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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C04B
審判 全部申し立て 2項進歩性  C04B
審判 全部申し立て 4項(5項) 請求の範囲の記載不備  C04B
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  C04B
管理番号 1024282
異議申立番号 異議1999-73190  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1991-07-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-08-24 
確定日 2000-07-24 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2860570号「セラミックス接合体とその利用物」の請求項1ないし6に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2860570号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
特許出願 平成 1年11月27日
設定登録 平成10年12月11日
(特許第2860570号)
特許公報発行 平成11年 2月24日
特許異議の申立て 平成11年 8月24日
(申立人 竹 宮 茂 文)
取消理由通知 平成12年 3月 2日
意見書、訂正請求書 平成12年 5月 9日
取消理由通知 平成12年 6月 9日
訂正請求書 平成12年 6月20日
訂正請求取下書(平成12年5月9日付けのもの)
平成12年 6月20日
II.訂正の内容
平成12年6月20日付けの訂正請求書における訂正の要旨は次のとおりである。
1.訂正事項a
特許明細書の特許請求の範囲の請求項1に「結晶構造を持つ2種の微結晶が混在している一定の幅を持った界面領域」(特許公報1欄4〜6行)とあるのを「結晶構造を持ちかつ一定範囲内の粒径を持つ2種の微結晶が混在している10μm以上、70μm以下の幅を持った界面領域」に訂正する。
2.訂正事項b
特許明細書の特許請求の範囲の請求項2に「10μm以下」(同公報2欄3〜4行)とあるのを「1.5μm以上、10μm未満」に訂正する。
3.訂正事項c
特許明細書の特許請求の範囲の請求項3を削除する。
4.訂正事項d
特許明細書の特許請求の範囲の請求項4に「結晶構造を持つ2種の微結晶が混在している一定の幅を持った界面領域」(同許公報2欄12〜13行)とあるのを「結晶構造を持ちかつ一定範囲内の粒径を持つ2種の微結晶が混在している10μm以上、70μm以下の幅を持った界面領域」に訂正すると共に、請求項の番号を「3」に繰り上げる。
5.訂正事項e
特許請求の範囲における請求項5に「10μm以下」(同公報3欄11〜12行)とあるのを「1.5μm以上、10μm未満」に訂正し、同「請求項4記載の」(同公報3欄12行)とあるのを「請求項3記載の」に訂正すると共に、請求項の番号を「4」に繰り上げる。
6.訂正事項f
特許明細書の特許請求の範囲の請求項6を削除する。
7.訂正事項g
特許明細書6頁15〜16行(同公報4欄19行)に「それぞれ10μm未満であって」とあるのを「それぞれ1.5μm以上、10μm未満であって、」に訂正する。
8.訂正事項h
特許明細書6頁18行(同公報4欄21行)に「10μm以上であり、」とあるのを「10μm以上、70μm以下であり、」に訂正する。
9.訂正事項i
特許明細書9頁1行(同公報5欄7〜8行)に「結晶構造を持つ2種の」とあるのを「結晶構造を持ちかつ一定範囲内の粒径を持つ」に訂正する。
10.訂正事項j
特許明細書9頁2行(同公報5欄8行)に「一定の幅を持った」とあるのを「一定範囲内の幅を持った」に訂正する。
11.訂正事項k
特許明細書9頁16〜17行(同公報5欄21〜22行)に「いずれも10μm以下である」とあるのを「いずれも1.5μm以上、10μm未満である」に訂正する。
12.訂正事項l
特許明細書9頁19行(同公報5欄24行)に「少なくとも10μmある」とあるのを「10μm以上、70μm以下である」に訂正する。
13.訂正事項m
特許明細書10頁5〜6行(同公報5欄30行)に「結晶構造を持つ2種の」とあるのを「結晶構造を持ちかつ一定範囲内の粒径を持つ2種の」に訂正する。
14.訂正事項n
特許明細書10頁6行(同公報5欄31行)に「一定の幅を持った」とあるのを「一定範囲内の幅を持った」に訂正する。
15.訂正事項o
特許明細書11頁1〜2行(同公報5欄44〜45行)に「いずれも10μm以下である」とあるのを「いずれも1.5μm以上、10μm未満である」に訂正する。
16.訂正事項p
特許明細書11頁4行(同公報5欄47行)に「少なくとも10μmある」とあるのを「10μm以上、70μm以下である」に訂正する。
17.訂正事項q
特許明細書11頁5行(同公報5欄48行)に「特徴とする請求項(ニ)または(ホ)記載の」とあるのを「特徴とする(ニ)または(ホ)記載の」に訂正する。
18.訂正事項r
特許明細書11頁20行(同公報6欄10行)に「得られて」とあるのを「得られた」に訂正する。
19.訂正事項s
特許明細書14頁3行(同公報6欄50行)に「部分の引張試験」とあるのを「接合部分の引張試験」に訂正する。
20.訂正事項t
特許明細書17頁1〜4行(同公報9欄8〜10行)に「BaTiO3からなるペロブスカイト型結晶構造をもつ約2.5μmの微結晶とBaTiO3からなるペロブスカイト型結晶構造をもつ約2.0μmの微結晶が」とあるのを「BaTiO3からなるペロブスカイト型結晶構造をもつ約2.0μmの微結晶が」に訂正する。
(なお、他の訂正請求はいずれも特許公報掲載時の誤植に基くものであるので、不要であるため、省略した。)

III.訂正の適否に対する判断
1.訂正の目的、新規事項、拡張・変更
1.1 訂正事項aについて
上記訂正事項aは、特許明細書の請求項1では、2種の微結晶の粒径については何も限定されておらず、また、界面領域の幅については、「一定の幅を持った」との限定があるにしても、その具体的大きさについては何も記載されていなかったものを、前者については「一定範囲内の粒径を持つ」ものに限定すると共に、後者については「10μm以上、70μm以下」と具体的に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。
そして、界面領域に存在する2種の微結晶の粒径については、特許明細書9頁15〜18行(特許公報5欄20〜22行)には「(ロ)前記第1のセラミックスおよび前記第2のセラミックスのそれぞれのび結晶の粒径が、いずれも10μm以下であることを特徴とする」と記載され、また、実施例1〜7及び比較例1〜4の結果を表した第1表の記載によれば、実施例1〜7では2種の微結晶は1.5μm〜7μmの範囲内の粒径を有していたことが示されていたし、さらに、界面領域の幅の具体的大きさについても、上記第1表の実施例1〜7の記載からして、「10μm以上、70μm以下」である必要があることが一義的に読みとれるから、上記訂正事項aは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
1.2 訂正事項bについて
上記訂正事項bは、特許明細書の請求項2では2種の微結晶の粒径につきいずれも「10μm以下」と限定されていたものをより狭い範囲である「1.5μm以上、10μm未満」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮に相当する。
また、上記表1の実施例1〜7の記載によると、実施例に相当する2種の微結晶の粒径の下限値は「実施例3」の「1.5μm」であることが一義的に読みとれ、また、上限値については特許明細書6頁15〜16行(同公報4欄18〜19行)に「具体的には上記2種の微結晶の粒径がそれぞれ10μm未満であって」と記載されていたから、上記訂正事項bは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
