凹な形状を提供するために、該フラップの少なくとも一方内に縦に配置された弾性手段とを含む
ことを特徴とする身体に面する側面と肌着に面する側面とを有する生理用ナプキン。
11.該弾性手段が、両フラップ内に配置される上記10に記載の生理用ナプキン。
12.該弾性手段が、該吸収性要素の縦に延びる側面に平行に配置された弾性細片を含む上記11に記載の生理用ナプキン。
【図面の簡単な説明】
第1図は、1つの弾性手段の部分的に区分化された図と1つのフラップの結果の構成とを示す翼付き生理用ナプキンの肌着に面する側面の平面図。
第2図は、フラップ部材内に実質的に配置された弾性手段の部分的に区分化された図を示す別の翼付き生理用ナプキンの肌着に面する側面の平面図。
第3図は、ナプキンの中央吸収性芯を形成するために、弾性手段の部分的に区分化された図を示す別の生理用ナプキンの頂面図。
第4図は、フラップの結果の構成を示す第2図のナプキンの横端面図。
第5図は、中央吸収剤の結果の構成を示す第3図のナプキンの横端面図。
第6図は、各フラップ部材内に縦に配置された弾性手段の部分的に区分化された図を示す翼付き生理用ナプキンの肌着に面する側面の平面図。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
訂正事項(1)
本件特許第2744048号明細書の特許請求の範囲の請求項1を、特許請求の範囲の減縮を目的として削除する。また、これに伴い、請求項2及び3の項番号をそれぞれ繰り上げて、新請求項1及び2とする。
訂正事項(2)
本件特許第2744048号明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2(原請求項2及び3)の(b)に、特許請求の範囲の減縮を目的として「該吸収性要素の該縦側部の各々の中央部付近に配置された」なる記載を加入する。
訂正事項(3)
本件特許第2744048号明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2(原請求項2及び3)の(b)に、特許請求の範囲の減縮を目的として「該肌着の股部分の側部上に折り返すための」なる記載を加入する。
訂正事項(4)
本件特許第2744048号明細書の特許請求の範囲の請求項1(原請求項2)の(C)の「肌着に面する側面上に折り返す該フラップの一方を形成するために」を、特許請求の範囲の減縮を目的として『該フラップの少なくとも一方を肌着に面する側面上に折り返すために』と訂正する。
訂正事項(5)
本件特許第2744048号明細書における3箇所の記載を、誤記の訂正を目的として、下記のとおり訂正する。
(イ)明細書第3頁第18行又特許公報第2頁第3欄第20行の「名目な」を、『名目的な』と訂正する。
(ロ)明細書第5頁第8行又特許公報第2頁第3構第46行の「ために」を、『ための』と訂正する。
(ハ)明細書第5頁第16行又特許公報第2頁第4欄第4行の「伝える」を、『与える』と訂正する。
訂正事項(6)
本件特許第2744048号明細書第10頁第4行又特許公報第3頁第5欄第31行の「形成する」を、明りょうでない記載の釈明を目的として『吸収性要素の縦側部の各々の中央部付近に形成する』と訂正する。
訂正事項(7)
本件特許第2744048号明細書第18頁第10行乃至第19頁第10行又特許公報第4頁第8欄第22〜41行の「1.(a)・・・生理用ナプキン。」なる記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、下記のとおり訂正する。
『1.(a)縦に延びる側部と、横端部と、身体に面する側面と、肌着に面する側面とを有する吸収性要素と、
(b)該吸収性要素の該縦側部の各々から横に延びており、該吸収性要素の該縦側部の各々の中央部付近に配置された、該肌着の股部分の側部上に折り返すためのフラップと、
(c)該フラップの少なくとも一方を肌着に面する側面上に折り返すために、該フラップの少なくとも一方内に配置された弾性手段と
を含むことを特徴とする生理用ナプキン。』
訂正事項(8)
本件特許第2744048号明細書第19頁第11行乃至第21頁第4行又特許公報第4頁第8欄第42行乃至第5頁第9欄第20行の「6.・・・生理用ナプキン。」なる記載における番号を、明りょうでない記載の釈明を目的として、下記のとおり訂正する。
(イ)明細書第19頁第20行(末行)又は特許公報第4頁第8欄第49行の「7.」を、『2.』と訂正する。
