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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1026365
審判番号 審判1999-17561  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-06-19 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-10-28 
確定日 2000-10-13 
事件の表示 平成 9年特許願第359094号「MOSトランジスタ」拒絶査定に対する審判事件[平成10年 6月19日出願公開、特開平10-163492]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 (出願の経緯・発明の要旨)
本願は、平成3年5月17日に出願された特願平3-142500号を特許法44条第1項の規定により平成9年12月26日に分割出願したものであって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成11年8月11日付及び平成11年11月26日付手続き補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲請求項1に記載された次のとおりのものである。
「半導体基板と、該半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成された、ポリシリコンからなるゲート部と、該ゲート部のポリシリコン上に設けられた金属膜と、該ゲート部の両側の該半導体基板の表面付近に形成されたソース・ドレイン領域と、該ゲート部の両側面に形成されたサイドウォールと、該ソース・ドレイン部上に形成されたシリサイド層とを備えたMOSトランジスタにおいて、
上記ゲート部のポリシリコン上の金属膜の材料と、上記ソース・ドレイン部上に形成されたシリサイド層の材料とが異なるものであり、
かつ、上記金属膜上に、上記サイドウォールとは異なった材料で形成された絶縁膜を備え、
当該金属膜は上記サイドウォールと上記絶縁膜とで覆われている、
ことを特徴とするMOSトランジスタ。」
(引用例)
原審における拒絶の理由において引用された特開平3-24732号公報(以下、「引用例」という。)はMOSトランジスタに関するものであり、第1図と共に以下の点が記載されている。「第1図は、本発明の実施例の半導体装置の製造方法を工程順に示したものである。
n型シリコン基板1上に厚さ4000Å程度の素子分離用SiO2膜2を形成後、素子領域に乾燥酸素中での熱処理900℃,30分により、200Åのゲート酸化膜3を形成する。次に、CVD法により多結晶シリコン膜4を厚さ2000Å程度堆積し、その多結晶シリコン膜4全体にPOCl2中での900℃,30分の熱処理によりリンを1022cm-3 程度均一に拡散する。次に、第1の金属シリサイド膜としてTiSiX膜5を多結晶シリコン膜4上にX=2の組成でスパッタ法により厚さ2000Å程度堆積する。次に、CVD法によりSiO2膜6を厚さ2000Å程度堆積する。(第1図(a))
次に、この構造で窒素雰囲気900℃,10分の熱処理によりTiSi2膜5のシート抵抗を約2Ω/口にまで低下させる。次に、フォトレジストを用いてこの積層構造を多結晶シリコン膜4までパターニングする。次にCVD法によりSiO2膜を厚さ2000Å程度堆積後、反応性イオンエッチングを用い全面エッチングし自己整合的にゲート側壁SiO2膜7を形成する。この際、TiSi2膜5上のSiO2膜6は、ゲート側壁用のSiO2膜を数十%オ-バエッチングしても十分残る。(第1図(b))
次に、乾燥酸素中で900℃,30分の熱処理をした後、このゲート積層構造をマスクにしてBF2+を40KeV,5×1015cm-2でイオン注入しソース/ドレイン領域8を形成する。次に、窒素雰囲気中で900℃,60分熱処理することにより注入されたボロンを活性化する。次に先の乾燥酸素中の熱処理で形成されたソース/ドレイン領域8上の熱酸化膜を希HF処理により除去する。次に、ウェハ全面にTi膜9を厚さ500Å程度スパッタ法により堆積する。(第1図(c))