1.3 訂正事項c及びfについて
上記訂正事項c及びfは、特定の請求項の削除であるから、特許請求の範囲の減縮相当し、また、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
1.4 訂正事項dについて
上記訂正事項dは、特許明細書の請求項4では、2種の微結晶の粒径については何も限定されておらず、また、界面領域の幅については、「一定の幅を持った」との限定があるにしても、その具体的大きさについては何も記載されていなかったものを、前者については「一定範囲内の粒径を持つ」ものに限定すると共に、後者については「10μm以上、70μm以下」と具体的に限定し、さらに、上記訂正事項cで請求項3が削除されたことに伴い、請求項の番号をこれに整合するように訂正するものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明に該当する。
そして、界面領域に存在する2種の微結晶の粒径及び界面領域の幅の具体的大きさについては、上記「III.1.1」で述べたのと同様に解されるから、上記訂正事項dは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
1.5 訂正事項e
上記訂正事項eは、特許明細書の請求項5では2種の微結晶の粒径につきいずれも「10μm以下」と限定されていたものをより狭い範囲である「1.5μm以上、10μm未満」に限定すると共に、上記訂正事項cで請求項3が削除され、かつ、引用していた請求項の番号が上記訂正事項dで変化したことに伴い、請求項の番号及び引用する請求項の番号をこれに整合するように訂正するものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明に相当する。
また、2種の微結晶の粒径については、上記「III.1.2」で述べたのと同様に解されるから、上記訂正事項eは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
1.6 訂正事項g、k及びoについて
上記訂正事項g、k及びoは、上記訂正事項b及びeにより請求項2及び4が訂正されたことに伴い、発明の詳細な説明をこれに整合するように訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明に相当し、また、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
1.7 訂正事項h〜j,l〜n及びpについて
上記訂正事項h〜j,l〜n及びpは、上記訂正事項a及びdにより請求項1及び3が訂正されたことに伴い、発明の詳細な説明をこれに整合するように訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明に相当し、また、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
1.8 訂正事項q及びr
上記訂正事項q及びrは、誤記の訂正に相当し、また、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
1.9 訂正事項s
上記訂正事項sは、実施例2〜7における引張試験及び電子顕微鏡による観察を行う「部分」がどこであるか明らかではなかったものを「接合部分」であることを明らかにしたものであるから、明りょうでない記載の釈明に相当する。
そして、実施例1に関し特許明細書12頁16〜18行(同公報6欄25〜27行)に「この試料の上記接合面の接合強度を測定するため、円筒状試料の両端を引張試験機に固定して引張り、」と記載され、また、比較例1〜4に関し特許明細書14頁10〜11行(同公報8欄2〜3行)に「接合部分の引張試験および観察を行った結果を第1表に示す。」と記載されていたように、表1に実施例2〜7の結果と共に示されている実施例1及び比較例1〜4の引張強度は「接合部分」のものであることが明確に示されていたから、実施例2〜7の引張強度も「接合部分」のものであることは明らかである。
従って、上記訂正事項sは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
1.10 訂正事項t
上記訂正事項tは、「BaTiO3からなるペロブスカイト型結晶構造をもつ微結晶」が重複的に記載されていて不明りょうになっていたのを一方を削除することにより明りょうになるように訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明に相当する。
また、特許明細書16頁5〜6行(同公報7欄49〜50行)に「スピネル型の結晶構造を有するZn-Niフェライト粉末を得た。」と、同じく16頁9〜10行(同公報9欄47〜48行)に「ペロブスカイト型の結晶構造を有するセラミック粉末を得た。」と、同じく16頁11〜12行に「次に得られたそれぞれの粉末を用いて実施例1と同様な方法で資料を作成した。」と記載されており、一方、実施例1では、第1図に示すように、接合境界面域に結晶構造の異なる2種のセラミックス(スピネル型及びルチル型)の微結晶が存在しているものが示されていることから、実施例8にかかる訂正前のペロブスカイト型結晶構造についての記載は重複記載であることは自明である。
したがって、上記訂正事項tは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
2.独立特許要件
2.1 訂正明細書に記載された発明
訂正請求書に添付された全文訂正明細書の特許請求の範囲の各請求項の記載は次のとおりである。
【請求項1】結晶構造型の異なる2種のセラミックスの接合体であって、第1のセラミックスと第2のセラミックスとの境界部分にそれぞれのセラミックスの結晶構造を持ちかつ一定範囲内の粒径を持つ2種の微結晶が混在している10μm以上、70μm以下の幅を持った界面領域があり、第1のセラミックスの微結晶の混在率は該界面領域中第1のセラミックス部分に最も近い断面で最も高く、断面が第2のセラミックス部分に近付くに従って次第に低くなっており、一方、第2のセラミックスの微結晶の混在率は該界面領域中第2のセラミックス部分に最も近い断面において最も高く、断面が第1のセラミックス部分に近付くに従って次第に低くなっており、上記混在率の変化は、どちらの型の微結晶についても連続的であるため、該界面領域内には、その両端部分をも含めて応力の集中する断面が存在しない構造となっていることを特徴とするセラミックス接合体。
【請求項2】前記第1のセラミックスおよび前記第2のセラミックスそれぞれの微結晶の粒径が、いずれも1.5μm以上、10μm末満であることを特徴とする請求項1記載のセラミックス接合体。
【請求項3】結晶構造型の異なる2種のセラミックスの接合体からなる積層LCフィルターであって、第1のセラミックスと第2のセラミックスとの境界部分にそれぞれのセラミックスの結晶構造を持ちかつ一定範囲内の粒径を持つ2種の微結晶が混在している10μm以上、70μm以下の幅を持った界面領域があり、第1のセラミックスの微結晶の混在率は該界面領域中第1のセラミックス部分に最も近い断面で最も高く、断面が第2のセラミックス部分に近付くに従って次第に低くなっており、一方、第2のセラミックスの微結晶の混在率は該界面領域中第2のセラミックス部分に最も近い断面において最も高く、断面が第1のセラミックス部分に近付くに従って次第に低くなっており、上記混在率の変化は、どちらの型の微結晶についても連続的であるため、該界面領域内には、その両端部分をも含めて応力の集中する断面が存在しない構造となっていることを特徴とする積層LCフィルター。
【請求項4】前記第1のセラミックスおよび前記第2のセラミックスそれぞれの微結晶の粒径が、いずれも1.5μm以上、10μm未満であることを特徴とする請求項3記載の積層LCフィルター。
