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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A23K
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A23K
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A23K
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A23K
管理番号 1024251
異議申立番号 異議1999-74531  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-03-02 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-12-02 
確定日 2000-08-21 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2901057号「インシュリン非依存性糖尿病モデル動物用飼料」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2901057号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 (1)手続の経緯
特許第2901057号に係る発明についての出願は、平成9年8月19日に出願され、平成11年3月19日にその発明について特許の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人上田和男により特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年6月13日に訂正請求がなされたものである。
(2)訂正の適否についての判断
ア.訂正の内容
(a)特許請求の範囲の請求項1ないし3の「【請求項1】穀類・糠糖類・植物油粕類・油脂類等の慣用原料を主体とした飼料中可消化エネルギー(DE)に対する飼料中粗蛋白質(CP)の比CP(%)/DE(kcal/g)を5.0以下としたことを特徴とするインシュリン非依存性糖尿病モデル動物用飼料。
【請求項2】穀類・糠糖類・植物油粕類・油脂類等の慣用原料を主体とした飼料中可消化エネルギー(DE)に対する飼料中粗蛋白質(CP)の比CP(%)/DE(kcal/g)を5.0以下としかつ糖類を10%以上配合してあることを特徴とするインシュリン非依存性糖尿病モデル動物用飼料。
【請求項3】糖類がシュークロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、トリハロース、ガラクトース、マンノースのいずれかの一種以上である請求項2に記載のインシュリン非依存性糖尿病モデル動物用飼料。」を
「【請求項1】穀類・糠糖類・植物油粕類・油脂類等の慣用原料を主体とした飼料中可消化エネルギー(DE)に対する飼料中粗蛋白質(CP)の比CP(%)/DE(kcal/g)を5.0以下としかつ糖類を10%以上配合してあることを特徴とするインシュリン非依存性糖尿病モデル動物用飼料。
【請求項2】糖類がシュークロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、トリハロース、ガラクトース、マンノースのいずれかの一種以上である請求項1に記載のインシュリン非依存性糖尿病モデル動物用飼料。」と訂正する。
イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び拡張・変更の存否
上記訂正事項は、請求項1を削除し、この削除にともなって、請求項2,3の項番を繰り上げるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、上記訂正は願書に添付した明細書または図面に記載された事項の範囲を越えるものとは認められないから、新規事項の追加に該当せず、また特許請求の範囲を実質的に拡張または変更するものではない。
ウ.独立特許要件
(訂正明細書の請求項1ないし2に係る発明)
訂正明細書の請求項1ないし2に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】穀類・糠糖類・植物油粕類・油脂類等の慣用原料を主体とした飼料中可消化エネルギー(DE)に対する飼料中粗蛋白質(CP)の比CP(%)/DE(kcal/g)を5.0以下としかつ糖類を10%以上配合してあることを特徴とするインシュリン非依存性糖尿病モデル動物用飼料。
【請求項2】糖類がシュークロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、トリハロース、ガラクトース、マンノースのいずれかの一種以上である請求項1に記載のインシュリン非依存性糖尿病モデル動物用飼料。」
