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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A23L
審判 全部申し立て 2項進歩性  A23L
管理番号 1024852
異議申立番号 異議1998-74830  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1991-12-09 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-09-30 
確定日 1999-05-26 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2735927号「密封容器入り中性飲料」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2735927号の特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
本件特許第2735927号は、平成2年3月26日に特許出願され、平成10年1月9日に設定登録がなされたところ、異議申立人 荻上 豊規、日本流動食協会、及び秋田桂一よりそれぞれ異議の申立てがなされ、これらの異議申立てを受けて平成10年11月27日に取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年2月15日に訂正請求がなされたものである。
II.訂正の適否についての判断
特許権者は、平成11年2月15日付け訂正請求書により、明細書の訂正を請求しているので、先ずこの訂正が認められるか否かについて検討する。
1.訂正の内容
(a)特許請求の範囲の請求項1に記載の「乳成分を含有する密封容器入り中性飲料において、………」を「乳成分及び乳化剤を含有する、加熱加圧殺菌された密封容器入り中性飲料において、………」に訂正する。
(b)明細書(以下、特許公報の対応箇所を示す。)2頁3欄1〜2行に記載の「………、上記問題は未解決のままであった。」を「………、上記問題は未解決のままであった。」に訂正する。
(c)特許公報2頁3欄9〜10行に記載の「上記目的は、乳成分を含有する密封容器入り中性飲料において、………」を「上記目的は、乳成分及び乳化剤を含有する、加熱加圧殺菌された密封容器入り中性飲料において、………」に訂正する。
(d)特許公報2頁3欄21行〜26行に記載の「本発明の対象となる飲料としては、………等、乳成分及び脂肪の含有が前提条件である中性飲料が挙げられる。………密封したもののことである。」を「本発明の対象となる飲料としては、………等、乳成分、乳化剤及び脂肪の含有が前提条件である中性飲料が挙げられる。………密封したもののことであり、本発明の密封容器入り中性飲料は、密封後、オートクレーブ等により、加熱加圧殺菌されている。」に訂正する。
(e)特許公報2頁4欄2〜3行に記載の「………特に限定されるものでばなく、………」を「………特に限定されるものではなく、………」に訂正する。
(f)特許公報2頁4欄19行に記載の「………オートクレーブ等で加熱殺菌することにより、………」を「………オートクレーブ等で加熱加圧殺菌することにより、………」に訂正する。
(g)特許公報2頁4欄25〜31行に記載の「本発明の中鎖脂肪酸トリグリセライドを添加した密封容器入り中性飲料は、………密封容器入り中性飲料の製造が可能となった。」を「本発明の中鎖脂肪酸トリグリセライドを添加した加熱加圧殺菌された密封容器入り中性飲料は、………加熱加圧殺菌された密封容器入り中性飲料の製造が可能となった。」に訂正する。
(h)特許公報2頁4欄32行に記載の「また、本発明は、………」を「また、本発明は、………」に訂正する。
2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記(a)の訂正は、「密封容器入り中性飲料」の範囲を限定したものであるから、「特許請求の範囲の減縮」に該当する。
また、上記(c)、(d)、(f)及び(g)の訂正は、明細書の発明の詳細な説明の記載を訂正後の特許請求の範囲の記載と整合するようにしたものであるから、「明りょうでない記載の釈明」に該当する。
さらに、上記(b)、(e)及び(h)の訂正は、「誤記の訂正」に該当する。
そして、加熱加圧殺菌することについては、特許公報2頁4欄18行〜19行に「容器に充填、密封し、オートクレーブ等で加熱殺菌することにより、」及び2頁4欄46〜47行に「………充填、巻締を行い、オートクレーブで殺菌(121℃、25分)を行いサンプルとした。」と記載され、前記オートクレーブによる殺菌は加熱加圧による殺菌を意味することは明らかであることから、上記(a)〜(h)の訂正は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。