(以下、上記各請求項に係る発明を順に「本件訂正発明1」〜「本件訂正発明4」という。)
2.2 取消理由の概要
(1)平成12年3月2日付けの取消理由の概要は、次のとおりである。
(取消理由の1)
本件特許の請求項1〜6に係る発明は、下記引用例1及び2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであると認められるから、該発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

引用例1.特公昭62- 57042号公報(甲第1号証に該当)
引用例2.特開平 1-226776号公報(甲第2号証に該当)
(取消理由の2)
本件特許明細書には以下に示す理由により記載不備が存在すると認められるから、本件請求項1及び4に係る発明の特許は、明細書の記載が特許法第36条第4項及び5項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。

本件特許明細書の請求項1及び4には、界面領域の幅や各結晶の粒径については何も限定されていないので、本件特許明細書の実施例と比較例とを区別するために必要不可欠な構成が記載されていない。
(2)平成12年6月9日付けの取消理由の概要は、次のとおりである。
本件特許明細書の請求項1,2,4及び5の記載では、「一定の幅を持った界面領域」の具体的構成が明確でない。
したがって、本件請求項1,2,4及び5に係る発明の特許は、明細書の記載が特許法第36条第4項及び5項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。
2.3 取消理由についての判断
上記(2)の取消理由及び上記(1)の取消理由中「取消理由の2」は、平成12年6月20日付けの訂正請求書により請求項1及び4の「それぞれのセラミックスの結晶構造を持つ2種の微結晶が混在している一定の幅を持った界面領域」が「それぞれのセラミックスの結晶構造を持ちかつ一定範囲内の粒径を持つ2種の微結晶が混在指定いる10μm以上、70μm以下の幅を持った界面領域」訂正され、請求項2及び5の「いずれも10μm以下」が「いずれも1.5μm以上、10μm未満」に訂正(さらに請求項3及び6が削除されて請求項の番号が繰り上がった)されたため、解消された。
そこで以下において、上記(1)の取消理由中「取消理由の1」ついて検討する。
2.3.1 各引用例の記載
(引用例1)
上記引用例1には、「誘電体磁器材料」に関し、
(1-1)「本発明は低温焼結型で高いQを有する誘電体磁器材料に係り、特に一括焼結体により構成されるLC複合チップ素子のコンデンサ部分として好適な低温焼結誘電体磁器材料に関するものである。」(1欄10〜13行)、
(1-2)「本発明者等はその熱膨張係数が90〜100×10-7/℃である磁性フェライトと一緒に焼成されるときに磁性フェライトとの間に熱膨張係数の実質的な差がなく、且つそれに対して十分な接着強度を有する材料を探求した結果、TiO2主体でCuOまたはCuOとMn酸化物の混合焼結体が所期の目的を達成するものであることを見出した。」(4欄3〜10行)、
(1-3)「実施例1 市販の酸化チタン、酸化銅、炭酸マンガンを、TiO2 95.0モル%、CuO 5.0モル%、MnCO3 0.757wt%の割合で重量100grになるように秤量し、…(中略)…860℃で2時間空気中で焼結してチップコンデンサを得た。」(4欄23〜38行)、
(1-4)「実施例3 焼成温度860℃で空気中で焼成して得たNi、Cu、Znフェライトで、特性として…(中略)…を有する磁性フェライトを巻数10TSで積層し、その上に上記実施例1の誘電体材料を積層し、LC複合チップ部品とし、860℃で2時間空気中で焼成してLC複合チップ部品の焼結体を得た。」(5欄28〜35行)、
(1-5)「本発明によれば磁性フェライトと略同じ熱膨張係数を有し、同一温度で焼成可能な誘電体を提供することができるので、中間層を使用することなくLC複合チップ部品を1回の焼成で一括焼成することができる。」(6欄25〜29行)、
との記載がある。
(引用例2)
上記引用例2には、「異種フェライトの接合方法」に関し、
(2-1)「異なる組成を有する2種のフェライト粉末をそれぞれ冷間において成形する第1次成形工程と、これらの成形体を接合した状態で冷間静水圧プレスを施す第2次成型工程と、接合された成形体を焼成する焼成工程とを有することを特徴とする異種フェライトの接合方法。」(1頁左下欄特許請求の範囲)、
(2-2)「複合フェライト素材を、磁気特性、機械的特性を劣化させずに作製するためには、特にその継ぎ目部分において連続性を持たせることが必要であり、」(2頁左上欄16〜19行)、
(2-3)「第1次成形工程においてそれぞれ成型された2種のフェライト素材が、第2次成形工程において静水圧圧縮により、その接合面を密着させつつ再度圧縮成形される。そして圧縮成形を受けた状態で焼結工程において焼成され、接合面において結晶構造の連続性をもつ一体のフェライトとなる。」(2頁左下欄9〜14行)、
(2-4)「この分断面上において、接合面13に直交する方向に順次成分元素をXMA(X線マイクロアナライザ)により分析した結果を第5図に示す。これによれば、接合面を挟んで双方に60μmの範囲で成分元素が拡散していることが分かる。」(3頁右上欄5〜10行)、との記載があるほか、
(2-5)2頁右下欄第1表には、実施例で使用された異種セラミックスA及びBの組成に関し、セラミックスAの組成はFe2O3:53mol%、MnO:31mol%及びZnO:16mol%であり、セラミックスBの組成はFe2O3:52mol%、MnO:27mol%及びZnO:21mol%であることが、示されている。
2.3.2 対比・判断
本件訂正発明1〜4は、結晶構造型の異なる2種のセラミックスの接合体ないしは該接合体からなる積層LCフィルターにおいて、「第1のセラミックスと第2のセラミックスとの境界部分にそれぞれのセラミックスの結晶構造を持ち」かつ「2種の微結晶が混在している10μm以上、70μm以下の幅を持った界面領域があり、第1のセラミックスの微結晶の混在率は該界面領域中第1のセラミックス部分に最も近い断面で最も高く、断面が第2のセラミックス部分に近付くに従って次第に低くなっており、一方、第2のセラミックスの微結晶の混在率は該界面領域中第2のセラミックス部分に最も近い断面において最も高く、断面が第1のセラミックス部分に近付くに従って次第に低くなっており、上記混在率の変化は、どちらの型の微結晶についても連続的である」という構成を備えることにより、「接合強度が高く、かつ熱サイクルによる接合強度による劣化がないので、高性能で信頼性の高いLC複合部品を得ることができる」(同公報10欄2〜4行)という効果を奏するものである。
一方、上記引用例1には、「TiO2主体でCuOまたはCuOとMn酸化物の混合焼結体」と「Ni、Cu、Znフェライト」との接合体からなるLC複合チップ部品が記載され、両セラミックスは熱膨張係数の実質的差異がないために中間層を使用することなく1回の焼成で一括焼成できることも示されているが、両セラミックスの接合部分の具体的構成については何も記載されていないし示唆もされていない。
また、上記引用例2には、異なる組成を有する2種のフェライトの接合体が記載され、その接合部では結晶構造が連続性を持っていること及び接合面を挟んで双方に60μmの範囲で成分元素が拡散しいることも示されているが、その2種のフェライトは、上記「(2-3)」に「接合面において結晶構造の連続性を持つ一体のフェライトとなる。」と記載され、さらに、上記「(2-5)」に示したように、2種のセラミックスの含有成分は共通しているばかりか各成分の含有割合にほとんど差異がないことからすると、同じ結晶構造型のものであると認めざるを得ない。