(引用刊行物に記載の発明)
当審が取消理由に引用した刊行物1(「第9回糖尿病動物研究会記録」 1995年 メディカルレビュー社発行 5〜7頁 )には、「3 エネルギー、蛋白および脂肪レベルの影響 飼料中の蛋白含量を表3に示すように、低、中、高(18%、28%、38%)に設定し、エネルギーレベルを一定にした場合、実際に糖尿病が発症したのは低蛋白食の1群のみであり、37週齢から発症を開始し、発症率は42%に達した。蛋白とエネルギーの関係においては、飼料中のエネルギーに占める蛋白の割合が低いほど高い血糖値を示すことが示唆された。そこで、表4に示すように、エネルギーレベルを一定にしておき蛋白レベルを更に低値(11%)にした場合、31週齢から発症を開始し、42週齢で100%に達した。同じ低蛋白レベルで脂肪含量を増加させても糖尿病の発症率のそれ以上の上昇はなかった。」(6頁右欄6〜24行)と記載されている。
そして、表4には試験区 1区 、2区、3区は粗蛋白質11%、可消化エネルギー3.30としており、可消化エネルギー(DE)に対する粗蛋白質(CP)の比CP(%)/DE(kcal/g) は約3.3である。
刊行物2(「教育セミナーフォーラム’96 多因子疾患について モデル動物の維持、繁殖の実際と問題点」 1996年 43〜52頁)には、「エネルギー、蛋白、および脂肪レベルを一定にした慣用原料を用いた飼料を作製し、調査を行い、飼料中の蛋白含量を18%、28%、38%に、エネルギーレベルを一定に設定した飼料(Table5)で、糖尿病を発症したのはIの粗蛋白質18%の低蛋白飼料のみであったと述べ、蛋白含量が糖尿病発現に大きく関与しているのでないかと推察した。次にエネルギーレベルを一定にし粗蛋白レベルを11%に、粗脂肪含量を変えた実験(Table6)を設定し、粗蛋白レベル11%で、31週齢より糖尿病が発症、42週齢で100%に達したと報告している。これらの成績から飼料中のエネルギーには、蛋白由来、脂肪由来および炭水化物由来のものがあるが、蛋白由来のエネルギーが少ない程、高い血糖値を示すことを示唆し、糖尿病の発現には、蛋白含量が大きく関与しているものと考察している」(48頁10〜19行)と記載されている。
そして、Table6の成分I〜IIIは、粗蛋白質(%)は11.0、DE(kcal)は3.30であるから、粗蛋白質/DEは約3.3である。
刊行物3(「糖尿病研究ストラテジー」 1995年7月20日 第1版第2刷 株式会社秀潤社発行 366〜367頁)には、「GKラットの血糖は生後8日目から高値であるが、コロニーによって血糖の程度にいくぶん相違がみられる。どちらかと言うと200〜300mg/dlの軽症糖尿病に属するが、糖負荷後の血糖上昇は高く、重度な耐糖能異常を示す。耐糖能異常の主因はブドウ糖に対するインスリン分泌不全と考えられる(図1)。」(366頁「B特徴」)、「市販のラット飼育飼料で高血糖および耐糖能異常を示す。シュクロース食により500mg/dlを越える高血糖を生じ、重篤な糖尿病性合併症を示す。」(366頁「D飼育法」)と記載されている。
(対比・判断)
訂正明細書の請求項1、2に係る発明と、刊行物1、2に記載の発明を対比すると、刊行物1、2に「穀類・糠糖類・植物油粕類・油脂類等の慣用原料を主体とした飼料中可消化エネルギー(DE)に対する飼料中粗蛋白質(CP)の比CP(%)/DE(kcal/g)を約3.3としたインシュリン非依存性糖尿病モデル動物用飼料」は記載されているが、請求項1、2に係る発明を特定するための事項である「かつ糖類(シュークロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、トリハロース、ガラクトース、マンノースのいずれかの一種以上)を10%以上配合してあること」についての記載がない。
訂正明細書の請求項1,2に記載の発明は、飼料中可消化エネルギー(DE)に対する飼料中粗蛋白質(CP)の比CP(%)/DE(kcal/g)を指標とし、その比を5.0以下とすることにより糖尿病の発症を見いだし、さらに、10%以上の糖の配合により、糖尿病の発症率を向上させ、発症時期を短縮したものである。
刊行物1,2には、上記したように、CP/DE値を約3.3とした飼料は記載されているが、これら刊行物では、糖尿病の発症を蛋白質含量において見いだしたものであって、上記CP/DEを指標とするものではなく、糖についての記載もないから、刊行物3に、シュクロース食により500mg/dlを越える高血糖を生じ、重篤な糖尿病性合併症を示すことが記載され、上記記載から、インスリン非依存性糖尿病の発症に糖の影響が重要であることが公知であるとしても、CP/DE値との関連において糖を10%以上配合することは当業者が容易に想到し得るものとは認められない。
