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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C09J
管理番号 1024529
異議申立番号 異議1999-71537  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1990-08-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-04-21 
確定日 2000-09-27 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2824775号「アクリル系水性感圧接着剤組成物」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2824775号の特許を維持する。 
理由 I 手続の経緯
本件特許第2824775号発明は、平成1年2月14日に出願され、平成10年9月11日に設定登録がなされ、その後、住友化学工業株式会社により特許異議の申立てがあり、取消理由の通知がなされ、その指定期間内である平成12年5月15日に訂正請求がなされたものである。
II 訂正の適否についての判断
1 本件訂正は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「ガラス転移点が-30℃以下であるエチレン・酢ビ・アクリル系共重合体」を、「ガラス転移点が-40℃以下であるエチレン・酢ビ・アクリル系共重合体」に訂正するものである。
2 訂正の目的の適否、新規性の有無及び拡張・変更の在否
本件訂正は、感圧接着剤組成物の一成分であるエチレン・酢ビ・アクリル系共重合体のガラス転移点を「-30℃」から[-40℃」へ更に低温度に限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、この訂正は、特許明細書の「前記(B)エチレン・酢ビ・アクリル系共重合体のガラス転移点は・・・-40℃以下あるのが特に好ましい。」(本件特許公報7頁13欄26〜29行)との記載に基づくものである。
したがって、本件訂正は、願書に添附した明細書に記載した事項の範囲内のものであり、かつ、実質上特許請求の範囲の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
3 独立特許要件の判断
(1)本件発明
訂正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のものである。
「【請求項1】下記(A)及び(B)
(A)ゲル含量が40重量%以上であって、ガラス転移点が-40℃以下であるアクリル系共重合体、及び、
(B)上記アクリル系共重合体100重量部当り、
(イ)エチレン5〜40重量%、
(ロ)酢酸ビニル5〜60重量%、及び、
(ハ)CH2=CR’-COOR”〔但し、R’はH又はCH3、R”はC4〜C18の直鎖もしくは分枝アルキル基を示す〕で表わされるアクリル酸又メタクリル酸エステル15〜70重量%(ただし、(イ)〜(ハ)の合計が100重量%とする)、
を共重合成分として含有してなり、ガラス転移点が-40℃以下であるエチレン・酢ビ・アクリル系共重合体5〜20重量部、
を有効成分として含有してなることを特徴とするアクリル系水性感圧接着剤組成物。」
(2)引用刊行物に記載された事項
刊行物1(特開昭58-79068号公報、甲第1号証)には「(A)アクリル系感圧性接着剤エマルジョン100重量部・・・と、(B)(a)エチレン5〜30重量%、(b)酢酸ビニル20〜90重量%及び(c)・・・アクリル酸アルキル及びメタクリル酸アルキルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の単量体5〜50重量%とを共重合させて得られるエチレン-酢酸ビニル-アクリル酸アルキル及び/又はメタクリル酸アルキル系多元共重合体エマルジョン5〜35重量部・・・とを有効成分とすることを特徴とするエマルジョン型感圧性接着剤。」(特許請求の範囲第1項)、「本発明は、ポリエチレン・・・等の非極性被着体に対して優れた接着性を有するエマルジョン型感圧性接着剤に関する。」(1頁右下欄13〜16行)、「アクリル系エマルジョン型感圧性接着剤は、従来の溶液型感圧性接着剤に比べて、乾燥性、耐水性及び接着性等に欠点を持ち、中でも接着性、特にポリオレフィン系・・・等の被着体に対する接着性が悪い」(2頁左上欄18行〜右上欄3行)、「アクリル系感圧性接着剤エマルジョン(A)に、エチレン-酢酸ビニル-アクリル酸アルキル及び/又はメタクリル酸アルキル系多元共重合体エマルジョン(B)を混合することにより、低温における接着性、更には・・・二次加工性のようなアクリル系感圧性接着剤の利点を損うことなく、ポリオレフィン系及びポリブタジエンの樹脂等からなるフィルム及び成形品等に対する接着性を著しく向上させうることを見出し」(3頁左上欄10〜19行)と記載されており、具体的に、アクリル系感圧性接着剤エマルジョン(A)とエチレン-酢酸ビニル-アクリル酸アルキル系多元共重合体エマルジョン(B)を混合してエマルジョン型感圧性接着剤を調製し、その物性評価の結果が記載されている(実施例1ないし3、7頁表)。
刊行物2(日本エマルジョン工業会編集「会報 2月号」平成8年2月20日発行、日本エマルジョン工業会、No.178、1〜4頁、甲第2号証)には、Tg(ガラス転移点、以下同じ。)計算式及びTg計算に用いるホモポリマーのTg値が記載されている。
(3)対比・判断
(ア)本件発明と刊行物1に記載された発明を対比する。
刊行物1には、(A)アクリル系感圧性接着剤エマルジョン100重量部と(B)エチレン-酢酸ビニル-アクリル酸アルキル及び/又はメタクリル酸アルキル系多元共重合体エマルジョン5〜35重量部とを有効成分とするエマルジョン型感圧性接着剤が記載され、そして、該エマルジョン型感圧性接着剤は、水性化されたエマルジョン型感圧性接着剤であることが記載されており(2頁左上欄4〜8行、左上欄18行〜右上欄4行、左下欄14〜19行等参照。)、刊行物1記載のエマルジョン型感圧性接着剤は、本件発明の水性感圧接着剤組成物に相当するから、両者は、「下記(A)及び(B)
(A)アクリル系共重合体、及び、
(B)上記アクリル系共重合体100重量部当り、
(イ)エチレン5〜30重量%、
(ロ)酢酸ビニル20〜60重量%、及び、
(ハ)CH2=CR’-COOR”〔但し、R’はH又はCH3、R”はC4〜C12の直鎖もしくは分枝アルキル基を示す〕で表わされるアクリル酸又メタクリル酸エステル15〜50重量%(ただし、(イ)〜(ハ)の合計が100重量%とする)、
を共重合成分として含有してなり、エチレン・酢ビ・アクリル系共重合体5〜20重量部、を有効成分として含有してなることを特徴とするアクリル系水性感圧接着剤組成物」である点で一致し、本件発明が、アクリル系共重合体のゲル含量が40重量%以上であって、ガラス転移点が-40℃以下であり、かつ、エチレン・酢ビ・アクリル系共重合体のガラス転移点が-40℃以下であるのに対し、刊行物1記載の発明はそれらの点について明示の記載がない点で相違している。
そこで、上記相違点について以下検討する。
