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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G03G
管理番号 1024395
異議申立番号 異議1999-73128  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-02-20 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-08-17 
確定日 2000-09-13 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2858735号「画像形成装置」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2858735号の特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第2858735号発明は、平成7年8月14日に特願昭62-300005号(昭和62年11月30日出願)の一部を新たな特許出願として出願されたものであって、平成10年12月4日にその特許の設定登録がなされ、その後、境恒徳より特許異議の申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年2月15日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
ア.訂正事項
訂正事項a
特許請求の範囲の記載
「それぞれ画像担持体を有し、各画像担持体上にそれぞれ画像を形成する複数の画像形成手段と、前記複数の画像担持体上に各画像の主走査方向及び副走査方向の位置合わせのためのマークを形成するべく前記複数の画像形成手段を制御する制御手段と、前記複数の画像担持体上に形成されたマークを転写位置にて転写するように移動する移動体と、前記移動体上に転写された複数のマーク位置を検出する検出手段と、前記検出手段の検出出力に基づいて、前記複数の画像形成手段のうちの所定の画像形成手段により形成される画像と他の画像形成手段により形成される画像との間の主走査方向の位置ずれ及び副走査方向の位置ずれを自動的に補正する補正手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。」

「それぞれ画像担持体を有し、各画像担持体上にそれぞれ画像を形成する複数の画像形成手段と、前記複数の画像担持体上に各画像の主走査方向及び副走査方向の位置合わせのためのマークを形成するべく前記複数の画像形成手段を制御する制御手段と、前記複数の画像形成手段により形成された各画像が転写される転写材を搬送し、前記複数の画像担持体上に形成されたマークを転写位置にて転写するように移動する移動体と、前記移動体上に転写された複数のマーク位置を検出する検出手段と、前記検出手段の検出出力に基づいて、前記複数の画像形成手段のうちの所定の画像形成手段により形成される画像と他の画像形成手段により形成される画像との間の主走査方向の位置ずれ及び副走査方向の位置ずれを自動的に補正する補正手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。」
と訂正する。
訂正事項b
「【0011】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたもので、複数の画像担持体上に形成された画像の主走査方向及び副走査方向の位置合わせ用のマークを移動体上に転写し、これら複数のマークの位置を検出し、該検出されたマークの位置に基づいて主走査方向の位置ずれ及び副走査方向の位置ずれを補正することにより、極めて簡単に画像間の主走査方向の位置ずれ及び副走査方向の位置ずれを補正でき、高画質な画像が形成可能となる画像形成装置を提供することを目的とする。」

「【0011】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたもので、複数の画像担持体上に形成された画像の主走査方向及び副走査方向の位置合わせ用のマークを複数の画像形成手段により形成された各画像が転写される転写材を搬送する移動体上に転写し、これら複数のマークの位置を検出し、該検出されたマークの位置に基づいて主走査方向の位置ずれ及び副走査方向の位置ずれを補正することにより、極めて簡単、かつ、高精度に画像間の主走査方向及び副走査方向の位置ずれを補正でき、高画質な画像が形成可能となる画像形成装置を提供することを目的とする。」
と訂正する。
訂正事項c
「【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る画像形成装置は、それぞれ画像担持体を有し、各画像担持体上にそれぞれ画像を形成する複数の画像形成手段と、前記複数の画像担持体上に各画像の主走査方向及び副走査方向の位置合わせのためのマークを形成するべく前記複数の画像形成手段を制御する制御手段と、前記複数の画像担持体上に形成されたマークを転写位置にて転写するように移動する移動体と、前記移動体上に転写された複数のマークの位置を検出する検出手段と、前記検出手段の検出出力に基づいて、前記複数の画像形成手段のうちの所定の画像形成手段により形成される画像と他の画像形成手段により形成される画像との間の主走査方向の位置ずれ及び副走査方向の位置ずれを自動的に補正する補正手段とを備えるものである。」

「【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る画像形成装置は、それぞれ画像担持体を有し、各画像担持体上にそれぞれ画像を形成する複数の画像形成手段と、前記複数の画像担持体上に各画像の主走査方向及び副走査方向の位置合わせのためのマークを形成するべく前記複数の画像形成手段を制御する制御手段と、前記複数の画像形成手段により形成された各画像が転写される転写材を搬送し、前記複数の画像担持体上に形成されたマークを転写位置にて転写するように移動する移動体と、前記移動体上に転写された複数のマークの位置を検出する検出手段と、前記検出手段の検出出力に基づいて、前記複数の画像形成手段のうちの所定の画像形成手段により形成される画像と他の画像形成手段により形成される画像との間の主走査方向の位置ずれ及び副走査方向の位置ずれを自動的に補正する補正手段と、を備えるものである。」
と訂正する。
訂正事項d
「【0013】
【作用】本発明においては、検出手段により移動体上に転写された複数のマークの位置が検出されたら、該検出結果に基づき補正手段が前記複数の画像形成手段中の所定の画像形成手段により形成される画像に対する、他の画像形成手段により形成される画像との間の主走査方向の位置ずれ及び副走査方向の位置ずれを自動補正して、極めて簡単に画像間の位置ずれを補正でき、高画質な画像を形成可能とする。」

「【0013】
【作用】
本発明においては、複数の画像形成手段により形成された各画像が転写される転写材を搬送する移動体上に転写された複数のマークの位置が検出手段により検出されたら、該検出結果に基づき補正手段が前記複数の画像形成手段中の所定の画像形成手段により形成される画像に対する、他の画像形成手段により形成される画像との間の主走査方向の位置ずれ及び副走査方向の位置ずれを自動補正して、極めて簡単、かつ、高精度に画像間の主走査方向及び副走査方向の位置ずれを補正でき、高画質な画像を形成可能とする。」
と訂正する。

イ.訂正の目的の適否及び拡張・変更の存否
訂正事項aは、願書に添付された明細書(以下、「特許明細書」という。)の特許請求の範囲に記載された、「前記複数の画像担持体上に形成されたマークを転写位置にて転写するように移動する移動体」を「前記複数の画像形成手段により形成された各画像が転写される転写材を搬送し、前記複数の画像担持体上に形成されたマークを転写位置にて転写するように移動する移動体」と訂正することによって、「移動体」の構成にさらに限定を付加するものであるから、特許法第120条の4第2項但し書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項b乃至dは、訂正された特許請求の範囲の記載に対応するように、明細書の記載を訂正するものであり、特許法第120条の4第2項但し書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明に相当するものである。
また、訂正事項a乃至d、いずれも特許明細書の記載事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものではない。

ウ.独立特許要件の判断
〈引用刊行物〉
本件特許発明に対して当審では、以下の刊行物1乃至4を引用して、刊行物1に記載のものに刊行物2乃至4に記載の周知技術を適用することにより容易になし得た旨、及び刊行物2に記載のものと同一である旨の取消理由を通知した。
刊行物1:特開昭62-242969号公報
刊行物2:特開昭59-163969号公報
刊行物3:特開昭57-167034号公報
刊行物4:特開昭61-272759号公報
前記刊行物1乃至4には、以下の事項がそれぞれ図面と共に記載されている。
刊行物1:特開昭62-242969号公報には、
「一様帯電された感光ドラム45C、45M、45Y、45BKにレーザユニット41C、41M、41Y、41BKよりカラー画像信号に応じてオン・オフするレーザ光が照射され、感光ドラム45C、45M、45Y、45BKに潜像が形成され、各トナーホッパ42C、42M、42Y、42BKに充填されているシアン、マゼンタ、イェロー、ブラックの各トナーにより現像され可視化される。そして、トナー像が搬送される記録紙24上に転写帯電器44C、44M、44Y、44BKが転写させる。」(第2頁左下欄第13行〜右下欄第3行)、
「1はCPUで、搬送される記録媒体の主走査方向が複数に分割された各領域に所定の画像を形成させるとともに、例えばCCD等で構成される位置ずれ検知器2C、2M、2Y、2BKの出力に応じて各画像の相対的色ずれを量を演算する。3a〜3cはカウンタ(CNT)で、カウンタ3aはCPU1が演算した、例えばシアン画像に対するマゼンダ画像との位置ずれ量をカウントし、カウンタ3bはCPU1が演算した、例えばシアン画像に対するイエロー画像との位置ずれ量をカウントし、カウンタ3cはCPU1が演算した、例えばシアン画像に対するブラック画像との位置ずれ量をカウントする。4a〜4cはアンドゲートで、各カウンタ(CNT)3a〜3cの出力と、例えばシアン画像書き込み許可信号とのアンドをとり、各画像の許可信号C、M、Y、BKをレーザユニット41C、41M、41Y、41BKに送出する。」(第3頁右上欄第8行〜左下欄第5行)、及び
「5は記録媒体で、順次搬送路を搬送されながら各レーザユニット41C、41M、41Y、41BKからのレーザビームにより各感光ドラム45C、45M、45Y、45BKに形成された潜像を現像した所定の画像5a〜5dが形成される。6は基板で、後述するように位置ずれ検知器2C、2M、2Y、2BKが所定位置に配設されている。」(第3頁左下欄第9〜16行)
が、それぞれ図面と共に記載されている。
これらの記載から「それぞれ画像担持体を有し、各画像担持体上にそれぞれ画像を形成する複数の画像形成手段と、前記複数の画像担持体上に各画像の副走査方向の位置合わせのためのマークを形成するべく前記複数の画像形成手段を制御する制御手段と、前記複数の画像担持体上に形成されたマークを転写位置にて転写するように移動する移動体と、前記移動体上に転写された複数のマーク位置を検出する検出手段と、前記検出手段の検出出力に基づいて、前記複数の画像形成手段のうちの所定の画像形成手段により形成される画像と他の画像形成手段により形成される画像との間の副走査方向の位置ずれを自動的に補正する補正手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。」が記載されているものと認められる。