そして、訂正明細書の請求項1、2に係る発明は、本件明細書の表3の試験区に記載のように、糖を10%以上配合することにより、糖尿病の発症率を短期間で著しく高めるという顕著な効果を奏するものであるから、刊行物1ないし3に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
したがって、訂正明細書の請求項1ないし2に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
エ.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は特許法第120条の4第2項および第3項で準用する特許法第126条第2項ないし第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
(3)特許異議の申立てについて
ア.申立ての理由の概要
申立人上田和男は、証拠として甲第1号証(「第9回糖尿病動物研究会記録」 1995年 メディカルレビュー社発行 5〜7頁)、甲第2号証(「糖尿病研究ストラテジー」 1995年7月20日 第1版第2刷 株式会社秀潤社発行 366〜367頁)、甲第3号証(「教育セミナーフォーラム’96 多因子疾患について モデル動物の維持、繁殖の実際と問題点」1996年 43〜52頁)を提出し、請求項1に係る発明は、甲第1、3号証に記載された発明であるから、請求項1に係る発明の特許は特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものであり、請求項1ないし3に係る発明は甲第1ないし3号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1ないし3に係る発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、また、請求項1ないし3に係る発明は、その明細書が特許法第36条第4項から第6項に規定する要件の満たしていないものであるから取り消されべきものである旨主張している。
イ.本件発明
本件請求項1ないし2に係る発明は、平成12年6月6日付けで提出された訂正請求書に添付された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された事項により特定されるとおりのものである。
ウ.特許法第29条第1項第3号違反について
上記(2)イに記載のように、特許査定時の請求項1は削除されたので、特許法第29条第1項第3号違反についての異議の申立理由は、その対象がなくなった。
エ.特許法第29条第2項違反について
甲第1号証、甲第2号証および甲第3号証は、上記(2)ウ(引用刊行物に記載の発明)に記載の刊行物1、刊行物3および刊行物2であるから、上記(2)ウ(対比・判断)で示した理由と同様に本件請求項1、2に係る発明は、甲第1ないし3号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
オ.特許法第36条第4項から第6項違反について
申立人は、本件明細書には、モデル動物としてラット、特にWBN/kob系の雄ラットのみしか具体的に開示されておらず、これだけの開示から特許請求の範囲に規定される「インシュリン非依存性糖尿病モデル動物用飼料」と請求することは、当業者に法外な実験を強いる旨主張してるが、本件特許発明は「飼料」に係る発明であって、請求項1ないし2には、飼料としての構成は明確に記載され、その飼料は、発明の詳細な説明に当業者が容易に実施し得るように明確かつ十分に記載されており、さらに、実験動物として、マウス、モルモット、ハムスターも記載されているから、上記申立人の主張は採用できない。
カ.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由および証拠によっては、本件請求項1ないし2に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし2に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
インシュリン非依存性糖尿病モデル動物用飼料
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 穀類・糟糠類・植物油粕類・油脂類等の慣用原料を主体とした飼料中可消化エネルギー(DE)に対する飼料中粗蛋白質(CP)の比CP(%)/DE(kcal/g)を5.0以下としかつ糖類を10%以上配合してあることを特徴とするインシュリン非依存性糖尿病モデル動物用飼料。
