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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04M
管理番号 1024186
異議申立番号 異議1998-75684  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1990-07-12 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-11-25 
確定日 2000-05-15 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2756129号「データ端末装置」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2756129号の特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第2756129号の請求項1に係る発明についての出願は、昭和63年12月28日に特許出願され、平成10年3月6日にその発明について特許の設定登録がなされ、その後、特許異議申立人渡辺利政により特許異議申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年4月16日に訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
特許権者が求めている訂正の内容は以下のア.、イ.及びウ.のとおりである。
ア.請求項1の記載「信号送出レベルが異なる複数の回線を収納し、各回線に選択的に信号送出回路を接続してデータ通信を行なうデータ端末装置において、呼出信号が入ってきた回線を識別する回線識別手段と、信号送出レベルを設定する為の信号送出レベルの設定データを各回線毎に夫々対応させて記憶するメモリ手段と、信号送出レベルを前記メモリ手段から読み出された設定データに基づいて調整する信号送出レベル調整手段と、通信開始時、前記回線識別手段により呼出信号の入ってきた回線を識別し、識別された回線に対応する設定データを前記メモリから読み出し、読み出された設定データに基づいて前記信号送出レベル調整手段により信号送出レベルを調整することを特徴とするデータ端末装置。」を「信号送出レベルが異なる複数の回線を収納し、各回線に選択的に信号送出回路を接続してデータ通信を行なうデータ端末装置において、呼出信号が入ってきた回線を識別する回線識別手段と、信号送出レベルを設定する為の信号送出レベルの設定データを各回線毎に夫々対応させて記憶するメモリ手段と、信号送出レベルを前記メモリ手段から読み出された設定データに基づいて調整する信号送出レベル調整手段と、通信開始時、前記回線識別手段により呼出信号の入ってきた回線を識別すると、識別された回線に対応する設定データを前記メモリから読み出し、読み出された設定データに基づいて前記信号送出レベル調整手段を作動して信号送出レベルを調整して相手側に応答信号を送出する制御手段とを備えたことを特徴とするデータ端末装置。」に訂正する。
イ.明細書第4頁第6行〜第5頁第2行(特許公報第2頁第3欄第30〜45行)の記載「(発明の構成)本発明は、上記目的を達成するため、信号送出レベルが異なる複数の回線を収納し、各回線に選択的に信号送出回路を接続してデータ通信を行なうデータ端末装置において、呼出信号が入ってきた回線を識別する回線識別手段と、信号送出レベルを設定する為の信号送出レベルの設定データを各回線毎に夫々対応させて記憶するメモリ手段と、信号送出レベルを前記メモリ手段から読み出された設定データに基づいて調整する信号送出レベル調整手段と、通信開始時、前記回線識別手段により呼出信号の入ってきた回線を識別し、識別された回線に対応する設定データを前記メモリから読み出し、読み出された設定データに基づいて前記信号送出レベル調整手段により信号送出レベルを調整することを特徴とするものである。以下、本発明の実施例に基づいて具体的に説明する。」を「(発明の構成)本発明は、上記目的を達成するため、信号送出レベルが異なる複数の回線を収納し、各回線に選択的に信号送出回路を接続してデータ通信を行なうデータ端末装置において、呼出信号が入ってきた回線を識別する回線識別手段と、信号送出レベルを設定する為の信号送出レベルの設定データを各回線毎に夫々対応させて記憶するメモリ手段と、信号送出レベルを前記メモリ手段から読み出された設定データに基づいて調整する信号送出レベル調整手段と、通信開始時、前記回線識別手段により呼出信号の入ってきた回線を識別すると、識別された回線に対応する設定データを前記メモリから読み出し、読み出された設定データに基づいて前記信号送出レベル調整手段を作動して信号送出レベルを調整して相手側に応答信号を送出する制御手段とを備えたことを特徴とするものである。以下、本発明の実施例に基づいて具体的に説明する。」に訂正する。