本件明細書には「感圧接着剤としての本来の性質、即ちタック、常態接着力、凝集力、貯蔵安定性をバランスよく保持すると共に、非極性ポリマー成形品への曲面接着性や低温接着性にも秀でた水性分散型アクリル系感圧接着剤を得る」(本件特許公報2頁3欄50行〜4欄4行)、「上記アクリル系樹脂のガラス転移点が上記温度を超えてはタックが不足しがちとなるとともに、例えば0℃以下などの低温での接着性、特にポリエチレンなどの非極性ポリマーへの接着力が不十分となる場合があり好ましくなく、又、ゲル含量が上記下限値未満では、凝集力が不足しがちになるので好ましくない。」(同4頁7欄18〜23行)、「前記(B)成分のエチレン・酢ビ・アクリル系共重合体のガラス転移点は・・・-40℃以下であるのが特に好ましい。ガラス転移点が該温度を超えていては、低温接着性及び曲面接着性が低下するので好ましくない。」(同7頁13欄26〜30行)、「本発明のアクリル系水性感圧接着剤組成物は、曲面接着性に優れているので、例えば直接10mm程度のポリオレフィンの管状成形品上へのラベル、テープ等接着体の感圧接着を極めて容易にし、低温接着性に優れているので、-10℃以下の大型冷凍庫内や摂氏0℃以下のような寒冷地においても非極性ポリマー成形品への感圧接着が極めて容易である。」(同8頁15欄28〜34行)と記載され、具体的には、調製された感圧接着剤のガラス転移点、ゲル含量などを変えてその接着力、低温接着性(0℃、-10℃における)、曲面接着性等の物性評価がなされている(同12頁第3表)。
以上の記載によれば、本件発明は、上記相違点に係る構成を採用することにより、タック、常態接着力、凝集力、貯蔵安定性をバランスよく保持すると共に、非極性ポリマー成形品への曲面接着性や低温接着性(特に-10℃における)に優れた水性分散型アクリル系感圧接着剤組成物を得ることができたものと認められる。
そうすると、刊行物1には、上記ガラス転移点及びゲル含量の規定を窺わせる記載又は示唆を見出すことができないこと、さらに、ガラス転移点及びゲル含量を規定することにより、上記に認定したとおりの効果を奏するものであることに照らせば、上記相違点は実質的に技術的意義を有するものであるといえる。
したがって、本件発明は刊行物1に記載された発明であるとはいえない。
(イ)次に、異議申立人は、(i)刊行物2、3(甲第2、3号証)に記載されているTg計算式及びTg値を参酌すれば、刊行物1(甲第1号証)の実施例1、2には、本件発明のTg範囲を有する共重合体が記載されていること、また、(ii)ゲル含量についても、その実施例における保持力(凝集力)の数値からみて、刊行物1記載の共重合体でも同程度のゲル含量を有している旨主張するので、以下検討する。
(i)の点について
刊行物2、3には、Tg計算式及びTg計算に用いるホモポリマーのTg値が記載されており、これによれば、刊行物1に記載されている共重合体のTg値については、(A)成分のアクリル系共重合体のTg値は本件発明の範囲内のものであるが、(B)成分のエチレン・酢ビ・アクリル系共重合体のTg値は、いずれも-40℃以上の値を有しており、本件発明の範囲外のものである(なお、異議申立人は、刊行物1の実施例2において、(B)成分のエチレン・酢ビ・アクリル系共重合体のTg値を-39℃としているが、これは誤りであり、正しくは-22℃である。)。
(ii)の点について
本件明細書には「ゲル含量が上記下限値未満では、凝集力が不足しがちになるので好ましくない。また、接着力の優秀さ及び感圧接着シートのシート基材(支持体)へのアンカリング性の優秀さの観点から80重量%以下のゲル含量の採用が特に好ましい。」(本件特許公報4頁7欄22〜26行)、「本発明のアクリル系水性感圧接着剤組成物は、更に凝集力が優れているので、セロテープ等のように粘着テープを巻いて長期間保存した場合に、接着剤がハミ出して来る等の欠点も無い。」(同8頁15欄34〜37行)と記載され、これらの記載によれば、本件発明のゲル含量は、感圧接着剤の凝集力、接着力、シート基材へのアンカリング性、ハミ出しなどに影響があること、とりわけ、ゲル含量が下限値未満では凝集力が不足しがちになることが認められる。
そうすると、本件発明において、ゲル含量の規定は、感圧接着剤の凝集力、接着力、シート基材へのアンカリング性、ハミ出しなどの物性を総合的に考慮してなされたものであり、凝集力によってのみ一義的に決定されるものではないと解するのが自然であるから、たとえ、両発明の凝集力の数値に一部重複するものがあったとしても、これを以て直ちに両発明のゲル含量が同じであるとはいえない。
よって、上記異議申立人の主張は採用することはできない。
したがって、本件発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
(4)むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2項から4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
III 異議申立てについての判断
1 異議申立ての理由の概要
異議申立人は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、甲第2、3号証の記載を参酌すれば、甲第1号証に記載された発明であるといえるから、特許を受けることができない旨主張している。
2 判断
異議申立人の主張が採用できないことは上記II3から明らかである。
3 むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
アクリル系水性感圧接着剤組成物
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記(A)及び(B)
(A)ゲル含量が40重量%以上であって、ガラス転移点が-40℃以下であるアクリル系共重合体、及び、
(B)上記アクリル系共重合体100重量部当り、
(イ)エチレン5〜40重量%、
(ロ)酢酸ビニル5〜60重量%、及び、
(ハ)CH2=CR′-COOR″〔但し、R′はH又はCH3,R″はC4〜C18の直鎖もしくは分枝アルキル基を示す〕で表わされるアクリル酸又はメタクリル酸エステル15〜70重量%(ただし(イ)〜(ハ)の合計が100重量%とする)、
を共重合成分として含有してなり、ガラス転移点が-40℃以下であるエチレン・酢ビ・アクリル系共重合体5〜20重量部、
を有効成分として含有してなることを特徴とするアクリル系水性感圧接着剤組成物。
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、ポリオレフインのような非極性ポリマーのフイルム又は成形品に対し、優れた接着力、殊に優れた曲面接着性や低温接着性、を有する水性分散型感圧接着剤に関する。
〔従来の技術〕
感圧接着剤の用途は、テープ、ラベル、ステッカー、壁紙等の多方面にわたり、被接着体の材質もプラスチック、金属、ガラス、陶器、紙、布、建材、果物等と広範囲にわたっている。
従来、感圧接着剤の主原料として天然ゴム、合成ゴムや溶液型アクリル系共重合体、水性分散型アクリル系共重合体等が用いられて来た。これらのなかでも、水性分散型アクリル系共重合体を主原料とする感圧接着剤は、有機溶媒を含有せず、火災の発生や公害上の問題がないので、次第に広く使用されるようになって来た。
しかしながら、水性分散型アクリル系共重合体を主原料とする感圧接着剤は、溶液型アクリル系共重合体を主原料とする感圧接着剤に比べて、耐水性や接着力、殊にポリオレフインのような非極性ポリマーのフイルムや成形品に対する接着力が悪いという欠点があった。
水性分散型アクリル系感圧接着剤の上記のような欠点を改良する代表的な試みとしては特開昭58-79068号を挙げることができる。
上記提案には、
「(A)アクリル系感圧性接着剤エマルジョン100重量部(固形分ベース)と、(B)(a)エチレン5〜30重量%、(b)酢酸ビニル20〜90重量%及び(c)アルキル基の炭素数が1〜12個である、アクリル酸アルキル及びメタクリル酸アルキルよりなる群がら選ばれた少なくとも1種の単量体5〜50重量%とを共重合させて得られるエチレン-酢酸ビニル-アクリル酸アルキル及び/又はメタクリル酸アルキル系多元共重合体エマルジョン5〜35重量部(固形分ベース)とを有効成分とすることを特徴とするエマルジョン型感圧性接着剤。」及び
