ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 判定 同一 属さない(申立て成立) G01D |
---|---|
管理番号 | 1024924 |
判定請求番号 | 判定請求1999-60067 |
総通号数 | 15 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許判定公報 |
発行日 | 1991-09-27 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 1999-09-27 |
確定日 | 2000-09-27 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第2619728号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | (イ)号図面及びその説明書に示す「記録紙用原紙」は、特許第2619728号発明の技術的範囲に属しない。 |
理由 |
1.請求の趣旨 本件判定の請求の趣旨は、イ号物件説明書に示す「記録紙用原紙」(以下、「イ号物件」という。)が、特許第2619728号(以下、「本件特許」という。)の請求項1及び請求項2に係る発明の技術的範囲に属しない、との判定を求めるものである。 2.本件特許発明 本件特許の請求項1及び請求項2に係る発明は、特許明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載されたとおりのものであり、その構成を符号を付して分説して記載すると次のとおりである。 「【請求項1】イ.下記(A)と(B)の重量比が1から3の範囲の組成物からなる、ロ.隠蔽層(5)が、ハ.1から20ミクロンの膜厚で、ニ.着色原紙(1a)、(1b)の表面に、ホ.形成された、ことを特徴とする、ヘ.記録紙。 (A)隠蔽姓を有する水性の中空孔ポリマー粒子 (B)成膜性を有する水性ポリマー 【請求項2】ト.タコグラフ用の請求項1の記録紙。」 3.イ号物件 請求人リンテック株式会社が提出した平成11年9月27日付判定請求書及びこれに添付されたイ号物件説明書に示されたイ号物件については、その特定が十分なされていないことから、当審において請求人に対し口頭審尋を行ったところ、請求人より平成12年3月23日付で回答書並びに手続補正書が提出された。 上記回答書並びに手続補正書の内容からみると、イ号物件は次のとおりのものであると認められる。 「a.上質紙に黒色塗料を塗布した着色原紙の表面に、b.1〜20ミクロンの膜厚で、c.隠蔽層を、d.被覆した、e.記録紙用原紙、であり、f.該隠蔽層は、 『隠蔽性を有する水性の中空孔ポリマー粒子として スチレン/アクリル酸/アクリル酸エステル共重合体 76.9重量% 分散剤としてスチレン/アクリル酸共重合体 2.2重量% 成膜性を有する水性のポリマーとして スチレン/ブタジエン共重合体 16.5重量% 塗工性改良剤としてカゼイン 3.3重量% その他の添加剤として 1.1重量%』 の組成を含む組成物である。」 4.対比・判断 (請求項1について) イ号物件の構成要件a.は本件特許の請求項1に係る発明の構成要件ニ.に、同じくb.はハ.に、c.はロ.に、d.はホ.に、e.はヘ.に、f.はイ.に、それぞれ対応するものであることから、イ号物件の上記各構成要件が本件特許の請求項1に係る発明の上記各構成要件をそれぞれ充足するか否かについて以下に検討する。 a.について:構成要件ニ.における「着色原紙(1a)」は、本件特許明細書の記載によれば、「上質紙2に黒色塗料3を塗布してなる黒色原紙」(本件特許公告公報第3頁第5欄第32行〜第33行参照)であることから、構成要件a.は構成要件ニ.を充足する。 b.について:膜厚の範囲が同じであるから、構成要件b.は構成要件ハ.を充足する。 c.について:「隠蔽層」が同じであるから、構成要件c.は構成要件ロ.を充足する。 d.について:「被覆」と「形成」はこの場合同義であるから、構成要件d.は構成要件ホ.を充足する。 e.について:「記録用原紙」とは「記録用」という用途を定めた原紙であり、実質的には「記録紙」であることから、構成要件e.は構成要件ヘ.を充足する。 f.について:構成要件f.における「隠蔽性を有する水性の中空孔ポリマー粒子としてスチレン/アクリル酸/アクリル酸エステル共重合体」は、構成要件イ.における「(A)隠蔽姓を有する水性の中空孔ポリマー粒子」に相当するものであり、同じく構成要件f.における「成膜性を有する水性のポリマーとしてスチレン/ブタジエン共重合体」は、構成要件イ.における「(B)成膜性を有する水性ポリマー」に相当するものである。そこで、構成要件f.における「隠蔽性を有する水性の中空孔ポリマー粒子」と「成膜性を有する水性のポリマー」の重量比をそれぞれの重量%から計算すると76.9/16.5≒4.7となり、構成要件イ.における「重量比が1から3の範囲」からはずれるものとなる。したがって、構成要件f.は構成要件イ.を充足しない。また、この構成要件イ.は、本件特許の請求項1に係る発明の本質的な部分である。 なお、構成要件f.における「分散剤としてスチレン/アクリル酸共重合体」「塗工性改良剤としてカゼイン」「その添加剤」は、構成要件イ.における「(A)隠蔽姓を有する水性の中空孔ポリマー粒子」及び「(B)成膜性を有する水性ポリマー」のいずれにも該当しないものである。 (請求項2について) 本件特許の請求項2に係る発明は、構成要件イ.〜ヘ.に加えてさらに構成要件ト.を有するものであり、イ号物件の構成要件e.が、この構成要件ト.に対応するものである。 上記(請求項1について)で述べたように、イ号物件の構成要件a.は本件特許の請求項2に係る発明の構成要件ニ.を、同じくb.はハ.を、c.はロ.を、d.はホ.を、e.はヘ.をそれぞれ充足するものであり、そして、構成要件ト.の「タコグラフ用の記録紙」は、構成要件ヘ.の「記録紙」の下位概念であることから、構成要件e.が構成要件ヘ.を充足すれば必然的に構成要件ト.をも充足するものである。 しかしながら、上記(請求項1について)で述べたように、構成要件f.は構成要件イ.を充足していない。また、この構成要件イ.は、本件特許の請求項2に係る発明の本質的な部分である。 5.むすび 以上のとおりであるから、イ号物件は、本件特許の請求項1及び請求項2に係る発明の技術的範囲に属しない。 よって、結論のとおり判定する。 |
別掲 |
|
判定日 | 2000-08-30 |
出願番号 | 特願平2-15644 |
審決分類 |
P
1
2・
1-
ZA
(G01D)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 中野 修身、中島 次一 |
特許庁審判長 |
高梨 操 |
特許庁審判官 |
多喜 鉄雄 鐘尾 みや子 |
登録日 | 1997-03-11 |
登録番号 | 特許第2619728号(P2619728) |
発明の名称 | 記録紙 |
代理人 | 谷 義一 |
代理人 | 永井 義久 |
代理人 | 森田 政明 |
代理人 | 橋本 傳一 |
代理人 | 升永 英俊 |
代理人 | 阿部 和夫 |
代理人 | 池田 知美 |