ウ.明細書第7頁第16〜20行(特許公報第2頁第4欄第44〜49行)の記載「したがって、システム制御部2は通信回線が設定されると、メモリ内のゲイン抵抗データに基づいてゲイン抵抗Rfの値を調整し、増幅回路21、すなわち信号送信レベル調整回路4の信号送出レベルを調整する。なお、システム制御部2のメモリはメモリ手段を構成している。また、システム制御部は、制御手段を構成している。」を「したがって、システム制御部2は通信回線が設定されると、メモリ内のゲイン抵抗データに基づいてゲイン抵抗Rfの値を調整し、増幅回路21、すなわち信号送信レベル調整回路4の信号送出レベルを調整して相手側に応答信号を送出する。なお、システム制御部2のメモリはメモリ手段を構成している。また、システム制御部は、制御手段を構成している。」に訂正する。
次に、上記訂正事項について検討する。
上記ア.の訂正事項に関連する記載として、願書に添付した明細書(以下「特許明細書」という。)の発明の詳細な説明には、「例えば、データ端末装置が専用回線と公衆回線に接続されている場合、一般に、専用回線の方がラインロスが少ないため、信号送出レベルは専用回線に合わせて設定される。その結果、公衆回線から呼出信号があって応呼した場合、公衆電話回線の信号レベルが低下し、通信エラーが発生するおそれがあった。」(第3頁第12〜18行)、「システム制御部2は通信回線が設定されると、メモリ内のゲイン抵抗データに基づいてゲイン抵抗Rfの値を調整し、増幅回路21、すなわち信号送出レベル調整回路4の信号送出レベルを調整する。」(第7頁第16〜20行)、また、「システム制御部2は内部メモリに格納されているプログラムに従ってファクシミリ装置1の各部を制御してファクシミリ装置1としてのシーケンスを実行するとともに、本発明の信号送出レベル制御処理を実行する。」(第8頁第6〜10行)と記載されていることから、制御手段の構成を「通信開始時、前記回線識別手段により呼出信号の入ってきた回線を識別すると、識別された回線に対応する設定データを前記メモリから読み出し、読み出された設定データに基づいて前記信号送出レベル調整手段を作動して信号送出レベルを調整して相手側に応答信号を送出する」と訂正する発明は特許明細書に記載されているものと認められる。
そうすると、上記ア.の訂正は、特許明細書に記載された事項の範囲内において制御手段を特定し、限定したものといえるから、新規事項の追加に該当せず、特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
次に、上記イ.及びウ.の訂正は、特許明細書の前述した記載に照らせば、新規事項の追加に該当せず、上記ア.の請求項1の訂正に対応して、発明の詳細な説明の記載を、訂正するものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正明細書の請求項1に係る発明
訂正明細書の請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「信号送出レベルが異なる複数の回線を収納し、各回線に選択的に信号送出回路を接続してデータ通信を行なうデータ端末装置において、
呼出信号が入ってきた回線を識別する回線識別手段と、
信号送出レベルを設定する為の信号送出レベルの設定データを各回線毎に夫々対応させて記憶するメモリ手段と、
信号送出レベルを前記メモリ手段から読み出された設定データに基づいて調整する信号送出レベル調整手段と、
通信開始時、前記回線識別手段により呼出信号の入ってきた回線を識別すると、識別された回線に対応する設定データを前記メモリから読み出し、読み出された設定データに基づいて前記信号送出レベル調整手段を作動して信号送出レベルを調整して相手側に応答信号を送出する制御手段とを備えたことを特徴とするデータ端末装置。」