「(A)アクリル系感圧性接着剤エマルジョン100重量部(固形分ベース)と、(B)(a)エチレン5〜30重量%、(b)酢酸ビニル20〜90重量%、(c)アルキル基の炭素数が1〜12個である、アクリル酸アルキル及びメタクリル酸アルキルよりなる群がら選ばれた少なくとも1種の単量体5〜50重量%及び(d)これらの単量体と共重合し得る官能基を有する単量体0.1〜5重量%を共重合させて得られるエチレン-酢酸ビニル-アクリル酸アルキル及び/又はメタクリル酸アルキル系多元共重合体エマルジョン5〜35重量部(固形分ベース)とを有効成分とすることを特徴とするエマルジョン型感圧性接着剤。」に関して開示されている。
この感圧接着剤は、従来のアクリル系エマルジョンに対し上記のエチレン・酢ビ・アクリル系共重合体の特定量と配合することによって、ポリオレフィンのような非極性ポリマーの被接着体に対する接着力を改良しようとするものである。
しかしながら、前記提案の感圧接着剤は、非極性ポリマーの被接着体に対する室温における接着力は確かに改良し得るものであるが、例えば、該提案の実施例に記載の感圧接着剤などでは、例えば、冷凍庫中の包装食品類などへの各種ラベルの貼付等において要求される低温接着性や、例えば、10〜20mmφ程度の径の小さい棒状物、エッヂ部を有する成形品等の非極性ポリマー成形品への曲面接着性が十分でないという問題点があった。
〔発明が解決すべき問題点〕
本発明者等は、感圧接着剤としての本来の性質、即ちタック、常態接着力、凝集力、貯蔵安定性をバランスよく保持すると共に、非極性ポリマー成形品への曲面接着性や低温接着性にも秀でた水性分散型アクリル系感圧接着剤を得るべく研究を重ねた結果、本発明を完成するに至ったものである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、下記(A)及び(B)、
(A)ゲル含量が40重量%以上であって、ガラス転移点が-40℃以下であるアクリル系共重合体、及び、
(B)上記アクリル系共重合体100重量部当り、
(イ)エチレン5〜40重量%、
(ロ)酢酸ビニル5〜60重量%、及び、
(ハ)CH2=CR′-COOR″〔但し、R′はH又はCH3,R″はC4〜C18の直鎖もしくは分枝アルキル基を示す〕で表わされるアクリル酸又はメタクリル酸エステル15〜70重量%(ただし(イ)〜(ハ)の合計が100重量%とする)、
を共重合成分として含有してなり、ガラス転移点が-30℃以下であるエチレン・酢ビ・アクリル系共重合体5〜20重量部、
を有効成分として含有してなることを特徴とするアクリル系水性感圧接着剤組成物、に関するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における(A)成分であるアクリル系共重合体は、特に限定されるものではないが、得られる感圧接着剤組成物の諸物性の優秀さより、
(A)アクリル系共重合体が
i CH2=CH-COOR1〔但し、式中、R1はC2〜C12の直鎖もしくは分枝アルキル基を示す〕……で表わされ、その単独重合体のガラス転移点が-20℃以下であるアクリル酸エステル50〜99.9重量%、
ii C3〜C5のα.β-不飽和モノ-もしくはジ-カルボン酸0.1〜1.5重量%及び
iii 上記i及びiiの単量体と共重合可能な共単量体0〜50重量%
(ただしi〜iiiの合計が100重量%とする)
を共重合成分として含有してなり、且つ、ゲル含量が40重量%以上であって、ガラス転移点が-40℃以下であるアクリル系共重合体であるのが好ましい。
上記(i)の単量体は、式CH2=CH-COOR1で表わされるアクリル酸エステルであり、そのR1はC2〜C12の直鎖もしくは分枝アルキル基を示し、且つ、その単独重合体のガラス転移点が-20℃以下のものであって、そのような基R1の例としでは、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、n-オクチル基、i-オクチル基、n-ノニル基、i-ノニル基、n-デシル基などを挙げることができる。これらの中、n-ブチル基、n-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、n-オクチル基、i-オクチル基、n-ノニル基、i-ノニル基、n-デシル基などのC4〜C10の連鎖もしくは分枝アルキル基がより好ましく、n-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、n-オクチル基、i-オクチル基、n-ノニル基、i-ノニル基などのC6〜C9の直鎖もしくは分枝アルキル基が特に好ましい。このようなアクリル酸エステルの具体例としては、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、i-ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、i-ノニルアクリレートなどを例示することができ、これらの中、n-ブチルアタリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、i-オクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート、i-ノニルアクリレート等の使用がより好ましく、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、i-オクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート、i-ノニルアクリレート等の使用が特に好ましい。
前記単量体(i)であるアクリル酸エステルの使用量は、(i)〜(iii)の合計100重量%中、例えば50〜999重量%、好ましくは60〜99重量%、特に好ましくは65〜98重量%である。単量体(i)を該下限値以上使用することにより優れた接着力、低温接着性ならびに優れたタックと優れた保持力の良好なバランスが達成され、また、該上限量以下使用することにより、得られる水性感圧接着剤組成物の機械安定性(勇断力を加えたときの分散液の安定性)が良く、また保持力にも優れており、従って、上記使用量範囲において上記単量体(i)の1種又は2種以上を適宜選択利用することにより、優れた接着力、低温接着性ならびに優れたタックと優れた保持力の良好なバランスが達成できる。
また前記単量体(ii)は、C3〜C5のα.β-不飽和モノ-もしくはジ-カルボン酸であり、その具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸などを挙げることができる。これらの中では、アクリル酸、メタクリル酸の利用がより好ましい。
前記単量体(ii)の使用量は、前記単量体(i)〜(iii)の合計100重量%中、例えば0.1〜1.5重量%、好ましくは0.2〜1重量%である。該単量体(ii)の使用量が該下限以上の場合には、得られる水性感圧接着剤組成物の機械安定性及び保持力が優秀であり、また、該上限量以下使用することによって低温接着性、タック及び耐水性を良好に保持できるので、該使用量範囲において適当に選択利用するのがよい。さらに、低温接着性、タック及び保持力のバランス、接着力の経時安定性なども考慮に入れて、必要ならば、予め実験的に好適使用量範囲を上記使用量範囲内で選択することができる。
更に、前記共単量体(iii)としては、例えば、CH2=CH-COOR2で表わされるアクリル酸エステルであって、R2はC1〜C4の直鎖もしくは分枝アルキル基を示し、且つ、その単独重合体のガラス転移点が-20℃を超えるアクリル酸エステルを挙げることができる。R2の例としては、メチル基、イソプロピル基、t-ブチル基等が例示できる。該アクリル酸エステルの具体例としては、メチルアクリレート、t-ブチルアクリレートなどを例示することができ、メチルアクリレートの使用が好ましい。