刊行物2:特開昭59-163969号公報には、
「本発明は像再生システムに関する。通常、コピーのレジスト合わせは第1図のようなテストチャートの原稿をコピーしその再生画像を見ながらドラムへの原稿光照射開始のタイミングや転写紙送りのタイミングを調整することで行っている。」(第1頁左下欄第10〜15行)、
「第3図は本発明の実施例で、1は原稿読み取り部、2は画像再生部である。3はスタート釦で原稿のスキャン及び画像データの転送開始に使用する。4は露光ランプで原稿を照射する、5は原稿でこれを画像再生装置にて複写する、6は原稿からの反射光でミラーA、ミラーB、ミラーC、レンズ10、ダイクロミラーを通りCCDに結像する。7はミラーAで露光ランプと等速で移動する、8はミラーBで9のミラーCとペアーで露光ランプの1/2の速度で移動する、11はダイクロミラーで白色光をブルー12,グリーン14,レッド16の3つの色に分解する、13,15,17はCCDで光の強弱を画素ごとに電圧の強弱に変える、18,19,20はCCD増幅回路でCCDの1画素ごとの出力電圧を増幅しさらにA/D変換を行う。・・・34は給紙ローラで転写紙収納用カセット35より1枚ずつ転写紙を送り出す。37,38,39は一様に帯電されレーザ光が照射した所だけ電荷除去される感光ドラム、40,41,42はスキャナモータで、レーザ光をスキャンさせるためのポリゴンミラー43〜45を回転させる、46〜48は現像器で各々感光ドラムを現像して潜像をブルー、グリーン、レッドの可視像にかえる。52は定着ローラ、53,54,55はドラムを帯電するコロナ、56,57,58は転写用コロナ、59,60,61は紙センサで送られて来た転写紙の先頭を検出して感光ドラムへの再生像形成開始の基準とする。62,63,64はレーザでレーザ光68〜70を出力する、65、66,67はBDセンサでレーザ光をセンスしてから一定時間後に感光ドラムへのデータ書込み開始の基準とするためのもの。71は画像信号処理回路で、・・・72はレーザドライバ回路で、画像信号を電力増幅しレーザをON、OFFする。73,74,75は不揮発性メモリで、画像読み取り装置がテストチャートを読み込んで発生するのと同じ信号を発生するためのデータを各色ごとに予め記憶しておく。76はクロック信号発振回路で画像信号を転送するクロック信号24を作る。」(第1頁右下欄第8行〜第2頁右上欄第14行)、
「画像信号処理回路71は公知のUCR、マスキング等の信号処理をおこなったのちレーザドライバ回路72に信号を送りレーザドライバ回路72で電力増幅されレーザ62をONしたりOFFしたりしてドットによる潜像を感光ドラム37の上に作成する。潜像は現像器46で現像されレッド可視像が感光ドラム37の上に作成され転写極の上を転写紙36が通過する時に転写紙上にレッドの画像が作成される。したがってBDセンサ65にレーザ光68が照射してからメモリR33から画像データを送り出すまでの時間を長くすれば転写紙36上に作成される可視像は転写紙36の右方向へ移動し、転写紙36の先端を検出するセンサ59を転写紙収納用カセット35の方向に近ずければ転写紙36上に作成される可視像は転写紙36の上方向に移動する。同様に感光ドラム66で転写紙にグリーン画像を重ね、同様に感光ドラム67で転写紙にブルー画像を重ねさらに定着ローラ52で定着したあと機外へ送り出すとカラーコピーが完成する。」(第2頁右下欄第15行〜第3頁左上欄第16行)、
「第5図は不図示の本体制御部にプログラムされた修正フローである。ホトセンサとしてはドラム巾サイズのCCDが好ましく、左右のズレはCCDによる+マークの数と位置判定により、又上下のズレはドラム回転と同期したタイミング信号と+マークセンス信号との時間差判定により修正量を求め、・・ることができる。第5図により説明すると、第2図の再生コピーはレッド画像だけが右下方にずれているわけだからステップ1aではYESとなり、従って周知のBDセンサにレーザ光が照射した時からクロック信号(第3図24)を所定数カウントしカウントアップ完了で画像をレーザにより感光ドラムの左右方向に対して書きはじめるためのレフトマージンカウンタのカウント設定値を小さくする(ステップ2a)。この調整で左右のずれがなくなれば3aに進む。上にはずれてないのでNOに進む。4aで下にずれていることを判断しYESに進み転写紙の先端を検知する事で、画像をレーザで感光ドラムの回転方向に対して書きはじめるタイミングを決めるセンサ(第3図61)を、カセット側に所定距離近ずけ、タイミングを早くする。・・・もしブルーやグリーンの調整をする時でもその色に対して第6図のフローチャートを実行すればよい。」(第3頁右上欄第12行〜右下欄第2行)が、それぞれ図面とともに記載されている。
これらの記載から、刊行物2には、「それぞれ感光ドラムを有し、各感光ドラム上にそれぞれ画像を形成する複数の画像形成手段と、前記複数の感光ドラム上に各画像の左右方向及び上下方向の位置合わせのためのマークを形成するべく前記複数の画像形成手段を制御する制御手段と、前記複数の感光ドラム上に形成されたマークを転写位置にて転写するように移動する転写紙と、前記転写紙上に転写された複数のマーク位置を検出するホトセンサとしてのCCDと、前記ホトセンサとしてのCCDの検出出力に基づいて、前記複数の画像形成手段のうちの所定の画像形成手段により形成される画像と他の画像形成手段により形成される画像との間の左右方向の位置ずれ及び上下方向の位置ずれを自動的に補正する補正手段と、を備えることを特徴とする像再生システム。」が記載されているものと認められる。
さらに、
刊行物2:特開昭59-163969号公報、
刊行物3:特開昭57-167034号公報、及び
刊行物4:特開昭61-272759号公報は、いずれも
カラー画像形成装置の色ずれの補正に関するものであって、
「移動体上に転写された複数のマーク位置を検出する検出手段と、前記検出手段の検出出力に基づいて、複数の画像形成手段のうちの所定の画像形成手段により形成される画像と他の画像形成手段により形成される画像との間の主走査方向の位置ずれ及び副走査方向の位置ずれを自動的に補正する」旨の周知の技術的事項が記載されている。