したがって、上記引用例1に記載の発明と上記引用例2に記載の発明とは、接合する2種のセラミックスの結晶構造型が前者では異なるのに対し後者では同じであるので、たとえ上記引用例2の記載を考慮して上記引用例1に記載されている接合体の接合部分の具体的構成について考察したところで、引用例1に記載の発明における両セラミックスの接合部分の具体的構成について予測することは困難であると認められる。
このことは、たとえ単に結晶構造型の異なる2種のセラミックス原料からなる成形体を接合して同時に焼成したとしても、必ずしも「第1のセラミックスと第2のセラミックスとの境界部分にそれぞれのセラミックスの結晶構造を持ち」かつ「2種の微結晶が混在している10μm以上、70μm以下の幅を持った界面領域があり、第1のセラミックスの微結晶の混在率は該界面領域中第1のセラミックス部分に最も近い断面で最も高く、断面が第2のセラミックス部分に近付くに従って次第に低くなっており、一方、第2のセラミックスの微結晶の混在率は該界面領域中第2のセラミックス部分に最も近い断面において最も高く、断面が第1のセラミックス部分に近付くに従って次第に低くなっており、上記混在率の変化は、どちらの型の微結晶についても連続的である」ものが得られるわけではないことは、本件訂正明細書の実施例1〜8及び比較例1〜5の記載を対比することにより確認し得ることである。
してみれば、本件訂正発明1〜4は上記引用例1及び2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
以上のとおりであるから、本件訂正発明1〜4は特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
3.訂正の認否
したがって、上記「III.1.」及び「III.2.3」に述べたように、上記訂正は、平成6年改正法附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる平成11年改正前の特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

IV.特許異議の申立についての判断
1.特許異議の申立ての理由の概要
申立人は、証拠として下記甲第1〜5号証を提出し、
(1)本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1〜3号証に記載された発明であり、同請求項3に係る発明は甲第2号証に記載された発明であり、同請求項4に係る発明は甲第1号証に記載された発明であるから、本件特許の請求項1、3及び4に係る発明は特許法第29条第1項の規定に違反してなされたものである、
(2)本件特許の請求項1〜6に係る発明は、甲第1〜5号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、該発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである、
(3)本件特許明細書には記載不備が存在するから、本件請求項1〜6に係る発明の特許は明細書の記載が特許法第36条第3項及び第4項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである、
ので、特許を取り消すべきものである旨を主張している。
甲第1号証:特公昭62-57042号公報
(上記引用例1に該当)
甲第2号証:特開平1-226776号公報
(上記引用例2に該当)
甲第3号証:特開昭60-27664号公報
甲第4号証:「日本金属学会誌」第51巻第6号(1987)、
p.525〜529
甲第5号証:特開平1-183476号公報
2.当審の判断
2.1 本件発明
上記「III.3.」で述べたように、上記訂正を認めるので、本件特許の請求項1〜4に係る発明は、上記「III.2.1」に摘記した請求項1〜4に記載されたとおりのもの(以下、「本件発明1」〜「本件発明4」という。)である。
2.2 申立ての理由(3)について
申立ての理由(3)は、
(a)本件特許明細書の請求項1及び4には、界面領域の幅や各結晶の粒径については何も限定されていないので、本件特許明細書の実施例と比較例とを区別するために必要不可欠な構成が記載されていない、
(b)本件特許発明のような混合層を生成するためには、組成系によって焼成温度を調整する必要があるが、本件特許の請求項1〜6については組成系について何も限定されておらず、しかも実施例で示されているZn-Ni-CuフェライトとTiO2-CuO系のルチル型との接合の場合及びZn-NiフェライトとBaTiO3との接合の場合以外の他の組成系、例えば、MgTiO3とAl2O3等の接合の場合については焼成温度を調整することにより混合層を生成できるのかどうかが不明であるから、本件特許明細書は当業者が容易に実施をすることができる程度にその発明の目的、構成及び効果が記載されているとは認められない、
(c)本件特許の請求項2及び5における「微結晶の粒径」が「平均結晶粒径」であるかどうかが不明である、
ので、本件請求項1〜6に係る発明の特許は明細書の記載が特許法第36条第3項及び第4項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである、というものである。
{(a)について}
上記申立て理由の(a)は、平成12年3月2日付けの取消理由通知書で通知した取消理由の2と同じであり、既に上記「III.2.3」で述べたとおり、解消された。
{(b)について}
上記申立て理由の(b)については、発明の詳細な説明には請求項にかかる発明をどのように実施するかについて特許出願人が最良と思われるものを少なくても1つ示せば足りるものであり、本件特許明細書にはスピネル型の結晶構造を有するZn-Ni-Cuフェライトとルチル型の結晶構造を有するTiO2-CuO系との接合の場合及びスピネル型の結晶構造を有するZn-Niフェライトとペロブスカイト型の結晶構造を有するBaTiO3との接合の場合について焼成温度を変えることにより本件特許発明のような混合層が形成された例(実施例1〜5)及び形成されなかった例(比較例1〜5)が具体的に示されているから、他の組成系のものであっても焼成温度を変えることにより本件特許発明のような混合層が形成されるか否かを確認する程度のことは当業者であれば容易になし得ることであり、他に他の組成系のものでは本件特許発明のような混合層を形成し得ないことを窺わせる何等の証拠もないから、申立人の上記(b)の主張は理由がない。
{(c)について}
上記申立て理由の(c)については、特許明細書に「微結晶の粒径」につき「平均結晶粒径」との記載がなければ個々の微結晶の粒径を示すものであることは明らかであり、また、このように解することで本件発明1〜4の構成が何等不明りょうとなるものではないから、申立人の上記(c)の主張には理由がない。
2.2 申立ての理由(1)及び(2)について
2.2.1 甲各号証の記載
(甲第1、2号証)
上記甲第1号証及び甲第2号証は、当審における平成12年3月2日付けの取消理由で引用された引用例1及び2を同じであり、それぞれ上記「III.2.3.1」に摘記したとおりのことが記載されている。
(甲第3号証)
上記甲第3号証には、「セラミックスと異種材料との接合方法」に関し、
(3-1)「セラミックスと、それと異なる熱膨張率を有するセラミックス又は金属との間に、少なくとも1種の中間層を介在せしめ、加圧下加熱して接合することを特徴とするセラミックスと異種材料との接合方法。」(1頁左下欄特許請求の範囲)、
(3-2)「次に中間層(C)の形成方法について説明する。セラミックス(A)と接合すべき異種材料(B)とを直接用いるか、又は両者(A)(B)に各々類似した熱膨張率を有する2種以上の材質を用いて、夫夫の含有量が中間層C1,・・・,Cnにおいてセラミックス(A)側より異種材料(B)側へ減少又は増加させることにより、各層間の熱歪が0.2%以下となるように各中間層(C)の熱膨張率を選定する。」(3頁右上欄15行〜同頁左下欄2行)、
との記載がある。
(甲第4号証)
上記甲第4号証は「傾斜組成制御した多層中間層をもつ金属/セラミックス接合体における熱応力の有限要素解析」と題する報文であって、これには、