(3)独立特許要件
ア.引用刊行物
訂正明細書の請求項1に係る発明の特許に対して、当審が平成11年2月4日付けで通知した取消理由で引用した甲第1号証である刊行物1(特開昭60-72367号公報)には、
(i)「ファクシミリ装置1に公衆回線5及び専用回線6を接続可能なインタフェース回路8を設けるものである。」(第2頁左上欄第20行〜右上欄第2行)、
(ii)「第3図及び第4図は上述したインタフェース回路8の一実施例を示す図である。9はアダプタ、10は制御部、11は送信部、12は受信部、13は減衰器、14は着信検出部、15は接続端子、16はダイヤルパルス発生部、TL1、TL2は専用線側インタフェース線、PBX1、PBX2は公衆回線側インタフェース分を示す。」(第2頁右上欄第8〜14行)、「この時送信信号は、アダプタ9内に設けられる減衰器93によって、アダプタ92接続される公衆回線のロスが調整される。」(第2頁右下欄第10〜13行)、
(iii)「送信部11からの送信信号は減衰器13にて専用回線におけるロスが調整されることは勿論である。」(第2頁右下欄第16〜18行)、
(iv)「次に着信の場合の動作を説明する。公衆回線或いは専用回線における着信は、夫々の回線に対応して設けられた着信検出部94、14における各リレーPBR、TLRにて検出される。これらのリレーPBR、TLRによる着信検出出力は、リレー接点pbr1、pbr2(第3図)のメーク動作により制御部10へ通知される。」(第2頁右下欄第19行〜第3頁左上欄第5行)、
(v)「着信通知により制御部10は、リレーA、Bを作動するとともに着信のあった回線側に対応するリレーPBX或いはTLを作動する。これにより、着信のあった回線側の端子95〜95或いは15〜15間に直流ループが形成され、交換機側へ応答を返すことになる。しかる後制御部10は、リレーSRを作動して接点sr1、sr2を受信部12側へ倒す。これによって、着信のあった回線と受信部12が接続状態となり、相手発信側装置からファクシミリ信号の受信が行われることになる。」(第3頁左上欄第5〜第16行)と記載されている。
また、同じく引用した甲第2号証である刊行物2(特開昭63-33064号公報)には、
(vi)「ファクシミリ装置であって、原稿情報の送信相手先に応じて画情報信号の送信レベルを可変制御することにより、送信回線、交換機等を含めた伝送路での情報伝送品質を改善して、該伝送路のリターン電力に起因する信号対雑音比(S/N)の劣化を防止できる。」(第2頁左上欄第8〜13行)、及び、
(vii)「この押された通信宛先スイッチ355に対応したメモリ371のエリアから、選択信号およびレベル定数を読み出す(ステップ412)。この読み出された選択信号をレジスタA(図示せず)に置数すると共に、読み出されたレベル定数をレジスタB383に置数する(ステップ413)。このようにしてレジスタAに選択信号を格納した後、接続回線261における直流ループ設定および保持を行なう(ステップ414)。それと並行して、レジスタB383に置数されたレベル定数に基づいて、レベル調整回路251を駆動する(ステップ415)。これにより、選択回路365および選択回路367で減衰器369を切り換え選択して、送出レベルを可変設定することとなる。」(第5頁右上欄第2〜17行)と記載されている。
イ.対比・判断
訂正明細書の請求項1に係る発明と刊行物1又は2に記載された発明とを対比すると、刊行物1又は2のいずれにも、訂正明細書の請求項1に係る発明を特定する事項である、データ端末装置の制御手段が「通信開始時、前記回線識別手段により呼出信号の入ってきた回線を識別すると、識別された回線に対応する設定データを前記メモリから読み出し、読み出された設定データに基づいて前記信号送出レベル調整手段を作動して信号送出レベルを調整して相手側に応答信号を送出する」事項が記載されていない。すなわち、刊行物1の上記(v)の「着信通知により制御部10は、リレーA、Bを作動するとともに着信のあった回線側に対応するリレーPBX或いはTLを作動する。これにより、着信のあった回線側の端子95〜95或いは15〜15間に直流ループが形成され、交換機側へ応答を返すことになる。」の記載で、「直流ループが形成され、交換機側へ応答を返すことになる」における「応答を返す」とは、着信に対する応答を直流ループの形成によって交換機に知らせることを意味しており、送信部11から応答信号を減衰器を通して相手側に送出するものではない。