〈対比・判断〉
前記刊行物1〜4からは、刊行物1に記載のものに刊行物2〜4に記載の周知技術を適用することによって、または刊行物2の記載から、それぞれ「それぞれ画像担持体を有し、各画像担持体上にそれぞれ画像を形成する複数の画像形成手段と、前記複数の画像担持体上に各画像の位置合わせのためのマークを形成するべく前記複数の画像形成手段を制御する制御手段と、前記複数の画像担持体上に形成されたマークを転写位置にて転写するように移動する移動体と、前記移動体上に転写された複数のマークの位置を検出する検出手段と、前記検出手段の検出出力に基づいて、前記複数の画像形成手段のうちの所定の画像形成手段により形成される画像と他の画像形成手段により形成される画像との間の主走査方向の位置ずれ及び副走査方向の位置ずれを自動的に補正する補正手段とを備えた画像形成装置」(以下、「引用例発明」という。)が把握される。
訂正明細書の特許請求の範囲に記載された事項をその要旨とする発明(前記訂正事項a.参照。以下、「本件訂正発明」という。)と前記引用例発明とを対比する。
両者は前記引用例発明の構成で一致し、本件訂正発明では、「移動体」が「前記複数の画像形成手段により形成された各画像が転写される転写材を搬送し、前記複数の画像担持体上に形成されたマークを転写位置にて転写するように移動する移動体」、すなわち、発明の詳細な説明を参酌すると、「転写材を搬送する搬送ベルト」を意味するものであるのに対し、引用例発明では、「移動体」は具体的には「転写材」を意味するものである点で相違する。
そこで、前記相違点に関して検討すると、刊行物1〜4には本件訂正発明に関する事項として、それぞれ前記摘記した事項が記載されているものと認められるが、本件訂正発明の前記相違点に係る構成「前記複数の画像形成手段により形成された各画像が転写される転写材を搬送し、前記複数の画像担持体上に形成されたマークを転写位置にて転写するように移動する移動体」、当該構成は具体的な技術内容としては、各画像の位置合わせのためのマークを搬送ベルトに転写することを示すものであって、その技術内容については刊行物1乃至4には記載も示唆もされておらず、また、画像形成装置において、各画像の位置合わせのためのマークを搬送ベルトに転写するということが通常行われている技術であるということができない以上、前記相違点が刊行物1〜4から容易に想到できたものと認めることはできない。
そして、引用例発明の如く画像の位置合わせのためのマークを転写材上に転写する場合には、転写材にマークを記録してから読み取るまでの搬送中に転写材にしわやうねりが発生した場合、マークの位置を正確に検出することができない、また、転写材の材質の違いにより、マーク画像の形成特性や、検出手段の特性、マーク形成による伸縮性等を適切に調整する必要があり、極めて手間がかかる、といった問題点が発生するが、本件訂正発明では、前記相違点に係る構成を有することによって、他の構成と相俟って、前記問題点を解消して高精度な位置ずれ補正を行うことができるという本件特許明細書に記載の効果を奏するものである。
それ故、本件訂正発明が、前記刊行物1乃至4に記載に記載された発明であるとも、これらのものから当業者が容易に想到できた発明であるとも言うことはできない。
したがって、本件訂正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができない発明とすることはできない。

エ.結び
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2乃至4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立についての判断
ア.本件発明
本件特許発明は、訂正明細書の特許請求の範囲に記載された事項(上記訂正事項a参照)を要旨とするものである。
イ.申立の理由の概要
申立人境恒徳は、本件特許発明に対して、証拠として
甲第1号証:特開昭62-242969号公報(前記刊行物1参照)、
甲第2号証:特開昭57-167034号公報(前記刊行物3参照)、
甲第3号証:特開昭60-4951号公報、及び
甲第4号証:特開昭62-45275号公報
を提出し、本件特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから特許を取り消されるべき旨主張している。
ウ.当審の判断
申立人境恒徳の提出した、甲第1号証には、前記「2.ウ.〈引用刊行物〉」の項で摘記した事項が記載されており、甲第2号証には、多色画像記録用位置合わせ方法において、「記録紙の記録画像の余白部に基準マークを付加し、この記録マークを基準として2色目以降の記録画像の位置合わせを行う方法」が、甲第3号証には、多色複写機の色ずれ補正方法において、「露光光学系のミラー群のうちの少なくとも2枚を変位させることによって、色ずれを補正する方法」が、また、甲第4号証には、「静電記録紙上に形成されたマークの位置を検出することによって、横方向の位置ずれ及び縦方向の位置ずれを補正する補正手段を備えた画像形成装置」が、それぞれ開示されているものと認められる。
そこで、甲第1号証乃至甲第4号証と本件特許発明とを対比・判断すると、甲第1号証乃至甲第4号証には、いずれにも本件特許発明の構成要件である「複数の画像形成手段により形成された各画像が転写される転写材を搬送し、前記複数の画像担持体上に形成されたマークを転写位置にて転写するように移動する移動体」の構成は記載されておらず、また、前記構成の示唆もされていない。
そして、本件特許発明では、上記構成を採ることによって他の構成と相俟って、明細書記載の効果を奏するものである。
したがって、本件特許発明が、申立人境恒徳の提出した甲第1号証乃至甲第4号証のいずれかに記載された発明であるとも、それらに記載のものから容易に発明をすることができたものであるともすることはできない。