(4-1)「ZrO2セラミックスとWとの間に20vol%ずつ段階的に組成制御した中間層を導入した場合には、Fig.4(b)に示したように、応力集中が大幅に緩和され、応力の値からみても熱応力による亀裂の発生など起こらない健全な接合体が得られることが示されている。」(527頁左欄下から2行〜同頁右欄3行)、
(4-2)「Fig.7はZrO2-W接合体に発生する熱応力に対する中間層の厚さ(d=0,2mm,8mm)の効果を示したものであり、中間層は勾配1の段階状4層組成制御とし、接合体の中心断面を原点(…(中略)…)にとった。全体として中間層の厚さを大きくするほど応力のピーク値は低下し、有効に応力緩和が起こることがわかる。熱応力緩和に対する中間層の効果をさらに明確に把握するためにFig.7に示した応力分布における最大値を直接接合時の値との比として中間層厚さに対してプロットするとFig.8のようになる。この図は有効に熱応力を緩和させるためには、ある程度の幅を持つ傾斜組成制御中間層が必要であることを示唆している。Fig.8に示した組成制御では、中間層の厚さを約6mm以上にすれば、直接接合時の軸方向の熱応力の最大値が約25%程度に緩和されることが見込まれる。」(528頁左欄下から8行〜同頁右欄6行)、
との記載がある。
(甲第5号証)
上記甲第5号証には、「セラミックス接合体製造方法」に関し、
(5-1)「本発明はセラミックス粉末に有機バインダーを3〜30%、有機分散剤を0.5〜5%添加して接合要素としてのセラミックス成形体をつくり、セラミックス成形体同士の接合すべき端面を溶剤を介して接合し、摩擦により活性化した後加圧し、その後乾燥、脱脂および焼成することを特徴とする。」(2頁左下欄6〜12行)、
(5-2)「使用するセラミックス粉末の粒径の範囲は0.01〜50μm、好ましくは0.1〜10μmである。」(2頁左下欄20行〜同頁右下欄2行)、
(5-3)「本発明によれば、セラミックス成形体の直接的な接合が可能となり、全てのセラミックスに広く適用できるとともに、高い接合強度および優れた耐熱特性を有する接合体が製造できる。」(4頁右下欄13〜17行)、
との記載がある。
2.2.2 申立て理由の(1)について
特許査定時の請求項1、3及び4に係る発明は、上記訂正請求により訂正されて本件発明1及び3に対応するものとなったので、以下においては本件発明1及び3について検討する。
上記甲第1号証には、「TiO2主体でCuOまたはCuOとMn酸化物の混合焼結体」と「Ni、Cu、Znフェライト」との接合体からなるLC複合チップ部品が記載され、両セラミックスは熱膨張係数の実質的差異がないために中間層を使用することなく1回の焼成で一括焼成できることも示されているが、焼成後の両セラミックスの接合部分の具体的構成について示唆する記載はないし、しかも、両セラミックス成形体の積層に際しては、上記[(1-3)」に摘記したように、単に「積層し」としか記載されていない。
一方、結晶構造型の異なる2種のセラミックスの接合体ないしは該接合体からなる積層LCフィルターにおいて、本件発明1及び3における「第1のセラミックスと第2のセラミックスとの境界部分にそれぞれのセラミックスの結晶構造を持ち」かつ「2種の微結晶が混在している10μm以上、70μm以下の幅を持った界面領域があり、第1のセラミックスの微結晶の混在率は該界面領域中第1のセラミックス部分に最も近い断面で最も高く、断面が第2のセラミックス部分に近付くに従って次第に低くなっており、一方、第2のセラミックスの微結晶の混在率は該界面領域中第2のセラミックス部分に最も近い断面において最も高く、断面が第1のセラミックス部分に近付くに従って次第に低くなっており、上記混在率の変化は、どちらの型の微結晶についても連続的である」という構成を形成するためには、例えば本件特許明細書12頁3〜9行(特許公報6欄12〜17行)に「これらZn-Ni-Cuフェライト成形体とTiO2-CuOセラミックス成形体とをそれぞれ底面が接触するようにして金型に入れ、それぞれの底面が接触している面と反対側の2つの面から200kgの力を加えて加圧し、同時に120℃に加熱することにより両方の成形体の底面同士を接合した。」と具体的に記載されているように、焼成前の両セラミックス成形体に対し上記のような特定の処理操作が必要であると認められる。
してみると、甲第1号証には上記の特定の処理操作を示唆する記載はないから、甲第1号証に記載されている「TiO2主体でCuOまたはCuOとMn酸化物の混合焼結体」と「Ni、Cu、Znフェライト」との接合体からなるLC複合チップ部品は本件発明1及び3で具体的に限定されている上記構成を備えていないものと認めざるを得ない。
したがって、甲第1号証に記載の発明と本件発明1及び3とは別異のものである。
また、上記甲第2号証には、異なる組成を有する2種のフェライトの接合体が記載され、その接合部では結晶構造が連続性を持っていること及び接合面を挟んで双方に60μmの範囲で成分元素が拡散しいることも示されているが、その2種のフェライトは、既に上記「III.2.3.2」で述べたように、同じ結晶構造型のものであるから、甲第2号証に記載の発明は「結晶構造の異なる2種のセラミックスの接合体」を構成要件とする本件発明1及び3とは別異のものである。
同じく甲第3号証には、セラミックス(A)と接合すべき異種のセラミックス(B)とを夫々の含有量が中間層C1,・・・,Cnにおいてセラミックス(A)側より(B)側へ減少又は増加させた中間層を用いて接合することが示されているが、中間層の組成は段階的に変化していいるものであって連続的に変化しているものではなく、しかも、接合後の中間層の結晶構造や厚さに関する記載もないから、甲第3号証に記載の発明は少なくとも本件発明1及び3の構成要件である「第1のセラミックスと第2のセラミックスとの境界部分にそれぞれのセラミックスの結晶構造を持」った「2種の微結晶が混在している」「界面領域」において、「第1のセラミックスの微結晶の混在率は該界面領域中第1のセラミックス部分に最も近い断面で最も高く、断面が第2のセラミックス部分に近付くに従って次第に低くなっており、一方、第2のセラミックスの微結晶の混在率は該界面領域中第2のセラミックス部分に最も近い断面において最も高く、断面が第1のセラミックス部分に近付くに従って次第に低くなっており、上記混在率の変化は、どちらの型の微結晶についても連続的である」という構成を備えていないことは明らかであるから、甲第3号証に記載の発明は本件発明1及び3とは別異のものである。
2.2.3 申立て理由の(2)について
本件発明1〜4が、上記甲第1及び2号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができないことは、既に上記「III.2.3.2」で述べたとおりである。
また、上記甲第3号証には、セラミックス(A)と接合すべき異種のセラミックス(B)とを夫々の含有量が中間層C1,・・・,Cnにおいてセラミックス(A)側より(B)側へ減少又は増加させた中間層を用いて接合することが示されているが、中間層の組成は段階的に変化していいるものであって連続的に変化しているものではなく、しかも、接合後の中間層の結晶構造や厚さに関する記載もない。
同じく甲第4号証には、セラミックスと金属の接合に際し、段階的に組成制御した中間層を導入したものが記載されているが、中間層の組成は連続的に変化しているものではなく、しかも、上記「(4-2)」には、熱応力緩和には中間層の厚みはある程度の厚さを必要とすること、Fig.8の例では「約6mm以上が望ましい」ことが示されているが、ここに記載されている接合体は本件発明1〜4における「結晶構造型の異なる2種のセラミックスの接合体」ではなく、しかも上記中間層の厚みは本件発明1〜4における「10μm以上、70μm以下の幅を持った界面領域」よりもはるかに大きいものである。
さらに、甲第5号証には、セラミックス成形体同士の接合に際し、接合要素としてセラミックス粉末の粒径が0.01〜50μmの範囲のものを使用することが示されているが、焼成して得られたセラミックス接合体における接合部の具体的構成を示す記載はない。