そして、当該事項により、訂正明細書の請求項1に係る発明の特許は、「信号送出レベルが異なる複数の回線を収納した場合に、呼出信号の入ってきた回線に応じて予め設定された所定の信号送出レベルで信号を送出することができ、通信エラーの発生を防止することができるとともに、通信効率を向上させることができる」(第10頁第13〜16行)という顕著な効果を奏するものであり、訂正明細書の請求項1に係る発明は、上記刊行物1又は2に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、訂正明細書の請求項1に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
(4)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号。以下「平成6年改正法」という。)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成11年改正前の特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、上記訂正請求を認める。
3.特許異議申立について
異議申立人渡辺利政は、甲第1号証として刊行物1(特開昭60-72367号公報)、甲第2号証として刊行物2(特開昭63-33064号公報)を提出し、本件請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、または、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明から当業者が容易に成し得たものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許を取り消すべきものである、と主張している。
(1)本件特許発明
上記「2.」で述べたように、上記訂正請求が認められるので、本件特許の請求項1に係る発明は、訂正後の特許明細書及び図面の記載からみて、訂正後の請求項1に記載された、上記「2.(2)訂正明細書の請求項1に係る発明」に記載されたとおりのものである。
(2)判断
上記「2.(3)イ.対比・判断」で記載したように、申立人が提出した証拠のいずれにも、訂正後の発明の技術課題を解決するために必要な事項である、データ端末装置の制御手段が「通信開始時、前記回線識別手段により呼出信号の入ってきた回線を識別すると、識別された回線に対応する設定データを前記メモリから読み出し、読み出された設定データに基づいて前記信号送出レベル調整手段を作動して信号送出レベルを調整して相手側に応答信号を送出する」事項が記載されていないことから、訂正後の発明が、当該証拠のいずれかに記載されているとも、また、これらの証拠に記載された発明から容易に発明をすることができたものとも認められない。
(3)特許異議申立人の主張
申立人は、甲第1号証(刊行物1;特開昭60-72367号公報)を提示し、甲第1号証には「着信通知により制御部10は、リレーA、Bを作動するとともに着信のあった回線側に対応するリレーPBX或いはTLを作動する。これにより、着信のあった回線側の端子95〜95或いは15〜15間に直流ループが形成され、交換機側へ応答を返すことになる。しかる後制御部10は、リレーSRを作動して接点sr1、sr2を受信部12側へ倒す。これによって、着信のあった回線と受信部12が接続状態となり、相手発信側装置からファクシミリ信号の受信が行われることになる。」(甲第1号証第3頁左上欄第5〜第16行)なる記載があり、この記載において、「相手側装置からの着信に対応してこのファクシミリ装置1が公衆回線5を介して相手側装置に接続された場合は、相手側装置に送出される信号が減衰器93によって公衆回線のロスが調整されて公衆回線5へ送出され、このファクシミリ装置1が専用回線6を介して相手側装置に接続された場合は、相手側装置に送出される信号が減衰器13によって専用回線のロスが調整されて専用回線5へ送出されることになるので、甲第1号証には、本件発明の構成要件Eに示す「通信開始時、前記回線識別手段(着信検出部94、14における各リレーPBR、TLR)により呼出信号の入ってきた回線を識別し、識別された回線に対応する設定データに基づいて前記信号送出レベル調整手段(減衰器93および減衰器13)により信号送出レベルを調整する」という構成も開示されていることになる。」