【請求項2】 糖類がシュークロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、トリハロース、ガラクトース、マンノースのいずれか一種以上である請求項1に記載のインシュリン非依存性糖尿病モデル動物用飼料。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インシュリン非依存性糖尿病モデル動物用飼料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種の疾患解明に実験動物が有効に活用されている。例えば、高血圧症、免疫不全、筋ジストロフィー、てんかん等にマウス、ラット、モルモットあるいはハムスター等が利用されている。
なかでも糖尿病は我が国で非常に多い疾患と位置づけられており、実験動物を利用して種々の研究が進められている。糖尿病はインシュリンの作用不足によって起こる代謝異常により血糖が慢性的に高くなる病気で、発症に遺伝的要素と生理環境が関わっていることは明らかであり、遺伝的要因・生理環境の影響の解析に糖尿病モデル動物が多数使用されている。
糖尿病は、大別してI型糖尿病としてインシュリン依存性糖尿病とII型糖尿病としてのインシュリン非依存性糖尿病があるが、疾患モデル動物においてもこの2型に分けることができる。
【0003】
糖尿病研究においては早期にその症状を発症する動物が必要とされている。インシュリン依存性糖尿病モデル動物は、遺伝的要因が大きく作用するので、比較的早く症状を発症するが、インシュリン非依存性糖尿病モデル動物は、遺伝、免疫、ホルモンなどの点で、インシュリン依存性糖尿病モデル動物と大きく異なるため、一般的に症状の発症が遅い。その原因の1つが、糖尿病モデル動物に給与される飼料が通常の実験動物の飼料と同一であることによる。
従って、インシュリン非依存性糖尿病モデル動物の発症時期を早めるような飼料の開発が待たれているところである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、糖尿病の早期発症を促進する、インシュリン非依存性糖尿病モデル動物用の飼料を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を達成するため鋭意研究を行ったところ、飼料中の、可消化エネルギー(DE)に対する粗蛋白質(CP)の比が一定値以下とすることあるいは更に糖類を一定以上加えることによって解決できることを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)穀類・糟糠類・植物油粕類・油脂類等の慣用原料を主体とした飼料中可消化エネルギー(DE)に対する飼料中粗蛋白質(CP)の比CP(%)/DE(kcal/g)を5.0以下としたことを特徴とするインシュリン非依存性糖尿病モデル動物用飼料、
(2)穀類・糟糠類・植物油粕類・油脂類等の慣用原料を主体とした飼料中可消化エネルギー(DE)に対する飼料中粗蛋白質(CP)の比CP(%)/DE(kcal/g)を5.0以下としかつ糖類を10%以上配合してあることを特徴とするインシュリン非依存性糖尿病モデル動物用飼料、
(3)糖類がシュークロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、トリハロース、ガラクトース、マンノースのいずれか一種以上である(2)に記載のインシュリン非依存性糖尿病モデル動物用飼料、
に関するものである。
【0007】
ここにおいて、可消化エネルギー(DE)とは、飼料の粗エネルギーから糞中へのエネルギーを差し引いたもので、飼料のエネルギーがどれほど動物に利用されるかを示すものである。
本発明者等は、インシュリン非依存性糖尿病モデル動物に対して穀物・糟糠類・植物油粕類・油脂類等の慣用原料を主体とした飼料中可消化エネルギー(DE)に対する飼料中粗蛋白質(CP)の比CP(%)/DE(kcal/g)を5.0以下とし、あるいは更に糖類を10%以上配合した飼料を給与することにより、糖尿病の早期発症を促進することができることを見出した。
【0008】
なお、CP(%)/DE(kcal/g)は2.0よりも大きいことが望ましい。
インシュリン非依存性糖尿病は、生理環境の変化により発症することが知られている。生理環境のなかでも栄養環境の及ぼす影響は大きく、実験動物においては飼料の影響は極めて大きい。本発明の飼料をインシュリン非依存性糖尿病モデル動物に給与すると、通常の飼料よりも若齢時に尿糖が検出され血糖値も上昇した。
従って、本発明の飼料は、血糖値の上昇と尿糖出現の早期化を生じ、糖尿病の発症を促進する働きを持っている。
【0009】
次に、糖類の摂取により血糖が上昇するため糖尿病の発症促進効果を奏することができる。シュークロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、トリハロース、ガラクトース、マンノース等のいずれか一種以上の糖類を10%以上飼料に添加すれば、摂取した動物の血糖値を上昇させ、糖尿病の発症を促進させることが可能である。糖類が10%未満の場合は、その効果が明白に出てこない。