3.独立特許要件の判断
訂正明細書に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。「乳成分及び乳化剤を含有する、加熱加圧殺菌された密封容器入り中性飲料において、脂肪分として中鎖脂肪酸トリグリセライドを含有することを特徴とする密封容器入り中性飲料。」
(以下、本件発明という。)
(1)取消理由について
当審において通知した取消理由に引用した刊行物1(ヨーロッパ特許公開公報第351910号)には、乳成分と中鎖脂肪酸トリグリセライドとを含有する中性の乳化組成物を中性リキュールのベースとして使用して瓶詰めリキュールを製造することが記載されているが、本件発明を特定するための事項である「乳化剤を含有させること」及び「容器に密封した後に加熱加圧殺菌を施す」ことについては何も記載されていない。
したがって、本件発明は、刊行物1に記載された発明であるということはできない。
同じく取消理由に引用した刊行物2(米国特許第4112123号明細書)には、乳成分の1種であるホエー蛋白質と乳化剤と中鎖脂肪酸トリグリセライドを含有する、経口摂取用の栄養均衡のとれた食品組成物、前記組成物を水に溶解して飲料とすること、及び前記組成物を液状形態で使用するときは、殺菌されるか又は冷蔵条件下で保存されなければならない旨記載されているが、本件発明を特定するための事項である「飲料を容器に密封すること」及び「容器に密封した後に加熱加圧殺菌を施す」ことについては何も記載されていない。
上記事項についてさらに検討すると、飲料の製造において、飲料を容器に充填、密封することは当業者が当然に行うことであるから、「飲料を容器に密封する」ことは、刊行物2に記載されている事項から「記載されているに等しい事項」として導き出すことは可能であるが、「容器に密封した後に加熱加圧殺菌を施す」点については、刊行物2の頒布時において、容器入り飲料を殺菌するために加熱加圧殺菌法以外にも種々の殺菌方法が実施されていたことを考えると、刊行物2の「殺菌」という記載から特定の殺菌方法である「容器に密封した後に加熱加圧殺菌を施す」という事項を「記載されているに等しい事項」として導き出すことはできない。
したがって、本件発明は、刊行物2に記載された発明であるということはできない。
同じく取消理由に引用した刊行物3(「経口・経管濃厚流動食(液体)Lー2」と題する商品パンフレット、旭化成工業株式会社作製)には、カゼイン、脱脂粉乳、及び中鎖脂肪酸トリグリセライドを含有する缶入り経口・経管濃厚流動食(液体)が記載され、同じく刊行物4(「簡便性に優れたサンエットーL液体濃厚流動食」と題する商品パンフレット、昭和60年12月、株式会社三和化学研究所作成)には、カゼイン及び中鎖脂肪酸トリグリセライドを含有し、レトルト処理された袋入り液体濃厚流動食が記載され、同じく刊行物5(「ジャネフ濃厚流動食」と題する商品パンフレット、キューピー株式会社作成)には、乳蛋白質、卵黄レシチン、及び中鎖脂肪酸トリグリセライドを含有する缶入り濃厚流動食が記載され、同じく刊行物6(「アイソカル/ISOCAL」と題する商品パンフレット、平成2年1月、ブリストル・マイヤーズ株式会社発行)には、カゼイン及び中鎖脂肪酸トリグリセライドを含有するテトラパック入り液状栄養食が記載されている。
また、これら液体濃厚流動食及び液状栄養食を患者に経口投与することも刊行物3〜刊行物6に記載されている。
本件発明と上記刊行物3〜刊行物6の記載事項を対比、検討すると、刊行物3〜刊行物6にそれぞれ記載されている液体濃厚流動食及び液状栄養食は、これらを経口投与で患者に使用する場合には、「飲料」と実質的に区別できないことを考えると、両者は、乳成分及び中鎖脂肪酸トリグリセライドを含有する密封容器入り中性飲料の点で一致するものと認められる。
しかしながら、刊行物3及び刊行物6には、本件発明を特定するための事項である「乳化剤を含有させること」及び「容器に密封した後に加熱加圧殺菌を施す」ことについて何も記載されていないので、本件発明は、刊行物3又は刊行物6に記載された発明であるということはできない。
また、刊行物4には、「乳化剤を含有させる」ことについて、刊行物5には、「容器に密封した後に加熱加圧殺菌を施す」ことについて何も記載されていないので、本件発明は、刊行物4又は刊行物5に記載された発明であるということはできない。
以上のとおり、本件発明は、刊行物1〜刊行物6のいずれか1つに記載された発明であるとすることはできない。
(2)異議申立てについて
異議申立人 荻上 豊規、日本流動食協会、及び秋田 桂一の他の申立ての理由についても、後記の「異議申立てについての判断」の項に示すとおり、その主張を採用することはできない。
4.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2-4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