と主張しているが、上記甲第1号証の記載中の「直流ループが形成され、交換機側へ応答を返すことになる。」との記載において「応答を返す」とは、着信に対する応答を直流ループの形成によって交換機に知らせることを意味しており、送信部11から応答信号を減衰器を通して相手側に送出するものではない。よって、甲第1号証には、データ端末装置の制御手段が「通信開始時、前記回線識別手段により呼出信号の入ってきた回線を識別すると、識別された回線に対応する設定データを前記メモリから読み出し、読み出された設定データに基づいて前記信号送出レベル調整手段を作動して信号送出レベルを調整して相手側に応答信号を送出する」ことについて開示も示唆もしない。したがって、申立人の上記主張は採用できない。
(4)むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してなされたものと認めない。
よって、平成6年改正法附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、前記結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
データ端末装置
(57)【特許請求の範囲】
信号送出レベルが異なる複数の回線を収納し、各回線に選択的に信号送出回路を接続してデ-タ通信を行なうデ-タ端末装置において、
呼出信号が入ってきた回線を識別する回線識別手段と、
信号送出レベルを設定する為の信号送出レベルの設定デ-タを各回線毎に夫々対応させて記憶するメモリ手段と、
信号送出レベルを前記メモリ手段から読み出された設定デ-タに基づいて調整する信号送出レベル調整手段と、
通信開始時、前記回線識別手段により呼出信号の入ってきた回線を識別すると、識別された回線に対応する設定デ-タを前記メモリから読み出し、読み出された設定デ-タに基づいて前記信号送出レベル調整手段を作動して信号送出レベルを調整して相手側に応答信号を送出する制御手段とを備えたことを特徴とするデ-タ端末装置。
【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
発明はデ-タ端末装置に関し、詳細には、複数の回線からの呼出に対し、回線に最適な信号送出レベルを設定するデ-タ端末装置に関する。
(従来の技術)
従来、多回線を収納するデ-タ端末装置としては、例えば、ファクシミリ装置があるが、これらのデ-タ端末装置においては、その回線に送出する信号の送出レベルが一定の許容値内に入っていることが法律等により規制されている。
そこで、従来、デ-タ端末装置においては、デ-タ端末装置の設置時等に接続される回線が例えば電話回線のときには、電話局との間のラインロスに応じて該電話局での信号レベルが所定の許容値内にはいるように信号送出レベルを固定的に設定している。
ところが、デ-タ端末装置に複数の回線が接続される場合には、全ての回線に対して許容値内に入るように、ラインロスの最も少ない回線の信号レベルに合わせて信号送出レベルを固定的に設定し、回線から呼出信号があると、呼出信号のあった回線にデ-タ端末装置を切り換えて接続している。
(発明が解決しようとする課題)
しかしながら、このような従来のデ-タ端末装置にあっては、回線からの呼出信号に対して応呼して信号を送出する場合、デ-タ端末装置の信号送出レベルが固定的に設定されていたため、複数の回線を収納するデ-タ端末装置にとっては、回線毎に最適な信号送出レベルを設定することができず、通信エラ-が発生する等の不具合が生じるおそれがあった。
例えば、デ-タ端末装置が専用回線と公衆電話回線に接続されている場合、一般に、専用回線の方がラインロスが少ないため、信号送出レベルは専用回線に合わせて設定される。その結果、公衆回線からの呼出信号があって応呼した場合、公衆電話回線の信号レベルが低下し、通信エラ-が発生するおそれがあった。
(発明の目的)
そこで、本発明は、着呼時、通信相手の回線を検出し、該回線に応じて信号送出レベルを調整することにより、呼出信号の送られてきた通信回線に最適なレベルで信号を送出して、通信エラ-の発生を防止し、通信効率を向上させることを目的としている。
(発明の構成)