また、共単量体(iii)としては、例えば、式CH2=C(CH3)-COOR3で表わされ、ここでR3はC1〜C4の直鎖もしくは分枝アルキル基を示す如きメタクリル酸エステルを例示することができる。R3の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基等が挙げられる。該メタクリル酸エステル単量体の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-ブチルメタクリレートなどを例示することができ、メチルメタクリレートの使用が好ましい。
さらに、共単量体(iii)としては、例えば、式CH2=CHOCOR4で表わされる飽和脂肪酸ビニルエステルであって、R4はHもしくはC1〜C18好ましくはC1〜C12の直鎖もしくは分枝アルキル基を示し、該基R4の例としては、メチル基、エチル基、t-ブチル基、t-オクチル基、t-ノニル基、t-デシル基などである単量体を挙げることができる。このような飽和脂肪酸ビニルエステル単量体の具体例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどを例示することができ、酢酸ビニルの使用が好ましい。
更にまた、共単量体(iii)としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等(好ましくはスチレン)の芳香族ビニル単量体;及び、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等(好ましくはアクリロニトリル)のシアン化ビニル単量体;よりえらばれた共単量体も同様に利用できる。
これらの他、共単量体(iii)としては、例えば、ジメチルマレート、ジ-n-ブチルマレート、ジ-2-エチルヘキシルマレート、ジ-n-オクチルマレート、ジメチルフマレート、ジ-nーブチルフマレート、ジ-2-エチルヘキシルフマレート、ジ-n-オクチルフマレートなどの式R5OOC-CH=CH-COOR6(但し、R5及びR6は、それぞれ独立して、C1〜C10、好ましくはC1〜C8の直鎖もしくは分枝アルキル基を示す)で表わされるマレイン酸もしくはフマル酸エステル、その他種々の単量体を、本発明の卓越した効果が損われない範囲において、特に制限されることなく適宜使用することができる。
このような共単量体(iii)の使用量は、前記単量体(i)〜(iii)の合計100重量%中、0〜50重量%、好ましくは1〜45重量%、特に好ましくは1〜35重量%である。該共単量体(iii)の使用は、該共単量体の種類によっても変り得るので一義的には使用量はきめられないが、接着力とタックのバランス及びこれらと凝集力とのバランスなどを所望に応じて調節するのに役立つので、そのような目的に合致するように該範囲量で適宜に選択することができる。該共単量体(iii)の使用量が上記範囲量の上限以下であればタックが過小となることがなく、接着力、低温接着性及びタックの適切なバランスが維持され易いので、共単量体(iii)を使用する場合には、該範囲量で適当に選択利用するのがよい。
本発明に用いられるアクリル系共重合体としては、例えば、以上に詳しく述べた如き単量体(i)〜(ii)からなる単量体混合物を水性乳化共重合して得られるアクリル系共重合体であるのが好ましく、該アクリル系共重合体のガラス転移点は-40℃以下、好ましくは-50℃以下であり、また、該共重合体中のゲル含量は40重量%以上、好ましくは50〜80重量%、特に好ましくは55〜80重量%であることが必要である。
上記アクリル系樹脂のガラス転移点が上記温度を超えてはタックが不足しがちとなるとともに、例えば0℃以下などの低温での接着性、特にポリエチレンなどの非極性ポリマーへの接着力が不十分となる場合があり好ましくなく、又、ゲル含量が上記下限値未満では。凝集力が不足しがちになるので好ましくない。また、接着力の優秀さ及び感圧接着シートのシート基材(支持体)へのアンカリング性の優秀さの観点から80重量%以下のゲル含量の採用が特に好ましい。
なお、本発明において、アクリル系共重合体のガラス転移点は下記により測定決定された値である。
ガラス転移点:
厚さ約0.05mmのアルミニウム箔製の、内径約5mm、深さ約5mmの円筒型のセルに、アクリル系共重合体水性分散液の試料約10mgを秤取し、100℃で2時間乾燥したものを測定試料とする。セイコー電子工業(株)製SSC-5000型示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter)を用い、-150℃から昇温速度10℃/minで測定決定する。
又、本発明において、アクリル系共重合体中のゲル含量とは、該アクリル系共重合体中の酢酸エチル不溶解分の含量を、以下の方法により測定決定した値である。
ゲル含量:
(イ)試料フイルム作成
得られるアクリル系共重合体試料フイルムの厚さが約100μになるように、離型材上にアクリル系共重合体の水性分散液を塗布し、室温にて約1時間乾燥後、更に100℃にて2分間乾燥して試料フイルムを作成する。
(ロ)熱水抽出
上記(イ)の試料フイルムを約5cm×約15cmに切断し、予め重量を測定してある約1.5cmφのガラス棒に均一に巻き付けた後、秤量して試料フイルム重量(W1)を得る。このガラス棒に巻き付けた試料フイルムをソックスレー抽出用円筒紙中に入れ、ソックスレー抽出器を用いて4時間還流温度(約100℃)で熱水抽出を行なう。得られた熱水抽出液を加熱乾固することにより熱水抽出物重量(w1)を得る。
(ハ)酢酸エチル抽出
上記(ロ)と同様に、ガラス棒に巻き付けた試料フイルム(重量W2)を、ソックスレー抽出器を用いて4時間還流温度(約77℃)で酢酸エチル抽出を行なう。
得られた酢酸エチル抽出液を加熱乾固することにより酢酸エチル抽出物重量(w2)を得る。
(ニ)ゲル含量の計算
ゲル含量は、次の式に従って計算される。

なお、水性感圧接着剤組成物が、アクリル系共重合体及び界面活性剤のほかに、例えば、顔料、無機充▲填▼剤、粘着付与性樹脂等の添加物を含んでいる場合には、例えば、該感圧接着剤を適宜イオン交換水等で希釈して低粘度化(例えば約50cps以下)した後、遠心分離を行なってこれら添加物を分離することにより、前記のガラス転移点及びゲル含量の測定に用いるアクリル系共重合体の水性分散液を分離採取することが可能である。このような分離が可能な理由は、本発明に用いるアクリル系樹脂の比重が極めて1に近く、通常感圧接着剤に用いられる他の添加物に比較してかなり軽いためである。
本発明に用いられるアクリル系共重合体の好適な製造方法としては、例えば、前記(i)〜(iii)の単量体混合物を、例えば、水溶性保護コロイドの存在下、適当な界面活性剤を重合用乳化剤として用いて、水性媒体中で乳化共重合する態様を挙げることができる。
本発明において、使用し得る上記の界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤類として、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等の如きポリオキシエチレンアルキルエーテル類:例えば、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等の如きポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル類;例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート等の如きソルビタン高級脂肪酸エステル類;例えば、ポリオキシェチレンソルビタンモノラウレート等の如きポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類;例えば、ポリオキシェチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート等の如きポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類;例えば、オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド等の如きグリセリン高級脂肪酸エステル類;例えば、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマー;等を例示することができる。