してみると、甲第3〜5号証のいずれにも本件発明1〜4の構成要件である「結晶構造型の異なる2種のセラミックスの接合体」ないしは「該接合体からなる積層LCフィルター」において、「第1のセラミックスと第2のセラミックスとの境界部分にそれぞれのセラミックスの結晶構造を持ち」かつ「2種の微結晶が混在している10μm以上、70μm以下の幅を持った界面領域があり、第1のセラミックスの微結晶の混在率は該界面領域中第1のセラミックス部分に最も近い断面で最も高く、断面が第2のセラミックス部分に近付くに従って次第に低くなっており、一方、第2のセラミックスの微結晶の混在率は該界面領域中第2のセラミックス部分に最も近い断面において最も高く、断面が第1のセラミックス部分に近付くに従って次第に低くなっており、上記混在率の変化は、どちらの型の微結晶についても連続的である」という構成を示唆する記載はないから、たとえ甲第1〜5号証の記載を総合して勘案したところで、本件発明1〜4を想到することが当業者にとり容易であるとすることはできない。

V.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1〜4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1〜4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明1〜4についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものとは認められない。
よって、平成6年改正法附則第14条の規定に基く、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
セラミックス接合体とその利用物
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】結晶構造型の異なる2種のセラミックスの接合体であって、第1のセラミックスと第2のセラミックスとの境界部分にそれぞれのセラミックスの結晶構造を持ちかつ一定範囲内の粒径を持つ2種の微結晶が混在している10μm以上、70μm以下の幅を持った界面領域があり、第1のセラミックスの微結晶の混在率は該界面領域中第1のセラミックス部分に最も近い断面で最も高く、断面が第2のセラミックス部分に近付くに従って次第に低くなっており、一方、第2のセラミックスの微結晶の混在率は該界面領域中第2のセラミックス部分に最も近い断面において最も高く、断面が第1のセラミックス部分に近付くに従って次第に低くなっており、上記混在率の変化は、どちらの型の微結晶についても連続的であるため、該界面領域内には、その両端部分をも含めて応力の集中する断面が存在しない構造となっていることを特徴とするセラミックス接合体。
【請求項2】前記第1のセラミックスおよび前記第2のセラミックスそれぞれの微結晶の粒径が、いずれも1.5μm以上、10μm未満であることを特徴とする請求項1記載のセラミックス接合体。
【請求項3】結晶構造型の異なる2種のセラミックスの接合体からなる積層LCフィルターであって、第1のセラミックスと第2のセラミックスとの境界部分にそれぞれのセラミックスの結晶構造を持ちかつ一定範囲内の粒径を持つ2種の微結晶が混在している10μm以上、70μm以下の幅を持った界面領域があり、第1のセラミックスの微結晶の混在率は該界面領域中第1のセラミックス部分に最も近い断面で最も高く、断面が第2のセラミックス部分に近付くに従って次第に低くなっており、一方、第2のセラミックスの微結晶の混在率は該界面領域中第2のセラミックス部分に最も近い断面において最も高く、断面が第1のセラミックス部分に近付くに従って次第に低くなっており、上記混在率の変化は、どちらの型の微結晶についても連続的であるため、該界面領域内には、その両端部分をも含めて応力の集中する断面が存在しない構造となっていることを特徴とする積層LCフィルター。
【請求項4】前記第1のセラミックスおよび前記第2のセラミックスそれぞれの微結晶の粒径が、いずれも1.5μm以上、10μm未満であることを特徴とする請求項3記載の積層LCフィルター。
【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野]
本発明は、結晶構造型の異なる2種のセラミックスを接合してなる応力集中断面のないセラミックス接合体およびこのような接合体を用いてつくった積層LCフィルター並びにそれらの製法に関する。
[従来の技術]
通信用機器の素子として、磁性体セラミックスと誘導体セラミックスとを接合して構成した積層LCフィルターが多用されており、磁性体セラミックスとしては例えばZn-Niフェライトなど、誘導体セラミックスとしてはTiO2またはBaTiO3などが用いられている。
上記のように、一般に結晶構造型の異なる2種のセラミックスを接合する場合には2種のセラミックスの界面に第3層を介在させて接合していた。この中間材相は2種のセラミックスの固溶体、2種のセラミックス以外の型の結晶構造をもつ第3のセラミックス、ガラス、2種のセラミックスのうち一方と同一の型の結晶構造をもつ第3のセラミックス等であった。
[発明が解決しようとする課題]
従来の方法による積層LCフィルターのような結晶構造型の異なる2種のセラミック接合体では、その接合強度が十分でなく、またそのような2種のセラミックスの熱膨脹係数の差により、熱サイクルを受けた場合には接合部分に機械的応力が集中し、接合強度が低下するという問題があった。
本発明の目的は、上述の課題を解決して、接合強度が高く、かつ熱サイクルを受けても強度低下が小さいセラミックス接合体およびその応用品である積層LCフィルター等、並びにそれらの製法を提供することにある。
[課題を解決するための手段および作用]
本発明者らは、上記目的を達成すべく研究の結果、結晶構造型の異なる2種のセラミックスの接合体において、両セラミックスの界面に相当する部分が前記2種のセラミックスそれぞれの特徴的微結晶が混在する構造となるようにし、しかもそれぞれの微結晶の混在率が両者のセラミックス間にできる界面領域で連続的に変化するようにすれば、前記課題を解決して、高い接合強度を持ち、かつ熱サイクルにも耐え得る接合体あるいはその応用品としての積層LCフィルター等が得られることを見い出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、結晶構造型の異なる2種のセラミックスを未焼成の状態で接触させ、一体焼成により形成したセラミックス接合体あるいはその応用品としての積層LCフィルター等であって、上記接合体の両セラミックスの間には結晶構造型の異なる2種のセラミックスの微結晶が混在した界面層が形成されており、該界面層領域の任意の断面における第1または第2のセラミックスの微結晶の混在率が該界面層領域内で連続的に変化していることを特徴とする結晶構造型の異なる2種のセラミックスの接合体並びにこのような接合体からなる積層LCフィルター等の利用物であって、具体的には上記2種の微結晶の粒径がそれぞれ1.5μm以上、10μm未満であって、かつそのような異種の微結晶が混在して形成されている界面層の厚みが10μm以上、70μm以下であり、望ましい接合強度を有している上記製品およびそれらの製法を提供するものである。