また、他に本件特許発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
画像形成装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 それぞれ画像担持体を有し、各画像担持体上にそれぞれ画像を形成する複数の画像形成手段と、
前記複数の画像担持体上に各画像の主走査方向及び副走査方向の位置合わせのためのマークを形成するべく前記複数の画像形成手段を制御する制御手段と、
前記複数の画像形成手段により形成された各画像が転写される転写材を搬送し、前記複数の画像担持体上に形成されたマークを転写位置にて転写するように移動する移動体と、
前記移動体上に転写された複数のマークの位置を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出出力に基づいて、前記複数の画像形成手段のうちの所定の画像形成手段により形成される画像と他の画像形成手段により形成される画像との間の主走査方向の位置ずれ及び副走査方向の位置ずれを自動的に補正する補正手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、像担持体上に光走査手段を介して露光して画像を形成する画像形成手段を複数備える画像形成装置に係り、特に光走査手段を複数配設して画像を形成する画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光走査手段を複数有する画像形成装置としては、例えば図16に示すものが知られている。
【0003】
図16は4ドラムフルカラー式の画像形成装置の構成を説明する概略図であり、101C,101M,101Y,101BKはそれぞれシアン,マゼンタ,イエロー,ブラックの各色の画像を形成する画像形成ステーションであり、各画像形成ステーション101C,101M,101Y,101BKはそれぞれ感光ドラム102C,102M,102Y,102BKおよび光走査手段103C,103M,103Y,103BKさらには現像器,クリーナ等を有し、転写ベルト112によって矢印A方向に搬送される転写材S上に後述するシアン,マゼンタ,イエロー,ブロックの画像104C,104M,104Y,104BKを順次転写してカラー画像を形成している。
【0004】
このように、複数の画像形成ステーション101C,101M,101Y,101BKを有する装置においては同一の転写材Sの同一面上に順次異なる色の像を転写するので、各画像形成ステーションにおける転写画像位置が理想位置からずれると、例えば多色画像の場合には異なる色の画像間隔のずれあるいは重なりとなり、またカラー画像の場合には色味の違いとなり、さらに程度がひどくなると色ずれとなって現われ、画像の品質を著しく劣化させていた。
【0005】
ところで、上記転写画像の位置ずれの種類としては図17(a)に示すような転写材Sの搬送方向(図中A方向)の位置ずれ(トップマージン),図17(b)に示すような走査方向(図中B方向)の位置ずれ(レフトマージン),図17(c)に示すような斜め方向の傾きずれ,図17(d)に示すような倍率誤差ずれ等があり、実際には上記位置ずれが個別に発生するのではなく、これらの位置ずれの組合せ、すなわち4種類のずれが重畳したものが現われる。
【0006】
そして、上記画像位置ずれの主な原因は、トップマージン(図17(a)参照)の場合には、各画像形成ステーション101C,101M,101Y,101BKの画像書き出しタイミングのずれに起因して発生し、レフトマージン(図17(b)参照)の場合には、各画像形成ステーション101C,101M,101Y,101BKの各画像の書き込みタイミング、すなわち一本の走査線における走査開始タイミングのずれに起因して発生し、斜め方向の傾きずれ(図17(c)参照)の場合には、走査光学系の取付け角度ずれθ1(図18(a)〜(c)参照)または感光ドラム102C,102M,102Y,102BKの回転軸の角度ずれθ2(図19(a)〜(c)参照)に起因して発生し、倍率誤差によるずれ(図17(d)参照)は、各画像形成ステーション101C,101M,101Y,101BKの光走査光学系から感光ドラム102C,102M,102Y,102BKまでの光路長の誤差ΔLによる、すなわち走査線長さずれ2×δSに起因して発生(図20,図21参照)するものである。
【0007】
そこで、上記4種類のずれをなくするため、上記トップマージンとレフトマージンについては光ビーム走査のタイミングを電気的に調整してずれを補正し、上記傾きと倍率誤差によるずれとについては、光走査手段と感光ドラム102C,102M,102Y,102BKとを装置本体に取り付ける際の取付け位置および取付け角度にずれがないように充分な位置調整を行ってきた。
【0008】
すなわち、光走査手段(スキャナ等)と感光ドラムとの取付け位置や取付け角度等によって変わる前記傾きずれと倍率誤差のずれとを光走査手段(スキャナ),感光ドラムまたは光ビーム光路中の反射ミラーの取付け位置や角度を変えることによって調整を行ってきた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、画像形成装置の使用による経時変化に伴ってトップマージン,レフトマージンは電気的に調整可能であるが、光走査手段(スキャナ),感光ドラム102C,102M,102Y,102BKまたは光ビーム光路中の反射ミラーの取付け位置調整に起因する上記傾きずれと倍率誤差に関しては調整が高精度(例えば400DPIのプリンタ装置においては1画素が62マイクロメートル)となり、非常に調整が困難であるという問題点があった。
【0010】
さらに、不確定位置ずれ要素に伴う色ずれが発生する。例えば移動体としての転写ベルトの走行安定性(蛇行,片寄り)や感光ドラム着脱時の位置再現性,特にレーザビームプリンタの場合、トップマージンとレフトマージンの不安定性等により微細で僅かな不安定な要素に起因して位置ずれを発生するといった問題が各画像ステーション毎に発生するため、調整に多くの労力を要し、各労力低減のために調整機構を付加することによるコスト増大を招いてしまう重大な問題点があった。
【0011】
本発明は、上記の問題点を解消するためになされたもので、複数の画像担持体上に形成された画像の主走査方向及び副走査方向の位置合わせ用のマークを複数の画像形成手段により形成された各画像が転写される転写材を搬送する移動体上に転写し、これら複数のマークの位置を検出し、該検出されたマークの位置に基づいて主走査方向の位置ずれ及び副走査方向の位置ずれを補正することにより、極めて簡単、かつ、高精度に画像間の主走査方向及び副走査方向の位置ずれを補正でき、高画質な画像が形成可能となる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る画像形成装置は、それぞれ画像担持体を有し、各画像担持体上にそれぞれ画像を形成する複数の画像形成手段と、
前記複数の画像担持体上に各画像の主走査方向及び副走査方向の位置合わせのためのマークを形成するべく前記複数の画像形成手段を制御する制御手段と、
前記複数の画像形成手段により形成された各画像が転写される転写材を搬送し、前記複数の画像担持体上に形成されたマークを転写位置にて転写するように移動する移動体と、
前記移動体上に転写された複数のマークの位置を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出出力に基づいて、前記複数の画像形成手段のうちの所定の画像形成手段により形成される画像と他の画像形成手段により形成される画像との間の主走査方向の位置ずれ及び副走査方向の位置ずれを自動的に補正する補正手段と、
を備えるものである。
【0013】
【作用】
本発明においては、複数の画像形成手段により形成された各画像が転写される転写材を搬送する移動体上に転写された複数のマークの位置が検出手段により検出されたら、該検出結果に基づき補正手段が前記複数の画像形成手段中の所定の画像形成手段により形成される画像に対する、他の画像形成手段により形成される画像との間の主走査方向の位置ずれ及び副走査方向の位置ずれを自動補正して、極めて簡単、かつ、高精度に画像間の主走査方向及び副走査方向の位置ずれを補正でき、高画質な画像を形成可能とする。
【0014】
【実施例】
図1は、本発明の一実施例を示す4ドラムフルカラー方式の画像形成装置の構成を説明する斜視図であり、1C,1M,1Y,1BKは感光ドラムで、それぞれシアン,マゼンタ,イエロー,ブラックの各色の現像剤(トナー)を備えた各画像形成ステーション毎に設けられている。2C,2M,2Y,2BKは走査ミラーで、各画像形成ステーション毎に設けられる光学走査系3C,3M,3Y,3BKから発射される光を各感光ドラム1C,1M,1Y,1BKに結像させる。4は搬送体となる搬送ベルトで、各感光ドラム1C,1M,1Y,1BKで形成された各色毎のレジストマーク11,12が転写される。レジストマーク11,12は搬送ベルト4の搬送方向に対して直交する直線上に平行して転写される。特にシアン用の画像形成ステーションは、すなわち感光ドラム1C,走査ミラー2C,光学走査系3Cは装置本体の所定位置に組み立て時に固定配設され、後述するアクチュエータ機構が具備されていない。
【0015】
一方、残る各画像形成ステーションを構成する感光ドラム1M,1Y,1BK,走査ミラー2M,2Y,2BK,光学走査系3M,3Y,3BKは後述するアクチュエータ機構により所定方向に移動することが可能となっている。
【0016】
5,6は例えばCCD等の電荷結像素子で構成されるマーク検出器で、マーク検出器5はランプ7から搬送ベルト4に露光された光の反射光を集光レンズ9を介して受光し、コントローラ13から出力される検出タイミング信号に同期して検出したレジストマーク12(レジストマーク12は、例えばそれぞれ4つの+型マーク画像から構成される)の画像データをコントローラ13に出力し、マーク検出器6はランプ7から搬送ベルト4に露光された光の反射光を集光レンズ10を介して受光し、コントローラ13から出力される検出タイミング信号に同期して検出したレジストマーク12(レジストマーク12は、例えばそれぞれ4つの+型マーク画像から構成される)の画像データをコントローラ13に出力する。8はクリーナ部材で、搬送ベルト4に転写されたレジストマーク11,12に対応するトナー像を回収する。
【0017】
なお、コントローラ13は本発明の補正手段を兼ねており、マーク検出器5,6から出力されるシアン用の画像ステーションのレジストマーク画像データで検出されたマーク検出タイミングと順次マーク検出器5,6から出力される後続の各画像ステーションのレジストマーク画像データの検出タイミングとの差分に応じて、すなわちシアン用の画像ステーションの画像ずれ状態に優先従属して光学走査系3M,3Y,3BKから発射される光ビームの各感光ドラム1M,1Y,1BKに対する光路長,走査長,走査方向(感光ドラム1M,1Y,1BKの軸方向に対する)をシアン以外の画像ステーションに設けるアクチェエー夕の駆動を調整することにより、全ての画像ステーションにおける位置ずれをシアン用の位置ずれ状態に強制調整する。
【0018】
図2は、図1に示した走査ミラーと光学走査系との配置構成を説明する斜視図であり、図1と同一のものには同じ符号を付してある。
【0019】
この図において、20はfθレンズで、レーザ光源22から発射され、一定速度で回転するポリゴンミラー21により偏向されるレーザビーム(光ビーム)Lを、例えば感光ドラム1Cに等速度で結像させる。23は光学箱で、上記20〜22を一体収容している。なお、レーザ光源22から発射されたレーザビームLは、fθレンズ20を介して開口部23aより出射される。24aは第1反射ミラーで、この第1反射ミラー24aに略直角に対向して設けられた第2反射ミラー24bにより図1に示した走査ミラー2M,2Y,2BKに対応する反射体24が構成される。また、上記20〜22は光学箱23内(図10も同様)に収容されているものであるから、本来ならば点線で示すべきであるが、説明を容易とするため実線で示してある。
【0020】
なお、レーザ光源22から発射されたレーザビームLは、第1反射ミラー24a,第2反射ミラー24bを介して、例えば感光ドラム1M,1Y,1BKに結像するように構成されている。25は例えばステッピングモータで構成されるリニアステップアクチュエータ(アクチュエータ)で、コントローラ13から出力されるステップ量に応じて第1反射ミラー24a,第2反射ミラー24bが一体支持される反射体24を図中のa方向に対して段階的に上下移動させる。26,27は例えばステッピングモータで構成されるリニアステップアクチュエータ(アクチュエータ)で、コントローラ13から出力されるステップ量に応じて第1反射ミラー24a,第2反射ミラー24bが一体支持される反射体24を図中のb方向にそれぞれ独立して水平移動させる。また、上記リニアステップアクチュエータ25〜27は、ステッピングモータの出力軸を直線運動させるものであり、構造としてはモータロータ内部と出力軸に台形ネジを形成したものであり、主にフロッピーディスク等のヘッド送り用として通常使用されているものに相応している。なお、上記リニアステップアクチュエータ25〜27に代えて、通常のステッピングモータの軸にリードスクリュー(軸にネジを切ったもの)を形成したものに、上記リードスクリューに対応してネジを形成した可動部材を用いても同様に機能させることは可能である。具体的にはリードスクリューに形成されたネジが4P0.5(呼び径4mm,ピッチ0.5mm),ステッピングモータのステップ角が48ステップ/1周である場合には、出力部の進み量SSは、SS=0.5/48=10.42μm/ステップとなり、この10.42μm/ステップ毎の送り量で上記反射体24を駆動制御可能となる。
【0021】
次に図3の(a)〜(c)を参照しながら図2に示したアクチュエータ25〜27の駆動動作について説明する。
【0022】
図3は、図1に示した画像形成装置の像担持体の画像ずれを説明する模式図であり、Sは転写材を示し、この転写材Sが矢印A方向(搬送ベルト4の搬送方向)に搬送される。
【0023】
ここで、アクチュエータ25を走査光学装置からの光ビームLの発射方向であるa1方向に駆動することにより、反射体24はa方向に略平行移動され、感光ドラム1C上までの光路長を短くし、アクチュエータ25をa2方向に駆動することにより、光路長を長く調整することができる。このように、光路長を調整することにより、所定の広がり角を有する光ビームLの感光ドラム1C上の走査線の長さを、例えば図3の(a)に示すようにm0(実線)からm1(破線)に可変することができる。
【0024】
また、アクチュエータ26,27を同時に同方向に、例えばb1方向に駆動することにより、反射体24は上記a1方向と略垂直な方向であるb方向に平行移動され、これにより図3の(b)の走査線m0を走査線m2(破線)の位置まで平行移動させることができる。また、アクチュエータ26,27のいずれか一方を駆動した場合、またはアクチュエータ25をb1方向へ、アクチュエータ25をb2方向へ駆動させるような互いに反対方向の駆動を与えた場合には、図3の(c)の走査線m0を走査線m3(破線)のように傾きを可変することができる。
【0025】
このように、一対の反射鏡を略直角に組み込んだ反射体24を走査光学装置から感光ドラム1Cまでの光ビーム光路内に配設し、反射体24位置をアクチュエータ25またはアクチュエータ26,27により調整することによって光路長または光ビーム走査位置を各々独立に調整することができる。すなわち、ハの字形に配設された一対の反射鏡を有する反射体24をa方向に移動することによって、感光ドラム1C上に結像された走査線の位置を変えることなく、光ビームLの光路長のみを補正することができ、また反射体24をb方向に移動することによって光ビームLの光路長を可変することなく、感光ドラム1C上の結像位置および角度の補正を行うことができる。
【0026】
なお、この実施例においては、4ドラム方式のフルカラープリンタに上記反射体24と、この反射体24の位置を調整するアクチュエータ機構を個別にそれぞれ備え、各画像形成手段となる像担持体毎にそれぞれ独立に感光ドラム1C,1M,1Y,1BKにおいて、走査線の傾きおよび光路長差に基づく倍率誤差,トップマージン,レフトマージンを個別に補正して、転写材Sに順次転写される各色トナー間の色ずれを除去するように構成されている。
【0027】
以下、色ずれ検出のためのレジストマーク11,12の読み取り動作およびこの読み取りに基づいて実行される色ずれ補正フィードバック制御動作について図4を参照しながら順次説明する。
【0028】
図4は、図1に示したコントローラ13の内部構成を説明する制御ブロック図であり、図1と同一のものには同じ符号を付してある。
【0029】
この図において、31aはアンプで、マーク検出器5から出力されるマーク画像信号を増幅する。32aは2値化回路で、アンプ31aから出力されるアナログ信号をディジタルデータに変換した画像データCCD2Pを排他的論理ゲート35bおよび第3カウンタ回路42に出力する。32bは2値化回路で、アンプ31bから出力されるアナログ信号をディジタルデータに変換した画像データCCD1Pを排他的論理和ゲート35aおよび第2カウンタ39回路に出力する。
【0030】
33はクロックジェネレータで、1主走査周期信号CDHSYNCを発生させ、この1主走査周期信号CDHSYNCをマーク検出器5,6の読み取り同期信号として出力するとともに、VSYNCカウンタ37C,37M,37Y,37BKのクロック入力CLKに出力する。
【0031】
なお、例えばマーク検出器5,6は、それぞれ基準1,2に対応してあらかじめ設定された位置に配置されており、レジストマーク11,12が正確に書き始め基準位置より走査線傾き,倍率誤差,レフトマージン誤差,トップマージンずれのない正規の位置に形成された時に、そのレジストマーク11,12の中心がマーク検出器5,6の画素の中心画素で読み取れる位置に精度よく調整配設されている。
【0032】
すなわち、基準ステーションとなる第1ステーション(シアン)によって形成されたレジストマーク画像の中心をマーク検出器5,6の中心画素で読み取ることができるように、初期段階で第1ステーションの反射体24あるいは光学走査系3Cの位置を調整して固定する。この固定により基準色となるシアントナーで現像転写されたレジストマーク画像の中心が常にマーク検出器5,6の中心画素で検出できるようになり、検出されたシアン用のレジストマーク画像の中心と、順次検出される第2〜第4ステーションで形成されるレジストマーク画像との中心ずれを精度よく検出し、検出される位置ずれ量に応じて上記アクチュエータ25〜27を駆動制御する。
【0033】
34は第1カウンタ回路で、1主走査周期信号CDHSYNCの送出タイミング▲2▼(後述する図6に示す)の時点でマーク検出器5が検出したレジストマーク12を構成する基準色となるシアン用のレジストマーク画像に対する画像データCCD1Pが得られ、この画像データCCD1Pと1主走査周期信号CDHSYNCとの排他的論理和出力となるスタート信号START1に同期して1主走査周期信号CDHSYNCのカウントを開始し、1主走査周期信号CDHSYNCの送出タイミング▲3▼の時点でマーク検出器5が検出したレジストマーク11を構成する基準色となるシアン用のレジストマーク画像に対する画像データCCD2Pと1主走査周期信号CDHSYNCとの排他的論理和出力となるストップ信号STOP2に同期して1主走査周期信号CDHSYNCのカウントを終了する。
【0034】
このカウント開始から終了までにカウントされたカウントデータが基準色シアンの走査線傾き量NOとして得られ、この走査線傾き量NO、すなわち基準色シアンの傾き量を基準値として、順次検出される第2〜4ステーションに対応する走査線傾き量NMとを比較し画像ずれ量を演算し、演算された第2〜4ステーション用の画像ずれ量が後段の第1ROM35(第2〜4ステーションの各アクチュエータ26,27を指定方向に移動するための制御値が格納される)に選択信号として出力される。なお、第1カウンタ回路34は図示しないCPUから出力されるステーションセレクト信号に基づいてイネーブルとなる。36はセレクタ回路で、第1ROM35から読み出された各制御値ADM,ADY,ADBKが第2〜第4画像ステーションの反射体24を駆動するアクチュエータ26,27に出力される。
【0035】
37CはVSYNCカウンタで、シアン用のレジストマーク(レジストマーク11,12を構成する基準色となるシアン用のレジストマーク画像)が第1の画像ステーションで書き込まれるタイミングに出力されるレジストマーク書込み信号に同期して1主走査周期信号CDHSYNCのカウントを開始し、マーク検出器5がレジストマーク11を構成する基準色となるシアン用のレジストマーク画像を検出した時点で出力される画像データCCD1Pに同期して排他的論理和ゲート35aから出力されるスタート信号START1が出力された時点で1主走査周期信号CDHSYNCのカウントを終了し、そのカウント値、すなわち基準色シアンのトップマージン補正基準値C0を得る。
【0036】
そして、後続の第2〜第4のステーションのトップマージン値M0をVSYNCカウンタ37M,37Y,37BKによる同様のカウント処理により得て、上記トップマージン補正基準値C0とトップマージン値M0とを比較し、シアンーマゼンタ間,シアンーイエロー間,シアンーブラック間のトップマージンずれに起因する画像ずれ量をコントローラ13が演算する。
【0037】
そして、演算した画像ずれ量に応じて後段の第3ROM38(トップマージンを補正するための制御値があらかじめ記憶される)に選択信号として出力する。第3ROM38はトップマージンを補正するための遅延信号DELAYM,DELAYY,DELAYBKを第2〜第4の各画像ステーションのアクチュエータ26,27に出力する。
【0038】