III.異議申立てについての判断
(1)異議申立人 荻上 豊規は、
▲1▼訂正前の本件請求項に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができない、
▲2▼訂正前の本件請求項に係る発明は、甲第1号証〜甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない、
旨主張している。
そして、上記主張事実を立証するために提出した証拠方法は、以下のとおりである。
甲第1号証 ヨーロッパ特許公開公報第351910号
(上記刊行物1と同じ)
甲第2号証 米国特許第4112123号明細書
(上記刊行物2と同じ)
甲第3号証 臨床栄養、第59巻、第6号、663〜668頁
(判断)
29条1項3号違反について>
上記II.の3.の(1)の「取消理由について」の項で述べたとおり、本件発明は、甲第1号証(刊行物1)及び甲第2号証(刊行物2)に記載された発明であるということはできない。
29条2項違反について>
甲第1号証には、上記II.の3.の(1)の「取消理由について」の項において刊行物1の記載事項として摘示したとおりのことが記載され、そこには中鎖脂肪酸トリグリセライドは、リキュールに、とりわけ冷蔵庫での保存の際、良好な安定性をもたらすことが記載されているが、甲第1号証には、本件発明を特定するための事項である「容器に密封した後に加熱加圧殺菌を施す」ことについては何も記載されていない。
加えて、本件発明は、乳蛋白等の乳成分、脂肪分、及び乳化剤を含む飲料を加熱加圧殺菌した際の問題点、具体的には、加熱加圧殺菌することにより、乳蛋白と脂肪分と乳化剤との間で保たれていた乳化安定性が損なわれ、脂肪分が不安定な状態になるという問題を、中鎖脂肪酸トリグリセライドを含有させることにより解決したものであるが、甲第1号証には、本件発明の上記技術的課題を解決するために中鎖脂肪酸トリグリセライドを使用することを教示する記載は何もない。
確かに、甲第1号証には、「中鎖脂肪酸トリグリセライドは、リキュールに、とりわけ冷蔵庫での保存の際、良好な安定性をもたらす」との記載があるが、かかる記載から加熱加圧殺菌したときの中鎖脂肪酸トリグリセライドの上記乳化安定作用を予測することは、当業者といえども困難なことである。
してみると、加熱加圧殺菌法が密封容器入り飲料の殺菌手段として周知の方法であるとしても、中鎖脂肪酸トリグリセライドの使用と加熱加圧殺菌とを組み合わせて乳成分を含有する密封容器入り中性飲料を製造することは、甲第1号証の記載に基づいて当業者が容易になし得ることではない。
甲第2号証には、上記II.の3.の(1)の「取消理由について」の項において刊行物2の記載事項として摘示したとおりのことが記載され、甲第3号証には、粉あめに中鎖脂肪酸トリグリセライドを使ってよく溶かし、コーヒーを添加したミルクコーヒーが記載されているが、そのいずれにも本件発明を特定するための事項である「容器に密封した後に加熱加圧殺菌を施す」ことについて記載されておらず、また本件発明の上記技術的課題を解決するために中鎖脂肪酸トリグリセライドを使用することを教示する記載もない。
本件発明は、甲第1号証において述べたと同様の理由により、甲第2号証及び甲第3号証の記載に基づいて当業者が容易になし得ることではない、
そして、本件発明は、乳成分を含有する容器入り中性飲料の製造において、加熱加圧殺菌する構成と中鎖脂肪酸トリグリセライドを含有させる構成とを組み合せることにより、加温販売時における高温状態において乳化破壊が起こることなく、また、低温状態においても脂肪が凝固することなく、乳化安定性に優れた密封容器入り中性飲料を製造することができる等特許明細書に記載されたとおりの効果を奏するものである。
以上のとおり、本件発明は、甲第1号証〜甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(2)異議申立人日本流動食協会は、
▲1▼訂正前の本件請求項に係る発明は、甲第1号証の1〜甲第5号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができない。
▲2▼訂正前の本件請求項に係る発明は、甲第1号証の1〜甲第9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない、
旨主張している。
そして、上記主張事実を立証するために提出した証拠方法は、以下のとおりである。
甲第1号証の1 「経口・経管濃厚流動食(液体)L-2」と題する商品パンフレット、昭和63年4月旭化成工業株式会社作成
(上記刊行物3と同じ)
甲第1号証の2 旭化成工業株式会社医薬事業部ヘルスケア商品部長下垣内秀二作成頒布証明書
甲第1号証の3 「JJPEN.Vol.10 No.21988」の表紙及び第165〜171頁(1988年メディカル・コア発行)