また、アニオン系界面活性剤類としては、例えば、オレイン酸ソーダ等の如き高級脂肪酸塩類;例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ等の如きアルキルアリールスルホン酸塩類;例えば、ラウリル硫酸ソーダ等の如きアルキル硫酸エステル酸塩;例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ソーダ等の如きポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;例えば、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル硫酸ソーダ等の如きポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;モノオクチルスルホコハク酸ソーダ、ジオクチルスルホコハク酸ソーダ、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ソーダ等の如きアルキルスルホコハク酸エステル塩及びその誘導体類;等を例示することができる。
これらの界面活性剤を重合用乳化剤として用いる場合には、これらを適宜組合わせて使用するのがよく、その使用量としては一般に前記アクリル系共重合体100重量部に対して0.2〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部、特に好ましくは0.5〜4重量部程度を例示できる。また、これらの界面活性剤は、重合用乳化剤として用いるほか、得られる水性感圧接着剤組成物の機械安定性の向上や離型材(シリコーン樹脂等で離型処理した紙またはプラスチックフイルム)への塗工性の改良等を目的として、前記水性乳化共重合後にしばしば後添加される。例えば、転写法、即ち、該感圧接着剤を離型材上に塗布して乾燥させ感圧接着剤層を形成させた後、該感圧接着剤層上に該基材を重ね加圧し、該基材上に該感圧接着剤層を転写する方法が採用される場合には、前記アニオン系界面活性剤中に例示したスルホコハク酸エステル塩系アニオン系界面活性剤がしばしば用いられる。これは離型剤上への塗工時にハジキが生じ易いため、このハジキを防止する目的で使用されるものである。その使用量は前記アクリル系共重合体及び後記するエチレン・酢ビ・アクリル系共重合体の合計100重量部に対して3.5重量部以下であるのが好ましい。該使用量が3.5重量部以下の範囲であれば、凝集力、耐水接着性等も低下することなく、良好な水準を保たせることができる。該使用量は、上記の感圧接着剤としての物性とハジキ防止性との観点から0.1〜1.5重量部の範囲で用いるのが特に好ましい。
上記のスルホコハク酸エステル塩系アニオン系界面活性剤の使用方法としては、一般に、該界面活性剤を必要に応じて水、アルコール類等によって希釈し、アクリル系共重合体の水性分散液に後添加するのが普通であるが、該アクリル系共重合体の水性乳化共重合による製造に当って、該界面活性剤の一部又は前部を重合用乳化剤として併用することもできる。この場合、該スルホコハク酸エステル塩系アニオン系界面活性剤の、重合用乳化剤全量に占める割合は、アクリル系共重合体の製造のしやすさ及び得られる感圧接着剤組成物の諸物性の優秀さの観点より0〜40重量%の範囲であるのが好ましい。なお、市販の界面活性剤の中には、水、アルコール類等の揮発性溶媒を含有しているものがあり、このような場合、本発明における界面活性剤の量は、熱風乾燥器中で約100℃、60分間乾燥させて該揮発性溶媒を除去したものについての量をいう。
本発明に好適に用いられるアクリル系共重合体水性分散液の好適な製造方法としては、例えば前記(i)〜(iii)の単量体混合物を、前記の如き界面活性剤を重合用乳化剤として用いて、例えばPVAなどの水溶性保護コロイドの存在下に、水性媒体中で乳化共重合するのが好ましい。
上記の水溶性保護コロイドとしては、例えば、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール(以下、PVAと略記することがある)類;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩等のセルロース誘導体;及びグアーガムなどの天然多糖類;などがあげられ、これらは、単独でも複数種併用の態様でも利用できる。これらの水溶性保護コロイドの中、乳化共重合のしやすさ、得られる感圧接着剤組成物の凝集力の優秀さなどの観点より、PVA類を用いるのが好ましく、部分ケン化PVA及び/又は変性PVAであって、平均重合度が500以下のものを用いるのが特に好ましい。
上記の水溶性保護コロイドの使用量としては、前記アクリル系樹脂成分100重量部当り0.1〜2重量部用いるのが好ましい。該使用量が0.1重量部以上であれば優れた凝集力の感圧接着剤組成物が得られ、2重量部以下であれば、乳化共重合の過程で異常増粘や反応系の凝固等のトラブルを引き起こすようなこともないので、0.1〜2重量部の範囲で用いるのがよい。
更に、乳化共重合に際しては、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの如き過硫酸塩類;t-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイドなどの如き有機過酸化物類、過酸化水素などの重合開始剤を使用することができる。これらも一種もしくは複数種併用のいずれの態様でも利用できる。
また、水性乳化共重合に際して、所望により、還元剤を使用することができる。その例としては、アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖、ホルムアルデヒドスルホキシラート金属塩等の還元性有機化合物;チオ硫酸ソーダ、亜硫酸ソーダ、重亜硫酸ソーダ、メタ重亜硫酸ソーダ等の還元性無機化合物を例示できる。
更にまた、水性乳化共重合に際して、所望により連鎖移動剤を使用することができ、斯る連鎖移動剤としては、例えば、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、n-ブチルメルカプタン、2-エチルヘキシルチオグリコレート、2-メルカプトエタノール、トリクロロブロモメタン等を挙げることができる。
本発明に用いるアクリル系共重合体の乳化共重合において好適に採用される共重合温度は、約40〜100℃、特には約60〜90℃である。
かくして得られたアクリル系共重合体水性分散液中の共重合体粒子のDLS法による平均粒子径は、一般に0.05〜2μ、好ましくは0.05〜1μである。
なお、本発明でいうDLS法とは、“新実験化学講座基礎技術3光(II)”第725〜741頁(日本化学会編)(昭和59年度版)に記載された原理によるものであり、水性分散液中のアクリル系共重合体の平均粒子径は下記により測定決定された値である。
平均粒子径:
アクリル系共重合体の水性分散液を蒸留水で5万〜15万倍に希釈し、十分に撹拌混合した後、21mmφガラスセル中にパスツールピペットを用いて約10mlr採取し、これを動的光散乱光度計DLS-700 〔大塚電子(株)製〕の所定の位置にセットし、以下の測定条件下で測定する。