39は第2カウンタ回路で、1主走査周期信号CDHSYNCに同期して入力されるX1CLOCKのカウントを開始し、マーク検出器5がレジストマーク11を構成する基準色となるシアン用のレジストマーク画像を検出して画像データCCD1Pが出力された時点でX1CLOCKのカウントを終了し、カウント値t01を図示しないレジスタに保持するとともに、1主走査周期信号CDHSYNCに同期して入力されるX1CLOCKのカウントを開始し、マーク検出器5がレジストマーク11を構成する第2〜第4ステーションに対するレジスト画像を検出して画像データCCD1Pが出力された時点でX1CLOCKのカウントを終了し、カウント値t1を後段のコンパレータ40に出力する。
【0039】
コンパレータ43は上記レジスタに保持されるカウント値t01とカウント値t1とを比較し、その差分Δt1を第2ROM41に選択信号として出力する。第2ROM41には差分Δt1に応じて第2〜第4の画像ステーションのアクチュエータ25を駆動する最適な制御値A2〜A4をそれぞれ出力する。
【0040】
42は第3カウンタ回路で、1主走査周期信号CDHSYNCに同期して入力されるX1CLOCKのカウントを開始し、マーク検出器5がレジストマーク11を構成する基準色となるシアン用のレジストマーク画像を検出して画像データCCD2Pが出力された時点でX1CLOCKのカウントを終了し、カウント値t02を図示しないレジスタに保持するとともに、1主走査周期信号CDHSYNCに同期して入力されるX1CLOCKのカウントを開始し、マーク検出器5がレジストマーク11を構成する第2〜第4ステーションに対するレジスト画像を検出して画像データCCD2Pが出力された時点でX1CLOCKのカウントを終了し、カウント値t2を後段のコンパレータ43に出力する。
【0041】
コンパレータ43は、上記レジスタに保持されるカウント値t02と第3カウンタ回路42がカウントしたカウント値t2とを比較し、その差分Δt2を第2ROM41に選択信号として出力する。第2ROM41には差分Δt2に応じて第2〜第4の画像ステーションのアクチュエータ26,27を駆動する最適な遅延制御値DM1,DY1,DBK1をそれぞれ出力するか、または差分Δt2に応じて画像書き込みタイミングを決定する垂直同期信号出力タイミングを調整する。
【0042】
なお、マーク検出器5,6は図4に示す基準1,2から主走査方向の読み取りを開始するように位置決めされている。
【0043】
次に図5,図6を参照しながら図4の動作について説明する。
【0044】
図5は、図4に示したマーク検出器5,6によるレジストマーク11,12の読み取り動作を説明する図である。
【0045】
この図において、1Aはシアン用の書込み出力を示し、1Bは第2〜第4ステーションに対応する書込み出力を示す。3Aはマーク読取りデータで、基準色となるシアンステーションで形成されたレジストマーク11,12を構成するシアン用のレジストマーク画像に対する書込み出力1Aに対する2値化出力に対応する。3Bはマーク読取りデータで、第2〜第4ステーションで形成されたレジストマーク画像に対する書込み出力1Bに対する2値化出力に対応する。
【0046】
搬送ベルト4の両端所定位置に転写されたレジストマーク11,12がマーク検出器5,6で検出されると、まずシアン用のレジストマーク画像に対する画像データCCD2P,CCD1Pの中心画素は、1主走査周期信号CDHSYNCよりそれぞれ時間t01,t02(カウント値t01,t02)の時間位置にシアン用のレジスト画像信号として得られる。
【0047】
しかし、第2〜第4ステーションで形成されたレジストマーク画像に対する書込み出力1Bのように書き込み位置がずれると、カウント値t01とカウント値t1は一致しても、カウント値t02とカウント値t2との値は一致しなくなり、例えばt02>t2となると、基準色シアン画像に比べて第2〜第4ステーション画像は小さくなり、この縮小倍率誤差がコンパレー40により第2〜第4の画像ステーションに設けるアクチュエータ25を駆動制御するための倍率制御値を選択する選択信号が第2ROM41へ出力される。
【0048】
図6は、図4の動作を説明するタイミングチャートであり、図4と同一のものには同じ符号を付してある。
【0049】
以下、倍率誤差,レフトマージンずれ量検知動作について説明する。
【0050】
マーク検出器5,6は、クロックジェネレータ33から送出タイミング▲1▼〜▲3▼で出力される1主走査周期信号CDHSYNC(図4)に同期して搬送されるレジストマーク11,12を構成する基準色に対応するシアン用のレジストマーク画像を読み取り、図6に示す画像データCCD1P,CCD2Pを順次出力するが、送出タイミング▲1▼においては、マーク検出器5,6がレジストマーク11,12を読み取っていないため、シアン用画像信号は出力されない。そして、送出タイミング▲2▼において、1主走査周期信号CDHSYNCから時間t1(図5に示した時間t01に等しい)の時点で、マーク検出器5から検出されたレジストマーク11を構成するシアン用のレジストマーク画像に対する検出信号を2値化した画像データCCD1Pが得られる。そして、送出タイミング▲3▼において、1主走査周期信号CDHSYNCから時間t02の時点で、マーク検出器5から検出されたレジストマーク11を構成するシアン用のレジストマーク画像に対する検出信号を2値化した画像データCCD2Pが得られる。
【0051】
このようにして、2値化回路32a,32bから画像データCCD1P,CCD2Pが得られると、第2カウンタ回路39,第3カウンタ回路42によるカウント処理が上述したように開始され、そのカウント値t01,t02が一旦レジスタに退避され、コンパレータ40,43の一方に送出される。
【0052】
そこで、まずコンパレータ40は入力されるカウント値t01(基準色シアンの書込み位置基準)と順次入力される第2〜第4ステーションで形成された各レジストマーク画像の検出タイミングを第2カウンタ回路39でカウントしたカウント値t1とを比較し、その基準色差分Δt1(内容0)を第2ROM41に選択信号として出力する。これに呼応して第2ROM41より倍率補正制御信号が第2〜第4ステーションの各アクチュエータ25に対して出力される。
【0053】
一方、コンパレータ43は入力されるカウント値t02と(基準色シアンの書込み位置基準)と順次入力される第2〜第4ステーションで形成された各レジストマーク画像の検出タイミングを第3カウンタ回路42でカウントしたカウント値t2とを比較し、その基準色差分Δt2(内容-1)を第2ROM41に選択信号として出力する。
【0054】
これにより第2ROM41にあらかじめ記憶された倍率移動量とレフトマージン移動量が設定されたテーブルより各画像ステーションのアクチュエータ25を駆動させるに最適な移動制御値(制御値A2〜A4)がそれぞれ出力されるとともに、レフトマージンの移動量となる遅延制御値DM1,DY1,DBK1を第2ROM41の選択ポートSに入力されるステーションセレクト信号に応じてそれぞれ順次出力する。
【0055】
従って、この修正によって倍率誤差とレフトマージンずれが基準色であるシアン画像と画像ずれなく移動修正される。
【0056】
次に走査線傾き量の補正処理について説明する。
【0057】
上記同様に送出タイミング▲2▼の時点で送出された1主走査周期信号CDHSYNCに同期してマーク検出器5よりレジストマーク11を構成するシアン用のレジストマーク画像を読み取り、2値化回路32bより画像データCCD1Pが得られると、後段の排他的論理和ゲート35aにより、一方の入力であるところの1主走査周期信号CDHSYNCが消去されスタート信号START1が生成され、このスタート信号START1が第1カウンタ回路34のSTART信号端子およびVSYNCカウンタ37C,37M,37Y,37BKのクロック入力CLKに入力する。これに呼応して第1カウンタ回路34は、1主走査周期信号CDHSYNCのカウント処理を開始する。
【0058】
次いで、送出タイミング▲3▼において、マーク検出器5はレジストマーク11を構成するシアン用のレジストマーク画像を読み取り、2値化回路32aより画像データCCD2Pを出力する。次いで、後段の排他的論理和ゲート35bよりストップ信号STOP2を第1カウンタ回34のSTOP端子に入力することにより、1主走査周期信号CDHSYNCのカウント処理を停止し、それまでにカウントしたカウント数、すなわち基準色シアンの走査線傾き量NOが得られ、この走査線傾き量NOと、順次マーク検出器5が検出する第2〜第4ステーションに対応するレジストマーク画像に対応して排他的論理和ゲート35bより出力されるストップ信号STOP2が入力されるまでに第1カウンタ回路34がカウントした第2〜第4ステーションに対応する走査線傾き量NMとを比較して各画像ずれを差分演算し、後段の第1ROM35(アクチェエータ26,27を指定方向に移動するための制御値が格納される)に選択信号を出力する。
【0059】
この走査線傾き補正制御値に応じて第2〜第4ステーションの各アクチュエータ26,27が反射体24を適正な位置に位置決めする。この動作をマゼンタ,イエロー,ブラックのレジストマークについて同様に実行することにより、セレクタ回路36に入力されるステーションセレクト信号に応じて各制御値ADM,ADY,ADBKが各画像ステーションのアクチュエータ26,27に出力され、各反射体24を適正な位置に位置決めし、走査線傾き量がそれぞれ修正される。
【0060】
次にトップマージンずれの補正処理について説明する。
【0061】
基準ステーションとなるシアン用のトップマージンに対する第2〜第4のトップマージン補正制御は、感光ドラム1Cにレジストマーク11,12を書き始めた時点、すなわちCレジストマーク書込み信号がVSYNCカウンタ37CのSTART端子に送出された時点から開始され、このCレジストマーク書込み信号がVSYNCカウンタ37CのSTART端子に送出されてから、VSYNCカウンタ37Cによるカウント動作が開始する。
【0062】
次いで、マーク検出器5がレジストマーク11を構成するシアン用のレジストマーク画像の先頭マークを検出した時点で2値化回路32bより出力される画像データCCD1Pに応じて出力されるスタート信号START1が出力される間、VSYNCカウンタ37Cがカウントした1主走査周期信号CDHSYNCの値、すなわち差分量C1を得る。この差分量C1が第2〜第4ステーションに対するトップマージ補正の基準値となる。
【0063】
そこで、同様にしてマーク検出器5がレジストマーク11を構成する第2〜第4ステーション用のレジストマーク画像の先頭マークを検出した時点で2値化回路32bより出力される画像データCCD1Pに応じて出力されるスタート信号START1が出力される間、VSYNCカウンタ37M,37Y,37BKがカウントした1主走査周期信号CDHSYNCの値、すなわち差分量M1,Y1,BK1と上記差分量C1とがそれぞれ個別に比較され、その相対差分が演算される。そして、その各相対差分値が各VSYNCカウンタ37M,37Y,37BKより第3ROM38に出力される。
【0064】
これに応じて、第3ROM38にあらかじめ記憶されるトップマージン補正値(シアン用のレジストマークを書き込んだ際に出力される値と比較した差分値)となる遅延信号DELAYM,DELAYY,DELAYBKが第2〜第4ステーションのアクチュエータ26,27に出力するか、各画像ステーションに規定される垂直同期信号出力タイミングを調整することにより、トップマージン補正を実行する。これにより、シアン用の画像ステーションのトップマージンに残る第2〜第4のステーションのトップマージンを従属補正することができる。
【0065】
なお、各VSYNCカウンタ37C,37M,37Y,37BKはマーク検出器5により順次検出される各画像ステーションのレジストマーク画像により出力される画像データCCD1Pに基づくスタート信号START1によりカウント動作を終了するわけであるが、連続してレジストマーク画像を検出するため、必要のない位置の画像データCCD1Pでカウント動作が終了しないように、精度よく監視する必要がある。
【0066】
なお、マーク検出器5,6によるレジストマーク11,12の検出が終了すると、搬送ベルト4に転写されたレジストマーク画像はクリーナ部材8により清掃され、次のレジストマーク書き込みに備える。
【0067】
また、上記実施例においては、図1に示したように、基準ステーション、すなわちシアン用のステーションを固定配置し、この固定配置された画像ステーションで転写されたレジストマーク画像を基準として、各第2〜第4ステーションの光学走査系から発射される光ビームLの光路長,走査長,走査方向を各第2〜第4ステーションのアクチュエータ25〜27を駆動して従属補正させる場合について説明したが、図7および図8に示すように、すなわち図7においては、手動調整ネジ45〜47を図2に示した各アクチュエータ25〜27の配設位置に対応する位置に設けることにより、画像形成装置本体の点検保守,微調整作業を軽減できる。また、図8に示すように、シアン用のステーションにもアクチュエータ25〜27を搭載して、画像形成装置本体の点検保守,微調整作業を軽減するとともに、意図的に基準ステーションの位置ずれを調整し、従属するステーションの補正調整範囲負担を軽減することも可能となる。
【0068】
次に図9〜図15を参照しながら本発明を適用可能な画像形成装置について説明する。
【0069】
図9,図10は本発明を適用する画像形成装置の一例を説明する斜視図および要部拡大斜視図であり、図1および図2と同一のものには同じ符号を付してある。
【0070】
これらの図において、51,52は例えばステッピングモータで構成されるアクチュエータで、アクチュエータ51は光学箱23の遊貫穴に挿入される回転軸(図示しない)の中心LLを基準として、上記光学箱23を矢印a方向に上下移動させ、レーザ光源22から感光ドラム1Cに発射される光ビームLの光路長を調整し、倍率誤差を補正する。アクチュエータ52は光学箱23の遊貫穴に挿入される回転軸(図示しない)の中心LLを基準として、上記光学箱23を回転移動させて、感光ドラム1Cに描画される走査線の傾きを修正する。
【0071】
これらの図から分かるように、図2に示した反射体24を移動する代りに、光学箱23を移動させる構成となる画像形成装置においても、本発明を適用可能となり、上記同様に走査線傾きおよび倍率補正を実行できる。
【0072】
図11〜図13は本発明を適用する画像形成装置の一例を説明する斜視図,要部拡大斜視図,要部断面図であり、図1および図2と同一のものには同じ符号を付してある。
【0073】
これらの図において、61C,61M,61Y,61BKはフランジで、感光ドラム1C,1M,1Y,1BKの両端部に固定され、フランジ61C,61M,61Y,61BKの軸62C,62M,62Y,62BKが軸受装置63C,63M,63Y,63BKの軸受け64C,64M,64Y,64BKに回転自在に軸支される。軸受け64C,64M,64Y,64BKは、図示しないガイド溝によりAA方向に可動するように内ケース65に支持されている。
【0074】
各内ケース65内の軸受け64C,64M,64Y,64BKは、各バネ66に付勢されるとともに、例えばステッピングモータで構成されるアクチュエータ67の突起に当接し、このアクチュエータ67の駆動に応じて軸62C,62M,62Y,62BKをAA方向に移動させる。68はバネで、外ケース70に収容される内ケース65を付勢する。69は例えばステッピングモータで構成されるアクチュエータで、バネ68に付勢される内ケース65をBB方向(AA方向と直交する)に移動させる。なお、内ケース65は、図示しないガイド溝によって外ケース70にAA方向とは直角方向のBB方向に可動するように支持されている。
【0075】
図11に示すように、軸受装置63C,63M,63Y,63BKをAA方向を水平方向に、BB方向を垂直方向に合せて各感光ドラム1C,1M,1Y,1BKの両端部に設け、一対のアクチュエータ69を同時に同方向、すなわちBB方向に駆動すると、感光ドラム、例えば感光ドラム1Cは走査光学装置から光ビームLの発射方向と略平行に移動され、光路長が可変されて倍率誤差を補正可能となる。
【0076】
また、一対のアクチュエータ67のいずれか一方を移動すると、各アクチュエータ67を互いに反対方向に駆動を与えることとなり、走査線傾きを補正することができる。また、一対のアクチュエータ67を同時に駆動すれば、光ビームLにより感光ドラム1Cに描画される走査線を平行移動することが可能となり、トップマージン補正も可能となる。
【0077】
このように、図2に示した反射体24,図10に示した光学箱23を個別に駆動させること以外に、感光ドラム1C,1M,1Y,1BKを個別に所定方向に移動させる機構となる画像形成装置にも、本発明による色ずれ量に対する補正処理を加えることが可能となる。
【0078】
さらに、図14に示すように、中間転写体81を有する4ドラム方式のカラープリンタにおいても、本発明を容易に適用できるとともに、図15に示すように、転写材として連続紙となるロール紙82を使用する4ドラム方式のカラープリンタにも本発明を容易に適用可能となり、それぞれの画像形成処理で発生する色ずれを最適に補正できる。なお、上記適用例については、4ドラム方式のカラープリンタについて説明したが、例えば2色,または3色の画像形成装置、および多重画像形成装置にも本発明を適用することにより、画像ずれのない鮮明な画像を形成可能となる。
【0079】
また、上記実施例においては、図2に示すように反射体24をハの字形に一体形成し、その対向面に鏡面を配設して光ビームLを感光体に走査する場合について説明したが、反射鏡の取り付け角度,鏡面数は上記実施例に限定されずに自由に設定でき、例えば反射体24をL字形として形成してもよい。
【0080】
さらに、上記各実施例において、アクチュエータ機構を例えばリニアステップアクチュエータで構成する場合について説明したが、通常のステッピングモータの軸にネジを切ったもの,カムを固着したものでもいいし、リニアモータ等で同様の機能を持たせることも、本発明のアクチュエータ機構として成立する。
【0081】
また、上記実施例では、搬送体として搬送ベルト4を利用して、レジストマーク11,12を転写させる場合について説明したが、公知の電子写真プロセスを利用するものであれば、搬送される転写材上の位置,形状はレジストマーク11,12に限定されず、例えば『「』等のマークでもいいし、「-」,「|」等のマークを個別に転写して画像位置ずれを検知するように構成しも同様の効果を期待できる。
【0082】
さらに、上記実施例においては、搬送ベルト4に転写されたレジストマーク11,12を、例えばクリーニングブレード等のクリーナ部材8によりクリーニングする場合について説明したが、ファーブラシ方式やエアー吸引方式を利用することにより、搬送ベルト4に転写されて付着したトナーを効率よく回収して、画像位置ずれ検知のためのレジストマーク11,12の形成,読み取り時の誤差介入を防止できる。また、転写帯電器により感光ドラムに逆転写して、感光ドラム用のクリーナ部材で回収するように構成してもよい。
【0083】
また、上記実施例においては、マーク検出器5,6によりレジストマーク11,12を読み取る場合について説明したが、マーク検出器の設置個数は2個に限定されず、さらに多くのマーク検出器を同一直線上または異なる直線上に複数個配設してレジストマーク11,12,またはこれに類するマークを読み取ることにより、各感光ドラム1C,1M,1Y,1BKの画像位置ずれを高精度に検出できる。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数の画像形成手段により形成された各画像が転写される転写材を搬送する移動体上に転写された複数のマークの位置が検出手段により検出されたら、該検出結果に基づき補正手段が前記複数の画像形成手段中の所定の画像形成手段により形成される画像と他の画像形成手段により形成される画像との間の主走査方向の位置ずれ及び副走査方向の位置ずれを自動補正して、極めて簡単、かつ、高精度に画像間の主走査方向及び副走査方向の位置ずれを補正でき、高画質な画像を形成できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は本発明の一実施例を示す4ドラムフルカラー方式の画像形成装置の構成を説明する斜視図である。
【図2】
図1に示した走査ミラーと光学走査系との配置構成を説明する斜視図である。
【図3】
像担持体の画像ずれを説明する模式図である。
【図4】
図1に示したコントローラの内部構成を説明する制御ブロック図である。
【図5】
図4に示したマーク検出器によるレジストマークの読み取り動作を説明する図である。
【図6】
図4の動作を説明するタイミングチャートである。
【図7】
本発明を適用する画像形成装置の一例を説明する斜視図である。
【図8】
本発明を適用する画像形成装置の一例を説明する斜視図である。
【図9】
本発明を適用する画像形成装置の一例を説明する斜視図である。
【図10】
図9に示した画像形成装置の光路系を説明する斜視図である。
【図11】
本発明を適用する画像形成装置の一例を説明する斜視図である。
【図12】
図11に示した画像形成装置の要部を説明する斜視図である。
【図13】
図11に示した画像形成装置の要部を説明する断面図である。
【図14】
本発明を適用する画像形成装置の一例を説明する断面図である。
【図15】
本発明を適用する画像形成装置の一例を説明する断面図である。
【図16】
4ドラムフルカラー方式の画像形成装置の構成を説明する概略図である。
【図17】
画像ずれの種別を説明する模式図である。
【図18】
光走査系の位置ずれに起因する画像ずれを説明する模式図である。
【図19】
感光ドラム軸の位置ずれに起因する画像ずれを説明する模式図である。
【図20】
光ビームの光路長誤差に起因する画像ずれを説明する模式図である。
【図21】
光路長誤差に起因する倍率誤差を説明する模式図である。
【符号の説明】
1C 感光ドラム
1M 感光ドラム
1Y 感光ドラム
1BK 感光ドラム
2C 走査ミラー
2M 走査ミラー
2Y 走査ミラー
2BK 走査ミラー
3C 光学走査系
3M 光学走査系
3Y 光学走査系
3BK 光学走査系
4 搬送ベルト
5 マーク検出器
6 マーク検出器
11 レジストマーク
12 レジストマーク
13 コントローラ
 