甲第2号証の1 「簡便性に優れたサンエットーL 液体濃厚流動食」と題する商品パンフレット、昭和60年12月、株式会社三和化学研究所作成
(上記刊行物4と同じ)
甲第2号証の2 株式会社三和化学研究所食品部長島田祐三作成頒布証明書
甲第2号証の3 「基礎と臨床(第21巻第6号)別刷」の表紙及び第441〜446頁(昭和62年4月20日株式会社裕文社発行)
甲第3号証の1 「ジャネフ濃厚流動食(リキッドダイエット)K-1」と題する商品パンフレット(昭和61年キューピー株式会社作成)
(上記刊行物5と同じ)
甲第3号証の2 キューピー株式会社家庭用加工食品部河野盛雄作成頒布証明書
甲第3号証の3 「臨床栄養別刷第68巻第1号」の表紙及び第77〜79頁(昭和61年1月医歯薬出版株式会社発行)
甲第4号証 「アイソカル/ISOCAL」と題する商品パンフレット(平成2年1月ブリストル・マイヤーズ株式会社発行)
(上記刊行物6と同じ)
甲第5号証 「PEN(月刊輸液・栄養ニューズ64)」(1989年3月1日株式会社ジェフ・コーポレーション発行)
甲第6号証 「栄養治療マニュアル」の表紙、第218〜224頁及び奥付(1987年2月25日株式会社メディカル・サイエンス・インターナショナル発行
甲第7号証 「臨床栄養第37巻第6号」の第756〜761頁(昭和45年11月医歯薬出版株式会社発行)
甲第8号証 EP第0351910A1号公報(1990年1月24日発行)
(上記刊行物1と同じ)
甲第9号証 「臨床栄養第38巻第3号」の第331〜335頁(昭和46年3月医歯薬出版株式会社発行)
(判断)
29条1項3号違反について>
上記II.の3の(1)の「取消理由について」の項で述べたとおり、本件発明は、甲第1号証の1(刊行物3)、甲第2号証の1(刊行物4)、甲第3号証の1(刊行物5)及び甲第4号証(刊行物6)に記載された発明であるということはできない。
なお、甲第1号証の2、甲第2号証の2、及び甲第3号証の2は、それぞれの商品パンフレットが本件特許の出願前に頒布されたことを立証するための証明書であり、また甲第1号証の3、甲第2号証の3、及び甲第3号証の3は、それぞれの商品パンフレットに記載の濃厚流動食の使用方法等を示すものであるが、これら書証は上記の新規性判断の結論に影響を与えるものではない。
また、甲第5号証には、甲第3号証の1に係る「ジャネフ濃厚流動食(リキッドダイエット)Kー1」及び甲第4号証に係る「アイソカル/ISOCAL」の商品広告が記載されているのみであり、本件発明は、甲第5号証に記載された発明であるということはできない。
29条2項違反について>
(i)甲第1号証の1、甲第2号証の1、甲第3号証の1及び甲第4号証には、上記II.の3.の(1)の「取消理由について」の項においてそれぞれ刊行物3〜刊行物6の記載事項として摘示したとおりのことが記載され、さらにこれら刊行物には、脂質分として配合する中鎖脂肪酸トリグリセライドは消化、吸収に優れている旨記載されている。
また、液体濃厚流動食の使用方法に関して、甲第2号証の1には、「振ってからご使用ください。」と記載されている。
さらに、甲第5号証には、甲第3号証の1に係る「ジャネフ濃厚流動食(リキッドダイエット)K-1」及び甲第4号証に係る「アイソカル/ISOCAL」の商品広告が、甲第6号証には、蛋白成分としてカゼイン、脂肪として中鎖脂肪酸トリグリセライドが配合されている飲料が、甲第7号証には、中鎖脂肪酸トリグリセライド添加チューブ栄養剤及び中鎖脂肪酸トリグリセライドを添加した場合には、粉末油脂が上に浮いてきてよく混和されないという問題が生じないことが、甲第8号証には、上記II.の3.の(1)の「取消理由について」の項において刊行物1の記載事項として摘示したとおりのことが、甲第9号証には、中鎖脂肪酸(Medium Chain Triglyceride以下、MCT)は主として炭素数8コおよび10コの脂肪酸からなるトリグリセリドであること及び水にMCTを入れて激しく振とうすると、よく乳化して乳白色を呈し、長時間安定であり、したがって、牛乳やジュースなどの飲料にもよく混ざり合うことが、それぞれ記載されている。
(i)先ず、本件発明と甲第1号証の1、甲第3号証の1及び甲第4号証に記載の発明を対比、検討する。
これら刊行物には、乳成分及び中鎖脂肪酸トリグリセライドを含有する密封容器入り液体濃厚流動食及び液状栄養食が記載されており、前記液体濃厚流動食及び液状栄養食は、先に述べたとおり、本件発明の「中性飲料」の範ちゅうに入るものと認められるが、これら刊行物には、本件発明を特定するための事項である「容器に密封した後に加熱加圧殺菌を施す」ことについては何も記載されていない。
また、これら刊行物に記載の発明においては、液体濃厚流動食及び液状栄養食に含まれる脂肪分の消化、吸収を良好にする目的で中鎖脂肪酸トリグリセライドが使用されるものである。