測定条件
測定温度 25±1℃
クロックレート(CIock Rate) 10μsec
コレレーションチャンネル(Core.Channel) 512
積算測定回数 200回
光散乱角 90°
上記の測定結果をコンピュータ処理して平均粒子径を求める。
前記のようにして得ることのできるアクリル系共重合体の水性分散液は、必要に応じてアンモニア水等によってpH調節できる。このような分散液は、固形分濃度30〜70重量%、好ましくは45〜65重量%、B型回転粘度計の20℃、20RPMにおける粘度が50〜3000cps.、pH2〜8程度であるのがよい。
本発明のアクリル系水性感圧接着剤組成物は、前述したようなアクリル系共重合体(A)及び該共重合体100重量部当り、エチレン酢ビ・アクリル系共重合体(B)、すなわち、下記(イ)〜(ハ)
(イ)エチレン5〜40重量%
(ロ)酢酸ビニル5〜60重量%及び
(ハ)CH2=CR′-COOR”〔但し、R′はH又はCH3、R″はC4〜C18の直鎖もしくは分枝アルキル基を示す〕で表わされるアクリル酸又はメタクリル酸エステル15〜70重量%(ただし(イ)〜(ハ)の合計が100重量%とする)
を共重合成分として含有してなり、ガラス転移点が-30℃以下であるエチレン・酢ビ・アクリル系共重合体5〜20重量部を有効成分として含有してなるものである。
上記の単量体(イ)エチレンの共重合量は、単量体(イ)〜(ハ)の合計100重量%に対して5〜40重量%であることが必要であり、好ましくは10〜38重量%、特に好ましくは15〜35重量%である。エチレンの共重合量が該下限値未満と少な過ぎては、得られる感圧接着剤組成物の非極性ポリマーに対する接着力が不足するので好ましくなく、一方、該上限値を超えて多過ぎては、上記エチレン・酢ビ・アクリル系共重合体の製造がむずかしくなるとともに、得られる感圧接着剤組成物のタックも低下するので好ましくない。
また、前記単量体(ロ)の酢酸ビニルの共重合量は単量体(イ)〜(ハ)の合計100重量%に対して5〜60重量%であることが必要であり、好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは15〜45重量%である。酢酸ビニルの共重合量が該下限値未満と少な過ぎては、得られる感圧接着剤組成物の接着力及び凝集力が低下するので好ましくなく、該上限値を超えて多過ぎては、得られる感圧接着剤組成物の低温接着性及び耐水性が不足するので好ましくない。
さらに、前記単量体(ハ)のアクリル酸もしくはメタクリル酸エステルは、一般式CH2=CR′-COOR″で表わされ、そのR′は水素もしくはCH3を示し、R″はC4〜C18、好ましくはC4〜C12の直鎖もしくは分枝アルキル基を示すものであって、例えば、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、i-オクチル基、n-ノニル基、i-ノニル基、n-デシル基、n-ドデシル基などを挙げることができる。このようなアクリル酸もしくはメタクリル酸エステルの具体例としては、例えば、n-ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、i-オクチルアタリレート、n-ノニルアクリレート、i-ノニルアクリレート等のアクリル酸エステル;例えばn-オクチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-ノニルメタクリレート、i-ノニルメタクリレート、n-デシルメタクリレート、n-ドデシルメタクリレート等のメタクリル酸エステルを挙げることができる。上記単量体の1種又は2種以上を適宜選択利用する。これらの中、R″がC4〜C12のアクリル酸エステルの使用が好ましく、n-オクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、i-オクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート及びi-ノニルアクリレートの使用が特に好ましい。
前記単量体(ハ)の共重合量は、単量体(イ)〜(ハ)の合計100重量%に対して15〜70重量%であることが必要であり、20〜70重量%であるのが好ましく、25〜65重量%が特に好ましい。単量体(ハ)の共重合量が該下限値未満と少な過ぎては、配合するアクリル系共重合体との相溶性が不足し、また、得られる感圧接着剤組成物の非極性ポリマーに対する接着力や曲面接着性が不足しがちになり好ましくなく、一方、該上限値を超えて多過ぎると、得られる感圧接着剤組成物の凝集力が低下するので好ましくない。
前記(B)成分のエチレン・酢ビ・アクリル系共重合体は、前記(イ)〜(ハ)の単量体の他に、該(イ)〜(ハ)の合計100重量部に対して合計10重量部以下の他の共重合可能な共単量体を共重合することができる。
このような共単量体としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート等のC1〜C3のアクリル酸もしくはメタクリル酸エステル;例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル;例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のC3〜C5のα,β-モノ-またはジ-不飽和カルボン酸;例えば、ジブチルマレート等のジ-またはポリ-不飽和カルボン酸のモノエステル;例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-プトキシメチルアクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド類;例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有アルコールのアクリル酸もしくはメタクリル酸エステル;例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート等の水酸基含有アルコールのアクリル酸もしくはメタクリル酸エステル;等を例示することができる。
前記(B)成分のエチレン・酢ビ・アクリル系共重合体のガラス転移点は-30℃以下である必要があり、-35℃以下であるのが好ましく、-40℃以下であるのが特に好ましい。ガラス転移点が該温度を超えていては、低温接着性及び曲面接着性が低下するので好ましくない。
本発明のアクリル系水性感圧接着剤組成物における(B)成分のエチレン・酢ビ・アクリル系共重合体の配合量は、(A)成分のアクリル系共重合体100重量部当り5〜20重量部である。(B)成分の配合量が5重量部未満と少な過ぎては、低温接着性が不十分となり、一方、20重量部を超えて多すぎては、接着力経時安定性、耐熱湿劣化性、凝集力及び耐水性が低下するので好ましくない。
本発明における前記(B)成分のエチレン・酢ビ・アクリル系共重合体の好適な製造方法としては、前記(イ)〜(ハ)の単量体及び必要に応じて用いる共単量体からなる単量体混合物を適宜加圧下、前記アクリル系共重合体の製造におい用いられると同様の乳化剤、保護コロイド等の存在下、ラジカル重合開始剤、pH調節剤及び重合度調節剤等の存在下で乳化共重合することによって得ることができる。
得られるエチレン・酢ビ・アクリル系共重合体の水性分散液は、固形分濃度が30〜70重量%、好ましくは45〜65重量%で、粘度は50〜3000cps.(回転粘度計、25℃、20rpm.)、pH2〜8であるのがよい。
本発明のアクリル系水性感圧接着剤組成物は、前記(A)のアクリル系共重合体及び前記(B)のエチレン・酢ビ・アクリル系共重合体を含有してなるものであるが、好ましくは該(A)及び該(B)をそれぞれ水性分散液の形で混合したものがよい。