訂正の要旨 訂正の要旨
特許第2858735号の特許明細書を本件訂正請求書に添付された訂正明細書のとおりに訂正する。すなわち、
(1)特許請求の範囲の記載
「それぞれ画像担持体を有し、各画像担持体上にそれぞれ画像を形成する複数の画像形成手段と、前記複数の画像担持体上に各画像の主走査方向及び副走査方向の位置合わせのためのマークを形成するべく前記複数の画像形成手段を制御する制御手段と、前記複数の画像担持体上に形成されたマークを転写位置にて転写するように移動する移動体と、前記移動体上に転写された複数のマーク位置を検出する検出手段と、前記検出手段の検出出力に基づいて、前記複数の画像形成手段のうちの所定の画像形成手段により形成される画像と他の画像形成手段により形成される画像との間の主走査方向の位置ずれ及び副走査方向の位置ずれを自動的に補正する補正手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。」

「それぞれ画像担持体を有し、各画像担持体上にそれぞれ画像を形成する複数の画像形成手段と、前記複数の画像担持体上に各画像の主走査方向及び副走査方向の位置合わせのためのマークを形成するべく前記複数の画像形成手段を制御する制御手段と、前記複数の画像形成手段により形成された各画像が転写される転写材を搬送し、前記複数の画像担持体上に形成されたマークを転写位置にて転写するように移動する移動体と、前記移動体上に転写された複数のマーク位置を検出する検出手段と、前記検出手段の検出出力に基づいて、前記複数の画像形成手段のうちの所定の画像形成手段により形成される画像と他の画像形成手段により形成される画像との間の主走査方向の位置ずれ及び副走査方向の位置ずれを自動的に補正する補正手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。」
と訂正する。
(2)特許明細書の段落【0011】の記載
「【0011】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたもので、複数の画像担持体上に形成された画像の主走査方向及び副走査方向の位置合わせ用のマークを移動体上に転写し、これら複数のマークの位置を検出し、該検出されたマークの位置に基づいて主走査方向の位置ずれ及び副走査方向の位置ずれを補正することにより、極めて簡単に画像間の主走査方向の位置ずれ及び副走査方向の位置ずれを補正でき、高画質な画像が形成可能となる画像形成装置を提供することを目的とする。」