本発明は、上記目的を達成するため、信号送出レベルが異なる複数の回線を収納し、各回線に選択的に信号送出回路を接続してデ-タ通信を行なうデ-タ端末装置において、呼出信号が入ってきた回線を識別する回線識別手段と、信号送出レベルを設定する為の信号送出レベルの設定デ-タを各回線毎に夫々対応させて記憶するメモリ手段と、信号送出レベルを前記メモリ手段から読み出された設定デ-タに基づいて調整する信号送出レベル調整手段と、通信開始時、前記回線識別手段により呼出信号の入ってきた回線を識別すると、識別された回線に対応する設定デ-タを前記メモリから読み出し、読み出された設定デ-タに基づいて前記信号送出レベル調整手段を作動して信号送出レベルを調整して相手側に応答信号を送出する制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
以下、本発明の実施例に基づいて具体的に説明する。
第1図〜第3図は本発明の一実施例を示す図であり、ファクシミリ装置に適用したものである。
第1図はデ-タ端末装置としてのファクシミリ装置1の要部ブロック図であり、ファクシミリ装置1は、システム制御部2、モデム(信号送出回線)3、信号送出レベル調整回路(手段)4、ハンドセット5、回線切換器(手段)6、2線-4線変換回路7、8、リレ-(直流閉結手段)9、10および呼出信号検出器(手段)11、12等を備えている。
2線-4線変換回路7にはリレ-9を介してラインロスの少ない専用回線L1が接続されており、2線-4線変換回路8にはリレ-10を介してラインロスの大きい公衆回線L2が接続されている。すなわち、ファクシミリ装置1は専用回線L1と公衆回線L2の2回線を収納している。専用回線L1には呼出信号検出器11が接続されており、呼出信号検出器11は専用回線L1からの呼出信号を検出してシステム制御部2に検出信号S1を出力する。公衆回線L2には呼出信号検出器12が接続されており、呼出信号検出器12は公衆回線L2からの呼出信号を検出してシステム制御部2に検出信号S2を出力する。リレ-9およびリレ-10はシステム制御部2の制御下で動作し、専用回線L1あるいは公衆回線L2の直流回路を閉結する。2線-4線変換回路7および2線-4線変換回路8は送出信号増幅回路や受信信号増幅回路等を有し、専用回線L1、L2からの受信信号を増幅して回線切換器6に出力し、また、回線切換器6からの送出信号を増幅して専用回線L1あるいは公衆回線L2に送出する。なお、本実施例では、システム制御部2、呼出信号検出器11および呼出信号検出器12は回線識別手段を構成している。
信号送出レベル調整回路4は切換器や第2図に示すような増幅回路21等を備えており、回線切換器6をハンドセット5とモデム3に択一的に切り換えて接続するとともに、送出信号の送出レベルを調整する。すなわち、信号送出レベル調整回路4は回線切換器6をハンドセット5とモデム3に択一的に切り換えて接続し、ハンドセット5による通話を可能にし、また、モデム3を介してのファクシミリ通信を可能にする。さらに、信号送出レベル調整回路4は、第2図に示すように、増幅回路21を備えており、増幅回路21は抵抗R、オペアンプOPおよびゲイン抵抗Rf等を有している。増幅回路21はゲイン抵抗Rfの値を変化させることによりオペアンプOPの増幅率を変化させて信号の送出レベルを調整しており、ゲイン抵抗Rfの抵抗値を変化させるのに、例えば、アナログスイッチ等が利用されている。このゲイン抵抗Rfの抵抗値はファクシミリ装置1の設置時に、専用回線L1および公衆回線L2についてそれぞれその信号送出レベルが最適な値となる抵抗値が選定され、ゲイン抵抗Rfの抵抗値を設定するためのゲイン抵抗デ-タはシステム制御部2内のメモリに格納される。したがって、システム制御部2は通信回線が設定されると、メモリ内のゲイン抵抗デ-タに基づいてゲイン抵抗Rfの値を調整し、増幅回路21、すなわち信号送出レベル調整回路4の信号送出レベルを調整して相手側に応答信号を送出する。なお、システム制御部2のメモリはメモリ手段を構成している。また、システム制御部は、制御手段を構成している。
モデム3はシステム制御部2から入力される送信信号を変調して信号送出レベル調整回路4に出力し、また、信号送出レベル調整回路4を介して送られてきた受信信号を復調してシステム制御部2に出力する。
システム制御部2は内部メモリに格納されているプログラムに従ってファクシミリ装置1の各部を制御してファクシミリ装置1としてのシ-ケンスを実行するとともに、本発明の信号送出レベル制御処理を実行する。