糖尿病に関する研究は盛んに行われており、糖尿病を発症している動物の需要は多いが、発症するためにはかなりの時間を要しているので、本発明による飼料を給与して発症を促進させることは、糖尿病の研究開発をより進展させることの一端を担うこととなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、これに限定されるものではない。
【0011】
【実施例】
〔表1〕の成分になるように、穀物・糟糠類・植物油粕類・油脂類等の慣用原料を主体として飼料を製造し試験を実施した。インシュリン非依存性糖尿病モデル動物のWBN/kob雄ラットを各区9頭ずつ使用し、7週齢時から52週齢時まで各々〔表1〕の飼料を給与した。13週齢時、26週齢時、39週齢時、52週齢時に各区3頭ずつ糖負荷試験(GTT)・採血に供試し、血糖値・血液生化学的性状について測定した。また全動物の尿糖のチェックを試験開始より毎週実施し、糖尿病の発症について調べた。
【0012】
【表1】

【0013】
試験区は、本発明のもので飼料中可消化エネルギー(DE)に対する飼料中粗蛋白質(CP)の比CP(%)/DE(kcal/g)を5.0以下とし、砂糖を10%添加したものである。
比較区1及び2は、砂糖10%を添加していないものである。また、比較区3、4、5は、CP(%)/DE(kcal/g)が5.0以上のものである。
結果は〔表2〕及び〔表3〕に示した。
〔表2〕からわかるように、試験区は、比較区3・4・5より血糖値が上昇しており(13週齢を除く)、〔表3〕では、試験区の方が比較区より低週齢時から尿糖が検出されており、糖尿病の発症が促進されていることを示している。また砂糖が10%配合されている試験区は、同様に飼料中粗蛋白質(CP)の比CP(%)/DE(kcal/g)を5.0以下であるが、砂糖が添加されていない比較区1・2よりもさらに発症が促進された。
【0014】
【表2】

【0015】
【表3】

【0016】
【発明の効果】
本発明による実験動物用飼料を、インシュリン非依存性糖尿病モデル動物に給与すると、糖尿病の発症を促進させることができ、糖尿病の研究開発に資することができ、ひいては糖尿病の治療に効果を奏するものである。
 
訂正の要旨 特許第2901057号発明の明細書を本件訂正請求書に添付の訂正明細書のとおりに訂正する。即ち、特許請求の範囲の減縮を目的として下記(a)のとおり訂正する。
(a)特許請求の範囲の請求項1ないし3の
「【請求項1】穀類・糠糖類・植物油粕類・油脂類等の慣用原料を主体とした飼料中可消化エネルギー(DE)に対する飼料中粗蛋白質(CP)の比CP(%)/DE(kcal/g)を5.0以下としたことを特徴とするインシュリン非依存性糖尿病モデル動物用飼料。
【請求項2】穀類・糠糖類・植物油粕類・油脂類等の慣用原料を主体とした飼料中可消化エネルギー(DE)に対する飼料中粗蛋白質(CP)の比CP(%)/DE(kcal/g)を5.0以下としかつ糖類を10%以上配合してあることを特徴とするインシュリン非依存性糖尿病モデル動物用飼料。
【請求項3】糖類がシュークロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、トリハロース、ガラクトース、マンノースのいずれかの一種以上である請求項2に記載のインシュリン非依存性糖尿病モデル動物用飼料。」を
[【請求項1】穀類・糠糖類・植物油粕類・油脂類等の慣用原料を主体とした飼料中可消化エネルギー(DE)に対する飼料中粗蛋白質(CP)の比CP(%)/DE(kcal/g)を5.0以下としかつ糖類を10%以上配合してあることを特徴とするインシュリン非依存性糖尿病モデル動物用飼料。
【請求項2】糖類がシュークロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、トリハロース、ガラクトース、マンノースのいずれかの一種以上である請求項1に記載のインシュリン非依存性糖尿病モデル動物用飼料。」と訂正する。
異議決定日 2000-07-28 
出願番号 特願平9-222220
審決分類 P 1 651・ 121- YA (A23K)
P 1 651・ 113- YA (A23K)
P 1 651・ 536- YA (A23K)
P 1 651・ 537- YA (A23K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 長井 啓子  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 鈴木 寛治
白樫 泰子
登録日 1999-03-19 
登録番号 特許第2901057号(P2901057)
権利者 日本農産工業株式会社
発明の名称 インシュリン非依存性糖尿病モデル動物用飼料  
代理人 安田 徹夫  
代理人 平木 祐輔  
代理人 平木 祐輔  
代理人 安田 徹夫  

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