これら刊行物には、本件発明の上記技術的課題を解決するために中鎖脂肪酸トリグリセライドを使用することを教示する記載は何もない。
してみると、中鎖脂肪酸トリグリセライドの使用と加熱加圧殺菌とを組み合わせて乳成分を含有する密封容器入り中性飲料を製造することが、これら各甲号証の記載に基づいて当業者が容易になし得ることであるということはできない。
(ii)次に、本件発明と甲第2号証の1に記載の発明を対比、検討する。
上記刊行物には、乳成分及び中鎖脂肪酸トリグリセライドを含有し、加熱加圧殺菌された密封容器入り液体濃厚流動食が記載されいるが、本件発明を特定するための事項である「乳化剤を含有させる」ことについて何も記載されていない。
上記刊行物に「振ってからご使用ください。」と記載されていることからも明らかなように、上記刊行物に記載の発明においては、液体濃厚流動食を乳化状態にすることは意図されておらず、この点で本件発明とは解決すべき技術的課題を異にするということができる。
また、上記刊行物に記載の液体濃厚流動食は、栄養補給を目的として患者に使用されるものであり、液体濃厚流動食に含まれる脂肪分の消化、吸収を良好にするために中鎖脂肪酸トリグリセライドが使用されるものである。
これらの点を考えると、乳化剤および中鎖脂肪酸トリグリセライドの使用と加熱加圧殺菌とを組み合わせて乳成分を含有する密封容器入り中性飲料を製造することは、甲第2号証の1の記載に基づいて当業者が容易になし得ることではない。
(iii)最後に、本件発明と甲第5号証〜甲第9号証に記載の発明を対比、検討する。
これら刊行物は、乳成分と中鎖脂肪酸トリグリセライドを含有する密封容器入り中性飲料を教示するにとどまるものである。
そのいずれにも本件発明を特定するための事項である「容器に密封した後に加熱加圧殺菌を施す」ことについて記載されておらず、また本件発明の上記技術的課題を解決するために中鎖脂肪酸トリグリセライドを使用することを教示する記載もない。
したがって、先に述べたとおり、中鎖脂肪酸トリグリセライドの使用と加熱加圧殺菌とを組み合わせて乳成分を含有する密封容器入り中性飲料を製造することは、甲第5号証〜甲第9号証の記載に基づいて当業者が容易になし得ることではない。
(3)異議申立人 秋田 桂一は、
▲1▼訂正前の本件請求項に係る発明は、甲第1号証に示される通り、本件特許出願前に日本国内において公然実施された発明であるから、特許法第29条第1項第2号の規定に該当し、特許を受けることができない、
▲2▼訂正前の本件請求項に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、あるいは甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない、
旨主張している。
そして、上記主張事実を立証するために提出した証拠方法は、以下のとおりである。
甲第1号証 JJPEN 輸液・栄養ジヤーナルVol.9 No.6 1987877頁〜882頁
甲第2号証 「食料工業」株式会社恒星社厚生閣、1985年9月25日発行、221頁〜223頁
甲第3号証 小越章平編「流動食のすべて第3版」医歯薬出版株式会社、1996年3月20日発行、144頁
(判断)
29条1項2号違反について>
甲第1号証には、乳清蛋白、卵黄レシチン、及び中鎖脂肪酸トリグリセライドを含有する缶入りの半消化態流動食リキッドダイエット(QP-K2)、及び高知医科大学第二外科に消化器系手術のために入院してきた患者および炎症性腸疾患の患者に経口投与したことが記載されているが、前記缶入りの半消化態流動食を加熱加圧殺菌することについては何も記載されていない。
甲第1号証の頒布時に、栄養補給を目的として患者に適用される缶入り液体流動食を加熱加圧殺菌することが、ごく普通に行われていたとは認められない(異議申立人は、この点を立証する証拠資料を何ら提出していない。)ので、甲第1号証に記載の缶入りの半消化態流動食は、加熱加圧殺菌されたものではないと解するのが妥当である。
そうだとすると、本件特許の出願前に、高知医科大学において、上記缶入りの半消化態流動食を患者に経口投与することが公然実施されていたとしても、このことをもって、本件発明が本件特許の出願前に公然実施された発明であるということはできない。
29条2項違反について>
甲第1号証には、乳清蛋白、卵黄レシチン、及び中鎖脂肪酸トリグリセライドを含有する缶入りの半消化態流動食リキッドダイエット(QP-K2)が記載されているのみであり、また甲第2号証には、中鎖脂肪酸のトリグリセライドがMCTと呼ばれることが記載されているのみである。
したがって、甲第3号証に上記半消化態流動食リキッドダイエット(QP-K2)のpHが6.2であることが示されていることを考慮するも、本件発明は、甲第1号証、あるいは甲第1号証と甲第2号証に基づいて当業者が容易になし得たものということはできない。
IV.むすび