次に作用を説明する。
本発明は受信時、呼出信号の入ってきた回線に応じて自動的に信号送出レベルを該回線の最適値に調整するところにその特徴がある。以下、この受信時の信号送出レベル制御処理について第3図に示すフロ-チャ-トに基づいて説明する。
いま、専用回線L1から呼出信号が入ってきたとする。この呼出信号を呼出信号検出器11が検出し、(ステップP1)、システム制御部2に検出信号S1を出力する。システム制御部2は検出信号S1が入力されると、検出信号が検出信号S1から検出信号S2かをチェックし、呼出信号のあった回線が専用回線L1か公衆回線L2かをチェックする(ステップP2)。いま、専用回線L1から呼出信号が入ったのでリレ-9をオンにして専用回線L1を閉結するとともに、信号送出レベル調整回路4のゲイン抵抗Rfの抵抗値として専用回線L1用の抵抗値を設定して信号送出レベル調整回路4の信号送出レベルを専用回線L1用に設定し(ステップP3)、回線切換器6に切換信号を出力して信号送出レベル調整回路4を2線-4線変換回路7すなわち専用回線L1側に接続する(ステップP4)。その後、ファクシミリ受信を開始する(ステップP5)。
一方、公衆回線L2から呼出信号が入ったときも同様であり、ただ、ステップP2で公衆回線L2からの呼出信号であると判断すると、リレ-10をオンにして公衆回線L2を閉結するとともに、信号送出レベル調整回路4のゲイン抵抗Rfの抵抗値として公衆回線L2用の抵抗値を設定して信号送出レベル調整回路4の信号送出レベルを公衆回線L2用に設定する(ステップP6)。
したがって、複数回線を収納するファクシミリ装置1において、受信時、呼出信号がいずれの回線から入ってきたかを検出し、その回線に最適な値に信号送出レベルを調整することができ、通信エラーの発生を防止することができるとともに、信号効率を向上させることができる。
なお、デ-タ端末装置としてはファクシミリ装置に限るものではなく、信号送出レベル調整装置も上記実施例のものに限るものではない。
(効果)
本発明によれば、信号送出レベルが異なる複数の回線を収納した場合に、呼出信号の入ってきた回線に応じて予め設定された所定の信号送出レベルで信号を送出することができ、通信エラ-の発生を防止することができるとともに、通信効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第3図は本発明のデ-タ端末装置の一実施例を示すものであり、第1図は、そのデ-タ端末装置を適用したファクシミリ装置の要部ブロック図、第2図はその信号送出レベル調整回路の要部回路図、第3図はその信号送出レベル制御処理を示すフロ-チャ-トである。
1……ファクシミリ装置、
2……システム制御部(制御手段)、
3……モデム(信号送出回路)、
4……信号送出レベル調整回路(信号送出レベル調整手段)、
5……ハンドセット、
6……回線切換器(回線切換手段)、
7、8……2線-4線変換回路、
9、10……リレ-(直流閉結手段)、
11、12……呼出信号検出器(呼出信号検出手段)、
R……抵抗、
OP……オペアンプ、
Rf……ゲイン抵抗。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
▲1▼ 訂正事項a
特許第2756129号発明の明細書中の特許請求の範囲「信号送出レベルが異なる複数の回線を収納し、各回線に選択的に信号送出回路を接続してデ-タ通信を行なうデ-タ端末装置において、呼出信号が入ってきた回線を識別する回線識別手段と、信号送出レベルを設定する為の信号送出レベルの設定デ-タを各回線毎に夫々対応させて記憶するメモリ手段と、信号送出レベルを前記メモリ手段から読み出された設定デ-タに基づいて調整する信号送出レベル調整手段と、通信開始時、前記回線識別手段により呼出信号の入ってきた回線を識別し、識別された回線に対応する設定デ-タを前記メモリから読み出し、読み出された設定デ-タに基づいて前記信号送出レベル調整手段により信号送出レベルを調整することを特徴とするデ-タ端末装置。」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、「信号送出レベルが異なる複数の回線を収納し、各回線に選択的に信号送出回路を接続してデ-タ通信を行なうデ-タ端末装置において、呼出信号が入ってきた回線を識別する回線識別手段と、信号送出レベルを設定する為の信号送出レベルの設定デ-タを各回線毎に夫々対応させて記憶するメモリ手段と、信号送出レベルを前記メモリ手段から読み出された設定デ-タに基づいて調整する信号送出レベル調整手段と、通信開始時、前記回線識別手段により呼出信号の入ってきた回線を識別すると、識別された回線に対応する設定デ-タを前記メモリから読み出し、読み出された設定デ-タに基づいて前記信号送出レベル調整手段を作動して信号送出レベルを調整して相手側に応答信号を送出する制御手段とを備えたことを特徴とするデ-タ端末装置。」と訂正する。