本発明のセラミックス接合体あるいは積層LCフィルター、特にそれら各製品における2種のセラミックス間の接合界面の微構造について述べると、結晶構造型の異なる2種のセラミックスそれぞれの特徴的微結晶が混合している部分の性質は、各微結晶の混在率に応じてセラミックスの単相の場合の各性質の中間的性質を示しながら、注目するいずれか一方の性質の支配性が連続的に変化する。したがって、結晶構造型の異なる2種のセラミックスの接合体の界面領域を2種のセラミックスの微結晶が混在した構造とし、その領域内の任意の断面におけるいずれか一方の微結晶の混在率(どちらか一方に注目して決定すればよい)が両者のセラミックスの間で連続的に変化するようにすれば、界面領域内の任意の微小な厚みの層の示す性質が両者のセラミックスの中間的性質を示しながら連続的に変化し、実質的に界面と呼ぶべき面は存在しなくなる。そのため、このような個所に応力が働いた場合、応力が集中する面がなく、応力が分散されるので高い接合強度が得られる。また両者のセラミックスの熱膨脹係数が異なっていても、両者のセラミックスの微結晶が混在している部分では、たとえば第1セラミックスの微結晶の混在率(第の2セラミックスの微結晶の混在率は 100%の残余%となるので、どちらか一方に注目すればよい)の変化に応じて、熱膨張係数も連続的に変化するため、いずれか一方の微結晶の混在率が両者のセラミックスの間で連続的に変化するならば、その熱膨張係数も混在率の変化に応じて連続的に変化するので、熱サイクルによって機械的応力が集中することがなく、接合強度の低下を防ぐことができる。
すなわち本発明は、接合体の界面層領域を上述のごとき構造とした応力集中断面のない下記のようなセラミックス接合体、あるいはその応用品としての積層LCフィルターおよびそれらの製法を提供するものである。
(イ)結晶構造型の異なる2種のセラミックスの接合体であって、第1のセラミックスと第2のセラミックスとの境界部分にそれぞれのセラミックスの結晶構造を持ちかつ一定範囲内の粒径を持つ2種の微結晶が混在している一定範囲内の幅を持った界面領域があり、第1のセラミックスの微結晶の混在率は該界面領域中第1のセラミックス部分に最も近い断面で最も高く、断面が第2のセラミックス部分に近付くに従って次第に低くなっており、一方、第2のセラミックスの微結晶の混在率は該界面領域中第2のセラミックス部分に最も近い断面において最も高く、断面が第1のセラミックス部分に近付くに従って次第に低くなっており、上記混在率の変化は、どちらの型の微結晶についても連続的であるため、該界面領域内には、その両端部分をも含めて応力の集中する断面が存在しない構造となっていることを特徴とするセラミックス接合体。
(ロ)前記第1のセラミックスおよび前記第2のセラミックスそれぞれの微結晶の粒径が、いずれも1.5μm以上、10μm未満であることを特徴とする(イ)記載のセラミックス接合体。
(ハ)前記界面領域の幅が10μm以上、70μm以下であることを特徴とする
(イ)または(ロ)記載のセラミックス接合体。
(ニ)結晶構造型の異なる2種のセラミックスの接合体からなる積層LCフィルターであって、第1のセラミックスと第2のセラミックスとの境界部分にそれぞれのセラミックスの結晶構造を持ちかつ一定範囲内の粒径を持つ2種の微結晶が混在している一定範囲内の幅を持った界面領域があり、第1のセラミックスの微結晶の混在率は該界面領域中第1のセラミックス部分に最も近い断面で最も高く、断面が第2のセラミックス部分に近付くに従って次第に低くなっており、一方、第2のセラミックスの微結晶の混在率は該界面領域中第2のセラミックス部分に最も近い断面において最も高く、断面が第1のセラミックス部分に近付くに従って次第に低くなっており、上記混在率の変化は、どちらの型の微結晶についても連続的であるため、該界面領域内には、その両端部分をも含めて応力の集中する断面が存在しない構造となっていることを特徴とする積層LCフィルター。
(ホ)前記第1のセラミックスおよび前記第2のセラミックスそれぞれの微結晶の粒径が、いずれも1.5μm以上、10μm未満であることを特徴とする(ニ)記載の積層LCフィルター。
(へ)前記界面領域の幅が10μm以上、70μm以下であることを特徴とする(ニ)または(ホ)記載の積層LCフィルター。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに説明する。
[実施例1]
Fe2O3、ZnO、NiOおよびCuOの各粉末をFe2O3 50mol%、ZnO 20mol%、NiO 20mol%およびCuO 10mol%の比率で混合し、800℃で2時間仮焼してスピネル型の結晶構造を有するZn-Ni-Cuフェライト粉末を得た。
次いで、TiO2およびCuOの各粉末をTiO2 98mol%およびCuO 2mol%の比率で混合し、800℃で2時間仮焼してルチル型の結晶構造を有するセラミックス粉末を得た。
次に、得られたそれぞれの粉末に結合剤として6重量%のポリビニルアルコールを加え、乾式プレス法により、それぞれ6mmφ×10mmLの円筒状に成形し、これらZn-Ni-Cuフェライト成形体とTiO2-CuOセラミックス成形体とをそれぞれの底面が接触するようにして金型に入れ、それぞれの底面が接触している面と反対側の2つの面から200kgの力を加えて加圧し、同時に120℃に加熱することにより両方の成形体の底面同士を接合した。このようにして6mmφ×20mmLの円筒状の未焼成セラミックス接合体を得た。
次に、この接合体を900℃で1時間焼成し、第2図に示すような焼結体試料を得た。同図(a)は断面図、同図(b)は平面図であって、接合面3を介してZn-Ni-Cuフェライト1とTiO2-CuOセラミックス2が接合されている。
次に、この試料の上記接合界面の接合強度を測定するため、円筒状試料の両端を引張試験機に固定して引張り、中央部で破断する時の力を記録した。その結果は、試料数20個の平均で200kg/cm2であった。
さらに、熱サイクル試験による強度劣化を調べるため、試料を-55℃〜+125℃の熱サイクル試験槽に入れ、100サイクル終了後に、前記同様の引張り試験を行った。その結果は、試料数20個の平均で190kg/cm2であった。
次いで、接合部分の微細構造を調べるため、電子顕微鏡により接合部分を観察したところ、検鏡下の微細構造をスケッチした第1図に示すように、Zn-Ni-Cuフェライト相AとTiO2-CuOセラミックス相Bとの接合部分には、スピネル型結晶構造をもつ約2μmの微結晶4とルチル型結晶構造をもつ約2μmの微結晶5とが約30μmの厚さで混合して混合界面層Cを形成しており、かつ各微結晶の混在比率は連続的に変化していることがわかった。
また、上記の方法で得られたセラミックス接合体の積層LCフィルターとしての使用効果を試験したところ、LCフィルターとしての性能は従来の積層LCフィルターに比し遜色なかった。
[実施例2〜7]
実施例1で用いた試料について、実施例1と同様な要領で焼成温度のみ840℃ないし960℃に変化させて焼結体を得、接合部分の引張試験および電子顕微鏡による観察を行った。結果を第1表に示す。なお参考のため実施例1における試験結果も表中適切な位置に併記した。
[比較例1〜4]
実施例1で用いた試料について、実施例1と同様な要領で焼成温度のみ800℃、820℃、980℃および1,000℃にかえて実施し、接合部分の引張試験および観察を行った結果を第1表に示す。

[実施例8]
Fe2O3、ZnOおよびNiOの各粉末をFe2O3 50mol%、ZnO 30mol%およびNiO 20mol%の比率で混合し、900℃で2時間仮焼してスピネル型の結晶系を有するZn-Niフェライト粉末を得た。次いでBaCO3およびTiO2の各粉末をBaCO3 50mol%およびTiO2 50mol%の比率で混合し、1,150℃で2時間仮焼してペロブスカイト型の結晶構造を有するセラミックス粉末を得た。
次に、得られたそれぞれの粉末を用いて実施例1と同様な方法で試料を作製した。ただし、焼成温度のみ1,250℃とした。
得られた焼結体試料について接合部分の引張強度を実施例1と同様に測定した結果は、試料20個の平均で250kg/cm2であった。さらに熱サイクル後の引張強度を実施例1と同様にして測定した結果は220kg/cm2であった。また、接合部分を実施例1と同様にして観察したところ、Zn-Niフェライトからなるスピネル型結晶構造をもつ約2.5μmの微結晶とBaTiO3からなるペロブスカイト型結晶構造をもつ約2.0μmの微結晶が約50μmの厚さで混合し、かつ、その混合比率は連続的に変化していることがわかった。
[比較例5]