本発明のアクリル系水性感圧接着剤組成物を用いて、感圧接着層を形成させる方法としては、紙またはプラスチックフイルム等の基材の上に該感圧接着剤組成物を直接塗布して乾燥させる直接法が採用できる。更に転写法、すなわち、シリコーン等で離型処理した紙又はプラスチックフイルム等の離型材上に、該感圧接着剤組成物を塗布して乾燥させ感圧接着剤層を形成させた後、該感圧接着剤層上に該基材を重ね加圧し、該基材上に該感圧接着剤層を転写する方法も利用できる。このような転写法では、離型材上への塗工時にハジキが生じ易いため、このハジキを防止する目的でのスルホコハク酸エステル系アニオン系界面活性剤を使用することができる。該スルホコハク酸エステル系アニオン系界面活性剤としては、モノオクチルスルホコハク酸ソーダ、ジオキチルスルホコハク酸ソーダ、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ソーダ等の如きアルキルスルホコハク酸エステル塩及びその誘導体類等を例示でき、その使用量は前記(A)アクリル系共重合体及び前記(B)エチレン・酢ビ・アクリル系共重合体の合計100重量部に対して3.5重量部以下である。該使用量が3.5重量部を超えると凝集力、耐水接着力等が低下する傾向にあり好ましくない。該使用量は、上記の感圧接着剤としての物性とハジキ防止性との観点から、0.1〜1.5重量部の範囲で用いるのが好ましい。
上記のスルホコハク酸エステル系アニオン系界面活性剤の使用方法としては、一般に、該界面活性剤を必要に応じて水、アルコール類等によって希釈し、アクリル系水性感圧接着剤組成物に後添加により含有させるのが普通であるが、該アクリル系共重合体(A)の水性乳化共重合による製造に当って、該界面活性剤の一部または全部を重合用乳化剤として併用することもできる。この場合、該スルホコハク酸エステル系アニオン系界面活性剤の、重合用乳化剤全量に占める割合いは、アクリル系共重合体の製造のしやすさ及び得られる感圧接着剤組成物の諸物質の優秀さの観点より、0〜40重量%の範囲であるのが好ましい。
前記の転写法では、通常、各種の増粘剤を用いて本発明の組成物を増粘して用いる。このような増粘剤としては、ポリアクリル酸ソーダ、前記PVA類、前記セルロース誘導体、アルカリ性で増粘する水性分散型ポリ(メタ)アクリル酸系共重合体増粘剤等を例示することができる。これらの増粘剤の使用量は、所望の粘度に応じて適宜きめることができ、前記アクリル系共重合体100重量部に対して固形分として0〜10重量部、好ましくは0〜5重量部の範囲である。
また、本発明の感圧接着剤組成物は必要に応じ可塑剤、粘着付与剤、pH調整剤、湿潤剤及び防カビ剤等を添加して使用することができる。更に、本発明の感圧接着剤組成物は、所望の性能を損わない限り、従来から用いられている合成ゴムラテックス、天然ゴムラテックスあるいはその他合成樹脂エマルジョンを添加して使用することができる。
本発明のアクリル系水性感圧接着剤組成物は、一般に、固形分濃度30〜70重量%、粘度100〜15000cps.(回転粘度計、25℃、20rpm.)、pH3〜8程度がよく、また、転写法に用いる場合には、固形分濃度30〜70重量%、粘度3000〜15000cps.(回転粘度計、25℃、20rpm.)、pH4〜8.5が好適である。
本発明のアクリル系水性感圧接着剤組成物を用い、プラスチックフイルム、紙、金属箔などを基材として、前記の直接法又は転写法によって作成した粘着性のテープ、ラベル、ステッカー、壁紙等は、プラスチック、金属、ガラス、陶器、紙、布、建材、果物等を被接着体とする広い範囲の用途において、バランスのとれた優れた性能を発揮する。
本発明のアクリル系水性感圧接着剤組成物は、特にポリオレフィンのような非極性ポリマーの成形品に対する優れた接着性を有する。本発明のアクリル系水性感圧接着剤組成物は、ポリオレフィンのような非極性ポリマーを被接着体とする用途において、殊に曲面接着性、低温接着性、凝集力、接着力の経時安定性、耐熱湿劣化性、低温タック性及び耐水性に優れている。
本発明のアクリル系水性感圧接着剤組成物は、曲面接着性に優れているので、例えば直径10mm程度のポリオレフィンの管状成形品上へのラベル、テープ等接着体の感圧接着を極めて容易にし、低温接着性に優れているので、-10℃以下の大型冷凍庫内や摂氏0℃以下のような寒冷地においても非極性ポリマー成形品への感圧接着が極めて容易である。本発明のアクリル系水性感圧接着剤組成物は、更に凝集力が優れているので、セロテープ等のように粘着テープを巻いて長期間保存した場合に、接着剤がハミ出して来る等の欠点も無い。また、本発明の感圧接着剤組成物は、耐熱湿劣化性も優れているので、アート紙等を基材とした感圧接着テープは、高湿及び/又は高温下で長期間保存しても、接着強度とタックの低下が生じないという長所も有する。更に本発明の感圧接着剤組成物は、低温タック性に優れているので、寒冷地におけるラベラーによるラベルの接着が極めて容易である。また、本発明の感圧接着剤組成物は、耐水性が良好であるので、冷凍庫より取り出して表面に結露した被接着体表面に対しても優れた接着性を示し、また接着後水が掛っても接着性の低下を生じることがない。
本発明のアクリル系水性感圧接着剤組成物は、殊に非極性ポリマー成形品を被接着体とする用途において、曲面接着性及び低温接着性に優れている。
〔実施例〕
以下、比較例、参考例と共に実施例を挙げて本発明について更に詳しく説明する。
なお、試験片の作成、並びに常態接着力、タック、凝集力、低温接着性、曲面接着性、耐水接着性、接着力経時安定性及び耐熱湿劣化性の諸試験は、以下の方法に従った。
(1)試験片の作成
離型材上に乾燥後の感圧接着剤層が25±3g/cm2になるように水性感圧接着剤組成物のサンプルを塗布し、100℃、90秒間熱風循環式乾燥器にて乾燥後、64g/m2のキャストコート紙に転写して感圧接着シートを作成する。
(2)常態接着力試験
JIS R-6253に規定する#280の耐水研磨紙でみがいたSUS 304のステンレス鋼板およびポリエチレン板(JIS K -6768に規定する方法でγ0=43dyn/cm)に(1)で作成した試験片をJIS Z -238の方法に従って圧着し、24時間後、20℃、65%RH、剥離速度300mm/minの条件下でその剥離強度(g/25mm)を測定する。
(3)タック試験
.J.DOW法に準じ、傾斜角30°の斜面に長さ100mmの試験片を貼りつけ、斜面上方100mmの位置より値径x/32インチの大きさのスチールボールをころがし、試料上で停止する最大径のボールの大きさxで表示する。
(4)凝集力試験
JIS R -6253に規定する#280の耐水研磨紙でみがいたSUS 304のステンレス鋼板に、試験片の貼着面積が25×25mm2になる様に貼りつけ、2Kgローラーを1往復して圧着した。
これを40℃×30%RHの雰囲気下で1Kgの静荷重を試料にかけ荷重が落下するまでの時間を測定する。
(5)低温接着性試験
(1)で作成した試験片及び(2)で用いたと同様のポリエチレン板を0℃又は-10℃の恒温室に24時間以上放置後、それぞれ0℃又は-10℃でJIS Z -238の方法に従って圧着し、さらに0℃又は-10℃で20時間放置後、それぞれ0℃又は-10℃、剥離速度300mm/minの条件下で剥離強度(g/25mm)を測定し、次のように評価する。
○;接着力50g以上
△;接着力50g以上だが不連続剥離する。
×;接着力50g以下
(6)曲面接着性試験
10mm×20mmの試験片を、φ10mmのポリエチレン製の棒〔(2)で用いたポリエチレン板と同様の材質のもの〕に貼付け、20℃、65%RHの条件下24時間放置した後の、試験片の棒からの浮きの様子を観察する。
○;浮きなし
△;少し浮きあり
×;完全に浮きあがり、
(7)耐水接着性試験