▲2▼ 訂正事項b
上記訂正事項aで示す特許請求の範囲の訂正に伴い、特許請求の範囲と明細書の詳細な説明の記載との整合性をとるため、明細書第4頁第6行目から第5頁第2行目(特許第2756129号公報第2頁3欄第30行目から第45行目)の
「(発明の構成)
本発明は、上記目的を達成するため、信号送出レベルが異なる複数の回線を収納し、各回線に選択的に信号送出回路を接続してデ-タ通信を行なうデ-タ端末装置において、呼出信号が入ってきた回線を識別する回線識別手段と、信号送出レベルを設定する為の信号送出レベルの設定デ-タを各回線毎に夫々対応させて記憶するメモリ手段と、信号送出レベルを前記メモリ手段から読み出された設定デ-タに基づいて調整する信号送出レベル調整手段と、通信開始時、前記回線識別手段により呼出信号の入ってきた回線を識別し、識別された回線に対応する設定デ-タを前記メモリから読み出し、読み出された設定デ-タに基づいて前記信号送出レベル調整手段により信号送出レベルを調整することを特徴とするものである。
以下、本発明の実施例に基づいて具体的に説明する。」を明りょうでない記載の釈明を目的として、
「(発明の構成)
本発明は、上記目的を達成するため、信号送出レベルが異なる複数の回線を収納し、各回線に選択的に信号送出回路を接続してデ-タ通信を行なうデ-タ端末装置において、呼出信号が入ってきた回線を識別する回線識別手段と、信号送出レベルを設定する為の信号送出レベルの設定デ-タを各回線毎に夫々対応させて記憶するメモリ手段と、信号送出レベルを前記メモリ手段から読み出された設定デ-タに基づいて調整する信号送出レベル調整手段と、通信開始時、前記回線識別手段により呼出信号の入ってきた回線を識別すると、識別された回線に対応する設定デ-タを前記メモリから読み出し、読み出された設定デ-タに基づいて前記信号送出レベル調整手段を作動して信号送出レベルを調整して相手側に応答信号を送出する制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
以下、本発明の実施例に基づいて具体的に説明する。」と訂正する。
▲3▼ 訂正事項c
上記訂正事項aで示す特許請求の範囲の訂正に伴い、特許請求の範囲と明細書の詳細な説明の記載との整合性をとるため、明細書第7頁第16行目から20行目(特許第2756129号公報第2頁4欄第44行目から第49行目)の「したがって、システム制御部2は通信回線が設定されると、メモリ内のゲイン抵抗デ-タに基づいてゲイン抵抗Rfの値を調整し、増幅回路21、すなわち信号送出レベル調整回路4の信号送出レベルを調整する。なお、システム制御部2のメモリはメモリ手段を構成している。」を明りょうでない記載の釈明を目的として、「したがって、システム制御部2は通信回線が設定されると、メモリ内のゲイン抵抗デ-タに基づいてゲイン抵抗Rfの値を調整し、増幅回路21、すなわち信号送出レベル調整回路4の信号送出レベルを調整して相手側に応答信号を送出する。なお、システム制御部2のメモリはメモリ手段を構成している。また、システム制御部は、制御手段を構成している。」と訂正する。
異議決定日 2000-04-20 
出願番号 特願昭63-333663
審決分類 P 1 651・ 121- YA (H04M)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山田 洋一  
特許庁審判長 武井 袈裟彦
特許庁審判官 大塚 良平
山本 春樹
登録日 1998-03-06 
登録番号 特許第2756129号(P2756129)
権利者 株式会社リコー
発明の名称 データ端末装置  
代理人 有我 軍一郎  
代理人 有我 軍一郎  

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