「【0011】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたもので、複数の画像担持体上に形成された画像の主走査方向及び副走査方向の位置合わせ用のマークを複数の画像形成手段により形成された各画像が転写される転写材を搬送する移動体上に転写し、これら複数のマークの位置を検出し、該検出されたマークの位置に基づいて主走査方向の位置ずれ及び副走査方向の位置ずれを補正することにより、極めて簡単、かつ、高精度に画像間の主走査方向及び副走査方向の位置ずれを補正でき、高画質な画像が形成可能となる画像形成装置を提供することを目的とする。」
と訂正する。
(3)特許明細書の段落【0012】の記載
「【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る画像形成装置は、それぞれ画像担持体を有し、各画像担持体上にそれぞれ画像を形成する複数の画像形成手段と、前記複数の画像担持体上に各画像の主走査方向及び副走査方向の位置合わせのためのマークを形成するべく前記複数の画像形成手段を制御する制御手段と、前記複数の画像担持体上に形成されたマークを転写位置にて転写するように移動する移動体と、前記移動体上に転写された複数のマークの位置を検出する検出手段と、前記検出手段の検出出力に基づいて、前記複数の画像形成手段のうちの所定の画像形成手段により形成される画像と他の画像形成手段により形成される画像との間の主走査方向の位置ずれ及び副走査方向の位置ずれを自動的に補正する補正手段とを備えるものである。」