以上のとおりであるから、当審において通知した取消理由、及び上記特許異議申立人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件請求項1に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
密封容器入り中性飲料
(57)【特許請求の範囲】
乳成分及び乳化剤を含有する、加熱加圧殺菌された密封容器入り中性飲料において、脂肪分として中鎖脂肪酸トリグリセライドを含有することを特徴とする密封容器入り中性飲料。
【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
本発明は、缶や紙パック等の保存密封容器に充填され、加温販売のみならず冷蔵販売においても、風味を損わず、長期乳化安定性に優れた密封容器入り中性飲料に関するものである。
(従来の技術)
従来の密封容器入り中性飲料の多くは、ミルクコーヒーやミルクティーなどに代表されるように、乳成分を添加することにより苦味や渋味を抑え、こくのあるまろやかな風味にしている。そして、その効果は乳成分中の脂肪含有量に影響される。すなわち、脂肪含有量が多いほどまろやかでこくのある風味となる。しかし、従来の密封容器入り中性飲料においては、長期間乳化安定なものは脂肪含有量が1.5重量%以下のものに限定されていた。脂肪含有量が1.5重量%を超えると、乳化安定性が低下し、製品の液表面に脂肪が分離,凝集を起こし、商品としての価値が低下してしまう。
このような脂肪の分離,凝集を防ぐために、乳化剤を数種組合わせる、あるいは、均質化方法を変更する方法がある。しかしながら、これらの方法を用いても従来の密封容器入り中性飲料は、その脂肪分として、全脂粉乳,全脂練乳,生乳等の乳製品を添加しているため、冷蔵中には、製品液表面に脂肪が浮遊し、凝固し、食品としての価値を低下してしまうという問題があった。したがって、冷蔵中においても長期乳化安定な密封容器入り中性飲料の発見が望まれているが、上記問題は未解決のままであった。
(発明が解決しようとする課題)
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、風味が良好で、かつ冷蔵保存中においても乳化安定性に優れた密封容器入り中性飲料を提供するにある。
(課題を解決するための手段)
上記目的は、乳成分及び乳化剤を含有する、加熱加圧殺菌された密封容器入り中性飲料において、脂肪分として中鎖脂肪酸トリグリセライドを含有することを特徴とする密封容器入り中性飲料によって達成される。
すなわち、本発明者は脂肪中の脂肪酸の種類により、脂肪の融点が異なり、その融点が冷蔵中の乳化安定性と密接な関係にあることに着目し、鋭意研究を行なった。その結果、密封容器入り中性飲料中の脂肪分として、中鎖脂肪酸トリグリセライドを用いると、冷蔵中においても乳化安定な密封容器入り中性飲料が得られることを見出し本発明を完成した。
次に、本発明を詳しく説明する。
本発明の対象となる飲料としては、ミルクコーヒー,ココア,ミルクセーキ,ミルクティー,スープ等、乳成分,乳化剤及び脂肪の含有が前提条件である中性飲料が挙げられる。また、密封容器とは、缶,瓶,紙パック,ラミネートパック等の容器であって上記飲料を充填後、密封したもののことであり、本発明の密封容器入り中性飲料は、密封後、オートクレーブ等により、加熱加圧殺菌されている。本発明では、脂肪分として中鎖脂肪酸トリグリセライドを用いる。この中鎖脂肪酸トリグリセライドの脂肪酸鎖長は、炭素数6〜12が好ましく、脂肪酸として、例えば、ヘキサン酸,オクタン酸,デカン酸,ラウリン酸等が挙げられる。脂肪酸鎖長が炭素数13以上になると、高温保存中に熱履歴を受けやすくなり、脂肪の劣化臭が強くなる傾向がある。これらの脂肪酸は一種でも、組合わせて用いてもよい。また、中鎖脂肪酸トリグリセライドの融点は、-5℃以下であることが好ましい。
-5℃より高くなると冷蔵保存中に脂肪が製品液面を浮遊し、凝固しやすくなる。
本発明の密封容器入り中性飲料中の中鎖脂肪酸トリグリセライド含有量は、10重量%未満であることが好ましく、含有量がこれ以上になると、脂肪のべとつきが強くなり、風味的に好ましくない状態になってしまう傾向がある。
上記中鎖脂肪酸トリグリセライドと共に、通常使用されている乳成分、中鎖脂肪酸トリグリセライド以外の脂肪を併用させてもよい。このとき、乳成分中の脂肪もしくは中鎖脂肪酸トリグリセライド以外の脂肪の含有量は、保存安定性の点から3重量%未満とすることが望ましい。
本発明に用いられる乳成分としては、全脂粉乳,脱脂粉乳,練乳,牛乳等が挙げられ、これらは単独あるいは組み合わせてもよい。
また、本発明に用いられる乳化剤としては特に限定されるものではなく、蔗糖脂肪酸エステル,グリセリン脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられ、これらは単独でもあるいは組み合わせてもよい。