(ロ)明細書第20頁第1行又は特許公報第4頁第8欄第50行の「上記6」を、『上記1』と訂正する。
(ハ)明細書第20頁第2行又は特許公報第5頁第9欄第1行の「8.」を、「3.」と訂正する。
(ニ)明細書第20頁第7行又は特許公報第5頁第9欄第5行の「上記6」を、『上記1』と訂正する。
(ホ)明細書第20頁第8行又は特許公報第5頁第9欄第6行の「9.」を、『4.』と訂正する。
(へ)明細書第20頁第10行又は特許公報第5頁第9欄第8行の「上記7」を、『上記2』と訂正する。
(ト)明細書第20頁第12行又は特許公報第5頁第9欄第9行の「10.」を、『5.』と訂正する。
(チ)明細書第20頁第14行又は特許公報第5頁第9欄第11行の「上記9」を、『上記4』と訂正する。
(リ)明細書第20頁第15行又は特許公報第5頁第9欄第12行の「11.」を、『6.』と訂正する。
(ヌ)明細書第20頁第17行又は特許公報第5頁第9欄第14行の「上記10」を、『上記5』と訂正する。
(ル)明細書第20頁第19行又は特許公報第5頁第9欄第15行の「12.」を、『7.』と訂正する。
(ヲ)明細書第20頁第20行(末行)又は特許公報第5頁第9欄第16行の「上記6」を、『上記1』と訂正する。
(ワ)明細書第21頁第2行又は特許公報第5頁第9欄第18行の「13.」を、『8.』と訂正する。
(カ)明細書第21頁第3行又は特許公報第5頁第9欄第19行の「上記12」を、『上記7』と訂正する。
訂正事項(9)
本件特許第2744048号明細書第21頁第5〜8行又は特許公報第5頁第9欄第21〜24行の「14.該弾性細片が、・・・生理用ナプキン。」なる記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として『9.該弾性細片が、該フラップ上に配置され、該フラップを該ナプキンの肌着に面する側面上に折り返すために、引っ張り状態において付着される上記8に記載の生理用ナプキン。』と訂正する。
訂正事項(10)
本件特許第2744048号明細書第21頁第9〜17行又は特許公報第5頁第9欄第25行乃至第10欄第5行の「15.(a)・・・生理用ナプキン。」なる記載を、請求項2の記載に対応するように、明りょうでない記載の釈明を目的として、下記のとおり訂正する。
『10.(a)縦に延びる側部と、横端部とを有する吸収性要素と、
(b)該吸収性要素の該縦側部の各々から横に延びており、該吸収性要素の該縦側部の各々の中央部付近に配置された、該肌着の股部分の側部上に折り返すためのフラップと、
(c)該フラップの一方の肌着に面する側面により凹な形状を提供するために、該フラップの少なくとも一方内に縦に配置された弾性手段と
を含むことを特徴とする身体に面する側面と肌着に面する側面とを
有する生理用ナプキン。』
訂正事項(11)
本件特許第2744048号明細書第21頁第18行乃至第22頁第2行又特許公報第5頁第10欄第6〜10行の記載における番号を、明りょうでない記載の釈明を目的として、下記のとおり訂正する。
(イ)明細書第21頁第18行又は特許公報第5頁第10欄第6行の「16.」を、『11.』と訂正する。
(ロ)明細書第21頁第19行又は特許公報第5頁第10欄第6行の「上記15」を、『上記10』と訂正する。
(ハ)明細書第21頁第20行(末行)又は特許公報第5頁第10欄第8行の「17.」を、『12.』と訂正する。
(ニ)明細書第22頁第1〜2行又は特許公報第5頁第10欄第9行の「上記16」を、『上記11』と訂正する。
異議決定日 2000-05-23 
出願番号 特願平1-40454
審決分類 P 1 651・ 121- YA (A61F)
P 1 651・ 534- YA (A61F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 齋藤 恵  
特許庁審判長 高瀬 浩一
特許庁審判官 平井 良憲
杉野 裕幸
登録日 1998-02-06 
登録番号 特許第2744048号(P2744048)
権利者 マクニール‐ピーピーシー・インコーポレーテツド
発明の名称 弾性成形手段を有する生理用ナプキン  
代理人 羽鳥 修  
代理人 小田島 平吉  
代理人 小野 尚純  
代理人 小林 義孝  
代理人 白浜 吉治  
代理人 小田島 平吉  

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