「【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る画像形成装置は、それぞれ画像担持体を有し、各画像担持体上にそれぞれ画像を形成する複数の画像形成手段と、前記複数の画像担持体上に各画像の主走査方向及び副走査方向の位置合わせのためのマークを形成するべく前記複数の画像形成手段を制御する制御手段と、前記複数の画像形成手段により形成された各画像が転写される転写材を搬送し、前記複数の画像担持体上に形成されたマークを転写位置にて転写するように移動する移動体と、前記移動体上に転写された複数のマークの位置を検出する検出手段と、前記検出手段の検出出力に基づいて、前記複数の画像形成手段のうちの所定の画像形成手段により形成される画像と他の画像形成手段により形成される画像との間の主走査方向の位置ずれ及び副走査方向の位置ずれを自動的に補正する補正手段と、を備えるものである。」
と訂正する。
(4)特許明細書の段落【0013】の記載
「【0013】
【作用】本発明においては、検出手段により移動体上に転写された複数のマークの位置が検出されたら、該検出結果に基づき補正手段が前記複数の画像形成手段中の所定の画像形成手段により形成される画像に対する、他の画像形成手段により形成される画像との間の主走査方向の位置ずれ及び副走査方向の位置ずれを自動補正して、極めて簡単に画像間の位置ずれを補正でき、高画質な画像を形成可能とする。」

「【0013】
【作用】本発明においては、複数の画像形成手段により形成された各画像が転写される転写材を搬送する移動体上に転写された複数のマークの位置が検出手段により検出されたら、該検出結果に基づき補正手段が前記複数の画像形成手段中の所定の画像形成手段により形成される画像に対する、他の画像形成手段により形成される画像との間の主走査方向の位置ずれ及び副走査方向の位置ずれを自動補正して、極めて簡単、かつ、高精度に画像間の主走査方向及び副走査方向の位置ずれを補正でき、高画質な画像を形成可能とする。」
と訂正する。
訂正事項(1)は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項(2)乃至(4)は、訂正事項(1)の訂正に伴って、発明の詳細な説明の記載が不明瞭になることの釈明を目的とするものである。
異議決定日 2000-08-24 
出願番号 特願平7-207188
審決分類 P 1 651・ 121- YA (G03G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 神 悦彦  
特許庁審判長 酒井 進
特許庁審判官 水垣 親房
川上 益喜
登録日 1998-12-04 
登録番号 特許第2858735号(P2858735)
権利者 キヤノン株式会社
発明の名称 画像形成装置  
代理人 小林 将高  
代理人 小林 将高  

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