本発明に用いられる甘味料として、糖からは、蔗糖,ぶどう糖,果糖,異性化糖,水飴等、糖アルコールからは、マルチトール,ソルビトール,エリスリトール等、非糖類甘味料からはアスパルテーム,ステビオサイド,サッカリンナトリウム等が挙げられ、これらは単独でも、あるいは組み合わせてもよい。
本発明の密封容器入り中性飲料は、常法に従って製造すればよい。例えば、コーヒー飲料を例にとると、まず、焙煎したコーヒー豆を用いて抽出を行い、得られた抽出液のpHを調整する。これとは別に、中鎖脂肪酸トリグリセライド,乳成分,糖類等を混合する。この抽出液と乳糖液とを混合し60〜70℃に加温し、高圧ホモゲナイザ一等を用いて均質化を行う。そして、容器に充填,密封し、オートクレーブ等で加熱加圧殺菌することにより、密封容器入りコーヒー飲料が得られる。
また、製造工程中、均質化を行う際に、均質化圧力を250kg/cm2以上にすると、より長期乳化安定性に優れた密封容器入り中性飲料が得られ好適である。
(発明の効果)
本発明の中鎖脂肪酸トリグリセライドを添加した加熱加圧殺菌された密封容器入り中性飲料は、加温販売時における高温状態において乳化破壊が起こることなく、また、低温状態においても脂肪が凝固することはない。
すなわち、本発明により風味が良好で、かつ、低温あるいは高温での保存中の乳化安定性に優れた加熱加圧殺菌された密封容器入り中性飲料の製造が可能となった。
また、本発明は、高脂肪含有の密封容器入り中性飲料としても上記効果が得られ、こくのあるまろやかな飲料の製造が可能である。
次に、本発明を実施例を挙げて具体的に説明する。
(実施例1,2,3.比較例1,2)
焙煎したコーヒー豆をドリップ式抽出機を用い常法に従って抽出を行い、得た液(抽出液)を重曹でpH6.5に調整した。これとは別に第1表の抽出液以外の中鎖脂肪酸トリグリセライド,乳,糖類等を混合し、乳糖液とした。この抽出液と乳糖液を第1表の割合に従って混合し、所定量までフィルアップし調合液とした。
この調合液を60〜65℃に加温し、高圧ホモゲナイザーを用いて、150kg/cm2の圧力で均質化を行った。ただし、実施例2は、250kg/cm2で均質化を行った。そして、85℃に昇温し充填,巻締を行い、オートクレーブで殺菌(121℃,25分)を行いサンプルとした。得られたサンプルを、5℃と55℃において4週間保存した後に、静かに開缶しその液表面の状態を評価した。また、保存後の風味についても評価した。
その結果を第2表に示す。


結果は、第2表に示したように、比較例1のコーヒー飲料は、脂肪分に乳脂を用いたもので、風味的には特に問題はなかったが、5℃の保存後に凝固物があり、脂肪の固化したものであった。乳脂は融点が5℃よりも高いためこの温度による保存で固化したものと考えられる。比較例2のコーヒー飲料は、保存後の液表面の状態は良好であり特に問題はなかったが、55℃保存後の風味で脂肪の劣化臭が強く問題であった。コーン油は長鎖長の脂肪酸を含む脂肪であるが、長鎖長の脂肪は熱履歴に弱く酸化劣化したと考えられる。
これら比較例に比べ実施例の中鎖脂肪酸トリグリセライドを添加したコーヒー飲料は、低温,高温での保存後の液表面の状態も良好であり風味についても良好であった。また、実施例2のコーヒー飲料は、5℃で更に長期保存してもオイル分離,脂肪凝固を起こすことがなく、良好であった。
 
訂正の要旨 ▲1▼訂正事項a
特許請求の範囲の記載、
『2.特許請求の範囲
乳成分を含有する密封容器入り中性飲料において、脂肪分として中鎖脂肪酸トリグリセライドを含有することを特徴とする密封容器入り中性飲料。』
を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
『2.特許請求の範囲
乳成分及び乳化剤を含有する、加熱加圧殺菌された密封容器入り中性飲料において、脂肪分として中鎖脂肪酸トリグリセライドを含有することを特徴とする密封容器入り中性飲料。』
に訂正する。
▲2▼訂正事項b
平成9年10月3日付手続補正書に添付した全文訂正明細書第1頁第25〜27行目の記載、
『したがって、冷蔵中においても長期乳化安定な密封容器入り中性飲料の発見が望まれているが、上記問題は未解決のままであった。』
を、誤記の訂正を目的として、
『したがって、冷蔵中においても長期乳化安定な密封容器入り中性飲料の発見が望まれているが、上記問題は未解決のままであった。』
に訂正する。
▲3▼訂正事項c
平成9年10月3日付手続補正書に添付した全文訂正明細書第2頁第4〜6行目の記載、
『上記目的は、乳成分を含有する密封容器入り中性飲料において、脂肪分として中鎖脂肪酸トリグリセライドを含有することを特徴とする密封容器入り中性飲料によって達成される。』
を、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合性を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、
