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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04B
管理番号 1026236
審判番号 審判1999-5850  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-12-18 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-04-08 
確定日 2000-10-06 
事件の表示 平成10年特許願第135212号「携帯無線機」拒絶査定に対する審判事件[平成10年12月18日出願公開、特開平10-336065]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明の要旨
本願は、平成6年10月13日(優先権主張平成5年12月9日)に出願した特願平6-247551号の一部を平成10年5月18日に新たな特許出願としたものであって、その請求項1に係る発明は、平成11年1月29日付け及び平成12年5月16日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 上部筺体と、前記上部筺体と略同じ大きさの下部筺体とをヒンジ部を介して折畳み可能に接続した携帯無線機であって、前記上部筺体は、通話相手の音声を受話する受話器とを有し、前記下部筺体は、音声を通話相手に送信する送話器と、キーボタンを有するキー操作部と、無線回路部品を搭載した無線回路基板と、各種情報を表示する表示部とを有することを特徴とする携帯無線機。」
2.引用刊行物記載の発明
これに対して、当審における平成12年3月6日付けの拒絶の理由で引用した刊行物1(特開平5-68078号公報)には、「【0008】さらに、6はマイクロコンピュータにより構成された制御回路、7はダイヤルキーなどの入力キー、8は各種の情報を表示するディスプレイを示す。この場合、制御回路6は、通話、発信、着信などのための各種の処理、入力キー7の入力処理、ディスプレイ8の表示処理などを行うものである。【0009】ここで、図2はこの発明における携帯電話機の一例の使用状態を示す斜視図で、この電話機は、本体9が全体として手帳程度の直方体状に構成されているとともに、この本体9の上部に蓋体91が、図の角度まで開くことができるように開閉自在に設けられている。そして、この携帯電話機の使用時には、蓋体91が図の位置まで開かれ、非使用時には、本体9の上面パネル92に接するように閉じられる。【0010】また、蓋体91には、この蓋体91の開閉を検出するスイッチ93(図1)が連動され、そのスイッチ出力が制御回路6に供給される。さらに、この蓋体91の内側に受話器2が設けられ、上面パネル92に送話器1が設けられている。」と記載されており、この記載によれば、刊行物1には、蓋体91と、前記蓋体と接触面が略同じ大きさを有する本体9とを折り畳み可能に接続した携帯電話機であって、前記蓋体は、受話器2を有し、前記本体9は、送話器1と、入力キー7と、ディスプレイ8とを有することを特徴とする携帯電話機が記載されている。
3.対比
本願請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)と刊行物1に記載された発明とを対比すると、刊行物1に記載された発明の「蓋体91」、「本体9」、「携帯電話機」、「受話器2」、「送話器1」、「入力キー7」、「ディスプレイ8」は、それぞれ「上部筐体」、「下部筐体」、「携帯無線機」、「受話器」、「送話器」、「キー操作部」、「表示部」に相当するので、両者は、「上部筺体と、下部筺体とを折畳み可能に接続した携帯無線機であって、前記上部筺体は、通話相手の音声を受話する受話器とを有し、前記下部筺体は、音声を通話相手に送信する送話器と、キーボタンを有するキー操作部と、各種情報を表示する表示部とを有することを特徴とする携帯無線機。」
である点で一致し、次の(1)〜(3)の点で相違する。
(1)上部筐体と下部筐体とが、本願発明では、略同じ大きさを有するのに対し、刊行物1に記載された発明では、その厚さにおいて大きさが異なる点
(2)無線回路部品を搭載した無線回路基板を、本願発明では、下部筐体に有するのに対し、刊行物1に記載された発明では、無線回路基板について記載されていない点
(3)上部筐体と下部筐体とを折り畳み可能に接続する手段として、本願発明では、ヒンジを用いるのに対し、刊行物1に記載された発明では、具体的な接続手段について記載されていない点
4.当審の判断
上記相違点(1)〜(3)について検討する。
相違点(1)について
刊行物1に記載された発明において、携帯電話機の蓋体91の厚さをどの程度にするかは、当業者が必要に応じて適宜決定すべき設計事項にすぎず、この相違点は格別のものでない。
上記相違点(2)について
刊行物1に記載された発明において、携帯電話機が無線回路部品を搭載した無線回路基板を具備することは、当業者にとって自明の事項である。
そして、本体と蓋体とからなり折り畳み可能な無線電話機において、入力キーを有する本体側に無線等の回路基板を設けることは、周知の事項(例えば、実開平5-88053号公報参照)であるから、上記刊行物1の携帯電話機において、上記無線回路基板を本体9に設けることに格別の困難はない。
上記相違点(3)について
折り畳み可能な無線電話機において、折り畳み可能に接続する手段として、ヒンジを用いることは、周知慣用の事項であるから、上記刊行物1の携帯電話機において、開閉自在に接続する手段としてヒンジを用いることに格別の困難はない。
そして、本願発明の構成によってもたらされる効果も、刊行物1に記載された発明及び周知の事項から当業者が容易に予測することができる程度のものであって、格別のものではない。
5.むすび
したがって、本願発明は、上記刊行物1に記載された発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許をうけることができない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2000-06-01 
結審通知日 2000-06-16 
審決日 2000-08-11 
出願番号 特願平10-135212
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川嵜 健溝本 安展  
特許庁審判長 松野 高尚
特許庁審判官 近藤 聡
大塚 良平
発明の名称 携帯無線機  
代理人 京本 直樹  

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