実施例8に用いた試料について、焼成温度を1,350℃とした以外は実施例8と同様な方式で焼結体試料を作製し、接合部分の引張強度を測定した結果では接合強度は50kg/cm2と弱く、熱サイクル後の接合強度は20kg/cm2であった。また、接合部分を前記のように観察したところ、Zn-NiフェライトとBaTiO3とが固溶して第3の結晶構造をもつ中間相が形成されていることがわかった。
[発明の効果]
以上説明したように、本発明のセラミックス接合体の接合体微構造によれば、結晶構造型の異なる2種のセラミックスの接合体における接合強度が高く、かつ熱サイクルによる接合強度の劣化がないので、高性能で信頼性の高いLC複合部品を提供することができるとともに、このような微構造をさらに絶縁体セラミックス、半導体セラミックス等に応用すれば機能性、信頼性に優れたそれぞれの複合部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例において供試された試料の電子顕微鏡による微細構造を示す図である。
第2図は、上記焼結体の引張試験用試料を示す図であって、(a)は断面図、(b)は平面図である。
符号の説明
1……スピネル型フェライト
2……ルチル型セラミックス
3……接合界面
4……スピネル型フェライト微結晶
5……ルチル型セラミックス微結晶
A……スピネル型フェライト相
B……ルチル型セラミックス相
C……混合界面層
 
訂正の要旨 平成12年6月20日付けの訂正請求書における訂正の要旨は次のとおりである。
1.訂正事項a
特許請求の範囲の減縮を目的として、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1に「結晶構造を持つ2種の微結晶が混在している一定の幅を持った界面領域」(特許公報1欄4〜6行)とあるのを「結晶構造を持ちかつ一定範囲内の粒径を持つ2種の微結晶が混在している10μm以上、70μm以下の幅を持った界面領域」に訂正する。
2.訂正事項b
特許請求の範囲の減縮を目的として、特許明細書の特許請求の範囲の請求項2に「10μm以下」(同公報2欄3〜4行)とあるのを「1.5μm以上、10μm未満」に訂正する。
3.訂正事項c
特許請求の範囲の減縮を目的として、特許明細書の特許請求の範囲の請求項3を削除する。
4.訂正事項d
特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書の特許請求の範囲の請求項4に「結晶構造を持つ2種の微結晶が混在している一定の幅を持った界面領域」(同許公報2欄12〜13行)とあるのを「結晶構造を持ちかつ一定範囲内の粒径を持つ2種の微結晶が混在している10μm以上、70μm以下の幅を持った界面領域」に訂正すると共に、請求項の番号を「3」に繰り上げる。
5.訂正事項e
特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として、特許請求の範囲における請求項5に「10μm以下」(同公報3欄11〜12行)とあるのを「1.5μm以上、10μm未満」に訂正し、同「請求項4記載の」(同公報3欄12行)とあるのを「請求項3記載の」に訂正すると共に、請求項の番号を「4」に繰り上げる。
6.訂正事項f
特許請求の範囲の減縮を目的として、特許明細書の特許請求の範囲の請求項6を削除する。
7.訂正事項g
明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書6頁15〜16行(同公報4欄19行)に「それぞれ10μm未満であって」とあるのを「それぞれ1.5μm以上、10μm未満であって、」に訂正する。
8.訂正事項h
明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書6頁18行(同公報4欄21行)に「10μm以上であり、」とあるのを「10μm以上、70μm以下であり、」に訂正する。
9.訂正事項i
明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書9頁1行(同公報5欄7〜8行)に「結晶構造を持つ2種の」とあるのを「結晶構造を持ちかつ一定範囲内の粒径を持つ」に訂正する。
10.訂正事項j
明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書9頁2行(同公報5欄8行)に「一定の幅を持った」とあるのを「一定範囲内の幅を持った」に訂正する。
11.訂正事項k
明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書9頁16〜17行(同公報5欄21〜22行)に「いずれも10μm以下である」とあるのを「いずれも1.5μm以上、10μm未満である」に訂正する。
12.訂正事項l
明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書9頁19行(同公報5欄24行)に「少なくとも10μmある」とあるのを「10μm以上、70μm以下である」に訂正する。
13.訂正事項m
明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書10頁5〜6行(同公報5欄30行)に「結晶構造を持つ2種の」とあるのを「結晶構造を持ちかつ一定範囲内の粒径を持つ2種の」に訂正する。
14.訂正事項n
明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書10頁6行(同公報5欄31行)に「一定の幅を持った」とあるのを「一定範囲内の幅を持った」に訂正する。
15.訂正事項o
明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書11頁1〜2行(同公報5欄44〜45行)に「いずれも10μm以下である」とあるのを「いずれも1.5μm以上、10μm未満である」に訂正する。
16.訂正事項p
明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書11頁4行(同公報5欄47行)に「少なくとも10μmある」とあるのを「10μm以上、70μm以下である」に訂正する。
17.訂正事項q
誤記の訂正を目的として、特許明細書11頁5行(同公報5欄48行)に「特徴とする請求項(ニ)または(ホ)記載の」とあるのを「特徴とする(ニ)または(ホ)記載の」に訂正する。
18.訂正事項r
誤記の訂正を目的として、特許明細書11頁20行(同公報6欄10行)に「得られて」とあるのを「得られた」に訂正する。
19.訂正事項s
明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書14頁3行(同公報6欄50行)に「部分の引張試験」とあるのを「接合部分の引張試験」に訂正する。
20.訂正事項t
明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書17頁1〜4行(同公報9欄8〜10行)に「BaTiO3からなるペロブスカイト型結晶構造をもつ約2.5μmの微結晶とBaTiO3からなるペロブスカイト型結晶構造をもつ約2.0μmの微結晶が」とあるのを「BaTiO3からなるペロブスカイト型結晶構造をもつ約2.0μmの微結晶が」に訂正する。
異議決定日 2000-06-29 
出願番号 特願平1-307089
審決分類 P 1 651・ 113- YA (C04B)
P 1 651・ 121- YA (C04B)
P 1 651・ 532- YA (C04B)
P 1 651・ 531- YA (C04B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大工原 大二  
特許庁審判長 石井 勝徳
特許庁審判官 能美 知康
野田 直人
登録日 1998-12-11 
登録番号 特許第2860570号(P2860570)
権利者 太陽誘電株式会社
発明の名称 セラミックス接合体とその利用物  
代理人 丸岡 政彦  
代理人 丸岡 政彦  

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