次に、窒素雰囲気中で750℃,30秒間のランプアニールをする。この際、ソース/ドレイン領域8上にのみ厚さ800Å程度の第2の金属シリサイド膜としてTiSi2膜10が成長する。この際表面からは同時にTiの窒化反応が進みTiNとTi の混合膜が形成されているのでこれを過酸化水素中で5分間処理することにより除去する。更に、同じ液を用いTi膜9も除去する。次にこの第2の金属シリサイド膜としてのTiSi2膜10のシ-ト抵抗を下げるため窒素雰囲気中で960℃,20秒間のランプアニールをする。この処理により、TiSi2膜10のシート抵抗も約2Ω /口となる。(第1図(d))」(第2頁右下欄第17行目〜第3頁左下欄第2行目)、「本発明の第2の実施例として、第1の金属シリサイド膜と第2の金属シリサイド膜が異なる場合が考えられる。例えば、ゲート電極上へ形成する金属シリサイド膜としてゲート耐圧が良好な、即ちゲ-ト酸化膜3へのダメ-ジが少ない、例えばWSi2を用い、ソース/ドレイン領域8上へはρの低い、例えばCoSi2,TiSi2,NiSi2を用いることができる。なお、この場合の製造方法は、第1の実施例と同様である。」(第3頁左下欄第11〜19行目)。
してみると、上記引用例には、「n型シリコン基板1と、該n型シリコン基板1上にゲート酸化膜3を介して形成された多結晶シリコン膜4と、該多結晶シリコン膜4上に設けられた第1の金属シリサイド膜5と、該多結晶シリコン膜4の両側の該n型シリコン基板1の表面付近に形成されたソース/ドレイン領域8と、該多結晶シリコン膜4の両側面に形成されたゲート側壁SiO2膜7と、該ソース/ドレイン領域8上に形成された第2の金属シリサイド膜10とを備えたMOSトランジスタにおいて、上記多結晶シリコン膜4上の第1の金属シリサイド膜5の材料と、上記ソース・ドレイン領域8上に形成された第2の金属シリサイド膜10の材料とが異なるものであり、かつ、上記第1の金属シリサイド膜5上に形成されたSiO2膜6を備え、当該第1の金属シリサイド膜5は上記ゲート側壁SiO2膜7と上記SiO2膜6とで覆われていることを特徴とするMOSトランジスタ。」が記載されているものと認められる。
(対比)
次に、本願発明と上記引用例記載の発明とを対比すると、上記引用例記載の発明のn型シリコン基板1、ゲート酸化膜3、多結晶シリコン膜4、第1の金属シリサイド膜5、ソース/ドレイン領域8、ゲート側壁SiO2膜7、第2の金属シリサイド膜10、SiO2膜6は、それぞれ本願発明の半導体基板、ゲート絶縁膜、ポリシリコンからなるゲート部、金属膜、ソース・ドレイン領域、サイドウォール、ソース・ドレイン部上に形成されたシリサイド層、絶縁膜に相当するから、本願発明と上記引用例記載の発明とは「半導体基板と、該半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成された、ポリシリコンからなるゲート部と、該ゲート部のポリシリコン上に設けられた金属膜と、該ゲート部の両側の該半導体基板の表面付近に形成されたソース・ドレイン領域と、該ゲート部の両側面に形成されたサイドウォールと、該ソース・ドレイン部上に形成されたシリサイド層とを備えたMOSトランジスタにおいて、
上記ゲート部のポリシリコン上の金属膜の材料と、上記ソース・ドレイン部上に形成されたシリサイド層の材料とが異なるものであり、かつ、上記金属膜上に絶縁膜を備え、当該金属膜は上記サイドウォールと上記絶縁膜とで覆われていることを特徴とするMOSトランジスタ。」の点で一致するが、本願発明は金属膜上に、サイドウォールとは異なった材料で形成された絶縁膜を備えているのに対して、上記引用例記載の発明は金属膜上に形成された絶縁膜が、サイドウォールとは異なった材料で形成されていない点で相違するものと認められる。
(検討)
そこで、上記相違点について以下検討する。
一般にMOSトランジスタにおいて、金属膜上に形成された絶縁膜とサイドウォールとを必要に応じて異なった材料で形成することは周知技術であるから[例、特開昭63-227060号公報(特に第2頁右上欄第12〜16行目、第2頁右下欄第20行目〜第3頁左上欄第6行目、第3頁右上欄第6〜12行目、第1図参照。)]、この周知技術を引用例記載の発明に適用することは当業者が容易になし得た程度のものであり、しかも、金属膜上に形成された絶縁膜とサイドウォールとを単に異なった材料で形成することで格別の効果を生ずるものとも認められない。
(むすび)
本願発明は、上記引用例に記載された発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2000-07-06 
結審通知日 2000-07-21 
審決日 2000-08-07 
出願番号 特願平9-359094
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今井 拓也  
特許庁審判長 張谷 雅人
特許庁審判官 浅野 清
橋本 武
発明の名称 MOSトランジスタ  
代理人 早瀬 憲一  

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