前(2)と同じポリエチレン板に、試験片の貼着面積が25×25mm2になる様にJIS Z -238の方法に従って圧着し、25℃の水に浸漬して試験片が剥がれて浮き上がるまでの時間を測定する。
(8)接着力経時安定性試験
20℃、65%RHで14日間放置後、上記(2)に従ってステンレス鋼板に対する接着力を測定し、放置前の接着力を100%として、その保持率を計算する。
(9)耐熱湿劣化性試験
65℃、80%RHの雰囲気下に5日間放置後、(8)と同様にして接着力の保持率を計算する。
参考例1
温度計、撹拌機、窒素導入管および還流冷却器を備えた反応器内にイオン交換水70重量部を仕込み、内温を80℃に昇温させる。一方、別の容器にイオン交換水30重量部並びにポリオキシエチレンアルキルフエノールエーテル型ノニオン系界面活性材(HLB約11)を1.6重量部、ポリオキシエチレンアルキルフエノールエーテル硫酸エステルソーダ塩型アニオン系界面活性材水溶液(不揮発分27重量%)を1.5重量部及び部分ケン化PVA(重合度300)を0.2重量部を仕込んで撹拌して溶解し、次いでこれに2-エチルヘキシルアクリレート(以下、2EHAと略称することがある)88重量部、酢酸ビニル(以下、VAcと略称することがある)11.5重量部及びアクリル酸(以下、AAと略称することがある)0.5重量部よりなる単量体混合物を加えて撹拌し、単量体プレミックスを得る。反応器の内容物を窒素気流下に撹拌しながら加熱し、内容物温度が80℃に達した時点で、重合開始剤及び還元剤として過硫酸アンモニウム及びメタ重亜硫酸ソーダ各々0.05重量部添加した後、上記単量体プレミックスおよび重合開始剤を逐次添加して重合を開始させ、約3時間重合反応を行なう。重合反応終了後、同温度で約1時間撹拌を継続してから冷却し、アンモニア水0.3重量部を添加してpH調整してアクリル系共重合体の水性分散液を得た。この分散液は、固形分50.2重量%、pH5.6、粘度120cps.(25℃、20rpm.)であった。
参考例2〜4
参考例1において、VAc11.5重量部の代りにメチルアクリレート(以下、MAと略称することがある)15重量部、メチルメタクリレート(以下、MMAと略称することがある)8.5重量部、又はMMA35.5重量部を用い、AAの代りにメタクリル酸(以下、MAAと略称することがある)を用い、さらに、2EHAの使用量を変えてアクリル系共重合体の水性分散液を作成する以外は参考例1と同様にしてアクリル系共重合体の水性分散液を得た。
単量体の組成並びに分散液及び共重合体の各種物性値を第1表に示す。
参考例5
参考例1において、2EHA88重量部/VAc11.5重量部の代りに、2EHA45重量部/ブチルアクリレート(以下、BAと略称することがある)51.5重量部VAc3重量部を用いる以外は参考例1と同様にしてアクリル系共重合体の水性分散液を得た。単量体の組成並びに分散液及び共重合体の各種物性値を第1表に示す。
参考例6
参考例1において、部分ケン化PVAを使用せず、且つ、単量体プレミックス中にドデシルメルカプタン0.2重量部添加してアクリル系共重合体の水性分散液を作成する以外は参考例1と同様にしてアクリル系共重合体の水性分散液を得た。単量体組成並びに分散液及び共重合体の各種物性値を第1表に示す。

参考例A
撹拌機を備えた耐圧オートクレーブに、室温でイオン交換水73重量部、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル型ノニオン系界面活性剤4.5重量部、ヒドロキシエチルセルロース1.2重量部、酢酸0.06重量部、酢酸ナトリウム0.3重量部、ホルムアルデヒド・スルホキシレートソーダ塩0.6重量部からなる水溶液を入れ、撹拌下で窒素およびエチレン置換を行なった。
次に、系内温度を50℃に加熱し、VAc20重量部、2EHA60重量部からなる単量体混合物、および5重量%の過硫酸アンモニウム水溶液32重量部を同時に4時間にわたって均一に滴下した。この間反応温度を50℃に調節し、重合中常時エチレン圧を60Kg/cm2とした。その後、さらに50℃で1時間熟成を行なった。得られたエチレン・酢ビ・アクリル系共重合体水性分散液は固形分濃度50.1%、pH5.7、粘度100cps.(25℃、20rpm)であり、その単量体組成はエチレン20重量%、VAc20重量%、2EHA60重量%であり、この共重合体のTgは-60℃であった。
参考例B〜C
参考例Aにおいて、VAcおよび2EHAの量を変え、及び/又は、エチレン圧を変える以外はほぼ同様にして重合を行ない、エチレン・酢ビ・アクリル系共重合体水性分散液を得た。これらの分散液の単量体組成並びに分散液の物性及び共重合体のTgを第2表に示す。
参考例D
参考例Aにおいて、2EHAの代りにエチルアクリレート(EA)を用い、VAcの量及びエチレン圧を変える以外はほぼ同様にして重合を行ない、エチレン・酢ビ・アクリル系共重合体水性分散液を得た。この分散液の単量体組成並びに分散液の物性及び共重合体のTgを第2表に示す。

実施例1
参考例1の分散液204重量部(アクリル系共重合体約100重量部)に、参考例Aの分散液8.5重量部(エチレン・酢ビ・アクリル系共重合体約4重量部)、固形分濃度40重量%のジオクチルスルホコハク酸ソーダ塩型アニオン系界面活性剤0.6重量部を添加し、次いでアルカリ増結剤およびアンモニア水を添加してpH7.0、約11000cps.(25℃、20rpm)の水性感圧接着剤組成物を得た。この組成物を用いて、前試験片の作成(1)の方法に従い試験片の感圧接着シートを作成し、以下、試験浅(2)〜(9)に従って感圧接着シートの物性測定を行なった。感圧接着剤組成物の配合組成、その物性及び感圧接着シートの諸物性を第3表に示す。
実施例2〜4及び比較例1〜2
実施例1において、参考例Aの分散液の代りに参考例Bの分散液を用い、且つ、その使用量を種々に変える以外は実施例1とほぼ同様にして感圧接着剤組成物を作成し、以下同様にして各種試験を行なった。組成物の配合組成、その物性及び感圧接着シートの諸物性を第3図に示す。
比較例3〜4
実施例1において、参考例Aの分散液の代りに参考例C又はDの分散液を用いる以外は同様にして感圧接着剤組成物を作成し、以下同様にして各種試験を行なった。組成物の配合、その物性及び感圧接着シートの諸物性を第3表に示す。
実施例5〜7及び比較例5〜6
実施例1において、参考例1の分散液の代りに参考例2〜6の分散液を、参考例Aの分散液の代りに参考例Bの分散液をそれぞれ用いる以外は同様にして感圧接着剤組成物を作成し、以下同様にして各種試験を行なった。組成物の配合、その物性及び感圧接着シートの諸物性を第3表に示す。

 
訂正の要旨 訂正の要旨
本件訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1における「ガラス転移点が-30℃以下であるエチレン・酢ビ・アクリル系共重合体」を、「ガラス転移点が-40℃以下であるエチレン・酢ビ・アクリル系共重合体」に訂正するものである。
異議決定日 2000-09-07 
出願番号 特願平1-32758
審決分類 P 1 651・ 113- YA (C09J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 川上 美秀  
特許庁審判長 花田 吉秋
特許庁審判官 後藤 圭次
佐藤 修
登録日 1998-09-11 
登録番号 特許第2824775号(P2824775)
権利者 日本カーバイド工業株式会社
発明の名称 アクリル系水性感圧接着剤組成物  
代理人 久保山 隆  
代理人 武井 英夫  
代理人 武井 英夫  
代理人 鳴井 義夫  
代理人 鳴井 義夫  
代理人 神野 直美  

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