『上記目的は、乳成分及び乳化剤を含有する、加熱加圧殺菌された密封容器入り中性飲料において、脂肪分として中鎖脂肪酸トリグリセライドを含有することを特徴とする密封容器入り中性飲料によって達成される。』
に訂正する。
▲4▼訂正事項d
平成9年10月3日付手続補正書に添付した全文訂正明細書第2頁第15〜16行目の記載、
『本発明の対象となる飲料としては、ミルクコーヒー,ココア,ミルクセーキ,ミルクティー,スープ等、乳成分及び脂肪の含有が前提条件である中性飲料が挙げられる。また、密封容器とは、缶,瓶,紙パック,ラミネートパック等の容器であって上記飲料を充填後、密封したもののことである。』
を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
『本発明の対象となる飲料としては、ミルクコーヒー,ココア,ミルクセーキ,ミルクティー,スープ等、乳成分,乳化剤及び脂肪の含有が前提条件である中性飲料が挙げられる。また、密封容器とは、缶,瓶,紙パック,ラミネートパック等の容器であって上記飲料を充填後、密封したもののことであり、本発明の密封容器入り中性飲料は、密封後、オートクレーブ等により、加熱加圧殺菌されている。』
に訂正する。
▲5▼訂正事項e
平成9年10月3日付手続補正書に添付した全文訂正明細書第3頁第5〜7行目の記載、
『また、本発明に用いられる乳化剤としては特に限定されるものでぱなく、蔗糖脂肪酸エステル,グリセリン脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられ、これらは単独でもあるいは組み合わせてもよい。』
を、誤記の訂正を目的として、
『また、本発明に用いられる乳化剤としては特に限定されるものではなく、蔗糖脂肪酸エステル,グリセリン脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられ、これらは単独でもあるいは組み合わせてもよい。』
に訂正する。
▲6▼訂正事項f
平成9年10月3日付手続補正書に添付した全文訂正明細書第3頁第16〜18行目の記載、
『そして、容器に充填,密封し、オートクレーブ等で加熱殺菌することにより、密封容器入りコーヒー飲料が得られる。』
を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
『そして、容器に充填,密封し、オートクレーブ等で加熱加圧殺菌することにより、密封容器入りコーヒー飲料が得られる。』
に訂正する。
▲7▼訂正事項g
平成9年10月3日付手続補正書に添付した全文訂正明細書第3頁第23〜27行目の記載、
『本発明の中鎖脂肪酸トリグリセライドを添加した密封容器入り中性飲料は、加温販売時における高温状態において乳化破壊が起こることなく、また、低温状態においても脂肪が凝固することはない。
すなわち、本発明により風味が良好で、かつ、低温、あるいは高温での保存中の乳化安定性に優れた密封容器入り中性飲料の製造が可能となった。』
を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
『本発明の中鎖脂肪酸トリグリセライドを添加した加熱加圧殺菌された密封容器入り中性飲料は、加温販売時における高温状態において乳化破壊が起こることなく、また、低温状態においても脂肪が凝固することはない。
すなわち、本発明により風味が良好で、かつ、低温、あるいは高温での保存中の乳化安定性に優れた加熱加圧殺菌された密封容器入り中性飲料の製造が可能となった。』
に訂正する。
▲8▼訂正事項h
平成9年10月3日付手続補正書に添付した全文訂正明細書第3頁第28〜29行目の記載、
『また、木発明は、高脂肪含有の密封容器入り中性飲料としても上記効果が得られ、こくのあるまろやかな飲料製造が可能である。』
を、誤記の訂正を目的として、
『また、本発明は、高脂肪含有の密封容器入り中性飲料としても上記効果が得られ、こくのあるまろやかな飲料の製造が可能である。』
に訂正する。
異議決定日 1999-04-30 
出願番号 特願平2-77268
審決分類 P 1 651・ 113- YA (A23L)
P 1 651・ 121- YA (A23L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 深草 亜子  
特許庁審判長 田中 倫子
特許庁審判官 田中 久直
大高 とし子
登録日 1998-01-09 
登録番号 特許第2735927号(P2735927)
権利者 鐘紡株式会社
発明の名称 密封容器入り中性飲料  
代理人 有賀 三幸  
代理人 棚井 澄雄  
代理人 的場 ひろみ  
代理人 高野 登志雄  
代理人 犬飼 達彦  
代理人 中島 俊夫  

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